| 【発明の名称】 |
抽水植物の植栽方法及びそれに用いる植栽容器 |
| 【発明者】 |
【氏名】谷口 眞康 【住所又は居所】滋賀県大津市滋賀里3丁目31−1 株式会社日本環境サービス内
【氏名】森本 貴之 【住所又は居所】滋賀県大津市滋賀里3丁目31−1 株式会社日本環境サービス内
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| 【要約】 |
【課題】ヨシを始めとする抽水植物の育苗・植栽作業を効率化すると共に、植栽地への活着率を向上させることのできる植栽方法、及びこれに用いる植栽容器を提供する。
【解決手段】生分解性の繊維を交絡させて成る植栽マット10の上部に、貫通しない穴から成る苗保持部13を設け、該苗保持部13にヨシ苗30を植え付けた生分解性の育苗ポット20を嵌入する。1年間予備育苗を行った後、ヨシ30を育苗ポット20及び植栽マット10ごと出荷し、そのまま植栽地40に設置する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 抽水植物の苗を、生分解性の繊維を交絡させて成る植栽マットの上面に設けられた、貫通しない穴から成る苗保持部に植え付け、該植栽マットごと植栽地に設置することを特徴とする抽水植物の植栽方法。 【請求項2】 抽水植物の苗を生分解性の育苗ポットに植え付け、該育苗ポットを生分解性の繊維を交絡させて成る植栽マットの上面に設けられた、貫通しない穴から成る苗保持部に嵌入し、該植栽マットごと植栽地に設置することを特徴とする抽水植物の植栽方法。 【請求項3】 生分解性の繊維を交絡させて成る植栽マットを植栽地に敷設し、抽水植物の苗を植え付けた生分解性の育苗ポットを、該植栽マットの上面に設けられた貫通しない穴から成る苗保持部に嵌入することを特徴とする抽水植物の植栽方法。 【請求項4】 上記植栽マット及び/又は育苗ポットに苗を植え付けた後、根が十分に伸長するまで予備育苗を行ってから、植栽地に設置することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の抽水植物の植栽方法。 【請求項5】 上記請求項1〜4のいずれかに記載の抽水植物の植栽方法に用いられる植栽マット。 【請求項6】 上記請求項2〜4のいずれかに記載の抽水植物の植栽方法に用いられる植栽マット及び育苗ポット。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、ヨシ(葦)を初めとする抽水植物の植栽方法、及びそれに用いる植栽容器に関する。 【背景技術】 【0002】 ヨシは湖沼や河川などの浅瀬や周辺部に群落を形成して自生するイネ科の抽水植物であり、野鳥や昆虫、魚類などのすみかとなるだけでなく、護岸作用や水質浄化作用などを有し、水域生態系や自然環境の保全に重要な役割を果たしてきた。 近年、ヨシのこのような働きが見直され、護岸工事や開発事業等によって激減したヨシの生育環境の回復を目的としたヨシ群落保全事業が進められている。 ヨシ群落保全事業の一環として、水域周辺部へのヨシの人工的な植栽が行われているが、ヨシのような抽水植物は水中の土壌に根を張るため、幼苗や地下茎を直接土壌に植え付けても、風波の影響で流失してしまい殆ど活着しない。そのため、一般的には、ヨシの幼苗をポリエチレン製のポット(ポリポット)で1年間育成した後、ヤシ殻繊維から成るマットに移植して、更に1年間圃場で育苗し、該マットごと搬出して湖沼などの植栽地に設置するという方法が広く用いられている。ヤシ殻マットはやがて地中で分解されるため、環境に悪影響を及ぼす恐れもない。 【0003】 しかし、上記の方法ではポットからマットへの植え替えの際に、ヨシ苗をポットから取り出し、ヤシ殻マットに設けられた十文字の切り込みを開いて、その中に苗を移植するという作業が必要となり、大変手間が掛かる上に、植栽前の予備育苗に合計2年が必要であった。また、ポリポットで育成された苗は、ポット内で根巻き(ルーピング)してしまい、その後の生育が悪くなる。更に、マットの内部に十分に根を張るまで予備育苗を行わないと、圃場から搬出する際に苗がマットの底部から抜け落ちてしまうが、その反面、育苗期間中に伸長した根が圃場の地中に入り込み、搬出する際に切れて苗を痛めてしまうという問題があった。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 本発明はこのような課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、ヨシを始めとする抽水植物の植栽作業の効率の向上、及び育苗期間の短縮を実現すると共に、ルーピングや根切れを防止して、苗の活着率を向上させることのできる植栽方法、及びそれに用いる植栽容器を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0005】 上記課題を解決するために成された本発明に係る植栽方法は、抽水植物の苗を、生分解性の繊維を交絡させて成る植栽マットの上面に設けられた、貫通しない穴から成る苗保持部に植え付け、該植栽マットごと植栽地に設置することを特徴とする。 【0006】 また、本発明の植栽方法は、抽水植物の苗を生分解性の育苗ポットに植え付け、該育苗ポットを生分解性の繊維を交絡させて成る植栽マットの上面に設けられた、貫通しない穴から成る苗保持部に嵌入し、該植栽マットごと植栽地に設置することを特徴とするものであっても良い。 【発明の効果】 【0007】 本発明の抽水植物の植栽方法を用いれば、従来のようなポットからマットへの苗の移植の手間を省くことができると共に、植栽までの予備育苗期間を短縮することができる。また、ポリポットでの予備育苗を行わないため、根や地下茎のルーピングを防ぐことができると共に、従来のようなヤシ殻マットに設けた切り込みを開いて苗を植え付ける方法と違って、苗の下部が直接マットの下の地面に接触することがなく、予備育苗中に根や地下茎がマットの下の地中に入り込み難いため、搬出時の根切れを防ぐことができ、植栽地への苗の活着率を向上させることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0008】 本発明の抽水植物の植栽方法に使用する植栽マットは、生分解性の繊維を交絡させたものから成る。該生分解性の繊維としては、ヤシ殻繊維や、シュロの繊維等の天然繊維の他に、生分解性のプラスチックを繊維状に形成したものなどを使用することができる。該マットの成形方法は特に限定せず、上記生分解性繊維の可撓性を維持したまま、繊維同士が比較的緩く交絡するように成形できるものであればどのような方法を用いても良い。このような成型方法としては、例えば圧縮成形やニードルパンチ法などを用いることができる。また、形態維持のため、生分解性の接着剤、又は環境中で自然分解される接着剤等によって繊維同士を部分的に固定しても良い。このような接着剤の例としては、ポリビニルアルコールや天然ゴムなどが挙げられる。 【0009】 植栽マットの上面には、貫通しない穴から成る苗保持部を1つあるいは複数個設ける。このような植栽マットは、苗保持部に対応した突起を有する金型等によって成型しても良いが、平板状のマットを形成した後、該マットを切り抜いて貫通孔を設け、該マットと穴の無いマットを上述のような接着剤で張り合わせて形成しても良い。この場合、貫通孔を設けた所定の厚さのマットを複数枚貼り重ねて、苗保持部の深さを調節することもできる。 【0010】 育苗ポットは、底面を備え上部に開口を有する筒状のものとし、生分解性の繊維を凹凸金型を用いた圧縮成形などによって立体的に成形するほか、生分解性の繊維を薄いマット状に成形し、適当な形状に裁断して鉢形に組み立て、縫製やステープル等によって固定することによって形成しても良い。あるいは、このような生分解性繊維を交絡させたものではなく、生分解性プラスチックを従来のポリポットと同様の形状に成形したものであっても良い。この場合は底面及び側面に、水抜き穴と、根及び地下茎が通過できる穴又はスリットを設ける。 【0011】 なお、上記植栽マット及び育苗ポットは、生分解性を有すると同時に、予備育苗中に崩壊することが無いように、適度な耐久性が要求される。そのため、両容器の素材としては、これらの条件を満たすヤシ殻繊維を使用することが望ましい。 【0012】 ポット及び苗保持部の形状は円柱状に限らず、多角柱状などとしてもよい。また、苗保持部への出し入れを容易にするために、育苗ポットを下方に小さいテーパー形状にしたり、育苗ポットの高さを苗保持部の深さよりも大きくし、苗保持部に嵌入した際に、ポットの縁がマットの表面より突出するようにしたりすることが望ましい。 【0013】 抽水植物の苗は、植栽マットの苗保持部に直接植え付けるか、育苗ポットに植え付け、該育苗ポットごと植栽マットの苗保持部に嵌入する。 水位の変動や風波の影響、漂着物の影響等が少ない場所に植栽する場合には、上記のようにして苗を保持させた植栽マットを、そのまま植栽地に設置しても良いが、通常は、植栽前に圃場等で予備育苗を行って、マットの内部まで根を十分に伸長させておくことが望ましい。 予備育苗が終了した苗は植栽マットごと圃場から搬出し、植栽地に設置する。この時、必要に応じて生分解性の杭などで植栽マットを固定しても良い。 【0014】 また、植栽地の水深が浅い場合には、予め植栽マットのみを植栽地に敷設しておき、該植栽マットの苗保持部に、苗を植え付けた育苗ポットを嵌入しても良い。この場合も、苗を育苗ポットに植え付けた後、圃場等で予備育苗を行ってから、植栽地に敷設した植栽マットに嵌入することが望ましい。これにより、植栽作業を効率化できると共に、植栽マットを使って予備育苗を行った場合に比べ、圃場からの搬出や運搬の手間を軽減することができる。 【0015】 なお、本発明の植栽方法及び植栽容器は、ヨシの他に、ツルヨシ、ガマ、アサザ、マコモ、ウキヤガラなど、種々の抽水植物に適用することができる。 【実施例】 【0016】 以下、本発明の植栽方法及び植栽容器の実施例について、図を用いて説明する。図1は、本実施例に係る植栽マットの斜視図及び断面図であり、図2は、本実施例に係る育苗ポットの斜視図及び断面図である。また、図3は、本実施例の植栽方法における植栽直後の状態を示す断面図である。 【0017】 本実施例の育苗方法に使用する植栽マット10は、ヤシ殻繊維を圧縮成形することによって形成した、長さ100cm、幅100cm、厚さ9cmのマット11に、直径13.5cmの貫通孔を4箇所設け、該マットの底面に長さ100cm、幅100cm、厚さ3cmのヤシ殻マット12をポリビニルアルコールから成る接着剤で貼付することによって形成する。育苗ポット20は、ヤシ殻繊維を凹凸金型を用いて圧縮成形にすることによって、周面及び底面の厚さが0.5cm、高さ10cm、上部の直径が13.5cm、底面の直径が12.5cmの、底面を備え上部に開口を有する筒状に形成する。 【0018】 以下、上記植栽マット10及び育苗ポット20を使用した本実施例のヨシの植栽方法について説明する。 まず、育苗ポット20に土を充填し、ヨシの幼苗30を植え付けて、植栽マット10の苗保持部13に嵌入する。該苗を圃場で1年間予備育苗した後、植栽マット10ごと搬出・運搬して植栽地40に設置する。植え付け後の苗30からは容器を貫通して根31や地下茎32が植栽地40の地中へ入り込んで活着する。また、本実施例の植栽マット10及び育苗ポット20は、ヤシ殻及び生分解性の接着剤から成るものであり、徐々に分解されて消滅するため、環境に悪影響を及ぼすことが無い。 【0019】 上記のような植栽方法を用いることにより、育苗・植栽に掛かる手間を大幅に省力化できると共に、これまで2年必要であった予備育苗期間を短縮し、植栽マット及び育苗ポットへの植え付け後、1年で出荷及び植栽を行うことができるようになる。また、本実施例の植栽マット及び育苗ポットは、底面を備えているため、予備育苗中に根や地下茎が地中に入り込むのを抑え、根切れを防止することができる。更に、本実施例の植栽マット及び育苗ポットは、共にヤシ殻繊維を交絡させたものであるため、根や地下茎が繊維の間を通過することができ、生育が妨げられることがない。そのため、一株から多くの発芽が得られ、植栽地への活着率も向上する。 【図面の簡単な説明】 【0020】 【図1】(a)本実施例に係る植栽マットを示す斜視図(b)同植栽マットを示す断面図 【図2】(a)本実施例に係る育苗ポットを示す斜視図(b)同育苗ポットを示す断面図 【図3】本実施例における植栽時の状態を示す断面図 【符号の説明】 【0021】 10…植栽マット 13…苗保持部 20…育苗ポット 30…ヨシ 31…根 32…地下茎 40…植栽地
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| 【出願人】 |
【識別番号】504036604 【氏名又は名称】株式会社日本環境サービス 【住所又は居所】滋賀県大津市滋賀里3丁目31−1
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| 【出願日】 |
平成16年1月28日(2004.1.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100095670 【弁理士】 【氏名又は名称】小林 良平
【識別番号】100077171 【弁理士】 【氏名又は名称】竹内 尚恒
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| 【公開番号】 |
特開2005−210941(P2005−210941A) |
| 【公開日】 |
平成17年8月11日(2005.8.11) |
| 【出願番号】 |
特願2004−20110(P2004−20110) |
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