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【発明の名称】 しいたけ菌床栽培方法および容器
【発明者】 【氏名】鮎澤 澄夫
【住所又は居所】栃木県下都賀郡壬生町駅東町7番3号 株式会社北研食用菌類研究所

【氏名】枝 克昌
【住所又は居所】栃木県下都賀郡壬生町駅東町7番3号 株式会社北研食用菌類研究所

【要約】 【課題】しいたけ菌の培養中又は培養完了後の菌床を、一旦、栽培袋から取り出し、専用の栽培容器に移し替えて管理を行っていく栽培方法及び栽培容器を提供する。

【解決手段】本発明は、培養中又は培養完了後の工程において、栽培容器を取り除いた露出状態の菌床を、別の容器内に上面のみを解放した状態で単独で収容し、菌床と容器間の隙間に水あるいは水溶液を満たすことにより菌床側面及び底面からきのこの発生を抑制し、菌床上部からのみきのこの発生を促すことを特徴とするしいたけ菌床栽培方法に用いる装置であって、容器に収容菌床を固定するための収容菌床を固定するための弾力性を備えた突起状の支持体(2)を有する栽培容器本体(1)であることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養中又は培養完了後の工程において、
栽培容器を取り除いた露出状態の菌床を、別の容器に上面のみを開放した状態で単独で収容し、
菌床と容器間の隙間に水あるいは水溶液を満たすことにより菌床側面及び底面からきのこの発生を抑制し、菌床上部からのみきのこの発生を促すことを特徴とするしいたけ菌床栽培方法。
【請求項2】
培養中又は培養完了後の工程において、栽培容器を取り除いた露出状態の菌床を、別の容器内に上面のみを解放した状態で単独で収容し、菌床と容器間の隙間に水あるいは水溶液を満たすことにより菌床側面及び底面からきのこの発生を抑制し、菌床上部からのみきのこの発生を促すことを特徴とするしいたけ菌床栽培方法に用いる装置であって、
容器に収容菌床を固定するための収容菌床を固定するための弾力性を備えた突起状の支持体(2)を有する栽培容器本体(1)であることを特徴とするしいたけ菌床栽培容器。
【請求項3】
栽培容器本体(1)に、菌床と容器底部との間に水を満たすことが可能なように隙間を設けるための突起状の菌床設置台(3)を備えた請求項2記載のしいたけ菌床栽培容器。
【請求項4】
栽培容器本体(1)に、栽培容器内に水を出し入れするため、栽培容器側面底部片側もしくは両側に排水口あるいは給排水連結口(4)を備えた請求項2ないし3記載のしいたけ菌床栽培容器。
【請求項5】
栽培容器本体(1)を、栽培容器本体の側面を構成するパネルをスライド式等の二重構造として高さの調節が可能な状態にした請求項2ないし4記載のしいたけ菌床栽培容器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、しいたけ菌床の培養中又は培養完了後の栽培方法と、その方法実施に使用する栽培容器を特徴とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
栽培袋の一部を切断して菌床の上面のみを露出させ、給水により菌床と栽培袋の間に水を溜め、菌床の上面からのみきのこを発生させる技術として、特許文献1(以下先行技術1という)が提案されている。この技術が開発されるまでは、培養が完了した菌床を栽培袋から取り出し、露出状態で栽培棚に並べて菌床全面からきのこを発生させる方法(通常栽培方法)が用いられていたが、栽培途中で菌床が乾燥し、きのこの品質低下、発生量の減少など、不具合が生じやすかった。該先行技術1によって、これら通常栽培方法での問題は解決されたが、培養で使用した栽培袋を長期間に渡って発生工程中も継続して使用するため、袋に亀裂が生じて先行技術1の目的を達成できないことがある。また、該先行技術1では、給水により菌床を入れている袋上部が広がりすぎてしまい適切な管理ができないため、この部分にバンド状のものを取り付け、袋上部を固定するなどの手間がかかる。さらに栽培後期になると菌床上面や袋と菌床間の水没していない部分にキノコバエ、ダニなどの害虫が発生しやすく、食害を引き起こす等の問題が発生する。

【0003】
これらの問題点を解決するために、特許文献2(以下先行技術2という)において、菌床を多数収容できる発生水槽を利用した栽培方法を考案している。しかしながら、設備が大掛かりとなり、栽培コストがかかるため容易に利用することができない。
【特許文献1】特許第3087171号
【特許文献2】特開第2000-316379号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、先行技術1及び2のかかる難点を解消するためになされたもので、培養中又は培養が完了した菌床を、一旦、栽培袋から取り出し、専用の栽培容器に移し替えて管理を行っていく技術を提供するものであり、その方法に直接使用するための栽培容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1記載のしいたけ菌床栽培方法は、培養中又は培養完了後の工程において、栽培容器を取り除いた露出状態の菌床を、別の容器に上面のみを開放した状態で単独で収容し、菌床と容器間の隙間に水あるいは水溶液を満たすことにより菌床側面及び底面からきのこの発生を抑制し、菌床上部からのみきのこの発生を促すことを特徴とする。
【0006】
請求項2記載のしいたけ菌床栽培容器は、培養中又は培養完了後の工程において、栽培容器を取り除いた露出状態の菌床を、別の容器内に上面のみを解放した状態で単独で収容し、菌床と容器間の隙間に水あるいは水溶液を満たすことにより菌床側面及び底面からきのこの発生を抑制し、菌床上部からのみきのこの発生を促すことを特徴とするしいたけ菌床栽培方法に用いる装置であって、容器に収容菌床を固定するための収容菌床を固定するための弾力性を備えた突起状の支持体(2)を有する栽培容器本体(1)であることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載のしいたけ菌床栽培容器は、栽培容器本体(1)に菌床と容器底部との間に水を満たすことが可能なように隙間を設けるための突起状の菌床設置台(3)を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項4記載のしいたけ菌床栽培容器は、栽培容器本体(1)に栽培容器内に水を出し入れするため栽培容器側面底部片側もしくは両側に排水口あるいは給排水連結口(4)を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項5記載のしいたけ菌床栽培容器は、栽培容器本体(1)を栽培容器本体の側面を構成するパネルをスライド式等の二重構造として高さの調節が可能な状態にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、しいたけ菌床栽培容器および該容器を用いた栽培方法は、培養中又は培養完了後の工程において、専用栽培容器に入れ替えて栽培を継続する方法であるので、袋の亀裂などによる給水不完全菌床がない。安定的に水分管理ができるので、収量が増加する。また、容易に全面浸水(菌床水没)が行えるので、害虫の窒息駆除効果があり、害虫の発生数が少ない。きのこへの害虫付着による品質低下を防ぐことができるので、実栽培での収益性が上がる。
又、支持体により菌床が水で浮き上がることがなく、且つ、個々の容器に収納されているので、大きな設備が不要で袋が避ける等の事故もない。
請求項3記載のしいたけ菌床栽培容器は、隙間を設けて菌床と容器底部とが密着して菌床底部に水の浸入が困難になるのを回避する。
請求項4記載のしいたけ菌床栽培容器は、給排水連結口(4)を用いて、複数の栽培容器本体を接続して一元管理することが可能となる。
て給排水を自動化できる。
請求項5記載のしいたけ菌床栽培容器は、パネルをスライドさせることで容器の高さを変化させ、必要に応じて一定時間、菌床上面部分を水もしくは水溶液に埋没させて菌床全体を浸水することができる。又、栽培容器側面の高さを調節することで、菌床の上面のみならず、側面上部の露出部分からのきのこの発生も可能とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明の実施の形態を、図1、図2、図3、図4、図5、図6および表1、表2に基づいて説明する。
図1および図2は本発明の1実施例を示す栽培容器の実施形態の斜視図および平面図を示す。縦14cm×横22cm×高さ7〜20cm内寸のアクリル製の容器本体で、上部四隅に弾力性のあるプラスチック製の菌床固定用支持体(2)が斜め45度の角度で取り付けられ、さらに底部には高さ1cmの菌床設置台(3)が6cmの間隔で2本取り付けられて構成される。上記中、本体、菌床固定用支持体、菌床設置台の材質はそれぞれ目的を達成することが可能なものであれば、記載の材質にとらわれない。また、菌床固定用支持体は、四隅以外の部分に設置して目的を達成することも可能である。
該角度付き菌床固定用支持体(2)は、栽培容器本体(1)に挿入する菌床が吸水により、浮上しないように抑制する機能を有している。
【0012】
図3は給排水連結口付き栽培容器の実施形態の斜視図を示し、図5は個々の栽培容器本体を連結した栽培状況の斜視図を示す。図3は、図1によって示された栽培容器の底部側面片側あるいは両側に給排水連結口(4)を取り付けた構成を形成している。外形13mmのパイプを取り付け、ここにホースを連結して栽培容器本体内に水あるいは水溶液を給排水する。また、栽培容器本体側面の両側に給排水口を取り付けることにより、図5に示すように個々の栽培容器本体を連結することが可能となる。
給排水連結口(4)を取り付けた構成は、栽培容器本体(1)を個別に給排水することなく、一度に全栽培容器に給排水が可能であり、その結果、均一な品質を保持した菌床を形成することを可能とする。
【実施例1】
【0013】
上記栽培容器(高さ20cm)を使用して、きのこを発生させる方法を図4および図5に基づいて説明する。栽培容器および栽培方法に勘案し、該栽培条件で先行技術1と比較した。菌床当たりの発生数量と害虫捕捉数の結果を表1に示す。
【0014】
【表1】


【0015】
表1は、種菌として北研600号を使用した。常法によって殺菌、冷却、接種し、20℃±1℃で100日間、さらに25℃で101日目から105日目まで培養した角形菌床(重量2700g、横20cm×縦12cm×高さ17cm)を袋から取り出して露出状態とし、上記構成栽培容器に1個配置し、菌床固定用支持体(2)で固定した。散水もしくは給排水連結口(4)より水を給水し、菌床と栽培容器本体との隙間に満たした。通常は、菌床上面が水に埋没しない程度に給水するが、必要に応じて菌床上面が水没するように調節した。栽培容器に菌床を配置した後は、毎日散水を行い、培養完了後の温度管理は、朝晩は13℃、日中は20℃に室温を調節した。きのこは菌床上面からのみ発生させた。試験空間での害虫捕捉数の検討は、市販の粘着シート(棚かけ虫捕り粘着シート)を用いて行った。
その結果、本発明方法に準じた方が、しいたけ発生個数、発生重量が共に多く、しいたけ1個当たりの重量が対照例で24g、本発明で26gと1.1倍となった。また、害虫捕捉数においては本発明の方が大幅に少なく、品質向上に寄与した。
【実施例2】
【0016】
次に、上記栽培容器(高さ7cm)を使用してきのこを発生させる方法を図6に基づいて説明する。栽培容器および栽培方法に勘案し、該栽培条件で先行技術1と比較した。菌床当たりの発生数量と害虫捕捉数の結果を表2に示す。
【0017】
【表2】


【0018】
表2は、上記の表1同様、種菌として北研600号を使用した。常法によって殺菌、冷却、接種し、20℃±1℃で100日間、さらに25℃で101日目から105日目まで培養した角形菌床(重量2700g、横20cm×縦12cm×高さ17cm)を袋から取り出して露出状態とし、上記構成栽培容器に1個配置し、菌床固定用支持体(2)で菌床の側面を固定した。散水もしくは給排水連結口(4)より水を給水し、菌床と栽培容器本体との隙間に満たした。栽培容器に菌床を配置した後は、毎日散水を1〜3階程度行い、培養完了後の温度管理は、朝晩は13℃、日中は20℃に室温を調節した。きのこは菌床上面及び側面から発生させた。
その結果、本発明方法に準じた方が、しいたけ発生個数、発生重量が共に多くなった。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、培養中又は培養完了後の工程において、袋の亀裂などによる給水不完全菌床がなく、安定的に水分管理ができ、また、害虫の窒息駆除効果があり、きのこへの害虫付着による品質低下を防ぎ、実栽培での収益性に利用できるしいたけ菌床の栽培方法および容器に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の1実施例を示す栽培容器の実施形態の斜視図
【図2】本発明に係る上面栽培での実施形態の平面図
【図3】給排水連結口付き栽培容器の実施形態の斜視図
【図4】本発明に係る上面栽培での実施形態の斜視図
【図5】個々の栽培容器本体を連結した栽培状況の斜視図
【図6】本発明に係る上面栽培での実施形態の斜視図
【符号の説明】
【0021】
1 栽培容器本体
2 菌床固定用支持体
3 菌床設置台
4 給排水連結口
5 しいたけ
【出願人】 【識別番号】000242024
【氏名又は名称】株式会社北研
【住所又は居所】栃木県下都賀郡壬生町駅東町7番3号
【出願日】 平成16年1月26日(2004.1.26)
【代理人】 【識別番号】100095739
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 俊夫

【公開番号】 特開2005−204604(P2005−204604A)
【公開日】 平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願番号】 特願2004−16533(P2004−16533)