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【発明の名称】 植栽部の底部構造
【発明者】 【氏名】野田 信也
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿2丁目3番1号 旭化成ホームズ株式会社内

【要約】 【課題】植栽部の軽量化と設計自由度を図ることが出来、余剰水を排水設備に導くことが出来、保水層の水位を均一に出来、リプレイスし易く、天候に左右されることなく低コストで水分量を常に最適量に維持出来、樹木の固定が容易に出来、出来る限り雨水を利用したシステムとして植栽部を構築出来る仕切部材及びこれを用いた植栽部の底部構造を提供する。

【解決手段】仕切片2aと、該仕切片2aに接続され該仕切片2aを起立した状態で支持する支持片2bとを有する断面L字形状の長尺状鋼板2の支持片2bの底部に該支持片2bの短手方向の底部縁から所定の幅で延長された帯状防水シート3を接着した仕切部材1を複数連続させて植栽部の周縁部を囲み、更にその内部に所定の間隔で断面L字形状の中仕切部材7を設置して複数のセルに区画し、床面の床仕上材5の上面に保護防水シート9を水密的に接着して構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植栽部の周縁部を仕切る仕切部材であって、
土圧に耐え且つ防水性を有し且つ湾曲、或いは折曲可能な仕切片と、該仕切片に接続され該仕切片を起立した状態で支持し得る支持片とを有する長尺状鋼板と、
前記支持片の底部に水密的に接着され、且つ該支持片の短手方向の底部縁から所定の幅で延長された帯状防水シートと、
を有することを特徴とする仕切部材。
【請求項2】
植栽部の周縁部を仕切る仕切部材またはその仕切部材を複数連続させて囲んだ周縁部内部を仕切る仕切部材であって、
前記仕切部材に貫通穴が設けられ、その貫通穴は該仕切部材により囲まれた内部の余剰水を排出すると共に、その内部に植栽される植栽物を拘束する係止部材を固定する固定部とされることを特徴とする仕切部材。
【請求項3】
土圧に耐え且つ防水性を有し且つ湾曲、或いは折曲可能な仕切片と、該仕切片に接続され該仕切片を起立した状態で支持し得る支持片とを有する長尺状鋼板と、
前記支持片の底部に水密的に接着され、且つ該支持片の短手方向の底部縁から所定の幅で延長された帯状防水シートと、
を有する長尺状の仕切部材を複数連続させて周縁部を囲んだことを特徴とする植栽部の底部構造。
【請求項4】
前記長尺状の仕切部材を複数連続させて囲んだ周縁部内部で且つ該長尺状の仕切部材が載置される植栽部が設けられる床面の床仕上材の上面に保護防水シートが敷設され、前記支持片の短手方向の底部縁から延長された帯状防水シートまたは前記支持片にオーバーラップして前記保護防水シートが前記床仕上材に水密的に重ねられたことを特徴とする請求項3に記載の植栽部の底部構造。
【請求項5】
前記仕切片に、前記長尺状の仕切部材を複数連続させて囲んだ周縁部内部の余剰水を排出する開口を設けたことを特徴とする請求項3に記載の植栽部の底部構造。
【請求項6】
前記長尺状の仕切部材を複数連続させて囲んだ周縁部外部に排水設備を設置し、前記仕切片に設けた開口から前記周縁部内部の余剰水を前記排水設備に排水することを特徴とする請求項4に記載の植栽部の底部構造。
【請求項7】
前記仕切片に設けた開口の前記周縁部内部側にフィルターを取り付けたことを特徴とする請求項6に記載の植栽部の底部構造。
【請求項8】
前記長尺状の仕切部材を複数連続させて囲んだ周縁部内部に、植栽部が設けられる床面の勾配に対応した所定の間隔で中仕切部材を設置し、該中仕切部材に、前記長尺状の仕切部材と前記中仕切部材とにより区画された各セル内部の余剰水を排出する開口を設けたことを特徴とする請求項3に記載の植栽部の底部構造。
【請求項9】
前記長尺状の仕切部材の仕切片または前記中仕切部材に設けられた開口は貫通穴で形成され、該貫通穴は内部の余剰水を排出すると共に植栽部に植栽された植栽物を拘束する係止部材を固定する固定部とされることを特徴とする請求項8に記載の植栽部の底部構造。
【請求項10】
前記長尺状の仕切部材を複数連続させて囲んだ周縁部内部、或いは前記長尺状の仕切部材と前記中仕切部材とにより区画された各セル内部には、
土をふるいにかけ水を保持する保水層と、
前記保水層の上部に敷設された土壌層と、
前記土壌層に配置された立体構造体と、
前記立体構造体を覆うと共に一部が前記保水層の水面以下に到達して配置された汲水シートと、
を有することを特徴とする請求項3または請求項8に記載の植栽部の底部構造。
【請求項11】
前記長尺状の仕切部材を複数連続させて囲んだ周縁部内部、或いは前記長尺状の仕切部材と前記中仕切部材とにより区画された各セル内部には、
前記保水層の水位または前記土壌層の水分含有量を検出する保水量検出手段と、
前記保水量検出手段により検出された保水量に応じて前記長尺状の仕切部材を複数連続させて囲んだ周縁部内部、或いは前記長尺状の仕切部材と前記中仕切部材とにより区画された各セル内部に給水する給水手段と、
を設けたことを特徴とする請求項10に記載の植栽部の底部構造。
【請求項12】
前記長尺状の仕切部材の仕切片または前記中仕切部材に、盛土の限界高さを示す目盛りを設けるか、若しくは前記長尺状の仕切部材の仕切片または前記中仕切部材の高さを盛土の限界高さに設定したことを特徴とする請求項3または請求項8に記載の植栽部の底部構造。
【請求項13】
前記保護防水シートと前記床仕上材との間で且つ植栽部が設けられる床面の勾配方向に導水路を形成し、前記長尺状の仕切部材を複数連続させて囲んだ周縁部外部で床面の勾配方向上流側に溜まった雨水を前記導水路を経由して排水することを特徴とする請求項4に記載の植栽部の底部構造。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、建物のベランダ、屋上、屋根、壁面等を緑地化する植栽部の底部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
都会におけるヒートアイランド現象に対応するために建物のベランダ、屋上、屋根、壁面等を緑地化する所謂建物緑化が進められつつある。植物はその蒸散作用による大気の冷却効果によりヒートアイランド現象抑制効果が期待されており、更に公害物質の吸着等、空気浄化作用も有する。また、植物が植栽される土壌等により雨水の貯水効果が期待でき、下水本管への急激な雨水流入を防止することが出来るため都市洪水の抑制にも大きく貢献でき、更には都市景観、街並景観、ランドスケープ(造園・園芸技術を含む景観デザイン)向上にも大きな寄与をもたらす。また植物により野鳥、昆虫類の誘致が実現でき、都会の生態圏の復活にも大きな効果が期待されている。都市部における屋根といえども、全てが高層ビルのものではなく、全ての屋根の面積に占める戸建て住宅の屋根の面積は圧倒的に多い。従って、これ等の戸建て住宅の建物緑化を実現することは、ヒートアイランド現象の緩和に大きく寄与することになる。
【0003】
一方、構築物の折曲部分に敷設される防水シート相互の接続部を防水するための復合シート鋼板が特許2798213号公報(特許文献1)、特許2733509号公報(特許文献2)により開示されている。
【0004】
【特許文献1】特許2798213号公報
【特許文献2】特許2733509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、戸建て住宅の緑化を図る場合、多くの解決すべき問題がある。その中の一つとして土壌の湿潤状態の維持という問題がある。即ち、例えば建物に形成される屋上緑地では、建物の許容積載荷重の面から無制限な厚さの土壌層を形成することは出来ず、土壌層の厚さを薄くせざるを得ない。
【0006】
このため、土壌が乾燥し易く、水分不足が植物の生育に悪影響を与えるという問題がある。日照や降雨の影響を大きく受けるので管理が大変で植栽が枯れたり、根腐れが発生し易く、散水管理が大変であった。
【0007】
従来の建物緑化ではプランターやパレットのように固定サイズの基盤が用いられるのが一般であり、結果的に微妙な寸法設計や曲面のデザイン設計が実現しにくかった。特に高さ方向の起伏や平面的な曲線に対応する自由度が実現出来ないという問題があった。また、下層部に保水空間が設けられているが土壌、微生物、肥料、農薬等を含んだ水にベランダや屋上に敷設された床面の床仕上材が常時直接晒されているため床仕上材の劣化が促進される。
【0008】
また、潅水したり雨が降ったりした場合に土壌や養分、微生物、肥料等を含んだ水が緑化以外の部分へ流出し、ベランダや屋上に敷設された床面の床仕上材を汚したり劣化させるため建物に対して良好な環境とはいえなかった。
【0009】
余剰水の垂れ流しにより苔が発生し、それが乾燥し、更に余剰水の垂れ流しというサイクルを繰り返すことにより土壌並びに悪影響成分が堆積し、緑化部分以外の床仕上材にも苔が発生する等の悪影響を与える。また美観上の問題が発生し清掃にも手間がかかる。
【0010】
従来のパレット式基盤形成では基盤自体が結果的に重量があり、大きな土壌厚が確保出来ず、大きな保水量を確保出来なかった。また、従来の建物緑化は現場で作りこまなければならない作業が多いため作業工数がかかっていた。また、緑化部分の床仕上材のリプレイスの際に土壌や植栽の撤去や再施工を要する等費用が膨大になるという問題があった。
【0011】
また、屋上の水勾配により植栽部の保水層の水位が偏るという問題があり、浅い土壌層では反力がとりにくいため強風により樹木が倒れ易く、建物躯体から樹木を支えるアンカーを立設するのは戸建住宅のレベルでは大変であった。また、植栽部周囲に雨水や散水などが溜まって排水されず、美観を損なうという問題があった。
【0012】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、植栽部の底部の軽量化と設計自由度を図ることが出来、植栽部が設けられる床面の床仕上材を土壌や養分、微生物、肥料等を含んだ水から保護すると共に余剰水を排水設備に導くことが出来、床勾配にかかわらず保水層の水位を均一に出来、リプレイスし易く、天候に左右されることなく低コストで水分量を常に最適量に維持出来、植栽部周囲の水溜りを解消し、樹木の固定が容易に出来る仕切部材及びこれを用いた植栽部の底部構造を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するための本発明に係る仕切部材の第1の構成は、植栽部の周縁部を仕切る仕切部材であって、土圧に耐え且つ防水性を有し且つ湾曲、或いは折曲可能な仕切片と、該仕切片に接続され該仕切片を起立した状態で支持し得る支持片とを有する長尺状鋼板と、前記支持片の底部に水密的に接着され、且つ該支持片の短手方向の底部縁から所定の幅で延長された帯状防水シートとを有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る仕切部材の第2の構成は、植栽部の周縁部を仕切る仕切部材またはその仕切部材を複数連続させて囲んだ周縁部内部を仕切る仕切部材であって、前記仕切部材に貫通穴が設けられ、その貫通穴は該仕切部材により囲まれた内部の余剰水を排出すると共に、その内部に植栽される植栽物を拘束する係止部材を固定する固定部とされることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る植栽部の底部構造の第1の構成は、土圧に耐え且つ防水性を有し且つ湾曲、或いは折曲可能な仕切片と、該仕切片に接続され該仕切片を起立した状態で支持し得る支持片とを有する長尺状鋼板と、前記支持片の底部に水密的に接着され且つ該支持片の短手方向の底部縁から所定の幅で延長された帯状防水シートとを有する長尺状の仕切部材を複数連続させて周縁部を囲んだことを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る植栽部の底部構造の第2の構成は、前記長尺状の仕切部材を複数連続させて囲んだ周縁部内部で且つ該長尺状の仕切部材が載置される植栽部が設けられる床面の床仕上材の上面に保護防水シートが敷設され、前記支持片の短手方向の底部縁から延長された帯状防水シートまたは前記支持片にオーバーラップして前記保護防水シートが前記床仕上材に水密的に重ねられたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る植栽部の底部構造の第3の構成は、前記仕切片に、前記長尺状の仕切部材を複数連続させて囲んだ周縁部内部の余剰水を排出する開口を設けたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る植栽部の底部構造の第4の構成は、前記長尺状の仕切部材を複数連続させて囲んだ周縁部外部に排水設備を設置し、前記仕切片に設けた開口から前記周縁部内部の余剰水を前記排水設備に排水することを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る植栽部の底部構造の第5の構成は、前記仕切片に設けた開口の前記周縁部内部側にフィルターを取り付けたことを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る植栽部の底部構造の第6の構成は、前記長尺状の仕切部材を複数連続させて囲んだ周縁部内部に、植栽部が設けられる床面の勾配に対応した所定の間隔で中仕切部材を設置し、該中仕切部材に、前記長尺状の仕切部材と前記中仕切部材とにより区画された各セル内部の余剰水を排出する開口を設けたことを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る植栽部の底部構造の第7の構成は、前記長尺状の仕切部材の仕切片または前記中仕切部材に設けられた開口は貫通穴で形成され、該貫通穴は内部の余剰水を排出すると共に植栽部に植栽された植栽物を拘束する係止部材を固定する固定部とされることを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る植栽部の底部構造の第8の構成は、前記長尺状の仕切部材を複数連続させて囲んだ周縁部内部、或いは前記長尺状の仕切部材と前記中仕切部材とにより区画された各セル内部には、土をふるいにかけ水を保持する保水層と、前記保水層の上部に敷設された土壌層と、前記土壌層に配置された立体構造体と、前記立体構造体を覆うと共に一部が前記保水層の水面以下に到達して配置された汲水シートとを有することを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係る植栽部の底部構造の第9の構成は、前記長尺状の仕切部材を複数連続させて囲んだ周縁部内部、或いは前記長尺状の仕切部材と前記中仕切部材とにより区画された各セル内部には、前記保水層の水位または前記土壌層の水分含有量を検出する保水量検出手段と、前記保水量検出手段により検出された保水量に応じて前記長尺状の仕切部材を複数連続させて囲んだ周縁部内部、或いは前記長尺状の仕切部材と前記中仕切部材とにより区画された各セル内部に給水する給水手段とを設けたことを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係る植栽部の底部構造の第10の構成は、前記長尺状の仕切部材の仕切片または前記中仕切部材に、盛土の限界高さを示す目盛りを設けるか、若しくは前記長尺状の仕切部材の仕切片または前記中仕切部材の高さを盛土の限界高さに設定したことを特徴とする。
【0025】
また、本発明に係る植栽部の底部構造の第11の構成は、前記保護防水シートと前記床仕上材との間で且つ植栽部が設けられる床面の勾配方向に導水路を形成し、前記長尺状の仕切部材を複数連続させて囲んだ周縁部外部で床面の勾配方向上流側に溜まった雨水を前記導水路を経由して排水することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る仕切部材の第1の構成によれば、支持片の一部を切除することで仕切片を容易に湾曲或いは折曲することが出来、曲線に近似することも出来る。従って、ミリ単位で自由に設計することが出来る。また、高さに応じた仕切部材を連結することが出来る。また、簡単な構成であるので植栽部の底部構造を軽量化出来る。また、工場等で予め組み立てて部品化しておくことで歩掛りを減らすことが出来る。
【0027】
また、支持片の短手方向の底部縁から所定の幅で両側に延長された帯状シートは、植栽部側で床面の床仕上材の上面に敷設される保護防水シートとオーバーラップさせて止水性を高めることが出来る。一方、周縁部外側に設置される排水設備の下に敷設して床面の床仕上材を保護することが出来る。
【0028】
また、支持片の短手方向の底部縁から所定の幅で植栽部の外側のみに延長された帯状シートは、植栽部側で床面の床仕上材の上面に載置される支持片とオーバーラップさせて止水性を高めることが出来る。一方、周縁部外側に設置される排水設備の下に敷設して床面の床仕上材を保護することが出来る。
【0029】
また、本発明に係る仕切部材の第2の構成によれば、仕切部材に設けられた貫通穴を利用して該仕切部材により囲まれた内部の余剰水を排出すると共に、その内部に植栽される植栽物を拘束する係止部材を固定することが出来る。
【0030】
また、本発明に係る植栽部の底部構造の第1の構成によれば、簡単な構成であるので植栽部の底部構造を軽量化出来、その分、土壌層または保水層の厚さを厚くすることが出来る。これにより保水性能を向上させ、土壌の乾燥を防止することが出来、植栽の種類を増大することが出来る。また、簡単軽量であるためリプレイスも容易に出来、作業性も向上する。
【0031】
また、支持片の一部を切除することで仕切片を容易に湾曲することが出来、平面的な曲線に対応して自由に配置することが出来る。また、高さ方向の起伏に応じて複数の仕切部材を連結することが出来る。これにより高さ方向の起伏や平面的な曲線に柔軟に対応出来る植栽部の底部構造を実現出来る。
【0032】
また、本発明に係る植栽部の底部構造の第2の構成によれば、支持片の短手方向の底部縁から延長された帯状防水シートまたは前記支持片にオーバーラップして保護防水シートが床仕上材に水密的に重ねられたことで、植栽部が設けられる床面の床仕上材を保護防水シート及び帯状防水シートにより確実に保護することが出来る。
【0033】
これにより、植栽部が設けられる床面の床仕上材が土壌や養分、微生物、肥料等を含んだ水に晒されないため汚れや劣化を防止することが出来る。また、保護防水シートが植栽部が設けられる床面の起伏に対して追従性があるため床面の高さ方向の起伏や平面的な曲線に柔軟に対応出来る植栽部の底部構造を実現出来る。また、保護防水シートにより植栽の根が建物に侵入することを防止することが出来る。
【0034】
また、植栽部の周囲の床面の床仕上材の劣化時の対応として新規の床仕上材にリプレイスする場合には、オーバーラップさせた帯状防水シートのはみ出した部分を接着部を残して切断し、劣化した床仕上材を除去するか若しくは劣化した床仕上材に重ねて新規の床仕上材を敷設し、その新規の床仕上材に帯状防水シートのはみ出した部分をオーバーラップさせて接着することで床仕上材のリプレイスを行うことが出来る。これにより植栽部の撤去、再施工を回避することが出来る。
【0035】
また、本発明に係る植栽部の底部構造の第3の構成によれば、仕切片に設けた開口から長尺状の仕切部材を複数連続させて囲んだ周縁部内部の余剰水を排出することが出来る。これにより、建物の許容荷重に合わせた保水量に調整することが出来る。また、水位の低下により空気が土壌下部から供給され、植物に必要な酸素を取り入れることが出来、また発生するガスを排出することが出来る。また、仕切片の天辺を越えて植栽部の外部に排水されることを防止することが出来、これにより、植栽部外部でも床面の床仕上材に土壌や養分、微生物、肥料等を含んだ水が溢れ出さないため汚れや劣化を防止することが出来る。
【0036】
また、本発明に係る植栽部の底部構造の第4の構成によれば、仕切片に設けた開口から前記周縁部内部の余剰水を排水設備に導くことが出来る。これにより、植栽部外部でも床面の床仕上材に土壌や養分、微生物、肥料等を含んだ水が溢れ出さず、排水設備に導かれて排水されるため汚れや劣化を防止することが出来、美観を維持することが出来る。
【0037】
また、本発明に係る植栽部の底部構造の第5の構成によれば、フィルターにより開口の詰まりを防止することが出来、排水を濾過して土壌の流出を防止することも出来る。
【0038】
また、本発明に係る植栽部の底部構造の第6の構成によれば、植栽部が設けられる床面の勾配にかかわらず長尺状の仕切部材と中仕切部材とにより区画された各セル内部の水位を均一に出来る。また、中仕切部材に設けた開口を介して床面の勾配方向上流側から下流側に向けて各セル内部の余剰水が順次排出されて各セル内部に過不足なく水が行き渡る。また、建物構造耐力の許容範囲で開口高さを適宜設定することで、各セル毎に異なる種類の植栽に好適な水位が適宜設定出来る。
【0039】
また、本発明に係る植栽部の底部構造の第7の構成によれば、長尺状の仕切部材の仕切片または中仕切部材に設けられた貫通穴を利用して該仕切部材や中仕切部材により囲まれた内部の余剰水を排出すると共に、その内部に植栽される植栽物を拘束する係止部材を固定することが出来る。これにより植栽の引き抜き方向の反力は植栽部の底部構造の全重量が作用するため植栽の転倒防止や飛散防止に対する反力が十分に得られる。
【0040】
また、本発明に係る植栽部の底部構造の第8の構成によれば、汲水シートで覆った立体構造体を土壌層に配置すると共に、汲水シートの一部を保水層の水面以下まで到達させたので、汲水シートの一部は常に水に浸されることとなり、毛細管現象によって保水層の水を汲み上げることが出来る。この水は立体構造体の周囲の土壌に供給されて該土壌を湿潤化することが出来る。
【0041】
特に立体構造体を土壌層に複数配置することで、該立体構造体を覆う汲水シートによって汲み上げられた水が隣接する立体構造体を覆う汲水シートによって汲み上げられた水とつながり、隣接する立体構造体の間の湿潤境界面を上昇させ、立体構造体を覆う汲水シートの最も高い位置よりも更に高いレベルで湿潤状態を形成し、土壌の湿潤化を実現することが出来る。
【0042】
このため、保水層の水(特に雨水)を有効に利用することが可能となり、土壌に対する無駄な水道水の散水を減少させて安定した給水を実現出来る。これにより環境配慮に優れた建物緑化システムが実現され、更に土壌を高い位置まで湿潤化することが可能となるため、従来は困難とされていた種からの栽培、根の短い苗の栽培を容易に実現することが出来る。
【0043】
また、本発明に係る植栽部の底部構造の第9の構成によれば、保水層の水位または土壌層の水分含有量を検出する保水量検出手段により検出された保水量に応じて給水手段により長尺状の仕切部材を複数連続させて囲んだ周縁部内部、或いは長尺状の仕切部材と中仕切部材とにより区画された各セル内部に給水することで、土壌の湿潤状態を安定化することが出来、植栽の育成に寄与することが出来る。また、余分な排水をしないので土壌、水に含まれる肥料、養分等の流出を低減することが出来る。また、出来るだけ雨水による保水を行い水位が所定のレベル以下となった場合のみ自動的に給水することが出来るためランニングコストを低減することが出来る。
【0044】
また、本発明に係る植栽部の底部構造の第10の構成によれば、長尺状の仕切部材の仕切片または中仕切部材に設けた目盛りや、長尺状の仕切部材の仕切片または中仕切部材の高さまで盛土を行うことにより荷重の管理が容易に出来る。
【0045】
また、本発明に係る植栽部の底部構造の第11の構成によれば、植栽部よりも床面の勾配方向上流側に溜まった雨水を導水路を経由して容易に排水することが出来、水溜りを解消して美観を維持することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
図により本発明に係る仕切部材及びこれを用いた植栽部の底部構造の一実施形態を具体的に説明する。図1は本発明に係る仕切部材を用いた植栽部の底部構造の構成を示す斜視図、図2は本発明に係る仕切部材を用いた植栽部の底部構造の構成を示す断面説明図、図3は本発明に係る仕切部材の各種の構成を示す斜視図、図4は中仕切部材の各種の構成を示す斜視図、図5は床面の床仕上材、仕切部材の帯状防水シート、保護防水シートがオーバーラップする様子を示す図、図6は仕切部材により区画されたセル内部に設けられる保水層、土壌層、立体構造体、汲水シートの構成を示す断面拡大図、図7は床面の勾配方向上流側に溜まった雨水を排水するための導水路の構成を示す図、図8及び図9は劣化した床仕上材を新規の床仕上材にリプレイスする手順を説明する模式図である。
【0047】
図1〜図4において、1は植栽部(花、芝生、樹木、果樹等の植栽緑地部)の周縁部を仕切る仕切部材であり、断面L字形状の長尺状鋼板2と、該長尺状鋼板2の支持片2bの底部に水密的に接着され、且つ該支持片2bの短手方向の底部縁から所定の幅で延長された帯状防水シート3とを有して構成される。長尺状鋼板2は土圧に耐え、且つ防水性を有し、且つ湾曲、或いは折曲可能な仕切片2aと、該仕切片2aに略直交して接続され、該仕切片2aを起立した状態で支持し得る支持片2bとを有する。
【0048】
長尺状鋼板2の仕切片2aは湾曲、或いは折曲可能とされ、湾曲、或いは折曲する部位の支持片2bを部分的に切削することにより長尺状鋼板2を所望の形状に湾曲、或いは折曲することが出来る。そして、直線状や所望の形状に湾曲、或いは折曲した長尺状鋼板2の支持片2bの形状に応じて、該支持片2bの短手方向の底部縁から両側或いは片側に所定の幅で延長した形状で帯状防水シート3を作成し、該帯状防水シート3を支持片2bの底部に接着剤等により水密的に接着する。
【0049】
例えば、植栽部の直線部では図3(a)に示すような直線状の仕切部材1aを使用し、植栽部の直角コーナー部では図3(b)に示すような直角に折曲した仕切部材1bを使用し、植栽部の湾曲部では図3(c)に示すような仕切部材1cを使用する。
【0050】
そして、植栽部が設けられる建物のベランダ、屋上、屋根の床面に敷設された床防水シート等の床仕上材5上に設計する植栽部の外形に応じて、これ等の仕切部材1a,1b,1cを適宜選択して連続させて植栽部の周縁部を囲む。隣接する各仕切部材1a,1b,1c相互の接合は各境界部に接合用防水シート10を跨って接着剤または熱溶着により水密的に接着する。ここで、接着剤とは、シートを溶着剤により一瞬溶かして溶着した後は溶着剤が揮発して残らない場合も含む。
【0051】
その際に、図7に示すように、床面の勾配方向に沿って床仕上材5と、仕切部材1の帯状防水シート3との間に導水路を構成する長尺状の不織布(例えばPP(Poly Propylene;ポリプロピレン)を糸瓜(へちま)状に加工した板材)6を植栽部の下部両端部に亘って設置し、該不織布6の上部を覆うようにしてバイパス形成シート28を載置し、該バイパス形成シート28の不織布6に沿った両側を床仕上材5に接着剤または熱溶着により水密的に接着する。これにより仕切部材1を複数連続させて囲んだ周縁部外部で床面の勾配方向上流側に溜まった雨水25はこの導水路を経由して排水され、水溜りを解消して美観を維持することが出来る。
【0052】
仕切部材1の支持片2bの一部を切除することで仕切片2aを容易に折曲或いは湾曲することが出来るので、設計した植栽部の平面的な曲線に対応して自由に配置することが出来る。また、床面の高さ方向の起伏に応じて複数の仕切部材1を連結することが出来る。また、簡単な構成であるので植栽部の底部構造を軽量化出来、その分、土壌層19または保水層18の厚さを厚くすることが出来る。これにより保水性能を向上させ、土壌の乾燥を防止することが出来、植えられる植栽物11の種類を増大することや種からの緑化を楽しむことが出来る。また、簡単軽量であるためリプレイスも容易に出来る。
【0053】
各仕切部材1を複数連続させて囲んだ周縁部内部で且つ該仕切部材1が載置される植栽部が設けられる床面の床仕上材5の上面に保護防水シート9を敷設する。バイパス形成シート28に沿った両側上部には分割された保護防水シート9が該バイパス形成シート28に覆われた不織布6に沿った両側上部にオーバーラップさせて接着剤または熱溶着により水密的に接着される。
【0054】
これにより、シートの重なりを極力避けて導水路周りの起伏高さを低くすることが出来、導水路の詰まり等の異常時には重なり部分を剥がして容易にメンテナンスすることが出来る。尚、バイパス形成シート28の上部で保護防水シート9を分割しないで連続的に重ねることも出来る。
【0055】
保護防水シート9とは、床仕上材5の保護と植物の根の侵入防止(防根)の機能を有するシートであるが、夫々の機能を有するシートを重ね合わせたものも含む。
【0056】
図5(a)に示すように、仕切部材1の支持片2bの短手方向の底部縁から両側に所定の幅で延長した帯状防水シート3を該支持片2bの底部に接着した仕切部材1を使用した場合には、保護防水シート9を帯状防水シート3の上面にオーバーラップさせて接着剤または熱溶着により水密的に接着する。
【0057】
更に図5(b)に示すように、図5(a)の帯状防水シート3の上面にオーバーラップさせた保護防水シート9と仕切部材1の支持片2bとに跨って接合用防水シート10を接着剤または熱溶着により水密的に接着することも出来る。
【0058】
また、図5(c)に示すように、仕切部材1の支持片2bの短手方向の底部縁から仕切片2aの外側にのみ所定の幅で延長した帯状防水シート3を該支持片2bの底部に接着した仕切部材1を使用した場合には、保護防水シート9を仕切部材1の支持片2bの上面にオーバーラップさせて接着剤または熱溶着により水密的に接着する。そして、保護防水シート9を床仕上材5の上面に接着剤または熱溶着により水密的に接着する。
【0059】
仕切部材1の支持片2bの短手方向の底部縁から延長された帯状防水シート3または前記支持片2bにオーバーラップして保護防水シート9が床仕上材5に水密的に重ねられたことで、植栽部が設けられる床面の床仕上材5を保護防水シート9及び帯状防水シート3により確実に保護することが出来る。
【0060】
これにより、植栽部が設けられる床面の床仕上材5が土壌や養分、微生物、肥料等を含んだ水に晒されないため汚れや劣化を防止することが出来る。また、保護防水シート9が植栽部が設けられる床面の起伏に対して追従性があるため床面の高さ方向の起伏や平面的な曲線に柔軟に対応出来る植栽部の底部構造を実現出来る。また、保護防水シート9により植栽物11の根が建物に侵入することを防止することが出来る。
【0061】
また、植栽部の周囲の床面の床仕上材5の劣化時の対応として新規の床仕上材5にリプレイスする場合には、例えば図8(b)に示すように、床面の床仕上材5にオーバーラップさせた帯状防水シート3の縁石部材15からはみ出した部分を接着部27を残して帯状防水シート3と床仕上材5の両方を切断し、劣化した床仕上材5aを除去する。
【0062】
そして、図8(c)に示すように切断後、植栽部の周縁部に残された劣化が進行していない床仕上材5に新規の床仕上材5bをオーバーラップさせて接着剤または熱溶着により水密的に接着して敷設し、その新規の床仕上材5bに帯状防水シート3のはみ出した部分をオーバーラップさせて接着剤または熱溶着により水密的に接着することで床仕上材5のリプレイスを容易に行うことが出来る。これにより植栽部の撤去、再施工を回避することが出来る。
【0063】
また、新規の床仕上材5にリプレイスする他の方法としては、図9(a)に示すように、床面の床仕上材5にオーバーラップさせた帯状防水シート3の縁石部材15からはみ出した部分を接着部27を残して切断し、図9(b)に示すように、劣化した床仕上材5aの上から新規の床仕上材5bを重ねて敷設し、図9(c)に示すように、植栽部の周縁部の床仕上材5の劣化が進行していない部分に新規の床仕上材5bをオーバーラップさせて接着剤または熱溶着により水密的に接着し、その新規の床仕上材5bに帯状防水シート3のはみ出した部分をオーバーラップさせて接着剤または熱溶着により水密的に接着することで床仕上材5のリプレイスを容易に行うことが出来る。
【0064】
尚、帯状防水シート3の縁石部材15からのはみ出し寸法は、帯状防水シート3の接着代と、新規の床仕上材5bと既存の床仕上材5の接着代とを確保出来るもの(例えば10cm幅程度)とする。
【0065】
図4は、仕切部材1を複数連続させて囲んだ周縁部内部で保護防水シート9上に、植栽部が設けられる床面の勾配に対応した所定の間隔で設置される中仕切部材7の一例である。図4(a)に示す中仕切部材7は土圧に耐え、且つ防水性を有する仕切片8aと、該仕切片8aに略直交して接続され、該仕切片8aを起立した状態で支持し得る支持片8bとを有する断面L字形状の長尺状鋼板からなる。
【0066】
例えば、直線状に区画する中仕切りでは図4(a)に示すような直線状の中仕切部材7aを使用し、T字形状に区画する中仕切りでは図4(b)に示すようなT字形状の中仕切部材7bを使用し、十字形状に区画する中仕切りでは図4(c)に示すような十字形状の中仕切部材7cを使用することが出来る。
【0067】
また、図4(a)に示す中仕切部材7aの支持片8bの一部を切除することで仕切片8aを容易に湾曲或いは折曲することが出来、所望の形状に湾曲或いは折曲した中仕切部材7を使用することも出来る。
【0068】
そして、植栽部の区画設計に応じて、これ等の中仕切部材7a,7b,7cを適宜選択して連続させて仕切部材1を複数連続させて囲んだ植栽部の周縁部内部を区画する。隣接する各中仕切部材7a,7b,7c及び仕切部材1との接合は各境界部に接合用防水シート10を跨って接着剤または熱溶着により水密的に接着する。
【0069】
仕切部材1の仕切片2a及び中仕切部材7の仕切片8aの所定高さ位置には各仕切部材1,7により囲まれ、区画された各セル内部の余剰水26を排出すると共に、その内部に植栽される植栽物11を拘束する係止部材12を固定する固定部とされる開口となる貫通穴4が形成されている。これにより植栽物11の引き抜き方向の反力は植栽部の底部構造の全重量が作用するため植栽物11の転倒防止や飛散防止が確実に出来る。
【0070】
仕切部材1及び中仕切部材7の貫通穴4は植栽物11を拘束する係止部材12を固定するための固定部としても利用される。係止部材12はポリプロピレン樹脂製のPPバンド等が使用出来、両端部が植栽物11に係止された他方のループ部を貫通穴4に挿通して櫛歯状のストッパにより固定する。
【0071】
これにより、図2に示すように、植栽部が設けられる床面の勾配にかかわらず仕切部材1と中仕切部材7とにより区画された各セル内部の水位を均一に出来る。また、中仕切部材7に設けた開口となる貫通穴4を介して床面の勾配方向上流側から下流側に向けて各セル内部の余剰水26が順次排出されて各セル内部に過不足なく水が行き渡る。また、建物構造耐力の許容範囲で開口高さを適宜設定することで、各セル毎に異なる種類の植栽に好適な水位が適宜設定出来る。セルの設計の実施例としては、水勾配約1/100に対してセルの大きさを1400mm×1400mmで設計することが好ましい。
【0072】
図3(d)は仕切部材1の仕切片2aに形成された貫通穴4の該仕切片2aの外側に排水管13が取り付けられ、その貫通穴4の該仕切片2aの植栽部の周縁部内部側にフィルター14が取り付けられたものである。このフィルター14により開口となる貫通穴4の詰まりを防止することが出来、余剰水を濾過して土壌の流出を低減することも出来る。排水管13は形成される各セルの各仕切部材1に1箇所設けることで良い。
【0073】
図1、図2及び図7に示すように、仕切部材1を複数連続させて囲んだ植栽部の周縁部外部で、該仕切部材1の仕切片2aの短手方向の底部縁から外側に延長された帯状防水シート3上には排水設備となる縁石部材15が設置され、接着剤により固定さている。縁石部材15は排水溝16aが形成されたU字形状の本体ブロック16と、隣接される該本体ブロック16に跨ってその上部に嵌合される頭部ブロック17を有して構成されている。
【0074】
頭部ブロック17の植栽部側には嵌合部17aが形成されており、該嵌合部17aに仕切部材1の天辺が嵌合されて係止される。本体ブロック16の一部には図3(d)に示すような仕切部材1に取り付けられた排水管13を挿通する長穴16bが形成されている。排水溝16aには図示しない排水設備が取り付けられており、外部へ排水処理される。
【0075】
仕切部材1の仕切片2aに設けた開口となる貫通穴4から該仕切部材1を複数連続させて囲んだ植栽部の周縁部内部の余剰水26を建物本体の排水設備に導くことが出来る。これにより、建物の許容荷重に合わせた保水量に調整することが出来る。また、植栽物11の水供給過多による根腐れを防止することが出来る。
【0076】
また、仕切片2aの天辺や植栽物11を拘束する係止部材12を固定するための貫通穴4よりも上方に設けられた方形状の長穴を越えて植栽部の外部に排水されることを防止することが出来、これにより、植栽部外部でも床面の床仕上材5に土壌や養分、微生物、肥料等を含んだ水が溢れ出さず、縁石部材15からなる排水設備に導かれて排水されるため汚れや劣化を防止することが出来、美観を維持することが出来る。
【0077】
図2及び図6に示すように、仕切部材1を複数連続させて囲んだ周縁部内部、或いは該仕切部材1と中仕切部材7、或いは中仕切部材7相互により区画された各セル内部には、土をふるいにかけ水を保持する保水層18と、該保水層18の上部に敷設された土壌層19と、該土壌層19に配置された立体構造体20と、該立体構造体20を覆うと共に一部が保水層18の水面以下に到達して配置された汲水シート21が設置されている。
【0078】
汲水シート21で覆った立体構造体20を土壌層19に配置すると共に、汲水シート21の一部を保水層18の水面以下まで到達させたので、汲水シート21の一部は常に水に浸されることとなり、毛細管現象によって保水層18の水を汲み上げることが出来る。この水は立体構造体20の周囲の土壌に供給されて該土壌を湿潤化することが出来る。
【0079】
特に立体構造体20を土壌層19に所定のピッチで複数配置することで、該立体構造体20を覆う汲水シート21によって汲み上げられた水が隣接する立体構造体20を覆う汲水シート21によって汲み上げられた水とつながり、隣接する立体構造体20の間の湿潤境界面を上昇させ、立体構造体20を覆う汲水シート21の最も高い位置よりも更に高いレベルで湿潤状態を形成し、土壌の湿潤化を実現することが出来る。
【0080】
このため、保水層18の水を有効に利用することが可能となり、土壌に対する無駄な散水を減少させて安定した給水を実現出来る。特に土壌を高い位置まで湿潤化することが可能となるため、従来は困難であった種からの栽培、根の短い苗の栽培を容易に実現することが出来る。
【0081】
仕切部材1の仕切片2aまたは中仕切部材7の仕切片8aは、その表面に盛土の限界高さを示す目盛りを設けるか、若しくは仕切部材1の仕切片2aまたは中仕切部材7の仕切片8aの高さを盛土の限界高さに設定されている。
【0082】
これにより、仕切部材1の仕切片2aまたは中仕切部材7の仕切片8aの高さまで盛土を行うことにより荷重の管理が容易に出来る。尚、仕切部材1の仕切片2aまたは中仕切部材7の仕切片8aに設けた目盛りまで盛土を行うことにより荷重の管理を行うことも出来る。中仕切部材7が土壌層19内に埋設される場合には仕切部材1の仕切片2aの表面に盛土の限界高さを示す目盛りを設ける。
【0083】
保水層18は、高い硬度と耐久性を持った合成樹脂繊維をへちま状に絡ませて板状に形成することで十分な保水空間を確保すると共に耐圧縮性及び耐腐食性を有し、人が土壌の上から作業することが可能である。保水層18の下側に設けられた保護防水シート9は保水層18に蓄えられた水が床仕上材5上に漏れることがなく、土壌層19に植えられた植栽物11の根が床仕上材5や建物に対して損傷を与えることを防止する。
【0084】
保水層18は目的の植栽部が必要とする所定日数分の水を蓄えておくことが可能である。保水層18の深さは植栽部に栽培する植栽物11の種類や、土壌層19を構成する土壌の保水性能や土壌層19の厚さを考慮して設計される。
【0085】
仕切部材1を複数連続させて囲んだ植栽部の周縁部内部、或いは仕切部材1や中仕切部材7により区画された各セル内部には、保水層18の水位または土壌層19の水分含有量を検出する保水量検出手段24と、該保水量検出手段24により検出された保水量に応じて仕切部材1を複数連続させて囲んだ植栽部の周縁部内部、或いは仕切部材1や中仕切部材7により区画された各セル内部に給水する給水手段22が設けられている。
【0086】
本実施形態の保水量検出手段24は、異なる長さを有する複数の電極が保水層18に設置され、保水層18内の水を介して電流が流れることにより水位を検出する水位センサを使用している。また、給水手段22は水位センサからなる保水量検出手段24により検出された水位情報に応じて電磁弁を開閉する構成としている。
【0087】
これにより、土壌の湿潤状態を安定化することが出来、植栽物11の育成に寄与することが出来る。また、余分な排水をしないので土壌の流出を低減することが出来る。また、出来るだけ雨水による保水を行い、過剰分は貫通穴4を介して各セルから順次排出され、仕切部材1に設けた排水管13から縁石部材15の排水溝16aに排水され、水位が所定のレベル以下となった場合のみ自動的に給水することが出来るためランニングコストを低減することが出来る。
【0088】
このように、保水層18に保水し得る水量を制限することによって建物が負担すべき積載過重を超えることなく安定した荷重を保持することが可能となり、且つオーバーフローした水を速やかに排出することで床仕上材5や建物に悪影響を与えることがない。
【0089】
土壌層19を構成する土壌の性質は特に限定するものではなく、粒子の細かい庭土や粒子の粗い砂、或いは軽量化した人工軽量土を用いることが出来る。人工軽量土は軽量気泡コンクリート(ALC)パネルの製造現場で発生する端材やリフォームで回収されたALCパネルを砕いて形成することが出来、広い範囲の粒度を持ち、適度な保水性と排水性及び通気性を有し、且つ比重が小さく極めて軽量化されているため建物のベランダ、屋上、屋根の床面に設置される植栽部には最適である。このような人工軽量土であっても適度な保水性を有することから外部から与えられた養分を保持しておくことが出来る。
【0090】
保水層18の保水性能を維持するには、該保水層18の上部に配置された土壌層19を構成する土壌が保水層18に移動しないことが好ましいため、保水層18と土壌層19との間に透水層23が設けられる。透水層23は水を透過して粒状の土壌の通過を阻止する機能と、植栽物11の根が保水層18に侵入することを防止する機能を有するものであり、合成樹脂繊維を用いた不織布等を採用することが出来る。
【0091】
本実施形態の立体構造体20は合成樹脂発泡体からなる四角柱で構成しているが、土壌層19に人が載って作業する場合の荷重に耐えられる剛性と安定性、更には汲水シート21を土壌層19の高い位置まで持ち上げるための高さを確保出来る種々の形状の立体構造体が適用出来る。立体構造体20の内部を中空にすれば保水層18の保水量を増加することも出来、荷重の軽量化も図れる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の活用例として、建物のベランダ、屋上、屋根の床面に設置する植栽部の底部構造に適用出来る。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明に係る仕切部材を用いた植栽部の底部構造の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る仕切部材を用いた植栽部の底部構造の構成を示す断面説明図である。
【図3】本発明に係る仕切部材の各種の構成を示す斜視図である。
【図4】中仕切部材の各種の構成を示す斜視図である。
【図5】床面の床仕上材、仕切部材の帯状防水シート、保護防水シートがオーバーラップする様子を示す図である。
【図6】仕切部材により区画されたセル内部に設けられる保水層、土壌層、立体構造体、汲水シートの構成を示す断面拡大図である。
【図7】床面の勾配方向上流側に溜まった雨水を排水するための導水路の構成を示す図である。
【図8】劣化した床仕上材を新規の床仕上材にリプレイスする手順を説明する模式図である。
【図9】劣化した床仕上材を新規の床仕上材にリプレイスする他の手順を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0094】
1…仕切部材
1a…直線状の仕切部材
1b…直角に折曲した仕切部材
1c…湾曲した仕切部材
2…長尺状鋼板
2a…仕切片
2b…支持片
3…帯状防水シート
4…貫通穴
5,5a,5b…床仕上材
6…不織布
7…中仕切部材
7a…直線状の中仕切部材
7b…T字形状の中仕切部材
7c…十字形状の中仕切部材
8a…仕切片
8b…支持片
9…保護防水シート
10…接合用防水シート
11…植栽物
12…係止部材
13…排水管
14…フィルター
15…縁石部材
16…本体ブロック
16a…排水溝
16b…長穴
17…頭部ブロック
17a…嵌合部
18…保水層
19…土壌層
20…立体構造体
21…汲水シート
22…給水手段
23…透水層
24…保水量検出手段
25…雨水
26…余剰水
27…接着部
28…バイパス形成シート
【出願人】 【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿二丁目3番1号
【出願日】 平成16年1月13日(2004.1.13)
【代理人】 【識別番号】100066784
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 周吉

【識別番号】100095315
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕幸

【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介

【公開番号】 特開2005−198510(P2005−198510A)
【公開日】 平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願番号】 特願2004−5207(P2004−5207)