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【発明の名称】 係着装置
【発明者】 【氏名】江上 正之
【住所又は居所】千葉県市原市潤井戸長者原2298番地1−4 みかど化工株式会社内

【氏名】角田 邦彦
【住所又は居所】千葉県市原市潤井戸長者原2298番地1−4 みかど化工株式会社内

【要約】 【課題】農業用ポリオレフィン系特殊フィルムのような硬質なフィルムを係着する際に、フィルム破損等を防止できる係着装置を提供すること。

【解決手段】溝状の嵌め込み部と、該嵌め込み部の両側上端縁に形成される鍔部とを有する長尺状の係着具と該係着具の嵌め込み部に装着する弾性を有する係止線からなり、該係止線の弾性により農園芸用ハウスフィルムを前記係着具の嵌め込み部の壁面へ押圧しつつ固定する係着装置において、前記農園芸用ハウスフィルムが農業用ポリオレフィン系特殊フィルムであり、且つ前記係止線の周囲に樹脂層を形成してなり、該樹脂層の内部に該農園芸用ハウスフィルムの破損を防止する破損防止剤が含有されていることを特徴とする係着装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溝状の嵌め込み部と、該嵌め込み部の両側上端縁に形成される鍔部とを有する長尺状の係着具と該係着具の嵌め込み部に装着する弾性を有する係止線からなり、該係止線の弾性により農園芸用ハウスフィルムを前記係着具の嵌め込み部の壁面へ押圧しつつ固定する係着装置において、
前記農園芸用ハウスフィルムが農業用ポリオレフィン系特殊フィルムであり、且つ前記係止線の周囲に樹脂層を形成してなり、該樹脂層の内部に該農園芸用ハウスフィルムの破損を防止する破損防止剤が含有されていることを特徴とする係着装置。
【請求項2】
前記樹脂層の周囲に、破損防止剤を塗設してなることを特徴とする請求項1記載の係着装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、係着装置に関し、詳しくは、農園芸用ハウスフィルムの接触破損等を防ぐことができる係着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
農園芸用ハウスフィルムは、従来、軟質の農業用ポリ塩化ビニルフィルム(以下、農ビフィルムという)が主流であったが、近年は農業用ポリオレフィン系特殊フィルムの需要が急増している。このような商品現象の背景には、農業用ポリオレフィン系特殊フィルムの品質が著しく向上したことがある。即ち、耐候性、保温性、防曇性等の農園芸用ハウスフィルムとしては必須の性能が、フィルムの多層化、各種助剤添加、そして防曇剤のコーティング等の技術により大幅に向上し、農ビフィルムと同等以上のレベルに達している。
【0003】
また、フィルム自体の耐久性は、農ビフィルムが1〜2年程度であるのに対し、農業用ポリオレフィン系特殊フィルムは5〜6年以上使用可能であることが一般的に知られている。
【0004】
このことにより、資材のコストダウンは勿論、張り替えの省力化、そしてゴミの減量化による環境負荷の軽減の評価も高く、農業用ポリオレフィン系特殊フィルムはハウス分野へ一気に普及した。
【0005】
かかる農園芸用ハウスフィルムの商品現象の変化に応じて、フィルム係着装置への要請も変化してきている。
【0006】
農園芸用ハウスフィルムの係着装置に関する技術としては、特許文献1、2に記載のものが知られている。特許文献1には、係止線を袋に入れた技術が開示され、特許文献2には、係止線周辺に合成樹脂の被覆層を形成する技術が開示されている。
【0007】
かかる係着装置で農ビフィルムを係着した場合、係着装置によるフィルム破損の問題はそれほど顕在化しない。農ビフィルムはフィルム自体の耐久性が1〜2年程度であり、係着装置による破損の前に、フィルム自体の寿命がなくなっているからである。
【0008】
これに対し、農業用ポリオレフィン系特殊フィルムでは、5〜6年以上の耐久性があるので、係着装置による劣化破損が問題になる。
【0009】
特許文献1や2のように、係止線を袋に入れたり、樹脂被覆層を設けたもの(以下、これらを被覆層付き係止線という)であっても、嵌め込み部に被覆層付き係止線で農園芸用ハウスフィルムを嵌め込む過程で、嵌め込み部と被覆層付き係止線が接触する部分において、農園芸用ハウスフィルムに局部的な強い力を印加する構造になっている。
【特許文献1】実公昭53−34275号公報
【特許文献2】特開昭59−113947号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかるに、上記の局部的な印加力が働くと、農業用ポリオレフィン系特殊フィルムのような硬質なフィルムでは、フィルムが破れてしまったり、(図4参照)伸びきって元に戻らない、というようなケースが多く発生する問題がある。
【0011】
さらに、フィルムが破れてしまった場合、その部分から、雨漏りが生じ、農作物等に多大な影響を及ぼす問題が生じる。また、破れてはいなくても少しのキズとなってしまった部分にあっても、時間の経過と共に、再結晶化現象や、冬の温度低下に伴う熱収縮等によるフィルムの収縮により、破れに発展していくケースが多い。
【0012】
そこで本発明の課題は、農業用ポリオレフィン系特殊フィルムのような硬質なフィルムを係着する際に、フィルム破損等を防止できる係着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0014】
(請求項1)溝状の嵌め込み部と、該嵌め込み部の両側上端縁に形成される鍔部とを有する長尺状の係着具と該係着具の嵌め込み部に装着する弾性を有する係止線からなり、該係止線の弾性により農園芸用ハウスフィルムを前記係着具の嵌め込み部の壁面へ押圧しつつ固定する係着装置において、
前記農園芸用ハウスフィルムが農業用ポリオレフィン系特殊フィルムであり、且つ前記係止線の周囲に樹脂層を形成してなり、該樹脂層の内部に該農園芸用ハウスフィルムの破損を防止する破損防止剤が含有されていることを特徴とする係着装置。
【0015】
(請求項2)前記樹脂層の周囲に、破損防止剤を塗設してなることを特徴とする請求項1記載の係着装置。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、農業用ポリオレフィン系特殊フィルムのような硬質なフィルムを係着する際に、フィルム破損等を防止できる係着装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は本発明の係着装置の一例を示す断面図である。図2は図1の係着装置に用いる係着線の一例を示す斜視図である。
【0019】
図1において、1は係着装置であり、係着具10と係止線11からなる。係着具10は溝状の嵌め込み部100と、該嵌め込み部100の両側上端縁に形成される鍔部101とを有し、長尺状をなしている。
【0020】
11は係止線であり、弾性を有し、該係止線の弾性により農園芸用ハウスフィルム2を嵌め込み部100の壁面へ押圧しつつ固定する。
【0021】
本発明において、係着具10は嵌め込み部100と鍔部101を備えておればよいので、その形態は特に限定されない。嵌め込み部100の形態は図示のように壁面が内側に傾斜していてもよいし、底部に直立する形態でもよい。鍔部101の形態もフィルム2を嵌め込み部100へ誘導できる機能があればよいので図示の形態に限定されない。更に嵌め込み部100と鍔部101は一体の部材で形成されても、別体で形成されてもよい。
【0022】
係止線11は図2に示すように、弾性を有するスプリング鋼線11Aと樹脂層11Bからなる。
【0023】
樹脂層11Bは、ベース樹脂に破損防止剤が含有され、スプリング鋼線11Aを被覆している。
【0024】
ベース樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂を用いることができ、具体的には、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。中でも、低密度ポリエチレンは性能、加工及びコストの点で優れている。
【0025】
尚、耐候性の点から、紫外光線を遮断するために、着色剤顔料をベース樹脂に適量添加することができ、着色剤顔料としては、例えばカーボンブラックが挙げられる。
【0026】
破損防止剤としては、例えば、エステル系化合物であるアセチル化ヒマシ油、(モノ、ジ又はポリ)グリセリンオレイン酸エステル等が挙げられる。
【0027】
樹脂層中の破損防止剤の含有量は、ベース樹脂100重量部に対して、破損防止剤を0.05〜10重量部の範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量部の範囲である。
【0028】
上記スプリング鋼線11Aに樹脂層11Bを形成する方法は、特に限定されないが、例えば以下の方法が挙げられる。
【0029】
第1に、粉体状の低密度ポリエチレン中に、加熱した鋼線を浸漬する粉体浸漬法がある。粉体中に、0.05〜10重量部の範囲の破損防止剤、5〜10重量%程度のカーボンブラック等が混入されることが好ましい。本発明に用いられる係止線は、ジグザグ状にして用いられるが、かかるジグザグ状に形成するには、直線状の鋼線を樹脂コートしてからジグザグ状にスプリング加工する方法が好ましい。樹脂コート層の均一厚みが得られること、加工性に優れるからである。
【0030】
第2にダイのセンターより鋼線を引き出しながら、溶融樹脂を加熱し、液状にしたところに鋼線を通す抽出コート成形法がある。
【0031】
また本発明では、樹脂層の表面に、破損防止剤の含有液を塗布することも好ましい。
【0032】
樹脂層に含有させることができる他の添加剤としては、例えばパラフィン、低分子量ポリエチレン等の炭化水素系化合物、ステアリン酸等の脂肪酸系化合物、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド系化合物、多価アルコール、ポリグリコール、ヒマシ油等のアルコール系の化合物、金属石鹸、及び上記各種添加剤の2種以上の混合系等がある。
【0033】
本発明において、係止装置による係止対象となる農園芸用ハウスフィルムは、従来の農業用塩化ビニルフィルムのような耐候性が1、2年程度の軟質フィルムではなく、耐候性が4、5年程度のフィルムであればよい。
【0034】
本発明において、好ましい農園芸用ハウスフィルムは、農業用ポリオレフィン系特殊フィルム(商標名「農PO」:みかど化工株式会社他5社の登録商標)である。
【0035】
農業用ポリオレフィン系特殊フィルムは、ポリオレフィン系樹脂フィルムの積層フィルムであり、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)/エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)/ 低密度ポリエチレン(LDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)/エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)/直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などが挙げられる。
【0036】
農業用ポリオレフィン系特殊フィルムの厚みは、50〜250μmであり、耐候年数は4、5年程度である。
【実施例】
【0037】
以下、実施例によって、本発明の効果を例証する。
【0038】
実施例1
ベース樹脂としてLDPE(商品名:三菱ポリエチーLDYE30)を用い、この樹脂にアセチル化ヒマシ油を2.0重量%添加し、押出成形機にて鋼線(2mmφ)にコーティングし、係止線1(3mmφ)を作製した。
【0039】
実施例2
実施例1において、アセチル化ヒマシ油をジグリセリンオレイン酸エステルに代えた以外は全く同様にして、係止線2を作製した。
【0040】
比較例1
実施例1において、破損防止剤を含有しない以外は全く同様にして、比較係止線を作製した。
【0041】
(試験方法)
図3に示すように、パイプハウス20の両側に係着具10(商品名:ビニペット)を設置した。
【0042】
上記ハウス20に、ハウス外張り農PO(農POは商標)フィルム2(みかど化工社製「スーパーソーラー」)(商標)、厚み150μm)を、4人の人間が通常作業手順に従って展張した。
【0043】
次いで、係着具10に係止線11を装着して、フィルム両サイドを固定した。
【0044】
1年間放置後、丁寧に係止線11を係着具10から除去し、フィルム2に発生する破れ個所(図4の破線領域で示す部位)の個数を数えた。
【0045】
(試験結果)
試験の結果、以下の表1に示す結果が得られた。
【0046】
【表1】


【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の係着装置の一例を示す断面図
【図2】図1の係着装置に用いる係着線の一例を示す斜視図
【図3】ハウスに係着具を取り付けた状態を示す斜視図
【図4】破れ個所を示す説明図
【符号の説明】
【0048】
1:係着装置
2:農園芸用ハウスフィルム
10:係着具
11:係止線
11A:スプリング鋼線
11B:樹脂層
20:パイプハウス
100:嵌め込み部
101:鍔部
【出願人】 【識別番号】000100458
【氏名又は名称】みかど化工株式会社
【住所又は居所】千葉県市原市潤井戸長者原2298番地1−4
【出願日】 平成15年9月4日(2003.9.4)
【代理人】 【識別番号】100101340
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英一

【公開番号】 特開2005−80518(P2005−80518A)
【公開日】 平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願番号】 特願2003−313290(P2003−313290)