| 【発明の名称】 |
造粒コーティング種子及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】中田 博之
【氏名】赤尾 俊和
【氏名】佐貫 淳
【氏名】西村 和美
【氏名】佐藤 浩
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| 【要約】 |
【課題】十分な発芽が確保でき、また経日的にも安定した発芽性を維持することができ、成形性にも優れた造粒コーティング種子、及びこのような造粒コーティング種子を安定して製造することができる造粒コーティング種子の製造方法を提供する。
【解決手段】種子を、650℃での強熱減量が7重量%以下であるアタパルジャイトを50〜95重量%含有する造粒材組成物で、造粒コーティングしたことを特徴とする造粒コーティング種子及び造粒コーティング種子の製造方法である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 650℃での強熱減量が7重量%以下であるアタパルジャイトを50〜95重量%含有する造粒材組成物で造粒コーティングされたことを特徴とする造粒コーティング種子。 【請求項2】 前記アタパルジャイトは、水中に分散させて超音波処理したときのメディアン径をA、処理する前のメディアン径をBとして、A/B=0.5〜1.0の範囲であることを特徴とする請求項1記載の造粒コーティング種子。 【請求項3】 前記アタパルジャイトは、水中に分散させて超音波処理したときの粒度分布が、モード径≧メディアン径≧10μmであることを特徴とする請求項1又は2記載の造粒コーティング種子。 【請求項4】 前記アタパルジャイトは、吸水量が130〜200ml/100gであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の造粒コーティング種子。 【請求項5】 前記アタパルジャイトは、X線回折データにおいて、d=10.5±0.1Åに回折ピークを示さないことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の造粒コーティング種子。 【請求項6】 前記造粒材組成物は、疎水剤を1〜30重量%含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の造粒コーティング種子。 【請求項7】 前記造粒材組成物は、650℃での強熱減量が7重量%を超えるアタパルジャイトを1〜30重量%含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の造粒コーティング種子。 【請求項8】 650℃での強熱減量が7重量%以下であるアタパルジャイトを50〜95重量%含有する造粒材組成物で、種子を造粒コーティングすることを特徴とする造粒コーティング種子の製造方法。 【請求項9】 前記アタパルジャイトは、水中に分散させて超音波処理したときのメディアン径をA、処理する前のメディアン径をBとして、A/B=0.5〜1.0の範囲であることを特徴とする請求項8記載の造粒コーティング種子の製造方法。 【請求項10】 前記アタパルジャイトは、水中に分散させて超音波処理したときの粒度分布が、モード径≧メディアン径≧10μmであることを特徴とする請求項8又は9記載の造粒コーティング種子の製造方法。 【請求項11】 前記アタパルジャイトは、吸水量が130〜200ml/100gであることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の造粒コーティング種子の製造方法。 【請求項12】 前記アタパルジャイトは、X線回折データにおいて、d=10.5±0.1Åに回折ピークを示さないことを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の造粒コーティング種子の製造方法。 【請求項13】 前記造粒材組成物は、疎水剤1〜30重量%を含有することを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載の造粒コーティング種子の製造方法。 【請求項14】 前記造粒材組成物は、650℃での強熱減量が7重量%を超えるアタパルジャイトを1〜30重量%含有することを特徴とする請求項8〜13のいずれかに記載の造粒コーティング種子の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、造粒コーティング種子及びその製造方法に関するものである。 【背景技術】 【0002】 農業分野における高齢化、少人化が進む中で、農業の効率化、省力化に対応出来る技術が求められており、その一つとして、機械播種ができ、間引き作業が軽減される造粒コーティング種子が普及している。これまで、野菜や花卉等の種子に赤土、クレー、珪藻土、炭酸カルシウム、カオリン、タルクなどの造粒材を、ポリビニルアルコールやカルボキシメチルセルロースなどの結合剤を用いて、流動層型造粒機または傾斜回転パン型造粒機等により造粒コーティングすることが知られている。このようにして得られた造粒コーティング種子は、播種後に土壌中で適度な水分に遭うと、コーティング層が吸水して2〜3箇所に亀裂が生じることにより、ブロック状に破砕され、発芽が起こる。 【0003】 しかしながら、このような造粒材や結合剤でコーティングされた造粒コーティング種子は、その機能性とは別に、物理的または化学的影響により、発芽遅延や異常発芽が発生するなど、元の種子の発芽性に悪影響を及ぼすことがある。あるいは、種子の種類によっては、その保存条件により、経日で発芽率が低下し,商品価値が低下する場合がある。 【0004】 これらの問題点に対して、例えば、特開平3−94604号公報(特許文献1)、特開平8−56425号公報(特許文献2)、特開平8−70629号公報(特許文献3)、特開平10−155313号公報(特許文献4)等には、複鎖構造型(あるいは複鎖状)の粘土鉱物を使用することが開示されている。特許文献1では、複鎖構造型の粘土鉱物70〜95重量部、疎水剤5〜30重量部を含有する造粒用組成物で造粒コーティングする技術が開示されているが、水分が不足する土壌においては吸水時のコーティング層の割れ方が不十分になることがあった。特許文献2では、アスペクト比20以上の繊維状の結晶構造を有する物質のほか無機物、疎水剤からなるコーティング材料でコーティングされ、繊維状の結晶構造を有する粘土鉱物としてセピオライトを、その他の無機物としてパリゴルスカイトを使用する例が開示されているが、同様に吸水時のコーティング層の割れ方が不十分になったり、2粒以上が結着する複粒が発生したりという問題があった。特許文献3では、非常に限定された物性を有する粘土鉱物と撥水剤からなるコーティング材料でコーティングされ、粘土鉱物の1例としてパリゴルスカイトが使用されているが、比表面積が大きな粘土鉱物78〜83%と撥水剤からなる組成では、時間とともに硬度が高くなったり、吸水時のコーティング層の割れ方が不十分になったり、複粒が発生したり、水分が不足する土壌においては吸水時のコーティング層の割れ方が不十分になることがあった。特許文献4では、複鎖構造型の粘土鉱物、シリカ、長石、炭酸塩鉱物、疎水剤等を含む系が開示されているが、同様に、複鎖構造型粘土鉱物の配合量によっては硬度や吸水時の割れ方、複粒の発生等の問題点があった。 【0005】 これらの複鎖構造型(あるいは複鎖状)粘土鉱物は、「粘土ハンドブック」(株式会社技報堂、昭和42年1月15日発行)の41、48〜49、60〜61ページによると、粘土鉱物の結晶構造に基づく分類により、複鎖構造型の結晶構造を有する粘土鉱物であり、その結晶形態から、アタパルジャイトは繊維状、木片状であり、セピオライトは、α型は繊維状、管状で、β型は不定形麟片状の結晶形態であることなどが記載されている。これらの結晶構造を有するアタパルジャイト(パリゴルスカイト)、セピオライトは、そのX線回折データより、アタパルジャイト(パリゴルスカイト)は、d=10.5Å付近に、セピオライトは、d=12.2Å付近に、それぞれ特徴となる回折ピークを示す結晶構造を有することが知られている(「粘土ハンドブック第二版」(技報堂出版株式会社、1987年4月30日発行)の付表、X線回折データ、1308〜1310ページ)。なお、これらの複鎖構造型(あるいは複鎖状)の粘土鉱物は、不純物として、ドロマイトやカルサイト、シリカ等の結晶鉱物を含むことが知られているので、これらの回折ピークは不純物として検出される。 【0006】 また、これらの複鎖構造型(あるいは複鎖状)粘土鉱物を造粒材として使用すると、結合剤としてポリビニルアルコールやカルボキシメチルセルロースなどの有機バインダーを使わず水だけでも造粒できることが知られているように、鉱物自体が高い結合力を有していることが知られている。そのため、これらの複鎖構造型(あるいは複鎖状)粘土鉱物を造粒材として使用する場合には、水だけでも造粒できる利点を有している一方で、その配合調整が難しく、前述したような問題点を有していた。 【特許文献1】特開平3−94604号公報 【特許文献2】特開平8−56425号公報 【特許文献3】特開平8−70629号公報 【特許文献4】特開平10−155313号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、十分な発芽が確保でき、また経日的にも安定した発芽性を維持し、さらには成形性にも優れた造粒コーティング種子、及びこのような造粒コーティング種子を安定して製造することができる製造方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明者らは、鋭意検討を行なった結果、複鎖構造型の結晶構造を有する粘土鉱物であるアタパルジャイトに対してその結晶構造を敢えて崩して、650℃での強熱減量が7重量%以下となったアタパルジャイトを用い、これを50〜95重量%含有する造粒材組成物で、種子を造粒コーティングすることにより、十分な発芽が確保でき、また経日的にも安定した発芽性を維持し、さらには成形性にも優れた造粒コーティング種子を安定して製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。 【0009】 すなわち、本発明は、650℃での強熱減量が7重量%以下であるアタパルジャイトを50〜95重量%含有する造粒材組成物で造粒コーティングされたことを特徴とする造粒コーティング種子、及び、650℃での強熱減量が7重量%以下であるアタパルジャイトを50〜95重量%含有する造粒材組成物で、種子を造粒コーティングすることを特徴とする造粒コーティング種子の製造方法に係るものである。 【0010】 本発明における「アタパルジャイト」にはパリゴルスカイトも含まれる。すなわち、従来より文献によっては複鎖構造型粘土鉱物としてアタパルジャイトの代わりにパリゴルスカイトが挙げられたり、またアタパルジャイトとともにパリゴルスカイトが併記して挙げられる場合もあるが、両者は構造上同じものであるため、本発明でいうアタパルジャイトは、パリゴルスカイトと称されているものも含む概念とする。 【発明の効果】 【0011】 本発明によれば、通常水分条件下は勿論のこと水分不足条件下でも十分な発芽が確保でき、また経日的にも安定した割層性を確保して発芽性を維持し、さらには成形性にも優れた造粒コーティング種子が得られ、また、この造粒コーティング種子を安定して製造することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0012】 以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。 【0013】 <650℃での強熱減量が7重量%以下であるアタパルジャイト> 上記のように、アタパルジャイトは、本来、複鎖構造型の結晶構造を有する粘土鉱物であり、X線回折データにおいて、d=10.5Å付近に特徴的な回折ピークを示す結晶構造を有するものである。これに対し、本発明で用いる650℃での強熱減量が7重量%以下であるアタパルジャイトは、このような結晶構造が崩されたものである。上記結晶構造を有する本来のアタパルジャイトでは、650℃での強熱減量が通常10〜15重量%程度であるが、このアタパルジャイトを所定条件で焼成処理すると、結晶水が外れて、元の結晶構造が崩れる。650℃での強熱減量が7重量%以下ということは、所定の焼成処理により、結晶水が失われ、結晶構造が崩れていることを意味し、本発明では、このような結晶構造が崩れたアタパルジャイトを用いる。 【0014】 上記したように、複鎖構造型の結晶構造を有する粘土鉱物を造粒材として使用すると、結合剤としてポリビニルアルコールやカルボキシメチルセルロースなどの有機バインダーを使わず水だけでも造粒できることが知られているが、その効果は元の結晶構造を崩しても保持されている。ただ、元の結晶構造を崩すことにより、結合力が適度に抑えられるため、高含有量で使用しても硬度が大きくならず、また、粘着性が低下するために複粒も発生せず、さらには結晶構造を有している時よりも、水分が少ない土壌条件でも吸水により十分割れることを見出したのであり、この点に本発明の特徴がある。 【0015】 ここで、650℃での強熱減量は、予め、粉体を105℃で3時間乾燥させたときの重量をW1とし(この段階で自由水が揮発する)、その後、該粉体を650℃で1時間処理した後に測定した重量をW2として、〔(W1−W2)/W1〕×100(%)で求められる数値であり、自由水以外の結晶水等に起因する質量変化率を示す。 【0016】 かかる650℃での強熱減量が7重量%以下であるアタパルジャイト(以下、結晶構造崩壊型アタパルジャイトということがある。)は、例として、市販されている複鎖構造型の結晶構造を有するアタパルジャイトを、300〜700℃で10分〜6時間という条件で焼成処理することにより得ることができる。焼成時間については、焼成温度が低温側では時間を長くし、高温側では短くすればよい。300℃より低い温度で焼成したものは、結晶度は低下するものの、結晶構造の崩れが不十分となるため、上記効果が得られにくい。また、焼成温度が1000℃近くまでなるような高温になると、粘土構造の相変化が起こるため好ましくなく、温度の上限は700℃までで十分であり、700℃を超える温度は不要である。なお、本発明で用いられる結晶構造崩壊型アタパルジャイトは、必ずしもこのような焼成条件で焼成されたものには限られず、650℃での強熱減量が7重量%以下であれば同様に使用可能である。 【0017】 上記結晶構造崩壊型アタパルジャイトの650℃での強熱減量は7重量%以下であるが、好ましくは6重量%以下である。650℃での強熱減量が7重量%を超えると、粘土鉱物の粘着性が高くなり製造した造粒コーティング種子の硬度が高くなったり、2粒以上が結着した複粒が発生する傾向が見られる他、製品表面に凹凸ができやすくなる。650℃での強熱減量の下限は、1重量%であることが好ましく、より好ましくは2重量%である。650℃での強熱減量が1重量%未満では、種子の種類によっては硬度がやや低くなり、また、成形時において製品表面に凹凸ができる場合がみられ、その形状を修復するのに多少時間を要することがある。 【0018】 また、上記結晶構造崩壊型アタパルジャイトの造粒材組成中に占める配合割合は50〜95重量%である。この配合割合が50重量%より少ないと、硬度が低下するために、複粒の発生や生育への影響を引き起こす可能性のあるポリビニルアルコールやカルボキシメチルセルロースなどの有機バインダーが結合剤として必要になる場合がある。また、配合割合が95重量%を超えると、種子の種類によっては、良好な成形がしづらくなる場合がある。 【0019】 上記結晶構造崩壊型アタパルジャイトは、これを水中に分散させて超音波処理したときのメディアン径をA、処理する前のメディアン径をBとしたときに、A/B=0.5〜1.0の範囲となることが望ましい。ここでいう超音波処理は、水100重量部に対してアタパルジャイト2重量部、分散剤(ヘキサメタリン酸ナトリウム)0.02重量部を入れ、10分間撹拌分散させた後、この分散液を40〜50kHzの範囲内の超音波で5分間処理するというものであり、後記の実施例では47kHzの超音波で5分間処理した後のメディアン径を測定した。 【0020】 上記A/Bは、粉体の持つ凝集力と考えられ、A/Bが0.5より小さいと凝集力が弱く、造粒工程時にかかる圧力により容易に粉体の塊状態が崩れやすく、凹凸が出来易くなる問題が発生する場合がある。A/B=0.5〜1.0の範囲内のものが成形には優れており、成形物の球状、楕円状の形態が滑らかとなり、外見上優れた造粒コーティング種子を製造することができる。更に、成形時に造粒材と結合剤(水のみも含む)等とのバランスが崩れた場合でも容易に形状を修正しやすくなるなどの特長がある。 【0021】 また、上記結晶構造崩壊型アタパルジャイトの粒径については、これを水中に分散させて超音波処理したときに、粒度分布が、モード径≧メディアン径≧10μmとなることが望ましい。この範囲を外れても造粒は可能であるが、粒度分布が、モード径≧メディアン径≧10μmであることにより、成形物の球状、楕円状の形態が滑らかとなり、外見上優れた造粒コーティング種子を製造することができる。更に、成形時に造粒材と結合剤(水のみも含む)等とのバランスが崩れた場合でも容易に形状を修正しやすくなるなどの特長がある。更には、粒子の充填に適した粒度分布となるためか適度な硬度が得られる。モード径の上限は特に限定されないが、通常80μm以下のものを用いる。なお、ここでの超音波処理は上記A/Bを求める場合と同じである。 【0022】 なお、本発明でいう粒子の粒径については、レーザー回折/散乱法により測定された体積基準の粒子径をいい、モード径とは最頻度径であり、メディアン径は50%径をいう。 【0023】 上記結晶構造崩壊型アタパルジャイトは、また、吸水量が130〜200ml/100gであることが好ましく、より好ましくは140〜180ml/100gである。ここで、吸水量とは、一定量の試料に吸収される水量をいい、JIS K5101−1991の21(吸油量)に準じて測定したものであり、油の代わりに蒸留水を使用して測定したものである。具体的には、試料1〜5gを計り取り、ビュレットにより蒸留水を滴下しながらヘラで混練し、滴下と混練を繰り返し、全体が硬いパテ状の塊となったら1滴ごとに練り合わせて、最後の一滴で急激に軟らかくなる直前を終点とした。終点に達したときのビュレット内の蒸留水滴下量を読み取り、下記式(1)によって算出した。 【0024】 O =(V/m)×100 …(1) 式中、Oは吸水量(ml/100g)、mは試料の質量(g)、Vは、滴下した蒸留水の容量(ml)である。 【0025】 この吸水量が130ml/100gより低い場合や、200ml/100gより高い場合には、造粒時の水添加量の増減により形状がいびつになったり複粒になりやすい傾向がある。 【0026】 上記結晶構造崩壊型アタパルジャイトは、また、X線回折データにおいて、d=10.5±0.1Åに回折ピークを示さないものが好ましい。上記のように、複鎖構造型の結晶構造を有するアタパルジャイトを焼成処理することにより、結晶水が外れ、元の結晶構造が崩れてくる。そして、焼成条件によっては、X線回折チャートにおいてアタパルジャイトの特徴であるd=10.5±0.1Å付近の回折ピークが消失した、即ちアタパルジャイトの結晶構造が完全に崩れたものが得られる。図1にアタパルジャイトの処理前後のX線回折チャートを、また、下記表1にそのX線回折データを示す。これらに示されるように、複鎖構造型の結晶構造を有する処理前のアタパルジャイト(I)ではd=10.59に回折ピークがあったのに対し、600℃で30分間焼成することにより、d=10.5Å付近の回折ピークが完全に消滅したアタパルジャイト(II)が得られた。本発明では、このようなd=10.5±0.1Å付近の回折ピークが完全に消失したアタパルジャイトを用いることが好ましく、これにより、物性がより安定な状態になる。 【表1】
【0027】 なお、上記X線回折データは、全自動X線回折装置(株式会社マックサイエンス製「MXP3」)を使用し、X線はCuKα線を用いて40kV、40mAで、発散、散乱、受光スリットの条件、1deg、1deg、0.3mm、走査速度4deg/分で、2θ=3〜70degの範囲を測定した。 【0028】 上記結晶構造崩壊型アタパルジャイトは、また、pHが8以上10以下、好ましくはpHが9以上10以下であることが望ましい。pHが8以上10以下であることにより、種子の発芽生育に影響を及ぼさずに、カビや細菌類の増殖を抑えることが期待できるとともに、吸水時に弱アルカリであることにより、種子内部への水の浸透性が向上することが期待できる。なお、pHについては、粉体の1重量%水分散液状態での測定値である。 【0029】 <疎水剤> 本発明で用いる疎水剤としては、各種のものが知られているが、天然物あるいはその若干の加工物の微粉末が好ましい。このようなものとしては、例えば、高級脂肪酸およびその金属塩、高級脂肪族アルコールおよびロウなどの微粉末が挙げられる。特に好ましいものとしては、高級脂肪酸カルシウム、高級脂肪酸マグネシウム、高級脂肪酸バリウム、高級脂肪族アルコールのプロピレンオキサイドの付加物が挙げられる。疎水剤の粒径については、メディアン径が0.5〜80μmのものが好ましい。疎水剤は造粒材組成物中に1〜30重量%配合されることが好ましい。 【0030】 <650℃での強熱減量が7重量%を超えるアタパルジャイト> 本発明で用いる造粒材組成物は、650℃での強熱減量が7重量%以下であるアタパルジャイトを50〜95重量%含有するが、その他の物質として、上記疎水剤の他に、650℃での強熱減量が7重量%を超えるアタパルジャイトを1〜30重量%含有することができる。650℃での強熱減量が7重量%を超えるアタパルジャイトは、複鎖構造型の結晶構造が保持されているアタパルジャイトであり、上記結晶構造を有する本来のアタパルジャイトをそのまま使用するか、又は同アタパルジャイトを上記焼成条件よりも緩やかな条件で焼成処理したものなどを用いることができる。これらのメディアン径は通常0.1〜80μmである。 【0031】 なお、この場合、アタパルジャイト同士の混合となるが、前述のように650℃での強熱減量が7重量%以下のものが50〜95重量%、650℃での強熱減量が7重量%を超えるものが1〜30重量%となるように混合し、必ず、650℃での強熱減量が7重量%以下のものを多量に含有するように混合しなければならない。好ましくは、650℃での強熱減量が7重量%以下のものの含有量が、650℃での強熱減量が7重量%を超えるものの2倍以上である。 【0032】 <その他> 本発明で用いる造粒材組成物は、その他に、メディアン径が0.1〜80μmの無機あるいは有機の粉末を1〜30重量%含有することができる。メディアン径が0.1〜80μmの無機あるいは有機の粉末としては、赤土、クレー、珪藻土、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、シリカ、パイロフィライト、バーミキュライト、焼石膏、無水石膏、半水石膏、モンモリロナイト、ベントナイト、マイカ、珪灰石、ワラストナイト、セピオライト等の無機物、セルロースパウダー等の有機物が挙げられる。 【0033】 また、本発明においては、上記造粒材組成物により得られる効果を損なわない範囲内において、殺菌剤、殺虫剤等の農薬、発芽促進剤等の植物成長調整剤、顔料、染料等の着色剤、肥料成分等を造粒材組成物中に添加することができる。また、造粒コーティング作業を実施する前に、予め、これらの成分を種子に施すことができ、その際、より接着性を高めるために種子に予めフィルムコーティング処理しておくことも可能である。 【0034】 本発明において、上記造粒材組成物を用いて造粒コーティングする方法としては、特に限定されず、例えば、流動層型造粒機、傾斜回転パン型造粒機、遠心流動型造粒機等を用いることができる。その際、結合剤(湿潤剤)としては、有機バインダーを使用しない水のみを用いることが可能であり、またそうすることが好ましい。 【0035】 また、造粒コーティングにより得られる造粒コーティング種子の大きさは、元の種子の重量や大きさがそれぞれ異なるので一概には言えないが、機械播種できる程度の大きさでよく、特に限定されない。 【0036】 また、本発明において対象となる種子は、特に限定されるものではなく、農園芸で一般に使用される野菜種子、草花種子、緑化・飼料用種子などに適用できる。例えば、キュウリ、メロン、カボチャ等のウリ科、ナス、トマト、ペチュニア等のナス科、エンドウ、インゲン、アルファルファ、クローバー等のマメ科、タマネギ、ネギ等のユリ科、ダイコン、カブ、ハクサイ、キャベツ、ハナヤサイ、ハボタン、ストック、アリッサム等のアブラナ科、ニンジン、セルリー等のセリ科、ゴボウ、レタス、シンギク、アスター、ジニア、ヒマワリ等のキク科、シソ、サルビア等のシソ科、ホウレンソウ等のアカザ科、ロベリア等のキキョウ科、デルフィニウム等のキンポウゲ科、キンギョソウ等のゴマノハグサ科、プリムラ等のサクラソウ科、ベゴニア等のシュウカイドウ科、ビオラ、パンジー等のスミレ科、ユーストマ等のリンドウ科、デントコーン、シバ類、ソルゴー類等のイネ科の種子が挙げられる。 【実施例】 【0037】 以下、実施例および比較例により発明の具体例および効果を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 【0038】 (実施例1〜4、比較例1〜3) ニンジン種子(発芽率94%)100mlを傾斜回転パン型造粒機に投入し、下記表2に示す造粒材組成物、及び結合剤を用いて、造粒コーティング種子の粒径が3.3mmになるまで造粒コーティングを行なった。造粒後、35℃に設定した通風乾燥機で乾燥して造粒コーティング種子を得た。 【0039】 表2中の各造粒材組成物の詳細は次の通りである。 【0040】 ・アタパルジャイト(1):650℃での強熱減量が5.5重量%のアタパルジャイト(アタパルジャイト(2)を400℃×1時間で焼成処理したもの、A/B=0.7、モード径=24μm、メディアン径=19μm、吸水量=155ml/100g、pH9.5、d=10.5±0.1Åに回折ピークを示さないものである)。 【0041】 ・ステアリン酸カルシウム:疎水剤、メディアン径10μm。 【0042】 ・アタパルジャイト(2):650℃での強熱減量が11.2重量%のアタパルジャイト、メディアン径8μm。 【0043】 ・珪藻土:メディアン径15μm。 【0044】 得られた実施例1〜4および比較例1〜3の造粒コーティング種子につき、製品状態として、外観、複粒率(%)、及び吸水時のコート層の割層状態を観察した。それぞれの指標は次の通りである。結果を表2に示す。 【0045】 ・外観(5段階評価):5(良好)〜1(不良)。 【0046】 ・複粒率:コーティング種子1,000粒あたりの、種子を2粒以上含有しているコーティング種子の割合(%)。 【0047】 ・吸水時のコート層の割層状態:低水分環境を想定し、国際種子検査規程記載(International Rules for Seed Testing Rules 2003)のTP法に準じて、1シャーレあたり50粒(×4枚)播種し、所定の水分量の60重量%に水分を抑制した条件で発芽を観察した。1時間以内にコート層が割層し内部の種子が見えるコーティング種子の割合(%)を示した。 【表2】
【0048】 また、実施例1〜4および比較例1〜3の造粒コーティング種子について、発芽生育状態を調べるために、各造粒コーティング種子200粒を、慣行法に従って200穴セル成型育苗トレーに播種し、発芽試験(温度条件=25℃)を実施して、発芽率と平均発芽日数を調べた。発芽率と平均発芽日数の評価方法は次の通りである。なお、発芽率は造粒コーティング種子の製造後、6ヵ月後、12ヵ月後も調査し、経日変化を調べた。 【0049】 ・発芽率:発芽締切り日を14日とし、播種後14日目で発芽している芽生を、ISTA芽生評価ハンドブック(Handbook for Seedling Evaluation 2003)に準じて評価分類し、播種全粒数に対する正常芽生数の百分率によって発芽率を求めた。 【0050】 ・平均発芽日数:発芽開始日から発芽数を連日計数し、発芽締切り後に発芽の早さの指標として下記式(2)により求める。 【数1】
【0051】 式中、kは調査当日の播種後の日数、Gkは播種k日後の調査当日に発芽した種子の発芽数、nは発芽締切り日までとした。 【表3】
【0052】 表2、表3から明らかなように、本発明に係る実施例の造粒コーティング種子は、比較例に比べ製品状態が良好で、吸水時の割層性もよいことがわかる。更には、平均発芽日数が短くなるとともに、経日変化でも安定した発芽率を保持した。 【0053】 (実施例5〜10、比較例4〜7) レタス種子(発芽率97%)100mlを傾斜回転パン型造粒機に投入し、下記表4に示すアタパルジャイト80重量%、疎水剤としてステアリン酸カルシウム(メディアン径10μm)20重量%、及び結合剤として水を用いて、造粒コーティング種子の粒径が3.6mmになるまで造粒コーティングを行なった。造粒後、35℃に設定された通風乾燥機で乾燥して造粒コーティング種子を得た。 【0054】 表4中、実施例9については2種類のアタパルジャイトの混合とした。実施例5〜8及び10のアタパルジャイトはいずれも焼成処理品である。また、実施例5と実施例9の強熱減量4.9%のアタパルジャイトは同一品であり、X線回折データにおいて、d=10.5±0.1Åに回折ピークを示さないものであった。更に、比較例4〜6のアタパルジャイトは未焼成のアタパルジャイトであり、比較例7は、300℃、30分で焼成したが上記強熱減量が7重量%を越えるアタパルジャイトである。 【表4】
【0055】 得られた実施例5〜10及び比較例4〜7の造粒コーティング種子につき、製品状態として、外観、複粒率(%)及び吸水時のコート層の割層状態を観察した。各評価方法は上記した実施例1と同様とした。結果を表5に示す。 【表5】
【0056】 また、実施例5〜10および比較例4〜7の造粒コーティング種子について、発芽生育状態を調べるために、各造粒コーティング種子200粒を、慣行法に従って200穴セル成型育苗トレーに播種し、播種後の水分環境が好適な状態と不足した状態の2条件下で発芽試験を実施して、発芽率と平均発芽日数を調べた。水分環境の調整は、育苗培土調整時の水分添加量と播種後の潅水量の加減によって行い、水分が不足した状態は、好適な状態の全水分量の50重量%に減量して調整した。温度条件は20℃で実施した。なお、発芽率と平均発芽日数の評価方法は上記した実施例1と同様とした。結果を表6に示す。 【表6】
【0057】 表5、6から明らかなように、本発明に係る実施例5〜10の造粒コーティング種子は、比較例4〜7の造粒コーティング種子に比べて、良好な製品が製造でき、また、発芽状態も良好で、水分が不足するような環境下においても良好な発芽率を示した。 【産業上の利用可能性】 【0058】 本発明は植物の種子を造粒コーティングする工業分野に利用されるものであり、得られた造粒コーティング種子は農業分野における機械播種や間引き作業の軽減を可能にして農業の効率化、省力化に寄与することができるものである。 【図面の簡単な説明】 【0059】 【図1】アタパルジャイトの焼成処理前後のX線回折チャートである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390028130 【氏名又は名称】タキイ種苗株式会社 【識別番号】000003506 【氏名又は名称】第一工業製薬株式会社
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| 【出願日】 |
平成16年3月31日(2004.3.31) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100059225 【弁理士】 【氏名又は名称】蔦田 璋子
【識別番号】100076314 【弁理士】 【氏名又は名称】蔦田 正人
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| 【公開番号】 |
特開2005−287344(P2005−287344A) |
| 【公開日】 |
平成17年10月20日(2005.10.20) |
| 【出願番号】 |
特願2004−104140(P2004−104140) |
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