| 【発明の名称】 |
田植機 |
| 【発明者】 |
【氏名】岡田 悟 【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマー株式会社内
【氏名】幸 英浩 【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマー株式会社内
|
| 【要約】 |
【課題】従来の田植機においては、植付部が最上位置(昇降操作における最も高い位置)にある状態において、該植付部を予め設定された位置まで下降させて自動的に停止させる機能はなかった。そのため、植付部が最上位置にある状態において、植付部を座席側からの苗継作業を行い易い位置で停止させる場合に、ユーザが昇降レバーを用いて作業を行ってもその処理をうまく作業できない問題があった。
【解決手段】昇降操作可能で、苗を圃場に植え付けるための植付部4と、圃場に接地している植付部4を、予め定められる所定の高さまで上昇させて自動的に停止させるための停止手段(苗継SW64)とを具備し、植付部4が上記所定の高さよりも高い位置にある状態で、停止手段(苗継SW64)が操作された場合に、植付部を上記所定の高さまで下降させて自動的に停止させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 昇降操作可能で、苗を圃場に植え付けるための植付部と、 圃場に接地している上記植付部を、予め定められる所定の高さまで上昇させて自動的に停止させるための停止手段と、 を具備する田植機において、 植付部が上記所定の高さよりも高い位置にある状態で、 上記停止手段が操作された場合に、 上記植付部を上記所定の高さまで下降させて自動的に停止させることを特徴とする田植機。 【請求項2】 前記停止手段によって、前記植付部が前記所定の高さで停止している状態で、 再度前記停止手段が操作された場合に、 前記所定の高さで停止している状態を解除してなる請求項1記載の田植機。 【請求項3】 前記植付部を前記所定の高さで停止している状態、 前記植付部に設けられる植付爪の動作状態を切り替えるクラッチが入状態、 且つ、当該田植機の車速が予め定められる所定の車速以上の状態、 となった場合に、 その旨を外部へ報知するための警報手段を用いて警報してなる請求項1、又は請求項2のいずれかに記載の田植機。 【請求項4】 前記植付部を前記所定の高さで停止している状態、 前記植付部に設けられる植付爪の動作状態を切り替えるクラッチが入状態、 且つ、当該田植機の車速が予め定められる所定の車速以上の状態、 となった場合にのみに用いられる音声データに基づいて、前記警報手段を警報してなる請求項3記載の田植機。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、苗を圃場に植え付けるための植付部を具備する田植機に関し、特に植付部の昇降制御に関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来より、苗を圃場に植え付けるための植付部を具備する田植機において、予め定められた状況に応じて自動的に植付部を昇降できる田植機がある。 上記予め定められた状況の具体例の一つとしては、例えば、田植機を後進させる場合がある。 この場合、植付部が下降した状態で変速レバーを後進側に変速操作すると、後進時に植付部が畦等と接触して破損する恐れがあるため、植付部を上昇させるようにしている。 このような制御は、田植機本機が具備する制御部がユーザの操作(主変速レバーの操作)をセンサ等で検出し、該検出結果に応じて、制御部が植付部を昇降制御する指令を昇降駆動機構に発することによって行っている。 勿論、上述のような従来の田植機は、ユーザが手動によっても植付部を昇降制御することは可能である。 この場合は、乗用田植機の場合においては、操向ハンドルや座席の周囲に設けられる植付部の昇降用の昇降レバーを操作することによって行われる。 これにより、ユーザは、所望するときに植付部を手動で昇降操作を行うことが可能と成っている。 このような田植機の一例としては、下記特許文献1、2に示すようなものがある。 【0003】 【特許文献1】特開平2000−175520号公報 【特許文献2】特開平8−154436号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 ところで、植付部に苗を補給する作業(所謂、苗継作業)を行う場合がある。 このような苗継作業は、一般的に田植機の座席側より田植機の後方に位置する植付部に苗を補給するようにしている。 したがって、このような苗継作業時は、座席側から植付部に苗を補給しやすいように、植付部をある程度上昇させる必要がある。 従来の田植機は、主変速レバーが操作された場合や、昇降レバー等がユーザによって手動で操作された場合に、植付部を昇降させるものである。 そのため、例えば、ユーザが田植機の後方にある植付部を目視しながら、昇降レバーを操作することによって、植付部を所望の位置で停止させるしかなかった。 しかしながら、このような方法で植付部の位置を決定しても、実際に座席側から植付部に苗を補給する作業がし易い位置で停止させることは難しかった。 また、従来より、植付部を圃場に接地させた状態から、予め設定された高さまで植付部を上昇させる田植機は存在している。 しかしながら、植付部が最上位置(昇降操作における最も高い位置)にある状態において、該植付部を予め設定された位置まで下降させて自動的に停止させる機能はなかった。 そのため、植付部が最上位置(昇降操作において、最も高い位置)にある状態において、植付部を座席側からの苗継作業を行い易い位置で停止させる場合に、ユーザが昇降レバーを用いて作業を行ってもその処理をうまく作業できない問題があった。 そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、例えば、植付部が高い位置にある状態からユーザが所望する位置で植付部を停止させる田植機を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0005】 本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。 【0006】 請求項1においては、昇降操作可能で、苗を圃場に植え付けるための植付部と、圃場に接地している上記植付部を、予め定められる所定の高さまで上昇させて自動的に停止させるための停止手段と、を具備する田植機において、植付部が上記所定の高さよりも高い位置にある状態で、上記停止手段が操作された場合に、上記植付部を上記所定の高さまで下降させて自動的に停止させるものである。 【0007】 請求項2においては、前記停止手段によって、前記植付部が前記所定の高さで停止している状態で、再度前記停止手段が操作された場合に、前記所定の高さで停止している状態を解除してなるものである。 【0008】 請求項3においては、前記植付部を前記所定の高さで停止している状態、前記植付部に設けられる植付爪の動作状態を切り替えるクラッチが入状態、且つ、当該田植機の車速が予め定められる所定の車速以上の状態、となった場合に、その旨を外部へ報知するための警報手段を用いて警報してなるものである。 【0009】 請求項4においては、前記植付部を前記所定の高さで停止している状態、前記植付部に設けられる植付爪の動作状態を切り替えるクラッチが入状態、且つ、当該田植機の車速が予め定められる所定の車速以上の状態、となった場合にのみに用いられる音声データに基づいて、前記警報手段を警報してなるものである。 【発明の効果】 【0010】 本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。 【0011】 請求項1の構成により、植付部が予め定められた所定の位置よりも高い位置(例えば、植付部が最上位置にある場合)にある状態において、作業者が停止手段を操作することによって、該植付部を苗継作業を行い易い位置まで下降させて自動的に停止させることが可能となる。 したがって、従来の植付作業中の状態のみならず、植付部を最上位置まで上昇させた状態で作業を休止している状態から、素早く植付部を所定の高さで停止させることが可能となる。 つまり、一旦作業を休止させた状態から、素早く苗継作業を行ったり、後進時に後方を確認することが可能となる。 【0012】 請求項2の構成により、このように構成することによって、スイッチ操作のみで容易に植付部の高さを元の状態へ戻すことが可能となる。 したがって、苗継作業後に、素早く植付部を苗継作業を行う前の元の位置に戻すことが可能となる。 【0013】 請求項3の構成により、このような警報手段を用いて警報を行うことで、植付爪が作動した状態で苗が空中に放出されるような状態を防止することが可能となり、植付部が所定の高さで停止している状態(苗継モード)を解除してから苗の植付を開始することを作業者に報知することが可能となる。 【0014】 請求項4の構成により、これにより、作業者は、警報手段より警報される音に応じて、現状発生している異常が、上述したような苗が空中に放出されるような状況であるか否かを容易に判断することが可能となる。 したがって、植付部が所定の高さで停止している状態(苗継モード)解除しない状態で、作業者が誤って苗の植付作業を行うような不適切な操作を行っても、警報手段による警報音のため、作業者に対して不適切であることを知らせることが可能となる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0015】 以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の本発明を実施するための最良の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。 図1は本発明を実施するための最良の形態に係る乗用田植機の外観を示す概略構成図、図2は図1に示す乗用田植機の側面図、図3は操向ハンドル14近傍の操作系の主要部を抽出した概略構成図、図4は図3の概略構成図の側面図、図5は植付部4の昇降制御に関するブロック図、図6は乗用田植機の制御の概略を示すフローチャート、図7は乗用田植機の制御の概略を示すフローチャートである。 【0016】 <全体構成> 先ず、本発明を実施するための最良の形態に係る田植機の全体構成について、図1及び図2を用いて説明する。 本実施例の田植機は、例えば8条植えの乗用田植機とし、走行機体(走行部)1の後部に昇降リンク機構27を介して植付部4を装着している。 走行部1においては、車体フレーム3の前部上方にエンジン2を搭載し、前下部にフロントアクスルケース7aを介して前輪6を支持するとともに、後部にリアアクスルケース7を介して後輪8を支持している。 前記エンジン2はボンネット9に覆われ、該ボンネット9の両側に予備苗載台10・10を配設し、該ボンネット9の後部のダッシュボード5上に操向ハンドル14を配置している。 該ボンネット9の両側とその後部の車体フレーム3上は車体カバー12で覆われている。 操向ハンドル14の後方位置には座席13を配置し、ボンネット9の両側と座席13の前部、座席13の左右両側、及び座席13の後方をステップとしている。 また、前記座席13の後方には8条用の施肥機33が配設されている。 【0017】 <植付部4> 走行部1の後部に設けられる植付部4は、苗載台16や、植付爪支持部となる植付伝動ケースの後部に設けるロータリーケース22・22・・・や該ロータリーケース22に取り付けられる植付爪や、センターフロート34や、サイドフロート35等から構成されている。 前記苗載台16は前高後低に配設して、苗載台16の下部は下ガイドレール18、前面の上部は上ガイドレール19によって左右往復摺動自在に支持されている。 該下ガイドレール18及び上ガイドレール19は、植付センターケース20により植付フレーム23等を介して支持されている。 そして、植付センターケース20より左右両側方へ連結パイプ(図示せず)を突設して、伝動ケース(図示せず)を固設し、該伝動ケースを平行に後方へ突出させて、該伝動ケースの後部両側に一方向に回転させるロータリーケース22・22・・・を配置し、該ロータリーケース22・22・・・に植付爪を設けている。 該ロータリーケース22・22・・・は、1条分の苗載台16に対して1組配設されるので、上記8条用の田植機の場合には8つ設けられている。 更に、前記植付センターケース20の前部にはローリング支点軸を介して前記昇降リンク機構27と連結され、該昇降リンク機構27はトップリンク25やロワーリンク26等より構成され、座席13下方に配置したアクチュエータとなる油圧シリンダからなる昇降シリンダ(図示せず;昇降駆動機構の一例)によって植付部4を昇降できるようにしている。 【0018】 <フロート> 前記昇降リンク機構27の後部に連結される植付センターケース20や植付伝動ケースの下方にリンク機構を介してセンターフロート34及びサイドフロート35が支持されている。 該センターフロート34(又はサイドフロート35)の回動角(絶対角度)を検知する角度センサ80が前記リンク機構の回動部、または、アーム等を介してその近傍に配置されている。この角度センサ80は、ポテンショメータやロータリエンコーダ等が用いられる。 上記センターフロート34の前部と植付センターケース20又は植付伝動ケースの支持部フレームには、フロートの角度(相対角、または、植付部との相対位置)を検出する検知手段の一例として相対角度センサ82が配置されて、植付深さを制御するための検知手段としている。この相対角度センサ82は、ポテンショメータやロータリエンコーダ等が用いられる。 該角度センサ80及び相対角度センサ82は、後述する制御部100と接続され、フロートの角度変化に応じて植付部4を昇降制御するためのものである。 また、前記連結パイプの左右両側方に、マーカ40・40が配設されている。 田植機が上述のように構成されているので、前進走行とともに苗載台16を左右に往復摺動して、それぞれの条において、この往復動に同期させて植付爪を駆動して一株分の苗を切り出し、連続的に植え付け作業を行うことを可能にしている。 【0019】 <運転席> また、図1及び図2においては図面の縮尺の関係上明示していないが、ダッシュボード5の近傍は、詳しくは図3に示すようなレバーやスイッチ等の操作系が設けられている。 尚、図3は、図1及び図2におけるダッシュボード5を含めたその近傍の操作系に関する主要部を抽出した状態を示しており、操作系に関係無い部分についての描画を省略してある。 ダッシュボード5の後部側(座席13側)で左右方向の中央部分には操向ハンドル14が設けられている。 即ち、座席13の前方側にはダッシュボード5や操向ハンドル14等が設けられ、該操向ハンドル14近傍には植付部4の植付作業に関わる電気的操作手段(スイッチ類)とレバー類が配設されている。 該電気的操作手段の具体例としては、植付深さ設定SW61と圃場硬度設定SW62と作業選択SW63と苗継SW64が配置されている(ここで、「SW」とは「スイッチ」を意味している。以下同様)。 上記レバー類としては、操向ハンドル14に対して、ダッシュボード5の左側の近傍には主変速レバー94等の操作領域90bが設けられ、他方、操向ハンドル14に対して、ダッシュボード5の右側の近傍にはクルーズコントロールレバー92、アクセルレバー93、ユーザによって植付部4を手動で昇降操作するための昇降レバー91等の操作領域90aが設けられている。 上記操作領域90a・90bには、図3に示すように、上記各々のレバーの揺動範囲や保持位置を規定するガイド溝91a・92a・93a・94aが設けられている。 また、操作領域90a・90bは、図3に示すようにダッシュボード5とは分離された部材よりなるものであってもよいし、或いは、ダッシュボード5と一体に形成されるものであってもよい。 また、ダッシュボード5の下部の座席13側面には、エンジン2を始動入力するためのキーSW65が設けられている。 また、このキーSW65は、エンジン2を始動するためのセルモータや制御部に電源を供給するための電源を投入する機能も具備している。 【0020】 <操作領域> 上記操作領域90aにおける昇降レバー91について図4を用いて説明する。 上述したように、昇降レバー91は、ユーザによって手動で直接操作されることによって植付部4を昇降操作するためのものであって、従来より設けられるものである。 例えば、図4(a)に示すように、昇降レバー91は、その揺動基部が操作領域90aの内部で枢支される軸72aに固設され、該軸72aにはアーム71aが固設されている。 同様に、軸72aとアーム71aの更に下方には、同様に操作領域90aの内部で前記軸72aと平行に枢支される軸72bと、該軸72bに固設されるアーム71bが設けられており、軸72bからはリンク74が突設されている。 更に、上記2つのアーム71aとアーム71bとの端部側にはリンク73の端部がそれぞれ枢結され、該アーム71aとアーム71bは略平行に配置されて平行リンクを構成している。 また、上記アーム71aと上記アーム71bとの上下方向の中間位置には、ロータリSW70が設けられている。 このロータリSW70のロータリ軸には略U字形状のU字リンク70aが固設されている。 そして、このU字リンク70aのU溝内には、前記リンク74の端部が係合し、該リンク74の端部がU字リンク70aの溝内で摺動自在となる構成となっている。 このように構成されているので、リンク74がU字リンク70aの内面側で摺動することによって、U字リンク70aの位置(即ち、ロータリ軸に対する角度)が変化することで、ロータリSW70のロータリ軸を回動する構成となっている。 【0021】 <昇降レバー91> 上述のような構成において、例えば図4(a)に示す昇降レバー91の状態は、一番手前側に引かれた状態(即ち、後方側に引かれた状態)を示している。 この状態のとき、ロータリSW70のロータリ軸に固設されるU字リンク70aの位置は、図4(b)に示す位置となるものとする。 また、このロータリSW70は、例えば図4(b)に示すように、4つの接点を有しており、該4つの接点と対応する接点が制御部100(図5参照)に接続され、各接点はU字リンク70aの位置で「上昇」、「中立」、「下降」、「植付」と予め設定されており、各々は植付部4の昇降動作を示している。 また、後述する制御部100は、昇降シリンダ駆動部200と接続されているので、昇降シリンダ(例えば、油圧式)を駆動して、植付部4を所望の位置に昇降駆動することを可能にしている。 即ち、U字リンク70aが、「上昇」の位置にある場合は植付部4は上昇し、「中立」の位置にある場合は植付部4は動作せず中立状態を保ち、「下降」の位置にある場合は植付部4は下降し、「植付」の位置にある場合は植付部4の植付クラッチが「入」となって植付爪を駆動して苗の植え付け作業を開始する。 このようにロータリSW70が予め設定されており、図4(a)に示す状態において、昇降レバー91を図4(a)中の太矢印方向(乗用田植機の前方方向)に押す場合を考える。 【0022】 尚、図4(a)中における各部の太矢印方向は、昇降レバー91の上記太矢印方向の操作に対応した動作方向を示している。 この場合に、昇降レバー91の揺動基部となる軸72aに固設されるアーム71aが回転する(太矢印方向)ことで、リンク73が動く(太矢印方向)ので、アーム71bと軸72bとが回転する(太矢印方向)。 このとき、軸72bに固設されるリンク74は、U字リンク70aの内面側(溝内)を摺動することで、ロータリSW70のロータリ軸は太矢印方向に回転する。 したがって、U字リンク70aの位置は「上昇」→「中立」→「下降」→「植付」の順に動くことになり、植付部4の手動制御がこの順で切り替わることになる。 もちろん、昇降レバー91を逆方向に操作することで、植付部4の手動制御を「植付」→「下降」→「中立」→「上昇」の順で切り替えることも可能となる。 【0023】 <スイッチ類> また、ここで、上述した植付深さ設定SW61、圃場硬度設定SW62、作業選択SW63、苗継SW64について説明する。 植付深さ設定SW61は、苗を圃場に植え付ける際の植付深さを設定するためのボリューム式のスイッチである。 即ち、植付深さ設定SW61は、植付部4の植え付け深さを設定するための植え付け深さ設定器の一例である。 尚、このボリューム式のスイッチとは、図3、図4に示すようにスイッチを回動させることによって調節する方式をとるものであって、別称「ダイヤル式」とも呼ばれるものでもある。したがって、ここでは、ボリューム式にダイヤル式の意味も含むものとして説明する。 圃場硬度設定SW62は、ユーザが知り得た圃場の硬度等の情報に基づいて制御の感度等を設定入力するためのボリューム式のスイッチである。 即ち、換言すれば、圃場硬度設定SW62は、角度センサ80・82等のセンサ類の検出値に基づいて、植付部4を昇降制御する場合における、昇降制御の感度の度合い(敏感〜鈍感)等を手動で設定入力するものである。 この「フロートの感度」とは、具体的にはフロートの制御目標角度のことあり、フロートの制御目標角度を「前下がり」にすることは「敏感」に対応し、他方、フロートの制御目標角度を「前上がり」にすることは「鈍感」に対応している。 【0024】 作業選択SW63は、圃場の状況を入力することによって、乗用田植機に該圃場の状況に応じた作業が行えるように設定するためのボリューム式のスイッチである。該圃場の状況の具体例としては「標準」、「深水」、又は「枕地」等がある。 「標準」とは、当該乗用田植機が植付作業を行う場合に特別な制御を実行せずに行える標準的な圃場であることを意味している(標準モード)。 「深水」とは、上記標準と比較して圃場の水量(深さ)が多い場合を意味している(深水モード)。 「枕地」とは、上記標準と比較して圃場の水量(深さ)が少ない場合、或いは、圃場の中央部分と比較して圃場の状況が悪い(凹凸が多い等、例えば圃場端で旋回した際に、タイヤにより圃場面(田面)に凹凸が多い場合)場合等を意味している(枕地モード)。 尚、その他、泥押しが多く発生する深泥モード、藁や夾雑物等が多く浮いている夾雑モード等が考えられ、それらの圃場の状況や状態に応じて植付深さや植付感度の目標値を設定して、作業選択SW63で変更できるようにすることができる。 苗継SW64は、植付部4が上昇する場合に、苗継ぎが行い易いように植付部4を最上部まで上昇させることなく、その上昇を苗継作業用に予め定められる所定の高さで自動的に停止させるためのスイッチであり、ユーザによる押圧を検知するプッシュ式のスイッチである。 このように苗継SW64のスイッチのみを、他のスイッチと異なるプッシュ式とすることで、該苗継SW64であることを、ユーザに対して注意喚起することが可能となると共に、ワンタッチで苗継SW64によって起動する機能を開始させることが可能となるので、取り扱いが容易で便利である。 また、該苗継SW64は、その内部にランプ若しくは発光ダイオード等が設けられても良く、例えば、使用者等によって操作された場合(押された場合)に該ランプ若しくは発光ダイオードが光ることによって、植付部4が上記所定の高さで停止状態にあることを使用者に告知するようにしても良い。 【0025】 <制御系> 例えば、図5に示すように、乗用田植機の全体制御を司る制御部100には、ロータリSW70、植付深さ設定SW61、圃場硬度設定SW62、作業選択SW63、苗継SW64、キーSW65、各種センサ300、センターフロート34等の角度変化を検出する角度センサ80及び相対角度センサ82、植付部4を昇降する昇降シリンダを駆動する昇降シリンダ駆動部200、ランプ(モニターランプ)110、走行部1の車速を検知するための車速センサ83等が接続されている。 制御部100は、上記各部(スイッチ、センサ等)より取得した情報と、当該制御部100に予め設定記憶された内容とに基づいて、乗用田植機の全体を制御している。 また、該制御部100は、上述したように乗用田植機の全体を制御する機能を有すれば足りるので、その機能を制限しない箇所であれば乗用田植機上の如何なる箇所に設けられても良い。 また、昇降シリンダ(不図示)、昇降リンク機構27、昇降シリンダ駆動部200等に昇降シリンダ等の高さ、伸縮、傾き等の情報を検出する位置センサ81を設けても良い。 即ち、位置センサ81は、昇降シリンダ等の伸縮、植付部の位置等の情報を検出するものである。そして、制御部100に、植付部4の位置を検出するための位置センサ81を接続している。 また、上記各種センサ300の具体例としては、田植機本機の前後方向の傾斜角度を検出するための傾斜センサや、エンジンの回転数等を検出するためのセンサ等の各種センサの意味を含むものである。 【0026】 <植付部4の一般的な昇降制御> 次に図6、図7のフローチャートを用いて、乗用田植機の植付部4の昇降制御の一例について説明する。 尚、以下で説明する制御における制御主体は、乗用田植機の全体制御を司る上記制御部100であっても良いし、或いは、植付部4のみを特化して制御するための専用制御部を別途設ける場合は、その専用制御部であっても良い。 【0027】 ここでは、乗用田植機の始動制御(ステップS90)の処理の後、制御部100が植付部4の昇降制御を行わない状態から制御をスタートするものとする。 ステップS20において、制御部100は、植付クラッチを切状態で植付部4の昇降制御を行わない中立状態とする(S20)。 即ち、このステップS20は、植付部4の昇降動作を停止させる中立モードと言える。 このステップS20の処理において、例えば、昇降レバー91が操作されることによって、U字リンク70aの位置が「下降」の場合に処理はステップS30へ移行し、他方、U字リンク70aの位置が「上昇」の場合に処理はステップS10へ移行する。 【0028】 上記ステップS10の処理において、制御部100は、植付クラッチを切り状態のまま植付部4を上昇させる(S10)。 即ち、このステップS10は、植付部4を上昇させるための上昇モードと言える。 また、乗用田植機に設けられる表示部等に、上記上昇モードである旨を表示する表示ランプを設けることによって、ユーザに注意を喚起しても良い。 このステップS10の処理において、「U字リンク70aの位置が「中立」若しくはその他のスイッチが押された場合」、或いは「苗継SW64が押された場合」において、植付部4が予め定められた所定の高さに達したと判断された場合に、処理はステップS20へ移行して中立状態となる(即ち、停止する)。 他方、このステップS10の処理において、U字リンク70aの位置が「下降」の場合に処理はステップS30へ移行する。 【0029】 上記ステップS30の処理において、制御部100は、植付部4が下降制御を行い且つ植付クラッチが切状態の場合に、U字リンク70aの位置が「植付」の場合に植付クラッチを入状態とし、他方、植付部4の下降制御を行い且つ植付クラッチが入状態の場合に、U字リンク70aの位置が「中立」になると植付クラッチを切状態にする(S30)。 即ち、このステップS30は、植付部4を下降させるための下降モードと言える。 また、植付部4の下降制御を行い且つ植付クラッチが切状態の場合に、U字リンク70aの位置が「中立」になると処理は上記ステップS20へ移行し、他方、U字リンク70aの位置が「上昇」になると処理は上記ステップS10へ移行し、何も操作しない場合は(処理経路(1)を介して)ステップS40(図7参照)へ移行する。 更にまた、植付部4の下降制御を行い且つ植付クラッチが入状態の場合に、U字リンク70aの位置が「上昇」になると処理は上記ステップS10へ移行し、何も操作しない場合は(処理経路(2)を介して)ステップS40(図7参照)へ移行する。 【0030】 上記ステップS40の処理において、制御部100は、植付部4の中立制御を行い且つ植付クラッチが切状態の場合に、U字リンク70aの位置が「植付」になると植付クラッチを入状態とし、他方、植付部4の中立制御を行い且つ植付クラッチが入状態の場合に、U字リンク70aの位置が「中立」になると植付クラッチを切状態にする(S40)。 即ち、このステップS40は、上記ステップS30の処理によって植付部4を圃場まで下降させて停止させる接地停止モードと言える。 また、植付部4の中立制御を行い且つ植付クラッチが切状態の場合に、U字リンク70aの位置が「上昇」になると処理は(処理経路(3)を介して)ステップS10へ移行し、何も操作しない場合はステップS50へ移行する。 更にまた、植付部4の中立制御を行い且つ植付クラッチが入状態の場合に、U字リンク70aの位置が「上昇」になると処理は(処理経路(3)を介して)ステップS10へ移行し、何も操作しない場合はステップS50へ移行する。 尚、上述において何も操作しな場合(ステップS40からステップS50)へ移行する場合は、乗用田植機の車速は0よりも大きく、センターフロート34の接地が一定時間持続した状態となる。 即ち、乗用田植機が苗を圃場に植付けながら移動している状態となる。 【0031】 上記ステップS50の処理において、制御部100は、植付部4の昇降制御を行い且つ植付クラッチが切状態の場合に、U字リンク70aの位置が「植付」になると植付クラッチを入状態とし、他方、植付部4の昇降制御を行い且つ植付クラッチが入状態の場合に、U字リンク70aの位置が「中立」になると植付クラッチを切状態にする(S50)。 即ち、このステップS50は、上記ステップS40の処理によって圃場に接地している植付部4の高さを、乗用田植機の移動によって変化する圃場の高さ(圃場の凹凸の変化)に合わせて昇降制御する昇降制御モードと言える。 また、植付部4の昇降制御を行い且つ植付クラッチが切状態の場合に、U字リンク70aの位置が「上昇」になると処理は(処理経路(3)を介して)ステップS10へ移行する。 更にまた、植付部4の昇降制御を行い且つ植付クラッチが入状態の場合に、U字リンク70aの位置が「上昇」になると処理は(処理経路(3)を介して)ステップS10へ移行する。 乗用田植機は、以上のような一連の処理を通常制御時に行うことで、田植作業を効率的に行うことを可能としている。 【0032】 <苗継SW64> 既に上述した苗継SW64は、基本的には、圃場に設置している植付部4を予め定められた所定の高さまで上昇させた後に自動的に停止させるためのものである。 これにより、植付作業中に苗継作業が必要になった場合に、該苗継作業を効率良く行うことを目的とするものであった。 この苗継SW64に、更に次のような機能を付加しても良い。 例えば、植付部4が予め定められた所定の高さよりも高い位置にある状態で、苗継SW64が操作された場合に、該植付部4を該所定の高さまで下降させて自動的に停止させる機能を、更に苗継SW64に付加しても良い 即ち、換言すれば、苗継SW64は、植付部4が所定の高さよりも高い位置にある状態で操作された場合に、該所定の高さまで下降させて自動的に停止させるための停止手段の一例として機能させても良い。 この場合において、「所定の高さ」とは、例えば、既に上述した苗継作業用に予め作業者等によって設定される植付部4の高さのことであり、制御部100等にデータとして記憶されるものである。 このように構成することによって、植付部4が予め定められた所定の位置よりも高い位置(例えば、植付部4が最上位置にある場合)にある状態において、作業者が苗継SW64を操作することによって、該植付部4を苗継作業を行い易い位置まで下降させて自動的に停止させることが可能となる。 したがって、従来の植付作業中の状態のみならず、植付部4を最上位置まで上昇させた状態で作業を休止している状態から、素早く植付部4を所定の高さで停止させることが可能となる。 つまり、一旦作業を休止させた状態から、素早く苗継作業を行ったり、後進時に後方を確認することが可能となる。 【0033】 <解除> また、制御部100は、上記苗継SW64(停止手段)によって、植付部4が予め定められる上記所定の高さで停止している状態で、再度、苗継SW64が操作された場合に、該所定の高さで停止している状態を解除しても良い。 即ち、苗継SW64が押されることによって、植付部4が予め定められた所定の高さで停止して苗継モードとなった後に、続けて再度苗継SW64が押された場合に、該苗継モードを解除して植付部4を元の状態(例えば、最上位置)に自動的に戻すようにしても良い。 また、昇降レバー91は植付部4を昇降操作するものであるので、上述した「植付部4が予め定められる所定の高さで停止している状態の解除」が、該昇降レバー91の操作によって行われるようにしても良い。 即ち、この場合、昇降レバー91も上述した苗継SW64同様に停止手段の機能を有するものであると言える。 このように構成することによって、スイッチ操作のみで容易に植付部4の高さを元の状態へ戻すことが可能となる。 また、植付部4が下降(接地)した状態で苗継SW64が押すことによって、植付部4が予め定められた所定の高さまで上昇し、再度苗継SW64が操作された場合に、元の状態である接地位置に下降されても良い。 したがって、苗継作業後に、素早く植付部4を苗継作業を行う前の元の位置に戻すことが可能となり、植付部4が最上位置にあるときに後進したい場合や、格納場所から出して植付作業を開始したいときに苗を苗載台に載せる場合等では、苗継SW64を押すことにより最上位置から所定の高さまで下降させることができる。 【0034】 <警報手段> また、例えば、「植付部4が予め定められた所定の高さで停止して苗継モードとなっている状態」、「植付部4に設けられる植付爪の動作状態を切り替えるためのクラッチが入状態」、且つ「田植機の車速が予め定められる所定の車速以上の状態」となった場合に、その旨を外部へ報知するための警報手段を用いて警報しても良い。 即ち、植付部4が苗継モードの位置で停止している状態で、植付クラッチが入状態、且つ、車速が一定以上ある状態とは、具体的には、植付部4が圃場に接地せず浮いた状態で苗の植付処理が行われるような状態のことであり、苗が空中に放出されるような状態を意味し、苗継モードを解除せずに苗を植え付ける作業を開始したためである。 このような状態は好ましいとは言えないため、以下のような処理を行うことが望ましい。 例えば、ダッシュボード5に設けられるメータ類(不図示)の何れかを点灯させたり、苗継SW64自体の内部に設けられるランプの点滅、或いは、ダッシュボード5の内部若しくは外部にスピーカ等を設けて音で作業者に報知するようにしても良い。 即ち、上記ダッシュボード5上のメータ類、苗継SW64、スピーカ等が、上述した警報手段の具体例である。 このような警報手段を用いて警報を行うことで、上述したような苗が空中に放出されるような状態を防止することが可能となり、苗継モードを解除してから苗の植付を開始することを作業に報知することが可能となる。 【0035】 <警報手段の音色> 次に、例えば、警報手段がスピーカ等の音を発するものである場合について説明する。 上述のような、「植付部4が予め定められた所定の高さで停止して苗継モードとなっている状態」、「植付部4に設けられる植付爪の動作状態を切り替えるためのクラッチが入状態」、且つ「田植機の車速が予め定められる所定の車速以上の状態」となった場合にのみに用いられる音声データを制御部100に記憶させておく。 即ち、苗が空中に放出されるような警報時用として、他の警報時(例えば、植付部4の苗が無くなった場合等)とは異なる、独特な音声データを制御部100に記憶させておく。 具体的には、苗が空中に放出されるような警報時と他の警報時とでは、音色、波形、周波数、又は鳴動パターン等の点で異なる音声データとする。 この空中に苗が放出されるような警報時における音声データとしては、具体的には、波形、音色、周波数、又は鳴動パターン等が、他の警報時とは異なるものとしておく。 このように構成することによって、田植機は、苗が空中に放出されるような状況となった場合に、制御部100は警報手段を用いて、他の警報時とは異なる独特な音声データにしたがって鳴動する。 これにより、作業者は、警報手段より鳴動される音に応じて、現状発生している異常が、上述したような苗が空中に放出されるような状況であるか否かを容易に判断することが可能となる。 したがって、苗継モード解除しない状態で、作業者が誤って苗の植付作業を行うような不適切な操作を行っても、警報手段による警報音のため、作業者に対して不適切であることを知らせることが可能となる。 【図面の簡単な説明】 【0036】 【図1】本発明を実施するための最良の形態に係る乗用田植機の外観を示す概略構成図。 【図2】図1に示す乗用田植機の側面図。 【図3】操向ハンドル14近傍の操作系の主要部を抽出した概略構成図。 【図4】図3の概略構成図の側面図。 【図5】植付部4の昇降制御に関するブロック図。 【図6】乗用田植機の制御の概略を示すフローチャート。 【図7】乗用田植機の制御の概略を示すフローチャート。 【符号の説明】 【0037】 2 エンジン 3 車体フレーム 5 ダッシュボード 61 植付深さ設定SW 62 圃場硬度設定SW 63 作業選択SW 64 苗継SW 65 キーSW 80 角度センサ 82 相対角度センサ 83 車速センサ
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000006781 【氏名又は名称】ヤンマー株式会社 【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号
|
| 【出願日】 |
平成16年5月24日(2004.5.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080621 【弁理士】 【氏名又は名称】矢野 寿一郎
|
| 【公開番号】 |
特開2005−333825(P2005−333825A) |
| 【公開日】 |
平成17年12月8日(2005.12.8) |
| 【出願番号】 |
特願2004−153722(P2004−153722) |
|