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【発明の名称】 きのこ栽培用容器
【発明者】 【氏名】窪田 吉男
【住所又は居所】長野県長野市稲里町田牧1607番地5 株式会社シナノポリ内

【要約】 【課題】袋栽培あるいは瓶栽培によって栽培するきのこ栽培に使用する栽培容器であって、きのこ栽培に必要な十分な通気量を確保することができ、雑菌の侵入を防止し、雑菌やきのこの胞子の繁殖を防止してきのこ栽培に好適に使用できるきのこ栽培用容器を提供する。

【解決手段】培養基を収容する容器に、容器の内外を連通して通気させるとともに、容器内に雑菌が侵入することを防止するフィルタ16を設けたきのこ栽培用容器10において、前記フィルタ16に滅菌機能が付与されていることを特徴とする。フィルタ16に滅菌機能を付与する方法としては、たとえばフィルタ材に銀を担持する方法が利用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養基を収容する容器に、容器の内外を連通して通気させるとともに、容器内に雑菌が侵入することを防止するフィルタを設けたきのこ栽培用容器において、
前記フィルタに滅菌機能が付与されていることを特徴とするきのこ栽培用容器。
【請求項2】
容器がプラスチック製の袋に形成され、袋に形成された通気孔を覆うようにフィルタが熱溶着または接着剤により接着されていることを特徴とする請求項1記載のきのこ栽培用容器。
【請求項3】
容器がプラスチック製の栽培瓶に形成され、栽培瓶の瓶口に嵌着されるキャップ内にフィルタが装着されていることを特徴とする請求項1記載のきのこ栽培用容器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はきのこ栽培用容器に関し、より詳細にはきのこ栽培用容器に設けられるフィルタの構成を特徴とするきのこ栽培用容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
きのこの人工栽培方法には、栽培袋に培養基を詰め、植菌工程、殺菌工程、培養工程を経て、きのこの子実体を培養基から生長させてきのこを収穫する、いわゆる袋栽培によるきのこの栽培方法がある。
袋栽培によるきのこの栽培方法では、栽培袋に培養基を充填し、培養基を殺菌した後、植菌して袋を密封し、培養室で培養される。この培養工程において袋の内外で通気できるように、栽培袋には通気用のフィルタが取り付けられている。このフィルタは袋の内外での通気を可能にするとともに、袋内を清浄空間とするため、雑菌が袋内に侵入することを阻止する作用を有するものである。
【0003】
【特許文献1】
特開昭55−162915号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、袋栽培(菌床栽培)による椎茸栽培などでは、良好な培養を可能とし、良い菌床が得られるようにするためには、十分に酸素を呼吸できるようにする必要があり、栽培袋の通気性を良好にする必要がある。良い培養が行えて充実した菌床を形成することができれば、良質のきのこを収穫することができ、きのこの収量を上げることができる。しかしながら、フィルタは袋内に雑菌が侵入することを防止することを目的とするものであり、通気量を十分確保し、なおかつ雑菌の侵入を抑えるようにすることは、フィルタの機能として相反する機能であり、従来のフィルタではこのような機能を十分に満足することができない。
【0005】
なお、きのこの人工栽培においては、栽培袋を用いた菌床栽培に限らず、培養基を充填する容器として栽培瓶を用いた瓶栽培においても、まったく同様の問題がある。すなわち、栽培瓶を用いたきのこの人工栽培においては、栽培瓶のキャップ内にフィルタを装着して、フィルタを介して栽培瓶の内外が通気されるように構成されている。したがって、栽培瓶に設けられているフィルタについても、培養基に十分に菌が蔓延して良好な培養がなされるようにするためには、フィルタが十分な通気性を有するとともに、雑菌の侵入が確実に防止されるようにすることが求められる。
【0006】
そこで、本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、袋栽培あるいは瓶栽培によって栽培するきのこ栽培に使用する栽培容器であって、きのこ栽培に必要な十分な通気量を確保することができるとともに、雑菌の侵入を防止し、雑菌やきのこの胞子の繁殖を防止するきのこ栽培用容器を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため次の構成を備える。
すなわち、培養基を収容する容器に、容器の内外を連通して通気させるとともに、容器内に雑菌が侵入することを防止するフィルタを設けたきのこ栽培用容器において、前記フィルタに滅菌機能が付与されていることを特徴とする。フィルタに滅菌機能を付与したことにより、容器内外での十分な通気量を確保するとともに、雑菌の繁殖を防止し、雑菌の侵入や繁殖を防止して好適なきのこ栽培を可能にする。
なお、フィルタに滅菌機能を付与させる方法としては、たとえばフィルタ材に銀を担持させるといった方法がある。
また、フィルタ材としては、複合型分割繊維を用いて不織布として形成したもの、アクリル繊維を混抄した機能性混抄紙からなるもの、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂からなる短繊維をウェブ状にし、さらに仮圧縮してフィルター材としたもの、またはウォータージェットを利用して前記ウェブ状の繊維を交絡させて不織布状としてフィルター材としたもの等が利用できる。
また、前記容器がプラスチック製の袋に形成され、袋に形成された通気孔を覆うようにフィルタが熱溶着または接着剤により接着されていることを特徴とし、また、前記容器がプラスチック製の栽培瓶に形成され、栽培瓶の瓶口に嵌着されるキャップ内にフィルタが装着されていることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付図面とともに詳細に説明する。図1はきのこ栽培用容器の一実施形態として、きのこの袋栽培に用いる栽培袋10の外観図を示す。この栽培袋10は、上部が開口したプラスチック製の袋であり、袋の両側縁部を内側に折り込み、下部を2重にシールしてなる。12が折り込み部、14が熱シール部である。16が袋の内外を通気するためのフィルタである。
【0009】
図2に、本発明に係る栽培用袋に取り付けたフィルタ16の取り付け部分を拡大して示す。図2(a)は、フィルタ16を袋の外側から見た状態を示すもので、円形の熱溶着部16aによってフィルタ16を袋に取り付けた状態を示す。図2(b)は、フィルタ16の取り付け状態を袋の内側から見た状態で、栽培袋10に設けた通気孔11の内縁部の外側に同心状に熱溶着部16aを設けていることを示す。フィルタ16は通気孔11の開口部で露出しており、この露出部分で袋の内外を通気する。
【0010】
本実施形態の栽培袋10において特徴的な点は、フィルタ16として、気体透過度が2cc/m・24hr・atm以上のフィルタ材を使用し、かつフィルタ材に滅菌作用を付与したことにある。
本実施形態のフィルタ16は従来の栽培袋に使用されているフィルタと比較して非常に大きな通気性を備えている。このように良好な通気性を得ることができている理由は、フィルタ材として超極細繊維の不織布を使用していること、具体的には、ポリエチレン・テレフタレート50%(容積比)、ポリプロピレン50%(容積比)からなる分割型複合繊維からなるフィルタ材を使用していることによる。分割型複合繊維はきわめて細い繊維であり、この繊維を不織布としてフィルタ材とすることによって、従来のフィルタに比較して大きな通気性を得ることが可能となる。
【0011】
また、本実施形態のフィルタ16は、通気性は高いもののフィルタ16の厚さを2mm程度としているため、フィルタ16に進入した雑菌は、繊維中を縫うようにして進まざるを得ず、途中で、繊維のもつ静電気によって補足されてしまう。このように、繊維の静電気によって雑菌を補足し、これによって雑菌の侵入を防止するようにする作用は本実施形態のフィルタ16に特有の作用である。
【0012】
これに対して、従来のフィルタでは、防塵率を下げるため、織目を細菌に合わせて1μm以下とし、フィルタの厚さを0.5〜0.6mmとして細菌を補足することをフィルタとしての第1条件としている。このため、十分な通気量が確保できないという結果になっている。
きのこ栽培用のフィルタの防塵率を測定した実験によると、フィルタ機能はやや劣っていてもある程度の通気性を備えるフィルタの方が、フィルタ機能に優れ、通気性が抑制されるフィルタよりも防塵率としては良い結果が得られている。これは、通気性を抑制したことによって、フィルタ以外の部位から空気が侵入するといったことが起こり得るためと考えられる。この点で、本実施形態のような、十分な通気量が確保でき、雑菌の補足性にすぐれるフィルタは、フィルタ機能としてきわめて有効である。
【0013】
本実施形態のフィルタ16は、上記のように十分な通気性を備えるとともに、雑菌補足作用を有しており、また同時に撥水性を備えている。したがって、高圧殺菌釜等を用いて水蒸気殺菌するといった操作を行うきのこ栽培に用いるフィルタとして好適に使用することができる。
しかしながら、本実施形態のフィルタ16では、雑菌の補足性を上げるためにフィルタの厚さを厚くしている。このため、フィルタ16の内部に水分が含有されるおそれがあり、フィルタ16の内部に水分が含有されることによって、フィルタ16に捕捉された細菌や胞子がフィルタ16の内部で繁殖するおそれがある。このような、細菌や胞子がフィルタ16内で繁殖することを防止する目的で本実施形態のフィルタ16はフィルタ16自体に滅菌機能を付与している。
【0014】
フィルタ16自体に滅菌機能を付与する方法として本実施形態では、フィルタ材として使用している分割型複合繊維に銀を担持する方法を利用している。銀担持光触媒は、アクリル繊維に銀を化学結合させて形成した例で、可視光線や紫外線によってレジオネラ菌を破壊する作用を有することが知られている。本実施形態では、フィルタ材に銀を担持させることによって、フィルタ16を銀担持光触媒として作用させ、これによってフィルタ16に捕捉された細菌や胞子を殺菌し、フィルタ16内で繁殖することを抑えることが可能となる。
【0015】
なお、銀担持光触媒による作用は、可視光線や紫外線によって電子が励起され、それによってヒドロキシラジカルが生じ、このヒドロキシラジカルがきわめて強力な酸化作用を有することによる。このヒドロキシラジカルの酸化力はオゾンや塩素よりも強力である。とくに銀担持光触媒は、わずかな可視光線で機能し、殺菌できるという特徴がある。
【0016】
フィルタ16に滅菌機能を付与する他の方法としては、抗菌作用を有するアクリルモノマーを繊維の表面に薄い樹脂膜を形成するようにして設ける方法もある。このように、抗菌作用を有するアクリル繊維を混抄した機能性混抄紙によってフィルタ16を形成することも可能である。
【0017】
図3は、瓶栽培に用いる栽培瓶20の構成を示す。栽培瓶20ではキャップ18の内部にフィルタ19が装着されている。このフィルタ19に上述した分割型複合繊維からなるフィルタあるいは抗菌作用を有するアクリル繊維を混抄した機能性混抄紙によって形成したフィルタを使用することにより、フィルタに滅菌機能を付与することができ、十分な通気量を確保して、雑菌の侵入を防止し、フィルタ内で雑菌が繁殖することを防止して、好適な培養を行うことが可能となる。
【0018】
【発明の効果】
本発明に係るきのこ栽培用容器によれば、上述したように、優れた通気性を備え、雑菌の侵入を抑えるとともに雑菌の繁殖を防止したフィルタを使用することによって、容器内外における十分な通気量を確保するとともに、雑菌の侵入や雑菌の繁殖を抑えて良好な培養を行うことができ、これによって良品のきのこを生産することができ、きのこの収量増を図ることができる等の著効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】きのこ栽培用の栽培袋の外観図である。
【図2】フィルタ部分を拡大して示す説明図である。
【図3】きのこ栽培用の栽培瓶の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
10 栽培袋
11 通気孔
16 フィルタ
16a 熱溶着部
18 キャップ
19 フィルタ
20 栽培瓶
【出願人】 【識別番号】000131463
【氏名又は名称】株式会社シナノポリ
【住所又は居所】長野県長野市稲里町田牧1607番地5
【出願日】 平成15年6月25日(2003.6.25)
【代理人】 【識別番号】100077621
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 隆夫

【識別番号】100092819
【弁理士】
【氏名又は名称】堀米 和春

【公開番号】 特開2005−13050(P2005−13050A)
【公開日】 平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願番号】 特願2003−180396(P2003−180396)