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【発明の名称】 排水マット、植生基盤及び植生基盤の施工方法
【発明者】 【氏名】中村 健二
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設株式会社内

【氏名】橘 大介
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設株式会社内

【氏名】薬師寺 圭
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設株式会社内

【要約】 【課題】本発明は、施工性が良く、構造物への重量負荷を低減することの可能な排水マット、植生基盤及び植生基盤の施工方法を提供する。

【解決手段】排水マットは、保護シート2の表面に、複数の排水ドレン3が並列配置されており、保護シート2の表面及び排水ドレン3の外周面を一様に覆うように耐根兼透水シート4が配置されることにより形成されている。該排水マットを用いた植生基盤7は、人工地盤5上の所定位置に排水マットを配置した後、外周縁を立ち上げ排水ピット8を形成し、排水ピット8の内方に、土壌6を盛るのみで完了する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工地盤の表面を保護する保護シートと、
該保護シートの幅方向に延在し、長さ方向に所定の離間間隔をもって複数が平行に配置されて、保護シートの表面に固定手段を介して固定されており、保護シートの幅と比較して短小な部材長を有する排水ドレンと、
前記保護シートの表面、及び排水ドレンの周面を一様に覆うように固着手段を介して固着されており、保護シート及び排水ドレンと植裁の根との接触を防止する耐根兼透水シートにより構成されることを特徴とする排水マット。
【請求項2】
請求項1に記載の排水マットを用いた植生基盤であって、
前記排水マットの外周縁を立ち上げて形成した排水ピットと、
該排水ピットの内方で、所定の層厚まで盛られた土壌により構成されることを特徴とする植生基盤。
【請求項3】
請求項2に記載の植生基盤において、
前記排水ピットを構成する排水マットの排水ドレンが、その両端部を長さ方向に連結可能な形状に成形されており、
前記排水ピットが、複数の排水マットを幅方向に連接して、隣り合う排水ドレンの端部どうしを連結するとともに、隣り合う保護シートどうし及び耐根兼透水シートどうし各々の端部を重ね合わせて固着手段を介して固着することにより構成されたユニットの、外周縁を立ち上げて形成されることを特徴とする植生基盤。
【請求項4】
請求項2に記載の植生基盤の施工方法であって、
人工地盤上の所定位置に、前記排水マットを配置した後、外周縁を立ち上げて排水ピットを形成し、排水ピットの内方に、土壌を盛ることを特徴とする植生基盤の施工方法。
【請求項5】
請求項3に記載の植生基盤の施工方法であって、
複数の前記排水マットを幅方向に隣り合わせて配置し、隣り合う排水ドレン同士を連結するとともに、隣り合う保護シートどうし及び耐根兼透水シートどうし各々の端部を重ね合わせて固着手段を介して固着してユニットを形成した後、
該ユニットの外周縁を立ち上げて、人工地盤上の所定位置に排水ピットを形成し、該排水ピットの内方に土壌を盛ることを特徴とする植生基盤の施工方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排水マット、排水マットを用いた植生基盤及び植生基盤の施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、都市部におけるヒートアイランド現象の緩和や大気の浄化、アメニティ空間の創出等を目的に、建物や駐車場等の人工地盤に対する緑化が試みられている。
人工地盤の緑化に用いる植生基盤には、例えば、特許文献1に示すように、植裁全体に樹脂製の排水マットを設置する構成や、特許文献2に示すように、植裁域全体に保水と排水の機能を持ったパネルを設置する構成等が考案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−139200号公報
【特許文献2】
特開平8−280259号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述する構成は、人工地盤に対する積載荷重等の関係から、植生基盤厚を十分に確保できないにもかかわらず、何れも植生基盤全域に対して排水層を設置しているため、植生基盤の土壌厚が排水層分薄くなる構成となっている。
また、排水層を形成する際には、基盤に保護シートを敷設し、その上に排水マットやパネルを設置し、透水シートを敷設して土壌を入れるという複数の作業が必要となり、施工に係る手間が生じていた。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、施工性が良く、構造物への重量負荷を低減することの可能な排水マット、植生基盤及び植生基盤の施工方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の排水マットは、人工地盤の表面を保護する保護シートと、該保護シートの幅方向に延在し、長さ方向に所定の離間間隔をもって複数が平行に配置されて、保護シートの表面に固定手段を介して固定されており、保護シートの幅と比較して短小な部材長を有する排水ドレンと、前記保護シートの表面、及び排水ドレンの周面を一様に覆うように固着手段を介して固着されており、保護シート及び排水ドレンと植裁の根との接触を防止する耐根兼透水シートにより構成されることを特徴としている。
【0007】
請求項2記載の植生基盤は、前記排水マットの外周縁を立ち上げて形成した排水ピットと、該排水ピットの内方で、所定の層厚まで盛られた土壌により構成されることを特徴としている。
【0008】
請求項3記載の植生基盤は、前記排水ピットを構成する排水マットの排水ドレンが、その両端部を長さ方向に連結可能な形状に成形されており、前記排水ピットが、複数の排水マットを幅方向に連接して、隣り合う排水ドレンの端部どうしを連結するとともに、隣り合う保護シートどうし及び耐根兼透水シートどうし各々の端部を重ね合わせて固着手段を介して固着することにより構成されたユニットの、外周縁を立ち上げて形成されることを特徴としている。
【0009】
請求項4記載の植生基盤の施工方法は、人工地盤上の所定位置に、前記排水マットを配置した後、外周縁を立ち上げて排水ピットを形成し、排水ピットの内方に、土壌を盛ることを特徴としている。
【0010】
請求項5記載の植生基盤の施工方法は、複数の前記排水マットを幅方向に隣り合わせて配置し、隣り合う排水ドレン同士を連結するとともに、隣り合う保護シートどうし及び耐根兼透水シートどうし各々の端部を重ね合わせて固着手段を介して固着してユニットを形成した後、該ユニットの外周縁を立ち上げて、人工地盤上の所定位置に排水ピットを形成し、該排水ピットの内方に土壌を盛ることを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る排水マット及び植生基盤を、図1から図5を用いて詳述する。本発明の排水マットは、層状に配置される人工地盤の表面を保護する保護シート及び耐根兼透水シートの間に、所定の離間間隔をもって複数の排水管が平行に配された状態でと一体化されており、排水管の配置位置のみが部分的に層厚を有する構成に形成されているため、該排水マットを植生基盤の排水層に適用することにより、植生基盤全体の層厚を抑制しながら、必要な土壌厚を確保するものである。
【0012】
図1に示すように、排水マット1は、構造物や駐車場等の人工地盤5の上に配置されており、保護シート2、排水ドレン3、及び耐根兼透水シート4により構成されている。
該保護シート2は、人工地盤の表面を保護するための防水及防食機能を兼ね備えており、外力により変形自在なガラス繊維性不織布等により構成されている。また、排水ドレン3は、例えば雑排水や雨水等を、構造物の排水系統に排水するために一般に用いられる管体であり、外周面には中空部に連通する複数の孔が設けられている。さらに、耐根兼透水シート4は、透水性を有するとともに、表面に植裁の根が這っても定着することのない平滑面に形成されている。
これらは、前記保護シート2の表面に、複数の排水ドレン3が並列配置されており、保護シート2の表面及び排水ドレン3の外周面を一様に覆うように耐根兼透水シート4が配置されて、排水マット1を構成している。
【0013】
該排水マット1は、保護シート2の幅方向に延在する前記排水ドレン3を、保護シート2の長さ方向に所定の離間間隔をもって複数配置された状態で前記保護シート2の表面に固定手段を介して固定されているとともに、前記保護シート2及び排水ドレン3と、耐根兼透水シート4とが面どうしで当接されて固着手段を介して固着されて一体化されていることから、保護シート2の長さ方向、つまり排水マット1の長さ方向に巻き取ることにより、ロール状に保管することが可能な構成となっている。
なお、本実施の形態では、前記排水ドレン3が、保護シート2の幅方向に延在するよう配置したが、必ずしもこれにこだわるものではなく、保護シート2の幅方向に対して角度を持たせて配置する構成としても良い。
【0014】
ところで、前記排水ドレン3は、その両端部が複数を長さ方向に連結可能な構成に形成されている。したがって、図3に示すように、複数の前記排水マット1を幅方向に隣り合わせて配置し、隣り合う排水ドレン3の端部どうしを連結することにより、排水マット1の敷設面積を幅方向にも自在に拡大することができるものである。
本実施の形態では、所定の幅にモジュール化した排水マット1を、幅方向に2体連接する構成を示したが、必ずしもこれにこだわるものではなく、連接する数量を増やす、もしくは、幅の異なる排水マット1を複数パターン作成しておき、敷設したい面積に応じて自在に組み合わせる構成としてもよい。
また、前記排水ドレン3は、その両端部を必ずしも長さ方向に連結可能な構成に形成する必要はなく、長さ方向に隣り合う排水ドレン3の端部どうしを当接させて、連結手段を介して連結する構成としてもよい。
【0015】
なお、前記排水ドレン3は、前記保護シート2に収まるよう、保護シート2の幅と比較して短小な部材長に成形されているため、隣り合う排水ドレン3の端部どうしを連結すると、図3に示すように、隣り合う保護シート2どうし及び耐根兼透水シート4どうしは、端部が各々重なり合う構成となっている。これら重なり合った保護シート2どうし及び耐根兼透水シート4どうしは、各々接着剤等の固着手段を介して固着されている。
【0016】
上述する構成の排水マット1によれば、図2に示すように、保護シート2、排水ドレン3及び耐根兼透水シート4が層状に重ねられて一体に形成されているとともに、図1に示すように、ロール状に保管できることから、現場にこれらを持参し、所望の位置で人工地盤5を覆うように拡げるのみで排水層の施工が完了するため、保護シート2及び耐根兼透水シート4を現場で敷設していた従来の排水層と比較して、施工性を大幅に向上することができるとともに工費削減、工期短縮を実現することが可能となる。
【0017】
このような構成の排水マット1を利用した植生基盤7を以下に示す。
図4に示すように、該植生基盤7は、排水ピット8と土壌6により構成されている。該排水ピット8は、前述した排水マット1の四方の外周縁を立ち上げることにより形成されており、前記人工地盤5の所望位置に配置されている。また、前記土壌6は、前記排水マット1により形成した排水ピット8の内方に盛られており、植裁に必要な土壌厚が確保されている。
【0018】
該植生基盤7では、前記排水ピット8に排水マット1を用いているため、排水ドレン3の配置位置のみ部分的に排水層としての部材厚を有し、他の領域ではほぼ部材厚が無い。これにより、排水ピット8の内方に盛られる土壌6の土壌厚は全領域を見ると、人工地盤5上に直接土壌6を盛る場合とほぼ同様の厚さとなるため、排水層の層厚を考慮することなく、植裁に必要な土壌厚を容易に確保することが可能となる。
【0019】
また、植生基盤7の施工方法は、図5(a)に示すように、人工地盤5上の所定位置に前記排水マット1を配置した後、図5(b)に示すように、外周縁を立ち上げ排水ピット8を形成し、該排水ピット8の内方に、土壌6を盛るのみで完了する。これにより、施工性が良く、工費削減、工期短縮に寄与することが可能となる。
【0020】
なお、例えば、植生基盤7を広い面積で構築したい場合には、図3に示したように、複数の排水マット1を幅方向に連結してユニットを構築し、該ユニットの四方の外周縁を立ちあげて前記排水ピット8を構築すればよい。
その施工方法は、人工地盤5上の所定位置に前記排水マット1を幅方向に複数配置した後、隣り合う排水ドレン3の端部どうしを連結するとともに、隣り合う保護シート2どうし及び耐根兼透水シート4どうしの重なり合う端部各々に接着剤等の固着手段を介して固着してユニットとした後、該ユニットの外周縁を立ち上げて、排水ピット8を形成すればよい。なお、排水マット1を幅方向に連結して構築するユニットは、必ずしも植生基盤7を構築したい人工地盤5上で構築する必要はなく、あらかじめユニットを作成しておき、これを植生基盤7を構築したい人工地盤5上に搬入する手順としても良い。これにより、所望の面積を有する植生基盤7を、簡略な構成でかつ経済的に構築することが可能となる。
【0021】
【発明の効果】
請求項1記載の排水マットによれば、人工地盤の表面を保護する保護シートと、該保護シートの幅方向に延在し、長さ方向に所定の離間間隔をもって複数が平行に配置されて、保護シートの表面に固定手段を介して固定されており、保護シートの幅と比較して短小な部材長を有する排水ドレンと、前記保護シートの表面、及び排水ドレンの周面を一様に覆うように固着手段を介して固着されており、保護シート及び排水ドレンと植裁の根との接触を防止する耐根兼透水シートにより構成される。
これにより、保護シート、排水ドレン及び耐根兼透水シートが一体に形成されているとともに、ロール状に保管できることから、現場にこれらを持参し、所望の位置で人工地盤を覆うように拡げるのみで排水層の施工が完了するため、簡略な構成で容易に排水層を形成することが可能となる。
【0022】
請求項2記載の植生基盤によれば、前記排水マットの外周縁を立ち上げて形成した排水ピットと、該排水ピットの内方で、所定の層厚まで盛られた土壌により構成される。
これにより、前記排水マットが、排水ドレンの配置位置のみ部分的に部材厚を有するものの、他の領域ではほぼ部材厚が無いことから、植生基盤の土壌厚は、人工地盤上に直接土壌を盛る場合とほぼ同様の厚さとなるため、排水層の層厚を考慮することなく、植裁に必要な土壌厚を容易に確保することが可能となる。
【0023】
請求項3記載の植生基盤によれば、前記排水ピットを構成する排水マットの排水ドレンが、その両端部を長さ方向に連結可能な形状に成形されており、前記排水ピットが、複数の排水マットを幅方向に連接して、隣り合う排水ドレンの端部どうしを連結するとともに、隣り合う保護シートどうし及び耐根兼透水シートどうし各々の端部を重ね合わせて固着手段を介して固着することにより構成されたユニットの、外周縁を立ち上げて形成される。
これにより、所望の面積を有する植生基盤を、簡略な構成でかつ経済的に構築することが可能となる。
【0024】
請求項4及び5記載の植生基盤の施工方法によれば、人工地盤上の所定位置に、前記排水マットを配置した後、外周縁を立ち上げて排水ピットを形成し、排水ピットの内方に、土壌を盛る。
または、複数の前記排水マットを幅方向に隣り合わせて配置し、隣り合う排水ドレン同士を連結するとともに、隣り合う保護シートどうし及び耐根兼透水シートどうし各々の端部を重ね合わせて固着手段を介して固着してユニットを形成した後、該ユニットの外周縁を立ち上げて、人工地盤上の所定位置に排水ピットを形成し、該排水ピットの内方に土壌を盛る。
これにより、作業が単純化されて施工性が良く、工費削減、工期短縮に寄与することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る排水マットの概略を示す図である。
【図2】本発明に係る排水マットの詳細を示す図である。
【図3】本発明に係る複数の排水マットを連結したユニットを示す図である。
【図4】本発明に係る排水マットを用いた植生基盤を示す図である。
【図5】本発明に係る植生基盤の施工方法を示す図である。
【符号の説明】
1 排水マット
2 保護シート
3 排水ドレン
4 耐根兼透水シート
5 人工地盤
6 土壌
7 植生基盤
8 排水ピット
【出願人】 【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目2番3号
【出願日】 平成15年7月14日(2003.7.14)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男

【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和

【公開番号】 特開2005−27561(P2005−27561A)
【公開日】 平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願番号】 特願2003−196567(P2003−196567)