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【発明の名称】 脱穀装置の2番還元構造
【発明者】 【氏名】永田 哲治
【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内

【要約】 【課題】選別部での選別効率や選別精度の向上を図れるようにする。

【解決手段】脱穀処理後の処理物に対して選別処理を施す選別部3と、その選別部3による選別後の2番物を選別部3の選別終端側から選別始端側に放出還元する2番還元機構19とを備えた脱穀装置の2番還元構造において、2番還元機構19から放出された2番物に含まれる塵埃を吸引して機外に排出する排塵機構31を装備してある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀処理後の処理物に対して選別処理を施す選別部と、その選別部による選別後の2番物を前記選別部の選別終端側から選別始端側に放出還元する2番還元機構とを備えた脱穀装置の2番還元構造であって、
前記2番還元機構から放出された2番物に含まれる塵埃を吸引して機外に排出する排塵機構を装備してある脱穀装置の2番還元構造。
【請求項2】
前記排塵機構の吸引部を、前記2番還元機構から放出された2番物が通る放出還元経路よりも高い位置に配置してある請求項1に記載の脱穀装置の2番還元構造。
【請求項3】
前記排塵機構の吸引部を、扱胴に沿って敷設した受網に面する位置に配置するとともに、前記吸引部に、前記受網から漏出した穀粒の流入を阻止する遮蔽体を装備してある請求項1又は2に記載の脱穀装置の2番還元構造。
【請求項4】
前記排塵機構を、選別風を生起する唐箕に連動させてある請求項1〜3のいずれか一つに記載の脱穀装置の2番還元構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、脱穀処理後の処理物に対して選別処理を施す選別部と、その選別部による選別後の2番物を前記選別部の選別終端側から選別始端側に放出還元する2番還元機構とを備えた脱穀装置の2番還元構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来では、選別部による選別後の、枝梗やワラ屑などの塵埃の含有率が高い2番物を、その含有率の高い状態のままで選別部の選別始端側に還元して再選別するようにしていた。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−95362号公報(段落番号0016、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
選別部は、その選別始端側ほど穀粒含有率の高い処理物が供給されることから、その選別始端側で選別した穀粒を1番物として選別始端側からその下方の1番回収部に漏下させ、その選別始端側から漏下しなかった枝梗付き穀粒や塵埃などの混在物を2番物として選別終端側からその下方の2番回収部に漏下させるように構成されている。
【0005】
ところが、従来では、塵埃の含有率が高い2番物をそのまま選別部の選別始端側に還元することから、その選別始端側での処理物の穀粒含有率が低下し、それによって、その選別始端側で穀粒を選別して下方の1番回収部に漏下させることが難しくなり、結果、選別効率や選別精度の低下を招くようになる。
【0006】
本発明の目的は、選別部での選別効率や選別精度の向上を図れるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための手段として、本発明では、脱穀処理後の処理物に対して選別処理を施す選別部と、その選別部による選別後の2番物を前記選別部の選別終端側から選別始端側に放出還元する2番還元機構とを備えた脱穀装置の2番還元構造において、前記2番還元機構から放出された2番物に含まれる塵埃を吸引して機外に排出する排塵機構を装備してある。
【0008】
このようにすると、選別部による選別後の2番物を2番還元機構によって選別部の選別始端側に放出還元する際に、2番還元機構から放出された2番物のうちの比重の軽い枝梗やワラ屑などの塵埃を、排塵機構により吸引して機外に排出することができ、これによって、選別部の選別始端側には、塵埃の含有率が低下した2番物を還元できる。
【0009】
その結果、脱穀処理後の処理物のうちの穀粒含有率の高い処理物が供給される選別部の選別始端側に、塵埃の含有率が高い2番物を還元することに起因した選別始端側での穀粒含有率の低下を回避でき、これによって、その選別始端側からその下方に位置する1番回収部への穀粒の漏下を促進させることができ、もって、選別部での選別効率や選別精度の向上を図れる。
【0010】
本発明をより好適なものにするための手段のうちの一つでは、前記排塵機構の吸引部を、前記2番還元機構から放出された2番物が通る放出還元経路よりも高い位置に配置してある。
【0011】
このようにすると、2番還元機構から放出される2番物のうち、比重の軽い塵埃は、2番還元機構から放出された際に放出還元経路から舞い上がり、排塵機構の吸引部によって吸引される。一方、比重の重い穀粒は、放出還元経路から舞い上がることがなく徐々に下降することから、排塵機構の吸引部によって吸引されることはない。
【0012】
つまり、排塵機構による2番物からの塵埃の除去を効果的に行えるとともに、排塵機構によって2番物中の穀粒が機外に排出される穀粒ロスの発生を回避でき、結果、選別部での選別効率や選別精度の向上を更に図れる上に穀粒回収効率の向上を図れる。
【0013】
本発明をより好適なものにするための手段のうちの一つでは、前記排塵機構の吸引部を、扱胴に沿って敷設した受網に面する位置に配置するとともに、前記吸引部に、前記受網から漏出した穀粒の流入を阻止する遮蔽体を装備してある。
【0014】
このようにすると、受網から漏出する処理物のうちの比重の軽い塵埃のみが排塵機構によって吸引されて機外に排出され、受網から漏出する穀粒は、遮蔽体によって排塵機構による吸引排出が阻止される。
【0015】
つまり、排塵機構による受網から漏出する処理物からの塵埃の除去をも行えるようにしながら、その処理物中の穀粒が排塵機構によって機外に排出される穀粒ロスの発生を回避でき、結果、選別部での選別効率や選別精度の向上を更に図れる上に穀粒回収効率の向上を図れる。
【0016】
本発明をより好適なものにするための手段のうちの一つでは、前記排塵機構を、選別風を生起する唐箕に連動させてある。
【0017】
このようにすると、エンジンから排塵機構にわたる専用の伝動系を備える場合に比較して伝動構造の簡素化を図れる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1にはコンバインに搭載される脱穀装置の縦断側面が、図2にはその一部縦断正面が示されており、この脱穀装置は、その左側部に配備されたフィードチェーン1により横向き姿勢で挾持搬送される刈取穀稈の穂先側に対して脱穀処理を施す脱穀部2、脱穀部2からの脱穀処理後の処理物に対して選別処理を施す選別部3、及び、選別部3にて選別された処理物のうちの1番物と2番物とを回収する回収部4、などによって構成されている。
【0019】
脱穀部2は、前後向きの軸心周りに回転駆動される扱胴5、扱胴5の下部に沿って敷設された受網6、及び、受網6の後方に形成された送塵口7、などによって構成され、扱胴5と受網6との間でフィードチェーン1によって挾持搬送される刈取穀稈から穀粒を分離して単粒化し、その単粒化した穀粒とともに枝梗付きの穀粒や塵埃などを受網6から選別部3に向けて漏下させるとともに、受網6から漏下しなかった枝梗付きの穀粒や塵埃などを送塵口7から選別部3に放出する。
【0020】
選別部3は、受網6の下方に装備された揺動選別機構8、揺動選別機構8の前下方に配設された唐箕9、揺動選別機構8と唐箕9の間に配備された第1副唐箕10、及び、揺動選別機構8の前後中間下方に配備された第2副唐箕11、などによって構成され、揺動選別機構8が、その後部に配設された偏心式駆動機構12の作動で揺動駆動されることで脱穀部2からの処理物に対して篩い選別を施し、唐箕9及び各副唐箕10,11が揺動選別機構8に向けて選別風を供給することで、揺動選別機構8にて篩い選別される処理物に対して風力選別を付加する。そして、これらの選別作動によって、脱穀部2からの処理物を、1番物としての穀粒と、2番物としての枝梗付き穀粒と塵埃との混在物と、3番物としての枝梗やワラ屑などの塵埃とに選別する。
【0021】
尚、図1に示す符号13は、送塵口7から選別部3に放出された枝梗付き穀粒などにほぐし作用を付与する拡散胴であり、符号14は、塵埃を吸引して機外に排出する排塵ファンである。
【0022】
回収部4は、揺動選別機構8の選別始端側である前部側の下方に配備された1番回収部15や、揺動選別機構8の選別終端側である後部側の下方に配備された2番回収部16、などによって構成され、1番回収部15は、選別部3で選別処理された処理物のうちの穀粒(1番物)を回収し、その回収した穀粒を、その底部に左右向きに配備された1番スクリュー17によって、その右端に接続された図外の揚送コンベヤに向けて搬送する。2番回収部16は、選別部3で選別処理された処理物のうちの混在物(2番物)を回収するとともに、その回収した混在物を、その底部に左右向きに配備された2番スクリュー18によって、その右端に接続された2番還元機構19に向けて搬送する。
【0023】
ちなみに、揚送コンベヤは、1番スクリュー17で搬送された穀粒(1番物)を揚送して、脱穀装置の右側方に並設された図外の穀粒タンクに供給し、2番還元機構19は、2番スクリュー14で搬送された混在物(2番物)を揚送して揺動選別機構8の選別終端側から選別始端側に還元する。
【0024】
揺動選別機構8は、受網6の前半部から漏下した処理物を受け止めて比重差選別しながら後方に向けて移送する第1グレンパン20、第1グレンパン20で移送された処理物や受網6の後半部から漏下した処理物などの中から穀粒などを粗選別して漏下させるとともに残りの処理物を後方に向けて移送するチャフシーブ21、送塵口7から排出された処理物を受け止めて比重差選別しながら後方に向けて移送する補助グレンパン22、補助グレンパン22で移送された処理物の中から枝梗付き穀粒などを篩い選別して漏下させるとともに残りの処理物を後方に向けて移送する複数の篩線23、チャフシーブ21で移送された処理物などの中から枝梗付き穀粒などを篩い選別して2番回収部16に漏下させるとともに残りの処理物を後方に向けて移送して揺動選別機構8の後方に形成した排塵口24から機外に排出するストローラック25、チャフシーブ21の前部側から漏下した処理物を受け止めて比重差選別しながら後方に向けて移送する第2グレンパン26、及び、第2グレンパン26で移送された処理物とチャフシーブ21の後部側から漏下した処理物との中から穀粒を精選別して漏下させるとともに残りの処理物を後方に向けて移送するグレンシーブ27、などによって構成されている。
【0025】
図1、図3及び図4に示すように、2番還元機構19は、2番スクリュー14で搬送された2番物に対して枝梗付き穀粒から枝梗を取り除くなどの単粒化処理を施す単粒化処理部28や、その単粒化処理部28による単粒化処理後の2番物を揚送して選別部3の選別始端側である揺動選別機構8の第1グレンパン20に向けて放出する搬送放出部29、などから構成されている。
【0026】
図1〜5に示すように、脱穀装置の右側壁30には、2番還元機構19から放出された2番物に含まれる塵埃を吸引して機外に排出する排塵機構31が装備され、この排塵機構31は、2番還元機構19から放出された2番物が通る放出還元経路32よりも高い位置で、かつ、受網6に面する位置に配置された吸引部33や、吸引部33で吸引した塵埃を機体の後下部に流下案内する排塵ダクト34などから構成されている。
【0027】
吸引部33には、右側壁30に形成された開口35から塵埃を吸引する吸引ファン36や、受網6から漏出した穀粒の流入を阻止する遮蔽体37が装備され、吸引ファン36は、ベルト式の伝動機構38を介して唐箕9に連動連結され、遮蔽体37は、開口35よりも大径の桶形に形成され、その周端と右側壁30との間に吸引用の隙間39を有する状態で右側壁30に取り付けられている。
【0028】
以上の構成から、唐箕9などが駆動される脱穀選別作業時には排塵機構31も駆動され、これによって、2番還元機構19から放出される2番物のうちの放出還元経路32から舞い上がる比重の軽い塵埃が、排塵機構31によって吸引されて機体の後下部から上方への飛散が抑制された状態で排出され、塵埃の含有率が低下した2番物が揺動選別機構8の第1グレンパン20に還元される。
【0029】
その結果、脱穀処理後の処理物のうちの穀粒含有率の高い処理物が供給される揺動選別機構8の第1グレンパン20に、塵埃の含有率が高い2番物を還元することに起因した、第1グレンパン20で比重差選別される処理物における穀粒含有率の低下を回避できる。
【0030】
又、排塵機構31を上記のように配備したことで、排塵機構31は、2番還元機構19によって還元される2番物中の塵埃だけでなく、唐箕9や第1副唐箕10などからの選別風で舞い上がる塵埃や、受網6から漏出する処理物中の塵埃をも吸引して機体の後下部から排出するようになり、これによって、排塵ファン14だけで塵埃を吸引排出する場合に比較して塵埃の除去を効果的に行える。
【0031】
更に、排塵機構31の配置設定や遮蔽体37の装備によって、2番還元機構19で還元される2番物や受網6から漏出する処理物に含まれる穀粒の排塵機構31による吸引や排塵機構31への流入が阻止されることから、排塵機構31によって穀粒が機外に排出される穀粒ロスの発生を回避できる。
【0032】
つまり、選別部3での選別効率、選別精度、及び穀粒回収効率の向上を図れる。
【0033】
尚、図6に示すように、2番還元機構19における搬送放出部29の放出端に、図3及び図4に示す放てき板40に代えて、搬送放出部29の揚送スクリュー41で揚送された2番物に対して枝梗付き穀粒から枝梗を取り除くなどの単粒化処理を施し、かつ、その処理後の2番物を揺動選別機構8の第1グレンパン20に向けて放出するように構成された単粒放出部42を装備すれば、揺動選別機構8の第1グレンパン20上に還元する2番物の単粒化が更に促進されるとともに、排塵機構31による2番還元機構19から放出された2番物からの塵埃除去をより効果的に行えるようになり、結果、選別部3での選別効率、選別精度、及び穀粒回収効率の向上を更に図ることができる。
【0034】
又、図7に示すように、唐箕9の駆動速度が処理物量に応じて変速されるように構成すれば、唐箕9からの選別風を処理物量に応じた好適な風力に調節できて、処理物量に応じた好適な風選別を行える上に、唐箕9に連動する排塵機構31の駆動速度も処理物量に応じた速度に変速できて、排塵機構31による塵埃の吸引排出を処理物量に応じた好適な吸引力で良好に行えるようになり、結果、選別部3での選別効率、選別精度、及び穀粒回収効率の向上を更に図ることができる。
【0035】
尚、図7に示す符号43は、唐箕9の変速を可能にする割りプーリであり、符号44は、その割りプーリ43の間隔を変更するカム機構であり、符号45は、カム機構を操作する電動モータであり、符号46は、揺動選別機構8のチャフシーブ21上に堆積する処理物量を検出するセンサであり、符号47は、そのセンサ46からの検出に基づいて電動モータ45の作動を制御する制御装置であり、符号48は、図外の走行機体に搭載されたエンジンであり、符号49は、エンジン48からの動力を扱胴5や唐箕9などに伝達する脱穀伝動系である。
【図面の簡単な説明】
【図1】脱穀装置の縦断側面図
【図2】脱穀装置の一部縦断正面図
【図3】2番還元構造の構成を示す要部の縦断側面図
【図4】2番還元構造の構成を示す要部の横断平面図
【図5】排塵機構の構成を示す要部の縦断正面図
【図6】2番還元機構の搬送放出部に単粒放出部を装備した構成を示す脱穀装置の一部縦断正面図
【図7】唐箕及び排塵機構を変速可能にした構成を示す概略図
【符号の説明】
3 選別部
5 扱胴
6 受網
9 唐箕
19 2番還元機構
31 排塵機構
32 放出還元経路
33 吸引部
37 遮蔽体
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【住所又は居所】大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号
【出願日】 平成15年6月26日(2003.6.26)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎

【公開番号】 特開2005−13106(P2005−13106A)
【公開日】 平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願番号】 特願2003−182991(P2003−182991)