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【発明の名称】 植物苗の処理装置及び処理方法
【発明者】 【氏名】塩見 寛

【氏名】辻本 建男

【氏名】小坂 能尚

【氏名】木下 浩光

【氏名】笹辺 修司

【要約】 【課題】セル成型育苗トレイにて育苗された植物苗に対して弱毒ウイルス等の処理剤を、植物苗葉の表皮から、均一かつ確実に与えることのできる植物苗の処理装置を提供すること目的とする。

【解決手段】セル成型育苗トレイ3にて育苗された植物苗Sに葉1の表皮から処理剤を与える処理装置である。葉1の下方位置において植物苗Sを支持する支持手段2を備える。支持手段2は、育苗トレイ3に一列に並ぶ複数の植物苗Sの茎5を隙間を持って挟む一対の直線アーム部材6,6を有し、直線アーム部材6,6は進退駆動手段により育苗トレイ3と植物苗Sの葉1との間を通って育苗トレイ3の列方向一端側から他端側までの間を進退可能とされている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物苗(S)に葉(1)の表皮から処理剤を与える植物苗の処理装置であって、上記葉(1)の下方位置において該植物苗(S)を支持する支持手段(2)を備えることを特徴とする植物苗の処理装置。
【請求項2】
上記植物苗(S)はセル成型育苗トレイ(3)にて育苗され、上記支持手段(2)は、該育苗トレイ(3)に一列に並ぶ複数の該植物苗(S)の茎(5)を隙間(g)を持って挟む一対の直線アーム部材(6)(6)を有し、該直線アーム部材(6)(6)は進退駆動手段により該育苗トレイ(3)と該植物苗(S)の上記葉(1)との間を通って該育苗トレイ(3)の列方向一端側から他端側までの間を進退可能とされた請求項1記載の植物苗の処理装置。
【請求項3】
上記植物苗(S)は育苗トレイ(3)にて育苗され、上記支持手段(2)は、該育苗トレイ(3)に一列に並ぶ複数の該植物苗(S)の列の両側部まで接近移動し該植物苗(S)の上記葉(1)を下方から掬うように揺動して該葉(1)を下方から支持する一対の揺動支持板(11)(11)を有し、さらに、該揺動支持板(11)は、該植物苗(S)が一列に植えられるセル(13)のピッチ毎に切欠凹部(12)が形成されている請求項1記載の植物苗の処理装置。
【請求項4】
上記処理剤が液体状であって、上記育苗トレイ(3)の上方位置に、上記処理剤を上記植物苗(S)の上記葉(1)の表皮に向かって噴霧するノズル(8)を備え、該ノズル(8)は、該葉(1)の基部を略中心として環状に該処理剤を噴霧させるノズル先端部(8a)を有する請求項2又は3記載の植物苗の処理装置。
【請求項5】
植物苗(S)に葉(1)の表皮から処理剤を与える植物苗の処理方法であって、上記葉(1)の下方位置において支持手段(2)にて該植物苗(S)を支持し、該植物苗(S)の上方位置から上記処理剤を与えることを特徴とする植物苗の処理方法。
【請求項6】
上記処理剤は、付傷物を含有する液体状とされ、上記植物苗(S)の上記葉(1)に対して該処理剤を噴霧させ与える請求項5記載の植物苗の処理方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、植物苗に葉の表皮から植物ウイルス等の処理剤を与える植物苗の処理装置及び処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
植物に植物ウイルスや糸状菌、細菌が感染し発病すると、収量が減少したり品質が低下する等の被害が発生する。そこで、現在、これらの被害を予防・防止する手段の一つとして、植物苗に予め弱毒ウイルス等の処理剤を与える処理が行われている。
【0003】
そして、従来より知られる処理方法としては、以下のようなものがある。
植物苗にウイルス液をスプレーにて吹きつけ、研磨剤を付着させたローラーを植物苗に圧接回転させ、植物ウイルスの接種を行う方法がある(例えば、特許文献1参照)。
また、他の方法としては、植物苗にウイルスを吹きつけ、ブラシを植物苗に当接させ、植物ウイルスの接種を行う方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
しかし、従来の方法は、上記処理剤を噴霧させる際に、葉が垂れ下がったり、葉の向き(角度)が様々であるため、すべての苗に対して均一・確実に処理剤を与えることができないという欠点がある。つまり、不必要な箇所にも処理剤の噴霧が行われ、非常に効率が悪く、高価である処理剤の無駄使いとなり、コスト高となってしまう。
さらに、処理剤の噴霧が人手によるために、苗の場所によってウイルスの感染率にバラツキが生じ、また、作業時間がかかり能率が悪いという欠点がある。
【0005】
また、苗の葉の表皮に傷を付けるためにローラーやブラシを接触させる際、葉が垂れ下がるため、均一かつ確実に傷を付けることができなかったり、苗を押し倒して不必要な部位(例えば、茎)まで傷を付けてしまうという欠点がある。
【特許文献1】特開平4−330005号公報
【特許文献2】特開2000−201535号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする課題は、均一で確実に処理剤を与えることができず、大量の処理剤が必要となり、コスト高となる点である。また、作業時間が多くかかり能率が悪い点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る植物苗の処理装置は、植物苗に葉の表皮から処理剤を与える植物苗の処理装置であって、上記葉の下方位置において該植物苗を支持する支持手段を備えるものである。
また、上記植物苗はセル成型育苗トレイにて育苗され、上記支持手段は、該育苗トレイに一列に並ぶ複数の該植物苗の茎を隙間を持って挟む一対の直線アーム部材を有し、該直線アーム部材は進退駆動手段により該育苗トレイと該植物苗の上記葉との間を通って該育苗トレイの列方向一端側から他端側までの間を進退可能とされたものである。
または、上記植物苗は育苗トレイにて育苗され、上記支持手段は、該育苗トレイに一列に並ぶ複数の該植物苗の列の両側部まで接近移動し該植物苗の上記葉を下方から掬うように揺動して該葉を下方から支持する一対の揺動支持板を有し、さらに、該揺動支持板は、該植物苗が一列に植えられるセルのピッチ毎に切欠凹部が形成されている。
【0008】
また、上記処理剤が液体状であって、上記育苗トレイの上方位置に、上記処理剤を上記植物苗の上記葉の表皮に向かって噴霧するノズルを備え、該ノズルは、該葉の基部を略中心として環状に該処理剤を噴霧させるノズル先端部を有するも好ましい。
【0009】
また、本発明に係る植物苗の処理方法は、植物苗に葉の表皮から処理剤を与える植物苗の処理方法であって、上記葉の下方位置において支持手段にて該植物苗を支持し、該植物苗の上方位置から上記処理剤を与える。
また、上記処理剤は、付傷物を含有する液体状とされ、上記植物苗の上記葉に対して該処理剤を噴霧させ与える。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、植物苗を下方より支持するため、植物苗が倒れたり、葉が垂れ下がったりしないため、均一かつ確実に処理剤を与えることが可能となる。従って、高価な処理剤を無駄に使用することがなく、処理剤の最少化が図れ、コストダウンが可能となる。
セル中央部にて発芽していない植物苗に対しても、葉部をセル中央部上方位置へ揃えることができ、さらに、処理剤を与える際に、茎を略垂直に保持して葉を略水平に保つことができ、確実に処理剤を与えることができる。
また、セル成型育苗トレイにて育苗した植物苗に対して処理を行うため、作業が自動化・迅速化され、作業能率を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、本発明に係る植物苗の処理装置の実施の一形態を示す全体平面図であり、図2は、その側面図である。この処理装置は、植物苗Sに葉1の表皮から処理剤(有用物)を与えるものであり、対象とする植物苗Sとしては、野菜、花卉、マメ類、芝等のセル成形苗がある。
【0012】
具体的には、キュウリ、メロン、スイカ、カボチャ、カンピョウ等のウリ科作物、トマト、ナス、ピーマン、トウガラシ、トルバム、アカナス、タバコ等のナス科作物、ハクサイ、キャベツ、ブロッコリ、カリフラワー等のアブラナ科作物、レタス、サラダナ、シュンギク等のキク科作物、シソ等のシソ科作物、ミツバ、セリ等のセリ科作物、ホウレンソウ、テンサイ等のアカザ科作物、タマネギ、ネギ、ニラ等のユリ科作物、イチゴ等のバラ科作物、サツマイモ等のヒルガオ科作物、ダイズ、エンドウ、アルファルファ等のマメ科作物、イネ、シバ等のイネ科作物、パンジー、ペチュニア、アスター、インパチェンス、カーネーション、カンナ、キンギョソウ、ケイトウ、サルビア、シクラメン、ジニア、ストック、ゼラニウム、ナデシコ、ヒマワリ、ビンカ、プリムラ、ベゴニア、バーベナ、マリーゴールド、ユーストマ、ハボタン等の草花類等がある。
【0013】
この装置にて処理剤を与える植物苗Sは、セル成型育苗トレイ3(以下育苗トレイ3と呼ぶ)にて育苗するもの(作物等)を対象としており、育苗トレイ3のサイズとしては、50穴〜288穴トレイのものが使用できるが、特に、この装置における作業効率と育苗効率とを考慮すると、128穴〜200穴トレイのものが好ましい。
また、処理を行うのに適する苗サイズは、子葉苗から育苗トレイ3にて管理できる範囲なら特に制限はないが、均一な処理、処理剤の少量化を考慮すると、幼苗が好ましい。
【0014】
本発明の植物苗の処理装置について具体的に説明すると、この装置は、植物苗Sの葉1の下方位置において植物苗Sを支持する支持手段2を備えている。そして、図1と図2とが、この支持手段2を備える処理装置の全体図である。
また、この装置にて行われる処理方法は、植物苗Sに葉1の表皮から処理剤を与える植物苗の処理方法であって、葉1の下方位置において支持手段2にて植物苗S(の葉1の裏面)を支持し、植物苗Sの上方位置から処理剤を与えることにより行われる。
【0015】
なお、本発明の処理剤としては、ウイルス、微生物、その他有効物質や、各種薬液、及び付傷剤等の内の、一種、又は二種以上を適宜組み合わせたものを言う。
【0016】
以下の具体的な説明では、植物苗Sの葉1の表皮に付傷物を吹きつけ、葉1に傷を付けて薬液等を植物苗Sに与えている。
また、付傷物と薬液等の吹きつけは、同時或いは別々でもよく、別々の場合は順番はどちらが先であってもよい。つまり、薬液等を先に吹きつけ、その後、付傷物を吹きつけてもよい。
特に作業能率の点で好ましいのは、薬液等と付傷物と共に液体状とされた処理剤(混合液)を用いて、植物苗Sの葉1に対して薬液等と付傷物とを含有した処理剤(混合液)を、ノズル8にて同時に噴霧させ与える方法である。
【0017】
対象ウイルスとしては、予め植物に与えることでウイルスによる被害を回避するための弱毒株(弱毒ウイルス)以外にも、対象ウイルスに対する植物の抵抗性の強弱の判定を行うための強毒株も含まれる。
そして、ウイルスとして具体的なものとしては、アルファモウイルス属(アルファルファモザイクウイルス)、バイモウイルス属(イネえそモザイクウイルス)、カルラウイルス属(カーネーション潜在ウイルス、キクBウイルス、インパチェンス潜在ウイルス)、カルモウイルス属(メロンえそ斑点ウイルス、エンドウ茎えそウイルス)、カリモウイルス属(カリフラワーモザイクウイルス、ペチュニア葉脈透化ウイルス、ダイズ退緑斑紋ウイルス)、コモウイルス属(スカッシュモザイクウイルス)、ククモウイルス属(キュウリモザイクウイルス、キク微斑ウイルス)、ファバウイルス属(ソラマメウイルトウイルス)、フロウイルス属(ソラマメえそモザイクウイルス)、イラルウイルス属(プルヌスネクロティックリングスポットウイルス、タバコ条斑ウイルス)、ネクロウイルス属(トルコギキョウえそウイルス、タバコネクロシスウイルス)、ネポウイルス属(アラビスモザイクウイルス、タバコ輪点ウイルス、トマト黒色輪点ウイルス、トマト輪点ウイルス)、ポテックスウイルス属(ジャガイモXウイルス)、ポティウイルス属(サツマイモ縮葉モザイクウイルス、インゲンマメモザイクウイルス、インゲンマメ黄斑モザイクウイルス、カーネーションベインモットルウイルス、セルリーモザイクウイルス、クローバー葉脈黄化ウイルス、レタスモザイクウイルス、ネギ萎縮ウイルス、パパイア輪点ウイルス、シソ斑紋ウイルス、ジャガイモYウイルス、ダイズモザイクウイルス、サツマイモ斑紋モザイクウイルス、タバコ脈緑モザイクウイルス、カブモザイクウイルス、カボチャモザイクウイルス、シバモザイクウイルス、ズッキーニ黄斑モザイクウイルス)、ライモウイルス属(ライグラスモザイクウイルス)、ソベモウイルス属(インゲンマメ南部モザイクウイルス、アカザモザイクウイルス)、トバモウイルス属(タバコモザイクウイルス、キュウリ緑斑モザイクウイルス、スイカ緑班モザイクウイルス、ペッパーマイルドモットルウイルス、トマトモザイクウイルス)、トブラウイルス属(タバコ茎えそウイルス)、トンブスウイルス属(トマトブッシースタントウイルス)、トスポウイルス属(トマト黄化えそウイルス、メロン黄化えそウイルス、スイカ灰白色斑紋ウイルス、インパチェンスネクロティックスポットウイルス、アイリスイエロースポットウイルス)等がある。
【0018】
また、有効な微生物の具体例としては、植物病害に拮抗的に働くトリコデルマ(Trichoderma )属、グリオクラジューム(Gliocladium )属、ペニシリウム(Penicillium )属、タラロマイセス(Talaromyces )属等の糸状菌類や、シュードモナス(Pseudomonas )属、バチルス(Bacillus)属、エンテロバクター(Enterobacter)属、パントエア(Pantoea )属、レクレルシア(Leclercia )属、セラチア(Serratia)属等の細菌類等がある。
【0019】
また、処理剤としてのその他の有効な物質に、全身獲得抵抗性誘導物質や農薬、植物ホルモン、肥料等がある。このうち、全身獲得抵抗性誘導物質は、予め植物体に処理しておくことで、その後の病原菌の感染に対して全身的な抵抗性を高める効果がある物質で、具体的には、アミノ酪酸、含硫アミノ酸、ケイ素、オリゴサッカライド、リン酸、脂肪酸、フェノール化合物、エリスリトール、ステビオール、サッカリン、ジャスモン酸等がある。
【0020】
さらに、付傷物(付傷物質)としては、研磨剤があり、炭化ケイ素(商品名、カーボランダム)、セライト、ベントナイト、石英砂、海砂、セラミックパウダー等である。その大きさは、平均粒径が15〜70μmのものが好ましく、下限値未満であると、付傷作用が弱くなり、上限値を越えるとポンプ等における搬送効率を低下させるおそれがある。
【0021】
処理装置の全体を説明すると、この装置は、植物苗Sを支持する上記支持手段2と、支持された植物苗Sに対して処理剤を与える投与手段と、育苗トレイ3を一方向(育苗トレイの行方向:矢印m方向)に搬送する搬送機9と、を備える。
なお、処理剤の形態は、作業能率やウイルス等の処理剤の感染率等を考慮すると、液状とするのが好ましい。
【0022】
さらに、この装置は、液状の処理剤を貯蔵するタンク14と、タンク14内の処理剤(薬液等と付傷物)の組成の沈澱・偏在等を防止する攪拌器15と、を備え、上記投与手段が、タンク14とチューブ(図示省略)を介して接続されるポンプ16と、ポンプ16の動作にて処理剤を噴射させるノズル8とを有する。
なお、チューブは簡単に取り外しができて洗浄作業を容易とし、処理剤の種類交換を迅速化させている。また、チューブ、ポンプ16、タンク14は、耐薬品性に優れた素材とされている。
【0023】
タンク14は、薬液等を付傷物(と蒸留水)と共に液状として貯蔵するものであるが、薬液等と付傷物とを別々に貯蔵するよう2槽式としてもよい。また、タンク14は、直射日光を通さない素材が好ましく、さらに、処理剤が温度により変性してしまう場合は、タンク14に温度を一定に保つ保温手段を設けるのが好ましい。
また、攪拌器15は構造を簡素化させるため、マグネット攪拌機としている。
【0024】
ポンプ16は、図1ではタンク14内の薬液等を付傷物(と蒸留水)と一緒に輸送させるものであり、例えば、シリンジポンプやブローポンプ等が利用できる。また、図示省略するが、(タンク14を2槽式とした場合に)薬液等と付傷物とを別々に輸送させてもよい。また、ポンプ16による混合液(薬液等と付傷物とを溶液としたもの)の輸送量、即ち、ノズル8からの噴出量の制御は、ポンプ16における容量、重量、輸送時間等を管理しており、定量性を保っている。
【0025】
次に、支持手段2について説明する。図3は支持手段2の実施の一形態を示す斜視図、図4はその平面図、図5は植物苗Sを支持する動作途中にある支持手段2の平面図であり、図6は支持手段2にて植物苗Sを下方から支持する様子を示す断面側面図である。
支持手段2は、一対の平行な直線アーム部材6,6と、これら直線アーム部材6,6をその長手方向に進退動作させる進退駆動手段(図示省略)と、を有する。
【0026】
一対の直線アーム部材6,6は、育苗トレイ3に一列に並ぶ複数の植物苗Sの茎5を隙間gを持って挟む板状の支持部材であり、進退駆動手段により、育苗トレイ3と植物苗Sの葉1との間を通って育苗トレイ3の列方向一端側から他端側までの間を進退可能とされている。なお、育苗トレイ3の列方向とは、図1では矢印nの方向である。
また、図6において、直線アーム部材6,6の高さH(高さ位置)は、育苗トレイ3の上面から直線アーム部材6の上面までが10mm〜30mmに設定されている。なお、この高さ位置は、植物苗Sの種類や生育状況に応じて変更自在とされている。
【0027】
図示省略の進退駆動手段は、例えば、モータと、モータによる回転運動を直線運動に変換する機構とを有し、直線アーム部材6,6の基端部側と接続されて、モータの正逆回転により、直線アーム部材6,6を一体状として長手方向に進退動作させるものである。
そして、進退駆動手段は、図1に示すように、育苗トレイ3を搬送する搬送機9の側方に設置された機械室部17内に設けられ、直線アーム部材6,6を機械室部17の側面の開口部から片持ち状に突出させ進退させている。
【0028】
さらに、一対の直線アーム部材6,6は隙間変更手段7により相互接近離間可能とされており、図4に示すように、育苗トレイ3と植物苗Sの葉1との間を通って進退する際は隙間Gを持って離間状態とされ、直線アーム部材6,6が前進して一列に並ぶ全ての植物苗Sの茎5を挟んだ際に相互が接近し隙間gを持って茎5を挟むよう構成されている。
【0029】
隙間変更手段7は、例えば、図3と図4に示すように、一対の直線アーム部材6,6夫々の基端部にベース部材20が設けられ、ベース部材20の前方部及び後方部に、水平状の揺動アーム18,19が枢着されており、直線アーム部材6,6の揺動アーム18,18(19,19)同志が直線アーム部材6,6の間の中央部で鉛直軸を中心として枢結されており、直線アーム部材6,6は平行状態を保ったまま相互に接近離間可能となる。
【0030】
そして、直線アーム部材6,6の前進(図4の矢印i)により、ベース部材20,20の先端部が、機械室部17の開口部内方側に設けた平面視で山形凹形状のガイドブロック21の傾斜面22,22に当接し、傾斜面22,22を摺動することで、直線アーム部材6,6は相互接近する。
また、直線アーム部材6,6間には、直線アーム部材6,6を離間させる方向に付勢する圧縮コイルバネ等の弾発部材23が配設されており、ベース部材20,20がガイドブロック21に当接しない直線アーム部材6,6の進退動作中は、直線アーム部材6,6を離間させている。
なお、直線アーム部材6,6の間の寸法は、図4に示すように、隙間変更手段7により、10mm〜12mmの隙間Gを6mm〜8mmの隙間gに狭めるよう構成されている。
【0031】
さらに、直線アーム部材6,6は昇降駆動手段(図示省略)により、高さ方向に平行移動できるよう構成されている。即ち、直線アーム部材6,6は育苗トレイ3と植物苗Sの葉1との間を進退するが、直線アーム部材6,6が前進する際に、直線アーム部材6,6が葉1に接触し押し倒すのを防止するよう、直線アーム部材6,6を予め育苗トレイ3の上面近傍である低位置にて前進させ、直線アーム部材6,6が一列全ての植物苗Sを挟んだ状態で、昇降駆動手段により直線アーム部材6,6を上方へ移動させ、葉1を下方から持ち上げるよう支持させてもよい。つまり、直線アーム部材6,6を進退駆動手段と隙間変更手段7と昇降駆動手段とにより、3次元方向に動作可能となるよう構成させてもよい。
【0032】
また、直線アーム部材6,6の先端部6a,6aは、先端に向かって開口状(直線アーム部材6,6の間隔が拡大状)となる傾斜誘導面29,29が形成されており、図5と図6に示すように、育苗トレイ3のセル13の端縁部から発芽した苗aや、セル13の中央部から発芽したものの側方へ垂れた苗bに対しても、また、葉1の向きが様々な場合であっても、葉1の基部(茎5の上端である子葉の間)を、確実にセル13の中央部上方位置に強制的に位置させ、葉1を裏面から支持し、葉1の表皮を上方へ向けることができる。即ち、直線アーム部材6,6は、位置合わせ機能を有する。
【0033】
つまり、直線アーム部材6,6を、進退駆動手段により、一列に並ぶ茎5を挟ませるよう育苗トレイ3と葉1の裏面との間に差し入れ、隙間変更手段7によりアーム間隔を狭め、セル中央部から発芽していない植物苗Sを含む一列の植物苗Sをセル中央部へ揃え、さらに、葉1が略水平面状となるよう保つことができる。
【0034】
図7は支持手段2の他の実施の形態の要部を示す斜視図であり、図8はその平面図、図9は断面側面図である。この支持手段2は、育苗トレイ3に一列に並ぶ複数の植物苗Sの列の両側部まで接近移動し、植物苗Sの葉1を下方から掬うように揺動して葉1を下方から支持する一対の揺動支持板11,11を有している。
揺動支持板11は、育苗トレイ3の列方向(図1の矢印n方向)を長手方向とする水平部材であり、揺動支持板11は、植物苗Sが一列に植えられるセル13のピッチ毎に切欠凹部12が形成され櫛状となり、対面状となる切欠凹部12,12の間にて植物苗Sの茎5を挟み植物苗Sを支持することとなる。
【0035】
揺動支持板11の揺動軸心Cは、揺動支持板11の長手方向(列方向である矢印nの方向)とされており、切欠凹部12が形成される側と反対側の縁部寄りに配置され、機械室部17内(図1参照)に設けた揺動駆動手段(図示省略)にて動作する。
また、揺動支持板11の植物苗S列の両側部までの接近移動は、図9に示すように、揺動支持板11が鉛直壁状の姿勢にて、植物苗Sの列の両側部上方位置(育苗トレイ3の上方位置)から鉛直方向に降下するよう昇降駆動手段(図示省略)にて構成してもよい。
【0036】
または、揺動支持板11の植物苗Sの列の両側部まで接近移動は、図示省略するが、揺動支持板11が鉛直壁状の姿勢にて、育苗トレイ3の上方位置であって植物苗Sの列の両側方を、育苗トレイ3の列方向一端側から他端側までの間を、進退駆動手段(図示省略)にて水平に進退するよう構成してもよい。
そして、所定の両側部に位置すると、図9に示すように、鉛直壁状の姿勢であった揺動支持板11が揺動駆動手段の動作により、葉1を掬う方向へ90°揺動(回転)し、植物苗Sを下方から支持する。
【0037】
揺動支持板11の切欠凹部12の形状は、図8では、矩形に切りかかれたコ字状であるが、これに限定されることなく、円弧形状や、半長円形状であってもよい。
そして、切欠凹部12は、植物苗Sが一列に植えられるセル13のピッチ毎に形成されているため、図9に示すように、対面する一対の切欠凹部12,12にて、育苗トレイ3のセル13の端縁部から芽が出た苗aや、セル13の中央部から発芽したものの側方へ垂れた苗bに対しても、また、葉1の向きが様々な場合であっても、葉1の基部(茎5の上端である子葉の間)を、確実にセル13の中央部上方位置に強制的に位置させ、葉1を裏面から支持し、葉1の表皮を上方へ向けることができる。つまり、揺動支持板11,11は、位置合わせ機能を有する。
【0038】
つまり、揺動支持板11,11を、一列の植物苗Sを間に挟んで両側に位置させ、揺動支持板11,11を葉1を掬い上げるよう揺動させ、セル中央部から発芽していない植物苗Sを含む一列の植物苗Sをセル中央部へ揃え、さらに、葉1が略水平面状となるよう保つことができる。
【0039】
また、図3の直線アーム部材6及び図7の揺動支持板11は、厚さ寸法tよりも幅寸法wが大きい平板部材とされており、これらは、葉1と育苗トレイ3との間において遮蔽板として機能する。つまり、付傷物を含有する処理剤の噴射(風圧)によるセル13の土の巻き上げが防止できる。なお、厚さ寸法tと幅寸法wとの比ε(=t/w)は、0.1〜1.0程度とされている(0.1≦ε≦1.0)。
【0040】
また、本発明の処理装置は、図10の要部正面図に示すように、育苗トレイ3の上方位置で、処理位置にある直線アーム部材6,6又は揺動支持板11,11の上方位置に、処理剤を植物苗Sの葉1の表皮に向かって噴霧(噴射)するノズル(スプレーノズル)8を備えている。図10では、ノズル8は、1台のヘッド24に対してセル13のピッチと同間隔で2本が垂下状に設けられており、ヘッド24が育苗トレイ3の上方を跨ぐ水平ガイド25に沿って、駆動アクチュエータ(図示省略)の動作により列方向(矢印e方向)に移動しながら、順番に一列の植物苗Sに対して処理剤を噴霧している。
なお、ノズル8の本数は、1乃至一列の植物苗Sの数と同数とすることができる。
【0041】
また、ノズル8は、先端が絞られた直管にて構成してもよいが、中心部から処理剤を噴出させその周囲からエアーを噴出させる二流体ノズルとするのが好ましい。
さらに、図11の平面図に示すように、ノズル8が有するノズル先端部8aは、葉1の基部(子葉の間の生長点)を略中心として環状に処理剤を噴霧(高圧噴霧:吐出圧0.05MPa〜0.5MPa)させるよう構成している。つまり、図11の2点鎖線で示した同心状の2つの円の間を噴霧領域としている。なお、噴霧中心となる葉1の基部とは、(実際の植物苗Sの葉1の基部ではなく)セル13の中心点から植物苗Sの茎5が鉛直状に立ち上がった植物苗Sの葉1における理想基部位置である。
【0042】
また、本発明の処理装置は、図1と図2に示すように、育苗トレイ3を載置し、育苗トレイ3を列方向に直交方向の行方向(矢印m)へ間欠移送させる搬送機9を備える。そして、搬送機9は、育苗トレイ3の一列の植物苗Sに処理剤を与える毎に、育苗トレイ3を行方向へ、セル13の行方向ピッチずつ移送させる動作制御部10を有する。
これにより、短時間で大量の植物苗Sに対して処理剤を与えることが可能となり、自動化が図れ作業能率を向上させることができる。
128穴トレイの場合、熟練者が手作業により一つずつ苗に処理剤を綿棒にて弱毒ウイルスの接種を行った場合、約30分の時間を要するが、搬送機9にて自動処理を行うと、3〜5分の時間で済む。
【0043】
搬送機9は、複数の育苗トレイ3を上流端部にて載置し、下流側へ向かって搬送させるものであり、ベルトコンベア乃至ローラコンベア等とされる。
また、搬送機9は、水平面状のコンベア部26と、コンベア部26の両側方のガイド部材30,30と、モータ(図示省略)を備え、動作制御部10は、図示省略するが、モータと接続され、コンベア部26近傍に設けられ育苗トレイ3の位置決めを行わせるストッパとセンサーとを有し、育苗トレイ3をピッチ送りすることができる。コンベア部26の上面は、複数の育苗トレイ3を載置させることができ、図1では、128穴トレイの育苗トレイ3を搬送方向(行方向)に並べて複数枚(5枚)載置できる長さを有する。
【0044】
そして、図6において、矢印fが育苗トレイ3の進行方向であり、支持手段2の直線アーム部材6,6にて支持された(図6の左側の)植物苗Sは、上方位置のノズル8より処理剤が与えられ、直線アーム部材6,6にて支持された一列の植物苗Sの全てについて処理剤が与えられると、育苗トレイ3を搬送機9にて矢印f方向へセル13の1ピッチ分だけ前進させ、続いて、図外の一つ上流側にある一列の植物苗Sの処理を開始する。なお、図6の右側の植物苗Sは、処理剤が与えられた(処理済の)植物苗Sを示す。
【0045】
同様に、図9において、矢印fが育苗トレイ3の進行方向であり、支持手段2の揺動支持板11,11にて支持された(図9の左側の)植物苗Sは、上方位置のノズル8より処理剤が与えられ、揺動支持板11,11にて支持された一列の植物苗Sの全てについて処理剤が与えられると、育苗トレイ3を搬送機9にて矢印f方向へセル13の1ピッチ分だけ前進させ、続いて、図外の一つ上流側にある一列の植物苗Sの処理を開始する。なお、図9の右側の植物苗Sは、処理剤が与えられた(処理済の)植物苗Sを示す。
【0046】
また、本発明の処理装置は、図1と図2に示すように、支持手段2にて支持された植物苗Sに処理剤を与える処理部Aの下流側の後処理部Bにおいて、処理剤を与えた植物苗Sを洗浄する洗浄手段27を有する。
洗浄手段27は、後処理部Bにおいて、搬送機9の搬送路(コンベア部26)の上方位置を跨ぐパイプ部材とされ、パイプ部材に供給される水をパイプ部材の管壁に設けた孔から散水し、植物苗S(の葉1)に残る余分な処理剤を洗い流している。
【0047】
なお、処理剤として植物ウイルスを用いる場合は、付傷物により表皮が傷付けられた葉1の細胞内へ直ぐに取り入れられているため、処理部Aから所定間隔を持つ後処理部Bにて洗浄しても、ウイルス等の感染率を低下させることがない。なお、処理剤によっては、洗い流しが不要な場合もある。
また、図2に示すように、処理部A及び後処理部Bの下方位置には、余分な処理剤や洗浄水、土等を捕集する受け皿部材(シンク)28が配設されている。
さらに、搬送機9のコンベア部26の側方の機械室部17には、制御盤(図示省略)が設けられ、動作スイッチや、吐出圧や噴霧量等の設定機能を有するよう構成してもよい。
【0048】
また、処理剤は、液状以外にも、スラリー状、ゲル状、又は粉末状(粉状物)であってもよく、その形態に応じた投与手段(例えば、噴霧、刷毛や綿棒による塗布する手段)を構成させればよい。なお、処理剤を粉末とした場合、投与手段は、粉末を葉1中に打ち込むものとすればよい。
さらに、処理剤に付傷機能を与えるような粒子設計を行ってもよい。つまり、研磨剤の表面に薬液等をコーティングした粒子としてもよい。
また、搬送機9は、水平面の行方向にのみ育苗トレイ3を移送する構成とされているが、水平面直交2方向(X−Y方向)に移送するステージ構造とすることもできる。
【実施例1】
【0049】
次に、育苗トレイ3にて育苗した植物苗Sに対する弱毒ウイルスの感染率について、上記の支持手段2にて植物苗Sを支持した場合(実施例)と、従来の植物苗Sを支持しない場合(従来例)と、の比較について説明する。
表1は、実施例と従来例との弱毒ウイルスの感染率を示したものであり、感染率は、夫々接種苗数を40とし、そのうちの感染苗数により算出している。
【0050】
なお、実施例と従来例ともに、植物苗Sはキュウリ苗(品種名:つや太郎)であり、128穴育苗トレイにて育苗した本葉出葉始めの子葉苗とし、接種ウイルスはZYMV(ズッキーニ黄斑モザイクウイルス)の弱毒ウイルス2002株(凍結乾燥製剤)を用い、0.3%のカーボランダムによる付傷物を添加した液状とした。
また、他の接種条件としては、ノズル下端位置が葉1から上方に5cm(平均)の高さであり、吐出圧力が0.3MPa、1苗当たりの噴霧量を0.25μlとした。
そして、感染の評価は、接種後10日目に上位葉をサンプリングし、ELISA法により判定し、無接種苗の2倍以上の値を示した苗を感染としている。
【0051】
【表1】


【実施例2】
【0052】
次に、植物苗Sとウイルス種とを代え、育苗トレイ3にて育苗した植物苗Sに対する弱毒ウイルスの感染率について、上記処理装置を用いて支持手段2にて植物苗Sを支持した場合(実施例)と、従来の方法による場合(従来例)と、の比較について説明する。なお、この従来の方法は、人手により綿棒を使って葉の表皮へ弱毒ウイルスを擦り付けて行う方法である。
表2は、実施例と従来例との弱毒ウイルスの感染率を示したものであり、感染率は、夫々接種苗数を40とし、そのうちの感染苗数により算出している。
【0053】
なお、実施例と従来例ともに、植物苗Sはキュウリと同様にウイルス病の被害が大きいトマト苗(品種名:桃太郎)であり、128穴育苗トレイにて育苗した本葉出葉始めの子葉苗とし、接種ウイルスはCMV(キュウリモザイクウイルス)の弱毒ウイルスCM95株(凍結乾燥製剤)を用い、0.3%のカーボランダムによる付傷物を添加した液状とした。
また、実施例における他の接種条件としては、ノズル下端位置が葉1から上方に5cm(平均)の高さであり、吐出圧力が0.3MPa、1苗当たりの噴霧量を0.25μlとした。そして、感染の評価は、接種後10日目に上位葉をサンプリングし、ELISA法により判定し、無接種苗の2倍以上の値を示した苗を感染としている。
【0054】
【表2】


【0055】
以上のように、キュウリ苗、トマト苗共に、上記のような高圧噴霧接種法によって、植物苗S(幼苗)に植物ウイルス等の処理剤を噴霧接種すると、従来では、その吐出圧のために苗が倒れたり、葉が巻き上がったりし、葉1がノズル8に対して略直角な姿勢を維持できず、安定した接種ができなかった。
しかし、本発明によれば、支持手段2にて葉1が垂れないよう支持され、また、茎5が大きくふらつかないよう支持されることで、葉1(子葉)の表皮に対して略直角方向から処理剤を噴射接種させ、極めて高い感染率を得ることができる(略100%とすることができる)。
さらに、実施例2において、40苗を処理するのに要した時間は、人手による綿棒を使っての処理(従来例)では10分であったのに対し、上記処理装置を用いての処理(実施例)では1分であった。つまり、本発明の処理装置によれば、作業能率を向上させることができる。
【0056】
以上のように、本発明によれば、植物苗Sに葉1の表皮から処理剤を与える植物苗の処理装置であって、葉1の下方位置において植物苗Sを支持する支持手段2を備えるため、植物苗Sを下方より支持(振れ止め)することで、上方位置から処理剤を与える際に力(噴霧による圧力)が葉1に作用しても、植物苗Sが倒れたり、葉1が垂れ下がったりしないため、均一かつ確実に処理剤を与えることが可能となる。従って、高価な処理剤を無駄に使用することがなくコストダウンが図れる。
【0057】
また、植物苗Sはセル成型育苗トレイ3にて育苗され、支持手段2は、育苗トレイ3に一列に並ぶ複数の植物苗Sの茎5を隙間gを持って挟む一対の直線アーム部材6,6を有し、直線アーム部材6,6は進退駆動手段により育苗トレイ3と植物苗Sの葉1との間を通って育苗トレイ3の列方向一端側から他端側までの間を進退可能とされたものであるため、セル中央部にて発芽していない植物苗Sがあっても、一度に複数の植物苗Sの葉部をセル中央部上方位置へ揃えることができ、さらに、処理剤を与える際に、茎5を略垂直に保持して葉を略水平に保つことができる。従って、均一かつ確実に処理剤を与えることができる。
また、育苗トレイ3にて育苗した植物苗Sに対して処理を行うため、作業が自動化・迅速化され、作業能率を向上させることが可能となる。
【0058】
また、植物苗Sは育苗トレイ3にて育苗され、支持手段2は、育苗トレイ3に一列に並ぶ複数の植物苗Sの列の両側部まで接近移動し植物苗Sの葉1を下方から掬うように揺動して葉1を下方から支持する一対の揺動支持板11,11を有するため、葉1を確実に下方から支持することができる。
さらに、セル中央部にて発芽していない植物苗Sに対しても、一度に複数の植物苗Sの葉部をセル中央部上方位置へ揃えることができ、さらに、処理剤を与える際に、茎5を略垂直に保持して葉を略水平に保つことができる。従って、均一かつ確実に処理剤を与えることができる。
また、育苗トレイ3にて育苗した植物苗Sに対して処理を行うため、作業が自動化・迅速化され、作業能率を向上させることが可能となる。
【0059】
また、処理剤が液体状であって、育苗トレイ3の上方位置に、処理剤を植物苗Sの葉1の表皮に向かって噴霧するノズル8を備え、ノズル8は、葉1の基部を略中心として環状に処理剤を噴霧させるノズル先端部8aを有するものであるため、迅速かつ効率よく、処理剤を噴霧することができる。また、生長点に処理剤を噴射させることが無いため、後の苗の生育に影響を与えない。
【0060】
さらに、植物苗Sに葉1の表皮から処理剤を与える植物苗の処理方法であって、葉1の下方位置において支持手段2にて植物苗Sを支持し、植物苗Sの上方位置から処理剤を与えるため、植物苗Sを下方より支持することで、上方位置から処理剤を与える際に力(噴霧による圧力)が葉1に作用しても、植物苗Sが倒れたり、葉1が垂れ下がったりしないため、均一かつ確実に処理剤を与えることが可能となる。従って、高価な処理剤を無駄に使用することがなくコストダウンが図れる。
【0061】
処理剤は、付傷物を含有する液体状とされ、植物苗Sの葉1に対して処理剤を噴霧させ与えるため、表皮への傷付けと同時に処理剤を葉1に取り入れることができ、作業の迅速化、効率化が図れる。
【0062】
なお、本発明は、文部科学省科学技術振興調整費・先導的研究等の推進「植物ワクチン開発とその利用システムの確立」における研究成果によるものである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の植物苗の処理装置の実施の一形態を示す全体平面図である。
【図2】植物苗の処理装置の全体側面図である。
【図3】支持手段の要部を説明する斜視図である。
【図4】支持手段の要部を説明する平面図である。
【図5】植物苗を支持する支持手段の要部を示す平面図である。
【図6】植物苗を支持する支持手段の要部を示す断面側面図である。
【図7】支持手段の他の実施の形態を示す斜視図である。
【図8】図7の支持手段の平面図である。
【図9】植物苗を支持する図7の支持手段の要部を示す断面側面図である。
【図10】ノズルを説明する正面図である。
【図11】ノズルによる処理剤の噴霧領域を説明する平面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 葉
2 支持手段
3 セル成型育苗トレイ
5 茎
6 直線アーム部材
8 ノズル
8a 先端部
9 搬送機
10 動作制御部
11 揺動支持板
12 切欠凹部
13 セル
S 植物苗
g 隙間
【出願人】 【識別番号】390028130
【氏名又は名称】タキイ種苗株式会社
【識別番号】594003104
【氏名又は名称】株式会社テイエス植物研究所
【識別番号】594050784
【氏名又は名称】第一セラモ株式会社
【識別番号】502360363
【氏名又は名称】株式会社ホソカワ粉体技術研究所
【出願日】 平成15年10月28日(2003.10.28)
【代理人】 【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣

【公開番号】 特開2005−130712(P2005−130712A)
【公開日】 平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願番号】 特願2003−367062(P2003−367062)