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【発明の名称】 コンバイン
【発明者】 【氏名】嘉本 政司
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【要約】 【課題】機体を組み上げた後であっても、走行副変速操作軸やスピンクラッチ操作軸に連結ロッドを連結でき、また、操作軸と連結ロッドの連結部分を容易に調整できるようにする。

【解決手段】コンバイン1は、機体前部に搭載されるミッションケース33内に、走行動力を変速する走行副変速機構14と、機体の旋回方式を切り換えるスピンクラッチ17とを備えると共に、走行副変速機構14及びスピンクラッチ17を副変速レバー15に連繋するにあたり、走行副変速機構14及びスピンクラッチ17の操作軸32、37をミッションケース33の前面側に突出させ、これらの操作軸32、37をミッションケース33の前側で副変速レバー15に連繋してある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体前部に搭載されるミッションケース内に、走行動力を変速する走行副変速機構と、機体の旋回方式を切り換えるスピンクラッチ機構とを備えると共に、前記走行副変速機構及び前記スピンクラッチ機構を副変速レバーに連繋したコンバインにおいて、
前記走行副変速機構及び前記スピンクラッチ機構の操作軸を前記ミッションケースの前面側に突出させ、これらの操作軸を前記ミッションケースの前側で前記副変速レバーに連繋したことを特徴とするコンバイン。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、走行副変速機構及びスピンクラッチ機構を副変速レバーで操作するコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインのなかには、機体前部に搭載されるミッションケース内に、走行動力を変速する走行副変速機構と、機体の旋回方式を切り換えるスピンクラッチ機構とを備えると共に、走行副変速機構及びスピンクラッチ機構を副変速レバーで操作するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この種のコンバインでは、通常、走行副変速機構及びスピンクラッチ機構の操作軸をミッションケースから突出させ、これらの操作軸を、それぞれ連結ロッドを介して副変速レバーに連結している。
【特許文献1】特開平8−142899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のコンバインでは、特許文献1に示されるように、走行副変速用操作軸とスピンクラッチ用操作軸を、ミッションケースの前後面からそれぞれ突出させて副変速レバーに連結しており、機体を組み上げた状態では、ミッションケースの後面側に突出する後側の操作軸が隠れてしまうため、機体を組み上げる前に、あらかじめ後側の操作軸に連結ロッドを連結しておく必要があるだけでなく、機体を組み上げた後は、後側の操作軸と連結ロッドの連結部分を調整することが困難になるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、機体前部に搭載されるミッションケース内に、走行動力を変速する走行副変速機構と、機体の旋回方式を切り換えるスピンクラッチ機構とを備えると共に、前記走行副変速機構及び前記スピンクラッチ機構を副変速レバーに連繋したコンバインにおいて、前記走行副変速機構及び前記スピンクラッチ機構の操作軸を前記ミッションケースの前面側に突出させ、これらの操作軸を前記ミッションケースの前側で前記副変速レバーに連繋したことを特徴とするものである。
このようにすると、機体を組み上げた後であっても、走行副変速操作軸やスピンクラッチ操作軸に連結ロッドを連結することができるだけでなく、操作軸と連結ロッドの連結部分を容易に調整することができる。これにより、組み立て手順の自由度を高めて生産性を向上させることができると共に、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1において、1はコンバインであって、該コンバイン1は、茎稈を刈り取る前処理部2と、刈り取った茎稈から穀粒を脱穀し、かつ、穀粒の選別を行う脱穀部3と、選別された穀粒を貯溜する穀粒タンク4と、運転席5や各種の操作具が配置される操作部6と、左右一対のクローラ走行体7aからなる走行部7とを備えて構成されている。
【0007】
操作部6の下側には、前処理部2、脱穀部3、トランスミッション8などに動力を供給するエンジン(図示せず)が搭載されている。トランスミッション8は、機体前端部に設けられており、入力したエンジン動力を変速し、この動力で走行部7を駆動させる。トランスミッション8の前方には、前処理部2が設けられているものの、前処理部2を上昇させた状態や、前処理部2を機体から切離した状態では、トランスミッション8の前面部が開放される。また、本実施形態の前処理部2は、縦軸(図示せず)を支点として左外側方へ退避回動自在であり、簡単な操作で機体の前面全体を開放し、機体前部のメンテナンスを行うことができるようにしてある。
【0008】
次に、トランスミッション8の構成について詳細に説明する。トランスミッション8は、入力軸9から入力されるエンジン動力を変速し、この動力を左右のドライブ軸10L、10Rに伝動するように構成されている。左右のドライブ軸10L、10Rには、駆動スプロケット11L、11Rが一体的に設けられ、その駆動に応じて左右のクローラ走行部7aを独立的に正逆駆動することにより、コンバイン1の前後進動作や旋回動作が行われる。
【0009】
トランスミッション8には、前記入力軸9やドライブ軸10L、10Rのほかに、第一〜第七の伝動軸S1〜S7が設けられる。入力軸9に伝動されたエンジン動力は、油圧無段変速装置(HST)12に入力され、ここで無段変速される。油圧無段変速装置12は、可変容量油圧ポンプと固定容量油圧モータとを組み合せて構成されており、その変速操作は、操作部6の主変速レバー13によって行われる。
【0010】
油圧無段変速装置12の出力回転は、第一伝動軸S1及び第二伝動軸S2を介して第三伝動軸S3に伝動され、さらに、第三伝動軸S3の回転は、走行副変速機構14を介して第四伝動軸S4に伝動される。走行副変速機構14は、操作部6の副変速レバー15によって変速操作されるものであり、例えば、三段階の走行変速を行うように構成される。
【0011】
第五伝動軸S5には、クラッチ動作とブレーキ動作を選択的に行うクラッチ・ブレーキ機構16が設けられる。クラッチ・ブレーキ機構16がブレーキ動作すると、第五伝動軸S5の回転が制動され、また、クラッチ・ブレーキ機構16がクラッチ動作(入り動作)すると、第四伝動軸S4の回転が第五伝動軸S5に伝動される。
【0012】
第六伝動軸S6には、スピンクラッチ17及び左右一対の摩擦クラッチ機構(操向用クラッチ)18L、18Rが設けられる。スピンクラッチ17は、第六伝動軸S6にスプライン嵌合するクラッチ体19の選択的な噛み合い操作により、機体の旋回方式を切り換えるように構成されている。具体的には、クラッチ体19をギヤ20に噛み合わせた第一噛み合い状態にすると、ギヤ20及びギヤ21を介して、第六伝動軸S6が第五伝動軸S5と連動状態となり、また、クラッチ体19をギヤ22に噛み合わせた第二噛み合い状態にすると、ギヤ22及びギヤ23を介して、第六伝動軸S6が第四伝動軸S4と連動状態となるように構成されている。クラッチ体19は、副変速レバー15によって操作されるが、その連結構造及び作用は後述する。
【0013】
第七伝動軸S7には、サイドクラッチ機構24が設けられる。サイドクラッチ機構24は、第四伝動軸S4の回転が伝動されるセンタギヤ25と、該センタギヤ25の爪部25a、25bに選択的に噛み合う左右一対のサイドギヤ26L、26Rとを備える。サイドギヤ26L、26Rは、第七伝動軸S7に対して回転自在な左右一対の筒軸27L、27Rにスプライン嵌合し、軸方向の移動によりセンタギヤ25の爪部25a、25bに選択的に噛み合うと共に、ドライブ軸10L、10Rのギヤ28L、28Rにそれぞれ常時噛合している。
【0014】
筒軸27Lは、ギヤ29L及び摩擦クラッチ機構18Lを介して第六伝動軸S6に連動連結され、また、筒軸27Rは、ギヤ29R及び摩擦クラッチ機構18Rを介して第六伝動軸S6に連動連結されている。摩擦クラッチ機構18L、18Rは、油圧により動作する湿式クラッチであり、そのクラッチ動作量(クラッチ滑り量)は、比例制御バルブや可変リリーフバルブを用いて無段階状に制御される。
【0015】
次に、トランスミッション8の動作について説明する。通常時は、クラッチ・ブレーキ機構16がクラッチ切り(ブレーキ入り)、スピンクラッチ17が第一噛み合い状態、摩擦クラッチ機構18L、18Rが左右切り、サイドクラッチ機構24が左右入りとなっている。この状態では、第四伝動軸S4の回転が、サイドクラッチ機構24を介して左右のドライブ軸10L、10Rに伝動され、機体が直進する。また、直進状態において、サイドクラッチ機構24を切り操作(左切り又は右切り)すると、一方のドライブ軸10L、10Rに対する動力伝動が断たれ、機体が旋回する(サイドクラッチターン)。
【0016】
また、直進状態において、サイドクラッチ機構24を切り操作すると共に、切り側の摩擦クラッチ機構18L、18Rを入り操作すると、クラッチ・ブレーキ機構16の制動力が、第五伝動軸S5、第六伝動軸S6、摩擦クラッチ機構18L、18R、切り側サイドギヤ26L、26Rなどを経由して一方のドライブ軸
10L、10Rに伝達され、機体が旋回する(ブレーキターン)。
【0017】
また、直進状態において、サイドクラッチ機構24を切り操作すると共に、切り側の摩擦クラッチ機構18L、18Rを入り操作し、さらに、クラッチ・ブレーキ機構16をクラッチ入り(ブレーキ切り)にすると、第四伝動軸S4の回転が、クラッチ・ブレーキ機構16、第五伝動軸S5、第六伝動軸S6、摩擦クラッチ機構18L、18R、切り側サイドギヤ26L、26Rなどを経由して一方のドライブ軸10L、10Rに伝達される。この回転は、他方のドライブ軸10L、10Rに伝達される回転よりも減速されているため、その回転差に応じて機体が旋回する(減速ターン)。
【0018】
また、スピンクラッチ17を第二噛み合い状態、クラッチ・ブレーキ機構16をクラッチ切り(ブレーキ入り)とし、サイドクラッチ機構24を切り操作すると共に、切り側の摩擦クラッチ機構18L、18Rを入り操作すると、第四伝動軸S4の回転が、スピンクラッチ17、第六伝動軸S6、摩擦クラッチ機構18L、18R、切り側サイドギヤ26L、26Rなどを経由して一方のドライブ軸10L、10Rに伝達される。この回転は、他方のドライブ軸10L、10Rに伝達される回転とは逆方向の回転であるため、その回転差に応じて機体が旋回する(スピンターン)。
【0019】
次に、走行副変速機構14及びスピンクラッチ17の操作系について説明する。走行副変速機構14には、シフタ軸30に沿って左右スライド自在なフォーク31が連繋されており、フォーク31の左右スライド操作によって走行副変速機構14の変速動作が行われる。また、フォーク31の上方近傍には、前後方向を向く走行副変速操作軸32が設けられている。この走行副変速操作軸32は、ミッションケース33によって、軸周り方向回動自在に支持されており、その前端部は、ミッションケース33の前面側から突出している。ミッションケース33から突出する走行副変速操作軸32の前端部には、副変速レバー15に連繋されるアーム34が一体的に設けられており、走行副変速操作軸32の後端部には、フォーク31に係合するアーム35が一体的に設けられている。副変速レバー15の操作に応じてアーム34が回動すると、アーム35の一体的な回動に応じてフォーク31が左右にスライドし、走行副変速機構14が変速動作される。
【0020】
スピンクラッチ17のクラッチ体19には、シフタ軸36aに沿って左右スライド自在なフォーク36が連繋されており、フォーク36の左右スライド操作によってスピンクラッチ17の切り換え動作が行われる。また、フォーク36の上方近傍には、前後方向を向くスピンクラッチ操作軸37が設けられている。このスピンクラッチ操作軸37は、ミッションケース33によって、軸周り方向回動自在に支持されており、その前端部は、ミッションケース33の前面側から突出している。ミッションケース33から突出するスピンクラッチ操作軸37の前端部には、副変速レバー15に連繋されるアーム38が一体的に設けられており、スピンクラッチ操作軸37の後端部には、フォーク36に係合するアーム39が一体的に設けられている。副変速レバー15の操作に応じてアーム38が回動すると、アーム39の一体的な回動に応じてフォーク36が左右にスライドし、スピンクラッチ17が切り換え動作される。
【0021】
副変速レバー15は、第一レバー支軸40を支点とする前後方向の回動操作と、第二レバー支軸41を支点とする左右方向の回動操作が許容される。副変速レバー15の基端部に設けられるアーム42は、第一連結ロッド43及びアーム34を介して、走行副変速操作軸32の前端部に連動連結されている。これにより、副変速レバー15の前後操作に応じて、走行副変速機構14を変速動作させることが可能になる。また、第二レバー支軸41の前端部に設けられるアーム44は、第二連結ロッド45及びアーム38を介して、スピンクラッチ操作軸37の前端部に連動連結されている。これにより、副変速レバー15の左右操作に応じて、スピンクラッチ17を切り換え動作させることが可能になる。因みに、副変速レバー15の前後操作域には、走行副変速機構14を低速に切り換える倒伏位置(倒伏材刈取位置)と、中速に切り換える標準位置(標準刈取位置)と、高速に切り換える走行位置(路上走行位置)とがあり、倒伏位置及び標準位置において副変速レバー15の左右操作が許容され、スピンクラッチ17をスピンターン側に切り換えられるようにしてある。
【0022】
走行副変速機構14及びスピンクラッチ17の操作系を上記のように構成すると、走行副変速操作軸32及びスピンクラッチ操作軸37をミッションケース33の前側で副変速レバー15に連繋することが可能になる。これにより、機体を組み上げた後であっても、走行副変速操作軸32やスピンクラッチ操作軸37に連結ロッド43、45を連結することができるだけでなく、各操作軸32、37と連結ロッド43、45の連結部分を容易に調整することができる。その結果、組み立て手順の自由度を高めて生産性を向上させることができると共に、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0023】
ところで、前記サイドクラッチ機構24に作用する伝動負荷が左右均等でない場合、機体旋回時において高負荷側が入りのとき、入り状態のサイドギヤ26L、26Rの爪部が瞬間的に抜けて機体が直進状態になる可能性がある。これは、コンバイン1の左右バランスが均等でないことや、左右のドライブ軸10L、10Rの長さが相違することに起因すると考えられる。本実施形態では、このような問題を解消するために、センタギヤ25とサイドギヤ26L、26Rの噛合い代を、左右均等にすることなく、高負荷側が深くなるように構成している。具体的には、左旋回時に右側のサイドギヤ26Rが抜ける場合、右側サイドギヤ26Rの噛合い代を左側サイドギヤ26Lよりも深くする。これにより、機体旋回時に瞬間的に直進状態になるという問題を解消することができる。
【0024】
叙述の如く構成された本実施形態のコンバイン1は、機体前部に搭載されるミッションケース33内に、走行動力を変速する走行副変速機構14と、機体の旋回方式を切り換えるスピンクラッチ17とを備えると共に、走行副変速機構14及びスピンクラッチ17を副変速レバー15に連繋するにあたり、走行副変速機構14及びスピンクラッチ17の操作軸32、37をミッションケース33の前面側に突出させ、これらの操作軸32、37をミッションケース33の前側で副変速レバー15に連繋しているため、機体を組み上げた後であっても、走行副変速操作軸32やスピンクラッチ操作軸37に連結ロッド43、45を連結することができるだけでなく、操作軸32、37と連結ロッド43、45の連結部分を容易に調整することができる。これにより、組み立て手順の自由度を高めて生産性を向上させることができると共に、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】前処理部を退避回動させた状態のコンバインを示す斜視図である。
【図2】操作部の斜視図である。
【図3】操作部及びトランスミッションの正面図である。
【図4】操作部及びトランスミッションの平面図である。
【図5】トランスミッションの伝動図である。
【図6】トランスミッションの内部左側面図である。
【図7】トランスミッションと副変速レバーの連結状態を示す斜視図である。
【図8】サイドクラッチ機構の噛合い代を示す要部正面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 コンバイン
7 走行部
8 トランスミッション
14 走行副変速機構
15 副変速レバー
17 スピンクラッチ
32 走行副変速操作軸
33 ミッションケース
37 スピンクラッチ操作軸
43 第一連結ロッド
45 第二連結ロッド
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1
【出願日】 平成16年1月15日(2004.1.15)
【代理人】 【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫

【公開番号】 特開2005−198568(P2005−198568A)
【公開日】 平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願番号】 特願2004−8388(P2004−8388)