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【発明の名称】 脱粒装置
【発明者】 【氏名】釘宮 啓
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】水島 淳
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【要約】 【課題】本発明の課題は、従来の問題点を解消するために、数個の脱粒ロ−タを対向配置し、この対向する脱粒ロ−タによって挟持搬送される穀稈の穂部に対し両面から積極的に作用させて脱粒性を高め、作業の高能率化を図ることにある。

【解決手段】本発明は、挟持搬送される穀稈の穂部側に対し、対向側両面から扱き作用を付与して脱粒する脱粒ロ−タを複数列対向配置して設けてあることを特徴とする。また、脱粒ロ−タは、この軸芯方向が穀稈の挟持搬送方向に対して所定の角度をもって傾斜するよう設定してあることを特徴とする。また、各脱粒ロ−タの始端側は円錐形に構成してあることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挟持搬送される穀稈の穂部側に対し、対向側両面から扱き作用を付与して脱粒する脱粒ロ−タを複数列対向配置して設けてあることを特徴とする脱粒装置。
【請求項2】
前記脱粒ロ−タは、この軸芯方向が穀稈の挟持搬送方向に対して所定の角度をもって傾斜するよう設定してあることを特徴とする請求項1記載の脱粒装置。
【請求項3】
各脱粒ロ−タの始端側は円錐形に構成してあることを特徴とする請求項1記載の脱粒装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、挟持搬送される穀稈の穂先部に作用して穀稈から穀粒を分離する脱粒装置に関し、農業機械の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されているもののように、相対向する上下一対の無端状脱粒ベルト相対速度差による捻り作用で穂先部の脱粒を行うものが存在する。
【特許文献1】特開2000−4653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ベルト相対速度差による脱粒は、捻り作用だけでは扱き作用があまり働かないため、充分な脱粒性能が得られない問題がある。
【0004】
本発明は、上記問題点を解消するために、数個の脱粒ロ−タを対向配置し、この対向する脱粒ロ−タによって挟持搬送される穀稈の穂部に対し両面から積極的に作用させて脱粒性を高め、作業の高能率化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するために、次の如き技術手段を講じた。すなわち、請求項1記載の本発明は、挟持搬送される穀稈の穂部側に対し、対向側両面から扱き作用を付与して脱粒する脱粒ロ−タを複数列対向配置して設けてあることを特徴とする。
【0006】
穀稈挟持搬送手段によって挟持搬送される穀稈の穂部に対し、上下に対向する複数列の脱粒ロ−タが作用し、穀稈の上下両面からロ−タの回転による扱き作用が付与されて脱粒されることになる。穀稈に対しては上下両面から扱き作用が付与されるので、脱粒が確実に行われ、脱粒性能が向上する。
【0007】
請求項2記載の本発明は、請求項1において、前記脱粒ロ−タは、この軸芯方向が穀稈の挟持搬送方向に対して所定の角度をもって傾斜するよう設定してあることを特徴とする。
【0008】
脱粒ロ−タと穀稈搬送方向とが平行である場合、各ロ−タ間に穀稈に対する脱粒作用の死角(非作用部分)ができるが、所定の傾斜角度をつけることによって、穀稈の全面にわたって扱き作用が付与されることになり、扱ぎ残しの発生を極減することができる。
【0009】
請求項3記載の本発明は、請求項1において、各脱粒ロ−タの始端側は円錐形に構成してあることを特徴とする。
【0010】
対向する各ロ−タの始端部が円錐形のため、穀稈が入り易く、各ロ−タ間への送込作用がスム−スに整然と行われる。
【発明の効果】
【0011】
要するに、請求項1の本発明によれば、対向するロ−タ間に挿入される穀稈は上下両面から扱き作用を受けることになるので、脱粒作用が確実、効果的に行われ、脱粒性効果を高め、作業能率の向上を図ることができる。
【0012】
また、請求項2の本発明によれば、請求項1の発明効果を奏するものでありながら、脱粒ロ−タが穀稈搬送方向に対して所定の角度をもって傾斜しているので、各ロ−タ間での穀稈に対する非脱粒作用部分をなくすことができ、扱ぎ残しの発生を防ぐことができる。
【0013】
更に、請求項3の本発明によれば、請求項1の発明効果を奏するものでありながら、各ロ−タの始端が円錐形のため、穀稈が入り易くなり、各ロ−タ間への穀稈送込作用をスム−スにし、以後の脱粒性をより高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【0015】
まず、図1に示すコンバインの構成について述べる。
【0016】
走行クロ−ラ1を具備する車体2上には、前部に昇降可能な刈取部3を、後部に脱粒装置(脱穀機)4を搭載している。刈取部3の横側部には運転部を包囲するキャビン5が設置され、その後方にはグレンタンク6が装備されている。
【0017】
つぎに、脱粒装置4の構成につき説明する。脱粒装置4の脱粒室7一側には穀稈を横倒し水平状態で挟持搬送する穀稈挟持搬送装置8が具備されている。
【0018】
脱粒室7内には、上下に対向する大小異径の脱粒ロ−タ9,9が複数列対向配置して設けられている。穀稈挟持搬送装置8によって搬送される穀稈は、各ロ−タ間に送り込まれ、この異径ロ−タ9,9によって脱粒されるようになっている。つまり、本例では、大径脱粒ロ−タ9aと小径脱粒ロ−タ9bとの周速度差を利用して脱粒する構成であり、しかも、大径脱粒ロ−タ9aと小径脱粒ロ−タ9bとはこれらの軸芯10a,10bが穀稈の稈身方向に変位するよう位置をずらせた構成としている。そして、大径脱粒ロ−タ9a,9a…は矢印(イ)方向に回転し、小径脱粒ロ−タ9b,9b…は矢印(ロ)方向に回転する。なお、前記各ロ−タは、穂先側に位置するものよりも、株元側に位置するものほどロ−タの周速が早くなるように回転数を設定することができる。要するに、脱粒抵抗が少なく層厚が薄い穂先側は遅い周速とし、脱粒抵抗が大きくて層厚が厚い株元側は早い周速とすることで、揺動棚上での穀粒の落下分布の均分化を図ることができ、不必要な損傷粒の発生も防止することができる。
【0019】
また、脱粒ロ−タ9,9は、図3に示すように、この軸芯方向が平面視で穀稈挟持搬送装置8による穀稈搬送方向に対して所定の角度θをもって傾斜するよう設定することで、各ロ−タ間に穀稈に対する脱粒作用の死角をなくし、穀稈の全面にわたって扱き作用が付与されるようにしている。
【0020】
各脱粒ロ−タ9,9の始端側は穀稈が入り易くなるように始端程先細りの円錐形11に構成している。各ロ−タの円錐形部11には、図5に示すような螺旋羽根12を設けておくと、穀粒の前方への吹出し防止並びに入口受板13上への穀粒の滞留を防止することができる。
【0021】
脱粒ロ−タ9,9の外周部には小刻みの脱粒突起14(線材又はクリンプ網等で円筒状に構成するものでもよい。)形成しておくと脱粒効果がより高められる。また、大径脱粒ロ−タ9a又は小径脱粒ロ−タ9b或は双方共に弾性ゴムロ−ルで構成しておくと、ロ−タ9a,9bとの間隙を小さくしても損傷粒の発生を防止することができる。
【0022】
脱粒室7内に通ずる穀稈供給口15は、上縁辺15aと下縁辺15bとが略平行するように横方向に長く開口されて、脱粒室7内への穀稈供給作用がスム−スに行われるように構成している。また、前記穀稈挟持搬送装置8は、上下に対設する無端ベルト8a,8bによって構成すると共に、これら上下の無端ベルトに相対速度差を設けて搬送中に穀稈が回転するようにして脱粒作用を効果的に行なわしめるように構成している。
【0023】
更に、上下の各ロ−タ9,9は、図4に示すように、側面視において穀稈挟持搬送装置8に対し略平行するように配置している。
【0024】
なお、図中、16は脱粒後の排ワラを排ワラカッタ−17まで搬送処理する排ワラ搬送チエンを示す。
【0025】
脱粒室7の下側には揺動可能に架設した揺動選別装置21を設け、更に、その下方には選別方向の上手側から順に、唐箕22と、1番移送螺旋23と、2番移送螺旋24と、その上方に吸引排塵フアン25を設けて選別室を構成している。なお、1番揚穀装置23Aは1番移送螺旋23で回収された穀物を揚送してグレンタンク6内に収容する。また、2番揚穀装置24Aは2番移送螺旋24で回収された2番処理物を揺動選別装置21の始端側へ還元するようになっている。
【0026】
そして、揺動選別装置21は、脱粒室からの脱粒処理後の処理物、つまり、被処理物を受け入れて揺動移送しながらふるい選別する構成であり、選別方向上手側から上側移送棚26、チャフシ−ブ27、ストロ−ラック28の順に配置し、且つ、前記チャフシ−ブ27の下方にグレンシ−ブ29を配置して一体的に設け、前記唐箕22及び吸引排塵フアン25による選別風と揺動との共同作用によって脱粒室7から漏下してきた処理物を受け入れて揺動移送しながらふるい選別処理するように構成している。
【0027】
次に、別実施例1(図6〜図11)について説明する。
【0028】
扱室内に扱歯30付扱胴31を備えた自脱型コンバインにおいて、図6〜図8に示すように、扱胴31の後方で穀稈挟持搬送装置8側近くに、前術のような相対向する一対の脱粒ロ−タ9,9を設置するように配置構成したものである。これによれば、扱ぎ残しの多い穀稈の株元側部分がロ−タによって脱粒作用を受けるので、扱胴室内通過後の扱ぎ残り粒及び4番ササリ粒を容易に回収することができる。
【0029】
なお、上記脱粒ロ−タ9,9においては、図9に示すような構成とすることもできる。すなわち、対向する一対のロ−タ9,9を線材32…にて円筒状に構成し、そして、各ロ−タ9,9間に穀稈を送り込み、両者の周速度差により扱き作用を付与して脱粒するようにすれば、穀粒が線材32,32間に入り込み、線材32…の回転作用により穀粒と枝梗部との間に曲げ作用が発生して分離が促進され単粒化が容易となる。
【0030】
図10に示す実施例では、穀稈穂部の付着粒を固定ネット33とスライドネット34との間に入り込ませ、スライドネット34を往復摺動させることにより、付着粒に曲げ荷重を生じさせて脱粒するようにしている。固定ネット33の上方には、穀稈挟持搬送装置8によって挟持搬送される穀稈を引き伸ばしながら固定ネット33上に沿わせるための弾性無端帯からなる扱きベルト35を対設している。前記スライドネット34はクランク揺動機構36によって往復揺動させる構成としている。また、図11に示す実施例は、線材32…又はクリンプ網にて円筒形状に構成された脱粒ロ−タ9を偏心軸37周りに回転運動するように軸架させて設け、穀稈挟持搬送装置8にて挟持搬送される穀稈の穂先側に作用させて脱粒する構成としている。脱粒ロ−タ9が偏心しているため、穀稈の穂部に対し打撃作用が付与され、穀粒が線材32,32間を通じてロ−タ内部に入り易くなり、穀粒に曲げによる脱粒力と引張りによる力が作用し脱粒が容易となる。
【0031】
更に、別実施例2(図12〜図13)について説明する。
【0032】
図12に示された脱粒装置は、複数の網状叩き板40,40…を回転する無端体41の周方向に所定間隔おきに枢着して設け、そして、この網状叩き板40…を穀稈挟持搬送装置8によって挟持搬送される穀稈の穂部に対し連続的に衝突させて脱粒させる構成である。従来は主として引張り力による脱粒のため、作物の性質上負荷が高く、高馬力を要していた。そこで、本例では、穀稈の穂部に対し横方向から衝撃力を与え、枝梗との間で曲げ荷重を付与することで作物の性質上小さい力で脱粒させることができる。そして、無端体に多数の網状叩き板を取り付けることで、搬送しながら何回も衝突させることができ脱粒効果を高めることができる。また、この脱粒装置において、2番還元装置24Aからの2番物は網状叩き板40…の回転圏内に投入して再処理するように構成している。なお、前記網状叩き板40…の回転方向は穀稈搬送方向と同方向としてもよく、穀稈搬送方向に対し逆方向に回転させて衝突させる構成であってもよい。
【0033】
図13に示す実施例では、網体で円筒形状に構成された大小異径の脱粒ネットロ−タ43,44を同一軸芯上において内外2重に重合させて設け、そして、これら内外ロ−タを互いに逆回転させるようし、穀稈の穂先部分を内外2重のネットロ−タ43,44に押し付けることによって穀粒の付根部分に曲げ荷重を加えて脱粒するようにしている。
【0034】
また、別実施例3(図14〜図22)について説明する。
【0035】
図14、図15に示す実施例は、穀稈搬送装置8により穀稈を横倒し状態で列状に搬送し、その搬送穀稈に対し、穀稈搬送方向と直角方向に往復動する複数の網状体45…を衝突させることによって脱粒する構成としている。網状体45…は往復駆動機構46によって往復強制駆動する構成としている。かかる構成によれば、穀粒の付根部分に曲げ荷重を発生させることになるので、小さな力で脱粒され確実に単粒化することができる。
【0036】
また、図16に示す実施例は、穀稈を挟持して列状に搬送し、その穀稈の株元側搬送方向を軸芯として穀稈の穂先側を旋回させ、その穂先部の旋回軌跡上に設置された固定網体47に衝突させて脱粒させる構成としている。また、図17及び図18に示すように、穀稈を列状に搬送する穀稈挟持搬送装置8の券回張設用輪体8a,8b,8c,8dのコ−ナ部で、穀稈の穂先側が遠心力により外側に振り回されるようにし、この振り回される穂先部分をその軌跡上に設置された固定網体47に衝突させて脱粒させるものであってもよい。
【0037】
図19、図20に示す実施例は、穀稈挟持搬送装置8にて穀稈を半円筒状の波状網体50の内側に沿って列状に搬送し、その半円筒波状網体50の内側に大きな波状で円筒状の円筒波状網体51を外側の半円筒波状網体50に対し大きく隙間を開けずに回転させ、その隙間を搬送される穀稈の穂部に対し、この搬送方向とは逆方向の回転によって衝撃を繰り返し付与し脱粒させる構成としている。これによれば、穀粒の付根部分に曲げ荷重を発生させることができるので、小さな力で脱粒化することができる。
【0038】
図21、図22に示す実施例は、穀稈挟持搬送装置8により穀稈を平面台52上に沿って横倒し水平状態で搬送し、平面台52の穂先側端面が搬送方向に対して所定角度をもって小さくなる構成とし、搬送に伴い徐々に穀稈の穂先が平面台52の端面から外側に突出するようにし、更に、その台端面の直近を円周端部が通過する打撃回転体53を設ける。これによれば、穀稈の穂先部に対し打撃回転体53の叩打によって、穀粒の付根部分に曲げ荷重が付与され、脱粒化が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】コンバインの側面図
【図2】脱粒装置の正面図
【図3】同上要部の平面図
【図4】同上要部の切断側面図
【図5】脱粒ロ−タ要部の斜視図
【図6】脱粒装置の正面図
【図7】同上平面図
【図8】同上側面図
【図9】脱粒装置の要部正面図
【図10】脱粒装置の要部の正面図
【図11】脱粒装置の要部の正面図
【図12】脱粒装置の要部の平面図
【図13】脱粒装置の要部平面図
【図14】脱粒装置の要部の側面図
【図15】同上要部の平面図
【図16】脱粒装置の要部の概略平面図及びそのA矢視図
【図17】脱粒装置の要部の平面図
【図18】同上側面図
【図19】脱粒装置の要部の平面図
【図20】同上側面図
【図21】脱粒装置の要部の側面図
【図22】同上平面図
【符号の説明】
【0040】
4 脱粒装置(脱穀機) 7 脱粒室
8 穀稈挟持搬送装置 9 脱粒ロ−タ
10 ロ−タ軸 11 円錐形部
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【住所又は居所】愛媛県松山市馬木町700番地
【出願日】 平成16年5月27日(2004.5.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−333891(P2005−333891A)
【公開日】 平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願番号】 特願2004−158007(P2004−158007)