トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 パイプハウスの展張器具
【発明者】 【氏名】田中 勉
【住所又は居所】埼玉県狭山市富士見2丁目15番1号 狭山精密工業株式会社内

【要約】 【課題】透明樹脂シートを張る作業を軽減させ、着脱が容易且つ安価な展張器具で多少の風が吹いても影響を受けずに透明樹脂シートを屋根部に張る作業を可能にするパイプハウス用の展張器具を提供する。

【解決手段】透明樹脂シート等の被覆部材をパイプハウスの内部方向に押し付ける剥離防止部材としてのマイカー線を一時的に掛止可能な掛止保持手段を設けた被覆部材の飛び出しを防止する飛出防止部と、被覆部材の移送手段が設けられた移送ガイド部とを備えた展張本体部と、パイプハウスのパイプを挟持し得る固定手段を備えたベース本体部とから構成され、展張本体部をベース本体部から着脱自在に設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパイプが連設されて構成されたパイプハウスで使用する被覆部材の展張器具であって、
前記被覆部材をパイプハウス内部方向に押し付ける剥離防止体を一時的に掛止保持が可能な掛止保持手段を設けた被覆部材の飛び出しを防止する飛出防止部と被覆部材の移送手段が設けられた移送ガイド部とを備えた展張本体部と、
パイプハウスのパイプを挟持し得る固定手段を備えたベース本体部とから成り、
前記ベース本体部には展張本体部を係合可能な係合手段が設けられ、展張本体部をベース本体部から着脱自在に設けたことを特徴とする展張器具。
【請求項2】
複数のパイプが連設されて構成されたパイプハウスで使用する被覆部材の展張器具であって、
前記被覆部材の飛び出しを防止する第一飛出防止部と、
被覆部材をパイプハウス内部方向に押し付ける剥離防止体を一時的に掛止保持が可能な掛止保持手段を設けた被覆部材の飛び出しを防止する第二飛出防止部と、
第一飛出防止部と第二飛出防止部とが設けられた展張本体部と、
パイプハウスのパイプを挟持し得る固定手段を備えたベース本体部とから成り、
前記第一飛出防止部と第二飛出防止部とでパイプハウスの長手方向に被覆部材を移送する移送路を形成し、被覆部材の広がりを抑制する位置に被覆部材の移送手段が設けられたことを特徴とする展張器具。
【請求項3】
前記ベース本体部には展張本体部を係合可能な係合手段が設けられ、展張本体部をベース本体部から着脱自在に設けたことを特徴とする請求項2記載の展張器具。
【請求項4】
前記第二飛出防止部は、パイプハウスの長手方向に対して前記第一飛出防止部と垂直に向かい合わない位置に設けられたことを特徴とする請求項2又は3記載の展張器具。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用パイプハウスに展張するビニール等の透明樹脂シートを張る展張作業に使用する展張器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農業用に使用されるパイプハウスは、金属製のパイプ等で骨組みし構成されたもので、骨組み全体を覆うようにビニール等の透明樹脂シート(以下、透明樹脂シートと記す。)を張り、その上から弾性のあるロープ等の弾性体で形成された剥離防止体(以下、マイカー線と記す。)で押え付けて透明樹脂シートが骨組みから剥離することを防止することで、パイプハウスの内部の気密性をあげ、パイプハウス内で作物の栽培を行えるように構成されている。この透明樹脂シートは、毎年、農作物の栽培時期にのみパイプハウスに張られ、栽培が終了すると取り除かれる。
【0003】
農業用のパイプハウスは、アーチ状の屋根部を形成するアーチパイプ(耐腐食性があり、強度に優れた金属素材で形成されている)が長手方向に均等間隔を空けて平行に配置され、アーチパイプに内接され長手方向に水平に設置された梁部によって構成されている。透明樹脂シートをパイプハウスに張る器具及び張設作業には、パイプハウスの屋根部の頂点上を長手方向に設置された骨組みの梁部に対して、上部にローラを備えた支柱で形成された器具と、その器具を掛止させ、ローラ上をパイプハウスの一端側から長手方向の他端側までロール状に巻かれた透明樹脂シートを引き上げ、屋根部を覆うように透明樹脂シートを張る作業方法が、特公平06−095861号公報に技術開示されている。また、屋根部の高さが高いパイプハウス、例えば、屋根部の頂点の高さが2mを越すパイプハウスにおいては、パイプハウスの側面部の上端を形成し長手方向に延びる骨組みの梁部に設置する器具と、この器具を使用し、予め、透明樹脂シートを地上から補助具上まで持ち上げパイプハウスの長手方向に延ばしておいてから屋根部方向に透明樹脂シートを引き上げ、屋根部を覆うように行う作業方法が特許第2967345号公報に技術開示されている。
【特許文献1】特公平06−095861号公報
【特許文献2】特許第2967345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特公平06−095861号公報に開示されている屋根部の最高点(頂上点)上において、パイプハウスの長手方向への透明樹脂シートを引き上げる作業方法の場合には、展張装置だけでなく展張装置を構成する各器具も大型で扱い難く、全体的に展張装置のコストは高く、展張装置の設置及び撤去に多くの時間が必要であり、展張装置の扱いには熟練を要した。また、パイプハウスの屋根部の最高点上を長手方向に向かって、展張装置を取り付ける場合には、作業者がパイプハウス内の梁部に立って行っていたので、足場が不安定であり、頭上以上の位置での取り付け及び撤去作業は、大変危険な作業であった。毎年、このような大掛かりな施工及び撤去を繰り返して行わなければならなかった。また、この技術の場合にはパイプハウスの屋根の最高点を利用するために風の影響を受け易く、作業を行う上で天候を考慮して、風のない時に行うしかなかった。
【0005】
また、特許第2967345号公報に開示されている張設補助具を使用して行う作業方法の場合には、パイプハウスに取り付けが掛止具をアーチパイプと梁部に引っ掛けて使用しているため、透明樹脂シートを持ち上げて張設補助具の載置部に透明樹脂シートを載置する際に、張設補助具のガード部に透明樹脂シートが引っ掛かり、張設補助具がパイプハウスから外れてしまったり、透明樹脂シートを破いてしまったりすることがあった。また、作業中に風が吹くと透明樹脂シートが上方に煽られ、ガード部を乗り越えてしまうことがあり、ガード部の上端に突出した軸部に引っ掛り、破れてしまうことがあった。更に、桜桃等の栽培に使用する高さ5mを超えるようなパイプハウスの場合には、パイプハウスの側面の上端に設置する張設補助具では、その位置から屋根部を覆うように透明樹脂シートを反対側面まで引き上げるのは、非常に労力が必要であった。また、複数のパイプハウス棟を連なって設置されたパイプハウス群においては、パイプハウスの梁部に雨樋を設けられていて、その雨樋に作業者が乗った状態で透明樹脂シートを張るので、特公平06−095861号に開示された張設補助具は使用できない。そして、この張設補助具の場合には、掛止具が3箇所あるためにパイプハウスから外す時に、透明樹脂シートに引っ掛からないように慎重に作業を行わなければならず、煩わしさがあった。
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するために、透明樹脂シートを張る作業を軽減させ、着脱が容易且つ安価な展張器具で多少の風が吹いても影響を受けずに透明樹脂シートを屋根部に張る作業を可能にするパイプハウス用の展張器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため、請求項1の本発明は、複数のパイプが連設されて構成されたパイプハウスで使用する被覆部材の展張器具であって、前記被覆部材をパイプハウス内部方向に押し付ける剥離防止体を一時的に掛止保持が可能な掛止保持手段を設けた被覆部材の飛び出しを防止する飛出防止部と被覆部材の移送手段が設けられた移送ガイド部とを備えた展張本体部と、パイプハウスのパイプを挟持し得る固定手段を備えたベース本体部とから成り、
前記ベース本体部には展張本体部を係合可能な係合手段が設けられ、展張本体部をベース本体部から着脱自在に設けた構成によって達成される。
【0008】
このため、請求項2の本発明は、複数のパイプが連設されて構成されたパイプハウスで使用する被覆部材の展張器具であって、前記被覆部材の飛び出しを防止する第一飛出防止部と、被覆部材をパイプハウス内部方向に押し付ける剥離防止体を一時的に掛止保持が可能な掛止保持手段を設けた被覆部材の飛び出しを防止する第二飛出防止部と、第一飛出防止部と第二飛出防止部とが設けられた展張本体部と、パイプハウスのパイプを挟持し得る固定手段を備えたベース本体部とから成り、前記第一飛出防止部と第二飛出防止部とでパイプハウスの長手方向に被覆部材を移送する移送路を形成し、被覆部材の広がりを抑制する位置に被覆部材の移送手段が設けられた構成によって達成される。
【0009】
このため、請求項3の本発明は、請求項2の記載において、前記ベース本体部には展張本体部を係合可能な係合手段が設けられ、展張本体部をベース本体部から着脱自在に設けた構成によって達成される。
【0010】
このため、請求項4の本発明は、請求項2又は3の記載において、前記第二飛出防止部は、パイプハウスの長手方向に対して前記第一飛出防止部と垂直に向かい合わない位置に設けられた構成によって達成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1および請求項3によれば、展張本体部をベース本体部から着脱自在に設けたので、高所で行う展張器具の取り付け及び取り外しのための作業を削減できる。また、パイプハウスの棟の増設時にも、複数の展張器具を購入しなくてもベース本体部だけを購入すれば、既存の展張本体部を装着することで展張器具として機能させることが可能になる。また、パイプハウスの雨樋を利用して作業を行うため、展張器具の取り付けまたは撤去作業を安全に行うことが可能になる。
【0012】
本発明の請求項2によれば、透明樹脂シートを移送する前に予め行う必要があった透明樹脂シートの結束作業を削減することが可能になり、移送中の透明樹脂シートの広がりを抑制しながら透明樹脂シートの移送及び展張作業をスムーズに行うことが可能になる。
【0013】
本発明の請求項4によれば、第二飛出防止部をパイプハウスの長手方向に対して垂直に向き合わない位置に配置したので、第一飛出防止部に設けられた移送手段と第二飛出防止部に設けられた移送手段との隙間に移送される透明樹脂シートが噛み込まれてしまうことがない。また、透明樹脂シートを予め結束することなく移送中の透明樹脂シートの広がりを抑制しながら透明樹脂シートの移送及び展張作業をスムーズに行え、展張器具を小型化することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、各図を参照し、本発明の実施の形態について説明する。 図1は、本発明の第1の実施の形態の展張器具10をパイプハウス1に設置した斜視図である。パイプハウス1は、金属製のパイプ等からなるアーチパイプ2をパイプハウス1長手方向に適宜間隔を空けて連ねて立設させ、アーチパイプ2に内接しパイプハウス1の長手方向に地面と水平に設けられた複数の梁部3(屋根梁部3a、側面梁部3b)とにより骨組みされて構成されている。また、同形状のパイプハウス1の側面部1bを連結して何棟も連設させて設置する場合には、パイプハウス1間に雨樋4が設けられ、透明樹脂シート60の展張作業時には、この雨樋4上に作業者が載り、屋根部1a上の展張作業を行っている。尚、被覆部材として透明樹脂シート60で説明を行っているが、フィルム状の部材、網状の部材等であっても良く、材質においても、ポリエチエン、塩化ビニルやポリプロピレン等の合成樹脂等この限りではない。
【0015】
パイプハウス1には、屋根部1aと側面部1bと出入口面部1cとで形成された骨組みに、透明な樹脂素材(ビニール等)から成る透明樹脂シート60を被覆して使用する。更に、透明樹脂シートが風に煽られてパイプハウス1から剥がれてしまわないように透明樹脂シートの上からパイプハウス1にしっかりと固定するために弾性部材から成る剥離防止体(以下、マイカー線と記す。)でパイプハウス1内部方向に押下する。パイプハウス1の全体を透明樹脂シート60で被覆することで、外部からパイプハウス1内部への雨や風の進入を防ぎ、安定した条件下でパイプハウス1内での農作物の栽培を可能とするものである。展張器具10は、パイプハウス1の屋根部1aに設けられ、パイプハウス1の側面部1b近傍の屋根梁部3aに、移送ガイド部13が地面とほぼ水平になるような角度で、ベース本体部20に設けられた固定手段21によりベース本体部20を取り付け、展張本体部15を係合させてから使用するものである。透明樹脂シート60を移送ガイド部13上に誘導し、移送ガイド部13に設けられたローラ等から成る移送手段14により、パイプハウス1の長手方向に透明樹脂シート60を移送可能に成している。
【0016】
本発明の第1の実施例の展張器具10の構造について説明する。 図2は、本発明の第1の実施の形態の展張器具10外観斜視図であり、展張本体部15をベース本体部20に係合した使用時の状態図である。 図3は、本発明の第1の実施の形態の展張器具10外観斜視図であり、展張本体部15をベース本体部20から取り外した状態図である。展張器具10は、掛止保持部11と、飛出防止部12と、移送ガイド部13と、展張本体部15と、ベース本体部20とで構成されている。掛止保持部11と、飛出防止部12と、移送ガイド部13と、展張本体部15とが連設されて構成されていて、飛出防止部12と移送ガイド部13とは、略くの字形状に湾曲もしくは屈曲した金属製のパイプ等で形成され、飛出防止部12と移送ガイド部13との連結部に形成された突部がパイプハウス1の屋根部1aの低い方を向くように展張本体部15に設けられている(図1参照)。飛出防止部12の上部には、金属素材(例えば、アルミやステンレス等)のパイプ等を湾曲もしくは屈曲させて形成した凹部にマイカー線を一時的に掛止可能に成した掛止保持部11が設けられている。飛出防止部12の表面は、透明樹脂シート60の負荷にならないように突部のなく滑らかに形成されており、移送ガイド部13の上部に連結している。尚、ここでの説明では、飛出防止部12には透明樹脂シート60の移送を促す移送手段はもうけられていないが、ローラ等の移送手段を設けてもこの限りではない。移送ガイド部13には、透明樹脂シート60をパイプハウス1の長手方向に移送するためのローラ等から成る移送手段14が設けられていて、展張本体部15に連結している。展張本体部15は、平面体により形成され、後述するベース本体部20の係合手段22に設けられた係合案内部22aにスライド挿入することで、ベース本体部20に係合可能と成しているので、容易に展張本体部15をスライドでき、ベース本体部20から着脱自在に形成されている。(図2、図3参照) ベース本体部20は、展張本体部15を係合可能な係合手段22と、ベース本体部20をパイプハウス1の屋根部1aに設けられた屋根梁部3aに取り付けるための固定手段21とで構成されている。固定手段21の少なくとも内面の一部が屋根梁部3aを外周と面接触するように成していているので、しっかりと屋根梁部3aに固定することができる。また、パイプハウス1の種類により屋根部1aの傾斜角度や形状が異なるので、展張器具10を適切な状態に取り付けするために、固定手段21により屋根梁部3aに対してベース本体部20の取り付け位置や角度を自在に調整できるように成している。ベース本体部20に設けられた係合手段22は、略コの字の矩形状を成した係合案内部22aで構成され、上部及び側面の一部が開口し、係合案内部22a内部に展張本体部15がスライド挿入されることでしっかりと係合可能に成している。係合案内部22aにより展張本体部15は上下方向にスライド自在に設けられているので、展張本体部15を取り外す際にも容易に行えるようになっている。また、係合案内部22aにより展張本体部15としっかりと係合しているので、透明樹脂シートの牽引を行う際に生じるパイプハウス1の長手方向への力によって、ベース本体部20から展張本体部15が外れてしまうようなことはない。
【0017】
続いて、本発明の第1の実施の形態の展張器具10をパイプハウス1へ取り付ける方法について説明する。 パイプハウス1の骨組みであるアーチパイプ2には、パイプハウス1の長手方向に伸びた複数の梁部3がアーチパイプ2に内接されている。本発明の展張器具10は、パイプハウス1の屋根部1aに内接して設置された屋根梁部3aのうち、雨樋4の近傍で作業の行い易い高さに位置する屋根梁部3a且つアーチパイプ2の近傍にベース本体部20を固定する。この時に、展張器具10の飛出防止部12と移送ガイド部13との連結部に相当する突部をパイプハウス1の屋根部1aの下方側を向くように展張本体部36に取り付け、飛出防止部12と移送ガイド部13との連結部が屋根梁部3aよりも高い位置に調整し、ベース本体部20に設けられた固定手段21のネジ等を締め付けることで屋根梁部3aに固定する(図1参照)。
【0018】
続いて、本発明の第1の実施の形態の展張器具10を用いた透明樹脂シート60の展張作業について説明する。 上記展張器具10の取り付け作業を終了すると図1のような状態になる(図1参照)。図4は、本発明の第1の実施の形態の展張器具10内において、牽引中に移送される透明樹脂シートの状況をパイプハウス1の出入口面部1c側から見た説明図である。透明樹脂シート60の展張作業者は、展張器具10の取り付け後、パイプハウス1の雨樋4上に立ち、マイカー線を持ち上げて展張器具10の掛止保持部11に掛止させる。パイプハウス1の一方側の出入口側面部1cの近傍に取り付けた展張器具10の移送ガイド部13上からマイカー線の下を通すようにして、隣接設置した展張器具10の移送ガイド部13へと順次にパイプハウス1のもう一方の出入口側面部1cの近傍に取り付けた展張器具10まで牽引していく。この場合に透明樹脂シート60の一片を結束し、牽引ロープに接続して、ウインチ等の動力源を用いて自動的に牽引するよう成しても良い。
【0019】
展張器具10の内部において、パイプハウス1の長手方向に牽引された透明樹脂シート60を展張器具10の外部に出して、パイプハウス1の反対側面側へ引き伸ばし、マイカー線を展張器具10の掛止保持部11から掛止状態を解除して、透明樹脂シート60をしっかりと固定する位置に配置する。続いて、展張器具10をベース本体部20より取り外し、作業者が立っている雨樋4側まで透明樹脂シート60を引き伸ばし、それぞれの位置合わせを行って固定することでパイプハウス1の屋根部1aにおける透明樹脂シート60の展張作業は終了する。
【0020】
展張器具10は、従来のようにパイプハウス1から展張器具10を外すためにネジ等を操作するのではなく、展張本体部15をベース本体部20から引き抜くだけで、容易に取り外すことができるので作業の煩わしさがなく、高齢者や女性でも作業が行え、作業時間の短縮に繋がるものである。また、次のパイプハウス1の屋根梁部3aに予め取り付けておき、取り外した展張本体部15をベース本体部20に挿入すれば、次々と作業を進めることが可能になる。一度、取り付けたベース本体部20は取り外す必要がないので、次の作業時には、展張本体部15を挿入するだけで、透明樹脂シート60の展張作業を開始することが可能になる。更に、ベース本体部20への係合を共通に設けて、後述する第2の実施の形態の展張本体部30や第3の実施の形態の展張本体部50等を天候や作業条件等に合わせて交換できるように成しても良い。
【0021】
続いて、本発明の第2の実施の形態の展張器具30について説明する。 図5は、本発明の第2の実施の形態の展張器具30外観斜視図であり、展張本体部35をベース本体部20から取り外した状態図である。図6は、本発明の第2の実施の形態の展張器具30内において、牽引中に移送される透明樹脂シート60の状況をパイプハウス1の出入口面部1c側から見た説明図である。展張器具30は、第一飛出防止部32と、第二飛出防止部33と、展張本体部35と、ベース本体部20とで構成されていている。第一飛出防止部32と第二飛出防止部33とは略くの字状に湾曲した金属製のパイプ等で形成され、パイプハウス1の長手方向に対して垂直に向かい合わない位置で展張本体部36に接続されている。第一飛出防止部32と第二飛出防止部33とで囲まれて形成される空間が、パイプハウス1の長手方向に対して移送路37を形成している。そして、展張本体部35は、平面体により形成され、ベース本体部20の係合手段22に設けられた係合案内部22aにスライド挿入することで、ベース本体部20に係合可能と成しているので、容易に展張本体部35をスライドさせることができ、ベース本体部20から着脱自在に形成されている。
【0022】
第一飛出防止部32の上部には、金属製のパイプ等を湾曲もしくは屈曲させて形成した凹部にマイカー線を一時的に掛止可能に成した掛止保持部31が設けられている。第一飛出防止部32と第二飛出防止部33の下部には、透明樹脂シート60をパイプハウスの長手方向に移送するためのローラ等から成る第一移送手段34、第二移送手段35が設けられている。そして、
移送中の透明樹脂シートの広がりを抑制するように移送路37の下面は、第一移送手段34と第二移送手段35が下方に向かって窄むようにV字に配置され、第一移送手段34と第二移送手段35の下部はパイプハウス1の出入口面部1cから見るとオーバーラップしている。第一飛出防止部32は湾曲した突部をパイプハウス1の屋根部1aの下方側を向くように展張本体部36に取り付けられ、第二飛出防止部33は湾曲した突部をパイプハウス1の屋根部1aの頂点方向を向くように展張本体部36に取り付けられている(図6参照)。そして、第二飛出防止部33は、第一飛出防止部32よりも短く形成されているので、第一飛出防止部32と第二飛出防止部33の間には屋根部1aの頂点方向に隙間があり、透明樹脂シート60を広げる際にはその隙間から透明樹脂シート60を取り出すことが可能に成している。尚、ベース本体部20は第1の実施の形態で説明を行ったベース本体部20と共通である。第2の実施の形態は、第1の実施の形態よりも透明樹脂シート60の移送力を向上させ、風の煽りを受けても透明樹脂シート60の移送に影響され難く構成されている。
【0023】
続いて、本発明の第3の実施の形態の展張器具50について説明する。 図7は、本発明の第3の実施の形態の展張器具50外観斜視図であり、展張本体部55をベース本体部20から取り外した状態図である。図8は、本発明の第3の実施の形態の展張器具50内において、牽引中に移送される透明樹脂シート60の状況をパイプハウス1の出入口面部1c側から見た説明図である。展張器具50は、第一飛出防止部52と、第二飛出防止部53と、移送ガイド部54と、展張本体部55と、ベース本体部20とで構成されていている。展張本体部55は、平面体により形成され、移送ガイド部54の下面と連結されている。展張本体部55をベース本体部20の係合手段22に設けられた係合案内部22aにスライド挿入することで、ベース本体部20に係合可能と成しているので、容易に展張本体部55をスライドすることができ、ベース本体部20から着脱自在に形成されている。
【0024】
第一飛出防止部52と第二飛出防止部53とはローラガイド部52a、53aと移送ローラ52b、53bで形成され、第一飛出防止部52と、第二飛出防止部53と、移送ガイド部54によって囲まれて形成される空間が、パイプハウス1の長手方向に対して移送路56を形成している。第一飛出防止部52の上部には、金属製のパイプ等を湾曲もしくは屈曲させて形成した凹部にマイカー線を一時的に掛止可能に成した掛止保持部51が設けられている。移送ガイド部54には、ガイド面54aよりも多少高い位置に、その上面が位置する導入ローラ54bが設けられている。尚、パイプハウス1の屋根部1aが平面状を成した種類の場合には、導入ローラ54bを設けずに、移送ガイド部54のガイド面54aを屋根梁部3aに対して平行且つ屋根梁部3aの上面よりも低い位置に設置することで、透明樹脂シート60の移送を行う構成としても良い。
【0025】
第一飛出防止部52と第二飛出防止部53は上方に向かって移送路56を窄める向きに傾斜している。移送路56をパイプハウス1の出入口面部1cから見ると第一飛出防止部52と第二飛出防止部53と移送ガイド部54で形成された三角形状を成している。この三角形状の移送路56にすることで、移送中及び風に煽られるような場合の透明樹脂シート60の広がりを抑制することが可能になる。更に、第一飛出防止部52と第二飛出防止部53とがパイプハウス1の長手方向に対して垂直に向かい合っていないので、第一飛出防止部52と第二飛出防止部53との間には上方に向かって隙間があるので、透明樹脂シート60を撓ませることで上方に引き抜けるように成している。
【0026】
第二飛出防止部53の構造において、移送ローラ53bの下端は、ローラガイド部53aの下方に位置する移送ガイド部54との連結部に設けられた開口部57を貫通し、ローラガイド部53aの下端面に軸支持されている。移送ローラ52bとほぼ同径を成す開口部57に移送ローラ52bを貫通させることで、移送中の透明樹脂シート60の噛み込みを回避することが可能になる。尚、ベース本体部20は第1の実施の形態で説明を行ったベース本体部20と共通である。第3の実施の形態は、第1の実施の形態よりも透明樹脂シート60の移送力を向上させ、風の煽りを受けても透明樹脂シート60の移送に影響され難く構成され、更に展張器具の小型化を可能とする。
【0027】
更に、第二飛出防止部53を移送ガイド部54に対してスライド自在に設け、移送路56の大きさを拡縮自在に成すことで、様々な種類の透明樹脂シート60の使用にも対応でき、透明樹脂シート60の広がりを抑制し噛み込みを防止するような構成としても良い。第二飛出防止部53をスライド自在に設けることで、移送した透明樹脂シート60を展張器具50の移送路56から容易に取り出すことが可能となる。また、第一飛出防止部材52又は第二飛出防止部材53のどちらか一方を、移送ガイド部54もしくは展張本体部55に対して付勢手段(例えば、バネ等)を設けてスライド自在にし、移送路56を狭める方向に第一飛出防止部52又は第二飛出防止部53が付勢されているように作用する構成としても良い。付勢手段により移送路56を狭める方向に第一飛出防止部52又は第二飛出防止部53が作用することで、移送路56内を移送される透明樹脂シート60の広がりを抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態の展張器具を設置したパイプハウスの斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の展張器具の外観斜視図であり、展張本体部をベース本体部に係合した使用時の状態図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の展張器具の外観斜視図であり、展張本体部をベース本体部から取り外した状態図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態の展張器具内において、牽引中に移送される透明樹脂シートの状況をパイプハウスの出入口面部側から見た説明図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態の展張器具の外観斜視図であり、展張本体部をベース本体部から取り外した状態図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態の展張器具内において、牽引中に移送される透明樹脂シートの状況をパイプハウス1の出入口面部側から見た説明図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態の展張器具の外観斜視図であり、展張本体部をベース本体部から取り外した状態図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態の展張器具内において、牽引中に移送される透明樹脂シートの状況をパイプハウスの出入口面部側から見た説明図である。
【符号の説明】
【0029】
1 パイプハウス 2 アーチパイプ 3 梁部 10、30、50 展張器具 11、31、51 掛止保持部 12 飛出防止部 13、54 移送ガイド部 14 移送手段 15、36、55 展張本体部 20 ベース本体部 21 固定手段 22 係合手段 22a 係合案内部 32、52 第一飛出防止部 33、53 第二飛出防止部 56 移送路 60 被覆部材(透明樹脂シート)
【出願人】 【識別番号】000162906
【氏名又は名称】狭山精密工業株式会社
【住所又は居所】埼玉県狭山市富士見2丁目15番1号
【出願日】 平成15年12月26日(2003.12.26)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−185243(P2005−185243A)
【公開日】 平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願番号】 特願2003−433895(P2003−433895)