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【発明の名称】 コンバイン
【発明者】 【氏名】仲谷 章一
【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内

【要約】 【課題】コンバインにおいて、コンケーブや受網を周方向にあまり分割しないで構成しても、コンケーブや受網を容易に脱着できるように構成する。

【解決手段】機体の前後方向軸芯周りに回転駆動される扱胴を備えたコンバインにおいて、前記扱胴の下側のコンケーブ19又は受網を脱穀装置3の後部から前記機体の前後方向軸芯の方向に抜き操作及び挿入操作可能に構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の前後方向軸芯周りに回転駆動される扱胴を備えたコンバインにおいて、前記扱胴の下側のコンケーブ又は受網を脱穀装置の後部から前記機体の前後方向軸芯の方向に抜き操作及び挿入操作可能に構成されているコンバイン。
【請求項2】
前記脱穀装置の後部に排ワラ処理装置を備え、前記脱穀装置の後部に位置して排ワラを処理する作業位置、及び前記脱穀装置の後部を開放する非作業位置に亘って、前記排ワラ処理装置を位置変更自在に構成してある請求項1に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、機体の前後方向軸芯周りに回転駆動される扱胴を備えたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
上記形態のコンバインおいては、扱胴の周方向に沿う状態に形成したコンケーブや受網を扱胴の下側に備えており、このコンケーブや受網は清掃・交換などのために脱着する必要がある。コンケーブや受網の脱着を可能とするための構成として、例えば特許文献1に開示されているように、コンケーブ(特許文献1の図3中の19A,19B,19C)や受網を周方向で細かく分割したものが知られている。
【特許文献1】特開平11−155347
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1で示す構成を持つコンバインでは、コンケーブ(特許文献1の図2及び図3中の19)や受網の交換や掃除の為、脱穀装置(特許文献1の図2及び図3中の3)からコンケーブや受網を取り外す際に、脱穀装置の天板あるいは側板(特許文献1の図3中の26)を外して、その開放口から複数枚に細かく分割されたコンケーブ(特許文献1の図3中の19A,19B,19C)や受網を1枚ずつ引き出すという作業が必要であり、作業性改善の余地があった。コンケーブや受網は曲面である扱胴の周方向に沿う状態で曲面を形成する為、コンケーブや受網が周方向に細かく分割されていると、強度面や分割機構の精度面で設計上の制約を受ける不利があった。
本発明は、コンバインにおいて、コンケーブや受網を周方向にあまり分割しないで構成しても、コンケーブや受網を容易に脱着できるように構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
〔I〕
(構成)本発明の第1特徴は、機体の前後方向軸芯周りに回転駆動される扱胴を備えたコンバインにおいて、次のように構成することにある。
扱胴の下側のコンケーブ又は受網を脱穀装置の後部から機体の前後方向軸芯の方向に抜き操作及び挿入操作可能に構成してある。
【0005】
(作用)本発明の第1特徴によると、扱胴の下側のコンケーブ又は受網を脱穀装置の後部から機体の前後方向軸芯の方向に抜き操作及び挿入操作可能に構成してあるので、コンケーブや受網を脱着する際に、扱胴の回転軸芯(機体の前後方向軸芯)に沿って、コンケーブや受網を容易に抜き出したり挿入したりすることができる。
この場合、扱胴の回転軸芯(機体の前後方向軸芯)に沿ってコンケーブや受網を抜き出したり挿入したりすることができるように構成しているので、コンケーブや受網を周方向に特に細かく分割する必要がない。
【0006】
(効果)本発明の第1特徴によると、機体の前後方向軸芯周りに回転駆動される扱胴を備えたコンバインにおいて、コンケーブや受網の脱着の作業が容易に行えるので、メンテナンス時の作業効率が向上する。また、コンケーブや受網の周方向分割の必要性が減少し、分割数が減少することで構造上強度が向上するという点や構造の簡素化による低コスト化という効果がある。
【0007】
〔II〕
(構成)本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴において、脱穀装置の後部に排ワラ処理装置を備え、脱穀装置の後部に位置して排ワラを処理する作業位置、及び脱穀装置の後部を開放する非作業位置に亘って、排ワラ処理装置を位置変更自在に備えてあることにある。
【0008】
(作用)本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項〔I〕に記載の「作
用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
コンバインでは、脱穀装置の後部に排ワラ処理装置(例えば排ワラ細断装置や排ワラ結束装置)を備えたものがある。本発明の第2の特徴によると、排ワラ処理装置を作業位置及び非作業位置に亘って位置変更自在に構成してあるので、排ワラ処理装置を非作業位置に移動させることにより、排ワラ処理装置による制約を受けることなく無理なく、コンケーブや受網の脱着を行うことができる。
【0009】
(効果)本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項〔I〕に記載の「効
果」を備えており、これに加えて以下のような「効果」を備えている。
本発明の第2特徴によると、排ワラ処理装置を非作業位置に移動させて脱穀装置の後方を開放させることが可能になり、コンケーブや受網を容易に脱着することができるようになって、メンテナンス時の作業効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1に全稈投入型のコンバインを示している。この全稈投入型のコンバインは、左右一対のクローラ走行装置1に支持させた走行機体2に脱穀装置3を搭載し、刈取前処理部4と刈取り穀稈搬送用のフィーダー5とを一体に連結した状態で、フィーダー5の後端部を走行機体2に横軸芯R周りに揺動自在に支持している。運転座席を備えたキャビン7をフィーダー5の右外方に位置する状態に走行機体2に配備して、フィーダー5の右外方からキャビン7の後部側の下方に亘って原動部としてのエンジン8を配備し、脱穀装置3の右外方でキャビン7の後方にグレンタンク9を配設しており、ワラ屑を切断して機外に排出するチョッパー32を有する排ワラ処理装置31を脱穀装置3の後方に設けて構成してある。
【0011】
図1に示すように、刈取前処理部4は、穀稈を引起こしながら機体後方に掻込むリール10と、掻込まれた穀稈を刈取るバリカン型刈取装置11と、刈取った穀稈を刈り幅の一箇所に集めるオーガー13とを設けて構成され、フィーダー5はオーガー13で集めた穀稈を脱穀装置に搬送するコンベア14をカバー15で覆って構成してある。
【0012】
図2に示すように脱穀装置3は、フィーダー5の終端に連通した扱室16に前後方向で水平に扱胴17を軸支し、扱室16の下方に選別部18を配置し、扱室16から選別部18に処理物を漏下供給するコンケーブ19を設けた構造となっている。扱胴17は、円筒ドラム45の外周面に螺旋状扱歯44を設けるとともに、螺旋状扱歯44に独立扱歯を周方向に所定間隔おきに取付けて構成してある。選別部18には、揺動選別ケース20、唐箕21、1番物回収用スクリューコンベア22、2番物回収用スクリューコンベア23を設けている。コンケーブ19から漏下供給される脱穀処理物を揺動選別ケース20により後方に揺動移送しながら篩い選別および風選別処理して、穀粒を1番物回収用スクリューコンベア22からバケットコンベア40(図1参照)を介してグレンタンク9に揚送するよう構成し、選別不十分な2番物を2番物回収用スクリューコンベア23から還元装置24を介して揺動選別ケース20に戻すよう構成してある。
【0013】
図3に示すようにコンケーブ19が全周長に亘って扱胴17の周方向に沿う円弧状に構成されている。コンケーブ19は扱胴17の回転軸方向に前後2分割されて構成されている。すなわち、コンケーブ19は機体前方側の第1分割コンケーブ19F、機体後方側の第2分割コンケーブ19Rで構成されている。
【0014】
図5に示すように、第1分割コンケーブ19Fは機体後方側の端面に複数のピン孔29を、第2分割コンケーブ19Rは機体前方側の端面に複数のピン30を有しており、脱穀装置3内にコンケーブ19を装着する際には、第1分割コンケーブ19Fのピン孔29と、第2分割コンケーブ19Rのピン30が嵌合するように構成されている。
【0015】
図3に示すように、第1及び第2分割コンケーブ19F,19Rはガイドレール27R,27L,27Cに沿って機体前後方向にスライド自在に扱室16内に設けられている。図3及び図5に示すように第1及び第2分割コンケーブ19F,19Rの各々の周方向の両端辺及び周方向中心位置に、3本の支持レール28R,28L,28Cがコンケーブ19の外向きに構成されている。各支持レール28R,28L,28Cの機体前後方向の両端にはローラー25がローラー回転軸26によって軸支されている。扱室16内のコンケーブ19の周方向外側には、ガイドレール27R,27L,27Cが機体前後方向に沿ってコンケーブ19の前後方向長さに応じて設けられている。
【0016】
第1及び第2分割コンケーブ19F,19Rの抜き及び挿入操作の際には、各ローラー25が各ガイドレール27C,27R,27Lに沿って転動するので、脱穀装置3の後方で第1及び第2分割コンケーブ19F,19Rを脱穀装置3の内外に抜き及び挿入操作をする際、作業が行い易くなる。上記の挿入操作によって扱室16内に挿入された状態の第1分割コンケーブ19Fはその前部が扱室16の前端部に当接している。第1分割コンケーブ19Fの後端面とその後方に位置する第2分割コンケーブ19Rの前端面が、ピン孔29とピン30との嵌合(図4)により複数箇所にて連結されている。
【0017】
図6(イ)及び図7に示すように、脱穀装置3の後背面において、脱穀装置3の左右に亘って取り付けパネル35が脱着可能に連結されており、この取り付けパネル35の機体前方側に2本の押し付け部材36,36が第2分割コンケーブ19Rの後端縁に位置するように一体的に突設されている。第2分割コンケーブ19Rはその後端面に当接する押し付け部材36によって機体前後方向への滑動を規制されている。第1及び第2分割コンケーブ19F,19Rを脱穀装置3の外へ抜き操作する際は、図6(ロ)に示すように、取り付けパネル35を取り外せば、押し付け部材36も一体となって脱穀装置3より取り外される。この状態であると、機体の前後方向軸芯周りに回転駆動される扱胴17の下側のコンケーブ19を脱穀装置3の後部から機体の前後方向軸芯の方向に抜き操作及び挿入操作可能となる。
【0018】
図1,図2,図8(イ)に示すように、脱穀装置3の後部に、ワラ屑を切断して機外に排出する排ワラ処理装置31をチョッパー32、カバー本体33、カバースカート34とで構成している。排ワラ処理装置31は上下方向に沿う軸芯P周りに揺動開閉自在に構成されており、脱穀装置3の後部に位置した状態である作業状態と脱穀装置3の後部から離れた状態である非作業状態との異なる状態設定が保持できるように構成されている。カバースカート34は、排ワラ処理装置31を構成するカバー本体33の上面で、軸芯Q周りに揺動開閉自在にカバー本体33に連結されている。
【0019】
図8(ロ)に示すように排ワラ処理装置31の後方に膨出しているカバースカート34をカバー本体33との連結部分すなわち軸芯Q周りで上方に回動させれば、排ワラ処理装置31の後方下部を覆うカバースカート34が上方に天地反転して回避し、排ワラ処理装置31の回動周方向の厚みが縮小する。図8(ロ)に示すように回動軸芯P周りに排ワラ処理装置31を回動させて非作業状態に移行すれば、回動周方向の厚みが縮小しているので、軸芯P周りの回動が十分に行える。例えば機体後方の穀粒貯蔵部の構成部品などによる制約を受けることが少なく、脱穀装置3の後方の空間を十分に開放できる。
【0020】
上記のような脱穀装置3の後方の構成により、脱穀装置3の内部に扱胴17の軸芯方向に滑動可能に内装された第1及び第2分割コンケーブ19F,19Rは扱胴17の軸芯方向に機体外へ向って抜き操作したり、機体外部からの挿入操作が可能となる。
【0021】
〔発明の実施の別形態〕
前述の〔発明を実施するための最良の形態〕の図3の形態に代えて、図10のように構成してもよい。図10の構成では扱胴17の周方向にもコンケーブ19を分割して4枚の分割コンケーブでコンケーブ19を構成している。すなわち、機体前方右側の第1分割コンケーブ19FR、機体前方左側の第2分割コンケーブ19FL、機体後方右側の第3分割コンケーブ19RR、機体後方左側の第4分割コンケーブ19RLの4枚のコンケーブでコンケーブ19が構成されている。第1及び第2分割コンケーブ19FR,19FLの後方端面に複数のピン孔29を設け、第3及び第4分割コンケーブ19RR,19RLの前方端面に複数のピン30を設けて、脱穀装置3内にコンケーブ19を装着する際には、ピン孔29にピン30が勘合するように構成されている。図9に示すように、第1〜第4分割コンケーブ19FR,19FL,19RR,19RLの周方向の両端辺には支持レールが設けられており、レールの前後両端部にローラー25がローラー軸26で軸支されている。扱室16内のコンケーブ19の周方向外側には、ガイドレール27R,27L,27C1,27C2が機体前後方向に沿ってコンケーブ19の前後方向長さに応じて設けられている。第1〜第4分割コンケーブ19FR,19FL,19RR,19RLの抜き及び挿入操作の際には、各ローラー25が各ガイドレール27R,27L,27C1,27C2に沿って転動するので、抜き及び挿入操作が容易に行える。本構成では、第1〜第4分割コンケーブ19FR,19FL,19RR,19RLの大きさが小さくなるので、コンケーブ19の挿抜作業時の取り扱いをさらに容易にすることができた。
【0022】
排ワラ処理装置31のチョッパー32に替えて排ワラカッターやシリンダカッター等を備えてもよい。また、排ワラ処理装置31としては排ワラ結束機構を備えて構成してもよい。本発明は全稈投入型のコンバインばかりではなく、フィードチェーンを備えた自脱型のコンバインにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】脱穀装置の縦断側面図
【図3】脱穀装置の縦断背面図
【図4】第1分割コンケーブと第2分割コンケーブの連結部分拡大断面図
【図5】第1分割コンケーブと第2分割コンケーブの連結状態説明斜視図
【図6】(イ)取り付けパネル装着状態での脱穀装置後部の背面図(ロ)取り付けパネル取り外し状態での脱穀装置後部の背面図
【図7】取り付けパネルおよび押し付け部材の脱着の様子を示す脱穀装置後部の縦断側面図
【図8】(イ)排ワラ処理装置構成の概略を示す平面図(ロ)排ワラ処理装置の回動作用およびコンケーブの抜き操作を示す平面図
【図9】発明の実施の別形態での分割コンケーブ装着状態での縦断背面図
【図10】発明の実施の別形態での分割コンケーブ分割状態での縦断背面図
【符号の説明】
【0024】
3 脱穀装置
17 扱胴
19,19F,19R,19FR,19FL,19RR,19RL コンケーブ
31 排ワラ処理装置
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【住所又は居所】大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号
【出願日】 平成15年9月4日(2003.9.4)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎

【公開番号】 特開2005−80512(P2005−80512A)
【公開日】 平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願番号】 特願2003−312858(P2003−312858)