| 【発明の名称】 |
コンバインの前処理駆動構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】山崎 達也 【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】前処理部速度を走行速度と連動又は非連動に切換可能なコンバインで、高速刈取作業中に前処理部が非連動に切り替わることを防止し、円滑な刈取収穫作業を可能とする。
【解決手段】前処理部2の駆動速度を走行速度に連動して変更せしめる速度連動手段を設けたコンバインで、前処理部2の駆動速度を走行速度の変化に関係なく一定に保持する定速制御手段と、定速制御手段を作動させる手動操作手段12aと、走行速度あるいは前処理部2の駆動速度が所定速度以下の時にのみ定速制御手段の作動を許容する牽制手段を設けた。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンからの出力を、走行装置(9,9)に伝達する走行伝動系(A)と、前処理部に伝達する前処理伝動系(B)とを備え、上記前処理部(2)の駆動速度を走行速度に連動して変更せしめる速度連動手段を設けたコンバインにおいて、上記前処理部(2)の駆動速度を走行速度の変化に関係なく一定に保持する定速制御手段と、該定速制御手段を作動させる手動操作手段(12a)と、走行速度あるいは前処理部(2)の駆動速度が所定速度以下の時にのみ定速制御手段の作動を許容する牽制手段を設けたことを特徴とするコンバインの前処理駆動構造。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、コンバインの前処理装置の駆動構造に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、この種のコンバインにおいて、前処理部の駆動速度を走行速度に連動させ、走行速度が速くなるほど前処理部の駆動速度が速くなるように構成した技術は既に知られている。 また、前処理部の駆動速度を走行速度の変化に連動し、走行速度が速くなる程前処理部の駆動速度を速くする標準速制御と、走行速度の変化に関係なく一定に保持する定速制御とに切替える手段を設けた前処理制御装置の技術も公知である(例えば、特許文献1参照。)。 【特許文献1】特開2003−199418号公報(第2,3頁、図4〜6) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 通常、コンバイン機体の走行速度の変化に関係なく前処理速度を一定に保持する上記定速制御への切替は、機体が停止した時前処理部の掻込搬送を継続したい場合に行う。しかしながら、従来公知の上記特許文献1のものでは、高速状態での刈取作業中に誤って強制掻込状態へ切替えてしまったような場合には、前処理部の駆動速度が一定速度に低下して高速刈取作業に対応した前処理駆動速度即ち穀稈掻込搬送速度が得られず、前処理駆動速度不足によりエンジンの負荷が過大となって出力の低下を来したり、立毛穀稈を押倒して刈残しが発生したり、前処理部に穀稈の詰まりが発生して、機械が故障してしまう等の不具合が発生する。 本発明の目的は、このような従来の不具合を改善する点にある。 【課題を解決するための手段】 【0004】 上記目的を達成するため、本発明においては、 エンジンからの出力を、走行装置9,9に伝達する走行伝動系Aと、前処理部に伝達する前処理伝動系Bとを備え、上記前処理部2の駆動速度を走行速度に連動して変更せしめる速度連動手段を設けたコンバインにおいて、上記前処理部2の駆動速度を走行速度の変化に関係なく一定に保持する定速制御手段と、該定速制御手段を作動させる手動操作手段12aと、走行速度あるいは前処理部2の駆動速度が所定速度以下の時にのみ定速制御手段の作動を許容する牽制手段を設けたことを特徴とする。 【発明の効果】 【0005】 前処理部2の駆動速度を走行速度に連動して変更せしめる速度連動手段を設けたコンバインにおいて、前処理部2の駆動速度を走行速度の変化に関係なく一定に保持する定速制御手段と、走行速度あるいは前処理部2の駆動速度が所定速度以下の時にのみ定速制御手段の作動を許容する牽制手段を設けたので、コンバインでの刈取収穫作業時において、作業者が高速での刈取作業中に誤って定速制御手段の起動操作をしても、定速制御手段が作動して前処理部2の駆動速度が所定速度に切替わることがなく、前処理部2の駆動速度即ち穀稈掻込搬送速度は高速走行速度に応じた駆動速度に維持される。 従って、前処理部2の駆動速度不足によりエンジンの負荷が過大となって出力が低下したり、前処理部2で立毛穀稈を押倒して刈残しが発生したり、前処理部2に穀稈の詰まりが発生して、機械が故障してしまうようなことがなくなり、円滑な刈取収穫作業を可能とするものである。 【発明を実施するための最良の形態】 【0006】 本発明の実施の形態を以下図面に基づいて説明する。 図1(a)は、本発明装置を搭載したコンバインの全体側面図、図1(b)は、同上運転キャビン内の要部の斜視図、図2(a)は、主変速レバーの要部の側面図、図2(b)は同上正面図である。 図1(a)において、1は走行機体、2は走行機体1前部に設けた上下に昇降自在の前処理部、3は機体フレームであって、該機体フレーム3上には、前方より運転キャビン4、その後部にエンジン5及びグレンタンク6を、また、図示していない反対側には、脱穀装置を設け、これらの後部に藁処理装置7等を、更には上部に穀粒排出オーガ8を、また、走行機体1の下部には左右のクローラよりなる走行装置9,9を夫々備えたものである。 【0007】 更に、図1(b)おいて、上記運転キャビン4内に設けた運転席11の左側には、後述(図2参照)するモーメンタリスイッチからなる強制掻込スイッチ12a(手動操作手段)と倒伏材スイッチ12bとを把持部13aに備えた主変速レバー13が設けられ、更に該主変速レバー13の後方側方には副変速レバー14が設けられていて、これらの主,副変速レバー13,14の組合わせ変速操作により、走行機体1の変速操作を行うように構成されている。 【0008】 更にまた、図3は、動力伝動系統図であって、上記エンジン5の駆動軸5aには出力取出し用の2つのプーリ15,16が取付けられており、エンジン5からの駆動力は、一方のプーリ15を介して走行用HST17(走行変速装置)に伝達する走行伝動系Aと、他方のプーリ16を介して扱胴入力軸18に伝達する前処理伝動系Bとに分岐して出力される。 そして、上記走行用HST17を備える走行トランスミッション19から左右の走行装置用の駆動力が夫々変速出力されて、走行機体1直進時の変速走行及び左右方向への操向を行い、また、上記プーリ16と扱胴入力軸18に取付けられたプーリ21との間には、駆動力伝達用のベルト22が巻回されており、該ベルト22の巻回中途部位に設けられたテンションクラッチ構造を成す脱穀クラッチ23を介して前処理伝動系Bに伝達する駆動力の断接操作を行うように構成されている。 【0009】 ここで、上記前処理伝動系Bへの駆動力は、扱胴入力軸18、プーリ24を介して作業機トランスミッション25を構成する作業機HST26(前処理変速装置)の入力プーリ27に伝達され、上記作業機トランスミッション25からの駆動力は、前処理部2への伝動系B1と、脱穀フィードチェン28への伝動系B2とに分岐して出力されるようになっている。 【0010】 また、上記作業機トランスミッション25は、前処理部2への駆動力出力用の前処理出力軸29と脱穀フィードチェン28への駆動力出力用のフィードチェン出力軸30の2つの出力軸を有して構成されていると共に、上記脱穀フィードチェン28はフィードチェン出力軸30の端部側に設けられたスプロケット31を介して駆動され、また、扱胴32は扱胴入力軸18からベベルギヤ33を介して駆動されている。 【0011】 一方、前処理部2は、刈刃装置35,引起装置36,穀稈搬送装置37等を備え、前処理部2への駆動力の伝動は、前処理部2側の駆動力の入力軸38に取付けられたプーリ39と、上記前処理出力軸29に取付けられたプーリ40との間に巻き掛けられた伝動用のベルト41を介して行われると共に、上記入力軸38に駆動力を入力する前処理部2への伝動系B1は、上記各機構が該駆動力の回転数(速度)に応じた駆動速度によって駆動される構造となっており、また、上記ベルト41の中途部位には入力軸38への駆動力の伝動を断接するテンションクラッチ構造の刈取クラッチ42が備えられ、運転席11に設けた図示していない刈取クラッチスイッチの入り切り操作で動力の断接を行うようになっている。 【0012】 次に、上記走行伝動系Aと、前処理部2への伝動系B1及び脱穀フィードチェン28への伝動系B2を含む前処理伝動系Bの制御構成について説明する。 先ず、各伝動系A,B(B1,B2)に駆動力を出力するエンジン5の駆動軸5aには、エンジン5の回転数を検出するエンジン回転センサS1が取付けられており、該駆動軸5aから走行トランスミッション19の走行用HST17に伝動される。そして、走行伝動系Aに設けた主変速レバー13の操作により走行用HST17の回転速度が変速され、走行用HST17からの駆動力が副変速機構43を介して副変速出力軸44から左右の走行装置9,9に伝動されて、走行機体1の走行速度の変速が行われるが、上記副変速出力軸44にはトランスミッション回転検出センサS2が取付けられて、上記副変速出力軸44の回転数(走行速度)を検出するようになっており、また、主変速レバー13の基端部には、該主変速レバー13の切替位置を検出する主変速ポテンショメータP1が設けられている。 【0013】 また、前処理伝動系Bを構成する作業機HST26のトラニオン軸(図示せず)には、斜板角を操作して上記作業機HST26の変速操作を行うアクチュエータとしてのモータM1が取付けられていると共に、作業機トランスミッション25の前処理出力軸29には、該前処理出力軸29の回転数(前処理回転数)を検出する前処理回転検出センサS3が設けられており、更に、刈取クラッチ42には、該刈取クラッチ42の入り切りを操作する前処理クラッチモータM2が設けられており、該前処理クラッチモータM2による刈取クラッチ42の入り切りを制御するように構成されている。 【0014】 次に、図4は、各センサ及びスイッチ類の接続制御図であって、前記主変速レバー13に設けた強制掻込スイッチ12a及び倒伏材スイッチ12bと、トランスミッション回転検出センサS2及び前処理回転検出センサS3とは、夫々が制御部46に連結されており、制御部46を介して上記作業機HST26の変速操作を行うモータM1を制御して前処理部2の駆動速度制御、即ち前処理駆動制御を行うようになっている。 なお、47は倒伏材スイッチ12bをONにした際に点灯する倒伏材スイッチランプである。 【0015】 また、図5は、前処理駆動制御のフローチャート図、図6は走行機体1の走行速度と前処理回転数(駆動速度)との関係を示すグラフ図であって、先ず、トランスミッション回転検出センサS2によるトランスミッション回転数a(走行速度)の読込みと、前処理回転検出センサS3による前処理出力軸29の回転数(前処理部2の駆動速度)の読込みが行われる。次に倒伏材スイッチ12bのON,OFFが判断され、OFFであれば標準設定され(前処理回転目標値をC,係数をk1とすると、C=k1・aとなる)、ONであれば上記標準設定に比して前処理部2の駆動速度が増速された倒伏設定される(係数をk2とすると、C=k2・aとなる)。尚、係数はk1<k2の関係にある。 【0016】 次に、強制掻込みスイッチ12aのON,OFFの判断が行われ、OFFの時は作業機HST26回転が上記前処理回転目標値Cとなるように制御されて、走行速度と前処理部2の駆動速度(前処理回転数)とが走行速度が大となるほど前処理部2の駆動速度が大となるように連動する「標準設定」若しくは「倒伏設定」で運転される。即ち、以上のように前処理部2の駆動速度を走行速度に連動して変更せしめる速度連動手段が設けられている。 【0017】 一方、強制掻込みスイッチ12aがONの時は、上記前処理回転目標値Cが所定の定速設定値C0(所定速度)よりも小であるかを判断する。即ち、前処理回転目標値Cと定速設定値C0とを比較することにより、走行速度あるいは前処理部2の駆動速度が所定速度以下か以上かを判断する。そして、「定速設定値C0≧前処理回転目標値C」の時は、前処理部2の駆動速度を変速操作する作業機HST26が定回転(定速設定値C0)に保持、即ち「定速設定」され、前処理部2の駆動速度が走行速度とは無関係に図6に示される一定速度Kに保持される。逆に、「定速設定値C0<前処理回転目標値C」の時は、上記強制掻込スイッチ12aがOFFの時と同様に、速度連動手段により前処理部2の駆動速度が制御される。 即ち上記のように、前処理部2の駆動速度を走行速度の変化に関係なく一定に保持する定速制御手段と、走行速度あるいは前処理部2の駆動速度が所定速度以下の時にのみ定速制御手段の作動を許容する牽制手段が設けられている。 【0018】 従って、本発明装置によれば、コンバインでの刈取収穫作業時において、作業者が高速での刈取作業中に誤って強制掻込スイッチ12aを入れてしまったような場合でも、エンジン5の負荷が急激に過大となって出力が低下したり、前処理部2で立毛穀稈を押倒して刈残しが発生したり、前処理部2に穀稈の詰まりが発生して、走行機体1が故障して作業を中断せざるを得なくなるようなことがなくなり、常に円滑な刈取収穫作業を可能とするので、作業者は安心して刈取作業に専念出来るものである。 【0019】 尚、上記図6に示す実施の形態では、牽制手段が作動する走行速度あるいは前処理部2の駆動速度は、倒伏材スイッチ12bがONである倒伏材モードの場合が倒伏材スイッチ12bがOFFである標準材モードの場合より小さく、かつ定速制御手段により保持される前処理部2の一定速度Kは倒伏材スイッチ12bのON,OFFとは無関係に一定値に設定されているが、本発明は係る構成に限定されるものではなく、例えば図7の他の実施の形態のグラフ図に示すように、牽制手段が作動する走行速度あるいは前処理部2の駆動速度は、倒伏材モードと標準材モードで同じに設定し、定速制御手段により保持される前処理部2の一定速度K1,K2を、倒伏材モード場合が標準材モードの場合より大きくなるように設定してもよいものである。 【図面の簡単な説明】 【0020】 【図1】(a)はコンバインの全体側面図である。(b)は同上運転キャビン内の要部の斜視図である。 【図2】(a)は主変速レバーの要部の側面図である。(b)は同上正面図である。 【図3】動力伝動系統図である。 【図4】各センサ及びスイッチ類の接続制御図である。 【図5】前処理駆動制御のフローチャート図である。 【図6】走行速度と前処理駆動速度との関係を示すグラフ図である。 【図7】他の実施の態様の走行速度と前処理駆動速度との関係を示すグラフ図である。 【符号の説明】 【0021】 1 走行機体 2 前処理部 5 エンジン 9 走行装置 12a 強制掻込スイッチ(手動操作手段) 12b 倒伏材スイッチ 13 主変速レバー 17 走行用HST 23 脱穀クラッチ 26 作業機HST 28 脱穀フィードチェン 42 刈取クラッチ 46 制御部 A 走行伝動系 B 前処理伝動系 S1 エンジン回転センサ S2 トランスミッション回転検出センサ S3 前処理回転検出センサ
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001878 【氏名又は名称】三菱農機株式会社 【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1
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| 【出願日】 |
平成16年3月15日(2004.3.15) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2005−253411(P2005−253411A) |
| 【公開日】 |
平成17年9月22日(2005.9.22) |
| 【出願番号】 |
特願2004−71966(P2004−71966) |
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