| 【発明の名称】 |
藻場育成資材 |
| 【発明者】 |
【氏名】岡本 豊之
【氏名】竹元 栄一
【氏名】島津 光明
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| 【要約】 |
【課題】本発明は、廃棄物の再資源化を図ることができるとともに生産性に優れ、また表面に微細な凹凸と細孔を有するので、藻類の生殖胞子や幼胚の着生面積を広げるとともに着生し易く、さらに藻類の育成効果にも優れる藻場育成資材を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の藻場育成資材は、(a)枠体と、(b)無機系廃材を粉砕して得られる無機系粉体と、貝殻を粉砕して得られる貝殻粉体と、を含有する無機系発泡体組成物を溶融発泡させて形成され前記枠体に配設された無機系発泡体と、を備える。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (a)枠体と、(b)無機系廃材を粉砕して得られる無機系粉体と、貝殻を粉砕して得られる貝殻粉体と、を含有する無機系発泡体組成物を溶融発泡させて形成され前記枠体に配設された無機系発泡体と、を備えていることを特徴とする藻場育成資材。 【請求項2】 前記無機系発泡体組成物が、前記無機系粉体100重量部に対し、貝殻粉体1〜25重量部好ましくは8〜20重量部より好ましくは10〜15重量部を含有していることを特徴とする請求項1に記載の藻場育成資材。 【請求項3】 前記無機系粉体の粒径が、0.01〜3000μm好ましくは0.1〜1000μmより好ましくは0.5〜500μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の藻場育成資材。 【請求項4】 前記無機系廃材が、ガラス質廃材であることを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1に記載の藻場育成資材。 【請求項5】 前記無機系発泡体の前記枠体への配設が、(a)セメント系固化材層に一部が埋め込まれて固着され前記セメント系固化材層が前記枠体に配設されている、(b)網体又は籠体に収容され前記網体又は前記籠体が前記枠体に配設されている、(c)開口部を有する金属製の容器とともに加熱されて溶融発泡され前記容器が前記枠体に配設されている、の内のいずれか1以上であることを特徴とする請求項1乃至4の内いずれか1に記載の藻場育成資材。 【請求項6】 前記容器が、炭素鋼で形成されていることを特徴とする請求項5に記載の藻場育成資材。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、海中にて生育する海藻類や植物プランクトン等の生物の育成に有効な藻場を形成することができる藻場育成資材に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 海洋沿岸域には、コンブ科やホンダワラ科植物等の大型の海藻で構成される藻場が形成されている。藻場は、魚介類の保護育成或いは藻食動物に餌料を供給する漁場として、さらには沿岸生態系の基盤として、重要な役割を果たしている。そのため、水産生物資源の維持或いは増大を目指した漁場造成の一つである藻場育成が各地で行われている。また、そのための藻場育成資材の研究が行われている。 従来の技術としては、(特許文献1)に「水中に二価の鉄イオンを溶出するFeO及びFe2O3のいずれか1種又は2種を1〜40重量%含有するガラス質材料を独立気泡を有する多孔状に形成し、比重を0.1〜1.0の範囲にした藻類増殖用材料」が開示されている。 【0003】 【特許文献1】 特開2003−9714号公報 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。 (1)(特許文献1)に開示の技術は、藻類増殖材の比重が0.1〜1.0の多孔状に形成されており比重が海水より小さいので海中を浮遊あるいは漂流するため、漁礁として用いるためには海底等に繋留するかブイ等の浮体構造物を利用して固定化する必要があり、また海面を浮遊等する場合は、太陽光の照射時間が最も長く藻類の増殖条件の良い藻類増殖材の上面と海水とが接触し難いので、藻類増殖材に藻類が付着し難く藻類が育成され難いという課題を有していた。 (2)ガラスに含有される鉄や硼素の量によっては、ガラスの耐水性が低下したりガラス表面に金属鉄として析出し熱膨張率が異なることにより割れ易くなるため信頼性に欠けるとともに、製造に際し配合量や溶融条件等の管理が煩雑で生産性に欠けるという課題を有していた。 【0005】 本発明は上記従来の課題を解決するもので、廃棄物の再資源化を図ることができるとともに生産性に優れ、さらに藻類が着生し易く藻類の育成効果にも優れる藻場育成資材を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】 上記従来の課題を解決するために本発明の藻場育成資材は、以下の構成を有している。 【0007】 本発明の請求項1に記載の藻場育成資材は、(a)枠体と、(b)無機系廃材を粉砕して得られる無機系粉体と、貝殻を粉砕して得られる貝殻粉体と、を含有する無機系発泡体組成物を溶融発泡させて形成され前記枠体に配設された無機系発泡体と、を備えた構成を有している。 この構成により、以下のような作用が得られる。 (1)無機系廃材や貝殻という廃棄物を用いているので、廃棄物の再資源化を図ることができ省資源性に優れる。 (2)貝殻は硬度が低く粉砕し易いので貝殻粉体が容易に得られ、粉砕設備負荷や工数等を小さくすることができる。 (3)無機系発泡体組成物を加熱することで、貝殻が含有する炭酸カルシウムが分解して炭酸ガスを発生し溶融した無機系粉体を発泡させて気泡を形成するとともに、貝殻が含有するフミン酸が燃焼して焼失し微細孔を形成し表面積の大きな無機系発泡体が安定して得られ、藻類の幼体等の着生面積を大きくすることができる。 (4)貝殻の種類によっては赤貝等のように繊維質を有し、所定の溶融温度で溶融発泡して形成された気泡の周囲に該繊維質が位置して補強剤として機能し、無機系発泡体の気泡が破裂するのを防止し細孔を形成するので、藻類の生殖胞子や幼胚が付着し易く藻類が着生し易い。 (5)貝殻はカルシウムイオンだけでなくマグネシウムイオンも有し、これらが、無機系粉体が溶融した溶融体の粘性を小さくして冷却時に発生する残留ひずみを少なくするので冷却時に割れ難くなり、板状等の長尺の無機系発泡体を形成し易く成形性に優れる。 (6)貝殻粉体の主成分は炭酸カルシウムであるが、それ以外の組成物も含有しており全てが熱分解しないので、基体内に貝殻残渣が分散して存在する。このため、加熱されて形成された無機系発泡体を水中に浸漬すると、無機系発泡体の破壊面や貝殻残渣等からカルシウム、マグネシウム等が水中に溶出する。これにより、貝類や藻類等の成育を促進することができる。 (7)貝殻粉体で発泡して形成された無機系発泡体はコンクリート材と比べて機械的強度が低いので、藻類が着生した無機系発泡体の表面が潮流等の抵抗や外力によって長い間に少しずつ崩れ藻類が未着生の新たな表面を形成することができ、長期間に亘って藻場育成資材としての役割を果たすことができる。コンクリート材は機械的強度が高く新たな表面を形成することがないので、コンクリート材の全面に藻類が着生した後、下面側の藻類が死滅してしまうことがあり長期間に亘って藻場育成資材として機能しないことがあるからである。 (8)無機系発泡体が配設される枠体を備えているので、無機系発泡体を枠体の上部や側部に配設することで無機系発泡体を海底から離間させることができ、無機系発泡体を海底の砂等に埋まり難くすることができ、長期間藻類育成資材として機能させることができる。また、太陽光に当たり易くすることができるため、着床した藻類の育成を促進させることができる。さらに、無機系発泡体を所定の間隔をあけて枠体に配設することにより、潮流を滞留させずに流すことができ藻類の生殖胞子が無機系発泡体に着生する機会を増やすことができるとともに、潮流中の栄養分を着生した藻類に供給することができる。 【0008】 ここで、無機系廃材としては、ガラス質廃材、焼却灰、煉瓦質廃材、家畜や魚の骨等が用いられ、これらの1種若しくは複数種を混合して用いることができる。 ガラス質廃材としては、薬品用びん,化粧品用びん,食料調味料用びん,飲料用びん等のガラスびん、板ガラス、窓ガラス、テレビやディスプレイのガラスパネル等の廃棄物、ガラス製品工場から発生するスクラップ等が用いられる。 焼却灰としては、石炭発電やゴミ発電,若しくは都市ゴミ焼却炉等の固体燃料を主として使用する燃焼装置の石炭灰等が用いられる。 煉瓦質廃材としては、赤煉瓦,耐火煉瓦,軽量煉瓦,舗道煉瓦,釉薬煉瓦,鉱滓煉瓦,珪灰煉瓦,セメント煉瓦等の廃棄物、煉瓦製品工場から発生するスクラップ等が用いられる。 家畜や魚の骨としては、牛,豚,馬,鶏等の家畜や魚を加工した際に得られる骨が用いられる。 【0009】 貝殻としては、牡蠣,帆立貝,赤貝,ハマグリ,アサリ,アワビ,サザエ,シジミ,カラスガイ,ドブガイ等の二枚貝や巻貝の殻が用いられる。食用に供され大量に廃棄されるので、廃棄物の有効活用を図ることができる。 【0010】 無機系廃材や貝殻の粉砕は、ハンマクラッシャ,エッジランナ,スクリーンミル,ローラミル,エロフォールミル,ボールミル,ジェットミル等の粉砕機を用いて行うことができる。 【0011】 枠体としては、鋼材、鋳鉄、石材、木材、コンクリート材等で形成された板材、棒材、管材等を用いて枠状に形成されたものが用いられる。なかでも、炭素鋼等の鉄を含有する鋼材や鋳鉄で形成されたものが好適に用いられる。海水で表面が錆び、潮流等の抵抗や外力によって表面が少しずつ崩れ藻類が未着生の新たな表面を形成することができ長期間に亘って藻場育成資材としての役割を果たすことができるからである。また、藻類の育成に有用とされる鉄イオンが溶出するので、藻類の育成を促進させることができるからである。 無機系発泡体は、枠体の上部や側部に外向きに配設されると好ましい。無機系発泡体に着床した藻類の育成に有用な太陽光が当たり易く、また無機系発泡体を海底から離間させることができるので無機系発泡体が設置された海底の砂等に埋まり難いからである。 また、無機系発泡体は枠体に所定間隔の隙間を設けて配設するのが好ましい。潮流が藻場育成資材の中を流れやすくするためである。これにより、潮流で運ばれる藻類の幼体や栄養分等を藻場育成資材に供給することができる。 【0012】 本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の藻場育成資材であって、前記無機系発泡体組成物が、前記無機系粉体100重量部に対し、貝殻粉体1〜25重量部好ましくは8〜20重量部より好ましくは10〜15重量部を含有した構成を有している。 この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。 (1)貝殻粉体が所定量配合されているので、加熱して無機系粉体を溶融すると最適量の炭酸ガスが発生し気泡が形成され、発泡倍率の大きな無機系発泡体が得られ表面に無数の凹凸が形成されるため藻類の生殖胞子や幼胚が着床し易い。 (2)貝殻粉体の密度が小さいので容量が多く、無機系粉体に均一に混合させることができ、貝殻粉体が発泡して得られる気泡を均一に分布させるので均質性に優れる。 【0013】 ここで、貝殻粉体の含有量としては、無機系粉体100重量部に対し、貝殻粉体1〜25重量部好ましくは8〜20重量部より好ましくは10〜15重量部が好適である。無機系粉体100重量部に対し貝殻粉体が10〜15重量部であると貝殻粉体が分解して発生する炭酸ガス量が最適で、発泡量が多く機械的強度も高い無機系発泡体が得られる。8〜10重量部になると貝殻粉体の種類によっては分解して発生する炭酸ガス量が少なく発泡し難くなる傾向がみられるが、大きな発泡倍率が得られる。15〜20重量部になると貝殻粉体が分解して発生する炭酸ガス量が多く無機系発泡体の表面に細かなひび割れが発生しガスが抜けてしまい嵩が増え難くなる傾向がみられるが、高い機械的強度が得られる。1〜8重量部になると貝殻粉体が分解して発生する炭酸ガス量が少なく嵩が増え難く、また連続気泡を形成することが困難になる傾向がみられ、20〜25重量部になると無機系発泡体の表面のひび割れが大きくなり機械的強度が低下する傾向がみられる。特に、1重量部より少なくなるか25重量部より多くなるとこれらの傾向が著しいので好ましくない。 【0014】 本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の藻場育成資材であって、前記無機系粉体の粒径が、0.01〜3000μm好ましくは0.1〜1000μmより好ましくは0.5〜500μmである構成を有している。 この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。 (1)無機系粉体の粒径が所定の範囲に調整されているので、無機系粉体の溶融温度が安定するとともに気泡の大きさも安定し気泡の粒径分布が小さく、無機系発泡体の品質の安定性に優れるとともに、機械的強度を高くすることができるので藻場作成時に割れや欠け等が生じ難く藻場育成資材の生産性を高めることができる。 【0015】 ここで、無機系粉体の粒径としては、0.01〜3000μm好ましくは0.1〜1000μmより好ましくは0.5〜500μmが好適である。粒径が0.5〜500μmの場合は機械的強度に優れ加熱溶融後の冷却時にも割れ難い無機系発泡体を得ることができる。0.5μmより小さくなるにつれ無機系廃材の粉砕効率が低下し粉砕設備負荷と工数が増大するとともに焼成時に溶融し易く溶融温度のコントロールが困難になる傾向がみられる。0.1μmより小さくなるにつれこの傾向が大きくなるとともに、粉砕時にバグフィルタ等の集塵装置に捕集される量が増加し粉砕設備負荷が増大する傾向がみられる。また、500μmより大きくなるにつれ無機系粉体間の隙間が大きいため焼成時に溶融して結合し難く機械的強度が低下し加熱溶融後の冷却時に無機系発泡体が割れ易くなる傾向がみられる。1000μmより大きくなるにつれこの傾向が大きくなるとともに、無機系粉体の種類によっては無機系発泡体の比重が大きくなり無機系発泡体の製品の比重のコントロールが困難になり、さらに無機系粉体は熱伝導率が小さいため焼成時に無機系粉体の内部にまで熱が伝わり難く焼成が不十分な箇所が形成され無機系発泡体の機械的強度が低下する傾向がみられる。特に、粒径が0.01μmより小さくなるか3000μmより大きくなるとこれらの傾向が著しいため、いずれも好ましくない。 なお、この範囲の粒径を有する無機系粉体を造粒し所定粒径の造粒粉にして用いることもできる。 【0016】 無機系粉体の粒径としては、JISの標準ふるいを用いたふるい分け法や顕微鏡法等によって測定された粒径をいう。 【0017】 無機系粉体は、重力分級機,慣性分級機,遠心分級機,篩い分け機等の乾式分級装置やスピッツカステン,スパイラル分級機等の重力式やハイドロサイクロン等の遠心力式の湿式分級装置によって所定粒径に分級すると、所定の範囲に確実に調整できるので好ましい。なお、湿式分級装置を用いた場合には、分級後に乾燥するか、加熱炉で加熱する場合に200℃付近で完全に水分等を蒸発させてから昇温を行う。無機系粉体で成形された成形体内の水分が加熱炉内で膨張して成形体が崩れるのを防止するためである。 【0018】 無機系粉体の粒度分布としては、粒径1000μmの無機系粉体の積算ふるい下%を100重量%としたとき、その内訳が、粒径250μmの積算ふるい下%で50〜70重量%、粒径500μmの積算ふるい下%で70〜90重量%のものが好適である。この粒度分布を有する無機系粉体は、加熱溶融時に焼結が十分に進行するため機械的強度に優れるとともに、気泡が均一に分散し均質性に優れた無機系発泡体を形成することができ表面の凹凸の大きさも整っているので藻類の生殖胞子や幼体等が着床し易く、また着床面積を広げることができる。 なお、粒径が1000〜3000μmの無機系粉体は、0.1〜1000μmの粒径を有する無機系粉体100重量部に対して0〜30重量部の割合で添加混合することができる。これにより、添加量に応じて、形成される無機系発泡体の比重を大きくすることができ、無機系発泡体の製品の比重のコントロールを容易に行うことができる。比重を1.1以上にすることによって自重で海水に沈降するので、枠体と無機系発泡体との構成比にもよるが、藻場育成資材の比重を大きくして海底に定置化し易くできるため特に都合がよく、また、比重を1.1未満にすることによって軽量化を計ることができる。なお、0.1〜1000μmの粒径を有する無機系粉体に1000〜3000μmの粒径を有する無機系粉体を添加しない場合(添加量0重量部の場合)は、気泡が均一に分散し均質性に優れた無機系発泡体を形成することができる。粒径が1000〜3000μmの無機系粉体の添加量が30重量部より多くなるにつれ、焼成時に無機系粉体の内部にまで熱が伝わり難く焼成が不十分な箇所が多数形成され、無機系発泡体の機械的強度が低下する傾向がみられるため好ましくない。 1000〜3000μmの無機系粉体を添加混合しない場合は、ハンマクラッシャ等の粉砕機を用いて再度粉砕して、粒径が1000μm以下の無機系粉体にして用いることができる。 【0019】 貝殻粉体としては、種々の粒径に調整されたものを用いることができる。貝殻粉体の粒径を調整することにより、無機系発泡体の比重を調整することができる。なお、貝殻粉体の粒径としては、JISの標準ふるいを用いたふるい分け法や顕微鏡法等によって測定された粒径をいう。 【0020】 貝殻粉体の粒径を0.1〜3000μmにすることにより、凝集し難く無機系粉体に均一に分散させることができ、加熱して溶融発泡することで気泡を点在するように均一に分布させることができる。この結果、径の大きな独立した気泡を形成することができ、比重が1より大きな無機系発泡体を形成することができる。 【0021】 なお、貝殻粉体の粒径が0.1μmより小さくなるにつれ粉砕設備負荷と工数が増大するとともに貝殻粉体が凝集し易く無機系粉体に均一に分散し難くなる傾向がみられ、3000μmより大きくなるにつれ加熱されて1個の貝殻粉体が分解したときに発生するガス量が多く粗大な気泡を形成し易くなり、そこを起点として無機系発泡体が割れ易くなり、さらに無機系粉体に対する相対的な貝殻粉体の個数が少なくなるので気泡の数が少なくなり無機系発泡体の発泡倍率が小さくなる傾向がみられるため、いずれも好ましくない。 なお、貝殻粉体は、無機系粉体と同様に分級することができる。これにより、粒径を0.1〜3000μmの範囲に確実に調整できる。 【0022】 また、貝殻粉体の粒径を0.1〜1000μmにすることにより、貝殻粉体の粒径が無機系粉体の粒径と略同一なので、無機系粉体に均一に分散させることができ、加熱して溶融発泡することで気泡を均一に分布させることができる。この結果、貝殻粉体の粒子が小さく均一に分散しているので、多数の独立した気泡と、それらが多数繋がった連続気泡を形成することができ、比重が1より小さな無機系発泡体を形成することができる。これにより、藻場育成資材を軽量化することができる。 【0023】 なお、貝殻粉体の粒径が0.1μmより小さくなるにつれ粉砕設備負荷と工数が増大するとともに貝殻粉体が凝集し易く無機系粉体に均一に分散し難くなる傾向がみられ、1000μmより大きくなるにつれ加熱されて1個の貝殻粉体が分解したときに発生するガス量が多く粗大な気泡を形成するとともに、無機系粉体に対する相対的な貝殻粉体の個数が少なくなり連続気泡が形成され難くなる傾向がみられるため、いずれも好ましくない。 【0024】 また、貝殻粉体の粒径を0.01〜50μm好ましくは0.1〜10μmにすることにより、貝殻粉体の密度が小さく、かつ粒径が小さいので粒子の個数が多く、無機系粉体の表面に貝殻粉体をまぶした状態となり、微細な気泡を均一に分散して形成させることができる。この結果、微細な気泡が多数繋がった連続気泡を形成することができ、表面積が大きく比重が1より大きな無機系発泡体を形成することができるので、藻類の生殖胞子や幼体等の着床面積を広げるとともに着床し易くすることができる。 【0025】 なお、貝殻粉体の粒径が0.1μmより小さくなるにつれ粉砕設備等の設備負荷と工数が増大するとともに貝殻粉体が凝集し易く無機系粉体に均一に分散し難くなる傾向がみられ、10μmより大きくなるにつれ、連続気泡を形成するのに必要な無機系粉体に対する相対的な貝殻粉体の個数が不足し連続気泡が形成され難くなる傾向がみられる。特に、粒径が0.01μmより小さくなるか50μmより大きくなると、これらの傾向が著しいため、いずれも好ましくない。 また、貝殻粉体としては、貝殻粉体を粉砕するときに用いられるバグフィルタやエアフィルタ等のろ過集塵装置や電気集塵装置等の集塵装置で集塵された貝殻粉体が好適に用いられる。バグフィルタでは0.1〜10μmの粒径を有する貝殻粉体が、エアフィルタや電気集塵装置では0.01μm程度の微細な粒径を有する貝殻粉体の捕集ができ、効率がよいからである。 【0026】 無機系発泡体は、無機系発泡体組成物を各々混合する混合工程と、前記混合工程で得られた混合粉体を750〜1100℃好ましくは900〜1000℃に加熱して溶融発泡させる加熱発泡工程と、を経て製造される。 これにより、以下のような作用が得られる。 (1)混合された無機系発泡体組成物を所定の温度範囲で加熱して溶融発泡させるので、無機系粉体を十分に軟化させて貝殻粉体を完全に包み込み、貝殻粉体の分解によって発生した炭酸ガスで確実に発泡させることができ安定性に優れる。(2)貝殻粉体が均一に混合しているので溶融助剤として働き全体の溶融温度を低下させるとともに、破壊の起点となり易い溶融斑の発生を防ぎ機械的強度を安定させる。 (3)加熱温度が750〜1100℃好ましくは900〜1000℃と比較的低いので、加熱炉等の設備負荷が少なく、また省エネルギー性に優れる。 【0027】 ここで、加熱発泡工程としては、混合工程で得られた混合粉体をステンレス製や炭素鋼等の金属製で形成された開口部を有する容器内に充填して、若しくはステンレス製等のメッシュベルトやキャタピラー等の上に堆積して、又は型等で成型して形成された成形体を、ボックス炉,シャットルキルン,ローラーハースキルン,トンネル式等の加熱炉内で間歇式若しくは連続式に加熱し、無機系粉体(成形体)を溶融させるものが用いられる。加熱発泡工程では、貝殻粉体が分解して発生した炭酸ガスによって、無機系粉体(成形体)が溶融して軟化した溶融体内に気泡が形成される。 なお、混合工程の後、混合粉体を造粒して造粒粉を形成する造粒工程を加えることもできる。これにより、微細な無機系粉体等が凝集等を起こすのを防止し加熱発泡工程において成形体の成形性高めることができ作業性に優れるとともに製品得率を高めることができる。 【0028】 加熱発泡工程における加熱温度としては、無機系粉体の種類にもよるが、750〜1100℃好ましくは900〜1000℃が好適に用いられる。加熱温度が900℃より低くなるにつれ無機系粉体の軟化が不十分で貝殻粉体が分解しても発泡し難い傾向がみられ、1000℃より高くなるにつれ貝殻粉体が分解して発生した気泡が膨張して粗大化し細かな気泡が得られ難くなったり発泡したものが再溶融して平滑なガラス状になったりする傾向がみられる。特に、750℃より低くなるか1100℃より高くなるとこれらの傾向が著しくなるため、いずれも好ましくない。 【0029】 加熱発泡工程では、750〜1100℃の加熱温度において、成形体の厚さや大きさに応じて5〜20分間保持される。保持時間が5分より少なくなるにつれ発泡ムラが生じ気泡の大きさが著しく不揃いになる傾向がみられ、20分より多くなるにつれ気泡が膨張して粗大化する傾向がみられるため、いずれも好ましくない。また、成形体の厚さや大きさによっては伝熱斑を生じ、不均質な無機系発泡体が形成されるので、それを防止するために、成形体は加熱炉の大きさに応じて所定の厚さや大きさに形成される。 【0030】 特に好ましくは、長尺状のトンネル式等の加熱炉内を(1)600〜750℃、(2)850〜950℃、(3)950〜1000℃、(4)900〜950℃の温度に予め保持された複数区域に分域して、各区域を順に5〜20分間で通過するように混合粉体を搬送して加熱溶融させるものが用いられる。予め所定の温度に保持された区域を混合粉体が搬送されていくので、連続生産が可能で生産性に優れる。また、600〜750℃で予熱された後に850℃以上に加熱されるので、無機系粉体の溶融及び貝殻粉体の分解・発泡を確実に行うことができ製品得率を高めることができる。また、その後に900〜950℃に加熱されるので、製品にクラック等が生じるのを防止し設計通りの機械的強度を得ることができ製品得率を高めることができる。 【0031】 加熱発泡工程で得られた溶融発泡体は、加熱炉内で除冷、若しくは空気中で自然冷却、又は空気や水等で急冷されて、長尺状,塊状等の無機系発泡体が形成され、必要に応じて、破砕され若しくは切断され又は割られ、藻場育成資材として用いられる。 【0032】 本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1に記載の藻場育成資材であって、前記無機系廃材が、ガラス質廃材である構成を有している。 この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。 (1)ガラス質廃材は、1000℃以下の低温で軟化するものが多いので加熱炉等の設備負荷が小さく、また溶融体の粘性が高いので気泡を形成し易く比重の制御を容易に行うことができ、さらに機械的強度が高く耐久性に優れる。また、板状等の長尺の無機系発泡体を形成し易く成形性に優れる。 (2)ガラス質廃材が溶融固化した後は、カドミウム,シアン等の有害物質を溶出しないので、海中に沈降しても周辺海域を汚染することがなく環境保全性に優れる。 【0033】 ここで、ガラス質廃材は、前述した他の無機系廃材に所定の割合で混合して用いることもできる。これにより、融点を下げるとともに溶融時の粘性を高めることができる。 【0034】 本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の内いずれか1に記載の藻場育成資材であって、前記無機系発泡体の前記枠体への配設が、(a)セメント系固化材層に一部が埋め込まれて固着され前記セメント系固化材層が前記枠体に配設されている、(b)網体又は籠体に収容され前記網体又は前記籠体が前記枠体に配設されている、(c)開口部を有する金属製の容器とともに加熱されて溶融発泡され前記容器が前記枠体に配設されている、の内のいずれか1以上である構成を有している。 この構成により、請求項1乃至4の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。 (1)無機系発泡体がセメント系固化材層に一部が埋め込まれ固着され、セメント系固化材層が枠体に配設されていると、長尺状に形成された無機系発泡体だけでなく塊状等に小片化したものや破片もセメント系固化材層に固着して藻場育成資材として使用することができ無機系発泡体を有効に活用することができる。 (2)網体又は籠体に無機系発泡体が収容され、又は開口部を有する容器内で無機系発泡体が溶融発泡されて無機系発泡体が容器に固着され、網体,籠体,容器が枠体に配設されていると、枠体に強固に固定することができる。 (3)無機系発泡体が開口部を有する容器内で容器とともに加熱され溶融発泡されていると、溶融発泡後の冷却過程で熱応力によって無機系発泡体が割れたり砕け易くなるのを防止することができ生産性に優れる。長尺状や大型の無機系発泡体を焼成する際には冷却速度を遅くしないと熱応力が不均一になり割れ易くなるからである。 【0035】 ここで、セメント系固化材層としては、ポルトランドセメント,マグネシアセメント,シリカセメント,高炉セメント,フライアッシュセメント,スラグセメント等を用いて固化されたものが用いられる。無機系発泡体は、セメント系固化材層に一部が埋め込まれモザイク状に固着される。 セメント系固化材層は、開口部を有する金属製等の容器内で固化され、容器を介して枠体に配設されると望ましい。セメント系固化材層を容器で補強して割れ難くすることができ耐久性を高めることができるからである。 【0036】 セメント系固化材層の1乃至複数箇所に、炭素鋼、鋳鉄等の鉄製で形成された鉄製小片の一部を埋め込んで固着すると好ましい。藻類の育成に有用とされる鉄イオンが鉄製小片から溶出するので、無機系発泡体等に着生した藻類の育成を促進させることができるからである。なお、鉄製小片としては廃材を用いることもできる。これにより、廃材の有効利用を図ることができる。 【0037】 網体や籠体としては、内側に収容された無機系発泡体が外側に流れ出さないように形成されたものが用いられ、合成樹脂製や金属製等で全体が網状や籠状に形成されているものの他、一部が網状や籠状に形成されたものも用いることができる。無機系発泡体を枠体に配設することができるとともに、無機系発泡体を海水と接触させることができるからである。 【0038】 無機系発泡体を、開口部を有する金属製の容器とともに加熱し溶融発泡する方法としては、ステンレス製や炭素鋼製等の金属製の容器内に無機系発泡体組成物を入れた後、容器とともに無機系発泡体組成物が溶融し発泡する温度以上に加熱し、無機系発泡体組成物を容器内で溶融発泡させる方法が用いられる。これにより、無機系発泡体を容器に固着させることができる。 【0039】 なお、枠体に間伐材等の木材を配設することもできる。これにより、無機系発泡体と同様に藻類を着生させることができる。なかでも、間伐材を用いると廃材を資源として有効利用でき省資源性に優れる。 【0040】 本発明の請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の藻場育成資材であって、前記容器が、炭素鋼で形成された構成を有している。 この構成により、請求項5で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。 (1)容器の表面が海水で錆び、潮流等の抵抗や外力によって表面が少しずつ崩れ藻類が未着生の新たな表面を形成することができ長期間に亘って藻場育成資材としての役割を果たすことができる。 (2)藻類の育成に有用とされる鉄イオンが容器から溶出するので、藻類の育成を促進させることができる。 【0041】 【発明の実施の形態】 以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照しながら説明する。 (実施の形態1) 図1は本発明の実施の形態1における藻場育成資材の要部斜視図である。 図中、1は実施の形態1における藻場育成資材、2は鋼材、石材、コンクリート材等で形成された板材等を用いて略立方体の枠状に形成された枠体、3は枠体2の上部に配設固定された上面が開口した鋼製等の金属製等で形成された容器、4は容器3に打設され硬化したポルトランドセメント等のセメント系固化材層、5は無機系廃材を粉砕して得られる無機系粉体と、貝殻を粉砕して得られる貝殻粉体と、を含有する無機系発泡体組成物を溶融発泡させて形成され打設されたセメント系固化材層4の上面に一部が埋め込まれてモザイク状に固着された塊状の複数の無機系発泡体、6は枠体2の対向する側面の下部側に枠体2の底面と所定間隔をあけて略平行に配設固定された断面コ字状の受け部材、7は一面が開口したステンレス製や鋼製等の金属製で形成され受け部材6に一方の側部が嵌挿された複数の容器、8は無機系粉体と貝殻粉体とを含有する無機系発泡体組成物を容器7内で容器7とともに加熱し溶融発泡させて容器7に固着された無機系発泡体、9は枠体2の対向する側面の上部側に容器4の底面と所定間隔をあけて略平行に配設固定され容器7の他方の側部が嵌挿され固定された断面コ字状の押え部材である。 【0042】 以上のように構成された実施の形態1における藻場育成資材は、無機系発泡体5を上側にして海洋沿岸域の海底に沈められ設置される。潮流の抵抗や外力等によって移動するのを防止するために、枠体2の下部側に鋼材、石材、コンクリート材等で形成された錘部材を繋着して海底に固定される。 【0043】 以上のように実施の形態1における藻場育成資材は構成されているので、以下のような作用が得られる。 (1)無機系廃材や貝殻という廃棄物を用いているので、廃棄物の再資源化を図ることができ省資源性に優れる。 (2)貝殻は硬度が低く粉砕し易いので貝殻粉体が容易に得られ、粉砕設備負荷や工数等を小さくすることができる。 (3)無機系発泡体組成物を加熱することで、貝殻が含有する炭酸カルシウムが分解して炭酸ガスを発生し溶融した無機系粉体を発泡させて気泡を形成するとともに、貝殻が含有するフミン酸が燃焼して焼失し微細孔を形成し表面積の大きな無機系発泡体が安定して得られ、藻類の幼体等の着生面積を大きくすることができる。 (4)貝殻の種類によっては赤貝等のように繊維質を有し、所定の溶融温度で溶融発泡して形成された気泡の周囲に該繊維質が位置して補強剤として機能し、無機系発泡体の気泡が破裂するのを防止し細孔を形成するので、藻類の生殖胞子や幼胚が付着し易く藻類が着生し易い。 (5)貝殻粉体の主成分は炭酸カルシウムであるが、それ以外の組成物も含有しており全てが熱分解しないので、基体内に貝殻残渣が分散して存在する。このため、加熱されて形成された無機系発泡体を水中に浸漬すると、無機系発泡体の破壊面や貝殻残渣等からカルシウム、マグネシウム等が水中に溶出する。これにより、貝類や藻類等の成育を促進することができる。 (6)貝殻粉体で発泡して形成された無機系発泡体はコンクリート材と比べて機械的強度が低いので、藻類が着生した無機系発泡体の表面が潮流等によって長い間に少しずつ崩れ藻類が未着生の新たな表面を形成することができ、長期間に亘って藻場育成資材としての役割を果たすことができる。コンクリート材は機械的強度が高く新たな表面を形成することがないので、コンクリート材の全面に藻類が着生した後、下面側の藻類が死滅してしまうことがあり長期間に亘って藻場育成資材として機能しないことがあるからである。 (7)無機系発泡体が配設される枠体を備えているので、水中に沈降したときに無機系発泡体を海底から離すことができ砂等に埋まり難くすることができ、長期間、藻類育成資材として機能させることができる。また、枠体に無機系発泡体を配設することにより、無機系発泡体に太陽光を照射し易くすることができ、着床した藻類の育成を促進させることができる。さらに、潮流を滞留させずに流すことができるので、藻類の生殖胞子が無機系発泡体に着生する機会を増やすことができるとともに、潮流中の栄養分を着生した藻類に供給することができる。 (8)無機系発泡体が、セメント系固化材層に一部が埋め込まれ固着されているので、長尺状に形成された無機系発泡体だけでなく塊状等に小片化したものや破片もセメント系固化材層に固着して藻場育成資材として使用することができ無機系発泡体を有効に活用することができる。 (9)セメント系固化材層が容器内で固化しているので、容器を介してセメント系固化材層を枠体に配設することができ、セメント系固化材層に容器で補強して堅牢にすることができ耐久性を高めることができる。 (10)開口部を有する金属製の容器内に無機系発泡体組成物を入れて容器ごと加熱し溶融発泡させることで無機系発泡体を容器内に固着しているので生産性に優れるとともに、無機系発泡体が固着された容器を介して受け部材や押え部材を用いて無機系発泡体を枠体に配設するので枠体に強固に固定することができる。(11)無機系発泡体が開口部を有する容器内で容器とともに加熱され溶融発泡されているので、溶融発泡後の冷却過程で熱応力によって無機系発泡体が割れたり砕け易くなるのを防止することができ生産性に優れる。長尺状や大型の無機系発泡体を焼成する際には冷却速度を遅くしないと熱応力が不均一になり割れ易くなるからである。 (12)無機系発泡体が枠体の上面や側面に配設されているので、無機系発泡体の表面に太陽光が当たり易く、着生した藻類の育成を促進させることができる。(13)枠体の底面や上面と所定間隔をあけて無機系発泡体が枠体の側面に配設固定されているので、藻場育成資材を潮流が通過することができ潮流で運ばれる藻類の幼体や栄養分等を藻場育成資材に供給することができる。 【0044】 なお、実施の形態1では、枠体2が略立方体の角柱状に形成された場合について説明したが、枠体の形状についてはこれに限られるものではなく、略円筒状、略角錐状、略円錐状等に形成する場合もある。 また、枠体2の側面の対向する2面に無機系発泡体を配設した場合について説明したが、これに限られるものではなく、潮流等の状態に応じて1乃至4面を適宜選択することができる。 また、開口部を有する容器内で無機系発泡体組成物を溶融発泡させた無機系発泡体を備えた場合や、セメント系固化材層に一部が埋め込まれ固着された無機系発泡体を備えた場合について説明したが、長尺状や大きな塊状の無機系発泡体を網体や籠体に収容して、網体や籠体を枠体に配設する場合もある。また、セメント系固化材層4を打設せずに容器3に長尺状や大きな塊状の無機系発泡体を入れた後、開口部に網体や籠体を覆設して、無機系発泡体を網体や籠体に収容することもできる。これにより、無機系発泡体と海水との接触面積を大きくすることができるので、藻類の生殖胞子等の着生面積を広げることができる。また、網体や籠体を炭素鋼で形成することで、鉄分を溶出させ藻類の育成を促進させることができる。 また、無機系発泡体5,8に加えて、間伐材を鋼線等の線条体等やボルト等を用いて枠体2の外側や内側に配設固定することもできる。間伐材を藻場育成資材として用いることで間伐材の有効活用を図ることができる。 【0045】 (実施の形態2) 図2は本発明の実施の形態2における藻場育成資材の要部斜視図である。 図中、1aは実施の形態2における藻場育成資材、10は枠体2の底部の開口部を塞ぐように配設固定された底面板に打設・硬化したコンクリート材からなる錘部材、11はセメント系固化材層4の表面の1乃至複数箇所に鋳鉄,炭素鋼,合金鋼等の鉄を含有する鉄製小片である。鉄製小片11は無機系発泡体5をセメント系固化材層4に埋め込む際に同様にして埋め込まれる。 以上のように実施の形態2における藻場育成資材は構成されているので、以下のような作用が得られる。 (1)コンクリート材からなる錘部材が枠体の底部に配設固定された底面板に固着しているので、藻場育成資材の底部の重量を増すことができ重心を下げ海底に安定に定置させることができるとともに、海底に定置された藻場育成資材が波の抵抗や外力等によって横滑りを起こし移動するのを防止することができる。 (2)枠体の底部の開口部を塞ぐ底面板が配設固定されているので、枠体の底面積を増やし砂地等の軟弱地盤に設置した際でも潜り難くすることができる。 (3)鉄製小片がセメント系固化材層の表面の1乃至複数箇所に埋め込まれているので、藻類の育成に有用とされる鉄イオンが鉄製小片から溶出し、無機系発泡体等に着生した藻類の育成を促進させることができる。 【0046】 (実施の形態3) 図3は本発明の実施の形態3における藻場育成資材の要部斜視図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。 図中、1bは実施の形態3における藻場育成資材である。藻場育成資材1bは、実施の形態1で説明した複数の藻場育成資材1が下段及び上段に配設固定されている。 これにより、大型の藻場育成資材を構成することができ水深の深い場所に大型の藻場を形成することができるとともに、波や潮流を静めることができるとともに大型の魚類等が侵入し難いので、小型の魚類等が定着し易い環境を提供することができる。 【0047】 なお、本実施の形態においては、藻場育成資材が2段に設置された場合について説明したが、水深によっては、さらに多段に配設する場合もある。また、設置する海底の地形等に応じて各段の藻場育成資材の数量は適宜選択することができる。 【0048】 【実施例】 以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 (実施例1) 無機系廃材としてのガラスびん,窓ガラス等のガラス質廃材を、エッジランナ等の粉砕機を使用して平均粒径2〜3mmに粗粉砕した。次いでエロフォールミル等の粉砕機を使用して微粉砕した。次に、20メッシュの標準ふるい(目開き850μm)を用いた分級装置によって分級し、粒径が850μm以下の無機系粉体を得た。 次に、牡蠣の貝殻を水洗して乾燥した後、エッジランナ等の粉砕機を使用して平均粒径2〜3mmに粗粉砕した。次いでエロフォールミル等の粉砕機を使用して微粉砕した。次に、ふるいを用いた分級装置によって分級し、粒径が3000μm以下の貝殻粉体を得た。 粉砕・分級された無機系発泡体組成物を、混合工程において、無機系粉体100重量部と、貝殻粉体15重量部と、を攪拌型等の混合機で十分に混合して混合粉体を得た。 加熱発泡工程においては、ステンレス製等で形成された幅1.5mのメッシュベルトが長さ25mに渡って張設されたトンネル式の加熱炉を用いた。得られた混合粉体を、縦360mm、横280mm、厚さ50mmの大きさで一面が開口したステンレス製や鋼製等の金属製の容器内に約20mmの厚さで充填した後、容器をメッシュベルト上に置いた。メッシュベルトは、第1ゾーン600〜750℃、第2ゾーン850℃、第3ゾーン940℃、第4ゾーン960℃、第5・6ゾーン940℃に保たれた加熱炉内を各ゾーンを5〜10分の通過時間で通過するように設定されており、加熱炉に入った混合粉体は、30〜60分かけて溶融発泡され、容器内で厚さ約50mmに発泡した実施例1の無機系発泡体を得た。 実施例1で用いた混合粉体をメッシュベルトの上に約15mmの厚さで堆積して同じ条件で溶融発泡させた無機系発泡体の比重を測定したところ、1.1であった。 【0049】 (溶出試験) 実施例1の無機系発泡体を水に浸漬した際の有害物質の溶出量について評価した結果を(表1)に示す。 【表1】
(表1)に示す測定方法において、「JK0102」と表示されているものは「JIS K 0102」の略であり、「S49環告」と表示されているものは「昭和49年環境庁告示」の略であり、「S46環告」と表示されているものは「昭和46年環境庁告示」の略である。 この結果、本実施例の無機系発泡体によれば、有害物質の溶出はみられないことが明らかになった。 【0050】 (藻場育成資材の製造) 枠体として、複数の鋼鉄製の板材で幅1.2m、奥行1.2m、高さ0.8mの角柱状に形成したものを用いた。底部には錘部材を固着して自重を増やし潮流や波等の外力によって移動しないようにした。この枠体に実施例1の無機系発泡体、比較例1としての直径約8〜12cm、長さ35cmに切断された杉の間伐材、比較例2としての縦36cm、横28cm、厚さ7cmにポルトランドセメントで形成されたコンクリート材を配設して、以下の(a)〜(c)の3基の藻場育成資材を製造した。 (a)枠体の上面に9枚の無機系発泡体を配設し、枠体の1側面に8本の間伐材(4側面で合計32本)を立てて配設した藻場育成資材 (b)枠体の上面に24本の間伐材を寝かせて配設し、枠体の1側面に4枚の無機系発泡体を配設(4側面で合計16枚)した藻場育成資材 (c)枠体の上面に12枚のコンクリート材を配設し、枠体の1側面に4枚のコンクリート材を配設(4側面で合計16枚)した藻場育成資材 この3基の藻場育成資材を、沿岸の水深約2.5mの地点に5月に設置した。設置後、8月、11月、翌年2月の合計3回、枠体の上面及び側面に配設した無機系発泡体、間伐材、コンクリート材を1枚又は1本ずつ潜水して採取し、各々に着生した藻類等の同定を行うとともにその被度を目視により観察した。 【0051】 (観察結果及び藻場育成資材としての評価) 設置から3ヶ月経過した8月における観察結果は以下のとおりであった。 藻類の被度は、枠体の上面に配設された無機系発泡体で60%、枠体の上面に配設されたコンクリート材で50%、枠体の上面に配設された間伐材で20%であった。一方、枠体の側面に配設されたものはいずれも約5%であった。藻場育成資材を設置した海域の水深が浅く波の影響を受け易いとともに太陽光が当たり難いため、側面では藻類の生殖胞子や幼胚が着生し難いとともに成長し難いと推察された。 藻類の種類としては、ガラモ場を構成するホンダワラ類の幼体が多数観察され、その他、アナアオサ、フクロノリ等が観察された。ホンダワラ類は一般に晩春から初夏にかけて成熟するため、周辺海域に自生するホンダワラ類の幼胚が着生し発芽したものと推察される。これにより、無機系発泡体は、コンクリート材とほぼ同様の着生効果を有するものと推察された。 【0052】 設置から6ヶ月経過した11月における観察結果は以下のとおりであった。 藻類の被度は、枠体の上面に配設された無機系発泡体で50%、枠体の上面に配設されたコンクリート材で50%、枠体の上面に配設された間伐材で60%であった。 藻類の種類としては、全長1〜3cmのホンダワラ類のタマハキモクが優占して認められ、その被度が無機系発泡体で20%、コンクリート材で10%、間伐材で30%であり、ホンダワラ類が順調に生育していることが確認された。また、無機系発泡体では葉長約2cmのアカモク(ホンダワラ類)の生育も認められた。 【0053】 設置から9ヶ月経過した2月における観察結果は以下のとおりであった。 藻類の被度は、枠体の上面に配設された無機系発泡体で100%、枠体の上面に配設されたコンクリート材で100%、枠体の上面に配設された間伐材で60%であった。 藻類の種類としては、タマハキモクが優占して認められ、その被度が無機系発泡体で90%、コンクリート材で90%、間伐材で40%であった。また、フシツナギ、ハイウスバノリ属の1種等の冬期から春季に繁茂する紅藻類が認められた。紅藻類の繁茂により、枠体の側面に配設されたものでも藻類の被度が20〜30%と向上した。 着生したホンダワラ類の平均全長を測定した。平均全長は、着生した藻体の内の長い方から5個体までの全長を測定し、その平均値で表した。 タマハキモクの平均全長は、無機系発泡体で27.8cm、コンクリート材で28.2cm、間伐材で19.2cmであった。アカモクの平均全長は、無機系発泡体で37.8cm、コンクリート材で27.0cm、間伐材で16.0cmであった。 【0054】 以上のことから、本実施例における藻場育成資材は、ホンダワラ類が発芽し伸長し始めたことが確認でき、さらに藻類の被度及び着生したホンダワラ類(特にアカモク)の平均全長が、コンクリート材と同等かそれ以上であることが確認された。 ホンダワラ、コンブ等の藻類が成長すると、アワビ、サザエ、ウニ等の幼生が成長するとともに動植物プランクトンが増殖することが知られている。この結果、小型の魚類や稚魚等が繁殖し、さらに中型魚や大型魚も周辺海域に出現することになる。また、藻類は光合成によりCO2の吸収とO2の排出を行う。以上のことから、本実施例によれば、藻場育成資材として著しく優れていることが明らかになった。 【0055】 【発明の効果】 以上のように、本発明の藻場育成資材によれば、以下のような有利な効果が得られる。 請求項1に記載の発明によれば、 (1)無機系廃材や貝殻という廃棄物を用いているので、廃棄物の再資源化を図ることができ省資源性に優れた藻場育成資材を提供することができる。 (2)貝殻は硬度が低く粉砕し易いので貝殻粉体が容易に得られ、粉砕設備負荷や工数等が小さく生産性に優れた藻場育成資材を提供することができる。 (3)無機系発泡体組成物を加熱することで、貝殻が含有する炭酸カルシウムが分解して炭酸ガスを発生し溶融した無機系粉体を発泡させて気泡を形成するとともに、貝殻が含有するフミン酸が燃焼して焼失し微細孔を形成し表面積の大きな無機系発泡体が安定して得られ、藻類の幼体等の着生面積の大きな藻場育成資材を提供することができる。 (4)貝殻の種類によっては赤貝等のように繊維質を有し、所定の溶融温度で溶融発泡して形成された気泡の周囲に該繊維質が位置して補強剤として機能し、無機系発泡体の気泡が破裂するのを防止し細孔を形成するので、藻類の生殖胞子や幼胚が付着し易く藻類が着生し易い藻場育成資材を提供することができる。 (5)貝殻はカルシウムイオンだけでなくマグネシウムイオンも有し、これらが、無機系粉体が溶融した溶融体の粘性を小さくして冷却時に発生する残留ひずみを少なくするので冷却時に割れ難くなり、板状等の長尺の無機系発泡体を形成し易く成形性に優れた藻場育成資材を提供することができる。 (6)貝殻粉体の主成分は炭酸カルシウムであるが、それ以外の組成物も含有しており全てが熱分解しないので、基体内に貝殻残渣が分散して存在する。このため、加熱されて形成された無機系発泡体を水中に浸漬すると、無機系発泡体の破壊面や貝殻残渣等からカルシウム、マグネシウム等が水中に溶出する。これにより、貝類や藻類等の成育を促進することができる藻場育成資材を提供することができる。 (7)貝殻粉体で発泡して形成された無機系発泡体はコンクリート材と比べて機械的強度が低いので、藻類が着生した無機系発泡体の表面が潮流等によって長い間に少しずつ崩れ藻類が未着生の新たな表面を形成することができ、長期間に亘って藻場育成資材としての役割を果たすことができ耐久性に優れた藻場育成資材を提供することができる。 (8)無機系発泡体が配設される枠体を備えているので、水中に沈降したときに無機系発泡体を海底から離すことができ砂等に埋まり難くすることができ、また、枠体に無機系発泡体を配設することにより、無機系発泡体に太陽光を照射し易くすることができ、着床した藻類の育成を促進させることができ、さらに、潮流を滞留させずに流すことができるので、藻類の生殖胞子が無機系発泡体に着生する機会を増やすことができるとともに潮流中の栄養分を着生した藻類に供給することができ長期間に亘って用いることができる藻場育成資材を提供することができる。 【0056】 請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、 (1)貝殻粉体が所定量配合されているので、加熱して無機系粉体を溶融すると最適量の炭酸ガスが発生し気泡が形成され、発泡倍率の大きな無機系発泡体が得られ表面に無数の凹凸が形成されるため藻類の生殖胞子や幼胚が着床し易い藻場育成資材を提供することができる。 (2)貝殻粉体の密度が小さいので容量が多く、無機系粉体に均一に混合させることができ、貝殻粉体が発泡して得られる気泡を均一に分布させるので均質性に優れた藻場育成資材を提供することができる。 【0057】 請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、 (1)無機系粉体の粒径が所定の範囲に調整されているので、無機系粉体の溶融温度が安定するとともに気泡の大きさも安定し気泡の粒径分布が小さく、無機系発泡体の品質の安定性に優れるとともに、機械的強度を高くすることができるので藻場作成時に割れや欠け等が生じ難く藻場育成資材の生産性を高めることができる藻場育成資材を提供することができる。 【0058】 請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1の効果に加え、 (1)ガラス質廃材は、1000℃以下の低温で軟化するものが多いので加熱炉等の設備負荷が小さく、また溶融体の粘性が高いので気泡を形成し易く比重の制御を容易に行うことができ、さらに機械的強度が高く耐久性に優れるとともに板状等の長尺の無機系発泡体を形成し易く生産性に優れた藻場育成資材を提供することができる。 (2)ガラス質廃材が溶融固化した後は、カドミウム,シアン等の有害物質を溶出しないので、海中に沈降しても周辺海域を汚染することがなく環境保全性に優れた藻場育成資材を提供することができる。 【0059】 請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の内いずれか1の効果に加え、 (1)無機系発泡体がセメント系固化材層に一部が埋め込まれ固着されていると、長尺状に形成された無機系発泡体だけでなく塊状等に小片化したものや破片もセメント系固化材層に固着して藻場育成資材として使用することができ無機系発泡体を有効に活用することができる藻場育成資材を提供することができる。 (2)網体又は籠体に無機系発泡体が収容され、又は開口部を有する容器内で無機系発泡体が溶融発泡されて無機系発泡体が容器に固着されているので、網体,籠体,容器を介して無機系発泡体を枠体に配設することができ枠体に強固に固定することができ堅牢で耐久性に優れた藻場育成資材を提供することができる。 (3)無機系発泡体が開口部を有する容器内で容器とともに加熱され溶融発泡されていると、溶融発泡後の冷却過程で熱応力によって無機系発泡体が割れたり砕け易くなるのを防止することができ生産性に優れた藻場育成資材を提供することができる。 【0060】 請求項6に記載の発明によれば、請求項5の効果に加え、 (1)容器の表面が海水で錆び、潮流等の抵抗や外力によって表面が少しずつ崩れ藻類が未着生の新たな表面を形成することができ長期間に亘って藻場育成ができる藻場育成資材を提供することができる。 (2)藻類の育成に有用とされる鉄イオンが容器から溶出するので、無機系発泡体等に着生した藻類の育成を促進させることができる藻場育成資材を提供することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】実施の形態1における藻場育成資材の要部斜視図 【図2】実施の形態2における藻場育成資材の要部斜視図 【図3】実施の形態3における藻場育成資材の要部斜視図 【符号の説明】 1,1a,1b 藻場育成資材 2 枠体 3 容器 4 セメント系固化材層 5 無機系発泡体 6 受け部材 7 容器 8 無機系発泡体 9 押え部材 10 錘部材 11 鉄製小片
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| 【出願人】 |
【識別番号】596172451 【氏名又は名称】株式会社トヨシステムプラント 【識別番号】000106357 【氏名又は名称】サンセイ株式会社 【識別番号】503227313 【氏名又は名称】協同組合マリンテクノ山口
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| 【出願日】 |
平成15年6月23日(2003.6.23) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100095603 【弁理士】 【氏名又は名称】榎本 一郎
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| 【公開番号】 |
特開2005−13016(P2005−13016A) |
| 【公開日】 |
平成17年1月20日(2005.1.20) |
| 【出願番号】 |
特願2003−178732(P2003−178732) |
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