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【発明の名称】 シイタケオガ種菌及びシイタケ原木栽培方法
【発明者】 【氏名】高畠 幸司

【氏名】出合 忠広

【要約】 【課題】子実体収量の増加と、発生する子実体のカルシウム含量の増大を図り、より付加価値の高いシイタケを供給可能とするシイタケオガ種菌及びシイタケ原木栽培方法を提供する。

【解決手段】貝化石をシイタケのオガ種菌に混合、あるいは貝化石を含む種菌用培地でシイタケ菌を培養することにより調製したシイタケオガ種菌である。このシイタケオガ種菌を、原木に接種してシイタケを栽培する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シイタケのオガ種菌と貝化石粉を重量比で1〜5%混合して調製し、これを所定期間培養して成ることを特徴とするシイタケオガ種菌。
【請求項2】
オガ粉から成る種菌用培地に貝化石粉を重量比で1〜5%添加して培地調製を行い、この培地にシイタケ菌を接種して、所定期間培養して成ることを特徴とするシイタケオガ種菌。
【請求項3】
シイタケのオガ種菌と貝化石粉を重量比で1〜5%混合してシイタケオガ種菌を調製し、これを所定期間培養し、このシイタケオガ種菌を原木に接種してシイタケを栽培することを特徴とするシイタケ原木栽培方法。
【請求項4】
オガ粉から成る種菌用培地に貝化石粉を重量比で1〜5%添加して培地調製を行い、この培地にシイタケ菌を接種し、所定期間培養してシイタケオガ種菌を調製し、このシイタケオガ種菌を原木に接種してシイタケを栽培することを特徴とするシイタケ原木栽培方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、シイタケの原木栽培において、オガ種菌を用いて栽培するためのシイタケオガ種菌及びシイタケ原木栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生シイタケの供給は、日本産の原木シイタケやオガ粉を用いた菌床シイタケ、及び中国産シイタケにより賄われており、これらは全供給量に対してそれぞれ三分の一ずつを占めている。この内、原木シイタケは、子実体がホダ木より発生することから、天然物に近いイメージ及び品質を備え、根強い人気がある。しかし、原木によるシイタケ栽培はホダ化が自然条件に左右されるので生産が安定せず、また、シイタケ菌の接種、ホダ木の運搬等に重労働を要することから生産者数が減少し、日本産の原木シイタケの供給割合は年々低下している。
【0003】
シイタケ原木栽培の種菌には、ブナ小片に菌糸体を蔓延させて種菌とする種駒種菌と、オガ粉・栄養材から成るオガ粉培地で菌糸体を蔓延させて種菌とするオガ種菌がある。一般的な特性として、オガ種菌を使用した場合、接種した種菌より子実体が発生する。従来、ミネラル、窒素源から成る増収剤を浸水液に添加し、ホダ木に栄養源を吸収させて増収を図っていた。しかし、この方法では、雑菌に対しても栄養源の補給となり、雑菌繁殖の危険性が伴うものであった。
【0004】
一方、中国産シイタケは、現在、オガ粉による菌床で栽培されたものであるが、昨今では、中国でも豊富な原木資源を背景に、シイタケの原木栽培が試みられており、将来的には、中国産原木シイタケが輸入される可能性が高い。
【0005】
また、菌床シイタケは、工場規模で大量生産が可能であり、また、菌床を購入して簡易ハウスで栽培できるために生産規模を任意に変更できる利便性がある。さらに生産工程は原木栽培に比べて軽作業であるために生産戸数は増加し、菌床シイタケの供給割合は、年々増加している。
【特許文献1】特許第3263689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
菌床シイタケや中国産シイタケの台頭により、我が国のシイタケ原木栽培は、年々困難な状況に追い込まれており、シイタケ原木栽培の生産効率の向上と、原木より発生するシイタケに明確な付加価値を付与することが求められている。
【0007】
他方、本願発明者は、特許文献1に開示されているように、きのこ培地に貝化石粉を添加することにより、子実体収量が増加し、子実体中のカルシウム含量が高くなることを見出した。しかしながら、シイタケ原木栽培に関して、貝化石の利用は全く検討されていない。
【0008】
本発明は、上記従来の技術に鑑みて成されたもので、子実体収量の増加と、発生する子実体のカルシウム含量の増大を図り、より付加価値の高いシイタケを供給可能とするシイタケオガ種菌及びシイタケ原木栽培方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、シイタケのオガ種菌と貝化石粉を重量比で1〜5%混合して調製し、これを所定期間培養して成るシイタケオガ種菌、または、オガ粉から成る種菌用培地に貝化石粉を重量比で1〜5%添加して培地調製を行い、この培地にシイタケ菌を接種して、所定期間培養して成るシイタケオガ種菌である。
【0010】
またこの発明は、シイタケのオガ種菌と貝化石粉を重量比で1〜5%混合してシイタケオガ種菌を調製し、これを所定期間培養し、このシイタケオガ種菌を原木に接種してシイタケを栽培するシイタケ原木栽培方法である。
【0011】
またこの発明は、オガ粉から成る種菌用培地に貝化石粉を重量比で1〜5%添加して培地調製を行い、この培地にシイタケ菌を接種し、所定期間培養してシイタケオガ種菌を調製し、このシイタケオガ種菌を原木に接種してシイタケを栽培するシイタケ原木栽培方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、シイタケ原木栽培において子実体収量が増加し、子実体中のカルシウム含量も高くなることから、シイタケ原木栽培の生産性が向上し、消費者の健康指向に合致したシイタケを提供することが可能になる。したがって、貝化石を利用したシイタケ原木栽培は、シイタケに対する需要の拡大と、原木シイタケ生産者の経営安定化に寄与する。また、貝化石製造業界においても、貝化石資材の用途拡大となり業界の振興に寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態について説明する。先ず、シイタケ原木栽培について説明すると、オガ種菌を原木に接種した場合種駒種菌に比べてホダ化が早く、子実体は原木の接種孔より発生する。これまでのシイタケ原木栽培方法は、直径10cm、長さ1mの原木にオガ種菌を20個接種していたが、昨今では、栽培期間を短縮するために接種数を2〜3倍にする多植栽培法が用いられている。ホダ木一代で50〜60個のシイタケを収穫することから、多植栽培法では、収穫する大半のシイタケは接種孔より発生したものである。
【0014】
また、原木シイタケ栽培では、子実体原基を形成する際には、菌糸体により子実体原基下にカルシウムを集積することが知られており、カルシウムの集積と子実体形成には密接な関連性がある。さらに、シイタケ原木栽培において、接種孔より発生する子実体は、オガ種菌の影響を受けることが推察される。
【0015】
そこで、オガ種菌に貝化石粉1〜5%を混合して接種することにより、子実体原基形成時に必要なカルシウムが補われて子実体収量が増加し、子実体の大型化が促された。さらに子実体中のカルシウム含量が高くなった。また、オガ種菌用培地を作成する際に貝化石粉を1〜5%添加し、シイタケ菌を接種して培養し、シイタケオガ種菌を調整した。この種菌を原木に接種し、常法に基づいて伏せ込み、子実体の発生を促したところ、接種孔から発生した子実体のカルシウム含量が高くなった。
【0016】
以上述べたように、貝化石成分を含むシイタケオガ種菌を原木栽培に用いることにより、シイタケ原木栽培の生産効率の向上と、発生するシイタケのカルシウム含量が多くなるという明確な付加価値を付与することが可能になる。
【実施例1】
【0017】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を説明する。市販シイタケオガ種菌(明治7L5)に重量比で貝化石粉を1、2、3、5%添加し、よく混合してシイタケオガ種菌を調整した。また、貝化石無添加の市販シイタケオガ種菌を対照区とした。直径9〜12cm、長さ約90cmのコナラ原木に供試オガ種菌を原木表面積3100cm2当たり30個接種し、接種孔を封ロー処理した。その後、スギ林内にムカデ伏せで伏せ込み、数ヶ月後に合掌伏せにした。この後、自然条件下で発生した子実体を収穫した。調査期間は、約3年半とした。子実体個数、生重量を測定し、子実体個体重を算出した。
【0018】
子実体収穫の結果を表1に示す。子実体収量は対照区で10000cm3当たり575gとなり、貝化石粉混合区では655〜732gと対照区に対して1〜3割増加した。子実体個体重は、対照区で15.5gとなり、貝化石粉混合区では19.0g〜22.2gと対照区に対して2〜4割増加した。したがって、シイタケオガ種菌に貝化石粉を混合することにより、子実体収量は増加し、発生する子実体は大型化した。
【0019】
【表1】


【実施例2】
【0020】
「実施例1」と同様に市販シイタケ種菌(明治7L5)に貝化石粉を混合して種菌を調整し、コナラ原木に接種し、ムカデ伏せ込みを行い、数ヶ月後に合掌伏せにした。そして、翌年に接種孔より発生した子実体を採取した。採取後、子実体全体あるいは菌柄、菌傘に分けて凍結乾燥し、その後、粉砕器で粉末化して20メッシュ以下に粒径調整して供試試料とした。テフロン(登録商標)加工された加圧分解容器に所定量の供試試料と濃硝酸を封入し、160℃・8時間の条件で供試試料を完全に溶解し、ICP(誘導結合プラズマ)発光分析装置でカルシウム量を測定した。
【0021】
その結果の子実体全体のカルシウム含量を表2に示す。対照区で32.9mg/100g乾重となり、貝化石粉混合区では57.5〜74.8mg/100g乾重と、対照区の1.8〜2.2倍の含量となった。さらに、子実体部位別のカルシウム含量の結果を表3に示す。菌柄部では、対照区で65.1mg/100g乾重となり、貝化石粉混合区では86.5〜133.3mg/100g乾重と対照区の1.3〜2.1倍の含量となった。菌傘部では対照区で28.5mg/100g乾重となり、貝化石粉混合区では52.4〜58.6mg/100g乾重と対照区の1.8〜2.1倍のカルシウム含量となった。
【0022】
このように貝化石粉をシイタケ種菌に1〜5%混合することにより、接種孔から発生する子実体のカルシウム含量が大幅に増加することが明らかになった。
【0023】
【表2】


【0024】
【表3】


【実施例3】
【0025】
種菌用の基本培地をブナオガ粉:米ぬか=3:1(w/w)、含水率65%で調製した。基本培地に貝化石粉を1、2、3、5%(w/w)添加し、貝化石粉添加培地を調製し、滅菌後、予めPDA培地で市販種菌(明治7L5)を培養したシイタケ菌を接種し21℃にて90日間培養し、供試種菌を調製した。供試シイタケ種菌を「実施例2」と同様にコナラ原木に接種し、接種孔を封ロー処理してムカデ伏せにした。数ヶ月後に合掌伏せにして子実体の発生を促した。さらに、翌年に接種孔より発生した子実体を採取し、子実体全体あるいは菌傘部、菌柄部に分けて凍結乾燥した。その後、粉砕処理をし、粒径調整して供試試料とし、試料中のカルシウム含量を測定した。
【0026】
子実体全体のカルシウム含量の結果を表4に示す。対照区で37.4mg/100g乾重となり、貝化石粉を添加して種菌調製した試験区では64.7〜71.2mg/100g乾重と対照区の1.7〜1.9倍の含量となった。子実体部位別のカルシウム含量の結果を表5に示す。菌柄部では、対照区で85.5mg/100g乾重となり、貝化石粉添加区では107.6〜144.0mg/100g乾重と対照区の1.3〜1.7倍の含量となった。菌傘部では対照区で29.8mg/100g乾重となり、貝化石粉添加区では50.3〜69.1mg/100g乾重と対照区の1.7〜2.3倍のカルシウム含量となった。
【0027】
このように種菌用培地に貝化石粉を1〜5%添加してシイタケ菌を培養してシイタケオガ種菌調製し、このオガ種菌を原木に接種することにより、カルシウム含量の高いシイタケを栽培することが可能になる。
【0028】
【表4】


【0029】
【表5】


【出願人】 【識別番号】000236920
【氏名又は名称】富山県
【識別番号】500002146
【氏名又は名称】東陽商事株式会社
【出願日】 平成15年9月1日(2003.9.1)
【代理人】 【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲

【公開番号】 特開2005−73603(P2005−73603A)
【公開日】 平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願番号】 特願2003−309008(P2003−309008)