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【発明の名称】 育苗具並びに育苗用栽培具並びに育苗方法
【発明者】 【氏名】青木 尚行

【要約】 【課題】苗の植替え並びに再利用が容易な育苗具、並びに苗の成長が著しく良好で前記育苗具への使用に最適な育苗用栽培具並びに前記育苗具と前記育苗用栽培具を用いた育苗方法を提供すること。

【解決手段】上部開口型の器体1の下部を尖鋭状に形成し、この尖鋭部1Aから器体1を地中に差し込みし得るように構成し、この器体1に苗Nの根2が通って器体1外へと進出可能な根進出部3を貫通形成し、この根進出部3は、少なくとも器体1の上下方向に沿った長さを有する形状に形成すると共に、器体1の上縁部を開放する形状に形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部開口型の器体の下部を尖鋭状に形成し、この尖鋭部から器体を地中に差し込みし得るように構成し、この器体に苗の根が通って器体外へと進出可能な根進出部を貫通形成し、この根進出部は、少なくとも器体の上下方向に沿った長さを有する形状に形成すると共に、器体の上縁部を開放する形状に形成したことを特徴とする育苗具。
【請求項2】
前記根進出部は、前記器体の下端部付近にまで形成したことを特徴とする請求項1記載の育苗具。
【請求項3】
前記器体の上部に、この器体の上部開口部を閉塞する閉塞蓋を着脱開閉自在に係止し、この閉塞蓋を器体の上部から係脱することで前記根進出部の上部開放部が開放する構成としたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の育苗具。
【請求項4】
ロックウール製の本体に苗の種若しくは苗を収納する収納部を設け、この収納部と連設状態に苗の根が成長するための空隙部を形成し、この本体を上部開口型の育苗具内に収納し得る形状に形成したことを特徴とする育苗用栽培具。
【請求項5】
前記空隙部は、前記本体の上下方向に長さを有する構成としたことを特徴とする請求項4記載の育苗用栽培具。
【請求項6】
前記請求項1〜4のいずれか1項に記載の育苗具内に、前記請求項4,5のいずれか1項に記載の育苗用栽培具を収納した後、この育苗用栽培具の前記収納部に苗の種若しくは苗を収納するか、若しくは予め前記収納部に苗の種若しくは苗を収納した育苗用栽培具を収納して育苗し、苗が定植できる大きさにまで成長した後、この育苗具を下部の尖鋭部により定植床に敷設したビニールマルチの上からこのビニールマルチを突き破って定植床に突き刺すことで定植床に苗を植え付け、この定植床で育苗することを特徴とする育苗方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、苗の植替え並びに再利用が容易な育苗具並びにこの育苗具への使用に最適な育苗用栽培具並びにこの育苗具と育苗用栽培具を用いた育苗方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
出願人は、この種の育苗具として、特開2002−159225号(特許文献1)を出願している。
【0003】
この特許文献1を簡単に説明すると、苗と土とを収納し得る上部開口型の容体の下部を尖鋭状に形成して、この下部の尖鋭部から容体を地中に差し込みし得るように構成し、この容体に苗の根が通る大きさの貫通孔を多数散在状態に設けた構成となっている。
【0004】
そして、この特許文献1によれば、植替えに際して、例えばビニールカップから取り出した苗をひっくり返すことなく、また苗の根域に付着した土を崩すこともなく植替えができるので、苗の葉の裏に土が付着して病害虫の発生原因となったりすることも、根痛みも生じにくいこととなり、しかも定植床へ単に容体ごと突き刺すことで植付けできるので、ビニールマルチを切り開くことも植え穴を掘ることも不要となり、その上元々容体内で育成された苗をその容体ごと植替えするために株元から土が崩れ落ちることもないから、従来のように崩れ落ちた土を補充するために株元に土をかける作業も不要となるなどの利点を有するものであった。
【0005】
【特許文献1】特開2002−159225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この育苗具を、次年度も再利用するためには、収穫後に苗の残根を容体から抜き取っておく必要があるが、苗の根は、容体外へ10〜20cm程延びるまでに成長するため、上記特許文献1では、収穫後に苗の残根を容体から抜き取る際に、根が貫通孔に引っ掛かって非常に抜けにくく、この残根除去作業が非常に厄介となってしまっていた。
【0007】
本発明は、このような現状に鑑みて改良したもので、上記した利点はそのままに、更に、再利用の準備にあたって器体より残根をスムーズに抜き取ることができる極めて実用的な育苗具を提供するものである。
【0008】
また、出願人は、特許文献1のような従来の育苗具では、苗床として土を使用することを前提とした設計となっていたために、根進出用の貫通孔を根が通る大きさでありながら、土が崩れてこぼれ落ちたりしにくい小さめの孔とする必要があり、これが残根処理に際して根の引っ掛かりの原因となってしまっていることにも着目した。
【0009】
そして、出願人は、育苗具に土の代替の苗床として用いることができ、しかも苗の成長が著しく良好となる画期的な育苗用栽培具を完成させた。
【0010】
また、更に、前記育苗具と前記育苗用栽培具とを用いた画期的な育苗方法を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0012】
上部開口型の器体1の下部を尖鋭状に形成し、この尖鋭部1Aから器体1を地中に差し込みし得るように構成し、この器体1に苗Nの根2が通って器体1外へと進出可能な根進出部3を貫通形成し、この根進出部3は、少なくとも器体1の上下方向に沿った長さを有する形状に形成すると共に、器体1の上縁部を開放する形状に形成したことを特徴とする育苗具に係るものである。
【0013】
また、前記根進出部3は、前記器体1の下端部付近にまで形成したことを特徴とする請求項1記載の育苗具に係るものである。
【0014】
また、前記器体1の上部に、この器体1の上部開口部を閉塞する閉塞蓋4を着脱開閉自在に係止し、この閉塞蓋4を器体1の上部から係脱することで前記根進出部3の上部開放部3Aが開放する構成としたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の育苗具に係るものである。
【0015】
また、ロックウール製の本体5に苗の種T若しくは苗Nを収納する収納部6を設け、この収納部6と連設状態に苗Nの根2が成長するための空隙部7を形成し、この本体5を上部開口型の育苗具A内に収納し得る形状に形成したことを特徴とする育苗用栽培具に係るものである。
【0016】
また、前記空隙部7は、前記本体5の上下方向に長さを有する構成としたことを特徴とする請求項4記載の育苗用栽培具に係るものである。
【0017】
また、前記請求項1〜4のいずれか1項に記載の育苗具A内に、前記請求項4,5のいずれか1項に記載の育苗用栽培具Bを収納した後、この育苗用栽培具Bの前記収納部6に苗の種T若しくは苗Nを収納するか、若しくは予め前記収納部6に苗の種T若しくは苗Nを収納した育苗用栽培具Bを収納して育苗し、苗Nが定植できる大きさにまで成長した後、この育苗具Aを下部の尖鋭部1Aにより定植床8に敷設したビニールマルチ9の上からこのビニールマルチ9を突き破って定植床8に突き刺すことで定植床8に苗Nを植え付け、この定植床8で育苗することを特徴とする育苗方法に係るものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明は上述のように構成したから、上記特許文献1と同様の秀れた作用効果を奏する上、再利用の準備にあたって器体より残根をスムーズに抜き取ることができ、しかも、本発明は、従来品に対して、単に根進出部を、少なくとも器体の上下方向に沿った長さを有する形状に形成すると共に、器体の上縁部を開放する形状に形成するだけで構成できるため、さほどの構造変更を要せず、簡易に設計実現可能となるなど、極めて実用性に秀れた画期的な育苗具となる。
【0019】
また、請求項2記載の発明においては、根進出部の形成範囲が広いために、多数の根が良好に器体外の定植床へと進出して根付くことが可能となり、これにより苗の生育が極めて良好となる一層実用性に秀れた構成の育苗具となる。
【0020】
また、請求項3記載の発明においては、器体の上縁部を開放する根進出部によって生じる器体の強度不足を閉塞蓋を係止することによって解消することができ、これにより器体を定植床へ突き刺す際に器体が変形して苗や根を痛めることを防止できる一層実用性に秀れた構成の育苗具となる。
【0021】
また、請求項4記載の発明においては、上述のように構成したから、土(苗床)に代えて使用すると、単に収納部に苗の種若しくは苗を収納するだけで種の発芽も苗の生育も非常に良好に促進されると共に、根の生育も良好に促進されることになり、しかも、土のように崩れることがないから、前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の育苗具に収納して使用するに最適となるなど、極めて実用性に秀れた画期的な育苗用栽培具となる。
【0022】
また、請求項5記載の発明においては、根量の多い丈夫な苗を生育することが可能となる一層実用性に秀れた育苗用栽培具となる。
【0023】
また、請求項6記載の発明においては、上述のように、本発明の育苗具に育苗用栽培具を収納して、この育苗用栽培具で育苗するから、植付け(植替え)が非常に簡単に行われて作業性が向上する上、苗の生育が極めて良好となるため、収穫量の増大や収穫物の品質の向上などが大いに期待できることになるなど、極めて実用性に秀れた画期的な育苗方法となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0025】
本発明の育苗具Aたる器体1内に種Tを収納して発芽させるか若しくは苗Nを収納して生育し、苗Nを器体1内で定植できる大きさにまで成長させる。
【0026】
この際、例えば、本発明の育苗用栽培具B(ロックウール製の綿菓子状培地B)を土の代わりに育苗具A内に収納し、この育苗用栽培具Bの収納部6に種T若しくは苗Nを収納しておくと、ロックウール製の綿菓子状培地Bは、非常に通気性が良く保湿性も高いために種Tの発芽も苗Nの生育も促進されると共に、根2の生育も促進される。また、この際、本発明の育苗用栽培具Bは、根2が成長するための空隙部7を収納部6と連設状態に形成したから、根2の成長の妨げがなく、空隙部7内で根2が良好に生育し、多量の根を有する丈夫な苗Nを生育可能となる。従って、単に収納部6に苗の種T若しくは苗Nを収納するだけで育苗できる。
【0027】
従って、育苗具A内に土を収納して育苗する場合に比べて苗Nの生育状態が非常に良好となり、定植までに要する生育期間も短縮することになる。
【0028】
また、本発明の育苗具Aは、根進出部3が器体1の上下方向に沿った長さを有し、且つ器体1の上縁部を開放する形状であるため、育苗具A内に土を収納して苗床とすると、この上下に長い根進出部3から土が崩れ落ちてしまう可能性があるが、ロックウール製の育苗用栽培具Bを土に代えて使用することで、このような問題は全く生じない。
【0029】
次いで、定植できる大きさの苗Nを収納した器体1を、下部の尖鋭部1Aにより定植床8に敷設したビニールマルチ9の上からこのビニールマルチ9を突き破って器体1を定植床8に突き刺すことで、定植床8に苗Nを植え付けする。
【0030】
従って、特許文献1と同様に、ビニールマルチ9を切り開くことも植え穴を掘ることも不要で、単に定植床8へ器体1ごと突き刺すことだけで非常に容易に苗Nの植付け(植替え)作業が完了する。
【0031】
その後、苗Nの成長に伴い、少なくとも器体1の上下方向に沿った長さを有する形状の根進出部3を介して根2が器体1外の定植床8に及ぶことになり、この器体1が苗N(根2)の成長の妨げとなることはない。
【0032】
尚、育苗用栽培具Bを使用した場合においても、この育苗用栽培具Bは繊維状(綿菓子状)であるために根2は育苗用栽培具B内を通って器体1外へと進出することができ、根2の成長が妨げられることはない。更に、育苗用栽培具B内に根2がくまなく根付くことで、苗Nの植付け状態が強固な安定状態となる上、上記したようにこの育苗用栽培具B内では根2の生育が非常に良いため、この安定植付け状態が容易に得られるなど、良好な育苗環境が実現することになる。
【0033】
従って、本発明の育苗具Aと育苗用栽培具Bとを使用した育苗方法によれば、植付け(植替え)が非常に簡単に行われる上、苗の生育が極めて良好となるため、収穫量の増大や収穫物の品質の向上などが大いに期待できることになる。
【0034】
収穫後は、次年度の再利用のために、器体1の上部開口部から苗Nの残根2を抜き取って本育苗具Aを保管しておくが、この際、本発明においては、根進出部3を介して器体1の外方に突出している苗Nの残根2が、器体1の上縁部を開放する形状の根進出部3によって上方へ抵抗なく移動し、抜き取られる。
【0035】
従って、上記特許文献1にあっては、容体の外方へ突出する残根が貫通孔に引っ掛かって非常に抜けにくかったが、本発明の育苗具Aにおいては、器体1から残根2を上方へスムーズに抜き取ることができるので、この残根2除去作業を非常に簡単に行うことができ、次年度に向けた育苗具Aの再利用に備えることが容易に可能となる。
【0036】
また、例えば、前記根進出部3は、前記器体1の下端部付近にまで形成すれば、器体1の上縁部を開放し且つ器体1の下端部付近にまで長く広く貫通形成されている根進出部3を通って、多数の根2が良好に器体1外の定植床8へと進出して根付くことができるので、苗Nの生育が極めて良好に行われることになる。
【0037】
また、例えば、前記器体1の上部に、この器体1の上部を閉塞する閉塞蓋4を着脱開閉自在に係止し、この閉塞蓋4を器体1の上部から係脱することで前記根進出部3の上部開放部3Aが開放する構成とすれば、器体1の上縁部を開放する根進出部3によって強度不足を生じる懸念のある器体1上部に対して、閉塞蓋4を係止することによって強度の向上を図ることができ、これにより器体1の保形強度が増すので、器体1を定植床8へ突き刺す際に器体1が変形して苗Nや根2を痛めることを防止できることになる。
【0038】
また、例えば、育苗用栽培具Bの前記空隙部7は、前記本体5の上下方向に長さを有する構成とすれば、先ず、苗Nの根(主根)2が育苗用栽培具B内を迷走することなく、空隙部7に沿って上下方向に延びて良好に生育することになり、そしてこの長さのある主根2から更に多数の根(側根)2が側方へと延びて成長することになるため、根2を多量に確保した丈夫な苗Nを生育することが可能となる。
【実施例】
【0039】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0040】
先ず、本実施例の育苗具Aを説明する。
【0041】
上部開口型の器体1の下部を尖鋭状に形成し、この尖鋭部1Aから器体1を地中に差し込みし得るように構成している。
【0042】
具体的に説明すると、この器体1は、図1,図2に示すような中空体に形成している。
【0043】
更に説明すると、上方から見て断面四角形状の中空体であって、上部から下部寄りまでを緩やかに下方へ行く程先細る中空の四角錐形状とし、下部寄りから下端までを急激に下方へ行く程先細る中空の四角錐形状とし、この急激に先細る器体1の下部を前記尖鋭部1Aとしている。
【0044】
また、この器体1は、この器体1内で定植時期まで苗Nを成長させることができる縦長形状に形成している。即ち、器体1内で苗Nの根2が伸びることを考慮して器体1を縦長形状に形成している。
【0045】
本実施例は、この器体1に苗Nの根2が通って器体1外へと進出可能な根進出部3を貫通形成している。
【0046】
この根進出部3は、器体1の長さ(上下)方向に沿った長さを有する縦長の貫通窓とし、この根進出部3の上部は器体1の上縁部にまで達してこの根進出部3の存する器体1の上縁部は開放状態となるように形成し、下部は器体1の下端部付近にまで形成している。即ち、この根進出部3は、上部開放部3Aを有し、略器体1と同等の上下長さを有する形状に形成している。
【0047】
また、この根進出部3は、略四角錐形を呈する器体1の四側面の各面に一箇所ずつ形成し、更に各根進出部3は、隣接する角部付近に至るまで横幅を広く確保している。
【0048】
即ち、言い換えると、器体1は、下端の中心部から等角度ごとに四本の枠杆1Bが上方へ突設して前記形状を形作っており、この四本の枠杆1B間の広く開口する空隙を前記根進出部3とし、多数の根2がこの広く開口する根進出部3を介して器体1外の定植床8に進出できるように構成している。
【0049】
また、本実施例では、前記器体1の上部に、この器体1の上部を閉塞する閉塞蓋4を着脱開閉自在に係止し、この閉塞蓋4を器体1の上部から係脱することで前記根進出部3の上部が開放する構成としている。
【0050】
具体的には、閉塞蓋4は、器体1の上部の横断面形状(四角形状)よりもやや大きめな方形板を採用して構成している。
【0051】
また、この閉塞蓋4の器体1上部への着脱係止構造は、前記各枠杆1Bの上端部が嵌合係止する嵌合孔4Aを閉塞蓋4の下面の四隅に形成し、この各嵌合孔4Aに前記各枠杆1Bの上端部を嵌合係止することで、器体1上部に閉塞蓋4が装着されて器体1の上部開口部が閉塞する構造としている。
【0052】
また、この閉塞蓋4を器体1の上部に嵌合係止することで器体1の各枠杆1Bに対して保形作用が得られるので、器体1の強度が向上し、これにより器体1の尖鋭部1Aを定植床8に突き刺す際にも、器体1が変形しにくい構成としている。
【0053】
また、この閉塞蓋4には、所定の一外縁から閉塞蓋4中心に向かって切欠4Bを形成し、この切欠4Bを介して苗Nの茎を閉塞蓋4の上方へ露出させる構成としている。
【0054】
また、本実施例では、器体1の上部に吊り紐を着脱自在に係止する掛止部10を設けている。
【0055】
具体的には、前記各根進出部3のうちの所定の一箇所に立設杆10Aを形成し、この立設杆10Aは、前記各枠杆1Bよりも上方へ高く突出する形状に形成している。
【0056】
そして、この前記各枠杆1Bよりも上方へ高く突出する立設杆10Aの上部に掛止部10を形成している。
【0057】
更に説明すると、所定の隣接する二本の枠杆1Bの下部寄り間に横杆を一体的に形成し、この横杆の中央部に前記立設杆10Aを一体的に形成している。また、この立設杆10Aの上部の左右縁部に夫々V字状の切欠溝を形成してこの切欠溝を掛止部10とし、このV字状に先細る掛止部10の先細部に吊り紐を喰い込ませて強固に係止できるように構成している。
【0058】
また、器体1の上部に前記閉塞蓋4を装着する際には、前記切欠4Bの端部にこの立設杆10Aが位置するようにして装着することで立設杆10Aが閉塞蓋4装着の邪魔とならない構成としている。
【0059】
また、本実施例の育苗具Aを構成する器体1は、例えば、樹脂で一体成形することが可能な構成であり、このような製造法を行うことで量産性を確保できる。
【0060】
次に、本実施例の育苗用栽培具Bを説明する。
【0061】
ロックウール製の本体5に苗の種T若しくは苗Nを収納する収納部6を設け、この収納部6と連設状態に苗Nの根2が成長するための空隙部7を形成し、この本体5を上部開口型の器体1内に収納し得る形状に形成している。
【0062】
具体的には、本体5は、図2に示すような棒状体であって、前記育苗具A内に上方から挿入して収納した際、育苗具A内に略丁度嵌合して位置ズレやガタつきを生じにくい形状に形成している。
【0063】
即ち、上部から下部寄りまでが緩やかに下方へ行く程先細る略四角錐形状で、下部寄りから下端までが急激に下方へ行く程先細る略四角錐形状となる棒状体に構成している。尚、図中符号5Aはこの本体5(育苗用栽培具B)を前記育苗具A内に収納した際に、前記立設杆10Aを逃げる逃溝である。
【0064】
本実施例では、図3に示すように、この本体5の上面中心から下方へ垂下する円柱状の垂下穴を形成し、この垂下穴内を前記空隙部7としている。
【0065】
即ち、本実施例の空隙部7は、本体5の上下方向に長さを有する形状に形成している。
【0066】
また、この空隙部7内であって、この空隙部7の上部開口部よりやや下方位置に、空隙部7(垂下穴)の対向内面間に架け渡し状態にして前記収納部6を形成し、この収納部6に苗の種Tを収納し得るように構成している。
【0067】
更に説明すると、空隙部7(垂下穴)の中心を通るようにして対向内面間にロックウール製の棒状体を架け渡し形成し、この棒状体の中央部を凹状に屈曲形成してこの凹部を種Tを収納するための種置き部6A(収納部6)としている。
【0068】
また、この空隙部7には、この空隙部7と連設状態にして側方へ延設する円柱孔状の根誘導空隙7Aを多数形成し、この根誘導空隙7Aから側方へ根(側根)2が多数伸びていき易い構成としている。
【0069】
また、図4,図5は、育苗用栽培具Bの別実施例を示している。
【0070】
図4の別実施例を説明すると、例えば、市販のビニールポット付きの苗Nを、ビニールポットを取り去ってそのまま苗Nの根域部分を収納できる収納部6を設けた場合である。
【0071】
具体的には、本体5の上部に径大で浅底な孔を形成してこの径大孔を収納部6としている。
【0072】
また、この別実施例では、収納部6の下部の数箇所に円柱状の垂下穴を形成してこの垂下穴を収納部6と連設する空隙部7としている。
【0073】
従って、この別実施例は、市販のビニールポット付きの苗Nなどを育苗する場合に非常に適した構成である。
【0074】
また、図5の別実施例を説明すると、種置き部6Aを本体5の下方に設けた場合である。
【0075】
具体的には、図3の実施例において、空隙部7の下端を平坦面とし、この下端の平坦面を種置き部6Aとしている。
【0076】
この別実施例によると、種置き部6Aに種Tを置くと、種Tの下方に発根すると共に、上方の空隙部7へ茎が伸びるが、この空隙部7内に存する茎部(下胚軸)からも発根することが確認されている。即ち、この別実施例によれば、図3の実施例で育苗した場合に比べて発根量を多く確保することが可能となり、根量不足による各種栄養素の吸収不足で起因する障害を克服するために用いる各種薬剤,農薬の使用を減らすことができる。
【0077】
尚、この図4,図5の別実施例は、いずれも根誘導空隙7Aを形成していない場合を示している。
【0078】
次に、本実施例の育苗具Aと育苗用栽培具Bを使用した育苗方法を説明する。
【0079】
育苗具A(器体1)内に育苗用栽培具Bを収納し、この育苗用栽培具Bの収納部6に種Tを収納して発芽させるか若しくは苗Nを収納して生育し、この苗Nを器体1内で定植できる大きさにまで成長させる。尚、もちろん、予め収納部6に種T若しくは苗Nを収納しておいた育苗用栽培具Bを育苗具Aに収納する順番でも良い。
【0080】
この際、ロックウール製の育苗用栽培具B(綿菓子状培地B)は、非常に通気性が良く保湿性も高いために種Tの発芽も苗Nの生育も促進されると共に、根2の生育も促進される。また、この際、根2が成長するための空隙部7を収納部6と連設状態に形成したから、根2の成長の妨げがなく、空隙部7内で根2(特に主根2)が良好に生育することになる。
【0081】
また、この際、育苗具Aを育苗床(土)に突き刺して育苗しても良いし、例えば、図6に示すように、専用の育苗トレー12を使用して育苗しても良い。尚、育苗具Aを育苗床に突き刺す場合には、閉塞蓋4を器体1上部開口部に装着して器体1の変形防止を図るが、例えば、本実施例の育苗トレー12などを使用することによって地上(地中以外)での育苗を採用する場合には、この段階では、閉塞蓋4を装着しなくても良い。
【0082】
この図6に示す育苗トレー12並びに、この育苗トレー12への育苗具Aの設置構造を簡単に説明すると、育苗具Aを斜設状態にして立て掛け設置しておくことができる傾斜面12Aを備えている。図示していないが、横長の広い傾斜面12Aを有する育苗トレー12に構成し、この広い傾斜面12Aに育苗具Aを多数に立て掛け設置して育苗できるようにしている。
【0083】
また、この傾斜面12Aには、傾斜面12Aに対して直角に突出する受片部12Bをこの傾斜面12Aの傾斜方向に間隔を置いて複数並設形成している。
【0084】
一方、この育苗トレー12対応用の機能として、育苗用栽培具Bの側面には、前記根進出部3より器体1外へ露出し、前記受片部12Bに係止し得る係止突起5Bを受片部12Bの並設間隔に対応する間隔を置いて上下並設状態にして一体的に形成している。また、この係止突起5Bは、育苗用栽培具Bを育苗具A内に収納した際に、前記根進出部3から器体1外へ突出するように本体5への形成位置を設定している。
【0085】
そして、この各係止突起5Bを各受片部12Bに係止することで傾斜面12上に育苗具Aを設置し育苗できるように構成している。
【0086】
また、この育苗トレー12と、係止突起5Bを備えた育苗用栽培具Bを使用することで、簡単に潅水を行うことが可能である。即ち、傾斜面12Aの上部から水を流すだけで、各受片部12Bに水が溜まり、この溜まった水が前記係止突起5Bに浸透して本体5全域に水分が供給されることになる構成としている。特に長さ(高さ)のある育苗用栽培具Bを使用する場合、ロックウールは垂直方向の水分保持力が10cm程度であるため、育苗用栽培具B全体に適正な水分含有量を維持するためにもこのような構成の育苗トレー12は有効である。
【0087】
次いで、閉塞蓋4を未装着の場合には閉塞蓋4を装着し、定植できる大きさの苗Nを収納した器体1を、下部の尖鋭部1Aにより定植床8に敷設したビニールマルチ9の上からこのビニールマルチ9を突き破って器体1を定植床8に突き刺すことで、定植床8に苗Nを植え付けする。
【0088】
従って、特許文献1と同様に、ビニールマルチ9を切り開くことも植え穴を掘ることも不要で、単に定植床8へ器体1ごと突き刺すことだけで非常に容易に苗Nの植付け(植替え)作業が完了する。
【0089】
その後、苗Nの成長に伴い、少なくとも器体1の上下方向に沿った長さを有する形状の根進出部3を介して根2が器体1外の定植床8に及ぶことになり、この器体1が苗N(根2)の成長の妨げとなることはない。
【0090】
また、育苗用栽培具Bは繊維状(綿菓子状)であるために、空隙部7及び根誘導空隙7Aの主根2、側根2から伸びる副主根2副側根2は育苗用栽培具B内を通って器体1外へと進出することができ、根2の成長が妨げられることはない。更に、育苗用栽培具B内に根2がくまなく根付くことで、苗Nの植付け状態が強固な安定状態となる上、上記したようにこの育苗用栽培具B内では根2の生育が非常に良いため、この安定状態が容易に得られ、苗Nの成長には最適な環境となる。
【0091】
また、例えば、メロンやトマトなどの吊り紐に巻き付けて栽培する作物の栽培には、前記掛止部10に吊り紐の一端を掛止し、他端を上方の適当な箇所(例えばビニールハウス天井に張り巡らしたワイヤーなど)に掛止することで、従来のように茎に直接吊り紐を縛り付けなくとも良いので、吊り紐の設置作業をきわめて容易に行うことができるし、苗Nの茎を傷つけることもない。
【0092】
尚、収穫後は、苗Nの残根2を器体1から抜き取って本育苗具Aを保管しておくことで、次年度も再利用することができるが、この際、根進出部3を介して器体1の外方に突出している苗Nの残根2が、器体1の上縁部を開放する形状の根進出部3によって上方へ抵抗なく移動し、抜き去られることになる(図7参照)。
【0093】
従って、本実施例の育苗具Aにおいては、器体1から残根2を上方へスムーズに抜き取ることができるので、この残根2除去作業を非常に簡単に行うことができ、次年度に向けた育苗具Aの再利用に備えることが容易に可能となる。
【0094】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本実施例の使用状態を示す斜視図である。
【図2】本実施例の説明分解斜視図である。
【図3】育苗用栽培具を収納した器体を定植床に突き刺し、定植床に苗を突き刺した状態を示す閉塞蓋を省略した説明図である。
【図4】育苗用栽培具の別実施例を示す使用状態図である。
【図5】育苗用栽培具の他の別実施例を示す使用状態図である。
【図6】育苗用栽培具を収納した器体を育苗トレーで育苗した状態を示す説明図である。
【図7】器体から育苗用栽培具ごと残根を抜き取った状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0096】
1 器体
1A 尖鋭部
2 根
3 根進出部
3A 上部開放部
4 閉塞蓋
5 本体
6 収納部
7 空隙部
8 定植床
9ビニールマルチ
A 育苗具
B 育苗用栽培具
N 苗
T 種
【出願人】 【識別番号】000197126
【氏名又は名称】青木 尚行
【出願日】 平成16年3月31日(2004.3.31)
【代理人】 【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛

【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄

【公開番号】 特開2005−185273(P2005−185273A)
【公開日】 平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願番号】 特願2004−106217(P2004−106217)