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【発明の名称】 しいたけ菌床栽培方法
【発明者】 【氏名】吉田 日出夫

【氏名】竹内 雅和

【氏名】川上 弘明

【氏名】鮎澤 澄夫

【氏名】枝 克昌

【氏名】藤田 寿

【氏名】小林 健

【要約】 【課題】しいたけ菌の培養が完了した菌床を、一旦、栽培袋から取り出して露出状態で栽培を行う通常栽培、あるいは側面と底面の栽培袋を残して栽培を行う上面栽培のいずれにおいても利用可能な方法であり、発生と発生の合間に菌床の特定部位へ水分を供給し、その部位からきのこを発生させる技術を提供する。

【解決手段】本発明本発明のしいたけ菌床の栽培方法は、培養完了後のきのこ発生工程において、発生と発生の合間に菌床へ水分を供給する方法で、菌床を収容することができる大きさの容器に、菌床を個別に一個づつあるいは平面一列に複数個収容し、容器に水を溜めて数時間から数日間、菌床の特定部分だけを浸漬し、しかる後に該菌床を栽培容器から取り出して浸漬部位からきのこの発生を行わせることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養完了後のきのこ発生工程において、発生と発生の合間に菌床へ水分を供給する方法で、菌床を収容することができる大きさの容器に、菌床を個別に一個づつあるいは平面一列に複数個収容し、容器に水を溜めて数時間から数日間、菌床の特定部分だけを浸漬し、しかる後に該菌床を浸漬容器から取り出して浸漬部位からきのこの発生を行わせることを特徴とするしいたけ菌床の栽培方法。
【請求項2】
菌床を栽培容器から取り出した後、露出状態としてきのこの発生を促し、次いで菌床を水に浸漬する部分を変えることにより、きのこを発生させる部位を変化させることを特徴とする請求項1記載のしいたけ菌床の栽培方法。
【請求項3】
菌床の上面からのみ発生を行わせる上面栽培で、上部露出部分からきのこの発生が終了した後に、再び水に浸漬することにより、当該部分からきのこの発生を行わせることを特徴とする請求項1記載のしいたけ菌床の栽培方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、しいたけ菌床の培養完了後の発生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のしいたけ菌床栽培方法、即ち、培養が完了した菌床を栽培容器から取り出し、露出状態で管理する栽培方法では、きのこを継続的に発生させるために適時水分の供給が必要である。更に水分供給方法として、散水によって菌床表面に付着した水を内部に滲み込ませる方法や水を溜めた大型の水槽に菌床を沈めて水を内部に滲みこませる方法により、菌床内部へ水分供給を行っている。しかし、いずれの方法も、菌床全面に水分を供給する方法であり、その後のきのこの発生部位を特定することはできず、菌床全面から発生してしまう。この菌床全面からの発生は、収集作業の分散化が困難となる。
また、菌床の過乾燥を防ぐため、きのこ発生中でも必要に応じて散水して水分を補給する必要があり、きのこの品質が低下するなどの問題がある。

【0003】
一方、菌床上面に特定してきのこを発生させる方法については、特許文献1(以下、先行技術1という)にしいたけ菌床の培養方法が提供されている。これは、「しいたけ菌床栽培の培養完了後の発生工程において、栽培容器の上部を取除いて菌床上面のみを露出させ、その他の部分は菌床側面及び底面部分との間に若干の隙間を保持させて栽培容器として残し、その隙間に給水することで菌床側面及び底面からのきのこの発生を抑制し、菌床上面からのみ発生させることを特徴とするしいたけ菌床の発生方法」を旨としている。
しかしこの方式に従って上面からきのこを継続的に発生させるためには、散水により菌床上面へに水分供給が不可欠である。このような管理を継続した場合に、栽培袋と菌床の間や菌床上面部分にキノコバエやダニといった害虫が産卵、孵化し、菌床やきのこの食害を引き起こす等の問題が発生する。
【特許文献1】特許第3087171号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、先行技術1のかかる難点を解消するためになされたもので、培養が完了した菌床を、一旦、栽培袋から取り出して露出状態で栽培を行う通常栽培、あるいは側面と底面の栽培袋を残して栽培を行う上面栽培のいずれにおいても利用可能な方法であり、発生と発生の合間に菌床の特定部位へ水分を供給し、その部位からきのこを発生させる技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1記載のしいたけ菌床の栽培方法は、培養完了後のきのこ発生工程において、発生と発生の合間に菌床へ水分を供給する方法で、菌床を収容することができる大きさの容器に、菌床を個別に一個づつあるいは平面一列に複数個収容し、容器に水を溜めて数時間から数日間、菌床の特定部分だけを浸漬し、しかる後に該菌床を浸漬容器から取り出して浸漬部位からきのこの発生を行わせることを特徴とする。平面一列とは、菌床が縦に重ならないよう平面的に一列に収容することをいう。
【0006】
請求項2記載のしいたけ菌床の栽培方法は、菌床を栽培容器から取り出した後、露出状態で管理する栽培方法で、菌床を水に浸漬する部分を変えることにより、きのこを発生させる部位を変化させることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載のしいたけ菌床の栽培方法は、菌床の上面からのみ発生を行わせる上面栽培で、上部露出部分からきのこの発生が終了した後に、再び水に浸漬することにより、当該部分からきのこの発生を行わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、培養完了後のきのこ菌床の栽培方法において、菌床の特定部分が水に浸漬されるので、菌床を過乾燥状態にすることなく、連続的に商品品質の良いきのこを得ることができ、収量が増加することができる。また、きのこの芽揃いが良く、収益性が向上する。更に、菌床上面に付着した害虫を浸漬処理によって取り除くことができ、栽培施設内の害虫数を減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この発明の実施の形態を、図1、図2および表1、表2に基づいて説明する。
図1は本発明の1実施例を示す通常栽培(露出栽培)での実施形態の縦断面図を示す。165mm×横235mm×高さ60mm外寸のPET(ポリエチレンテレフタレート)製の市販フルーツトレイ(1)に初回発生が終了した菌床の一部を入れて、トレイ一杯に水(2)を給水する。適時、水を補給しながら一定期間静置する。水を浸漬させた菌床の底部(4)を反転してその部分からきのこを発生させるとともに、菌床上部(3)を上記の方法で水に浸漬する。反転して露出した菌床底部(4)からのきのこ発生が終了したら、再び同様の操作を繰り返すことにより、菌床上部(3)および菌床底部(4)から交互にきのこを発生させる。きのこの発生部位は菌床の上面及び底面だけに限らず、水に浸漬していた菌床側面の当該場所(5)からも発生する。
【0010】
上記図1の説明にある培養完了後のきのこ発生工程において、通常栽培(露出培)では栽培袋を取り除いた露出状態の菌床を通常の管理方法によってきのこを発生させた後、菌床の半分程度の部分を水に浸漬できるように適当な容器に収容して一定時間浸漬する。その後、浸漬した部分を反転して空気中に露出させるとともに、残りの部分は再び水に浸漬し、露出させたところからきのこを発生させるとともに、次の発生の準備を平行して行うことが可能な方法である。
この方法は、きのこを発生させた後、再び同一部位を水に浸漬することにより、発生部位を変えずに栽培することも可能な方法であることが分かった。また、きのこの収穫後、その部分を浸漬するまでの時間をずらすことも可能であることも分かった。いずれの方法もしいたけ菌床が栽培でき、新たなしいたけを生産することができた。
【0011】
更に、上記の発明において使用する容器は、フルーツトレイのような安価で簡易なものが利用できる。また、浸漬しながらきのこの発生を期待する場合には、容器の外寸高さが10cm程度までのものが望ましい。菌床を個別に一個づつ収容できる大きさの容器を使用することにより、菌床を設置している棚のところから他の場所に移動せずに操作が可能である。
【0012】
図2は本発明に係る上面栽培での実施形態の縦断面図を示す。165mm×横235mm×高さ60mm外寸のPET(ポリエチレンテレフタレート)製の市販フルーツトレイ(1)に初回発生が終了した菌床の上部(3)を下向きに入れて、水(2)を20mm〜60mm給水する。適時、水を給水しながら一定時間静置する。その後、トレイから取り出し、菌床の向きを元に戻して先行技術1に準じた方法で栽培を行い、菌床上面部分からきのこを発生させる。同様の操作を繰り返して発生を継続させる。
【0013】
上記図2の説明にある培養完了後のきのこ発生工程において、本発明は、先行技術である上面栽培においても利用可能で、菌床上面部分からきのこの発生が終了した菌床を適当な容器に収容して、菌床上面部分を一定時間浸漬し、その後、容器から取り出して反転し、再び菌床上面部分からの発生を行う方法である。
使用する容器はフルーツトレイのような安価で簡易なものが利用できる。また、菌床を個別に一個づつ収容できる大きさの容器を使用することにより、菌床を設置している棚のところから他の場所に移動せずに操作が可能である。
【実施例1】
【0014】
以上の栽培方法に勘案し、しいたけ菌床の通常栽培(露出栽培)において、該栽培条件で先行技術1と比較した。菌床当たりの発生数量と害虫捕捉数の結果を表1に示す。
【0015】
【表1】


【0016】
表1は、種菌として北研600号を使用した。常法によって殺菌、冷却、接種し、20℃±1℃で100日間、更に25℃で101日目から105日目まで培養した角形菌床(重量2700g、横20cm×縦12cm×高さ17cm)を袋から取り出して露出状態とし、通常栽培方法にて菌床全面より初回発生きのこを収穫した。その後、2群にわけて菌床を管理し、1群は対照例として通常栽培方法に準じて、浸水による水分供給管理を行った。もう1群は、本発明方法に準じて、165mm×横235mm×高さ60mm外寸のPET(ポリエチレンテレフタレート)製の市販フルーツトレイに1個ずつ配置して給水し、3日間静置した。その後、菌床を反転して水を浸漬した部分を上にし、きのこを発生させた。同時に、反対部分を上記の容器に入れて給水管理を行った。以後、きのこの発生部分と水への浸漬部分を交互に反転し、栽培を行った。発生管理中の栽培施設の温度管理は、朝晩は13℃、日中は20℃に調節した。試験空間での害虫補捉数の検討は、市販の粘着シート(棚かけ虫捕り粘着シート:商標名)を用いて行った。
その結果、本発明方法に準じた方が、しいたけ発生個数は少なかったが、発生重量が多く、しいたけ1個当たりの重量が対照例で14g、本発明で20gと1.4倍となった。また、害虫捕捉数においては本発明の方が大幅に少なく、品質向上に寄与した。
【実施例2】
【0017】
次に、しいたけ菌床の先行技術1における上面栽培を利用して、栽培条件で比較した。菌床当たりの発生数量と害虫捕捉数の結果を表2に示す。
【0018】
【表2】


【0019】
表2は、上記の表1同様、種菌として北研600号を使用した。常法によって殺菌、冷却、接種し、20℃±1℃で100日間、さらに25℃で101日目から105日目まで培養した角形菌床(重量2700g、横20cm×縦12cm×高さ17cm)を袋から取り出して露出状態とし、先行技術1による、上面栽培方法にて菌床上面より初回発生のきのこを収穫した。その後、2群にわけて菌床を管理し、1群は対照例として先行技術1に準じて、散水による水分供給管理を行った。もう1群は、本発明方法に準じて、165mm×横235mm×高さ60mm外寸のPET(ポリエチレンテレフタレート)製の市販フルーツトレイに菌床上面部分を下にして1個ずつ配置し、給水して3日間静置した。その後、菌床を反転して水を浸漬した部分を上にし、きのこを発生させた。以後、実施例では、同様の操作を繰り返してきのこの発生を得た。発生管理中の栽培施設の温度管理は、朝晩は13℃、日中は20℃に調節した。試験空間での害虫補捉数の検討は、市販の粘着シート(棚かけ虫捕り粘着シート)を用いて行った。
その結果、本発明方法に準じた方が、しいたけ発生個数、発生重量が共に多くなった。また、害虫捕捉数においては本発明の方が大幅に少なく、品質向上に寄与した。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、培養完了後のきのこ発生工程において、発生と発生の合間に菌床へ水分を供給することにより、通常栽培、上面栽培のいずれの方法であっても、きのこの発生重量が多く、また、害虫捕捉数においては本発明の方が大幅に少なく、収益性、品質向上に利用できるしいたけ菌床の栽培方法である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の1実施例を示す通常栽培(露出栽培)での実施形態の縦断面図
【図2】本発明に係る上面栽培での実施形態の縦断面図
【符号の説明】
【0022】
1 フルーツトレイ(栽培容器)
2 水
3 菌床上部
4 菌床底部
5 菌床側面
6 菌床
7 栽培袋
8 しいたけ
【出願人】 【識別番号】000242024
【氏名又は名称】株式会社北研
【出願日】 平成16年1月26日(2004.1.26)
【代理人】 【識別番号】100095739
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 俊夫

【公開番号】 特開2005−204603(P2005−204603A)
【公開日】 平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願番号】 特願2004−16532(P2004−16532)