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【発明の名称】 剪定鋏
【発明者】 【氏名】玉田 信雄
【住所又は居所】兵庫県三木市別所町巴40番地 株式会社サボテン内

【要約】 【課題】軽い力で大きな切断力を得ることができる剪定鋏の構造を提供する。

【解決手段】第一把持柄1と第二把持柄2及び第一刃体3と第二刃体4とで構成し、第一把持柄1の先方に突出させた第一刃体3の中間位置を第二把持柄2に形成した支持部5の先端に、軸8によって支持させる。そして、第一刃体3と第二把持柄2の軸支位置よりも基方において第一刃体3と第二刃体4を軸9によって支持する。さらに、第二刃体4は第一刃体3との軸9による支持位置よりも基方において、一端を第二把持柄2に軸10によって支持したリンク杆6の先端部分に、軸11によって支持させる。これにより、軸8を中心とする回動力が、リンク機構を介して軸9を中心とする回動力に増幅されるとともに、刃体全体が軸8を中心として下方に回動するため、切断作業に際して引き切りの効果を生じる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一把持柄と第二把持柄及び第一刃体と第二刃体とで構成し、第一把持柄の先方に突出させた第一刃体の中間位置を第二把持柄に形成した支持部に軸支させるとともに、該第一刃体と第二把持柄の軸支位置よりも基方において第一刃体と第二刃体を軸支し、第一刃体と第二刃体にはその軸支位置よりも先方に切り刃を形成し、第二刃体は第一刃体との軸支位置よりも基方において、一端を第二把持柄に軸支したリンク杆に軸支させたことを特徴とする剪定鋏。
【請求項2】
リンク杆もしくはリンク杆に軸支された第二刃体の基部と第二把持柄の中間位置とに、第二把持柄の先方に向けて付勢するバネを装着したことを特徴とする請求項1記載の剪定鋏。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は一対の刃体で切断するものであって、複数の支点を備えることによって優れた切断能力を発揮する剪定鋏の構造に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】
従来の剪定鋏は、特許文献1に記載されているように、支軸によって回動自在に支持される一対の刃体の開閉動作によって被切断物を切断するものであって、一対の刃体の基部にそれぞれ把持柄が固定されているのが普通である。したがって、把持柄の開閉動作が直接刃体の開閉動作になるものであり、一対の把持柄に、これを開く方向に付勢するバネが装着されることが多かった。また、特許文献2に開示されるように、軸支した一対の刃体の基部にそれぞれリンク杆を装着し、リンク杆の操作によって刃体を開閉させる思想も知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−207820号公報(図2参照)
【特許文献2】
特開平8−280257号公報(図2参照)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の剪定鋏では、一対の刃体が一つの支点で軸支されているため、切刃による剪断力は、一対の把持柄の動きそのものであって、硬いもの等大きな剪断力を必要とするものは、より強い力で把持柄を操作する必要があった。また、一対の刃体の間には引き切りや押し切りといった、刃線方向の移動を伴うものでないため、切断能力が限定される。例えば刃の大きさに比較して被切断物が大きな場合は切断することが困難であって、被切断物が刃の先端方向へ逃げ易い欠点があった。
上記、従来の剪定鋏の欠点に鑑み、本発明は大きな剪断力であってしかも引き切り作用によって、より効果的に切断することができる剪定鋏を得ることを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、第一把持柄1と第二把持柄2及び第一刃体3と第二刃体4とで構成し、第一把持柄1の先方に突出させた第一刃体3の中間位置を第二把持柄2に形成した支持部5に軸支させる。また、前記第一刃体3と第二把持柄2の軸支位置よりも基方において、第一刃体3と第二刃体4を軸支し、第一刃体3と第二刃体4には両者の軸支位置よりも先方に、切り刃3a、4aを形成する。第二刃体4は、第一刃体3との軸支位置よりも基方において、一端を第二把持柄2に軸支したリンク杆6に軸支させる。
【0006】
剪定鋏においては、把持柄を開放する方向にバネを配置することによって、切断後自然に刃体が開いて使い勝手がよいようにしているものが多い。上記構造の本発明剪定鋏では、リンク杆6もしくはリンク杆6に軸支された第二刃体4の基部を、先方に付勢するごとく、バネ (図示例ではコイルバネ) 7を配置する。具体的には、リンク杆6もしくはリンク杆6に軸支された第二刃体4の基部と第二把持柄3の中間位置とに、コイル状のバネ7を装着する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る剪定鋏の実施の形態を添付の図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る剪定鋏であって刃を開いた状態の正面図、図2はその背面図、図3及び図4は刃を閉じる場合の動きを示す剪定鋏の上部のみの背面図、図5は、刃を閉じた状態の剪定鋏全体の背面図である。
【0008】
本発明に係る剪定鋏は、第一把持柄1と第二把持柄2及び第一刃体3と第二刃体4で主要部を構成する。第一刃体3は、第一把持柄1の先方へ突出するように一体的に固定している。一方、第二把持柄2の先端部分には支持部5を突出させ、この支持部5に第一刃体3の中間部分を軸8によって軸支するとともに、第一刃体3には、軸8による軸支位置よりも基方において、第二刃体4の中間部分を軸9によって軸支させている。さらに第二刃体4の基端部は、第二把持柄2に一端が軸10によって軸支されたリンク杆6の先端部に、軸11によって軸支させている。
【0009】
上記構成とすることによって、剪定鋏の上部にリンク機構が形成される。すなわち、第一把持柄1に固定された第一刃体3と、第二把持柄2及び/又は第二把持柄に固定した支持杆5と、リンク杆6と、第二刃体4によって実質的に四節リンク機構が形成される。そして、第二把持柄2の中間位置と第二刃体4の基端部との間に配置したバネ7の弾発力によって、第一刃体3と第二刃体4が常時開く方向に付勢され、使用者は把持柄を握る操作のみを行うことによって、繰り返し切断作業を行うことができるものである。
【0010】
図2に示す刃体を開放した状態から、刃体を閉じる切断作業の作動状況を説明する。第一把持柄1と第二把持柄2を握ると、図3に示すように第一刃体3は、軸8を中心として点線位置から実線位置に回動する。この回動にともなって、第二刃体4は点線位置から実線の下方位置に移動するとともに、第一刃体3と第二刃体4は相対的に回動し、刃体の開きを少し閉じる。さらに、第一把持柄1と第二把持柄を閉じていくと、第一刃体3は図4に示す二点鎖線の位置から実線の位置に移動(回動)する。一方、第二刃体4は二点鎖線で示す位置よりもさらに下方の実線位置に移動する。最終的に図5に示す第一把持柄1と第二把持柄2及び第一刃体3と第二刃体4を閉じた状態に至る。
【0011】
すなわち図4に示すように、第一刃体3は軸8を中心として点線位置から実線位置の内方に回動し、同時に第二刃体4は第一刃体3と軸9で軸支されていることから、軸9の位置は軸8を中心として回動し下方に移動する。第二刃体4の支持位置が下方に回動することから、第二刃体4は点線に示す上位置から実線で示す下方に移動する。このとき、第一刃体3と第2刃体4は相対的に軸9を中心として回動し、切断作業が行われる。このように、本発明に係る剪定鋏では、第一刃体3と第二刃体4の軸支位置そのものが下方に移動しながら閉じるため、第一刃体3の切り刃3aと第二刃体4の切り刃4aの間に、引き切りの作用が生じる。
【0012】
第一刃体3と第二刃体4を閉じることによる切断力は、軸9を中心とする回動力によって決定される。従来の剪定鋏では、第一刃体と第二刃体を、それぞれの刃体に固定される把持柄によって直接操作するものである。これに対し本発明に係る剪定鋏では、第一把持柄1と第二把持柄2の握り力によって、第一刃体3と第二把持柄2が軸8を中心として回動し、その回動力がリンク機構を介して第一刃体4に伝えられ、軸9における第一刃体3と第二刃体4の回動力として作用する。そして、第一把持柄1と第二把持柄2の軸8が、第一刃体3と第二刃体4の軸9よりも先方に位置することから、第一把持柄1の作用位置から支軸8までの距離が、支軸9までの距離よりも大きくなる。したがって、本発明に係る剪定鋏ではてこの原理によって、従来の剪定鋏に比較してより大きな回動力、すなわち切断力が得られるものである。
【0013】
現実に作用する力関係は、リンクを構成する支点間寸法、すなわち軸8〜11の寸法比率によって変化するため、用途に応じて支点間寸法を変えることができる。例えば、軸8と9の軸間寸法と軸10と11の軸間寸法比率を選定することによって用途に応じたものを設計することができる。この場合、軸8と9の軸間寸法比率を大きくすると、大きな剪断力を得ることができる一方、刃体の開閉角度は小さくなる。また、第一刃体3と第二刃体4の引き切り効果は、軸8と9の軸間寸法が大きくなる程大きなものとなる。
【0014】
本発明に係る剪定鋏では、第一把持柄1と第二把持柄2を開くために、従来のように第一把持柄1と第二把持柄2間にバネを装着するものであってもよいが、図示実施形態では第二刃体4そのものを第一刃体に対して閉じる方向に回動させるようなバネを装着している。すなわち、リンク杆6に軸11によって支持された第二刃体4の基部と第二把持柄2の中間位置とに、第二把持柄の先方に向けて付勢するバネ7を装着している。
【0015】
図示例において、バネ7は第二把持柄2の中間位置と第二刃体4の基部との間に作用させているが、第二把持柄2の中間位置とリンク杆6に作用させるものや、リンク杆6を支持している軸10部分において、リンク杆6を上方に付勢するべく回動させるバネを内蔵するものであってもよい。
【0016】
第一把持柄1と第二把持柄2を開くためのバネは、従来のように第一把持柄1と第二把持柄2間に装着するものであってもよいが、図示例の本発明の実施形態では、リンク杆6もしくはリンク杆6に軸支された第二刃体4の基部と第二把持柄2の中間位置との間に装着している。このようにすると、バネ7の弾発力は、軸8を中心とし、軸9位置に作用する回転モーメントとして作用することになり、バネの作用方向を考慮して、バネの力が把持柄を開く力として合理的に作用することになる。また、バネ7機構は第二把持柄にのみ装着し、第一把持柄1はバネ構造が全く関係しない構造とすることができるため、剪定鋏を取り扱う上で、バネ部分が邪魔にならないものとすることができる。
その他、図面上12は第一把持柄に配置するロックボタンであって、バネ7の弾発力に抗しては体を閉じた状態に保持するものである。
【0017】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明剪定鋏によれば、第一把持柄と第二把時柄を握る切断作用の際に、第一刃体と第二刃体の全体が回動して下方に移動しながら閉じられることになる。したがって、切断作業に引き切りの効果が生じ、従来の剪定鋏に比較してより優れた切断能力を発揮するとともに、全体がリンク機構として機能し、把持による力が拡大され、より大きな切断力で剪定作業を行うことができる。そのため、従来の剪定鋏よりも太い枝を軽い力で切断することができるといった、切断力を向上させる効果がある。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、一対の刃体を開放方向に付勢するバネの機構を、一方の第二把時柄にのみに配置することができるため、剪定鋏の取り扱い上において、バネ部分が邪魔にならないものとすることができる。例えば第一把持柄の部分全体をベルトに差し込んで、落ちないように携行するといった取り扱いが可能であるとともに、バネの弾発力を効果的に刃体を開く力として利用することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る剪定鋏であって、刃を開いた状態の正面図、
【図2】図2は、図1の剪定鋏の背面図、
【図3】図3は、図2に示す状態から少し刃を閉じた状態の上部のみの背面図、
【図4】図4は、図3に示す状態からさらに刃を閉じた状態の上部のみの背面図、
【図5】図5は、刃を完全に閉じた状態の剪定鋏全体の背面図。
【符号の説明】
1…第一把持柄、 2…第二把持柄、 3…第一刃体、 3a…刃線、 4…第二刃体、 4a…刃線、 5…支持部、 6…リンク杆、 7…バネ、 8,9,10,11…軸、 12…ロックボタン。
【出願人】 【識別番号】390025678
【氏名又は名称】株式会社サボテン
【住所又は居所】兵庫県三木市別所町巴40番地
【出願日】 平成15年6月10日(2003.6.10)
【代理人】 【識別番号】100103654
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 邦彦

【識別番号】100087996
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 進

【識別番号】100118522
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 典彦

【公開番号】 特開2005−42(P2005−42A)
【公開日】 平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願番号】 特願2003−165619(P2003−165619)