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【発明の名称】 コンバインの排出オーガ装置
【発明者】 【氏名】土居 義典
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】吉邨 文夫
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】水津 清明
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【要約】 【課題】旋回オーガ部の旋回動作の規制範囲を遠隔操作手段のオペレータが覚知して適切な対応が可能となるコンバインの排出オーガ装置を提供することにある。

【解決手段】コンバインの排出オーガ装置1は、グレンタンクdから立ち上がる縦軸オーガ部1aと、この縦軸オーガ部1aの上端に水平旋回可能に連通して穀粒を機体側方に送出する旋回オーガ部1bと、この旋回オーガ部1bの旋回角度位置を指令により調節制御する旋回制御部と、この旋回制御部に任意の位置から指令するための遠隔操作手段5とを備えて構成され、上記旋回制御部には、遠隔操作手段5により受けた旋回指令に対する限界角度位置を設けて旋回オーガ部1bの調節動作を所定範囲内Bに規制するとともに、同旋回オーガ部1bがその限界角度位置に達したことを遠隔操作手段のオペレータに報知し得る限界角度位置報知手段をを設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グレンタンクから立ち上がる縦軸オーガ部と、この縦軸オーガ部の上端に水平旋回可能に連通して穀粒を機体側方に送出する旋回オーガ部と、この旋回オーガ部の旋回角度位置を指令により調節制御する旋回制御部と、この旋回制御部に任意の位置から指令するための遠隔操作手段とを備えるコンバインの排出オーガ装置において、
上記旋回制御部には、遠隔操作手段により受けた旋回指令に対する限界角度位置を設けて旋回オーガ部の調節動作を所定範囲内に規制するとともに、同旋回オーガ部がその限界角度位置に達したことを遠隔操作手段のオペレータに報知し得る限界角度位置報知手段を備えたことを特徴とするコンバインの排出オーガ装置。
【請求項2】
前記旋回制御部には、前記遠隔操作手段の他に、機体の運転操縦部に設けた機上操作手段から旋回オーガ部の位置調節指令を受けるとともに、同機上操作手段から受けた旋回指令に対する限界角度位置を別途設けて旋回オーガ部の調節動作を所定範囲内に規制することを特徴とする請求項1記載のコンバインの排出オーガ装置。
【請求項3】
前記旋回制御部は、遠隔操作手段から受けた旋回指令に応じて運転操縦部のオペレータに報知し得る遠隔操作報知手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコンバインの排出オーガ装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインのグレンタンクに一時貯留している収穫穀類を排出する排出オーガ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンバインの排出オーガ装置として、特許文献1記載のものが知られている。この排出オーガ装置は、コンバインのグレンタンクから立ち上がる縦軸オーガ部と、この縦軸オーガ部の上端から水平旋回可能に連通して穀粒を機体側方に送出する旋回オーガ部と、この旋回オーガ部の旋回角度位置を指令により調節する旋回制御部を含むオーガ制御装置等を備えて構成される。
【0003】
旋回制御部は、運転操縦席の操作レバー(機上操作手段)や機体の外から無線リモコン(遠隔操作手段)により受けた旋回指令に応じて旋回オーガ部の旋回角度位置を制御することにより、旋回オーガ部の旋回角度位置を調節しながら、グレンタンク内に一時貯留している収穫穀類を排出してトラック等に積み替えすることができる。また、上記旋回制御部は、無線リモコンによって排出オーガ装置を遠隔操作した際に旋回調節可能な角度範囲を限定するべく旋回規制することにより、旋回オーガ部を格納保持する格納部や機体操縦席との干渉を避けるためのオペレータの負担を軽減して不測の事態を回避することができる。
【0004】
しかし、旋回規制による旋回可能範囲は、適切な表示手段がないのでその規制角度位置を正確に把握できず、また、一般の無線リモコンは、混信防止のために微弱電波を使用していることから、微弱電波による受信障害が発生すると無線リモコンを操作しても一時的に旋回オーガ部の移動調節動作が停止することがある。したがって、旋回オーガ部が規制範囲に達して旋回調節動作が停止した場合において、受信障害による旋回停止との区別ができないので、無線リモコンで逆旋回動作を含む再度の旋回動作を入力操作し、停止原因を見極めた上で適切な対応操作をせざるを得なかった。また、機体の外部から遠隔操作するオペレータは、旋回制御部による旋回規制を失念することがあり、限界角度位置で旋回オーガ部が旋回動作を停止した際に一時的な受信障害と誤認して旋回動作の入力操作を何回も繰り返すことがあった。
【特許文献1】特開平6−90611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、旋回オーガ部の旋回動作の規制範囲を遠隔操作手段のオペレータが覚知して適切な対応が可能となるコンバインの排出オーガ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、グレンタンクから立ち上がる縦軸オーガ部と、この縦軸オーガ部の上端に水平旋回可能に連通して穀粒を機体側方に送出する旋回オーガ部と、この旋回オーガ部の旋回角度位置を指令により調節制御する旋回制御部と、この旋回制御部に任意の位置から指令するための遠隔操作手段とを備えるコンバインの排出オーガ装置において、上記旋回制御部には、遠隔操作手段により受けた旋回指令に対する限界角度位置を設けて旋回オーガ部の調節動作を所定範囲内に規制するとともに、同旋回オーガ部がその限界角度位置に達したことを遠隔操作手段のオペレータに報知し得る限界角度位置報知手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
上記旋回制御部は、遠隔操作手段から受けた旋回指令に応じて旋回オーガ部の旋回動作を制御し、この旋回オーガ部が所定の限界角度位置に達した時は、その旋回動作を規制するとともに限界角度位置報知手段を介して遠隔操作手段のオペレータに報知される。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1の構成において、前記旋回制御部には、前記遠隔操作手段の他に、機体の運転操縦部に設けた機上操作手段から旋回オーガ部の位置調節指令を受けるとともに、同機上操作手段から受けた旋回指令に対する限界角度位置を別途設けて旋回オーガ部の調節動作を所定範囲内に規制することを特徴とする。上記遠隔操作手段の他に機上操作手段についても、それぞれに限界角度位置を設けることにより、運転操縦部から旋回指令を受けた際は、その限界角度位置までの範囲で旋回動作が可能となり、また、遠隔操作手段から旋回指令を受けた際は、その限界角度位置までの範囲で旋回動作が可能となる。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2の構成において、前記旋回制御部は、遠隔操作手段から受けた旋回指令に応じて運転操縦部のオペレータに報知する遠隔操作報知手段を備えることを特徴とする。この遠隔操作報知手段により、機外で遠隔操作手段を操作したことが機内の運転操縦部に報知される
【発明の効果】
【0010】
本発明のコンバインの排出オーガ装置は以下の効果を奏する。
請求項1の排出オーガ装置は、遠隔操作手段により旋回オーガ部が旋回動作して所定の限界角度位置に達すると、旋回制御部が旋回オーガ部の旋回動作を規制するとともに限界角度位置報知手段を介して遠隔操作手段のオペレータに報知することから、オペレータがそのことを覚知して適切な対応が可能となるので、積み替え排出時の作業性を向上することができる。
【0011】
請求項2の排出オーガ装置は、請求項1の作用効果のほかに、機上操作手段と遠隔操作手段のそれぞれに応じて旋回規制がされることから、それぞれの作業態様に適した角度範囲を設定することにより、安全性を確保した上でそれぞれの作業性を向上することができる。
【0012】
請求項3の排出オーガ装置は、請求項1又は請求項2の作用効果のほかに、機外で遠隔操作手段を操作したことが機内の運転操縦部において知ることができるので、機体の内外のオペレータによる一方的な操作を回避して相互の安全性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態について、以下に図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の排出オーガ装置を適用したコンバインは、その全体構成側面図を図1に示すように、左右のクローラ走行装置a,aによって支持された機体に、穀稈を刈取る刈取部b、穀稈から籾を分離する脱穀部c、脱穀された籾を収容する貯留部(グレンタンク)d、貯留部dから籾を機外に排出する排出部e、機体走行および作業動作の指令を入力するための運転操縦部f等を備えて構成される。
【0014】
排出部eは、貯留部dから立ち上がる縦軸オーガ部1aと、この縦軸オーガ部1aの上端で水平旋回可能に連通して穀粒を機体の側方に送出する旋回オーガ部1bと、この旋回オーガ部1bの旋回角度位置を指令により調節する旋回制御部を含む図示せぬオーガ制御装置等を備える排出オーガ装置1により構成される。旋回オーガ部1bは、オーガ受部1cにて収納保持されている。
【0015】
排出オーガ装置1は、旋回オーガ部1bの先端に排出口3を備えるとともに、この排出口3の位置決め調節のために、オーガ制御装置を介することにより、旋回オーガ部1bの軸線傾動による上下動作と同軸線方向への伸縮動作、縦軸オーガ部1aの軸線についての旋回動作が可能に構成され、運転操縦部(機上操作手段)fのほかに、後述の無線リモコン(遠隔操作手段)5から各動作の操作が可能に構成される。
【0016】
旋回オーガ部1bの旋回動作範囲は、図2の排出オーガ装置の動作範囲の平面図に示すように、運転操縦部fから旋回位置調節可能な比較的広い角度範囲Aと、無線リモコン5によって旋回位置調節可能な比較的狭い角度範囲Bとを個別に設定可能に構成する。運転操縦部fからの調節可能範囲Aの残余部は、旋回オーガ部1bを収納保持する角度位置Hを含み、運転操縦部fとの干渉調節を要する条件付き旋回範囲Cである。この条件付き旋回範囲Cは、所定の高さ調節を付加条件とし、旋回オーガ部1bが所定の高さ範囲内にある場合に限り旋回移動可能に構成する。また、旋回オーガ部1bが旋回可能範囲の限界角度位置を越えるように操作した際に、ホーン吹鳴等によってオペレータに報知する限界角度位置報知手段を付設する。グレンタンクdの他半側の機体上部には無線リモコン5からの微弱電波を受ける受信アンテナ7を配置する。
【0017】
無線リモコン5は、詳細には、図3に示すように、「上」「下」「左」「右」のスイッチを備え、それぞれ上昇、下降、左動、右動の指令信号が受信アンテナ7に送信され、旋回オーガ部1bを傾動、旋回して排出口3の位置を上下左右に調節することができる。その他に、「伸」「縮」のスイッチにより旋回オーガ部1bの伸縮を指令して排出口3の位置を進退調節し、「排出」スイッチの指令により穀粒送出のオンオフを制御し、「収納」スイッチの指令により旋回オーガ部1bの収納と展開を制御することができる。また、電池残量時に各スイッチ操作で点灯するインジケータ5aを備える。
【0018】
上述のように排出オーガ装置1を構成することにより、運転操縦部f等との干渉を回避して安全を確保しつつ、運転操縦部fと無線リモコン5のそれぞれの役割の差に応じた取扱いをすることができる。また、限界角度位置報知手段は、無線リモコン5の操作の都度ホーンを鳴らすとうるさいので、特に、無線リモコン5を使用して旋回可能範囲Bの限界角度位置に達した際に限定して報知動作することにより、無線リモコンを使用しているオペレータが覚知して適切な対処ができるので、作業性を向上することができる。
【0019】
次に、運転操縦部fの電子表示メータユニットの画面制御について説明する。メータユニット11は運転操縦部fに配置され、図4に示すように、電子表示式のモニタ画面12を備え、図例の「オーガ上昇操作」等の無線リモコン5の使用状況を表示する遠隔操作報知手段を構成する。その制御系の構成は、図5の制御入出力系統図に示すように、オーガ制御装置21に、オーガ用のセンサ24、スイッチ25等の動作信号を受けてオーガ用のリレー22、ソレノイド23等によりオーガの位置を調節制御するとともに、無線リモコン5の電波を受信処理する受信ユニット24、メータユニット11等を接続する。
【0020】
上記構成のようにメータユニット11に遠隔操作報知手段を組み込むことにより、機外で無線リモコン5を操作したことを運転操縦部fにおいて知ることができるので、機体の内外のオペレータ間の意思疎通が可能となり、例えば、排出オーガ装置1を機外から操作中にコンバインを移動発進するというような、一方的な危険な操作を回避することができる。この場合、モニタ画面12の表示と同時に、または、単独に、ブザー等によって同様に構成することができる。
【0021】
また、図6のモニタ画面12aの表示例のように、メンテナンスモードに切替える機能を無線リモコン5に付加して構成することにより、メンテナンスの際の操作性を向上することができる。例えば、無線リモコン5に備えた上下左右の方向指示スイッチで画面カーソルCを操作したり、各スイッチに割り当てた番号によって画面メニューをダイレクトに番号で選択することができる。したがって、従来、メータの表示画面に診断情報を表示するのみであったり、運転操縦部の制御用スイッチを便宜的に使って診断画面切替等の操作を行っていたが、無線リモコン5を操作することによって画面の切替等メンテナンス操作が容易となり、操作性を改善することができる。
【0022】
次に、排出オーガ装置の位置調節制御について説明する。排出オーガ装置の位置調節制御系は、図7の制御系統図に示すように、オーガの位置調節駆動機器群31とそれぞれに対応するセンサ群32とを備えてオーガの位置を調節制御する従来の構成に加えてオーガ制御装置33にジョイスティック34、切替スイッチ35、ズームレバー36、画像コントローラ37を接続し、この画像コントローラ37に画面モニタ38とカメラ39を接続して構成する。カメラ39は、旋回オーガ部1bの先端の排出口3の近傍に配置し、重力方向に向けて軸支し、画像コントローラ37に送った排出口3の直下のトラック荷台や籾の映像を画面モニタ38に表示するように構成する。画面モニタ38には、ジョイスティック34と連動して移動するカーソルを表示し、このカーソル指示位置に排出口3を移動させるように、機器群31を駆動制御するべくオーガ制御装置33を構成する。
【0023】
上記構成のカメラ39の映像を介してオーガの排出口位置がトラックの荷台のどの位置にあるかを把握できる。また、オーガ制御装置33は、センサ群32によってオーガの排出口位置を計算し、ジョイスティック34によるカーソル指示座標位置におけるセンサ群32の対応値と一致するまでオーガを移動制御する。このように排出オーガ装置の位置を調節制御することにより、従来のようなオーガ操作者による概略の目視判断や補助者の誘導によることなく、オペレータが単独でジョイスティック34を操作して適切な位置調節ができる。
【0024】
また、カメラ39に方向調節モータとポテンショメータとを設け、切替スイッチ35で支持モードを切替えてカメラ方向を制御可能に構成し、かつ、ズームレバー36または同等のボリュームと連動する電動ズームレンズを備えてズーム可能映像を画面モニタ38に表示することにより、トラックの荷台の広い範囲を画面モニタ38で確認し、荷台上の籾の状況を把握できる。この状況把握により切替スイッチ35で直下映像に切替え、前述のようにオーガ位置を調節をすることにより、籾の堆積状況に基づいてトラックの荷台に効率良く積み替えすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の排出オーガ装置を適用したコンバインの全体構成側面図である。
【図2】図1の排出オーガ装置の動作範囲を示すコンバインの平面図である。
【図3】無線リモコンの外観正面図である。
【図4】メータユニットの電子表示式のモニタ画面(表示例1)である。
【図5】メータユニットの表示制御系統図である。
【図6】メータユニットの電子表示式のモニタ画面(表示例2)である。
【図7】排出オーガ装置の位置調節の制御系統図である。
【符号の説明】
【0026】
1 排出オーガ装置
1a 縦軸オーガ部
1b 旋回オーガ部
1c オーガ受部
3 排出口
5 無線リモコン(遠隔操作手段)
21 オーガ制御装置
A 旋回可能範囲
a クローラ走行装置
B 旋回可能範囲
C 特定範囲
d グレンタンク(貯留部)
e 排出部(排出オーガ装置)
f 運転操縦部(機上操作手段)
H 収納角度位置
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【住所又は居所】愛媛県松山市馬木町700番地
【出願日】 平成16年1月20日(2004.1.20)
【代理人】 【識別番号】100077779
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 哲郎

【識別番号】100078260
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 レイ子

【識別番号】100086450
【弁理士】
【氏名又は名称】菊谷 公男

【公開番号】 特開2005−204513(P2005−204513A)
【公開日】 平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願番号】 特願2004−11651(P2004−11651)