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【発明の名称】 水田作業機のフロート装置
【発明者】 【氏名】玉井 利男
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】岡田 卓也
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】池田 孝志
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】渡部 一郎
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【要約】 【課題】水田作業機のフロート装置において、隣接条への泥押しを抑えるとともに適切な整地性により安定した水田作業を可能とする。

【解決手段】水田作業機のフロート装置9は、水田における植付、播種、施肥等の対地作業を行うための水田作業機1の機体後部に昇降可能に備えられ、対地作業を行うべき範囲を均平整地するフロートから構成され、上記フロートは、複数条の対地作業位置P,Pを整地する中央整地具11,11と、この中央整地具11,11の両外側の左右1条分の対地作業位置Q,Qを均平整地する単独動作可能な側部整地具12,12とを備え、この側部整地具12,12は、その対地作業位置Q,Qの前方で均平に必要な最小外側幅Wに延出する幅広の本体部を備え、この本体部の後端から同対地作業位置Q,Qの作業具5b、5bの内側方に沿うように幅の狭い側沿部12a,12aを本体部と一体に形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水田における植付、播種、施肥等の対地作業を行うための水田作業機1の機体後部に昇降可能に備えられ、対地作業を行うべき範囲を均平整地するフロートからなる水田作業機のフロート装置9において、
上記フロートは、複数条の対地作業位置(P,P)を整地する中央整地具(11,11)と、この中央整地具(11,11)の両外側の左右1条分の対地作業位置(Q,Q)を均平整地する単独動作可能な側部整地具(12,12)とを備え、この側部整地具(12,12)は、その対地作業位置(Q,Q)の前方で均平に必要な最小外側幅(W)に延出する幅広の本体部を備え、この本体部の後端から同対地作業位置(Q,Q)の作業具(5b、5b)の内側方に沿うように幅の狭い側沿部(12a,12a)を本体部と一体に形成したことを特徴とする水田作業機のフロート装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、水田における植付、播種、施肥等の対地作業を行うための水田作業機の機体後部に備えられるフロートからなる水田作業機のフロート装置に関するものであり、特に、隣接条への泥押しを抑えることにより安定した水田作業を可能とする水田作業機のフロート装置に関するものである
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のように、水田における植付、播種、施肥等の対地作業を行うための水田作業機に備えられるフロートからなる水田作業機のフロート装置が知られている。このフロート装置は、水田走行機体の後部に配置された植付機等の作業機による対地作業位置の直前部に配置され、水田面を押さえることによって2条分の対地作業範囲を整地するフロートによる整地具を並列して合計6条幅を整地するように構成される。中央の整地具は上下動作によって水面高さを検出するセンサを備え、その検出信号により、フロート装置と対地作業部を機体に対して上下調節制御することによって対地作業部を所定高さに維持しつつ水田面を整地することにより、安定して植付等の対地作業を可能とする。
【0003】
しかし、フロートの整地作用に伴い、外側端位置のフロートからの泥押しが隣接部に及び、既に植え付けた苗が倒れ、または、播いた種や肥料が流されるという障害を起こす場合があった。その一方で、泥押しを抑えるためにフロート幅を小さくすると車輪の通過跡等に埋没して整地が不十分となり、安定した対地作業が困難となるという問題を生じる。
【特許文献1】特開平5−260833号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、水田走行機体に植付機等の作業機を設けて水田作業を行う水田作業機のフロート装置において、走行機体の車輪通過跡等の整地のために外側端位置のフロートの平底面を大きくすると、逆に、同フロートからの泥押しが作業済みの隣接条に及ぶことから、結果として植付等の対地作業の安定性が損なわれるという点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、水田における植付、播種、施肥等の対地作業を行うための水田作業機1の機体後部に昇降可能に備えられ、対地作業を行うべき範囲を均平整地するフロートからなる水田作業機のフロート装置9において、上記フロートは、複数条の対地作業位置P,Pを整地する中央整地具11,11と、この中央整地具11,11の両外側の左右1条分の対地作業位置Q,Qを均平整地する単独動作可能な側部整地具12,12とを備え、この側部整地具12,12は、その対地作業位置Q,Qの前方で均平に必要な最小外側幅Wに延出する幅広の本体部を備え、この本体部の後端から同対地作業位置Q,Qの作業具5b、5bの内側方に沿うように幅の狭い側沿部12a,12aを本体部と一体に形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
上記構成の発明は以下の効果を奏する。
本発明のフロート装置は、中央整地具が2条以上の幅を有することから安定動作が確保され、その全幅の負荷分散によって水田圃場に跡を付けることなく適正に整地することができる。この中央整地具から側方に及ぶ泥水流は、側部整地具によって吸収されるので、その外側方の隣接条への泥水流が抑えられる。側部整地具は、その本体部によって対地作業のための必要整地幅を確保し、かつ、対地作業位置の内側に延びる側沿部により負荷を分担するとともに、外側方への泥水流を抑えることができる。したがって、側部整地具からの泥押しを抑えて隣接部を保護するとともに、フロートとして必要な大きさを確保することができるので、整地作用を損なうことなく安定した対地作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の実施の形態について、以下に図面に基づいて詳細に説明する。
図1、図2は、それぞれ、本発明のフロート装置を適用した水田作業機の側面図と平面図である。図1および図2において、水田作業機1は、前輪2、2と後輪3、3とによって支持された機体フレーム4の後部にフロート装置9と植付、播種、施肥等の作業機5(図例は6条幅苗植付機)を昇降リンク4aにより昇降調節可能に備えて構成される。機体フレーム4には、その前半部に伝動機6を、また、後半部の座席7の下にエンジン8を装荷し、その動力により機体の走行とともに作業機5の稼動および昇降を調節する。
【0008】
作業機5は、田植作業用の6条植付機の例として、苗供給部5aの後端において1株分の苗を掻き取って植え付けるために略上下方向に繰り返し動作する前後2つの植付杆5b,5bによる植付部(作業部)を配置し、これを機体最後部に横6条幅で並列配置に構成する。
【0009】
フロート装置9は、中央の4条幅を左右に2分した2条分の対地作業位置P,Pをそれぞれ整地するとともに水田面検出センサ(不図示)を備える2つの中央整地具11,11と、この2つの中央整地具11,11の左右に中央整地具11と独立して上下動作可能に各1条分の対地作業位置Qを整地する側部整地具12,12とを備えて対地作業位置に先行する位置で6条分を整地する。
【0010】
詳細には、6条田植機に適用したフロート装置の拡大平面図を図3に示すように、中央整地具11は、2条分の植付杆5b,5bによる植付位置P,Pである対地作業位置を均平整地するフロート板であり、左右の後輪3,3の間から植付杆5bの近傍まで延びる幅広の本体部に両植付杆5b、5bの内側方に沿うように幅の狭い側沿部11aを一体に形成する。側部整地具12は、後輪3,3のそれぞれの後方で左右の外側端位置の各1条分の植付杆5b,5bによる対地作業位置Q,Qを均平整地するフロート板であり、その対地作業用の植付杆5bの前方において必要な最小外側幅Wの幅広の本体部を形成し、この本体部の後端に、各植付杆5b,5bの内側方に沿うように幅の狭い側沿部12a,12aを一体に形成する。
【0011】
上記構成のフロート装置9は、中央整地具11,11がそれぞれ2条以上の幅を有することから安定して水田面を検出して植付部の高さ調節することができ、その全幅の負荷分散によって水田圃場に跡を付けることなく適正に整地することができる。この中央整地具11,11から外側方に及ぶ泥水流は、側部整地具12,12によって吸収されるので、その外側方の隣接条への泥水流が抑えられる。側部整地具12,12は、その本体部によって対地作業のための必要整地幅を確保し、かつ、対地作業用の植付杆5bの内側に延びる側沿部12aにより負荷を分担するとともに、外側方への泥水流を抑えることができる。したがって、側部整地具12からの泥押しを抑えて作業済みの隣接条を保護するとともに、フロートとして必要な大きさを確保することにより、整地作用を損なうことなく安定した対地作業を行うことができる。
【0012】
つぎに、5条作業用のフロート装置について説明する。図4は、5条田植機に適用したフロート装置の拡大平面図である。以下において、前記同様の部材はその符号を付すことによって説明を省略する。フロート装置21は、3条分の対地作業位置P…を整地する中央整地具22と、この中央整地具22の左右に独立に上下動作可能に各1条分の対地作業位置Q,Qを整地する左右の側部整地具12,12とを備えて対地作業位置P,Qに先行する位置で5条分を整地する。
【0013】
中央整地具22は、3条分の植付杆5b…による植付位置P…である対地作業位置を均平整地するフロート板であり、左右の後輪3,3の間から後方に延びる幅広の本体部に中央3条分の植付杆5b…の側方に沿うように幅の狭い2つの側沿部22a,22aを一体に形成し、この中央整地具22と両外側の2つの側部整地具12、12と合わせることにより、5条幅を上記同様に均平整地することができる。
【0014】
つぎに、上記における側部整地具の他の実施の形態について説明する。図5は、側部整地具の断面図である。図5において、側部整地具31は、本体部に対してその後部に延びる側沿部31aを伸縮可能なスライド式に構成し、この側沿部31aを進退動作させるスクリュー軸32と、このスクリュー軸32を正逆転駆動するモータ33とによる進退駆動部を内設する。モータ33を信号に応じて正逆転制御することにより、必要に応じて側沿部31aを伸縮することができる。
【0015】
この側部整地具31の制御例に係るフローチャートを図6に示す。側部整地具31には、フロート荷重を検出する荷重センサを取付け、この荷重センサの信号によって以下のようにモータ33の作動を制御する制御部と接続する。植付クラッチ入の場合においてフロート位置をチェックし(S1,S2)、続いて荷重センサによりフロート荷重をチェックする(S3,S5)。フロートが短縮状態において荷重が基定値以上であれば、伸張方向にモータを作動させ(S4)、また、フロートが伸張状態において荷重が基定値以下であれば、短縮方向にモータを作動させる(S6)ように制御部を構成する。このように、側部整地具31を荷重センサの検出信号に基づいて伸縮制御することにより、機体走行時の左右のローリングによる影響を小さく抑えて整地性を確保することができる。
【0016】
つぎに、4条作業用のフロート装置について説明する。図7、図8は、4条作業用のフロート装置の平面図とその側面図である。図7および図8において、フロート装置41は、4条幅の内側2条の対地作業位置P,Pおよび外側2条の対地作業位置Q,Qである植付位置を均平整地する一体型のフロート板42によって構成される。
【0017】
このフロート板42は、左右の後輪3,3の間から植付杆5bの近傍まで延びる幅広の本体部を備え、4条幅内の左右の外側条の植付杆5b、5bの前方において必要な外側最小幅Wの範囲まで、後輪3,3を避けて左右に延出するサイド部42a,42aを備える。この左右のサイド部42a,42aの後端には、それぞれの内外側の対地作業位置P,Qと対応する内外2条分の植付杆5b、5bの内側に沿うように幅の狭い左右の側沿部42b,42bを一体に形成する。
【0018】
また、フロート板42本体部の両サイド部42b、42bは、その前端の後輪3,3に臨む範囲を略直立に形成するとともに、裏面側にそれぞれV字溝43,43を形成する。これらのV字溝43,43は、それぞれ、左右の後輪3,3の後方位置において、本体部から左右の側沿部42b,42bの後端近傍に及び、その前端から溝が次第に浅くなるように底を緩く傾斜して形成する。
【0019】
上記構成のフロート装置41は、前記同様に、大きなフロート板42本体部と左右の側沿部42b,42bとにより、隣接条への泥押しを小さく抑えるとともに、安定した対地作業を行うことができる。また、両サイド部42b、42bのV字溝43,43は、前端のV字状開口のレーキ作用により泥の凹凸を砕きつつ前部の浮き上がりを防止して整地することができ、かつ、その緩やかな傾斜溝により、確実にフロート前端の持ち上がりを防止できる。
【0020】
つぎに、別なる構成のフロート装置について説明する。図9は、同フロート装置を適用した水田作業機の要部側面図、図10は、その平面図である。図9および図10において、フロート装置51は、6条幅の中央の2条分の対地作業位置P,Pを整地するフロート板による中央整地具52と、この中央整地具52の両外側2条分の対地作業位置R,Rを整地する円筒状の側部整地具53,53とを備えて6条分の植付位置を整地する。
【0021】
中央整地具52は、前記同様の2条分のフロート板である。また、左右の側部整地具53,53は、図10におけるA―A線断面図を示す図11のように、複数の屈曲板53a…を等分周配置して半径線上の隙間を長手方向に沿って形成した円筒状の本体部を支軸54aによって植付部の下方の重心近くに軸支し、両側端の伝動部54,54により、機体走行と同期して回動動作するように構成する。
【0022】
上記構成のフロート装置51の中央整地具52は、大きなフロート板により安定して圃場面を検出することができる他、左右の側部整地具53,53は、本体部が極端な突起のない比較的なめらかな円筒状の回転体であることから、車輪跡に沈み込んで大きな跡を付けることがなく、この本体部を中央整地具52の両側部の隙間を抑えて中央寄りに配置できることから、均平幅を広くとることができ、また、本体部の回転駆動によって泥流をスムーズに後方へ排出できるので、隣接条への泥押しを小さく抑えることができる。
【0023】
図12に示すフロート装置51は、植付機5を昇降可能に構成し、本機側に設けた対地センサ55の検出信号により設定の植付け深さとなるように制御する。中央整地具52および左右の側部整地具53,53は、円筒状の回転体で構成するとともに、左右のアーム53a,53aとアクチュエータ53b、53bとによって植付機5と独立して昇降制御可能に構成する。このように構成することにより、植付機5の昇降の影響を受けずに中央整地具52および左右の側部整地具53,53で確実に圃場を整地して均平にしつつ、整地された圃場面の高さが安定するため、植付け深さも設定深さに安定する。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の水田作業機のフロート装置は、隣接条への泥押しを抑えるとともに適切な整地性により安定した水田作業を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のフロート装置を適用した水田作業機の側面図である。
【図2】図1の水田作業機の平面図である。
【図3】6条田植機に適用したフロート装置の拡大平面図である。
【図4】5条田植機に適用したフロート装置の拡大平面図である。
【図5】側部整地具の他の実施の形態を示す断面図である。
【図6】側部整地具の制御例を示すフローチャートである。
【図7】4条作業用のフロート装置の平面図である。
【図8】図7のフロート装置の側面図である。
【図9】別なる構成のフロート装置を適用した水田作業機の要部側面図である。
【図10】図9の水田作業機の要部平面図である。
【図11】図10におけるA―A線断面図である。
【図12】他の構成例に係るフロート装置の側面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 水田作業機
2 前輪
3 後輪
4 機体フレーム
4a 昇降リンク
5 植付機(作業機)
5a 苗供給部
5b 植付杆(作業具)
9 フロート装置
11 中央整地具
11a 側沿部
12 側部整地具
12a 側沿部
21 フロート装置
22 中央整地具
22a 側沿部
31 側部整地具
31a 側沿部
32 スクリュウ軸
33 モータ
P,Q 対地作業位置
W 最小外側幅

【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【住所又は居所】愛媛県松山市馬木町700番地
【出願日】 平成15年8月12日(2003.8.12)
【代理人】 【識別番号】100077779
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 哲郎

【識別番号】100078260
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 レイ子

【識別番号】100086450
【弁理士】
【氏名又は名称】菊谷 公男

【公開番号】 特開2005−58081(P2005−58081A)
【公開日】 平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願番号】 特願2003−292033(P2003−292033)