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【発明の名称】 コンバインの排ワラ結束装置
【発明者】 【氏名】寺坂 賢一
【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内

【氏名】岡 一孝
【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内

【氏名】岸田 登
【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内

【氏名】吉野 彰
【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内

【要約】 【課題】待機位置に戻ったニードルの飛び出しを確実に防止して排ワラ詰まりの発生を未然に回避することができ、かつ、メンテナンス性にも優れた排ワラ結束装置を提供する。

【解決手段】排ワラを横倒れ姿勢で収集する集束空間Sの上下方向一側に、結節機構10および放出機構11を配備するとともに、集束空間Sの上下方向他側に、掻き込みパッカー6および紐供給用のニードル7を配備し、かつ、集束空Sの出口側に集束圧感知用の感知ドア8を配備してなるコンバインの排ワラ結束装置において、ニードル7を集束空間Sから退避した待機位置に向けて付勢するバネ63を伝動ケース4の外側に位置させて配備してある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ワラを横倒れ姿勢で収集する集束空間の上下方向一側に、結節機構および放出機構を配備するとともに、集束空間の上下方向他側に、掻き込みパッカーおよび紐供給用のニードルを配備し、かつ、集束空間の出口側に集束圧感知用の感知ドアを配備してなるコンバインの排ワラ結束装置において、
前記ニードルを前記集束空間から退避した待機位置に向けて付勢するバネを伝動ケースの外側に位置させて配備してあることを特徴とするコンバインの排ワラ結束装置。
【請求項2】
前記バネを、引っ張りコイルバネで構成してある請求項1記載のコンバインの排ワラ結束装置。
【請求項3】
前記バネの一方のフック部と前記ニードルのバネ受け部との間、および、前記バネの他方のフック部と装置固定部のバネ受け部との間にそれぞれ中間部材を介在してある請求項2記載のコンバインの排ワラ結束装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀装置から搬出されてきた排ワラを横倒れ姿勢所定量づつ結束して機外に放出するよう構成したコンバインの排ワラ結束装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記排ワラ結束装置としては、排ワラを横倒れ姿勢で収集する集束空間の上下方向一側に、ノッタ・ビル方式の結節機構および放出機構を配備するとともに、集束空間の上下方向他側に、掻き込みパッカーおよび紐供給用のニードルを配備し、かつ、集束空間の出口側に集束圧感知用のドアを配備したものが利用されている。この排ワラ結束装置は、感知ドアが設定以上の集束圧を感知すると、1回転クラッチが入れられてニードルが紐供給作動するとともにこれに同調して結節機構および放出機構が作動し、集束した排ワラに巻き付けた紐が結節された後、結束された排ワラ束が、感知ドアの後退によって開放された集束空間後端から放出機構によって機外に放出され、かつ、ニードルおよび感知ドアが元の待機位置に復帰移動されて1回転クラッチが切られ、次の集束圧感知に備えるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平4−173015号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記排ワラ結束装置においては、1回の結束作動が終了して、ニードルが待機位置に復帰移動した時点で1回転クラッチが切られてニードルが自由状態となるので、高速で移動するニードルが待機位置に戻った反動で集束空間側に飛び出すことがある。この場合、飛び出したニードルの前面(排ワラ搬送方向上手側の面)に後続の排ワラが強く押付けられてニードルの退入移動する抵抗となり、ニードルが飛び出したままとなって排ワラ詰まりが発生する。特に、近年、コンバインの高能率化に伴って単位時短当たりの収穫量が多くなり、高流量の排ワラが搬送供給されることで、飛び出したニードルへの排ワラ押し付けが強力になり、上記した現象が発生しやすくなっている。
【0004】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、待機位置に戻ったニードルの飛び出しを確実に防止して排ワラ詰まりの発生を未然に回避することができ、かつ、メンテナンス性にも優れた排ワラ結束装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、排ワラを横倒れ姿勢で収集する集束空間の上下方向一側に、結節機構および放出機構を配備するとともに、集束空間の上下方向他側に、掻き込みパッカーおよび紐供給用のニードルを配備し、かつ、集束空間の出口側に集束圧感知用の感知ドアを配備してなるコンバインの排ワラ結束装置において、前記ニードルを前記集束空間から退避した待機位置に向けて付勢するバネを伝動ケースの外側に位置させて配備してあることを特徴とする。
【0006】
上記構成によると、待機位置に向けて付勢されたニードルは、バネに抗して作動して紐供給を行い、結束作動が完了して待機位置に戻った時の反動で集束空間側に飛び出そうとしてもバネの付勢力によって飛び出しが阻止される。
【0007】
そして、繰返し作動によってバネ張力が低下した場合や損傷した場合の交換や、張力の異なったバネの取り替え、等のメンテナンスを伝動ケースの外部で行うことができ。
【0008】
従って、第1の発明によると、待機位置に戻ったニードルの飛び出しを確実に防止して排ワラ詰まりの発生を未然に回避することができ、かつ、メンテナンス性にも優れたものとなった。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明に係るコンバインの排ワラ結束装置において、前記バネを、引っ張りコイルバネで構成してあることを特徴とする。
【0010】
上記構成によると、外装された引っ張りバネは、伝動ケースの大きさや形状に影響されることなく、その径や長さ、あるいは、張設方向を任意に設定することが容易であり、ニードル作動位置とバネ張力との関係特性を好適に設定することができ、第1の発明を好適に実施することができる。
【0011】
第3の発明は、上記第2の発明に係るコンバインの排ワラ結束装置において、前記バネの一方のフック部と前記ニードルのバネ受け部との間、および、前記バネの他方のフック部と装置固定部のバネ受け部との間にそれぞれ中間部材を介在してあることを特徴とする。
【0012】
バネ両端のフック部をニードルおよび装置固定部に設けたバネ受けピンなどのバネ受け部に直接に係止すると、ニードルの移動に伴ってフック部とバネ受け部とが相対回動し、その相対回動部に発生した摩擦力によってフック部に不当な曲げ応力が作用し、繰返し曲げ応力が作用することで比較的短期間のうちにフック部が疲労破損してしまうおそれがあるが、フック部とバネ受け部との間に中間部材を介在すると、フック部と中間部材との係止部には相対回動がほとんど無く、ニードルが繰返し作動してもフック部は疲労破損することはない。従って、第2の発明を耐久性高いものとして実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1に、自脱型コンバインの後部における側面が、図2にその平面が、また、図3に排ワラ処理部の側面がそれぞれ示されている。本発明に係る排ワラ結束装置Bはコンバイン本機Aの後端に連結された円盤型排ワラカッタ1の後部に配備されており、後支点aを中心に上下揺動可能に配備された流路切換え板2を下げて排ワラカッタ1の上部入口を閉塞することで、脱穀装置から搬出され排ワラ搬送装置3によって搬送されてきた横倒れ姿勢の排ワラを排ワラ結束装置Bに供給し、また、流路切換え板2を上げて排ワラカッタ1の上部入口を開放することで、搬送されてきた排ワラを細断して下方に放出することができるようになっている。
【0014】
前記排ワラ結束装置Bは、横倒れ姿勢で供給されてきた排ワラを所定量づつ収集して結束し、形成されたワラ束を機体後方に放出するものであり、排ワラ穂先側に配備された上下に長い伝動ケース4の上下中間部位に集束空間Sが形成されている。なお、図2に示すように、排ワラ結束装置Bの株元側には、搬入されてくる排ワラの株端を左右揺動する叩き板5によって叩き揃える株揃え装置Dが配備されるとともに、排ワラ結束装置Bの後方には、放出されてきたワラ束Rを受け止めて斜め後方に挟持搬送した後、株端を下向きにした姿勢で落下させて圃場に起立させるワラ束放出装置Eが装着されている。
【0015】
前記集束空間Sの下側となる伝動ケース下部には、搬送されてきた排ワラを集束空間Sに向けて送り込むクランク式の掻き込みパッカー6、結束紐供給用のニードル7、集束空間Sに集められた排ワラの集束圧を感知する感知ドア8、等が装備されるとともに、集束空間Sの上側となる伝動ケース上部には、搬送されてきた排ワラを掻き込みパッカー6の作用域に送り込むクランク式の補助パッカー9、集束空間Sに面する紐案内板12、ノッタ・ビル方式の周知の結節機構10、クランク式の放出機構11が装備されており、掻き込みパッカー6および補助パッカー9は常時駆動されるとともに、下部のニードル7と上部の結節機構10、および、放出機構11は集束圧感知に基づいて間欠的に同調駆動されるようになっている。
【0016】
上記排ワラ結束装置Bの基本的な結束作動を以下に説明する。つまり、搬送されてきた排ワラは、先ず補助パッカー9によって後方に掻き込まれ、引き続き掻き込みパッカー6の掻き込み作用を受けて集束空間Sに送込まれる。感知ドア8に作用する集束圧が設定値未満の間は、ケース内装の1回転クラッチ(後述)が切られており、ニードル7は集束空間Sの下方に退避した待機位置で停止している。また、このニードル7に同調連動されている結節機構10および放出機構11も待機状態で停止している。
【0017】
集束空間Sに所定量の排ワラが集束されると、掻き込みパッカー6の掻き込み作動に伴って発生した設定値以上の集束圧を受けて感知ドア8が後退変位し、これによって1回転クラッチが起動可能状態になる。そして、次回の掻き込みパッカー6の掻き込み作動(最終回の掻き込み作動)に同調して所定のタイミングで1回転クラッチが入り作動してニードル7が駆動開始されるとともに結節機構10への駆動力伝達が開始される。
【0018】
掻き込みパッカー6が最終回の掻き込み作動を行うと、掻き込みパッカー6で排ワラを前後に押し分けた空間を通ってニードル7が排ワラ搬入経路を下から上に横断し、結節機構10の下方に配備されている紐案内板12を通過し、一端が結節機構10の紐ホルダー10bに保持されている結束紐を集束空間Sの排ワラに前方から巻き付けながら結節機構10に供給する。そして、このニードル7による紐供給作動に同調して結節機構10が作動し、結節ビル10aによる紐の結節、紐ホルダ10bによる供給紐の切断および切断端の保持、等の結節作動が順次行われる。
【0019】
その後、結節機構10と同調作動する放出機構11の放出アーム13が結束ワラを後方に押し出し移動させ、これに伴って結束紐が結節ビル10aから抜き出されて結び目が形成され、引き続く放出アーム13の後方移動によってワラ束Rが集束空間Sから後方に放出されてゆく。なお、この時点では感知ドア8は下方に後退して集束空間Sの後部出口を開放している。
【0020】
また、結節機構10で結節作動が完了して結束紐の新しい切断端が紐ホルダー10bにくわえ込み保持されるとニードル7は後退移動し、ニードル7が集束空間Sの下方の待機位置に戻った時点で1回転クラッチが自動的に切られてニードル駆動が停止されるとともに、感知ドア8が元の感知位置に上昇復帰し、これで1回の結束作動が完了し、後続の排ワラが引き続き集束されてゆく。
【0021】
なお、放出機構11のリンク支点となるブラケット11aと、排ワラ結束装置Bの前部上方に横架された角パイプ製の装置フレーム14とがステー15で連結され、上記結節作動において結節機構10が振動あるいは変位するのを防止して安定した結節作動が行われるようになっている。
【0022】
以上のように構成された排ワラ結束装置Bにおける各部の詳細な構成を以下に説明する。
【0023】
最初に排ワラを掻き込み搬送する補助パッカー9は、図4に示すように、結束作用位置に対して排ワラ株元側に適当距離だけ離れた位置に配備されており、横向きに支架されて図5中反時計回りに常時回転駆動されるクランク軸16、このクランク軸16の両端に連結された左右一対のクランクアーム17、装置固定部に支点bを中心にして前後揺動可能に装着された揺動アーム18、および、クランクアーム17の遊端と揺動アーム18の遊端とに亘って枢支連結された板材製のパッカーアーム19とから構成されている。そして、クランクアーム17の回転に伴うクランク作動によってパッカーアーム19の先端が前後に長い回動軌跡をもって循環回動することで、排ワラを掻き込みパッカー6の作用域に向けて搬送するようになっている。なお、左右一対のパッカーアーム19の内、排ワラ穂先側に位置するパッカーアーム19は左右2連式に構成されている。
【0024】
そして、前記クランク軸16には、クランクアーム径よりも大径に構成された円形ドラム状の回転体20が取り付けられ、クランク機構にワラ屑などが巻き付くことが阻止されている。また、回転体20がクランク軸16と一体に回転することで、回転体20の外周面が排ワラを後方に送込む機能を発揮する。
【0025】
なお、左右のパッカーアーム19の間には、リミットスイッチからなる排ワラ存否センサ21が回転体20の外径内に隠されて配備されている。この排ワラ存否センサ21は、排ワラ搬入経路に突入して前後に揺動偏位する感知レバー22によって操作されるようになっており、感知レバー22が搬送排ワラに押されて後方に揺動することで排ワラの存在が感知され、排ワラの存在が感知されている間は、搬入されてくる排ワラの株端位置検出に基づいて前記株揃え装置Dの叩き板5が自動的に排ワラ稈長に対応した最適な叩き位置となるように電動モータ23によって左右ネジ送り制御され、また、排ワラ搬入が途絶えたことが感知レバー22の前方復帰によって感知されると、株端位置の検出情報に関係なく叩き板5は現在位置に保持されるようになっている。つまり、コンバイン本機Aが枕地に至って後続の排ワラ搬入が途絶えると、株端位置検出手段が短稈と判断して叩き板5が穂先側の移動限界まで移動制御されることになるが、上記のように排ワラが存在しなくなると叩き板5の作用位置制御を停止することで、次に排ワラが搬入されてきた初期から好適な位置での株端叩きを行うことができるのである。
【0026】
図5に示すように、前記収束空間Sの下側に、供給されてきた排ワラを下方から受け止めるように丸棒材からなる排ワラ支持部材25がニードル7の移動軌跡の横側に近接して配備固定されている。この排ワラ支持部材25は集束空間Sの後後部出口から前部入口を越えて前方にまで延出されるとともに、排ワラ支持部材25の収束空間始端部に相当する部位で、かつ、ニードル7の通過軌跡の直後に位置させて落込み段差部25aが屈曲形成されている。
【0027】
この構成によると、排ワラ結束装置Bの入口部に供給されてきた排ワラは下方から排ワラ支持部材25で受け止め支持され、その後、掻き込みパッカー6の掻き込み作用を受けて集束空間Sに押し込み供給されることになるが、集束空間Sは、排ワラ支持部材25の落込み段差部25aよって上下幅が大きくなっているので、掻き込みパッカー6で集束空間Sに押し込み供給された排ワラは落込み段差部25aにおいて落ち込むことになり、それより前方(集束空間の入口方向)への逆流が落込み段差部25aによって阻止される。
【0028】
また、この排ワラ支持部材25より排ワラ株元側には平板からなる搬送デッキ26が配備されるとともに、この搬送デッキ26の排ワラ受け止め高さが、排ワラ支持部材25の落込み段差部25aの底面よりも更に低い位置に設定されており、落込み段差部25aを越えて集束空間Sに送込まれた排ワラの株元側が低い搬送デッキ26で下方から受け止め支持される。このように、穂先側に比べて嵩高い株元側が搬送デッキ26で低く受け止められることで、大量の排ワラを崩れ動くことなく安定して集束することができるようになっている。
【0029】
なお、集束空間Sの上方には、湾曲板バネ材からなる分離バネ27と支持バネ28がそれぞれ後ろ向き片持ち状に配備されている。支持バネ28は搬送デッキ26に対向して配備されて、集束中の排ワラを集束空間Sの後部において受け止めるものであり、集束作動中は排ワラが集束空間Sから後方に逃げるのを阻止するとともに、ワラ束放出時には上方に撓んで逃げることができる。また、分離バネ27は支持バネ28よりも株端側に配備されており、集束空間Sに掻き込み供給される排ワラの通過を上方への弾性変形によって許容するが、ワラ束が放出される際に、結束されていない後続の排ワラがワラ束に引きずられて出て行くのをバネ先端で掻き取り阻止する。
【0030】
図6に示すように、集束空間Sの上方に位置する紐案内板12の下面には排ワラ持ち込み防止用のリブ12aが左右一対突設され、この一対のリブの間にニードル通過孔12bが形成されている。そして、この紐案内板12に下方から対向するように前記掻き込みパッカー6が配備されている。
【0031】
掻き込みパッカー6は、前後幅広に形成された左右一対のパッカーアーム31a,31bと、棒材からなる掻き込みアーム32を備えており、両パッカーアーム31a,31bが紐案内板12における左右の前記リブ12aの外側において案内板下面に対向配備されるとともに、掻き込みアーム32は前記搬送デッキ26よりも排ワラ株元側に離れた位置で作用するように株元側のパッカーアーム31bから延出されている。
【0032】
パッカーアーム31a,31bの中間部が、常時回転するパッカー駆動軸33に固着したクランクアーム34の遊端部に枢支連結されるとともに、装置固定部に支点c回りに揺動可能に装着した揺動アーム35の遊端部とパッカーアーム31a,31bの下端部とが枢支連結され、クランクアーム34の連続回転によってパッカーアーム31a,31bの先端が所定の軌跡Pa,Pbをもって循環回動して、前記補助パッカー9で送込まれてきた排ワラを集束空間Sに向けて送り込むよう構成されている。
【0033】
ここで、株元側パッカーアーム31bの先端が穂先側パッカーアーム31aの先端よりも低く設定され、穂先側パッカーアーム31aの先端軌跡Paが紐案内板12のリブ12aの下端より上方にまで及ぶのに対して、株元側パッカーアーム31bの先端軌跡Pbは紐案内板12のリブ12aの下端近くを通過するようになっている。これによると、穂先側パッカーアーム31aの先端軌跡Paと紐案内板12の下面との最小間隔t1よりも、株元側パッカーアーム31bの先端軌跡Pbと紐案内板12の下面との最小間隔t2が大きいものとなるので、各パッカーアームの先端部で排ワラが紐案内板近くにまで掻き込まれた際、嵩高い排ワラ株元側が過剰な力で紐案内板12およびリブ12aに押付けられることがなくなり、高流量の排ワラ搬送が行われても、掻き込みパッカー6と紐案内板12との間で排ワラ噛み込みロック現象が未然に回避されるようになっている。
【0034】
前記ニードル7は、ドア軸36を中心にして回動可能に装着されるとともに、ニードル駆動軸37に設けられた駆動アーム38とニードル7とが連動リンク39で連動連結されており、ケース内装の後述する1回転クラッチKが入れられることでニードル駆動軸37が起動され、駆動アーム38が1回転する内の前半の回転によってニードル7は待機位置から上方に揺動して集束空間Sを越え紐供給作動を行い、駆動アーム38の後半の回転によってニードル7が下方に揺動して元の待機位置にまで復帰作動するよう構成されている。
【0035】
ここで、前記掻き込みパッカー6とニードル7とは以下のようにその作動タイミングが設定されている。つまり、上記したように、基本的にニードル7は掻き込みパッカー6における左右一対のパッカーアーム31a,31bが排ワラを前後に掻き分けた空隙内を移動するのであるが、図8に示すように、パッカーアーム31aの先端が紐案内板12のリブ12aの下端に相当する位置に到達した時点において、ニードル7が掻き込みパッカー6を越えて紐案内板12のリブ下端に相当する位置に到達するように、ニードル7の作動タイミングが旧来よりも若干早い目に設定されている。
【0036】
このようにすることで、掻き込みパッカー6におけるパッカーアーム31a,31bの前後幅を旧来より小さくしながら、ニードル7の背面が排ワラ搬送通路に大きく露出することを回避し、もって、パッカーアーム31a,31bの湾曲背面とニードル7の背面との間で排ワラを挟み込むことが防止されている。
【0037】
次に、伝動ケース4の下部に配備された1回転クラッチKの構造を図9〜図12に基づいて説明する。
【0038】
1回転クラッチKは、前記ニードル駆動軸37に遊嵌した駆動回転体41と、これの側面に突設した駆動突起42と、ニードル駆動軸37に固着したディスク状の従動回転体43と、この従動回転体43に支点dを中心に一定範囲で揺動可能に枢支されるとともにバネ44によって一定方向に揺動付勢されたクラッチアーム45とを備えており、クラッチアーム45が揺動することで、その遊端に備えた遊転ローラからなる従動体46が半径方向内外に移動して駆動突起42の回動軌跡内に出退するように構成されている。そして、クラッチアーム45がバネ44に抗して後退揺動されていると、従動体46が駆動突起42の回動軌跡から内側に外れて駆動回転体41のみが回転する「クラッチ切り」状態がもたらされる。また、クラッチアーム45がバネ44によって付勢揺動されると、従動体46が駆動突起42の回動軌跡内に突入して、駆動突起42が従動体46を後方から接当押圧することで従動回転体43が駆動回転体41と一体に回転する「クラッチ入り」状態がもたらされる。なお、前記駆動回転体41は、パッカー駆動軸33に固着されたギヤ47に噛合わされてパッカー駆動軸33と逆方向に常時回転するギヤとなっている。
【0039】
前記パッカー駆動軸33には、バネ支持部材48が遊嵌支持されるとともに、このバネ支持部材48に支点eを中心にして揺動可能にクラッチ起動レバー49が枢支され、バネ支持部材48とクラッチ起動レバー49との間に介在装着した集束圧設定バネ50によってクラッチ起動レバー49が図中時計回りに揺動付勢されているなお、前記集束圧設定バネ50には、2本の圧縮コイルバネが利用されている。また、前記クラッチ起動レバー49には、前記クラッチアーム45に形成した係合爪45aに係合可能な係合突起51が備えられている。
【0040】
前記ドア軸36のケース外部位には、前記感知ドア8を位置調節可能に装着したドアアーム52が固着されるとともに、ドア軸36のケース内部位にクラッチ操作アーム53が固着されており、このクラッチ操作アーム53の先端に設けたピン54が前記クラッチ起動レバー49に設けた長孔55に係合されており、クラッチ起動レバー49が集束圧設定バネ50によって図中時計回りに付勢揺動されることで、ドアアーム52が図中反時計回りに付勢揺動されるようになっている。
【0041】
前記従動回転体43の外周には円形カム面43aと凹入カム43bとが形成されるとともに、前記バネ支持部材48には従動回転体43の外周に対向するカムローラ56が装備されており、従動回転体43の回動によってバネ支持部材48がパッカー駆動軸33周りに回動操作されるようになっている。
【0042】
1回転クラッチKは以上のように構成されており、次にその作動について説明する。
【0043】
図9に示すように、集束空間Sに集束された排ワラの集束圧が小さい間は、集束圧設定バネ50によって付勢されたドアアーム52は振り上げ位置にあり、このドアアーム52に係合連動されたクラッチ起動レバー49の係合突起51でクラッチアーム45の係合爪45aを係合支持することで、従動体46が駆動突起42の回動軌跡から内側に外れた「クラッチ切り」状態がもたらされている。
【0044】
感知ドア8に働く集束圧が集束圧設定バネ50による設定圧以上に大きくなると、ドアアーム52が図中時計回りに揺動され、これに連動してクラッチ起動レバー49が集束圧設定バネ50に抗して図中反時計回りに回動され、係合突起51が係合45aから外れることでクラッチアーム45がバネ44によって揺動され、従動体46が駆動突起42の回動軌跡内に移動し、これでクラッチ入り準備がなされる。
【0045】
図10に示すように、ドアアーム52を揺動させた掻き込み作動の次に掻き込みパッカー6が掻き込み開始位置付近に移動した時点で駆動突起42が従動体46を接当押圧を開始し、駆動回転体41の回転が従動回転体43に伝達される「クラッチ入り」状態となり、従動回転体43を固着したニードル駆動軸37が回転を開始する。また、ニードル駆動軸37の回転が伝動ケース4に内装した図示されないチェーン伝動手段によって1:1の伝動比でケース上部のタイミングギヤ57に伝達され、ニードル7と同調作動する前記結節機構10および放出機構11が上記したように作動する。
【0046】
この場合、図11に示すように、従動回転体43の回動に伴ってバネ支持部材48のカムローラ56が円形カム面43aから凹入カム部43bに移行し、凹入カム部43bへカムローラ56が落ち込むことで、バネ支持部材48は図中反時計回りに後退回動し、バネ圧が消滅してドアアー52ムは下方に揺動し、感知ドア8が集束空間Sの後部出口を開放する。
【0047】
そして、ニードル駆動軸37が約半回転すると紐供給を終えたニードル7が後退復帰移動し、1回転の終了近くになると、図12に示すように、凹入カム部43bに落ち込んでいたカムローラ56が従動回転体43の回転に伴って円形カム面43aに押し上げられ、バネ支持部材48が図中時計回りに強制回動されることで再び集束圧設定バネ50による付勢力が発生し、クラッチ起動レバー49が図中時計回りに付勢回動されてドアアーム52が元の感知位置まで振り上げられる。また、クラッチ起動レバー49の時計回りの回動によって係合突起51がクラッチアーム45に備えた係合爪45aの移動軌跡中に突入してその到着を待ち受ける。
【0048】
そして、所定位置で待ち受け待機している係合突起51に係合爪45aが受け止められた状態で更に従動回転体43が回転することで、クラッチアーム45はバネ44に抗して支点d回りに相対回動され、クラッチアーム45に備えられた従動体46がニードル駆動軸軸心側に移動して駆動突起42から強制的に外され、これによって駆動回転体41から従動回転体43への回転伝達が断たれた「クラッチ切り」状態がもたらされる。
【0049】
なお、前記1回転クラッチKの切り作動は極短時間に行われるので、上記のように1回転クラッチKのクラッチ切り作動に伴ってドアアーム52が元の感知位置まで急激に振り上げ揺動された際の反動によってドアアーム52が下方、つまり、集束圧を感知して作動する方向に揺動して再びクラッチ入り作動状態になること、いわゆる「ダブルクラッチ」が発生することがあり、これを阻止するために以下のような構造が付加されている。
【0050】
つまり、前記クラッチ起動レバー49からはニードル駆動軸心に向けて牽制アーム牽制アーム58が突設されるとともに従動回転体43には牽制突起59が設けられており、この牽制アーム58は、図12に示すように、バネ支持部材48のカムローラ56が円形カム面43aに乗り上がり始めた時点から牽制突起59に近接対向するように配備されており、ドアアーム52が元の感知位置まで振り上げ復帰した時点では牽制アーム58の先端部に牽制突起59が対向してクラッチ起動レバー49がクラッチ切り作動位置からクラッチ入り側に回動することが接当阻止されるようになっている。
【0051】
上記のように1回転クラッチKが切られることで、ニードル駆動軸37の駆動停止によってニードル7が元の待機位置で停止するのであるが、この1回転クラッチ切り状態ではニードル駆動軸37が自由状態となり、ニードル7が復帰反動等によって集束空間Sに突入して後続の排ワラに引っかかって復帰できなくなり排ワラ詰まりが発生するおそれがあるが、ニードル7を常に待機位置側に向けて付勢することで、ニードル7の不測な突出を防止するようにしている。つまり、ニードル7にバネ受け部として設けたバネ受けピン61と伝動ケース側にバネ受け部として固定配備したバネ受けピン62とに亘って引っ張りコイルバネ63が張設され、このバネ63の張力によってニードル7が常に待機位置側に向けて付勢されている。ここで、バネ63の一方のフック部63aとニードル7のバネ受けピン61との間、および、バネ63の他方のフック部63bと固定側のバネ受けピン62との間にそれぞれ線材を屈曲してなる中間部材64,65を介在してあり、ニードル7の揺動作動によってバネ受けピン61,62との相対回動に伴う摩擦に起因して発生する応力がバネ63のフック部63a,63bに直接作用することが回避されている。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】コンバイン後部の側面図
【図2】コンバイン後部の平面図
【図3】排ワラ結束装置の側面図
【図4】排ワラ結束装置の背面図
【図5】排ワラ結束装置の拡大側面図
【図6】要部の背面図
【図7】補助パッカーの横断平面図
【図8】掻き込みパッカーの側面図
【図9】1回転クラッチの切り状態における側面図
【図10】1回転クラッチの起動状態を示す側面図
【図11】1回転クラッチの入り状態を示す側面図
【図12】1回転クラッチの入り状態が終了近くになった状態を示す側面図
【符号の説明】
【0053】
4 伝動ケース
6 掻き込みパッカー
7 ニードル
8 感知ドア
10 結節機構
11 放出機構
61 バネ受け部
62 バネ受け部
63 バネ
64 中間部材
65 中間部材
S 集束空間
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【住所又は居所】大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号
【出願日】 平成16年1月30日(2004.1.30)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎

【公開番号】 特開2005−211005(P2005−211005A)
【公開日】 平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願番号】 特願2004−24056(P2004−24056)