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【発明の名称】 植栽用排水マットおよびそれを用いた植栽構造物
【発明者】 【氏名】大坂 富一
【住所又は居所】福井県福井市照手2−6−16 株式会社八木熊内

【氏名】毛利 明博
【住所又は居所】大阪府吹田市江の木町17−12 株式会社八木熊内

【氏名】堀 洋之
【住所又は居所】大阪府大阪市都島区毛馬町4−3−26 浪華絹綿株式会社内

【要約】 【課題】充填される培土の土圧に対する耐久性を有し、かつ、表面が堅牢性に優れていて目詰まりを起こし難く、確実な排水機能を備えた植栽用排水マットを提供すること。

【解決手段】マット部材1は、合成樹脂繊維を使用材料として、繊維太さ、空隙率、密度がそれぞれ異なる不織布から成る層を重ねて形成され、堅牢性保護層2とフィルター層3と底支持層4とを少なくとも含んで構成されており、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
花壇・菜園などに用いる植栽プランターや植木鉢などにおいて、当該プランター内の底面に敷設するためのマット部材1であって、
このマット部材1は、合成樹脂繊維を使用材料として、繊維太さ、空隙率、密度がそれぞれ異なる不織布から成る層を重ねて形成されており、
繊維太さが約4〜5Dtexである合成樹脂繊維から成り、密度が30〜50kg/m3 で、かつ、空隙率が90%以上の不織布から成る堅牢性保護層2と;
繊維太さが約4〜100Dtexの範囲内である合成樹脂繊維から成り、密度が約30〜80kg/m3 に作製した厚さ1〜5mmの不織布を、10cm2 以下の鱗片状に千切った断片31・31…をランダムに積層させて成るフィルター層3と;
繊維太さが約4〜100Dtexの範囲内である合成樹脂繊維から成る不織布から成る底支持層4とを少なくとも含んで構成されており、
前記堅牢性保護層2と前記底支持層4との間に前記フィルター層3を構成する断片31・31…がサンドウィッチ状に積層挟持して接着されており、圧縮強度として70g/cm2 の圧力に対する沈み変位が初期厚さの10%以内となるような弾性を付与したことを特徴とする植栽用排水マット。
【請求項2】
底支持層4の不織布は、上面から下面に亙り逓増的に繊維太さが大きくなり、かつ、疎密度になる密度勾配を有することを特徴とする請求項1記載の植栽用排水マット。
【請求項3】
熱融着によって各層の繊維同士が接着されて一体化されていることを特徴とする請求項1または2記載の植栽用排水マット。
【請求項4】
合成樹脂繊維材料がポリエステル繊維であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の植栽用排水マット。
【請求項5】
マット部材1の表面に、アクリル樹脂塗膜5がコーティング加工されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の植栽用排水マット。
【請求項6】
少なくとも擁壁部材6に囲まれる領域において、その底面には、
繊維太さが約4〜5Dtexである合成樹脂繊維から成り、密度が30〜50kg/m3 で、かつ、空隙率が90%以上の不織布から成る堅牢性保護層2と;
繊維太さが約4〜100Dtexの範囲内である合成樹脂繊維から成り、密度が約30〜80kg/m3 に作製した厚さ1〜5mmの不織布を、10cm2 以下の鱗片状に千切った断片31・31…をランダムに積層させて成るフィルター層3と;
繊維太さが約4〜100Dtexの範囲内である合成樹脂繊維から成る不織布から成る底支持層4と;を少なくとも含んで構成されており、
前記堅牢性保護層2と前記底支持層4との間に前記フィルター層3を構成する断片31・31…がサンドウィッチ状に積層挟持して接着されており、圧縮強度として70g/cm2 の圧力に対する沈み変位が初期厚さの10%以内となるような弾性を付与したことを特徴とする植栽用排水マット1が、前記保護層2を上面にして敷設されており、当該マット部材1の上部に培土Sが充填されて構成されていることを特徴とする植栽用排水マットを用いた植栽構造物。
【請求項7】
擁壁部材6が、頭部から脚部に亙り逓増的に増厚して形成されていることを特徴とする請求項6記載の植栽用排水マットを用いた植栽構造物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、花壇・菜園などの底面に敷設して培土の流出防止および排水を促進するための植栽用の排水マットの改良、更に詳しくは、充填される培土の土圧に対する耐久性を有し、かつ、表面が堅牢性に優れていて目詰まりを起こし難く、確実な排水機能を備えた植栽用排水マットおよびそれを用いた植栽構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、近年では、「ヒートアイランド現象(人工排熱の増加、人工被覆の増加および自然空間の喪失という都市における人工化の過剰な進展から生ずる、熱大気汚染をいう。)」が環境問題となっており、熱中症などの健康影響や二酸化炭素排出量の増加などの影響をもたらすおそれがあるため、その対策として、ビルディングの屋上に花壇などを設置する緑化運動が盛んに行われている。
【0003】
ところで、かかる花壇や、一般家庭にて行われる菜園などに用いるプランターや植木鉢などにおいては、通常、底面に排水マットが敷設されており、撒水した際に余剰な水分を排水するとともに、充填した培土の流出を防止している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、かかる排水マットでは、当該プランター内に充填した培土の自重によって圧縮されて潰れてしまったり、更に、排水マットの表面の孔が培土によって目詰まりを起こしたりして、排水効率を著しく減退させてしまうおそれがある。
【特許文献1】特開平3−127916号公報(第1−2頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来の排水マットに上記のような問題があったことに鑑みて為されたものであり、充填される培土の土圧に対する耐久性を有し、かつ、表面が堅牢性に優れていて目詰まりを起こし難く、確実な排水機能を備えた植栽用排水マットを提供することを技術的課題とする。
【0006】
また、本発明は、確実な排水機能を備えた植栽用排水マットを用いた植栽構造物を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0008】
即ち、本発明は、花壇・菜園などに用いる植栽プランターや植木鉢などにおいて、当該プランター内の底面に敷設するためのマット部材1であって、
このマット部材1は、合成樹脂繊維を使用材料として、繊維太さ、空隙率、密度がそれぞれ異なる不織布から成る層を重ねて形成されており、
繊維太さが約4〜5Dtexである合成樹脂繊維から成り、密度が30〜50kg/m3 で、かつ、空隙率が90%以上の不織布から成る堅牢性保護層2と;
繊維太さが約4〜100Dtexの範囲内である合成樹脂繊維から成り、密度が約30〜80kg/m3 に作製した厚さ1〜5mmの不織布を、10cm2 以下の鱗片状に千切った断片31・31…をランダムに積層させて成るフィルター層3と;
繊維太さが約4〜100Dtexの範囲内である合成樹脂繊維から成る不織布から成る底支持層4とを少なくとも含んで構成されており、
前記堅牢性保護層2と前記底支持層4との間に前記フィルター層3を構成する断片31・31…をサンドウィッチ状に積層挟持して接着し、圧縮強度として70g/cm2 の圧力に対する沈み変位が初期厚さの10%以内となるような弾性を付与するという技術的手段を採用することによって、植栽用排水マットを完成させた。
【0009】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、底支持層4の不織布は、上面から下面に亙り逓増的に繊維太さが大きくなり、かつ、疎密度になる密度勾配を有するようにするという技術的手段を採用した。
【0010】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、熱融着によって各層の繊維同士を接着して一体化するという技術的手段を採用した。
【0011】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、合成樹脂繊維材料をポリエステル繊維にするという技術的手段を採用した。
【0012】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、マット部材1の表面に、アクリル樹脂塗膜5をコーティング加工するという技術的手段を採用した。
【0013】
また、本発明は、少なくとも擁壁部材6に囲まれる領域において、その底面には、
繊維太さが約4〜5Dtexである合成樹脂繊維から成り、密度が30〜50kg/m3 で、かつ、空隙率が90%以上の不織布から成る堅牢性保護層2と;
繊維太さが約4〜100Dtexの範囲内である合成樹脂繊維から成り、密度が約30〜80kg/m3 に作製した厚さ1〜5mmの不織布を、10cm2 以下の鱗片状に千切った断片31・31…をランダムに積層させて成るフィルター層3と;
繊維太さが約4〜100Dtexの範囲内である合成樹脂繊維から成る不織布から成る底支持層4と;を少なくとも含んで構成されており、
前記堅牢性保護層2と前記底支持層4との間に前記フィルター層3を構成する断片31・31…がサンドウィッチ状に積層挟持して接着されており、圧縮強度として70g/cm2 の圧力に対する沈み変位が初期厚さの10%以内となるような弾性を付与したことを特徴とする植栽用排水マット1が、前記保護層2を上面にして敷設されており、当該マット部材1の上部に培土Sを充填して構成するという技術的手段を採用することによって、植栽用排水マットを用いた植栽構造物を完成させた。
【0014】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、擁壁部材6を、頭部から脚部に亙り逓増的に増厚して形成するるという技術的手段を採用した。
【発明の効果】
【0015】
本発明の植栽用排水マットにあっては、繊維太さが異なる不織布から成る層を重ね合わせたことによって、繊維太さの大きな繊維から成る層にあっては、形態安定性に優れており、かつ、十分な剛性を備えているので、土圧に対する耐久性を有しており、また、鍬などで誤って突いたとしても破れ難い。しかも、表面が堅牢性に優れているので、目詰まりを起こし難く、確実な排水機能を発揮することができる。
【0016】
また、かかる植栽用排水マットを、例えば、道路の中央分離帯などの街路樹ブロックにおける底面に敷設することによって、確実な排水機能を備えた植栽構造物を構成することができることから、産業上における利用価値は頗る高いと云える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施形態を具体的に図示した図面に基いて更に詳細に説明すると次のとおりである。
【0018】
本発明の実施形態を図1から図3に基いて説明する。図中、符号1で指示するものは排水マットであり、この排水マット1は、合成樹脂繊維を使用材料として、以下に説明する繊維太さ、空隙率、密度がそれぞれ異なる不織布から成る層を重ねて形成されている。なお、以下の不織布は、常法のニードルパンチ工法により作製されるものである。
【0019】
符号2で指示するものは堅牢性保護層であり、この堅牢性保護層2は、繊維太さが約4〜5Dtexである合成樹脂繊維(本実施形態では、ポリエステル繊維)から成り、密度が30〜50kg/m3 で、かつ、空隙率が90%以上の不織布から成る。
【0020】
また、符号3で指示するものはフィルター層であり、このフィルター層3は、繊維太さが約4〜100Dtexの範囲内である合成樹脂(ポリエステル)繊維から成り、密度が約30〜80kg/m3 に作製された厚さ1〜5mmの不織布を、10cm2 以下の鱗片状に千切った断片31・31…をランダムに複数段に積層させて成る。
【0021】
更にまた、符号4で指示するものは底支持層であり、この底支持層4は、繊維太さが約4〜100Dtexの範囲内である合成樹脂(ポリエステル)繊維から成る。そして、上面から下面に亙り逓増的に繊維太さが大きくなり、かつ、疎密度になる密度勾配を有する不織布から成り、上面から下面にかけて空隙率も大きくすることもでき、底面付近での排水性を向上ならしめる。
【0022】
しかして、本実施形態の排水マットは、花壇・菜園などに用いる植栽プランターや植木鉢などにおいて、当該プランター内の底面に敷設するためのものであり、構成するにあっては、前記堅牢性保護層2と前記底支持層4との間に前記フィルター層3の断片31・31…をサンドウィッチ状に積層挟持して接着する。本実施形態では、熱融着によって各層の繊維同士を接着して一体化する。なお、マット部材1の表面を保護するために、アクリル樹脂塗膜5をコーティング加工することができるけれども、排水機能に影響を及ぼすものではない。
【0023】
本実施形態品における全体および各層の構成並びに仕様は次の〔表1〕に示すとおりである。
【0024】
〔表1〕
素材 繊維太さ(Dtex) 重量(g/m3
堅牢性保護層2 ポリエステル 4.4 100
フィルター層3 ポリエステル 4.4〜90 600
底支持層4 ポリエステル 4.4〜90 600
アクリル樹脂塗膜5 アクリル樹脂 50

総重量1350(g/m3 )、厚さ20(mm)、密度67.5(kg/m3
【0025】
そして、本実施形態では、マット部材1に対し、荷重による圧縮強度として70g/cm2 の圧力(平均的な土密度を2.6〜2.8g/cm3 として算出)に対する沈み変位が初期厚さの10%以内となるような弾性を付与した。本実施形態品を使用して、図2に示すように、排水マットの形態安定性を立証すべく、培土Sを充填して約2か月が経過した場合における実測値は次の〔表2〕に示すとおりである。
【0026】
〔表2〕
土の量(mm) 初期厚さ(mm) 経時後厚さ(mm) 変形率(%)
従来品 300 25 15 60
実施形態品 300 24 23 95.8
【0027】
また、本実施形態では、少なくとも擁壁部材6に囲まれる領域において、底面に排水マット1を、保護層を上面にして敷設し、このマットの上部に培土Sが充填されて構成することによって、植栽用排水マットを用いた植栽構造物を構成することができる。
【0028】
この際、前記擁壁板6を、頭部から脚部に亙り逓増的に増厚して形成することにより、土圧に対する抵抗力を付与するとともに、プランターを安定化させることもでき、また、図3に示すように、例えば、道路の中央分離帯に配設された植樹帯に採用することができる。
【0029】
本発明は概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、マット部材1を構成する不織布を作製するために用いる合成樹脂材料としては、ポリエステルに限らず、ポリエチレンテレフタレートやポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリプロピレンなどの他の合成樹脂材料であっても良い。
【0030】
また、フィルター層3を構成するにあっては、断片31・31…の大きさおよび重ね合わせる分量および厚さについては適宜変更することも可能であり、何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態のマット部材の構造を表わす分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態品の使用状態を表わす説明断面図である。
【図3】本発明の排水マット部材を使用した植栽構造物を表わす斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
1 マット部材
2 堅牢性保護層
3 フィルター層
31 断片
4 底支持層
5 アクリル樹脂塗膜
6 擁壁部材
【出願人】 【識別番号】390014029
【氏名又は名称】株式会社八木熊
【住所又は居所】福井県福井市照手2丁目6番16号
【識別番号】399016411
【氏名又は名称】浪華絹綿株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市都島区毛馬町4丁目3番26号
【出願日】 平成16年1月26日(2004.1.26)
【代理人】 【識別番号】100076484
【弁理士】
【氏名又は名称】戸川 公二

【公開番号】 特開2005−204611(P2005−204611A)
【公開日】 平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願番号】 特願2004−16941(P2004−16941)