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【発明の名称】 人工礁
【発明者】 【氏名】廣瀬 敏雄

【氏名】岩渕 和彦

【氏名】高橋 正男

【要約】 【課題】藻等の繁殖空間が充分にあり、周囲の水をアルカリ性にせず、藻等を育成するための養分を含み、さらに、水の浄化作用を有する人工礁を提供すること。

【解決手段】硝酸塩、炭、金属、細菌等を混合し、球形に形成された複数の球形体を平面状に連結することにより形成されていることを特徴とする人工礁100を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
砂と固化剤とを混合し球形に形成された複数の球形体を連結することにより形成された人工礁。
【請求項2】
前記球形体は、同一形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の人工礁。
【請求項3】
複数の前記球形体を平面状に連結することにより形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の人工礁。
【請求項4】
複数の前記球形体を立体状に連結することにより形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の人工礁。
【請求項5】
砂と固化剤とを混合し球形に形成された複数の球形体を通水性を有する容器に収納することにより形成された人工礁。
【請求項6】
前記球形体は、同一形状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の人工礁。
【請求項7】
前記容器に複数の前記球形体を平面状に収納することにより形成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の人工礁。
【請求項8】
前記容器に複数の前記球形体を立体状に収納することにより形成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の人工礁。
【請求項9】
前記固化剤は、凝集剤と、酸化マグネシウムと、酸化アルミニウムと、酸化カルシウムと、を含有するものであることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の人工礁。
【請求項10】
前記凝集剤は、ポリアクリルアミドであることを特徴とする請求項9に記載の人工礁。
【請求項11】
前記球形体には、硝酸塩が混合されていることを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の人工礁。
【請求項12】
前記球形体には、微生物が混合されていることを特徴とする請求項1乃至11の何れか一項に記載の人工礁。
【請求項13】
前記球形体には、炭が混合されていることを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項に記載の人工礁。
【請求項14】
前記球形体には、金属が混合されていることを特徴とする請求項1乃至13の何れか一項に記載の人工礁。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、人工礁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の人工礁としては、特許文献1に記載された藻場形成及び餌料生物育成プレートがあった。
【0003】
図7に表されているように、藻場形成及び餌料生物育成プレート600は、石材601を、セメント等のバインダと水とを混合した皮膜602により覆い、プレート上に形成することにより構成されていた。
【特許文献1】特開2002−266333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の藻場形成及び餌料生物育成プレート600では、成型物である石材601を皮膜602により覆ってしまうため、石材601間に藻などが繁殖するための空間を充分にとることができなかった。
【0005】
また、バインダとしてセメントを使用しているため、水中に投入した際に、遊離石灰の溶出が多く、周囲の水をアルカリ性にし、藻類が繁殖しづらくなっていた。
【0006】
さらに、藻場形成及び餌料生物育成プレート600は、石材601を被膜602で覆っているだけであるため、藻等を育成する養分は含まれておらず、また、この藻場形成及び餌料生物育成プレート600の周囲の水を浄化することはできなかった。
【0007】
そこで、本発明は、藻等の繁殖空間が充分にあり、周囲の水をアルカリ性にせず、藻等を育成するための養分を含み、さらに、水の浄化作用を有する人工礁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するため、本発明は、砂と固化剤とを混合し球形に形成された複数の球形体を連結することにより形成された人工礁を提供する。
【0009】
このように、砂と固化剤とを混合し球形に形成された球形体を複数連結することにより、球形体同士は点で接触するため、藻等の繁殖空間を充分にとることができる。
【0010】
ここで、球形体の大きさについては、藻等の繁殖空間を充分にとることができる範囲で適時選択することができるが、例えば、球形体を同一形状に形成することが望ましい。
【0011】
このよう球形体については、平面状に連結することにより人工礁とすることも可能であり、また、立体状に連結することにより人工礁とすることもできる。
【0012】
また、以上のように、球形体を連結する代わりに、砂と固化剤とを混合し球形に形成された複数の球形体を通水性を有する容器に収納することによって人工礁を形成することも可能である。
【0013】
この場合にも、球形体は、同一形状に形成することができる。
【0014】
このような球形体を容器内に平面状に収納することにより人工礁とすることができ、また、このような球形体を容器内に立体状に収納することにより人工礁とすることもできる。
【0015】
ここで、本発明で使用する固化剤としては、凝集剤と、酸化マグネシウムと、酸化アルミニウムと、酸化カルシウムと、を含有したものを使用することにより、従来のセメントを使用する場合と比べて、固化速度が速く、かつ、アルカリ性が低くなる。
【0016】
また、凝集剤としては、ポリアクリルアミドを使用することができる。
【0017】
本発明で使用する球形体には、硝酸塩を混合しておくことで、繁殖する藻等に対して養分を与えることができる。
【0018】
また、本発明で使用する球形体には、微生物を混合しておくことで、繁殖する藻等に対して養分を与え、また、本発明に係る人工礁の周囲の水を浄化することができる。
【0019】
また、本発明で使用する球形体には、炭を混合されておくことにより、本発明に係る人工礁の周囲の水を浄化することができる。
【0020】
また、本発明で使用する球形体には、鉄や酸化チタン等の金属をを混合しておくことにより、繁殖する藻等に対して養分を与えることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、球形体同士は点で接触するため藻等の繁殖空間が充分にあり、また、周囲の水をアルカリ性にせず、硝酸塩や金属等を混合してあるため藻等を育成するための養分を含み、さらに、炭等を混合し水の浄化作用を有する人工礁を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、本発明の第一の実施形態に係る人工礁100の上方斜視図である。
【0023】
本実施形態に係る人工礁100は、球形に形成された球形体101を連結手段である紐102で連結することにより構成されている。
【0024】
球形体101は、砂と固化剤を適当な割合で混合し、これに、硝酸塩、炭、鉄粉及び酸化チタンを混入し攪拌してから、乳酸菌、光合成細菌、酵母菌を入れて適度に練り合わせた後、成形し、固化させることにより形成されている。
【0025】
本発明では、固化剤として、凝集剤であるアニオン系ポリアクリルアミドと、酸化マグネシウム(MgO)と、酸化アルミニウム(Al23)と、酸化カルシウム(CaO)と、を適時割合で含有したものを使用している。
【0026】
なお、本実施形態では、固形剤中、アニオン型ポリアクリルアミドを1.9重量%、酸化マグネシウム(MgO)を43.5重量%、酸化アルミニウム(Al23)を5.7重量%、酸化カルシウム(CaO)を5.9重量%、配合しているが、このような配合割合には限定されない。
【0027】
このような固化剤は、アニオン系ポリアクリルアミドの作用により、砂の粒子に粘性を与えて団粒化を促進し、酸化マグネシウム(MgO)、酸化アルミニウム(Al23)及び酸化カルシウム(CaO)の水和作用により、固形化を進行させる。
【0028】
ここで、砂は海岸にある砂を用い、水は海水を用いることで、これらに含まれる塩化ナトリウムが硬化促進剤として作用するため好ましい。
【0029】
このような固化剤を使用することにより、従来のセメントを使用する場合と比べて、固化速度が速くなるばかりか、海や川に沈めた際に、周囲の水をアルカリ性にすることなく、藻類の繁殖に好適な環境を提供することができる。
【0030】
なお、硝酸塩、炭、鉄粉及び酸化チタンの混合割合としては、硝酸塩9重量%、炭10重量%、酸化チタンと鉄粉を合わせて10重量%であるがこれに限られるわけではなく、繁殖させる藻類に適度な栄養を与え、周囲の水を浄化することができる範囲で適時混合割合を変更することができる。
【0031】
また、乳酸菌、光合成細菌及び酵母菌については、周囲の水を浄化する目的を達成することができる範囲で、混合すればよい。
【0032】
さらに、球形体101の直径についても、藻類を繁殖させることができる範囲で適時選択することができる。
【0033】
このように形成させる球形体101は、紐102を用いて平面上に連結されている。
【0034】
図2に表されているように、球形体101には、同一方向に延び、かつ、相互に平行となるように形成された二つの第一の貫通孔103と、この第一の貫通孔103に対して垂直方向に延び、かつ、相互に平行となるように形成された二つの第二の貫通孔104とが形成されており、これらの第一の貫通孔103同士及び第二の貫通孔104同士が直線状に配置されるように複数の球形体101を並べて、紐102を通すことにより、球形体101同士は連結されている。
【0035】
なお、連結する球形体101の数については、球形体101の大きさや、この人工礁100を沈める箇所の大きさ等を考慮して適時選択することができる。
【0036】
ここで、本実施形態においては、紐102を用いて球形体101を連結したが、第一の貫通孔103及び第二の貫通孔104に金属や樹脂でできたピン等を挿入することにより連結することも可能であり、また、後述する第二の実施形態で述べる連結アーム205(図4参照)を用いることもできる。
【0037】
図3は、本発明の第二の実施形態に係る人工礁200の上方斜視図である。
【0038】
本実施形態に係る人工礁200は、球形に形成された球形体201を連結手段である連結アーム205(図4参照)で連結することにより構成されている。
【0039】
本実施形態における球形体201も、第一の実施形態における球形体101と同様に、砂と固化剤を適当な割合で混合し、これに、硝酸塩、炭、鉄粉及び酸化チタンを混入し攪拌してから、乳酸菌、光合成細菌、酵母菌を入れた水を適度に加えて練り合わせた後、成形し、固化させることにより形成されており、これらの混合割合については第一の実施形態と同様である。
【0040】
このようにして形成される球形体201は、連結アーム205(図4参照)を用いることにより、立体状に連結されている。
【0041】
図4に表されているように、連結アーム205は、先端を折り返すことによりフックを形成しており、このような連結アーム205を六個、球形体201の中心においてそれぞれ垂直に交わる方向からこの球形体201の表面に取り付けている
したがって、このような連結アーム205同士を連結することにより、図3に表されているように、球形体201は、立体格子状に連結される。
【0042】
なお、本実施形態では、連結アーム205を用いて球形体201を連結したが、これに限られるわけではなく、第一の実施形態のように紐102により連結することも可能であり、また、紐102の代わりに樹脂や金属のピンを用いて連結することも可能である。
【0043】
ここで、紐102やピンを用いる場合には、図2で表されている第一の貫通孔103と第二の貫通孔104の両者に対して垂直方向に第三の貫通孔を設けておくことにより、立体状に球形体201を連結することができるようになる。
【0044】
図5は、本発明の第三の実施形態に係る人工礁300の上方斜視図である。
【0045】
本実施形態に係る人工礁300は、容器306の中に球形体301を収納することにより形成されている。
【0046】
ここで、本実施形態における球形体301においては、第一の実施形態とは異なり、硝酸塩を加える代わりに、北海道電力株式会社が生産している「えこさんど」を加えている。
【0047】
「えこさんど」は、硝酸塩を多量に含み、多孔質で、吸水性に優れた使用済脱硫剤である。
【0048】
このような「えこさんど」を加えることにより、硝酸塩により藻類に栄養を与えることができるほか、多数の孔により脱臭や濁水浄化機能を有しているため、周囲の水を浄化することもできるようになる。
【0049】
なお、その他の物質については第一の実施形態と同様の物質が混合されており、その混合割合としては、「えこさんど」9重量%、炭10重量%、酸化チタンと鉄粉を合わせて10重量%としている。
【0050】
容器306は、ワイヤを亀甲状に編み込むことにより形成された網により形成することで、通水性を確保している。
【0051】
また、容器306の厚さXは、球形体301の直径より大きくなり、この球形体301を一つ入れるのに適度な厚さXとなるようにされており、その幅Yは、球形体301の直径の4倍よりも大きくなり、この球形体301をその中心が直線状になるように並べて入れるのに適度な幅Yとなるようにされており、その奥行きZについても、球形体301の直径の4倍よりも大きくなり、この球形体301をその中心が直線状になるように並べて入れるのに適度な奥行きZとなるようにしている。
【0052】
なお、容器306の厚さX、幅Y、奥行きZは、16個の球形体301を、幅Y方向に4つ、奥行きZ方向に4つ、平面状に収納することができるようにするためであって、これとは異なるように収納する場合には、適時、容器306の厚さX、幅Y、奥行きZを変更すればよい。
【0053】
また、本実施形態においては、容器306内に球形体301を平面状に収納したが、例えば、図6に表すように、容器406内に球形体301を立体状に収納することもできる。
【0054】
ここで、本実施形態においては、網により容器306を形成することで、通水性を確保したが、これに限られるわけではなく、球形体301を収納し、かつ、通水性を確保することができるものであれば、例えば、樹脂製の容器に多数の貫通孔を穿つようなもの等どのようなものであってもよい。
【0055】
以上に記載した実施形態においては、固化剤として、凝集剤であるアニオン系ポリアクリルアミドと、酸化マグネシウム(MgO)と、酸化アルミニウム(Al23)と、酸化カルシウム(CaO)と、を含有したものを用いているが、このような固化剤に限られるわけではなく、従来から使用されているセメント等を使用することも可能である。
【0056】
なお、凝集剤としては、ノニオン系ポリアクリルアミドを使用することもできる。
【0057】
以上に記載した実施形態において、球形体101、201、301は、それぞれ同じ大きさのものを用いて人工礁100、200、300を形成したが、異なる大きさの球形体101、201、301を用いて人工礁100、200、300を形成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】第一の実施形態に係る人工礁100の上方斜視図。
【図2】球形体101の上方斜視図。
【図3】第二の実施形態に係る人工礁200の上方斜視図。
【図4】球形体201の上方斜視図。
【図5】第三の実施形態に係る人工礁300の上方斜視図。
【図6】人工礁300の変形例を表す上方斜視図。
【図7】従来例を表す縦断面図。
【符号の説明】
【0059】
100、200、300 人工礁
101、201、301 球形体
306、406 容器
【出願人】 【識別番号】502449820
【氏名又は名称】株式会社エム・アートコーポレーション
【識別番号】000229966
【氏名又は名称】株式会社エヌピーエフ
【識別番号】501362021
【氏名又は名称】株式会社エコ・プロジェクト
【出願日】 平成15年7月31日(2003.7.31)
【代理人】 【識別番号】100096105
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 広

【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改

【公開番号】 特開2005−46105(P2005−46105A)
【公開日】 平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願番号】 特願2003−283542(P2003−283542)