トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 田植機における苗載台の横送り装置
【発明者】 【氏名】山下 綱丈
【住所又は居所】大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマー農機株式会社内

【要約】 【課題】往復螺旋溝14を備えた横送り軸13に、前記往復螺旋溝に係合する滑りキー20を備えたボス体15を被嵌し、前記横送り軸の回転にて苗載台7を左右に往復動するに際して、その往復動の円滑性を確保するために前記ボス体のうち前記横送り軸が貫通する貫通孔15a内の両端部に、軸受けブッシュ体23を装着したとき、この軸受けブッシュ体の耐久性の向上を図る。

【解決手段】前記各軸受けブッシュ体23のうち少なくともその内周面における硬度を、前記横送り軸13の外周面における硬度よりも高くする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン等の動力源から動力伝達にて回転する横送り軸に、往復螺旋溝を刻設するとともに、苗載台に連動するボス体を回転及び摺動自在に被嵌し、このボス体に設けた滑りキーを前記横送り軸における往復螺旋溝に係合する一方、前記ボス体のうち前記横送り軸が貫通する貫通孔内の両端部に、軸受けブッシュ体を、当該軸受けブッシュ体の内周面が前記横送り軸の外周面に対して回転及び摺動自在な状態で密接して被嵌するように装着して成る横送り装置において、
前記各軸受けブッシュ体のうち少なくともその内周面における硬度を、前記横送り軸の外周面における硬度よりも高くすることを特徴とする田植機における苗載台の横送り装置。
【請求項2】
前記請求項1の記載において、前記横送り軸は、その外周面の硬度をHRCで40〜46にするように焼き入れを施した炭素鋼であり、前記各軸受けブッシュ体は、その内周面の硬度をHRCで57〜63にするように焼き入れを施した炭素鋼であることを特徴とする田植機における苗載台の横送り装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、田植機において、その苗載台を、横方向に往復して移動するための横送り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の横送り装置は、例えば、特許文献1等に記載されているように、エンジン等の動力源から動力伝達にて回転する横送り軸に、往復螺旋溝を刻設するとともに、苗載台に連動するボス体を回転及び摺動自在に被嵌し、このボス体に設けた滑りキーを前記横送り軸における往復螺旋溝に係合することにより、前記苗載台を、横送り軸の回転によって横方向に往復して移動するという構成であった。
【0003】
また、前記した従来の横送り装置においては、そのボス体のうち前記横送り軸が貫通する貫通孔の内部には、当該貫通孔における両端の部分に、軸受けブッシュ体を、当該軸受けブッシュ体の内周面が前記横送り軸の外周面に対して回転及び摺動自在な状態で密接して被嵌するように装着することにより、前記ボス体が横送り軸に沿って往復動するときにおける摺動の円滑性を図るように構成している。
【特許文献1】特開平5−199808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記ボス体における貫通孔内に装着した両軸受けブッシュ体における内周面は、その面積が前記横送り軸における外周面の面積よりも遥かに狭いことに加えて、前記ボス体の往復動に際して、前記横送り軸の外周面と、これに刻設した往復螺旋溝との角部によって削られることにより、この内周面における磨耗が可成り激しくて、前記軸受けブッシュ体を頻繁に交換しなればならないという問題があった。
【0005】
また、前記軸受けブッシュ体における内周面が、前記横送り軸における往復螺旋溝によって削られ、この削り片が前記往復螺旋溝に詰まり、やがて、横送り装置全体の破損を招来するという問題もあった。
【0006】
本発明は、この問題を解消した横送り装置を提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この技術的課題を達成するため本発明の請求項1は、
「エンジン等の動力源から動力伝達にて回転する横送り軸に、往復螺旋溝を刻設するとともに、苗載台に連動するボス体を回転及び摺動自在に被嵌し、このボス体に設けた滑りキーを前記横送り軸における往復螺旋溝に係合する一方、前記ボス体のうち前記横送り軸が貫通する貫通孔内の両端部に、軸受けブッシュ体を、当該軸受けブッシュ体の内周面が前記横送り軸の外周面に対して回転及び摺動自在な状態で密接して被嵌するように装着して成る横送り装置において、
前記各軸受けブッシュ体のうち少なくともその内周面における硬度を、前記横送り軸の外周面における硬度よりも高くする。」
ことを特徴としている。
【0008】
また、本発明の請求項2は、
「前記請求項1の記載において、前記横送り軸は、その外周面の硬度をHRCで40〜46にするように焼き入れを施した炭素鋼であり、前記各軸受けブッシュ体は、その内周面の硬度をHRCで57〜63にするように焼き入れを施した炭素鋼である。」
ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
このように、各軸受けブッシュ体の内周面における硬度を、前記横送り軸の外周面における硬度よりも高くすることにより、前記面積の狭い内周面が、横送り軸のうち前記内周面よりも硬度の低い外周面と往復螺旋溝との角部によって削られることを、確実に低減することができるから、前記軸受けブッシュ体の耐久製を著しく向上できるのであり、しかも、削り片の発生が少ないので、前記往復螺旋溝が詰まることに起因する破損を大幅に低減できるのである。
【0010】
特に、本発明者の実験によると、請求項2に記載した構成にすることにより、前記した効果を、前記軸受けブッシュ体及び横送り軸を、廉価な炭素鋼製にすることで、確実に達成できるのであった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面について説明する。
【0012】
図1及び図2は、乗用型の田植機を示し、この田植機は、前二輪2及び後ろ二輪3にて支持された走行機体1の後部に、苗植装置4を昇降動可能に装着して成る構成であり、前記走行機体1の前部に搭載したエンジン5にて前記両後ろ二輪3を回転駆動することにより走行するように構成されている。
【0013】
前記苗植装置4は、前記走行機体1の走行方向に対して横方向に延びる伝動ケース5と、この伝動ケース5から後ろ方向に突出する複数個の植付けケース6と、これら伝動ケース5及び各植付けケース6の上面側に設けた前傾式の苗載台7とから成り、前記各植付けケース6の先端には、植付け爪を備えた苗植付け機構9を設けることにより、この苗植付け機構9にて、前記苗載台7に乗せた苗を一株ずつ圃場面8に植え付けるように構成している。
【0014】
また、前記苗載台7は、横方向に延びる上下一対のレール10,11にて横方向に移動自在に支持され、且つ、後述する横送り装置12にて、左右の横方向に往復動するように構成されている。
【0015】
この横送り装置12は、図3に示すように、外周面に往復螺旋溝14を刻設した横送り軸13と、この横送り軸13に、当該横送り軸13が貫通するように被嵌したボス体15から成り、前記横送り軸13の一端を、前記伝動ケース5に、当該伝動ケース5内における駆動軸16に対して軸継ぎ手16aにて着脱自在に連結するように軸支し、前記横送り軸13の他端を軸支する軸受け部17を、これに取り付けたブラケット18を介して伝動ケース5等の機体側に対してボルト19の締結等にて着脱可能に取付けることにより、前記横送り軸13を、その他端における軸受け部17を、ブラケット18から取り外すか、或いは、前記ブラケット18を伝動ケース5から取り外すだけで、伝動ケース5側から取り外すことができるように構成する。
【0016】
一方、前記ボス体15を、前記苗載台7に連結し、且つ、このボス体15に、前記横送り軸13における往復螺旋溝14に係合する滑りキー20を設けることにより、前記横送り軸13を、前記エンジン5にて駆動軸16を介して一方向に回転することで、前記苗載台7を、左右の横方向に往復動するように構成する。
【0017】
この場合、前記苗載台7の上端における裏面側には、合成樹脂製の延長苗台21が、上下動自在に装着されている。
【0018】
すなわち、前記苗載台7の上端における裏面側に、アルミニウム等の金属板にて上下一対のフランジ片22a,22bを有するように断面コ字状にした補強部材22を固着する一方、前記延長苗台21を、上下方向に延びるように複数本の脚棒21aを有する櫛歯状に構成して、その各脚棒21aを、前記補強部材22における一対のフランジ片22a,22bに穿設した装着孔内に上下動可能に差し込むことにより、前記延長苗台21を、苗載台7の上端から二点鎖線で示すように、当該苗載台7の上端を延長するように大きく引き出した状態と、苗載台7の上端からの延長高さを低くするように収納した状態とに任意に操作できるように構成している。
【0019】
また、前記延長苗台21における任意の脚棒21aの下端には、当該脚棒21aを補強部材22における装着孔内に挿入したあとでねじ21bをねじ込みすることで、抜け不能に構成されている。更にまた、前記延長苗台21には、これを引き出したり又は収納したりすることを容易するための手挿入孔21cが穿設されている。
【0020】
この延長苗台21の構成によると、前記苗載台7の上端を、その裏面側において補強する補強部材22を利用して、延長苗台21を設けることができ、しかも、延長苗台21を前記補強部材22で支持することで、この支持部の剛性が高いから、前記延長苗台21の引き出し及び収納が円滑にできる利点がある。
【0021】
前記横送り装置12において、前記ボス体15のうち前記横送り軸13が貫通する貫通孔15a内の両端部に、軸受けブッシュ体23を、当該軸受けブッシュ体23の内周面が前記横送り軸13の外周面に対して回転及び摺動自在な状態で密接して被嵌するように装着する。
【0022】
そして、前記横送り軸13を、炭素鋼製にして、少なくともその外周面における硬度がHRCで40〜46になるように高周波等にて焼き入れを施す一方、前記各軸受けブッシュ体23を、炭素鋼製にして、少なくともその内周面における硬度がHRCで57〜63になるように浸炭等にて焼き入れを施すという構成にする。
【0023】
なお、前記各軸受けブッシュ体23の外側には、抜け止め用の割りリング24が着脱可能に装着されている。また、前記横送り軸13のうち前記ボス体15から突出する部分は、ゴム製の伸縮自在を蛇腹管25にてカバーされている。
【0024】
前記したように、各軸受けブッシュ体23の内周面における硬度を、前記横送り軸13の外周面における硬度よりも高くすることにより、前記面積の狭い内周面が、横送り軸13のうち前記内周面よりも硬度の低い外周面と往復螺旋溝14との角部によって削られることを、確実に低減することができる。
【0025】
本発明者の実験によると、前記したように、前記横送り軸13を、炭素鋼製にして、少なくともその外周面における硬度がHRCで40〜46になるように焼き入れを施す一方、前記各軸受けブッシュ体23を、炭素鋼製にして、少なくともその内周面における硬度がHRCで57〜63になるように焼き入れを施すという構成にすることにより、前記ボス体15が横送り軸13に沿って往復動するときにおける摺動の円滑性を最も良くすることができるとともに、前記各軸受けブッシュ体23の内周面における磨耗を最小限にとどめることができるのであった。
【0026】
また、前記した横送り軸13の取付け・取り外し構造により、前記ボス体15における各軸受けブッシュ体23の交換が、伝動ケース5を分解することなく容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】乗用型田植機の側面図である。
【図2】乗用型田植機の平面図である。
【図3】苗載台の横送り装置を示す図である。
【図4】図2のIV−IV視拡大断面図である。
【図5】図4のV−V視裏面図である。
【符号の説明】
【0028】
7 苗載台
12 横送り装置
13 横送り軸
14 往復螺旋溝
15 ボス体
15a ボス体の貫通孔
20 滑りキー
23 軸受けブッシュ体
【出願人】 【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマー株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号
【出願日】 平成15年10月7日(2003.10.7)
【代理人】 【識別番号】100079131
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 暁夫

【識別番号】100096747
【弁理士】
【氏名又は名称】東野 正

【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸

【公開番号】 特開2005−110558(P2005−110558A)
【公開日】 平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願番号】 特願2003−348087(P2003−348087)