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【発明の名称】 移植機
【発明者】 【氏名】福本 仁志
【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内

【氏名】本庄 邦章
【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内

【要約】 【課題】車輪が全面マルチを押さえる置き土上に乗り上げることに起因する移植機の機体の横揺れを防止して植付け精度を向上する。

【解決手段】畝間溝30を転動する左右一対の前後輪14,15を有する走行体1を備え、畝Rを跨いで走行しながら該畝Rに苗Nを植え付ける移植機において、前記左右一対の前輪14が複数の畝Rを跨ぐように構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
畝間溝(30)を転動する左右一対の前後輪(14,15)を有する走行体(1)を備え、畝(R)を跨いで走行しながら該畝(R)に苗(N)を植え付ける移植機において、
前記左右一対の前輪(14)が複数の畝(R)を跨ぐように構成されていることを特徴とする移植機。
【請求項2】
左右一対の前輪(14)が2畝(R)を跨ぎ、この2畝(R)のうちの一方の畝(R)に苗(N)を植え付けるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の移植機。
【請求項3】
左右一対の前輪(14)が3畝(R)を跨ぎ、この3畝(R)のうちの真ん中の畝(R)に苗(N)を植え付けるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の移植機。
【請求項4】
左右一対の後輪(15)が、苗(N)の植え付け作業が行われる畝(R)を跨いで該畝(R)と該畝(R)に隣接する畝(R)との間の畝間溝(30)を転動するように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の移植機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、畝を跨いで走行しながら該畝に苗を植え付ける移植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
移植機として、図3及び図4に示すように、畝Rと畝Rとの間の溝(畝間溝)30を転動する左右一対の前後輪14,15を有する走行体1と、この走行体1の後方に装着されていて畝Rに苗Nを植え付ける移植装置3とを備え、畝Rを跨いで且つ畝Rに沿って走行しながら該畝Rに苗Nを自動的に植え付ける移植機2がある(特許文献1又は2参照)。
この移植機2は後部に操向ハンドル9を有する歩行型の移植機2を例示している。
【特許文献1】特開平2000−217406号公報
【特許文献2】特開平2000−245207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
畝にマルチを敷設する機械として、トラクタの後方にロータリ耕耘機、畝立て器、マルチャを順次連設して備え、耕耘と畝立てとマルチの敷設とを1行程で行えるようにした畝立てマルチャがあり、この畝立てマルチャとして、左右方向で隣り合うマルチの端と端とを畝間溝において重ね合わせることにより該マルチとマルチとの間を開けずに圃場全体をマルチで被覆する全面マルチャがあり、この全面マルチャとして、耕耘された土をコンベヤで持ち上げ、この土を一定の間隔をおいてマルチ7が敷設された後の畝間溝30に落とすことにより畝間溝30に土を置き、この畝間溝30に置かれた置き土31(図3及び図4参照)によってマルチ7を押さえるようにしたものがある。
【0004】
また、隣接する畝間溝30に置かれる置き土31は、前後方向(畝Rの長手方向)に対して位置ズレして置かれている(千鳥状に配置されている)。
前述の全面マルチャでマルチ7を敷設した圃場に苗Nを植え付ける場合、畝間溝30を転動する車輪14,15の左右一方が置き土31に乗り上げると機体1Aが左右に傾き、このため植付体4が左右方向に位置ズレした状態で苗Nが植え付けられることとなる。
そして、左右の車輪14,15が置き土31に交互に乗り上げることにより機体1Aが横揺れし、これによって苗Nが蛇行した状態で植え付けられることとなって植付け精度が低下するという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、前記問題点に鑑みて、移植機の機体の横揺れを防止し、苗が蛇行状に植付けられるのを低減して植付け精度の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、畝間溝を転動する左右一対の前後輪を有する走行体を備え、畝を跨いで走行しながら該畝に苗を植え付ける移植機において、
前記左右一対の前輪が複数の畝を跨ぐように構成されていることを特徴とする。
また、左右一対の前輪が2畝を跨ぎ、この2畝のうちの一方の畝に苗を植え付けるように構成されていてもよい。
また、左右一対の前輪が3畝を跨ぎ、この3畝のうちの真ん中の畝に苗を植え付けるように構成されていてもよい。
【0007】
また、左右一対の後輪は、苗の植え付け作業が行われる畝を跨いで該畝と該畝に隣接する畝との間の畝間溝を転動するように構成されているのがよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、前輪がマルチを押さえる置き土に乗り上げても、従来の移植機に比べて機体の傾きは小さいので、機体の横揺れを防止でき、植付け精度の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施形態を示しており、1は、移植機の走行体を示しており、この走行体1の後方には、図3及び図4に示した従来の移植機2と略同様の移植装置3が装着される。
この移植装置3は、図3及び図4に示すように、野菜等のブロック苗Nを植え付けるものであり、走行体1の機体1Aの後部に後方突出状に取付固定されたフレームFと、畝Rに苗Nを植え付ける植付体4と、この植付体4に苗Nを供給する苗供給装置5と、苗Nの株際を覆土・鎮圧する覆土輪6と、畝Rを被覆するマルチ(マルチフィルム)7に植付け用の穴を形成する穿孔手段8とを備えている。
【0010】
フレームFは、前部が走行体1のミッションケースMに取付固定された主フレームF1と、前部がミッションケースMに左右軸回りに回動自在に枢着された可動フレームF2とを有し、主フレームF1上に苗供給装置5が設けられると共に、主フレームF1の後端部に操向ハンドル9が取り付けられ、可動フレームF2に植付体4、覆土輪6及び穿孔手段8が支持されている。
植付体4は、可動フレームF2にリンク機構によって前後移動しながら昇降するように支持されており、上部に上下開口状のガイド筒を備えると共に下部が下方に向けて先窄まり状となるくちばし状を呈していて前後に開閉自在に形成され、該植付体4は、その移動軌跡の上死点側において下部を閉じた状態で苗Nが落下供給され、苗Nを保持した状態で下降し、下死点側で畝Rに突入して下部が前後に開くことにより畝Rに植穴を形成すると共に該植穴に苗Nを落下させて植え付けるように構成されている。
【0011】
苗供給装置5は、苗トレイ11を載置する苗載せ台10と、この苗載せ台10上の苗トレイ11から1つずつ苗Nを取り出して植付体4に搬送する苗分送装置12とを有する。
苗トレイ11は、プラスチック製で薄肉に形成されて可撓性を有し、縦横に所定ピッチで碁盤目状に配列形成された多数のポット部を備え、該ポット部に床土を供給してそこに播種し育苗Nすることによりソイルブロック苗Nが育成されている。
覆土輪6は、植付体4の後方側に左右一対配置されており、植付け後の苗Nの左右両側を転動して植え付けた苗Nの株際に土寄せすると共に該株際を鎮圧する。
【0012】
穿孔手段8は、植付体4の前側に配置されていて、可動フレームF2に平行リンク機構を介して昇降自在に支持され、下降したときに加熱体をマルチ7に押し当てることにより、マルチ7に植え付け用の穴を形成する。
また、図3及び図4に示すものでは、植付体4及び苗分送装置12は左右一対備えており、覆土輪6は各植付体4について左右一対設けられており、さらに、一対の植付体4等は畝Rの左右方向中央部から一側にオフセットされており、畝Rに対して往復移動させて植付け作業を行うことにより、4条植ができるように構成されている。
【0013】
なお、前記走行体1に装着される移植装置3は、図3及び図4に示した構造以外の構造の移植装置3を採用してもよいし、植付形式としては、移植機2を畝Rに対して片道移動させて植付け作業を行うことにより1つの植付体4で畝Rの左右方向中央部に苗Nを植え付ける1条植(本実施の形態では、この形式のものが採用される)又は左右一対の植付体4によって畝R上面の左右両側部に苗Nを植え付ける2条植、移植機2を畝Rに対して往復移動又は1往復半移動等させることにより1又は複数の植付体4で1つの畝Rに苗Nを複数条植え付ける形式のもの等であってもよい。
【0014】
前記走行体1は、左右一対の前輪14が複数の畝Rを跨ぐように構成されている点で、前記従来の移植機2の走行体1と構成が大幅に相違しており、その他の点については略同様の構成であるので、図3及び図4をも参照して走行体1の構造を説明する。
この走行体1は、ミッションケースMの前部に架台16を前方突出状に取付固定すると共に、この架台16上にエンジンE、燃料タンクT、バッテリーB等を搭載して構成された機体1Aを備え、この機体1Aを、その左右両側に備えた前輪14及び後輪15とによって走行可能に支持している。
【0015】
架台16の前部には支持筒17が固定され、この支持筒17の左右両側に、左右方向に配置された前輪支軸18がそれぞれ独立して左右方向の軸心廻りに回動自在に支持されており、各前輪支軸18には、後方に行くに従って下方に移行する傾斜状(前傾状)に配置された前輪支持アーム19の上端側が左右方向位置調整自在に取付固定され、各前輪支持アーム19の下端側に前輪14が左右方向の軸心回りに回転自在に取り付けられており、前輪支軸18の軸心回りの回動によって、前輪支持アーム19が上下に揺動して、機体1Aに対して左右の前輪14がそれぞれ独立して昇降するように構成されている。
【0016】
また、ミッションケースMの左右両側には、後方に行くに従って下方に移行する傾斜状(前傾状)に配置された伝動ケース21が設けられ、左右各伝動ケース21の上端側はミッションケースMにそれぞれ独立して左右方向の回動軸心廻りに回動自在に支持されており、各伝動ケース21の下端側に後輪15が左右方向の軸心廻りに回転自在で且つ左右方向位置調整自在に取り付けられており、伝動ケース21がその上端側の回動軸心回りの回動によって、伝動ケース21が上下に揺動して、機体1Aに対して左右の後輪15がそれぞれ独立して昇降するように構成されている。
【0017】
エンジンEの動力はミッションケースMに入力され、該ミッションケースMから左右の後輪支軸20内の伝動軸及び伝動ケース21内の伝動機構等を介して後輪15に走行系動力が伝達され、該後輪15が回転駆動されるように構成されている。
左右同じ側にある前輪支持アーム19と伝動ケース21とは、各前輪支軸18に一体回動自在に設けられ前ブラケット22と、各伝動ケース21側に一体回動自在に設けられた後ブラケット23と、左右同じ側にある前ブラケット22と後ブラケット23とを連結する連動ロッド24とによって連動連結されており、左右同じ側にある前輪14と後輪15とが機体1Aに対して同時に上下動するように構成されている。
【0018】
架台16の前後方向中途部には左右方向に配置されたローリング軸25が左右方向の軸心廻りに回動自在で且つ前後移動自在に支持されており、このローリング軸25の左右両側には、ブラケット26が設けられ、このブラケット26と左右同じ側にある後輪支軸20のブラケット23とが連結リンク27によって連動連結されている。
架台16のローリング軸25前方には油圧シリンダからなる昇降シリンダ28が設けられ、この昇降シリンダ28のピストンロッドはローリング軸25に連動連結されており、昇降シリンダ28のピストンロッドを出退させることにより、ローリング軸25が前後移動して左右の連結リンク27が同時に押し引きされて、左右の後輪支軸20が同時に回動し、左右の後輪15と共に左右の前輪14が機体1Aに対して同時に昇降し、これによって機体1Aが昇降するように構成されている。
【0019】
また、架台16の側方には油圧シリンダからなるローリングシリンダ29が設けられており、このローリングシリンダ29のピストンロッドは、ローリング軸25に連動連結されており、ローリングシリンダ29のピストンロッドを出退させることにより、ローリング軸25が軸心回りに回動するように構成されている。
ローリング軸25が回動すると左右の連結リンク27が互いに逆の方向に押し引きされ、これによって、左右一方の前後輪14,15と、左右他方の前後輪14,15とが互いに逆の方向に昇降され、これによって、傾斜地等において機体1Aを水平状態にする水平制御が可能とされている。
【0020】
図1において、本実施の形態では、前記左右一方側(図例では右側)の前輪支軸18は左右方向に延長されており、該左右一方側の前輪14は、左右一方側の(左右同じ側にある)後輪15に対して左右方向外方に大きく位置ズレしていて、前輪14の輪距が従来の移植機2に対して広くなっている(前輪14の輪距が後輪15の輪距よりも広くなっている)。
左右一方側の前輪14が、苗Nの植え付け作業が行われる畝R1に隣接する左右一方側の畝R2と、該畝R2に隣接する畝R1,R4のうち苗Nの植え付け作業が行われる畝R1と異なる畝R4との間の畝間溝30を転動し、左右他方側(左側)の前輪14が、苗Nの植え付け作業が行われる畝R1と、該畝R1に隣接する左右他方側の畝R3との間の畝間溝30を転動するように構成されていて、左右の前輪14が2畝R1,R2を跨ぐように構成されている。
【0021】
これにより、片側の前輪14が全面マルチ7を押さえる置き土31に乗り上げても、前輪14の輪距が広いので、従来の移植機2に比べて機体1Aの左右の傾きが小さい。
これにより、機体1Aの横揺れを防止して苗Nが蛇行状に植え付けられるのを低減できるので、植付け精度の向上を図ることができる。
また、左右の後輪15は、苗Nの植え付け作業が行われる畝R1を跨いで該畝R1と該畝R1に隣接する畝R2,R3との間の畝間溝30を転動する。
後輪15の輪距も広くして、左右の後輪15で複数の畝Rを跨ぐように構成してもよいが、圃場の端(枕地)において旋回する場合は、機体1Aを最上昇位置に上昇させると共に操向ハンドル9を押し下げて、前輪14を地面から浮かせた状態で旋回するので、圃場の端において旋回する場合に、左右の後輪15の輪距が広いと旋回半径が大となり、旋回が困難となるので、後輪15は輪距が狭い方がよい。
【0022】
図2は、本発明の第2の実施形態を示している。
この実施の形態の走行体1にあっては、左右一対の前輪14が3畝R1,R2,R3を跨ぎ、この3畝R1,R2,R3のうちの真ん中の畝Rに苗Nを植え付けるように構成されている点で、前記第1の実施の形態と構成が相違する。
この第2の実施の形態にあっては、左右の前輪支軸18がそれぞれ左右方向外方に延長されていて、左右両側の前輪14が同じ側にある後輪15に対して左右方向外方に大きく位置ズレしていて、前輪14の輪距が従来の移植機2に対して広くなっている。
【0023】
この第2の実施の形態にあっては、左右の後輪15が、それぞれ苗Nの植え付け作業が行われる畝R1に隣接する畝R2と、該畝R2に隣接する畝R1,R4のうち苗Nの植え付け作業が行われる畝R1と異なる畝R4との間の畝間溝30を転動する。
この第2の実施の形態にあっては、前輪14が全面マルチ7を押さえる置き土31に乗り上げた場合、前記第1の実施の形態よりも機体1Aの左右の傾きが小さいので、機体1Aの横揺れ防止効果は大きい。
なお、前記第1の実施の形態において、左右一方側の前輪支軸18をさらに左右方向外方側に延長することにより、左右の前輪14にて3つの畝Rを跨ぐように構成してもよく、また、4畝R以上を跨ぐように構成してもよい(左右の前輪14で複数の畝Rを跨ぎ、この複数の畝Rの内の1つの畝Rに苗Nを植え付けるように構成されていればよい)。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる移植機の走行体の全体平面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態にかかる移植機の走行体の全体平面図である。
【図3】従来の移植機の平面図である。
【図4】従来の移植機の側面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 走行体
14 前輪
15 後輪
30 畝間溝
N 苗
R 畝
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【住所又は居所】大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号
【出願日】 平成16年6月2日(2004.6.2)
【代理人】 【識別番号】100061745
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄

【公開番号】 特開2005−341860(P2005−341860A)
【公開日】 平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願番号】 特願2004−165024(P2004−165024)