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【発明の名称】 脱穀装置
【発明者】 【氏名】大野 隆行
【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内

【要約】 【課題】インディカ種等の茎の硬い穀稈であっても、扱室内での切れ藁の発生等を抑えるこのできる扱胴を提供する点にある。

【解決手段】扱胴1の外周面にその扱胴1の回転軸芯Xに沿った複数個の棒材1Bを立設し、扱胴1の回転により棒材1Bで穀稈にたたき作用を加えて脱粒処理を行うべく構成してある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱胴の外周面にその扱胴の回転軸芯に沿った複数個の棒材を立設し、前記扱胴の回転により前記棒材で穀稈にたたき作用を加えて脱粒処理を行うべく構成してある脱穀装置。
【請求項2】
扱胴の外周面にその扱胴の回転軸芯に沿った状態でかつ前記外周面の円周方向にリード角を有する複数個の棒材を立設し、前記棒材で脱穀フィードチェーンによって搬送される穀稈にたたき作用を加えて脱粒処理を行うべく構成してある脱穀装置。
【請求項3】
扱胴の外周面にその扱胴の回転軸芯に沿った複数個の棒材を立設し、前記扱胴の回転により前記棒材で穀稈にたたき作用を加えて脱粒処理を行うべく構成するとともに、前記扱胴を収納した扱室の天井面に前記扱胴の回転によって搬送される処理物を送り方向に案内する送塵弁を設けてある脱穀装置。
【請求項4】
扱胴の外周面にその扱胴の回転軸芯に沿った複数個の棒材を立設し、前記扱胴の回転により前記棒材で穀稈にたたき作用を加えて脱粒処理を行うべく構成するとともに、前記扱胴の穀稈導入部に脱穀フィードチェーンで搬送される搬送穀稈を扱室内に引き込む整そ歯を立設してある脱穀装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、扱胴を備えた脱穀装置に関する。
【背景技術】
【0002】
扱胴の表面に植設されて、その回転によって穀稈に作用して脱粒処理を行うものは、丸棒材を略山型に折り曲げて、両方の脚部分を脱穀フィードチェーンの搬送方向に直交する方向に沿った状態で配設されていた、扱歯であった。(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】実開平6−38号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような扱歯を使用していたのは、脱穀フィードチェーンに株元部分を挾持された状態で扱室内に導入されてくる脱穀用の穀稈に対して、その遅れ気味に搬入されてくる穂先部分を、前記扱歯を脱穀フィードチェーンの搬送方向に対して直交する方向、つまり、搬入されてくる穀稈の稈身方向に回転させることによって、その扱歯で穀稈を梳き上げるように脱粒処理することとしていたのである。
【0005】
しかし、このような脱粒作用が適しているのは、比較的穀稈が柔軟性に富む、いわゆる、ジャポニカ種を対象とする場合であり、例えば、ジャポニカ種に比較して穀稈が硬いインディカ種等に対しては、しごき作用が過度になり、扱室内での藁屑の発生が多くなりすぎる問題があった。
【0006】
本発明の目的は、硬い穀稈であっても、扱室内での切れ藁の発生等を抑えることのできる扱胴を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔構成〕
請求項1に係る発明の特徴構成は、扱胴の外周面にその扱胴の回転軸芯に沿った複数個の棒材を立設し、前記扱胴の回転により前記棒材で穀稈にたたき作用を加えて脱粒処理を行うべく構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0008】
〔作用〕
つまり、扱胴の回転軸芯に直交する方向に沿って構成されていた扱歯の代わりに、扱胴の外周面にその扱胴の回転軸芯に沿った複数個の棒材を立設した。このことによって、脱穀フィードチェーンに挾持されて扱室内に導入されてくる穀稈に対しては、扱歯のようなしごき作用は加えることはなく、扱胴とともに回転する棒材が穀稈に対してたたき作用を加えたり、受網との間に穀稈を挟み込みその穀稈に揉む作用を施すことによって、脱粒処理を促進する。
【0009】
〔発明の効果〕
したがって、過度のしごき作用による切れ藁の発生を抑えて脱粒処理を行うことができ、脱穀負荷を低減でき、処理速度の向上を図ることができる。
【0010】
〔構成〕
本発明のうちの請求項2記載の発明では、扱胴の外周面にその扱胴の回転軸芯に沿った状態でかつ前記外周面の円周方向にリード角を有する複数個の棒材を立設し、前記棒材で脱穀フィードチェーンによって搬送される穀稈にたたき作用を加えて脱粒処理を行うべく構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0011】
〔作用〕
請求項1に係る発明に対応する作用に加えて次のような作用もある。つまり、棒材を外周面の円周方向にリード角を有する状態で設けてあるので、穀稈にたたき作用等を加えるだけでなく、扱胴の軸芯方向に沿った方向への分力を穀稈に与え、遅れ気味に導入される穂先部分に対して、遅れを少なくできる。
【0012】
〔効果〕
したがって、穂先遅れを抑制できて、穂先部分での搬送詰まり等を解消できる。
【0013】
〔構成〕
本発明のうちの請求項3記載の発明では、扱胴の外周面にその扱胴の回転軸芯に沿った複数個の棒材を立設し、前記扱胴の回転により前記棒材で穀稈にたたき作用を加えて脱粒処理を行うべく構成するとともに、前記扱胴を収納した扱室の天井面に前記扱胴の回転によって搬送される処理物を送り方向に案内する送塵弁を設けてある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0014】
〔作用効果〕
請求項1に係る発明に対応する作用に加えて次のような作用もある。つまり、棒材によってたたき作用等を受けながら扱胴とともに扱室内を回転する処理物に対して、送塵弁によって扱室の後端部に向けて案内できるので、たたき作用等を受けた穀稈を早期に扱室より排出でき、扱室内での処理物の滞留を抑えることができる。
【0015】
〔構成〕
本発明のうちの請求項4記載の発明では、扱胴の外周面にその扱胴の回転軸芯に沿った複数個の棒材を立設し、前記扱胴の回転により前記棒材で穀稈にたたき作用を加えて脱粒処理を行うべく構成するとともに、前記扱胴の穀稈導入部に脱穀フィードチェーンで搬送される搬送穀稈を扱室内に引き込む整そ歯を立設してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0016】
〔作用効果〕
請求項1に係る発明に対応する作用に加えて次のような作用もある。つまり、棒材とともに整そ歯を設けてあるので、脱穀フィードチェーンによって導入される穀稈の穂先部分も遅れを少くして扱室内に引き込むことができて、穂先部分が遅れを生じて棒材で引掛けることを抑制でき、切れ藁等の発生を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
〔第1の実施形態〕
自脱型コンバインの脱穀装置Aの構造について説明する。このコンバインは、主として、インディカ種米を対象する刈取機である。
図1に示すように、脱穀装置Aは、刈取搬送穀稈に扱ぎ処理を加える扱胴1、扱胴1で扱ぎ処理された処理物を下方に漏下する受網2とを備えた扱室3と、扱室の下方に受網2から漏下する処理物に対して選別処理する揺動選別装置4と、更に下方に、揺動選別装置4より放出される一番物を穀粒貯留部(図外)に送る一番物搬送コンベア5と、二番物を扱室3に戻す二番物搬送コンベア6とを備え、扱室3の機体後方側に機外に排塵等を排出する排塵ファン7とを設けて、刈取穀稈を脱穀処理すべく構成してある。
【0018】
図1に示すように、揺動選別装置4は、受網2から漏下された処理物を受止める機体後方側に搬送するグレンパン8とそのグレンパン8の後方にチャフシーブ9とを配置して穀粒と藁屑等を比重差選別するように構成するとともに、チャフシーブ9の下方に穀粒を風選別処理するグレンシーブ10を設け、これらの機器を揺動ケース11に装備して、機体前方側の唐箕12からの選別風と揺動作動によって選別処理を行うべく構成してある。
【0019】
次ぎに、扱胴1の構造について説明する。図2〜4に示すように、扱胴1は、円筒ケース1Aの外周面に、脱穀フィードチェーン15に株元部分を挾持されて横倒れ姿勢で搬送されてきた搬送穀稈に対して叩き当接する棒材1Bを立設し、その搬送穀稈に脱粒処理を加えるように構成されている。
棒材1Bは、丸棒材であり、円筒ケース1Aの前端部から後端部に向けて、その円筒ケース1Aの回転軸芯Xに位置する前後向き姿勢の回転軸1Cに略沿った状態で設けてあり、前後端部1a、1bでは、円筒ケース1Aに外周面より立上げその立ち上げた前後端部1a、1bの上端より前記回転軸1Cに沿った前後向き姿勢の平行部1cを設けてある。
【0020】
図2〜図4に示すように、棒材1Bの平行部1cの姿勢を円筒ケース1Aの外周面より一定距離を保持する状態に設定するとともに、円筒ケース1Aの円周方向4箇所に棒材1Bを夫々配置し、これら4本の棒材1Bにおける夫々の平行部1cを前記回転軸芯Xよりリード角αを持った状態に傾斜させてある。棒材1Bの前後端部1a、1bはフランジ部1dを介して円筒ケース1Aに着脱自在にボルト固定してある。リード角αの目安としては、棒材1Bの全長略350mm位で略10°が適当である。
【0021】
図2〜図4に示すように、円筒ケース1Aは、回転軸1Cに一体回転自在に外嵌される前ボス1eその前ボス1eにビス止め固定された前壁1fとを設けるとともに、回転軸1Cに一体回転自在に外嵌される後ボス1gその後ボス1gにビス止め固定された後壁1hとを設け、前後壁1f、1hとに支持される中間円筒胴1iとをビス止めして構成されている。
【0022】
図2に示すように、前壁1fにおける中間円筒胴1iとの接続部位は台形状の傾斜面となっており、この傾斜面に棒材1Bよりも細い径の丸棒材を成形したものと板材とを前後に配置した整そ歯1Fを取り付けて、脱穀フィードチェーン15に挾持されて扱室3内に導入されてくる穀稈の穂先側を扱室3内に引き込むように作用させるものとして設けてある。
【0023】
受網2は、超高分子量のポリエチレン製の平板材に多数の孔を開けた樹脂製の網を採用しているが、線材を網状に組み上げたクリンプ網または線材と板材とを縦横に組み合わせたコンケーブ型の受網を採用してもよい。
【0024】
図3及び図4に示すように、扱室3の天井面には扱胴1の回転駆動によってその扱胴回転に連れて扱胴3の周りを螺旋状に回転する処理物を案内する送塵弁16を設けてある。送塵弁16は、チャンネル断面の揺動調節型の送塵ガイド16Aと天井面に固定されたアングル断面の送塵ガイド16Bとで構成してあり、それらを送り方向に沿った状態で配置してある。
【0025】
以上のような構成により、回転軸1Cの先端に取り付けた入力プーリ12によって、扱胴1が回転されると、棒材1Bの平行部1cが穀稈の穂先部にたたき作用を行うとともに受網2にその穂先部を押し付けて、脱粒処理を行う。
【0026】
扱胴1の基本的構成については上述した通りであるが、上記した基本構成のうち、整そ歯1Fについては設けなくてもよい。そして、整そ歯1Fを設けない場合には、図5に示すように、前壁1fにおける中間円筒胴1iとの接続部位に形成した台形状の傾斜面を設けなくてもよい。扱室3内での処理物の流れに左程支障の生じない場合には、送塵弁16を設けなくてもよい。
【0027】
〔第2実施形態〕
第1実施形態と異なる部分について説明する。図5(イ)、(ロ)に示すように、中間円筒胴1iと前後壁1f、1hとを板材で一体形成して円筒ケース1Aを構成するとともに、中間円筒胴1iの前端部に複数個の前ブラケット1Dをビス止め固定し、中間円筒胴1iの後端部に複数個の後ブラケット1Eをビス止め固定し、相対向する前後ブラケット1D、1Eに亘って棒材1Bを掛け渡してある。棒材1Bは前ブラケット1Dから後方に一定長さ分だけ、中間円筒胴1iの外周面から離間すべく傾斜姿勢に設定した傾斜部1jを設けてある。
【0028】
なお、前後壁1f,1hと棒材1Bと中間円筒胴1iとで囲まれる空間には、仮想線で示すように、必要があれば穀稈の引っ掛かりを阻止すべく、棒材1Bに沿った姿勢で板材1kを設けてよい。また、棒材1Bにはリード角αは設けられてはいない。
【0029】
〔別実施形態〕
以下、本発明の別実施形態を列記する。
(イ) 棒材1Bとして丸棒を使用しているが、断面が丸形のものに限定されず、矩形断面のものや長方形断面のもので板状を呈するものでもよい。
(ロ) 扱胴1を構成するのに、中間円筒胴1iの代わりに中間多角形胴を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】脱穀装置の縦断側面図
【図2】扱胴の縦断側面図
【図3】扱室内を示す正面図
【図4】扱胴を示す平面図
【図5】別実施構造の扱胴を示し、(イ)は正面図(ロ)は縦断側面図
【符号の説明】
【0031】
1 扱胴
3 扱室
15 脱穀フィードチェーン
16 送塵弁
1B 棒材
1F 整そ歯
X 回転軸芯
α リード角
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【住所又は居所】大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号
【出願日】 平成16年3月11日(2004.3.11)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎

【公開番号】 特開2005−253359(P2005−253359A)
【公開日】 平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願番号】 特願2004−69028(P2004−69028)