トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 脱穀装置
【発明者】 【氏名】伊藤 昇
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【氏名】都田 力也
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【氏名】錦織 将浩
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【要約】 【課題】扱室の上方を覆うカバー体を閉塞位置及び開放位置に亘って回動可能に支持すると共に、アクチュエータを作動させてカバー体を上昇回動させる上昇スイッチを備えた脱穀装置において、オペレータが上昇スイッチを「ON」操作することにより、アクチュエータを介してカバー体を上方に回動させる際、当該カバー体が上昇限に達することをオペレータが常時注視しながら確認しなくても済むようにする。

【解決手段】上昇スイッチ42がON状態で、且つカバー体21の回動上昇限を当該カバー体21の上限位置検出手段55が検出した時、報知手段61を作動させる一方、前記上昇スイッチ42がOFF状態では、カバー体21の回動上昇限を当該カバー体21の上限位置検出手段55が検出しても、報知手段61を作動させないように構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱室(23)の上方を覆うカバー体(21)を閉塞位置及び開放位置に亘って回動可能に支持すると共に、アクチュエータ(47)を作動させてカバー体(21)を上昇回動させる上昇スイッチ(42)を備えた脱穀装置(12)において、前記上昇スイッチ(42)がON状態で、且つカバー体(21)の回動上昇限を当該カバー体(21)の上限位置検出手段(55)が検出した時、報知手段(61)を作動させる一方、前記上昇スイッチ(42)がOFF状態では、カバー体(21)の回動上昇限を当該カバー体(21)の上限位置検出手段(55)が検出しても、報知手段(61)を作動させないように構成したことを特徴とする脱穀装置。
【請求項2】
前記手動操作手段(42)がモーメンタリスイッチであることを特徴とする請求項1に記載の脱穀装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、米麦等の穀稈を脱穀する扱胴を備えた扱室の上方を覆う開閉可能なカバー体を備えた脱穀装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバインにおいては、扱室の上部を形成すると共に扱胴を回転可能に支持する上部構造体を、扱胴の回転軸と平行な扱室の他部を形成する構造体の軸心周りに上昇開き位置と下降閉じ位置とに上下揺動自在に支持し、且つ前記上部構造体を開閉操作するための開閉スイッチ及び油圧シリンダ等を備える駆動機構を設けた脱穀装置が知られている。(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−190136号公報(第3−5頁、図4−図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述した従来の脱穀装置では、オペレータが上部構造体を開くための上昇(開)スイッチを押して上部構造体を上昇揺動させている間は、常時上部構造体を注視していないと当該上部構造体が上昇限に達したことが分かり難いので面倒であった。また、前記上昇スイッチを押し操作したままの状態でも、当該上昇スイッチの押し操作よりも優先される上部構造体の限界(上限)センサーからの出力情報に基づいて、上部構造体を開閉する駆動機構の作動が停止するように構成してあるが、十分なものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記課題を解決することを目的として創案したものであって、扱室の上方を覆うカバー体を閉塞位置及び開放位置に亘って回動可能に支持すると共に、アクチュエータを作動させてカバー体を上昇回動させる上昇スイッチを備えた脱穀装置において、前記上昇スイッチがON状態で、且つカバー体の回動上昇限を当該カバー体の上限位置検出手段が検出した時、報知手段を作動させる一方、前記上昇スイッチがOFF状態では、カバー体の回動上昇限を当該カバー体の上限位置検出手段が検出しても、報知手段を作動させないように構成したことを第1の特徴としている。
【0005】
また、前記手動操作手段がモーメンタリスイッチであることを第2の特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、オペレータが扱室の上方を覆うカバー体を上昇回動させるための上昇スイッチを「ON」操作することによって、アクチュエータを介してカバー体を上方に回動させる際、当該カバー体が回動上昇限に達したことを報知手段でもってオペレータに知らせることができるので、オペレータはカバー体を常時注視しながら前記上昇スイッチの「ON」操作を行わなくて済むようになり作業性が向上する。
【0007】
また、請求項2の発明によれば、手動操作手段がモーメンタリスイッチであることから確実且つ安全なスイッチ操作が行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2に示すように、コンバイン10は、穀稈を刈取る前処理部11と、刈取穀稈から穀粒を脱穀し、この穀粒を選別する脱穀装置12と、選別済みの穀粒を貯留する穀粒タンク13と、脱穀済みの排稈を排出処理する後処理部14と、各種の操作具が設けられる操作部15と、この操作部15を覆うキャビン16と、左右一対のクローラ走行装置17L,17R(右側のクローラ走行装置17Rは不図示)を備えている。
【0009】
そして、穀粒タンク13に貯留された穀粒は、穀粒タンク13の後面下端部に固設される固定パイプ(不図示)と、この固定パイプに回動可能に接続される縦パイプ18と、該縦パイプ18の上端に一体回動可能で、且つ、上下方向に起伏可能(上下昇降可能)に接続される穀粒排出オーガ19とを経由して機外に排出できるようになっている。
【0010】
また、脱穀装置12は、図3〜図5に示すように、上方をカバー体21にて覆われて穀稈を脱穀する扱胴22を有しており、該扱胴22の外周には複数の扱歯22aが植設されると共に、その下方に受網(不図示)を張設した扱室23を構成している。
【0011】
そして、カバー体21は、扱室23の上方を覆うと共に扱胴22の回転軸24と平行な軸心(パイプ軸)25周りに回動自在に支持してあり、それによってカバー体21を閉塞位置から開放位置に亘って開閉することができる。また、扱胴22の回転軸24は、カバー体21と一体形成された扱室23の前側板23a(不図示)と後側板23bに軸支してあって、当該カバー体21の開閉動作に伴って扱胴22はカバー体21と一体に回動するようになっている。
【0012】
尚、31,31は、扱胴22と一体に回動するカバー体21の開閉(ロック)レバーであり、この開閉レバー31,31は支点軸32を中心として回動可能に構成されると共に、当該開閉レバー31,31の基端部に連結するロッド33,33を介して、機体内方側の支点軸34を中心として回動するフック35,35を設けている。
【0013】
そして、開閉レバー31,31を図3に示す状態から図4に示す状態に上動操作することによって、扱室固定枠体36,36側に設けたピン37,37に係合しているフック35,35の係止が解除されると共に、ガススプリング38,38にアシストされて扱胴22とカバー体21及び排藁搬送装置20が一体的にやや上方に回動するように後述の如く融通規制している。
【0014】
しかる後に、機体左側のフィードチェンカバー41の略中央部に設けた手動操作手段である上昇(開)スイッチ42を押し「ON」操作することによって、扱胴22とカバー体21及び排藁搬送装置20を開放位置まで上昇回動させることができる一方、同じく手動操作手段である下降(閉)スイッチ43を押し「ON」操作することによって、扱胴22とカバー体21及び排藁搬送装置20を閉塞位置まで下降回動させることができるようになっている。尚、前記手動操作手段である両スイッチ42,43は、押し「ON」操作した時のみ後述のアクチュエータ(47)を作動させることができる、所謂モーメンタリスイッチを採用していることから確実且つ安全なスイッチ操作を行うことができる。
【0015】
詳述すると、カバー体21と一体形成された扱室23の前側板23a(不図示)と後側板23bの回動支点側(機体内方側)、即ち扱胴22の回転軸24と平行な軸心25であるパイプ軸には回動アーム45,45が固設してあり、この回動アーム45,45によって扱胴22とカバー体21及び排藁搬送装置20が回動可能に支持されると共に、両回動アーム45,45の前後方向略中間部には、詳細は後述するシリンダ49の終端部を連結するための連結アーム46が、前記パイプ軸(軸心)25に上方に向けて固設してある。
【0016】
そして、前記上昇スイッチ42または下降スイッチ43を押し「ON」操作することにより作動するアクチュエータとしての昇降(電動)モータ47と、この昇降モータ47の出力軸に連結して正逆回転するスクリュウシャフト48、及びこのスクリュウシャフト48に螺合して進退作動するシリンダ49を備えており、該シリンダ49の終端部を連結アーム46の先端側に連結すると共に、スクリュウシャフト48の基端部側を機体内方側の扱室固定枠体36の上部に取付けることによって、上昇スイッチ42または下降スイッチ43の押し「ON」操作に応動するアクチュエータとしての昇降(電動)モータ47、スクリュウシャフト48、及びシリンダ49を介して、扱胴22とカバー体21及び排藁搬送装置20を一体的に上方回動または下方回動させることができるようになっている。
【0017】
尚、シリンダ49の終端部に突設したピン49aを連結アーム46の先端側の長孔46aに連結(挿通)してあって、上述の如く開閉レバー31,31を上動操作して扱室固定枠体36,36側に設けたピン37,37に係合しているフック35,35の係止を解除した際、前記長孔46aに対するピン49aの揺動量に相当する扱胴22とカバー体21及び排藁搬送装置20の上方への回動が融通規制されるようになっている。
【0018】
また、図6に示すように、コンバイン10には、マイクロコンピュータ(CPU、ROM、RAM等を含む)を用いて構成された制御部51を備えている。そして、制御部51の入力側には、カバー体21と共に一体に上下回動する扱胴22の高さ位置を検出する扱胴位置検出ポテンショメータ52、穀粒排出オーガ19の旋回位置を検出するオーガ位置検出ポテンショメータ53、扱胴22とカバー体21及び排藁搬送装置20を上昇回動させる上昇スイッチ42、扱胴22とカバー体21及び排藁搬送装置20を下降回動させる下降スイッチ43、扱胴22とカバー体21及び排藁搬送装置20が下降回動して閉塞位置にあることを検出するロック検出スイッチ54、扱胴22とカバー体21及び排藁搬送装置20の回動上昇限を検出する上限位置検出手段である上限リミットスイッチ55、扱胴22とカバー体21及び排藁搬送装置20の回動下降限を検出する下限位置検出手段である下限リミットスイッチ56、穀粒排出オーガ19が折畳み式の場合、当該穀粒排出オーガ19の折畳み(折れ)状態を検出するオーガ折れ検出スイッチ57、及び作業機クラッチ(不図示)の断接を検出する作業機クラッチスイッチ58等を接続してある。
【0019】
一方、出力側には、音による報知手段であるホーン61、前記上昇スイッチ42または下降スイッチ43に内装されたモニターランプである上昇ランプ42a及び下降ランプ42b、上昇スイッチ42または下降スイッチ43を押し「ON」操作することにより作動する昇降(電動)モータ47、及び燃料カットによりエンジンを停止させるエンジン停止用ソレノイドバルブ64等のアクチェータを接続してある。
【0020】
次に、上述した上昇スイッチ42または下降スイッチ43を押し「ON」操作することにより実行される、扱胴22とカバー体21及び排藁搬送装置20の上昇または下降回動制御について、図7に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0021】
先ず、ステップS1では、上昇スイッチ42がON状態であればステップS2に進み、上昇スイッチ42がOFF状態であればステップS3に進む。
【0022】
ステップS2では、扱胴22とカバー体21及び排藁搬送装置20の回動上昇限を検出する上限リミットスイッチ55がONになっていればステップS4に進み、OFFであればステップS5に進む。
【0023】
尚、上限リミットスイッチ55及び下限リミットスイッチ56は、スクリュウシャフト48上に併設したブラケット66に対向して取付けられると共に、スクリュウシャフト48に螺合して進退作動するシリンダ49の外周に固設したプレート49bが、両リミットスイッチ55,56の何れかに接当してON状態になると、扱胴22とカバー体21及び排藁搬送装置20の回動上昇限または回動下降限の何れかを検出することができるようになっている。
【0024】
そして、ステップS4では、音による報知手段であるホーン61に単音出力するか、またはモニターランプの一つである上昇ランプ42aの点滅出力がなされる。即ち、オペレータが上昇スイッチ42を押し「ON」操作することにより扱胴22とカバー体21及び排藁搬送装置20を上方に回動させる際、これら扱胴22とカバー体21及び排藁搬送装置20が回動上昇限に達したことを、報知手段であるホーン61の単音出力またはモニターランプである上昇ランプ42aの点滅出力によって知らせるので、オペレータが扱胴22とカバー体21及び排藁搬送装置20を常時注視しながら、上昇スイッチ42の「ON」操作を行わなくて済むようになり作業性が向上する。尚、ホーン61の単音出力と上昇ランプ42aの点滅出力を同時に実行してもよい。
【0025】
一方、ステップS5では、上昇スイッチ42がON状態で且つ上限リミットスイッチ55が未だOFFの状態なので、引き続いて昇降(電動)モータ47が上昇側に回転駆動すると共に、上昇ランプ42aに点灯出力がなされる。
【0026】
また、ステップS3では、下降スイッチ43がON状態であればステップS6に進む。そして、ステップS6では、扱胴22とカバー体21及び排藁搬送装置20の回動下降限を検出する下限リミットスイッチ56がONになっていればステップS7に進み、OFFであればステップS8に進む。
【0027】
ステップS7では、音による報知手段であるホーン61に単音出力するか、またはモニターランプの一つである下降ランプ43aの点滅出力がなされる。即ち、オペレータが下降スイッチ43を押し「ON」操作することにより扱胴22とカバー体21及び排藁搬送装置20を下方に回動させる際、これら扱胴22とカバー体21及び排藁搬送装置20が回動下降限に達したことを、報知手段であるホーン61の単音出力またはモニターランプである下降ランプ43aの点滅出力によって知らせるので、オペレータが扱胴22とカバー体21及び排藁搬送装置20を常時注視しながら、下降スイッチ43の「ON」操作を行わなくて済むようになり作業性が向上する。尚、ホーン61の単音出力と下降ランプ43aの点滅出力を同時に実行してもよい。
【0028】
一方、ステップS8では、下降スイッチ43がON状態で且つ下限リミットスイッチ56が未だOFFの状態なので、引き続いて昇降(電動)モータ47が下降側に回転駆動すると共に、下降ランプ43aに点灯出力がなされるようになっている。
【0029】
尚、上述したフローチャートにおいては、扱胴22とカバー体21及び排藁搬送装置20の回動上昇限を検出する上限位置検出手段として上限リミットスイッチ55、また回動下降限を検出する下限位置検出手段として下限リミットスイッチ56を用いて説明したが、両リミットスイッチ55、56に換えて、カバー体21と共に一体に上下回動する扱胴22の高さ位置を検出する扱胴位置検出ポテンショメータ52を用いてもよい。
【0030】
ところで、上述した穀粒排出オーガ19が折畳み式で、且つ図2に示す二点鎖線の如く折畳まれた収納状態では、誤って上昇スイッチ42を押し「ON」操作することによる穀粒排出オーガ19とカバー体21との干渉を回避すべく、当該上昇スイッチ42の押し「ON」操作が無効となるような制御ステップを組み込むことが好ましい。その場合は、図8に示すフローチャートのように、穀粒排出オーガ19がカバー体21の昇降範囲内位置にあるか否かをオーガ位置検出ポテンショメータ53によって検出すると共に、穀粒排出オーガ19の折畳み(折れ)状態をオーガ折れ検出スイッチ57で検出すればよい。
【0031】
また、作業機クラッチ(不図示)が「入」状態、即ち扱胴22が回転している状態で上昇スイッチ42を「ON」操作したとしても、扱胴22とカバー体21及び排藁搬送装置20が上方に回動しないように安全面での配慮が必要であって、その場合は、作業機クラッチスイッチ58によって作業機クラッチの断接を検出する制御ステップを組み込むことが好ましい。
【0032】
また、図9及び図10に示すものは、カバー体21と扱胴22とを別々のアクチュエータ71,72を介して単独で上昇、または下降回動可能に構成して扱室23内の整備性を高めたものであって、この構成のものでは、両アクチュエータ71,72を作動させるための図示しない個別の上昇スイッチと下降スイッチとを設けなければならないが、扱胴22を上昇回動させる上昇スイッチを押し「ON」操作した時、カバー体21が回動上昇限まで上がりきっていない場合は、該カバー体21を回動上昇限まで上げてから扱胴22を上昇回動させる一方、カバー体21を下降回動させる下降スイッチを押し「ON」操作した時、扱胴22が回動下降限まで下がりきっていない場合は、扱胴22を回動下降限まで下げてからカバー体21を下降回動させるといった制御ステップを組み込むことにより作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】コンバインの平面図。
【図3】閉塞姿勢状態の脱穀装置の背面図。
【図4】開閉レバーのロックを解除した状態の脱穀装置の背面図。
【図5】開放姿勢状態の脱穀装置の背面図。
【図6】制御部のブロック図。
【図7】扱胴とカバー体及び排藁搬送装置の昇降回動制御を示すフローチャート。
【図8】穀粒排出オーガが折畳み式の場合における扱胴とカバー体及び排藁搬送装置の昇降回動制御を示すフローチャート。
【図9】カバー体を単独で上昇回動させた状態を示す脱穀装置の正面図。
【図10】カバー体と扱胴を別々のアクチュエータを介して上昇回動させた状態を示す脱穀装置の正面図。
【符号の説明】
【0034】
12 脱穀装置
21 カバー体
22 扱胴
23 扱室
42 上昇スイッチ
47 アクチュエータ(昇降モータ)
55 上限位置検出手段(上限リミットスイッチ)
61 報知手段(ホーン)
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1
【出願日】 平成16年6月4日(2004.6.4)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−341899(P2005−341899A)
【公開日】 平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願番号】 特願2004−167020(P2004−167020)