トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 ミッドモーア型乗用芝刈機
【発明者】 【氏名】清川 智男
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【要約】 【課題】機体構成の小型軽量化とモーア昇降装置のメンテナンス性と操作性を向上が可能なミッドモーア型乗用芝刈機を得ることにある。

【解決手段】ミッドモア芝刈機1は、機体前後方向に延び前後車輪を支持する並列ビーム4,4による機体フレームと、機体フレームの並列ビームの間に装荷した走行伝動部5と、前後輪の間で機体フレームに対してモーア昇降装置を介し昇降支持可能なモーア装置7とで構成し、上記モーア昇降装置は機体フレームに対しモーア装置を所定の姿勢で昇降可能に案内する案内機構11a,11bと、モーア装置を規定高さ位置に支持する吊ロッド12,12と、吊ロッドの昇降用のアーム13aを備え車幅方向に延びるアーム付回動軸13と、アーム付回動軸を所定角度範囲で回動すべく長手方向に進退するアクチュエータ14とからなり、このアクチュエータは進退軸線を平面視でいずれかの並列ビームの内側に沿わせ走行伝動部の側方に配置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の前後方向に延びて前後の車輪を支持する並列ビーム(4,4)による機体フレームと、この機体フレームの並列ビーム(4,4)の間に装荷した後輪差動駆動用の走行伝動部(5)と、前後輪の間で機体フレームに対してモーア昇降装置(7)を介して昇降支持可能なモーア装置(6)とを備えるミッドモーア型乗用芝刈機(1)において、
上記モーア昇降装置(7)は、機体フレームに対してモーア装置(6)を所定の姿勢で昇降可能に案内する案内機構(11a,11b)と、同モーア装置(6)を規定の高さ位置に支持する吊ロッド(12,12)と、この吊ロッド(12,12)の昇降用のアーム(13a,13a)を備えて車幅方向に延びるアーム付き回動軸(13)と、このアーム付き回動軸(13)を所定角度範囲で回動するように長手方向に進退動作するアクチュエータ(14)とからなり、このアクチュエータ(14)は、その進退軸線を平面視でいずれかの並列ビーム(4,4)の内側に沿うように走行伝動部(5)の側方に配置したことを特徴とするミッドモーア型乗用芝刈機。
【請求項2】
前記アーム付き回動軸(13)には、アクチュエータ(14)と近接して走行伝動部(5)の側方に高さ調整部(15)を備え、この高さ調整部(15)は、アーム付き回動軸(13)と一体に回動する回動部材(31)と、この回動部材(31)の一定範囲に及ぶ回動動作を許容する遊動嵌合機構(31a,32a)を介して同回動部材(31)の回動動作を規制する規制部材(32)と、この規制部材(32)の遊動嵌合位置を移動させてモーア装置(6)の昇降高さを調節するための高さ調節手段(32b)とを備えたことを特徴とする請求項1記載のミッドモーア型乗用芝刈機。
【請求項3】
前記機体フレームの両並列ビーム(4,4)の外側には、それぞれの側の後輪(3,3)を軸支するとともに走行伝動部(5)の左右に延びる差動軸(5a,5a)の動力を伝動する左右の後輪支持部(3a,3a)を取付け、この各後輪支持部(3a,3a)の上方にアーム付き回動軸(13)を延設し、その両端に形成したアーム(13a,13a)を介して左右の吊ロッド(12,12)を連結するとともに、同吊ロッド(12,12)をそれぞれの後輪(3,3)の前方に配置したことを特徴とする請求項1記載のミッドモーア型乗用芝刈機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、モーア装置を昇降可能に吊装したミッドモーア型乗用芝刈機に関するものであり、特に、機体構成の小型化と自身のメンテナンス性の向上を可能とするモーア昇降装置を備えたミッドモーア型乗用芝刈機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モーア昇降装置によりモーア装置を昇降可能に吊装する所謂ミッドモーアタイプの乗用芝刈機が知られている。例えば、特許文献1に記載のミッドモーア型乗用芝刈機は、同文献の図2によれば、機体の前後方向に延びる並列ビーム(F,F)による機体フレームと、この機体フレームの並列ビーム(F,F)の間に装荷した後輪差動駆動用の走行伝動部と、前後輪の間で機体フレームに対してモーア昇降装置を介して昇降可能なモーア装置(A)等を備えて構成される。
【0003】
モーア昇降装置は、前部吊下ブラケット(28)と昇降リンク(3L,3R)とによりモーア装置(A)の昇降動作を案内する前後のガイドリンク、および、シリンダ(S)によって回動される支軸(14)に取付けたアーム(2b)と連結して上下動作する左右の調整杆(5)によりモーア装置(A)を昇降駆動する伝動リンクから構成されている。
【0004】
シリンダ(S)は、同文献の図4等によれば、機体フレーム(F)の一外側に取付け、このシリンダ(S)を含む機体フレーム(F)の両外側に昇降リンク(3L,3R)を配置し、左右の調整杆(5)の長さ調節によってモーア装置(A)の昇降高さ位置を調節することができる。
【0005】
しかし、上記構成の乗用芝刈機は、そのシリンダ(S)の配置に伴って車幅寸法の増大を招き、また、同シリンダ(S)と左右の調整杆(5)との間の相互位置関係によるモーア昇降装置のメンテナンス上の問題、モーア高さの調節操作上の問題のほかに、走行伝動部との関係に伴う昇降リンク(3L,3R)の構成上の問題まで、多くの問題を内包するものであった。
【特許文献1】特開平7−250529号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする課題は、機体構成の小型化、簡易化に適合し、また、モーア昇降装置のメンテナンス性と操作性を向上することが可能なミッドモーア型乗用芝刈機を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、機体の前後方向に延びて前後の車輪を支持する並列ビームによる機体フレームと、この機体フレームの並列ビームの間に装荷した後輪差動駆動用の走行伝動部と、前後輪の間で機体フレームに対してモーア昇降装置を介して昇降支持可能なモーア装置とを備えるミッドモーア型乗用芝刈機において、上記モーア昇降装置は、機体フレームに対してモーア装置を所定の姿勢で昇降可能に案内する案内機構と、同モーア装置を規定の高さ位置に支持する吊ロッドと、この吊ロッドの昇降用のアームを備えて車幅方向に延びるアーム付き回動軸と、このアーム付き回動軸を所定角度範囲で回動するように長手方向に進退動作するアクチュエータとからなり、このアクチュエータは、その進退軸線を平面視でいずれかの並列ビームの内側に沿うように走行伝動部の側方に配置したことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1記載のミッドモーア型乗用芝刈機において、前記アーム付き回動軸には、アクチュエータと近接して走行伝動部の側方に高さ調整部を備え、この高さ調整部は、アーム付き回動軸と一体に回動する回動部材と、この回動部材の一定範囲に及ぶ回動動作を許容する遊動嵌合機構を介して同回動部材の回動動作を規制する規制部材と、この規制部材の遊動嵌合位置を移動させてモーア装置の昇降高さを調節するための高さ調節手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1記載のミッドモーア型乗用芝刈機において、前記機体フレームの両並列ビームの外側には、それぞれの後輪を軸支するとともに走行伝動部の左右に延びる差動軸の動力を伝動する左右の後輪支持部を取付け、この各後輪支持部の上方にはアーム付き回動軸を延設し、その両端にアームを介して左右の吊ロッドを連結するとともに、同吊ロッドをそれぞれの後輪の前方に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記ミッドモーア型乗用芝刈機は、モーア昇降装置のアクチュエータをその進退軸線が平面視で機体フレームの並列ビームの内側に沿うように走行伝動部の側方に配置したことから、アクチュエータは、走行伝動部の側方のスペースで機体の長手方向に進退動作し、この進退動作によって車幅方向に延びるアーム付き回動軸が回動され、吊ロッドの昇降動作によってモーア装置が案内機構によって案内されつつ昇降される。したがって、上記構成のモーア昇降装置により、機体の車幅方向の寸法を抑えて構成することができるとともに、アクチュエータ等の昇降動作特性に関わる部材を作業者の手の届く範囲に集約配置することができるので、昇降系のメンテナンスの際の作業性を向上することができる(請求項1)。
【0011】
上記ミッドモーア型乗用芝刈機について、回動部材、規制部材等からなる高さ調節手段を備え、これらをアクチュエータともども、走行伝動部の側方のスペースに配置した場合は、回動部材がアーム付き回動軸と一体にアクチュエータの進退動作に応じて回動動作し、その回動動作が遊動嵌合機構を介して規制部材によって規制されるので、モーア装置の昇降範囲を規制することができる。この場合において、高さ調節手段によって規制部材の規制位置を変更することにより、アーム付き回動軸の回動範囲を変更調節することができる。したがって、上記ミッドモーア型乗用芝刈機は、請求項1記載の発明の効果に加え、走行伝動部の側方位置でモーア装置の昇降範囲を簡易に変更調節することができ、また、近接配置のアクチュエータと連携して昇降系機器を能率良く相互調整することができるので、モーア昇降動作特性のメンテナンスに際し、作業性を向上することができる(請求項2)。
【0012】
上記ミッドモーア型乗用芝刈機について、後輪支持部の上方にアーム付き回動軸を延ばし、左右の吊ロッドを後輪の前方に配置した場合は、請求項1記載の発明の効果に加え、モーア昇降系と走行伝動系との相互間で配置調整を要することなく、簡易に構成することができる(請求項3)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態について、以下に図面に基づいて詳細に説明する。
図1および図2は、それぞれ、ミッドモーア型乗用芝刈機の要部側面図とその平面図である。ミッドモーア型乗用芝刈機1は、機体の前後方向に延びて前後の車輪3(前輪は不図示)を支持する左右の並列ビーム4,4による機体フレームと、この機体フレームの並列ビーム4,4の間に装荷した走行伝動部5と、前後輪の間で機体フレーム4,4に対してモーア昇降装置6を介して昇降可能なモーア装置7等を備え、また、両並列ビーム4,4の後部両外側には、左右の後輪支持部3a,3aを取付け、それぞれの後輪3,3を軸支するとともに走行伝動部5と連結してその動力を左右の後輪3,3に伝動する。
【0014】
モーア昇降装置6は、機体フレームに対してモーア装置7を所定の姿勢で昇降可能に案内する前後のリンク11a,11bによる案内機構と、同モーア装置7の高さ位置を規定する左右の吊ロッド12,12と、この吊ロッド12,12を昇降する左右のアーム13a,13aを備えて車幅方向に延びるアーム付き回動軸13と、このアーム付き回動軸13を所定角度範囲で回動するように機体前後方向に進退動作するアクチュエータ14と、モーア装置7の昇降高さ範囲を調整する高さ調整部15等により構成する。
【0015】
案内用のリンク11a,11bは、モーア装置7の前後に連結してその姿勢を略一定に維持ししつつモーア装置7の上下動作を案内する。アーム付き回動軸13は、左右の後輪支持部3a,3aの上方に延設し、その左右両端に対応して左右のアーム13a,13aを備える。この左右のアーム13a,13aには、左右の吊ロッド12,12を連結し、この左右の吊ロッド12,12は、それぞれを後輪3,3の前方に配置する。アクチュエータ14は、その進退軸線を平面視でいずれかの並列ビーム4の内側に沿うように走行伝動部5の側方に配置し、その先端をアーム付き回動軸13に突設した偏心連結部13bに連結する。
【0016】
走行伝動部5は、図3の拡大透視平面図に示すように、ミッションケース20に動力入力用の静油圧式無段変速機21を取付け、その動力を減速する中間軸22と、その動力を左右に分岐する差動機構23をミッションケース20に内設し、差動機構23から左右の差動軸5a,5aを両側方に延ばして構成される。ミッションケース20は、機体フレームの一方の並列ビーム4との間に油圧シリンダ14や電動シリンダ等によるアクチュエータを配置するための隙間を確保するべく、一側を差動機構23と近接して形成する。
【0017】
高さ調整部15は、図4、図5の拡大側面図および拡大平面図に示すように、アーム付き回動軸13と一体に回動する回動部材31と、その回動動作を規制する規制部材32と、この規制部材32の規制位置を移動させて規制位置を調節するためのねじ部32bによる高さ調節手段等から構成され、これらを前記アクチュエータ14と近接して走行伝動部5の側方に配置する。回動部材31には、その回動方向に沿って「凹」字状の長穴31aを形成し、この長穴31aに遊嵌する嵌合部32aを規制部材32の先端に設けることにより、回動部材31の一定範囲に及ぶ回動動作を許容する遊動嵌合機構を構成する。また、規制部材32には、表示ガイドのスリット内を遊動する摺動体によってその規制位置を示す表示器32cを設ける。
【0018】
上記構成の高さ調整部15は、アクチュエータ14の進退動作に応じて回動部材31がアーム付き回動軸13と一体に回動動作し、その回動動作が遊動嵌合機構31a,32aを介して規制部材32によってアクチュエータ14の進退動作範囲を規制することができる。この場合において、表示器32cを確認しつつ、高さ調節手段32bによって規制部材32の規制位置を変更することにより、アーム付き回動軸13の回動範囲を変更調節することができるので、モーア装置7の昇降範囲を簡易に変更調節することができる。
【0019】
つぎに、作業機操作用のレバーについて説明する。図6は作業機操作用のレバー部平面図、図7はその側面図である。運転作業者用座席41の一側方(図例では左側)のフェンダ42に作業機操作用の複数(図例は3)のレバー43〜45を集中配置する。詳細には、複数の油圧バルブ43a〜45aをブロック化して一括配置し、コレクタ昇降やPTO入切用のレバー44,45は左右に接近させて配置し、これらの前後(図例では前)方向に位置をずらしてモーア昇降用レバー43を配置する。前記レバー44,45は、その油圧バルブを44a,45aにオフセットアーム44b、45bを設け、フェンダ42に形成したスリットから起立するように構成する。
【0020】
このように、使用頻度の高いモーア昇降用レバー43を他のレバーから離して配置することにより、誤操作を小さく抑えることができ、使い勝手も向上することができる。また、レバーのアーム部を曲げる必要がないので、フェンダ42を容易に着脱することができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明のミッドモーア型乗用芝刈機は、機体構成の小型化、簡易化に適合し、また、モーア昇降装置のメンテナンス性と操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のミッドモーア型乗用芝刈機の要部側面図である。
【図2】図1のミッドモーア型乗用芝刈機の要部平面図である。
【図3】走行伝動部の拡大透視平面図である。
【図4】高さ調整部の拡大側面図である。
【図5】高さ調整部の拡大平面図である。
【図6】作業機操作用のレバー部平面図である。
【図7】作業機操作用のレバー部側面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 ミッドモーア型乗用芝刈機
3 後輪
3a 後輪支持部
4 並列ビーム(機体フレーム)
5 走行伝動部
5a 差動軸
6 モーア昇降装置
7 モーア装置
11a リンク(案内機構)
11b リンク(案内機構)
12 吊ロッド
13 アーム付き回動軸
13a アーム
13b 偏心連結部
14 アクチュエータ
15 高さ調整部
20 ミッションケース
23 差動機構
31 回動部材
31a 長穴(遊動嵌合機構)
32 規制部材
32a 嵌合部(遊動嵌合機構)
32b ねじ部(高さ調節手段)
42 フェンダ
43、44,45 レバー
44b,45b オフセットアーム
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【住所又は居所】愛媛県松山市馬木町700番地
【出願日】 平成15年8月22日(2003.8.22)
【代理人】 【識別番号】100077779
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 哲郎

【識別番号】100078260
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 レイ子

【識別番号】100086450
【弁理士】
【氏名又は名称】菊谷 公男

【公開番号】 特開2005−65552(P2005−65552A)
【公開日】 平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願番号】 特願2003−298202(P2003−298202)