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【発明の名称】 造粒コーティング種子及びその製造方法
【発明者】 【氏名】中田 博之

【氏名】赤尾 俊和

【氏名】佐貫 淳

【氏名】佐藤 浩

【要約】 【課題】造粒コーティング種子は、物理的または化学的影響による発芽遅延や異常芽生が発生するなど、元の種子の発芽性に悪影響を及ぼすことがある。例えば、コート層の硬度が大きくなり吸水してもなかなか割れなかったり、コート層の吸水性が低かったり、土壌中の水分が不足する場合には発芽が遅れたりすることがある。このような場合でも十分な発芽が確保できる造粒コーティング種子、及び造粒コーティング種子の製造方法を提供する。

【解決手段】造粒コーティング後の表面に、造粒コーティング前の元の種子が、一部露出するようにする。特には、紡錘形または長卵形等の種子1において、長軸方向の端部2が、コート層3から露出するようにする。このためには、例えば、造粒コーティング操作の段階で、種子の全体を被覆する前に造粒コーティングを終了する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
造粒コーティング前の元の種子の一部が、造粒コーティング後の表面に露出していることを特徴とする造粒コーティング種子。
【請求項2】
造粒コーティング前の元の種子の一部が造粒コーティング後の表面に露出している露出部分の割合が、造粒コーティング後の全表面積の50%以下であることを特徴とする請求項1記載の造粒コーティング種子。
【請求項3】
元の種子の突起部、稜部、または長さ方向における一方または両方の端部が露出していることを特徴とする請求項2記載の造粒コーティング種子。
【請求項4】
元の種子が紡錘形または長卵形であり、その長軸方向の一方または両方の端部が露出していることを特徴とする請求項3記載の造粒コーティング種子。
【請求項5】
種子が、ニンジン、レタス、キュウリ、またはカボチャであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の造粒コーティング種子。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の造粒コーティング種子を製造する方法であって、
造粒コーティング操作の段階で、種子全体を完全に被覆する前に造粒コーティングを終了するか、または、種子全体を完全に被覆した後に転動または流動を続けることで、造粒コーティング前の元の種子の一部を、造粒コーティング後の表面に露出させることを特徴とする造粒コーティング種子の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の造粒コーティング種子を製造する方法であって、
造粒コーティング操作の段階で種子全体を完全に被覆した後、乾燥の段階または乾燥終了後の段階で、コーティング種子に振動、または転動または流動を加えることでコート層の摩耗を生じさせ、造粒コーティング前の元の種子の一部を、造粒コーティング後の表面に露出させることを特徴とする造粒コーティング種子の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、造粒コーティング種子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
農業分野における高齢化、少人化が進む中で、農業の効率化、省力化に対応出来る技術が求められており、その一つとして、機械播種ができ、間引き作業が軽減される造粒コーティング種子が普及している。これまで、野菜や花卉等の種子に赤土、クレー、珪藻土、炭酸カルシウム、カオリン、タルクなどの造粒材を、ポリビニルアルコールやカルボキシメチルセルロースなどの結合剤を用いて、流動層型造粒機または傾斜回転パン型造粒機等により造粒コーティングすることが知られている。このようにして得られた造粒コーティング種子は、播種後に土壌中で適度な水分に遭うと、コート層が吸水して2〜3箇所に亀裂が生じることにより、ブロック状に破砕され、発芽が起こる。
【0003】
しかしながら、このような造粒材や結合剤でコーティングされた造粒コーティング種子は、その機能性とは別に、物理的または化学的影響により、発芽遅延や異常芽生が発生するなど、元の種子の発芽性に悪影響を及ぼすことがある。例えば、コート層の硬度が大きくなり吸水してもなかなか割れなかったり、コート層の吸水性が低かったり、土壌中の水分が不足する場合には発芽が遅れたりすることがある。
【0004】
その対策として、特開昭57−8702号公報には、コート種子を播種する際に、人為的および機械的物理的方法によりコート層を破損させる技術が開示されている。しかしながら、このような方法では一律に破損することは難しく、コート層にかかる強度によっては完全に破壊されてしまったり、播種機に破損したコート層や種子が詰まり安定した播種ができないなどの問題点があった。
【0005】
また、特開2000−135005公報には、吸水性ポリマーを使用する方法が開示されている。これは吸水時にコート層内部に含まれる吸水性ポリマーが膨張することにより、コート層にひずみを与えてコート層の割れを促進させようとするものである。しかし、良好に種子に付着させることは容易でなく、そのために種子への酸素供給を妨げたり、必要以上に吸水性ポリマーが吸水するために種子への水分供給も妨げられるといった問題点があった。また造粒コーティング作業中に吸水性ポリマーが、吸水し膨張することにより種子から脱離してしまい、吸水性ポリマーが核となって造粒され、種子なしのコーティング物が副生されるという問題点もあった。
【特許文献1】特開昭57−8702号
【特許文献2】特開2000−135005
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、たとえコート層の硬度が高くても、コート層の吸水性が低くても、また土壌中の水分が不足する場合であっても十分な発芽が確保できる造粒コーティング種子、及び造粒コーティング種子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討を行なった結果、種子の造粒コーティングにおいて、製造した造粒コーティング種子から元の種子の一部が外から見えているように成型するならば、十分な発芽性を確保することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、造粒コーティング種子及びその製造方法において、造粒コーティング後の表面に、造粒コーティング前の元の種子の一部を露出させることを特徴とする。
【0009】
特に好ましい態様は、造粒コーティングの対象となる種子が、ニンジン、レタス、キュウリ、カボチャといった紡錘形または長卵形の種子であり、その長軸方向の両端または片端を、造粒コーティング後の表面に露出させるような形態である。
【0010】
ここで、造粒コーティング前の種子とは、自然状態における種子に限らず、研磨や剥皮等の処理を施した後の種子も含み、また、フィルムコーティング等の処理を施した場合の種子をも含む。
【発明の効果】
【0011】
種子の完全被覆によって生じやすい、元の種子の発芽に対する物理的または化学的影響による発芽遅延や異常芽生の発生といった悪影響を抑え、十分な発芽性を確保することができる。特には、コート層の硬度が高いかまたは吸水性が低い条件でも、また、土壌中の水分が不足する条件でも、十分な発芽を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
【0013】
種子の造粒コーティングは、造粒材と結合剤等を用いて行われ、通常、種子全体が完全にコーティングされる。これに対して、本発明における造粒コーティング種子は、造粒コーティング後の表面に、造粒コーティング前の元の種子が一部露出する。このような造粒コーティング種子は、造粒コーティング操作の段階で、(1)種子が完全に被覆される前の状態、すなわち各種子の一部が露出している状態で造粒コーティングを終了することによっても、(2)完全に被覆した後にコート層の一部を除去して露出させる工程をとることによっても得ることができる。
【0014】
造粒コーティング操作の終了後の乾燥工程において、(3)完全に被覆されたコーティング種子について、振動または転動を与えることによっても、種子の一部を露出させた造粒コーティング種子を得ることができる。また、(4)造粒コーティング操作の際に、比較的薄いコート層を作製し、この後の乾燥工程において、(3)と同様に振動または転動を与えることによっても、種子の一部を露出させることができる。(5)更には、乾燥工程後、研磨操作等によってコート層を研磨することにより、種子の一部を露出させることもできる。
【0015】
上記のような本発明の造粒コーティング種子の製造方法は、特開昭57−8702号公報に記載されているような、コート種子を播種する際に、人為的および機械的物理的方法によりコート層を破損させる方法とは異なり、造粒コーティング種子の製造段階にて、その表面に、元の種子の一部が露出するようにするものである。次にその方法について説明する。
【0016】
(1)造粒コーティング操作の段階において、種子が完全に被覆される前の状態、すなわち種子の一部が露出している状態で造粒コーティングを終了するという方法は、種子形状が紡錘形や長卵形あるいはそれに近い形状をしている種子に適している。このような種子としては、ニンジン、レタス、キュウリ、カボチャ等の種子を挙げることができる。種子の種類によって、種子を完全に被覆する通常の造粒コーティングに比べ、使用する造粒材量が少なくなったり、種子の露出の状況によっては硬度が低下する危惧があるが、このような場合には、比較的硬度の出やすい造粒材を用いたり、結合剤量を増加させるか、結合力の強い結合剤を用いることもできる。本方法において用いられる造粒装置としては、例えば、流動層型造粒機または傾斜回転パン型造粒機、遠心流動型造粒機等を用いることができる。
【0017】
(2)造粒コーティング操作の段階で、完全に被覆した後にコート層の一部を除去して露出させる工程をとるという方法は、いずれの種子についても適用可能である。一旦は完全に被覆された状態まで到達するので、造粒材や結合剤は特に限定されない。完全に被覆された後の湿潤状態にあるコーティング種子について、元の種子の一部を露出させるようにするためには、例えば、外部から力を加える。本方法に用いられる造粒装置としては、(1)と同様に流動層型造粒機または傾斜回転パン型造粒機、遠心流動型造粒機等を挙げることができるが、好ましくは、傾斜回転パン型造粒機、遠心流動型造粒機がよい。これらの傾斜回転パン型造粒機、遠心流動型造粒機を用いて完全に被覆するまで造粒した後、コーティング種子を湿潤状態のままで、回転を継続したり、遠心流動を継続することにより、摩擦により徐々に種子の一部を露出させることができる。流動層型造粒機で造粒した場合でも、傾斜回転パン型造粒機、遠心流動型造粒機に移して同様の操作を行なうことにより種子の一部を露出させることは可能である。
【0018】
(3)乾燥工程の段階で、完全に被覆したコーティング種子に振動または転動を与えることにより、元の種子の一部を露出させる方法は、例えば、特開平5―207807号公報に記載された乾燥方法を応用することができる。振動や転動の条件を通常より少し強くして造粒コーティング種子に衝撃を与えるか、あるいは、振動や転動の時間を延長することで、造粒コーティング種子同士の摩擦によるコート層の摩耗を生じさせ、元の種子の一部を露出させることが可能となる。この際、振動や転動の条件または時間は、造粒コーティング種子の状態を観察しながら調節すればよい。
【0019】
(4)比較的コート層の薄い状態のコーティング種子を作製した場合も、乾燥工程の段階で(3)と同様に振動または転動を与えることにより、元の種子の一部を露出させることができる。
【0020】
(5)乾燥工程終了後に、コート層を研磨することにより、元の種子の一部を露出させるという方法には、研磨機を用いることも可能であり、また、造粒操作に用いた傾斜回転パン型造粒機、遠心流動型造粒機を用いて研磨することも可能である。
【0021】
以上のような工程により得られた造粒コーティング種子の全表面積のうち、造粒コーティング前の元の種子が露出している部分の割合は、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下である。ダイコン、タマネギ等といった、径方向寸法に対する長さ方向寸法の比(アスペクト比)が小さい種子であると、造粒コーティング種子の全表面積のうち、元の種子の露出部分の割合は、30%近くにまで達することがあり、場合によっては50%近くにまで達することもある。しかし、造粒コーティング種子の全表面積における元の種子の露出部分の割合がこれらの値を超える場合には、コーティングの効果が小さくなるため、好ましくない。
【0022】
造粒コーティング種子の全表面積のうちの、元の種子が露出する部分の割合は、ニンジン、レタス、キュウリ、カボチャ等の紡錘形、長卵形をしている種子の場合、通常、最も小さいものとなる。これらの種子では、長さ方向の両端または片端の個所のみが露出するからである。この場合、露出部分の割合は、例えば5%以下、特には1%以下である。
【0023】
図1A,2A,3及び4には、それぞれ、ニンジン、レタス、キュウリ、及びカボチャの種子の写真を示す。これらの写真には、紡錘形または長卵形の種子1における長軸方向の端部2を矢印で示す。また、図1B〜1Cにはニンジン種子の造粒コーティング後の様子を示し、図2B〜2Cには、レタスの種子の造粒コーティング後の様子を示す。
【0024】
図1B〜1C、及び、図2B〜2Cの各一対の図は、同一の造粒コーティング種子を逆側から撮影したものである。すなわち、図示の例において、コート層3は、種子1の長軸方向における両方の端部2にて省かれている。また、図1B及び2Bに示す例では、造粒コーティングの全表面積のうちの露出部分の割合が約0.2〜1.0%である。なお、図示の例では、長軸方向の両方の端部2がコート層3から露出しているが、一方の端部のみが露出した形態でも良い。例えば、ニンジンやキュウリの種子において、円錐状突起部の片側の端部のみがコート層3の外に露出した形態でも良い。
【0025】
なお、紡錘形、円錐形、ピラミッド形、あるいは不特定数の突起部を有する種子の場合には、突起部の一つまたは複数が、コート層の外へ露出した形態でも良い。また、例えば、半球状の種子である場合、その稜部の一部または大部分が露出するというのであっても良い。
【0026】
ニンジン、レタス、キュウリ、カボチャ等の紡錘形、長卵形をしている種子の場合でも、完全に被覆した後で乾燥工程中に振動または転動を与える方法によれば、種子の両端から種子形状の長軸方向にかけてコート層に裂け目を生じさせて、この個所を露出させることができる。すなわち、元の種子の長軸方向の側面が部分的に見える状態の造粒コーティング種子を製造することが可能である。この場合でも、造粒コーティング種子の全表面積に占める割合は、50%以下、好ましくは30%以下である。それ以上露出している場合でも発芽性には問題はないが、輸送時や播種時の衝撃で破損する場合もあるので、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下である。
【0027】
本発明の造粒コーティング種子には、外的環境からの保護のために、ポリマー等によるフィルムコーティングを施しても良い。このフィルムコーティングの際に、殺菌剤、殺虫剤、抗菌剤、防腐剤等を、さらに添加してもよい。
【0028】
本発明で造粒コーティングに用いる造粒材としては、赤土、クレー、ケイソウ土類(珪藻土類;未焼成、焼成、融剤焼成)、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、シリカ、ゼオライト、アロフェン、イモゴライト、スチブンサイト、ヘクトライト、サポナイト、アタパルジャイト、パリゴルスカイト、セピオライト等といった、種子の造粒コーティングに用いられている微粉末状の無機物が利用できる。これらの粒径については、メディアン径が0.5〜80μmのものが好ましい。尚、ここでの粒子の粒径は、レーザー回折/散乱法により測定された平均体積径より求められる粒径をいうものとする。
【0029】
種子の種類によっては、種子の一部が露出することで、コート層の硬度が不足する場合がある。このような場合には、アタパルジャイト、パリゴルスカイト、セピオライト等を50〜95重量%含有した造粒材を用いると、硬度が出やすくなるので好ましい。また、マイカやベントナイトもコート層の硬度を高めるのに適しており、1〜30重量%添加することにより硬度アップが図れる。硬度アップを図っても、種子の一部が見えていることで吸水時のコート層の割れや破壊は促進されるため、発芽への影響は排除される。
【0030】
本発明で用いる造粒材としては、pH8以上のアルカリ域にあるものが好ましく、より好ましくはpH8以上10以下であるものが望ましい。pHが8以上10以下であることにより、種子の発芽生育に影響を及ぼさずに、カビや細菌類の増殖を抑えることが期待できるとともに、吸水時に弱アルカリであることにより、種子内部への水の浸透性が向上することが期待できる。尚、pHについては、粉体の1%水分散液状態での測定値である。
【0031】
結合剤としては、カルボキシメチルセルロースやポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンのほか、酢酸ビニルやアクリル、EVA、水分散性ウレタン等の樹脂エマルジョンが使用できる。アタパルジャイト、パリゴルスカイト、セピオライト等の複鎖構造型粘土鉱物を使用する場合には、結合剤を含まない水を使用することもできる。
【0032】
種子の一部が露出することで、保管条件により内部の種子が吸湿しやすくなる場合には、疎水剤を、コート層に1〜30重量%含有させるか、または、コーティング前の種子に予め適量処理することにより、種子の吸湿を軽減させることができる。
【0033】
疎水剤としては各種のものが知られているが、天然物あるいはその若干の加工物の微粉末が好ましい。このようなものとしては、例えば、高級脂肪酸およびその金属塩、高級脂肪族アルコールおよびロウなどの微粉末が挙げられる。特に好ましいものとしては、高級脂肪酸カルシウム、高級脂肪酸マグネシウム、高級脂肪酸バリウム、高級脂肪族アルコールのプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。粒径については、メディアン径が0.5〜80μmのものが好ましい。
【0034】
本発明において、本発明により得られる効果を損なわない範囲内において、殺菌剤、殺虫剤等の農薬、発芽促進剤等の植物成長調整剤、顔料、染料等の着色剤、肥料成分等を造粒材成分中に添加することができる。また、造粒コーティング作業を実施する前に、予め、これらの成分を種子に施すことができ、その際、より接着性を高めるためにフィルムコーティング処理することも可能である。
【0035】
本造粒材による造粒コーティングにより得られる造粒コーティング種子の大きさは、元の種子の重量や大きさがそれぞれ異なるので一概には言えないが、機械播種できる程度の大きさでよく、特に限定されない。
【0036】
また、本発明において対象となる種子は、特に限定されるものではなく、農園芸で一般に使用される野菜種子、草花種子、緑化・飼料用種子などに適用できる。例えば、キュウリ、メロン、カボチャ等のウリ科、ナス、トマト、ペチュニア等のナス科、エンドウ、インゲン、アルファルファ、クローバー等のマメ科、タマネギ、ネギ等のユリ科、ダイコン、カブ、ハクサイ、キャベツ、ハナヤサイ、ハボタン、ストック、アリッサム等のアブラナ科、ニンジン、セルリー等のセリ科、ゴボウ、レタス、シンギク、アスター、ジニア、ヒマワリ等のキク科、シソ、サルビア等のシソ科、ホウレンソウ等のアカザ科、ロベリア等のキキョウ科、デルフィニウム等のキンポウゲ科、キンギョソウ等のゴマノハグサ科、プリムラ等のサクラソウ科、ベゴニア等のシュウカイドウ科、ビオラ、パンジー等のスミレ科、ユーストマ等のリンドウ科、デントコーン、シバ類、ソルゴー類等のイネ科の種子が挙げられる。
【0037】
以下、実施例および比較例により発明の具体例および効果を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0038】
〔実施例1〕
ニンジン種子(発芽率96%)100mlを遠心流動型造粒機に投入し、造粒コーティングを行った。造粒材としてアタパルジャイト(粒径20μm)85重量%を含有し、疎水剤としてステアリン酸カルシウム(粒径10μm)15重量%を含有する造粒材組成物を用いた。結合剤として水を用いて、完全に種子が被覆されるまで造粒コーティング操作を行った。この後、湿潤状態のままで、コーティング対象の種子の片端、あるいは両端が見えてくるまで遠心流動を続け、35℃設定の通風乾燥機で乾燥して造粒コーティング種子を得た。
【0039】
〔実施例2〕
ニンジン種子(発芽率96%)100mlを傾斜回転パン型造粒機に投入し、造粒コーティングを行った。造粒材として珪藻土(粒径20μm)95重量%、疎水剤としてステアリン酸カルシウム(粒径10μm)5重量%を含有する造粒材組成物を用い、結合剤として2%カルボキシメチルセルロース水溶液を用いた。完全に種子が被覆されるまで造粒コーティング操作を行うことはせず、コーティング種子から種子の片端、あるいは両端が見えている状態で造粒を終了した。そして、35℃設定の通風乾燥機で乾燥して造粒コーティング種子を得た。
【0040】
〔実施例3〕
レタス種子(発芽率98%)100mlを傾斜回転パン型造粒機に投入し、造粒コーティングを行った。造粒材として、アタパルジャイト(粒径20μm)80重量%、疎水剤としてステアリン酸カルシウム(粒径10μm)20重量%を含有する造粒材組成物を用い、結合剤として水を用いた。完全に種子が被覆されるまで造粒コーティング操作を行った後、湿潤状態のままで、コーティング種子の片端、あるいは両端が見えてくるまで転動を続けた。そして、35℃設定の通風乾燥機で乾燥して造粒コーティング種子を得た。
【0041】
〔実施例4〕
キュウリ種子(発芽率97%)100mlを傾斜回転パン型造粒機に投入し、造粒コーティングを行った。造粒材として珪藻土(粒径20μm)90重量%、疎水剤としてステアリン酸カルシウム(粒径10μm)10重量%を含有する造粒材組成物を用い、結合剤として1%ポリビニルアルコール水溶液を用いた。完全に種子が被覆されるまで造粒コーティング操作を行った後、35℃設定の振動式乾燥機にて、造粒コーティング種子の状態を観察しながら乾燥を行った。振動による摩擦でコーティング種子の片端、あるいは両端が見えてくるまで乾燥を続けて、造粒コーティング種子を得た。
【0042】
〔実施例5〕
タマネギ種子(発芽率97%)100mlを傾斜回転パン型造粒機に投入し、造粒コーティングを行った。造粒材として、セピオライト(粒径15μm)80重量%、及びマイカ(粒径20μm)5重量%を含有し、疎水剤としてステアリン酸カルシウム(粒径10μm)15重量%を含有する造粒材組成物を用い、結合剤として水を用いた。完全に種子が被覆されるまで造粒コーティング操作を行った後、35℃設定の振動式乾燥機で造粒コーティング種子の状態を観察しながら乾燥を行った。振動による摩擦で造粒コーティング種子の全表面積の20%程度見えてくるまで乾燥を続けて、造粒コーティング種子を得た。
【0043】
〔比較例1〕
実施例1において、完全に種子が被覆されるまで造粒コーティング操作を行った後、35℃設定の通風乾燥機で乾燥して造粒コーティング種子を得た。
【0044】
〔比較例2〕
実施例2において、完全に種子が被覆されるまで造粒コーティング操作を行った後、35℃設定の通風乾燥機で乾燥して造粒コーティング種子を得た。
【0045】
〔比較例3〕
実施例3において、完全に種子が被覆されるまで造粒コーティング操作を行った後、35℃設定の通風乾燥機で乾燥して造粒コーティング種子を得た。
【0046】
〔比較例4〕
実施例4において、完全に種子が被覆されるまで造粒コーティング操作を行った後、35℃設定の振動式乾燥機で造粒コーティング種子の状態を観察しながら乾燥したが、振動による摩擦でコーティング種子の片端、あるいは両端が見えてくるまでは乾燥せず、十分乾燥した時点で乾燥作業を終了し、造粒コーティング種子を得た。
【0047】
〔比較例5〕
実施例5において、完全に種子が被覆されるまで造粒コーティング操作を行った後、35℃設定の振動式乾燥機で造粒コーティング種子の状態を観察しながら乾燥したが、振動による摩擦でコーティング種子の一部が見えてくるまでは乾燥せず、十分乾燥した時点で乾燥作業を終了し、造粒コーティング種子を得た。
【0048】
〔発芽試験による評価〕
実施例1〜5、比較例1〜5の造粒コーティング種子それぞれ200粒を、慣行法に従って200穴セル成型育苗トレーに播種し、播種後の水分環境が好適な状態と、不足した状態の2条件下で、発芽試験を実施して、発芽率と平均発芽日数を調べた。水分環境の調整は、育苗培土調整時の水分添加量と、播種後の潅水量の加減によって行い、水分が不足した状態は、育苗培土中の全水分量を好適な状態の50重量%に減量して調整した。温度条件は、ニンジン種子とキュウリ種子の場合は25℃で、レタス種子とタマネギ種子の場合は20℃に設定した。発芽率と平均発芽日数の測定方法は、次のとおりである。
【0049】
・発芽率:発芽締切り日を14日とし、播種後14日目で発芽している芽生を、ISTA芽生評価ハンドブック(Handbook for Seedling Evaluation 2003)に準じて評価分類し、播種全粒数に対する正常芽生数の百分率によって発芽率を求めた。
【0050】
・平均発芽日数:発芽開始日から発芽数を連日計数し、発芽締切り後に発芽の早さの指標として下記式により求める。
【数1】


【0051】
上記の式において、kは調査当日の播種後の日数、Gkは播種k日後の調査当日に発芽した種子の発芽数、nは発芽締切り日までとした。
【0052】
表1から明らかなように、水分が十分に与えられる通常の発芽条件であると、本発明に係る実施例1〜5の造粒コーティング種子は、対応する各比較例とそれぞれ同様の発芽率を示したが、対応する比較例よりも平均発芽日数が短かかった。一方、水が不足する条件であると、実施例1〜5の造粒コーティング種子は、対応する比較例よりも平均発芽日数が短くなるとともに、より高い発芽率を示した。
【表1】


【0053】
以上に説明した実施例の造粒コーティング種子によると、種子の完全被覆によって生じやすい、元の種子の発芽に対する物理的または化学的影響による発芽遅延や異常芽生の発生といった悪影響を抑え、十分な発芽性を確保することができる。例えば、コート層の硬度が大きくなることで吸水してもなかなか割れなかったり、コート層の吸水性が低かったり、土壌中の水分が不足するといった条件においても、十分な発芽が確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1A】ニンジンの種子の写真である。長軸方向の両端部を矢印で示す。
【図1B】本発明の造粒コーティング後のニンジン種子を示す写真(1)である。
【図1C】本発明の造粒コーティング後のニンジン種子を示す写真(2)である。図1Bと同一の造粒コーティング種子を逆の端部の側から見た写真である。
【図2A】レタスの種子の写真である。長軸方向の両端部を矢印で示す。
【図2B】本発明の造粒コーティング後のレタス種子を示す写真(1)である。
【図2C】本発明の造粒コーティング後のレタス種子を示す写真(2)である。図2Bと同一の造粒コーティング種子を逆の端部の側から見た写真である。
【図3】キュウリの種子の写真である。長軸方向の両端部を矢印で示す。
【図4】カボチャの種子の写真である。長軸方向の両端部を矢印で示す。
【符号の説明】
【0055】
1 紡錘形または長卵形の種子
2 長軸方向の端部
3 コート層
【出願人】 【識別番号】390028130
【氏名又は名称】タキイ種苗株式会社
【識別番号】000003506
【氏名又は名称】第一工業製薬株式会社
【出願日】 平成16年3月31日(2004.3.31)
【代理人】 【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子

【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人

【公開番号】 特開2005−287338(P2005−287338A)
【公開日】 平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願番号】 特願2004−103867(P2004−103867)