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【発明の名称】 乗用型田植機
【発明者】 【氏名】北井 浩昭
【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内

【要約】 【課題】苗植付装置を折り畳み状態に切り換えた状態において車体横幅方向での薬剤散布装置の張り出しを抑えることにより、路上走行や運搬車の荷台への搭載が行い易い乗用型田植機を提供する。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走車体の後部に昇降自在に連結された苗植付装置と、その苗植付装置の後部に支持部を介して連結支持された薬剤散布装置とが備えられている乗用型田植機であって、
前記苗植付装置が、右の植付部分と左の植付部分との左右2分割に構成されて、前記右及び左の植付部分を車体左右方向に横並びに連結させた作業状態と、前記右及び左の植付部分が分離し、車体左右方向に苗のせ台の裏面が互いに向かい合って並ぶ折り畳み状態とに切り換え可能に構成され、
前記薬剤散布装置が、前記薬剤散布装置を前記苗植付装置に近づく収納位置と前記苗植付装置から離れる散布位置とに位置変更可能に構成されている乗用型田植機。
【請求項2】
前記支持部が横軸芯周りに揺動することにより前記薬剤散布装置が前記収納位置と前記散布位置とに位置変更するように構成されている請求項1記載の乗用型田植機。
【請求項3】
前記支持部が、苗植付装置の後部に立設された一対の基端側支持部と、薬剤散布装置に連結された一対の先端側支持部と、これら基端側支持部と先端側支持部とを前記横軸芯周り相対揺動可能に連結する連結部と、前記基端側支持部と前記先端側支持部とを互いに締め付け固定可能な締め付け部とで構成され、
前記締め付け部が、両端部にそれぞれ雌ネジ部を備えた棒状部材と、前記雌ネジ部に螺合する一対の雄ネジ部材とで構成されて、前記基端側支持部と前記先端側支持部とを挟んだ状態で前記雄ネジ部材を前記雌ネジ部に螺合させて前記基端側支持部と前記先端側支持部とを互いに固定するように構成されている請求項2記載の乗用型田植機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、自走車体の後部に昇降自在に連結された苗植付装置と、その苗植付装置の後部に支持部を介して連結支持された薬剤散布装置とが備えられている乗用型田植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
かかる乗用型田植機においては、苗植付装置を右の植付部分と左の植付部分との左右2分割に構成し、右及び左の植付部分を車体左右方向に横並びに連結させた作業状態と、右及び左の植付部分が分離し、車体左右方向に苗のせ台の裏面が互いに向かい合って並ぶ折り畳み状態とに切り換え可能に構成して、路上走行時や運搬車の荷台に搭載する際に、苗植付装置の左右方向幅の張出しを抑えるように構成されたものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
また、苗植付装置の後部に支持部を介して薬剤散布装置を連結支持し、苗のせ台上や圃場に薬剤を散布するように構成されているものがあった(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2000−270628号公報
【特許文献2】特開平7−203829号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のように苗植付装置を作業状態と折り畳み状態とに切り換え可能に構成された苗植付装置の後部に、特許文献2のように支持部を介して薬剤散布装置を連結支持させた場合、苗植付装置を作業状態に切り換えた状態では苗植付装置と車両前後方向に並んでいた薬剤散布装置が、苗植付装置を折り畳み状態に切り換えた状態では苗植付装置と車両左右方向に並ぶことなり、路上走行時や運搬車の荷台に搭載する際に、苗植付装置の車両左右方向での張り出しを抑えるべく苗植付装置を折り畳み状態に切り換えたとしても、薬剤散布装置が車両左右方向に大きく張り出してしまい路上走行や運搬車の荷台への搭載が行いにくくなる場合があった。
【0004】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、苗植付装置を折り畳み状態に切り換えた状態において車体横幅方向での薬剤散布装置の張り出しを抑えることにより、路上走行や運搬車の荷台への搭載が行い易い乗用型田植機を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明の乗用型田植機は、自走車体の後部に昇降自在に連結された苗植付装置と、その苗植付装置の後部に支持部を介して連結支持された薬剤散布装置とが備えられている乗用型田植機であって、
第1特徴構成は、前記苗植付装置が、右の植付部分と左の植付部分との左右2分割に構成されて、前記右及び左の植付部分を車体左右方向に横並びに連結させた作業状態と、前記右及び左の植付部分が分離し、車体左右方向に苗のせ台の裏面が互いに向かい合って並ぶ折り畳み状態とに切り換え可能に構成され、前記薬剤散布装置が、前記薬剤散布装置を前記苗植付装置に近づく収納位置と前記苗植付装置から離れる散布位置とに位置変更可能に構成されている点を特徴とする。
【0006】
すなわち、前記薬剤散布装置が、前記薬剤散布装置を前記苗植付装置に近づく収納位置と前記苗植付装置から離れる散布位置とに位置変更可能に構成されているため、薬剤を散布する際に、薬剤散布装置を散布位置に位置変更させて薬剤を散布するのに適する程度に薬剤散布装置を苗植付装置から離すことができ、また、路上走行や運搬車の荷台への搭載が行い易くするために苗植付装置を折り畳み状態に切り換える際には、薬剤散布装置を収納位置に位置変更させることにより、苗植付装置を折り畳み状態に切り換えた状態での薬剤散布装置の位置が車体左右方向の外方側から内方側に位置変更することとなり、苗植付装置を折り畳み状態に切り換えた状態における薬剤散布装置の車体横幅方向での張り出しを抑えることができる。
【0007】
従って、薬剤散布装置を作業位置に位置変更させることにより苗植付装置から離して薬剤の散布を良好に行うことができ、しかも、薬剤散布装置を苗植付装置に近づく収納位置に位置変更させて苗植付装置を折り畳み状態に切り換えた状態における薬剤散布装置の車体横幅方向での張り出しを抑えることにより、路上走行や運搬車の荷台への搭載が行い易い乗用型田植機を提供できるに至った。
【0008】
第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記支持部が横軸芯周りに揺動することにより前記薬剤散布装置が前記収納位置と前記散布位置とに位置変更するように構成されている点を特徴とする。
【0009】
すなわち、支持部を揺動操作することにより薬剤散布装置を収納位置と散布位置とに位置変更させることができ、土等が噛み込む等の不具合が生じる可能性も少なく、薬剤散布装置の位置変更を容易に行うことができる。
【0010】
第3特徴構成は、上記第2特徴構成に加えて、前記支持部が、苗植付装置の後部に立設された一対の基端側支持部と、薬剤散布装置に連結された一対の先端側支持部と、これら基端側支持部と先端側支持部とを前記横軸芯周り相対揺動可能に連結する連結部と、前記基端側支持部と前記先端側支持部とを互いに締め付け固定可能な締め付け部とで構成され、前記締め付け部が、両端部にそれぞれ雌ネジ部を備えた棒状部材と、前記雌ネジ部に螺合する一対の雄ネジ部材とで構成されて、前記基端側支持部と前記先端側支持部とを挟んだ状態で前記雄ネジ部材を前記雌ネジ部に螺合させて前記基端側支持部と前記先端側支持部とを互いに固定するように構成されている点を特徴とする。
【0011】
すなわち、基端側支持部と先端側支持部とを互いに締めつけ固定すべく、基端側支持部と先端側支持部とを挟んだ状態で雄ネジ部材を雌ネジ部に螺合させることにより、先端側支持部と基端側支持部とが締めつけ固定されるとともに、この締めつけ固定された一方の先端側支持部及び基端側支持部と他方の先端側支持部及び基端側支持部とが棒状部材を介して連結され、基端側支持部と先端側支持部とを互いに締めつけ固定することにより、一対の基端側支持部と一対の先端側支持部と棒状部材とが一体状となり支持部の強度を高いものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[1]
図1に示すように、前輪1及び後輪2、補助後輪2aで支持された自走車体の前部に、エンジン3及びミッションケース4を備えて、自走車体の中央部に運転部5を形成し、自走車体の後部に施肥装置Aと昇降自在に連結した苗植付装置7とを備え、その苗植付装置7の後部に苗のせ面用薬剤散布装置(薬剤散布装置の一例)Bと圃場用薬剤散布装置(薬剤散布装置の一例)Cとが連結支持されて乗用型田植機が構成されている。苗植付装置7は自走車体の後部に四連リンク式のリンク機構6を介して連結支持されており、油圧シリンダ14によりリンク機構6の姿勢が変更して苗植付装置7が昇降するように構成されている。
【0013】
図1,2,9、特に図9に示すように、苗植付装置7は10条植型式に構成されており、5個の伝動ケース8、伝動ケース8の左右両側に回転駆動自在に支持された回転ケース9、回転ケース9の両端に備えられた一対の植付アーム10、5個の接地フロート11、10条分の苗のせ面13a(図3参照)を備えた苗のせ台13、苗のせ台13の苗のせ面13aに備えられたベルト式の縦送り機構12等により構成されている。
【0014】
これにより、苗のせ台13が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、回転ケース9が回転駆動され、苗のせ台13(苗のせ面13a)の苗を植付アーム10が苗のせ台13(苗のせ面13a)の下部から交互に取り出して田面に植え付けるのであり、苗のせ台13が往復横送り駆動の右及び左端部に達すると、縦送り機構12により苗のせ台13(苗のせ面13a)の苗が下方に送られる。
【0015】
[2]
苗植付装置7は右の植付部分7Rと左の植付部分7Lとの左右2分割に構成されており、次に右及び左の植付部分7R,7Lの構造について説明する。
図2及び図9に示すように、リンク機構6の後端の縦リンク6a(図1参照)の下部にボス部6bが固定され、ボス部6bの前後軸芯P1周りに支持ケース15がローリング自在に連結されている。支持ケース15の上部及び下部に支持フレーム16,17が横向きに固定され、支持フレーム16,17の縦軸芯P2周りに右及び左の支持フレーム18が揺動自在に連結されており、角パイプ状の右及び左の支持フレーム19が、支持フレーム18の端部の縦軸芯P3周りにブラケット20を介して揺動自在に連結されている。
【0016】
図2及び図9に示すように、右の支持フレーム19に右の3個の伝動ケース8が後向きに片持ち状に連結されて、左の支持フレーム19に左の2個の伝動ケース8が後向きに片持ち状に連結されている。右の3個の伝動ケース8から後方にブラケット21が延出されて、右の3個の伝動ケース8の後方を囲むように右のフレーム22がブラケット21に固定されている。左の2個の伝動ケース8から後方にブラケット21が延出されて、左の2個の伝動ケース8の後方を囲むように左のフレーム22がブラケット21に固定されている。
【0017】
図3に示すように、右の6条の苗のせ面13a及び隣接する苗のせ面13aの間の7個の仕切り部13bによって右の苗のせ台部分13Rが構成され、左の4条の苗のせ面13a及び隣接する苗のせ面13aの間の5個の仕切り部13bによって左の苗のせ台部分13Lが構成されて、右及び左の苗のせ台部分13R,13Lによって苗のせ台13が構成されており、苗のせ面13aの各々に縦送り機構12が備えられている。
【0018】
図3及び図9に示すように、右の3個の植付伝動ケース8に亘って右の摺動レール34が支持されて、左の2個の植付伝動ケース8に亘って左の摺動レール34が支持されており、苗のせ台13の下部が右及び左の摺動レール34に沿ってスライド自在に支持されている。図2に示すように、右及び左の支持フレーム19に縦フレーム35が固定され、縦フレーム35の上部に亘って右及び左のスライドレール37が架設されており、右及び左のスライドレール37に苗のせ台13の上部がスライド自在に支持されている。これにより、苗のせ台13が右及び左の摺動レール34、右及び左のスライドレール37に沿って左右に往復横送り駆動される。
【0019】
以上の構造により、図3及び図9に示すように、右の3個の伝動ケース8、右の支持フレーム19、右の縦フレーム35、右のスライドレール37、右の摺動レール34、右の3個の接地フロート11、右の苗のせ台部分13R及び縦送り機構12等により、右の植付部分7Rが構成されている。また、左の2個の伝動ケース8、左の支持フレーム19、左の縦フレーム35、左のスライドレール37、左の摺動レール34、左の2個の接地フロート11、左の苗のせ台部分13L及び縦送り機構12等により、左の植付部分7Lが構成されている。
【0020】
[3]
次に施肥装置Aについて説明する。
図1に示すように、運転部5に備えられた運転座席23の後側に、2条に対応した5個の繰り出し部24が取り付けられ、透明樹脂製で肥料を貯留するホッパー25が5個の繰り出し部24に亘り取り付けられており、繰り出し部24に搬送風を供給するブロア26が備えられている。
【0021】
図2及び図9に示すように、前記右及び左の支持フレーム17に縦フレーム47が固定されて、縦フレーム47の上部に右及び左の金属製の支持板48が固定されている。右の3個の繰り出し部24と右の支持板48とに亘って、6本の可撓性のホース27が接続され、左の2個の繰り出し部24と左の支持板48とに亘って、4本の可撓性のホース27が接続されている。
【0022】
図1及び図2に示すように、植付アーム10によって植え付けられた苗の横側に溝を形成しながら肥料を田面に送り込んでいく作溝器29が、10個用意されており、作溝器29が接地フロート11に取り付けられている。右及び左の金属製の支持板53が、支持フレーム54により右及び左のスライドレール37に固定されている。右の6条の作溝器29と右の支持板53とに亘って、6本の可撓性のホース28が接続され、左の4条の作溝器29と左の支持板53とに亘って、4本の可撓性のホース28が接続されている。
【0023】
以上の構造により、前項[1]に記載のように苗が田面に植え付けられるのに伴って、ホッパー25の肥料が繰り出し部24から所定量ずつ繰り出され、ブロア26の搬送風によりホース27,28を通って作溝器29に供給され、作溝器29により田面に形成された溝に肥料が送り込まれる。
【0024】
[4]
次に苗植付装置7を作業状態から折り畳み状態に設定する場合について説明する。
図9及び図17に示す状態は、右及び左の植付部分7R,7L、右及び左の苗のせ台部分13R,13Lが車体左右方向に横並びに連結された作業状態である。苗植付装置7を作業状態から折り畳み状態に設定する場合、苗のせ台13を右及び左の苗のせ台部分13R,13Lに分離し、右の苗のせ台部分13Rを往復横送り駆動の右端部に移動させ、左の苗のせ台部分13Lを往復横送り駆動の左端部に移動させる。
【0025】
図9から図10に示すように、右の支持フレーム18を縦軸芯P2周りに後方に揺動させながら、右の支持フレーム19を縦軸芯P3周りに横外向きに揺動させる。これによって、苗植付装置7が右及び左の植付部分7R,7Lに分離するのであり、右の支持板53(右の植付部分7R)が右の支持板48から離れる。図10から図11に示すように、右の支持フレーム18を縦軸芯P2周りにさらに後方に揺動させ、右の支持フレーム19を縦軸芯P3周りにさらに横外向きに揺動させて、右の植付部分7R及び右の苗のせ台部分13Rが車両右方に向くように設定する。
【0026】
次に図9から図10に示すように、左の支持フレーム18を縦軸芯P2周りに後方に揺動させながら、左の支持フレーム19を縦軸芯P3周りに横外向きに揺動させるのであり、左の支持板53(左の植付部分7L)が左の支持板48から離れる。図10から図11に示すように、左の支持フレーム18を縦軸芯P2周りにさらに後方に揺動させ、左の支持フレーム19を縦軸芯P3周りにさらに横外向きに揺動させて、左の植付部分7L及び左の苗のせ台部分13Lが車両左方に向くように設定する。
【0027】
このように、右の植付部分7R及び右の苗のせ台部分13Rを車両右方に向くように設定し、左の植付部分7L及び左の苗のせ台部分13Lを車両左方に向くように設定することにより、図11及び図18に示すような車体左右方向に右及び左の苗のせ台部分13R,13Lの裏面が互いに向かい合って並ぶ折り畳み状態に切り換えられるであり、図9及び図17に示す作業状態の苗植付装置7の横幅よりも、折り畳み状態の苗植付装置7の横幅が狭いものになっている。
【0028】
[5]
次に、苗のせ面13aに薬剤(殺虫剤や殺菌剤等)を供給する苗のせ面用薬剤散布装置Bを連結支持する右及び左の支持部について説明する。
図2,4,5に示すように、金属製の平板状の支持ブラケット32が7個用意されており、7個の支持ブラケット32は全て同じ形状に構成された同じものである。支持ブラケット32は側面視でへ字状に形成されて、上部に多数の取付孔32aが開口されており、下部が斜めのクランク状に折り曲げられて傾斜部32bが形成されている。図3及び図8に示すように、右の苗のせ台部分13Rにおいて右端部、右端部から2つ目、3つ目及び5つ目の仕切り部13bの下部に、支持ブラケット32が固定されている。図3及び図7に示すように、左の苗のせ台部分13Lにおいて左端部、左端部から2つ目及び3つ目の仕切り部13bの下部に、支持ブラケット32が固定されている。
【0029】
図3,5,8に示すように、右の苗のせ台部分13Rにおいて、右の苗のせ台部分13Rの右端部及び右端部から5つ目の支持ブラケット32の下部に、パイプ状の支持フレーム33が固定されており、右の苗のせ台部分13Rの右端部から3つ目の支持ブラケット32の下部に、支持フレーム36が固定されている。図3,4,7に示すように、左の苗のせ台部分13Lにおいて、左の苗のせ台部分13Lの左端部の支持ブラケット32の上部に、パイプ状の支持フレーム38が固定されており、左の苗のせ台部分13Lの左端部から2つ目及び3つ目の支持ブラケット32の下部に、支持フレーム39及びパイプ状の支持フレーム33が固定されている。
【0030】
図3,5,8に示すように、断面コ字状の右の支持部材31が用意されており、右の支持部材31にパイプ状の支持部40が固定されている。右の苗のせ台部分13Rの右端部及び右端部から5つ目の支持ブラケット32の支持フレーム33に、右の支持部材31の支持フレーム40が取り付けられており、右の苗のせ台部分13Rの右端部から3つ目の支持ブラケット32の支持フレーム36が、右の支持部材31に取り付けられている。
【0031】
図3,4,7に示すように、断面コ字状の左の支持部材31が用意されており、左の支持部材31にパイプ状の支持フレーム41,42が固定されている。左の苗のせ台部分13Lの左端部及び左端部から3つ目の支持ブラケット32の支持フレーム38,33に、左の支持部材31の支持フレーム41,42が取り付けられており、左の苗のせ台部分13Lの左端部から2つ目の支持ブラケット32の支持フレーム39が、左の支持部材31に取り付けられている。
【0032】
図3,5,8に示すように、右の苗のせ台部分13Rにおいて、4個の支持ブラケット32の取付孔32aに亘り、右の案内ロッド43が取り付けられており、図3,4,7に示すように、左の苗のせ台部分13Lにおいて、3個の支持ブラケット32の取付孔32aに亘り、左の案内ロッド43が取り付けられている。この場合、支持ブラケット32の取付孔32aを変更することにより、右及び左の案内ロッド43の位置を上下に変更することができる。左の案内ロッド43の右端部に接続部43aが備えられており(図3参照)、右の案内ロッド43の左端部が左の案内ロッド43の接続部43aに接続及び取り外し自在に構成されている。
【0033】
苗植付装置7を作業状態から折り畳み状態に設定する場合、前項[4]に記載のように先に右の植付部分7R及び右の苗のせ台部分13Rを折り畳み状態に設定し、次に左の植付部分7L及び左の苗のせ台部分13Lを折り畳み状態に設定する。
【0034】
[6]
次に、苗のせ面用薬剤散布装置Bにおける右及び左の供給装置30、右及び左の駆動機構44について説明する。
図3及び図17に示すように、右の支持部材31の右端部に右の駆動機構44が備えられて、左の支持部材31の左端部に左の駆動機構44が備えられている。図6に示すように、右及び左の駆動機構44に駆動スプロケット45及び従動スプロケット46が回転自在に支持されて、駆動スプロケット45を正逆に回転駆動するモータ49が備えられている。右の支持部材31の左端部(左の支持部材31の右端部)に従動スプロケット50が回転自在に支持されており、駆動スプロケット45及び従動スプロケット46,50に亘ってチェーン51が巻回されて、チェーン51が右及び左の支持部材31の内部に配置されている。
【0035】
図4,5,6に示すように、右及び左の供給装置30は、薬剤(殺虫剤や殺菌剤等)を貯留するホッパー52、ホッパー52の下部に連結された繰り出し部55、繰り出し部55の下部に連結された供給ホース56等を備えて構成されている。断面コ字状の案内シュー57がホッパー52の下部に固定されて、案内シュー57が右及び左の支持部材31の上部に移動自在に乗せられており、繰り出し部55に備えられたローラー58が右及び左の支持部材31に当て付けられている。繰り出し部55の内部に繰り出しローラー59が回転自在に支持され、繰り出しローラー59の支持軸59aが繰り出し部55から突出して右及び左の支持部材31の内部に入り込んでおり、繰り出しローラー59の支持軸59aに固定されたスプロケット60がチェーン51に咬合している。繰り出し部55に咬合部61が固定されて右及び左の支持部材31の内部に入り込んでおり、咬合部61がチェーン51に咬合している。
【0036】
図4,5,6に示すように、右及び左の供給装置30において、芯金部材62が供給ホース56の内部に備えられて、芯金部材62により供給ホース56の姿勢が設定されており、芯金部材62は金属製で細長い平板状である。図2,3,5に示すように、右の供給装置30において、供給ホース56が正面視で右の駆動機構44側に少し折り曲げられており、側面視で前側に折り曲げられている。図2,3,4に示すように、左の供給装置30において、供給ホース56が正面視で左の駆動機構44側に少し折り曲げられており、側面視で後側に折り曲げられている。これにより、図2,4,5に示すように、右及び左の供給装置30において、供給ホース56の下端部の供給口56aが側面視で同じ位置となっており、供給ホース56の供給口56aが右及び左の案内ロッド43の後側に位置している。
【0037】
以上の構造により、図3及び図6に示すように、モータ49により駆動スプロケット45及びチェーン51が正逆に回転駆動されて、右の供給装置30が右の支持部材31の右及び左端部に亘って往復駆動されるのであり、左の供給装置30が左の支持部材31の右及び左端部に亘って往復駆動される。この場合、右の供給装置30が右の支持部材31の右端部に位置していると、左の供給装置30が左の支持部材31の右端部に位置し、右の供給装置30が右の支持部材31の左端部に位置していると、左の供給装置30が左の支持部材31の左端部に位置するように、右及び左の供給装置30が同時に同じ方向に往復駆動される。
【0038】
前述のように右及び左の供給装置30が往復駆動されると、図4,5,6に示すようにチェーン51によりスプロケット60が回転駆動され、繰り出しローラー59が回転駆動されて、ホッパー52に貯留された薬剤(殺虫剤や殺菌剤等)が、繰り出しローラー59により所定量ずつ繰り出されて供給ホース56の供給口56aから下方に落下する。これにより、図3に示すように、右の苗のせ台部分13R(6条の苗のせ面13a)に載置された苗に、右の供給装置30から薬剤(殺虫剤や殺菌剤等)又は肥料が供給されるのであり、左の苗のせ台部分13L(4条の苗のせ面13a)に載置された苗に、左の供給装置30から薬剤(殺虫剤や殺菌剤等)又は肥料が供給される。
【0039】
この場合、図4及び図5に示すように、右の苗のせ台部分13R(6条の苗のせ面13a)に載置された苗が、右の案内ロッド43により少し前方に倒され、左の苗のせ台部分13L(4条の苗のせ面13a)に載置された苗が、左の案内ロッド43により少し前方に倒されており、この倒された部分に右及び左の供給装置30から薬剤(殺虫剤や殺菌剤等)が供給される。
前述のように右及び左の供給装置30が往復駆動されると、仕切り部13b(支持ブラケット32)にも、薬剤(殺虫剤や殺菌剤等)が供給されることがある。この場合、図3,4,5に示すように、支持ブラケット32の傾斜部32bにより、薬剤(殺虫剤や殺菌剤等)が隣の苗のせ面13aの苗に案内される。
【0040】
[7]
次に、圃場に薬剤(除草剤等)を散布する圃場用薬剤散布装置Cについて説明する。
図12に示すように、圃場用薬剤散布装置Cには、粉粒状の薬剤(除草剤)を貯留するホッパー67、貯留した薬剤を所定量ずつ繰出す繰出し機構68、繰出された薬剤を10条の植付け幅に相当する横幅で植付け跡に拡散散布する拡散機構69、繰出し機構68および拡散機構69を内装する散布ケース70等を備えて構成されており、圃場用薬剤散布装置Cの散布ケース70が、図1に示すように苗植付装置7の後部に支持部66を介して連結支持されている。
【0041】
図12、図13に示すように、ホッパー67は、中央後方箇所に下向きに開口した単一の流下筒67aが形成されている。そして、このホッパー67全体が、散布ケース70の上部中央部位に連設された筒部70aの上端に脱着可能に外嵌されて、この筒部70aに備えた左右のバックル71で止着されている。散布ケース70における筒部70aの内部には、上向きに開口した内ケース部70bが設けられており、この内ケース部70bの内部に前記繰出し機構68が装備されている
【0042】
繰出し機構68は、目皿72や目皿駆動機構76等で構成されており、流下筒67aの下端に形成された薬剤流下口aから薬剤を目皿72によって定量ずつ繰出して拡散機構69に供給するものである。
前記目皿72は平面形状が扇形の厚肉樹脂材で形成されており、この目皿72がホッパー67に縦軸芯P周りに揺動自在に且つ落下不能に支持されている。この目皿72の外周両端部近くには、上下に貫通する一対の繰出し孔bが形成されており、目皿72が縦軸心P周りに水平に往復揺動することで、各繰出し孔bが薬剤流下口aに臨む薬剤受け入れ位置と、薬剤流下口aから外れた位置との間で移動する。そして、前記目皿72は、ステッピングモータ75を備えた目皿駆動機構76によって往復揺動駆動されるようになっている。
【0043】
内ケース部70bにおける底面の後方箇所には左右一対のロート状の流下案内部70cが形成されるとともに、その入口部位には、バネ板材からなる遮蔽板74が水平片持ち状にネジ止め固定されている。この遮蔽板74は目皿72の下面に弾性押圧されており、これによって目皿72の上面が流下筒67aの下端に密着されるとともに、目皿72の下面に遮蔽板74が密着されて摺動するようになっている。そして、薬剤流下口aに臨む薬剤受け入れ位置に繰出し孔bが位置する状態では繰り出し孔bの下方が遮蔽板にて閉塞され、薬剤流下口aから外れた位置に繰出し孔bが位置する状態では繰り出し孔bの下方が開放されるように構成されている。尚、薬剤流下口aに臨む薬剤受け入れ位置に繰出し孔bが位置する状態では薬剤流下口aが繰り出し孔bと連通し、薬剤流下口aから外れた位置に繰出し孔bが位置する状態では薬剤流下口aが目皿72にて閉塞される。
また、流下筒67aにおける下端部の左右には、目皿72の上面に作用するブラシ73が配備され、繰出し孔bに供給充填された薬剤をブラシ73で摺りきって定量ずつの繰出しを行うよう構成されている。
【0044】
従って、目皿駆動機構76によって目皿72が往復揺動駆動されて繰出し孔bが薬剤流下口aに臨む位置と薬剤流下口aから外れた位置とに位置変更し、繰出し孔bが薬剤流下口aに臨む位置にある時、繰出し孔bは下方から遮蔽板74で閉塞されるので、ホッパー67内の薬剤が薬剤流下口aから繰出し孔bに流入し、繰出し孔bが薬剤流下口aから外れる位置に移動すると繰出し孔bが遮蔽板74から外れて下方に開放されることで、繰出し孔b内の薬剤が流下案内部70cに落下排出されるのである。
【0045】
前記拡散機構69は、拡散羽根77やモータ78等で構成されており、繰出し機構68にて繰り出された薬剤を拡散するように構成されている。
つまり、前記散布ケース70の内部には下方および後方に向けて開口された拡散室Sが形成されるとともに、この拡散室Sと前記流下案内部70c内とが連通されており、目皿40で繰出されて流下案内部70cに排出された薬剤が拡散室Sに落下供給され、その拡散室Sに落下供給された薬剤をモータ78にて回転駆動された拡散羽根77にて拡散させて圃場に散布する。
【0046】
〔8〕
次に、圃場用薬剤散布装置Cを連結支持する前記支持部66について説明する。
図14、図15に示すように、前記支持部66は、苗植付装置7の後部に立設された一対の支持ブラケット(基端側支持部に相当)81と、圃場用薬剤散布装置Cに連結された一対の支持用フレーム(先端側支持部に相当)82と、これら支持ブラケット81と支持用フレーム82とを前記横軸芯周りに相対揺動自在に連結するボルトとナットとで構成された連結部83と、支持ブラケット81と支持用フレーム82とを互いに締め付け固定可能な締め付け部84とで構成されている。
【0047】
前記一対の支持ブラケット81は、右の植付部分7Rに備えられた3つの伝動ケース8のうちの右側から2つ目の伝動ケース8と3つ目の伝動ケース8とに振り分けて立設されており、支持ブラケット81のそれぞれには、図16に示すように、揺動支点用孔81aとこれを中心に円弧状に形成された位置調節用孔81bとが形成されている。
前記一対の支持用フレーム82は、上部で繋がる一本のフレーム部材にて構成されており、図16に示すように、支持用フレーム82のそれぞれ下部に板状部分82cが備えられている。この板状部材82cに連結用丸孔82aと調節用丸孔82bとが形成されている。左側の支持用フレーム82は上端側ほど左側に傾く傾斜部分が備えられており、圃場用薬剤散布装置Cが車両左右方向での中央部に位置するように、前記圃場用薬剤散布装置Cを一対の支持用フレーム82の上部に左側に寄った状態で載置支持されている。
【0048】
そして、図15、図16に示すように、支持ブラケット81と支持用フレーム82とが、揺動支点用孔81aと連結用丸孔82aとに挿通させた前記連結部83にて苗植付装置7の横幅方向に沿う横軸芯Q周りに相対揺動可能に連結されており、支持部66の一部の支持用フレーム82を支持ブラケット81に対して横軸芯Q周りに揺動させることにより、その支持用フレーム82の上端部に載置支持された薬剤散布装置Cを苗植付装置7に近づく収納位置と苗植付装置7から離れる散布位置とに位置変更させることができるように構成されている。
【0049】
前記締め付け部84は、両端部にそれぞれ雌ネジ部85aを備えた金属製のパイプ材にて構成される棒状部材85と、雌ネジ部85aに螺合するボルトにて構成された雄ネジ部材86とで構成されており、雄ネジ部材86を支持ブラケット81の調節用丸孔81bと支持用フレーム82の調節用丸孔82bとに挿通させた状態で、その雄ネジ部86を棒状部材85の雌ネジ部85aに締め付けることにより、支持ブラケット81と支持用フレーム82とが雄ネジ部86の頭部86aと棒状部材85とで挟まれる状態となり、支持ブラケット81と支持用フレーム82とが互いに固定される。
【0050】
圃場用薬剤散布装置Cの位置調節を行なう場合は、連結部83の締め付け並びに締め付け部84における雄ネジ部86の締め付けを緩め、支持用フレーム82を横軸芯Q周りに揺動させて圃場用薬剤散布装置Cを所望の位置に揺動させた状態で連結部83並びに締め付け部材84における雄ネジ部86を締め付けることにより行う。従って、薬剤を散布する際には、支持用フレーム82を左側面視で時計回りに揺動させて薬剤を散布するのに適する程度に圃場用薬剤散布装置Cを苗植付装置7から離すことができる。そして、図18に示すように、路上走行や運搬車の荷台へ搭載を行い易くするために苗植付装置7を折り畳み状態に切り換えた際には、図19に示すように、支持用フレーム82を左側面視で反時計回りに揺動させ、苗植付装置7を折り畳み状態に切り換えた状態での圃場用薬剤散布装置Cの位置を車体左右方向の外方側から内方側に位置変更させて、乗用型田植機の車体横幅方向での幅を小さなものとすることができる。
【0051】
〔別実施の形態〕
(1) 上記実施の形態では、薬剤散布装置として、苗のせ面13aに薬剤を供給する苗のせ面用薬剤散布装置Bと圃場に薬剤を散布する圃場用薬剤散布装置Cとを備え、圃場用薬剤散布装置Cのみを収納位置と散布位置とに位置調節可能に構成したが、苗のせ面用薬剤散布装置Bと圃場用薬剤散布装置Cとの両方を収納位置と散布位置とに位置調節可能に構成してもよく、また、苗のせ面用薬剤散布装置Bのみを収納位置と散布位置とに位置調節可能に構成してもよい。
【0052】
(2) 上記各実施の形態では、支持部66が横軸芯周りに揺動することにより薬剤散布装置Cが収納位置と散布位置とに位置変更するように構成したが、支持部を苗植付装置7に対して遠近方向にスライド移動させることにより薬剤散布装置Cが収納位置と散布位置とに位置変更するように構成してもよい。
【0053】
(3) 上記各実施の形態では、圃場用薬剤散布装置Cを右の植付部分にのみに連結支持させたが、圃場用薬剤散布装置Cを右の薬剤散布部分と左の薬剤散布部分との2分割に構成し、右の薬剤散布部分を右の植付部分に連結支持させ左の薬剤散布部分を左の植付部分に連結支持させるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】乗用型田植機の全体側面図
【図2】苗植付装置の全体側面図
【図3】苗のせ台の背面図
【図4】左の支持部材及び左の供給装置の付近の縦断側面図
【図5】右の支持部材及び右の供給装置の付近の縦断側面図
【図6】右の駆動機構の付近の縦断背面図
【図7】左の支持部材の付近を示す斜視図
【図8】右の支持部材の付近を示す斜視図
【図9】作業状態での苗植付装置を示す平面図
【図10】作業状態と折り畳み状態との間の状態を示す平面図
【図11】折り畳み状態での苗植付装置を示す平面図
【図12】圃場用薬剤散布装置の一部切り欠き縦断側面図
【図13】圃場用薬剤散布装置の一部切り欠き縦断背面図
【図14】圃場用薬剤散布装置の支持状態を示す背面図
【図15】支持部を示す斜視図
【図16】薬剤散布装置の収納位置と散布位置とを示す側面図
【図17】作業状態での苗植付装置を示す平面図
【図18】折り畳み状態での苗植付装置を示す平面図
【図19】折り畳まれた状態での乗用型田植機の背面図
【符号の説明】
【0055】
7 苗植付装置
7L 右の植付部分
7R 左の植付部分
13 苗のせ台
66 支持部
81 支持ブラケット(基端側支持部)
82 支持用フレーム(先端側支持部)
83 連結部
84 締め付け部
85 棒状部材
85a 雌ネジ部
86 雄ネジ部材
C 薬剤散布装置(圃場用薬剤散布装置)
Q 横軸芯
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【住所又は居所】大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号
【出願日】 平成16年1月22日(2004.1.22)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎

【公開番号】 特開2005−204571(P2005−204571A)
【公開日】 平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願番号】 特願2004−14681(P2004−14681)