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【発明の名称】 種子用コーティング材料およびそれを用いたコーティング種子
【発明者】 【氏名】長谷川 亮
【住所又は居所】兵庫県宝塚市高司四丁目2番1号 住友化学株式会社内

【氏名】横地 太郎
【住所又は居所】兵庫県宝塚市高司四丁目2番1号 住友化学株式会社内

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
種子粒径が1500μm程度以下のオーダーである種子用コーティング材料であって、相対湿度100%中での平均含水率が5.0〜10.0湿重量%、仮比重が0.10〜0.40g/cm3の粘土鉱物および水溶性バインダーから実質的になることを特徴とする種子用コーティング材料。
【請求項2】
種子粒径が1500μm程度以下のオーダーである種子用コーティング材料であって、相対湿度100%中での平均含水率が5.0〜10.0湿重量%、仮比重が0.10〜0.40g/cm3、粒度が280メッシュ以下の粘土鉱物および水溶性バインダーから実質的になることを特徴とする種子用コーティング材料。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の種子用コーティング材料を用いて被覆されたコーティング種子。
【請求項4】
相対湿度100%中での平均含水率が5.0〜10.0湿重量%、仮比重が0.10〜0.40g/cm3の粘土鉱物および0.5cpsから15cpsの粘度範囲に調製した水溶性バインダーの水溶液を用いて種子を被覆造粒することによって得られる請求項3記載のコーティング種子。
【請求項5】
種子粒径が1500μm程度以下のオーダーである種子が花の種子であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の種子用コーティング材料。




【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、種子を利用する分野において播種作業を省力化させるためのペレット種子用コーティング材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
種子を利用する分野において播種作業を省力化し、少ない労働力で大規模な作業をするために多様な形状をした種子を一定の形状や特定の重量に被覆造粒する技術、すなわち種子コーティングがますます重要となってきている。とりわけ、農業生産においては効率的でかつ、計画的な栽培を行うための高性能な種子が要求されている。
一般の野菜の種子のような比較的大粒の種子においては、従来から様々な種子用コーティング材料が知られており、例えば非晶質シリカ、タルク、カオリナイト、珪藻土、炭酸カルシウム等の無機物の単材もしくはそれらの混合物が使用されている。これらの無機物をデンプン、ゼラチン、PVAまたは水等の結合材と共に種子にコーティングすることによってコーティング種子を得ていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、野菜の種子のように吸水によって被覆層内部の種子が膨張し、その力で被覆層に亀裂を生じせしめるような場合と異なり、一般に花の種子に代表されるような種子粒径が1500μm程度以下のオーダーである種子の場合、種子の膨張力で被覆層に亀裂を生じせしめるまでに時間がかかるため、とりわけ発芽に際して光を必要とするような種子では裸種子と比較して著しい発芽遅延もしくは発芽率低下をきたしてしまう等の問題があった。また被覆層に亀裂が入り幼根が生長し始めた場合、乾燥固結性の強いコーティング材料を用いると、微細な根系が固い材質(被覆層)に接触して傷みやすいという欠点もあった。
従って、灌水等の水分供給によって被覆層に水が接触した際に、速やかに被覆層の上部が開裂するコーティング材料が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このような状況下で、本発明者らは鋭意検討を行った結果、相対湿度100%中での平衡含水率がある特定範囲で、仮比重がある種の範囲にある粉体および水溶性バインダーから実質的になるように調製した種子用コーティング材料を用いて種子を被覆することによって、灌水等の水分供給によって被覆層に水が接触した際に、速やかに被覆層の上部が開裂すること、さらに該種子用コーティング材料によって発芽性能を低下させることなく発芽速度、発芽率共に充分に満足できるコーティング種子が製造できることを見い出し本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、相対湿度100%中での平衡含水率が5.0〜10.0湿重量%、仮比重が0.10〜0.40g/cm3 の粉体および水溶性バインダーから実質的になることを特徴とする種子用コーティング材料(以下、本発明コート材料と記す。)、および該種子用コーティング材料を用いて被覆されたコーティング種子(以下、本発明コート種子と記す。)を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明コート材料を用いて種子を被覆することによって、灌水等の水分供給によって被覆層に水が接触した際に、速やかに被覆層の上部が開裂すること、さらに該種子用コーティング材料によって発芽性能を低下させることなく発芽速度、発芽率共に充分に満足できるコーティング種子の製造を可能にした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、さらに詳細に本発明を説明する。
本発明において用いられる粉体とは、相対湿度100%中での平衡含水率が5.0〜10.0湿重量%、仮比重が0.10〜0.40g/cm3 である必要がある。上記のような比較的低い平衡含水率を有する粉体は、例えば、カオリン、珪藻土、クロライト、パイロフィライト、タルク等の粘土鉱物の中から適するものを選択すればよい。もちろん、これらを組み合わせることも可能である。仮にカオリン、珪藻土、クロライト、パイロフィライト、タルク等の粘土鉱物であっても、相対湿度100%中での平衡含水率が10.0湿重量%を超えるような吸湿性の粉体の場合には、粒子間の付着力が高くなりすぎ、本発明が解決するような被覆層の上部が開裂性が得られない。一方、5.0湿重量%未満の超低吸湿性の粉体の場合には、粒子間の付着力が低くなりすぎ、本発明が解決するような被覆層の上部が開裂性が得られない。また、仮比重が0.10〜0.40g/cm3 の範囲を外れた場合にも、被覆層に水が接触した際に、速やかに被覆層の上部が開裂しなくなるので、本発明に適する平衡含水率を有する粉体の中から、さらに仮比重の適するものを選択することによって本発明において用いられる粉体を選び出すことができる。
なお、本発明における良好な開裂性とは、コーティング種子を湿った濾紙上に置いた際に約10秒程度で被覆層の上部が開裂し始め、種子が露出することを意味する。
また、本発明において用いられる粉体の粒度(粒径)は、約280メッシュ(53μm)程度以下であることが好ましい。特に花の種子に代表されるような種子粒径が1500μm程度以下のオーダーである種子、たとえば、ベゴニア種子の粒径は120〜250μm、ユーストマで200〜350μm、りんどう、ペテュニアで290〜710μm、の場合、被覆材料の粒度が大きくなると加工性が悪くなる等の影響が大きい。
【0007】
本発明において用いられる水溶性バインダーとしては、例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、PVA等をあげることができる。
該水溶性バインダーは、約0.5cpsから約15cpsの粘度範囲に調製した水溶液の形で、通常、被覆材料に添加されたり、または種子に直接吹き付けながら使用される。仮にこの濃度が約0.5cps未満であると被覆層の強度が不足し、良好な製品(コーティング種子)収率の低下につながり、一方、約15cpsを超えると粘性が高くなることで団粒が多く加工できなくなるか、あるいは被覆層の強度が高すぎて発芽が遅延したり、粘着性が勝って根系の呼吸活動を抑制したりして良好な製品(コーティング種子)が得られない。
また、本発明において用いられる水溶性バインダーの粒度(粒径)は、約280メッシュ(53μm)程度以下であることが好ましい。特に花の種子に代表されるような種子粒径が1500μm程度以下のオーダーである種子、たとえば、ベゴニア種子の粒径は120〜250μm、ユーストマで200〜350μm、りんどう、ペテュニアで290〜710μm、の場合、被覆材料の粒度が大きくなると加工性が悪くなる等の影響が大きい。
【0008】
また本発明コート材は、相対湿度100%中での平衡含水率が5.0〜10.0湿重量%、仮比重が0.10〜0.40g/cm3 の粉体および水溶性バインダーから実質的になることを特徴とする種子用コーティング材料であるが、他の成分として殺菌剤、殺虫剤等の農薬、発芽促進剤等の植物成長調節剤等を適当量含有させることもできる。さらに、本発明コート材を用いて種子を被覆造粒するに際して、予め殺菌剤、殺虫剤等の農薬や発芽促進剤等の植物成長調節剤等を適当量種子に付着させておくこともできる。このようにして種子の発芽促進や病害虫の予防をすることも可能である。
【0009】
本発明コート材を用いて種子を被覆造粒する方法としては、例えば、流動装置や回転パン等を使用する公知の方法をあげることができる。
以下、本発明を実施例によってさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【実施例】
【0010】
実施例1
回転パンにユーストマ(Eustoma russellianum G. Don )種子を50g投入し、回転数140rpmで種子を回転させながら、粉体としてパイロフィライトとカオリンの混合物〔3:2(重量比)、相対湿度100%中での平衡含水率が10湿重量%程度、仮比重が0.32g/cm3 〕を15g/分の速度で徐々に供給し、同時に水溶性バインダーとして粘度10cpsのPVA水溶液も1.5g/分の速度で供給し、30分間加工することによって、本発明コート材料による種子の被覆造粒を行った。さらに得られた被覆造粒種子を乾燥機を用いて、最終含水率が4.5湿重量%になるまで乾燥することによって、本発明コート種子(粒径は1.00〜1.68mmφ)を得た。得られた本発明コート種子の圧縮強度(g)は90で、水接触1分後の開裂性(%)は82であった。また、本発明コート材料の加工性はよく、しかも良好な製品(コーティング種子)収率は93%と高い値であった。
【0011】
試験例1
実施例1によって得られた本発明コート種子の発芽性能を調査するために、被覆前の裸種子と同時に育苗培土(太平園芸培土)をつめたプラグトレーに播種し、上面から充分に灌水して育苗ハウス内で栽培した。7日目に発芽勢(%)および14日目に発芽率(%)を調査した。その結果を表1に示す。本発明コート種子は発芽性能を低下することなく発芽勢、発芽率共に裸種子と同等であった。
【0012】
【表1】


【0013】
実施例2
回転パンにエキザカム(Exacum affine Balf. )種子を20g投入し、回転数140rpmで種子を回転させながら、粉体としてパイロフィライト、カオリンおよびタルクの混合物〔5:3:2(重量比)、相対湿度100%中での平衡含水率が8湿重量%程度、仮比重が0.34g/cm3 〕を35g/分の速度で徐々に供給し、同時に水溶性バインダーとして粘度8cpsのカルボキシメチルセルロース水溶液も1.5g/分の速度で供給し、30分間加工することによって、本発明コート材料による種子の被覆造粒を行った。さらに得られた被覆造粒種子を乾燥機を用いて、最終含水率が4.5湿重量%になるまで乾燥することによって、本発明コート種子(粒径は1.00〜1.68mmφ)を得た。得られた本発明コート種子の圧縮強度(g)は92で、水接触1分後の開裂性(%)は78であった。また、本発明コート材料の加工性はよく、しかも良好な製品(コーティング種子)収率は97%と高い値であった。
【0014】
試験例2
実施例2によって得られた本発明コート種子の発芽性能を調査するために、被覆前の裸種子と同時に育苗培土(太平園芸培土)をつめたプラグトレーに播種し、上面から充分に灌水して育苗ハウス内で栽培した。7日目に発芽勢(%)および14日目に発芽率(%)を調査した。その結果を表2に示す。本発明コート種子は発芽性能を低下することなく発芽勢、発芽率共に裸種子と同等であった。
【0015】
【表2】


【0016】
比較例1
回転パンにユーストマ(Eustoma russellianum G. Don )種子を50g投入し、回転数140rpmで種子を回転させながら、粉体としてベントナイトとパリゴルスカイトの混合物〔1:4(重量比)、相対湿度100%中での平衡含水率が25湿重量%程度、仮比重が0.40g/cm3 〕を15g/分の速度で徐々に供給し、同時に水溶性バインダーとして粘度10cpsのカルボキシメチルセルロース水溶液も1.5g/分の速度で供給し、30分間加工することによって、比較コート材料による種子の被覆造粒を行った。さらに得られた被覆造粒種子を乾燥機を用いて、最終含水率が4.5湿重量%になるまで乾燥することによって、比較コート種子(粒径は1.00〜1.68mmφ)を得た。得られた比較コート種子の圧縮強度(g)は680で、水接触1分後の開裂性(%)は0であった。
【0017】
比較試験例1
比較例1によって得られた比較コート種子の発芽性能を調査するために、被覆前の裸種子と同時に育苗培土(太平園芸培土)をつめたプラグトレーに播種し、上面から充分に灌水して育苗ハウス内で栽培した。7日目に発芽勢(%)および14日目に発芽率(%)を調査した。その結果を表3に示す。比較コート種子は発芽性能を著しく低下し、発芽勢、発芽率共に裸種子より著しく劣った。
【0018】
【表3】


【0019】
比較例2
回転パンにエキザカム(Exacum affine Balf. )種子を20g投入し、回転数140rpmで種子を回転させながら、粉体としてベントナイトとパリゴルスカイトの混合物〔1:4(重量比)、相対湿度100%中での平衡含水率が25湿重量%程度、仮比重が0.40g/cm3 〕を35g/分の速度で徐々に供給し、同時に水溶性バインダーとして粘度8cpsのカルボキシメチルセルロース水溶液も1.5g/分の速度で供給し、30分間加工することによって、比較コート材料による種子の被覆造粒を行った。さらに得られた被覆造粒種子を乾燥機を用いて、最終含水率が4.5湿重量%になるまで乾燥することによって、比較コート種子(粒径は1.00〜1.68mmφ)を得た。得られた比較コート種子の圧縮強度(g)は643で、水接触1分後の開裂性(%)は0であった。
【0020】
比較試験例2
比較例2によって得られた比較コート種子の発芽性能を調査するために、被覆前の裸種子と同時に育苗培土(太平園芸培土)をつめたプラグトレーに播種し、上面から充分に灌水して育苗ハウス内で栽培した。7日目に発芽勢(%)および14日目に発芽率(%)を調査した。その結果を表4に示す。比較コート種子は発芽性能を著しく低下し、発芽勢、発芽率共に裸種子より著しく劣った。
【0021】
【表4】


【0022】
参考例1
回転パンにユーストマ(Eustoma russellianum G. Don )種子を50g投入し、回転数140rpmで種子を回転させながら、粉体としてパイロフィライトとカオリンの混合物〔3:2(重量比)、相対湿度100%中での平衡含水率が10湿重量%程度、仮比重が0.32g/cm3 )を15g/分の速度で徐々に供給し、同時に水溶性バインダーとして粘度0.3cpsのPVA水溶液も1.5g/分の速度で供給し、30分間加工することによって、参考コート材料による種子の被覆造粒を行った。さらに得られた被覆造粒種子を乾燥機を用いて、最終含水率が4.5湿重量%になるまで乾燥することによって、参考コート種子(粒径は1.00〜1.68mmφ)を得た。得られた参考コート種子の圧縮強度(g)は16で、水接触1分後の開裂性(%)は48であった。また、参考コート材料の加工性は悪く、しかも良好な製品(コーティング種子)収率は76%と低い値であった。
【0023】
参考試験例1
参考例1によって得られた参考コート種子の発芽性能を調査するために、被覆前の裸種子と同時に育苗培土(太平園芸培土)をつめたプラグトレーに播種し、上面から充分に灌水して育苗ハウス内で栽培した。7日目に発芽勢(%)および14日目に発芽率(%)を調査した。その結果を表5に示す。参考コート種子は発芽性能を低下することなく発芽勢、発芽率共に裸種子と同等であった。
【0024】
【表5】






【出願人】 【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
【住所又は居所】東京都中央区新川二丁目27番1号
【出願日】 平成16年10月6日(2004.10.6)
【代理人】 【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆

【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨

【識別番号】100119471
【弁理士】
【氏名又は名称】榎本 雅之

【公開番号】 特開2005−65700(P2005−65700A)
【公開日】 平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願番号】 特願2004−293436(P2004−293436)