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【発明の名称】 コケ植生屋根
【発明者】 【氏名】末松 大吉

【氏名】出雲 昭徳

【要約】 【課題】屋根面上にコケ培地マットを確実に取り付けると共に、コケ培地マットの敷設状態を安定させ、また、屋根を流下する雨水の流れをコケ培地マットが阻止することがなく、雨水が屋根をスムーズに流下していくことができるようにしたコケ植生屋根の提供。

【解決手段】屋根面との間に雨水の流下空間Sを保持して屋根面の全面又は部分面を覆うように多孔支持材2が取り付けられ、この多孔支持材の上に、上面がコケ植生面31に形成された板状のコケ培地マット3が取り付けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根面との間に雨水の流下空間を保持して屋根面の全面又は部分面を覆うように多孔支持材が取り付けられ、この多孔支持材の上に、上面がコケ植生面に形成された板状のコケ培地マットが取り付けられているコケ植生屋根。
【請求項2】
請求項1記載のコケ植生屋根において、前記多孔支持材が金網であり、この金網が緊張状態に張設されているコケ植生屋根。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、コケ植生屋根に関し、詳しくは、建築物の屋根面をコケによって緑化させるための緑化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
都市圏におけるヒートアイランド現象の対策として、従来、建築物等の屋根をコケ等によって緑化するようにした技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
この従来技術は、苔を保持する保持シート(不織布や綿)と、この保持シートに保持された苔を生育させる空間を有する基材(合成樹脂製のパイル糸を立体的に編成又は織成)と、で構成されたコケ植生材の技術であって、このコケ植生材を屋根に設置するような場合、例えば、トタン板に接着剤やテープで貼り付けるようにしたものであった(特許文献1の段落「0041」に記載)。
【0004】
しかしながら、従来技術のように、コケ植生材を屋根に設置する場合、屋根材となる瓦やトタン板に接着剤やテープで直接に貼り付けると、特に、瓦やトタン板のように表面に凹凸があるものでは、コケ植生材の貼り付けが不確実になりがちであり、コケ植生材の敷設状態が不安定になる。
又、屋根にコケ植生材を屋根に設置する場合、屋根の上に降った雨水の流下を確保しながらコケ植生材を設置する必要があるもので、従来のように、屋根材に接着剤やテープで直接に貼り付けるようにすると、コケ植生材が雨水の流下を阻止してしまい、この結果、雨水の圧力によってコケ植生材が押し流されて屋根からズレ落ちてしまうなどの問題が生じてしまう。
【特許文献1】特許公開2002−153120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたもので、それ自体に剛性を持たせた板状のコケ培地マットをコケ植生材として用い、そして、屋根面に多孔支持材を取り付け、この多孔支持材をコケ培地マットの取り付け部材及び支持部材として使用することで、コケ培地マットを確実に取り付けると共に、コケ培地マットの敷設状態を安定させる。
また、屋根を流下する雨水の流れをコケ培地マットが阻止することがなく、雨水が屋根をスムーズに流下していくことができるようにしたコケ植生屋根を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明のコケ植生屋根(請求項1)は、
屋根面との間に雨水の流下空間を保持して屋根面の全面又は部分面を覆うように多孔支持材が取り付けられ、この多孔支持材の上に、上面がコケ植生面に形成された板状のコケ培地マットが取り付けられている構成とした。
【0007】
この場合、前記多孔支持材が金網であり、この金網が緊張状態に張設されている態様(請求項2)がある。
【発明の効果】
【0008】
本発明のコケ植生屋根では、コケ培地マットが、板状に成型して形成されたものであるため、このコケ培地マット自体に剛性を持たせることができる。
そして、屋根面に多孔支持材(金網)を取り付け、この多孔支持材の上に前記コケ培地マットを取り付けて敷設しているため、屋根面にコケ培地マットを確実に取り付けることができるし、コケ培地マットの敷設状態を安定させることができる。
【0009】
また、コケ培地マットを屋根面に直接に取り付けるのではなく、多孔支持材を、屋根面との間に雨水の流下空間を保持して取り付けているため、屋根を流下する雨水の流れをコケ培地マットが阻止することがないし、屋根に降った雨水をスムーズに流下させることができる。
従って、コケ植生材が雨水の流下を阻止してしまい、この結果、雨水の圧力によってコケ植生材が押し流されて屋根からズレ落ちてしまうといった問題を解決できる。
又、屋根を流下する雨水の流れが確保されているため、土砂等の粉塵等が屋根上やコケ培地マット上に堆積するのを雨水によって流し除去させることができ、この粉塵等の堆積部分に雑草等が生えるのを防止できる。
【0010】
又、本発明のコケ植生屋根は、コケによる熱吸収作用によって屋根断熱効果を得ることが本来の目的であるが、上記のように、屋根面とコケ培地マットの間に雨水の流下空間が保持されているため、この流下空間による断熱効果も得ることができ、より一層の屋根断熱効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のコケ植生屋根は、コストを安価にさせると共に、施工を簡易にさせるため、多孔支持材として金網を用いるのが好ましい。
【実施例】
【0012】
図1はコケ植生屋根の切欠平面図、図2は図1のA−A断面図、図3は図1のB−B断面図である。
本実施例のコケ植生屋根は、瓦1を屋根材として用いた傾斜屋根を対象とした例であり、屋根面には、瓦1の湾曲によって生じた凹溝10が、多数の筋状になって屋根傾斜方向に延長して形成されている。
【0013】
多孔支持材は、コケ培地マット3の取り付け部材及び支持部材としての機能を持つもので、金網2が用いられ、この金網2が、前記屋根面との間に、前記凹溝10による雨水の流下空間Sを保持して屋根面の全面(部分面でもよい)を覆うように取り付けられている。
多孔支持材としての前記金網2は、錆びの発生を抑えるために表面がビニールやメッキ等によって被覆され、ジグザグ状に屈折したの針金材を多数連結していくことで網状に形成され、左右の側枠材20,20、下辺枠材21、上辺枠材22を方形に枠組みした枠体の内部に緊張状態で張設されている。
なお、金網2の網目の大きさは、50mm×50mmとしているが、コケ培地マット3を安定良く敷設できると共に、コケ培地マット3を透過した雨水が、この金網2(多孔支持材)を通過して屋根面上に至るに支障がないような大きさであればよい。
【0014】
この場合、実施例では、前記左右の側枠材20,20を、図2に示すように屋根のけばらにおける破風51に固定し、前記下辺枠材21を図3に示すように屋根の軒先における鼻隠し52に固定し、又、図示省略したが、前記上辺枠材22及び金網2を瓦1と瓦1の隙間を通した針金で野地板53や桟木54や垂木55に固定することで、金網2を屋根面の全面を覆うように取り付けている。
【0015】
又、前記金網2は、瓦1(屋根材)を上から押えるように張設されており、これにより、金網2(多孔支持材)を、単にコケ培地マット3の支持部材として機能させるだけでなく、瓦1(屋根材)の剥離止め部材としても機能させるようにしている。
【0016】
コケ培地マット3は、それ自体に剛性を持たせるように、不定形に連なった多数本の繊維や糸条を絡ませながら集積させて板状(実施例では方形板状)に成型したもので、その上面がコケ植生面31に形成されている。
このコケ培地マット3は、前記金網2の上に、敷き詰め状態に敷設されており、この場合、コケ培地マット3の数ヶ所に針金35を通して前記金網2に引っ掛けることで、コケ培地マット3を金網2の上に固定させるようにしている。このとき、隣り合うコケ培地マット3,3同士の間に若干の隙を持たせて敷設しても良いし、隙なく敷設しても良い。
【0017】
コケ培地マット3の素材としては、例えば、ヘチマ繊維、ヤシ繊維、その他の植物繊維、熱可塑性樹脂製糸条(例えば、モスネット協会製作、商品名:モスフラット)、布(織布、不織布繊維)等が用いられ、これらを単独、あるいは組み合わせて板状に成型するようにしている。
そして、このコケ培地マット3上にコケ植物を手撒き或いは育苗用シート等を利用して播種し、栽培していくことで、コケ培地マット3の上面をコケ植生面31に形成させるもので、このとき、コケ培地マット3に、透水性及び適度の保水性を持たせて、コケ植物の生育に必要な水分を確保させるように形成させている。
前記コケ植生面31については、成長したコケをコケ培地マット3の上面に固定させることで形成させることもできる。、
【0018】
なお、屋根の緑化に関しては、屋根に雑草が生えないようにさせ、また、雨樋が土砂等で詰まらないようにすることが要求される。
そこで、本発明では、屋根の緑化植物として、根がなく、土を必要とせずに生育できるコケに着目したものである。
【0019】
又、この実施例では、図で示すように、敷設したコケ培地マット3の上を網体4で覆うようにしており、これにより、強風等によってコケ培地マット3の取り付けが外れた場合でも、コケ培地マット3が屋根から脱落するのを防止させることができる。
なお、このようなコケ培地マット3の上を網体4で覆う構成は、必ずしも必要でない。
【0020】
なお、本発明のコケ植生屋根の構成は、実施例で示した瓦屋根以外に、折板屋根、スレート屋根、トタン屋根、金属屋根等に適用できるもので、要は、多孔支持材を取り付けたときに、屋根面との間に雨水の流下空間が保持される屋根については、本発明を適用できる。
【0021】
又、多孔支持材としては、金網に限らず、プラスチック製網、組み立て金網、溶接金網、プラスチックネット、パンチングパネル、エキスパンパネル、多孔パネル等を用いることができるし、屋根への取り付け構造も、要は、屋根面との間に雨水の流下空間を保持して屋根面の全面又は部分面を覆うように取り付けたものであれば良い。
また、多孔支持材で屋根面を覆う場合に、一枚の多孔支持材で屋根面を覆うようにしてもよいし、また、複数枚の多孔支持材を組み合わせて屋根面を覆うようにしてもよい。
【0022】
又、コケ培地マットについても、その材質に限定はなく、それ自身が剛性を持つように板状に成形したものであって、その上面がコケ植生面に形成されていればよい。
また、コケ培地マットの保水性を向上させるために、例えば、コケ培地マットに保水性骨材等を組み込むことができる。
この場合には、上下に繊維層を配し、その間に保水性骨材等を挟み込んで、保水性骨材等が流出しないようにするのが望ましい。
なお、保水性骨材としては、パミス(大江化学社製商品)、ゼオライト、珪藻土等の多孔性骨材を、粒状のまま、あるいはセメントや接着剤で板状等に固めて使用することができる。
又、このコケ植生面に植生させるコケについても、スナゴケ、ハイゴケ、スギゴケ等、コケ類全般を使用できる。
【0023】
また、コケの効果的な生育には、コケ培地マットに適度の湿気を持たせておくことが必要になるが、そのための手段として、例えば、屋根にスプリンクラー等の散水装置を設備させて、定期的、或いは必要に応じてコケ培地マット上に散水させるようにすることができる。
【0024】
又、本発明のコケ植生屋根では、屋根面の全面をコケ培地マットで覆うのではなく、作業者が歩けるような管理用通路を設けておくことが望ましい。
この場合、例えば、隣り合う多孔支持材同士を、歩行用の間隔を空けて屋根面上に取り付けることで、屋根面の上に管理用通路を形成したり、あるいは、隣り合うコケ培地マット同士を、歩行用の間隔を空けて多孔支持材上に取り付けることで、多孔支持材の上に管理用通路を形成したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例のコケ植生屋根を示す切欠平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB−B断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 瓦
10 凹溝
2 金網(多孔支持材)
20 側枠材
21 下辺枠材
22 上辺枠材
3 コケ培地マット
31 コケ植生面
35 針金
4 網体
51 破風
52 鼻隠し
53 野地板
54 桟木
55 垂木
S 流下空間
【出願人】 【識別番号】391032864
【氏名又は名称】末松 大吉
【出願日】 平成15年12月24日(2003.12.24)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−185104(P2005−185104A)
【公開日】 平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願番号】 特願2003−426642(P2003−426642)