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【発明の名称】 苗植機の苗供給装置
【発明者】 【氏名】荒木 正勝
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】村並 昌実
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】大久保 嘉彦
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】土井 宏貴
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】木下 栄一郎
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】勝野 志郎
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】鈴木 宏
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】切手 肇
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【要約】 【課題】苗収容カップを介して苗植付装置に野菜苗を供給する苗植機の苗供給装置ついて、作業者が茎の長い野菜苗を苗収容カップに投入する作業を簡易化して作業者の負担を軽減することを可能とする。

【解決手段】苗植機の苗供給装置6は、長茎の苗Wを起立姿勢で収容可能な多数の苗収容カップ21…を連続的に配置した苗収容部と、この苗収容部の各苗収容カップ21…を平面視でループ状に周回動作させる周回駆動部23とを備え、上記苗Wを圃場に植え付けるための苗植付装置7に対して所定の周回位置で苗収容カップ21から苗Wを移行するように構成し、上記苗収容カップ21の開口上端には、苗Wを横置姿勢で受けるために苗受面27bを上方に向けて展開動作可能な苗受板27をそれぞれ設け、この苗受板27には、受けた苗Wが苗収容カップ21の開口内に進入するように起立傾動させるための傾動手段25を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長茎の苗を起立姿勢で収容可能な多数の苗収容カップを連続的に配置した苗収容部と、この苗収容部の各苗収容カップを平面視でループ状に周回動作させる周回駆動部とを備え、所定の周回位置で苗収容カップから苗植付装置に対して苗を移行するように構成した苗植機の苗供給装置において、
上記苗収容カップの開口上端には、苗を横置姿勢で受けるために苗受面を上方に向けて展開動作可能な苗受板をそれぞれ設け、この苗受板には、受けた苗が苗収容カップの開口内に進入するように起立傾動させるための傾動手段を備えたことを特徴とする苗植機の苗供給装置。
【請求項2】
前記傾動手段は、苗収容カップの周回動作に伴い苗受板と摺接してこの苗受板を傾動動作させ、その周回動作位置に応じて徐々に傾斜するように案内するガイド部材によって形成したことを特徴とする請求項1記載の苗植機の苗供給装置。
【請求項3】
前記苗受板の苗受面が上方を向けて展開している展開位置において、上方に開いた開口部から次第に幅が減少する絞り通路によって苗を整列供給する整列部と、この整列部から受けた苗をその側方に1本ずつ順次押し出す押出機構とから構成される苗投入手段を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の苗植機の苗供給装置。
【請求項4】
前記押出機構には、その側方に押し出された苗を苗受板に対して押さえ込むように下降動作する押さえアームを備えたことを特徴とする請求項3記載の苗植機の苗供給装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、苗植機の苗植付装置に野菜苗を順次供給するように構成した苗植機の苗供給装置に関するものであり、特に、茎の長い苗を苗供給装置に投入する操作を簡易化することにより苗投入時の作業負担を軽減することができる苗植機の苗供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
苗植付装置によって野菜苗を圃場に植え付けするように構成した苗植機において、作業者が投入した苗を苗植付装置に供給するための苗供給装置が、例えば、特許文献1に示すように、知られている。
【0003】
この苗供給装置は、多数の苗収容カップを連続的に配置してこれを周回動作させ、所定の周回位置で苗収容カップの底板を開放することにより苗植付装置に苗を移行するように構成したものである。苗の植え付けの際は、苗植機を自走させつつ、歩行作業者が苗収容カップに苗をそれぞれ投入する簡易な操作によって、大量の苗を所定間隔で圃場に能率良く植え付けすることができる。
【0004】
しかし、長ネギ等の茎の長い苗の植え付け作業の際は、長い茎を起立姿勢で苗収容カップに投入するために、作業者が苗を起立姿勢に調節する必要があるので、作業者の負担増加が避けられなかった。
【特許文献1】特開2002−84826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、苗植機の苗供給装置について、その苗収容カップに茎の長い苗を投入する場合に、苗姿勢を起立させるための姿勢調節操作を要するので、作業者負担の増加を招くという点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、長茎の苗を起立姿勢で収容可能な多数の苗収容カップを連続的に配置した苗収容部と、この苗収容部の各苗収容カップを平面視でループ状に周回動作させる周回駆動部とを備え、上記苗を圃場に植え付けるための苗植付装置に対して所定の周回位置で苗収容カップから苗を移行するように構成した苗植機の苗供給装置において、上記苗収容カップの開口上端には、苗を横置姿勢で受けるために苗受面を上方に向けて展開動作可能な苗受板をそれぞれ設け、この苗受板には、受けた苗が苗収容カップの開口内に進入するように起立傾動させるための傾動手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の発明において、前記傾動手段は、苗収容カップの周回動作に伴い苗受板と摺接してこの苗受板を傾動動作させ、その周回動作位置に応じて徐々に傾斜するように案内するガイド部材によって形成したことを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2記載の発明において、前記苗受板の苗受面が上方を向けて展開している展開位置において、上方に開いた開口部から次第に幅が減少する絞り通路によって苗を整列供給する整列部と、この整列部から受けた苗をその側方に1本ずつ順次押し出す押出機構とから構成される苗投入手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項3記載の発明において、前記押出機構には、その側方に押し出された苗を苗受板に対して押さえ込むように下降動作する押さえアームを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の苗植機の苗供給装置は、以下の効果を奏する。
上記構成の苗植機の苗供給装置は、苗受面を上方に向けて展開動作可能な苗受板とその傾動手段とを設けたことから、作業者が苗収容カップに苗を投入する際は、展開位置にある苗受板に長茎の苗を水平に載置すると、この苗を受けた苗受板が傾動手段によって苗を載せたまま起立傾動動作して苗が苗収容カップの開口内に滑落進入する。したがって、作業者は、茎の長い苗を平置きする簡易な作業によって苗を苗収容カップに起立投入することができるので、苗を投入する際の作業性を向上することができる(請求項1)。
【0011】
前記傾動手段に所定のガイド部材を設けた場合は、請求項1記載の発明の効果に加え、苗収容カップの周回動作により苗受板がガイド部材と摺接し、同苗受板の傾斜角度を徐々に変更することにより、苗受板上の苗に作用する衝撃が緩和されて跳ね返りが抑えられるので、苗が安定して苗収容カップに確実に収容される(請求項2)。
【0012】
所定の整列部と押出機構とを備えた場合は、請求項1または請求項2記載の発明の効果に加え、開口部に適宜投入された横置き苗は、整列部の絞り通路によって整列され、次いで押出機構により苗供給装置と同期して苗が1本ずつ順次押し出されることから、展開位置にある苗収容カップの苗受板に苗が1本ずつ移行される。したがって、投入のタイミング合わせを要することなく、広い開口に横置き姿勢で苗を適宜投入する簡易な操作により、苗供給装置の苗収容カップに苗を個別投入することができるので、長茎苗の投入作業の負担が軽減され、作業性を向上することができる(請求項3)。
【0013】
押さえアームを設けた場合は、請求項3記載の発明の効果に加え、押さえアームが苗を苗受板に対して押さえ込むようにして苗が受け渡されることから、各苗収容カップに苗を高速かつ確実に供給することができるので、植え付け作業の高速化が可能となる(請求項4)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態について、以下に図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の苗供給装置を適用した苗植機の構成例について、側面図および平面図を、それぞれ、図1、図2に示す。
苗植機1は、伝動機2を中心に、その前側に位置するエンジン2a、機体走行用の前輪3,3および駆動後輪4,4等によって機体前部が構成され、また、伝動機2のケース後端から機体基準線に沿って後方に延びる湾曲ビームによる機体フレーム5と、この機体フレーム5に支持される苗供給装置6とその下方の苗植付装置7、苗の根元を覆土鎮圧するための接地転動輪8…等によって機体後部が構成される。
【0015】
伝動機2は、左右の走行伝動機11,11を介して駆動後輪4,4に走行動力を供給するほか、側方に延びる伝動軸12によって苗供給装置6を駆動し、また、後方に延出する植付伝動機13を介して苗植付装置7を駆動する。苗供給装置6は、作業者から受けた苗を所定位置まで搬送して苗植付装置7に苗を供給する。その詳細は後述する。苗植付装置7は、苗供給装置6から受けた苗を圃場に植え付けるくちばし状の苗植付体14と、この苗植付体14を所定の軌跡Tに沿って上下動作させるリンク部16とを備えることによって苗を畝15に植え付ける。
【0016】
苗供給装置6は、その拡大平面図を図3に示すように、長茎の苗を起立姿勢で収容可能な多数の苗収容カップ21…を連続的に配置した苗収容部と、この苗収容部の各苗収容カップ21を平面視でループ状に周回動作させる2つのスプロケットホイール23,23aと、苗収容カップ21を取付けた周回チェーン24とによる周回駆動部を備え、所定の周回位置で苗収容カップ21の底部を開放することにより下方の苗植付装置7に苗を移行するように構成する他に、苗収容カップ21に作用するガイド部材25と、必要により苗投入手段26を設けて構成する。
【0017】
苗収容カップ21は、その拡大断面図およびそのA矢視図をそれぞれ図4(a)(b)に示すように、長茎の苗を起立姿勢で収容可能な深さに形成し、その開口上端には、苗Wを横置姿勢で受けるために苗受面27bを上方に向けて略水平状態に展開動作可能な苗受板27を支軸28によって軸支し、かつ、展開付勢用のばね28aを装着する。苗受板27は、苗供給装置6の中心側に展開するように構成することにより、空きスペースを有効に利用することができる。また、苗受板27の両側部には、横風による煽りを抑えて苗Wを安定して苗収容カップ21内に案内するための袖板27a,27aを設けて溝状に形成する。
【0018】
ガイド部材25は、図3におけるA−A線断面図を図5に示すように、苗収容カップ21の周回位置と対応して苗受板27と干渉することによってその傾斜角度を制御するガードレール状部材である。ガイド部材25による傾斜制御は、作業者が苗収容カップ21に苗Wを投入する区間aで苗受板27の展開動作を許容し、周回方向に隣接する区間bに移行部25aを備えてこの移行部25aにより次第に苗受板27を起立させるように干渉し、残りの区間c、すなわち、2つのスプロケットホイール23,23aにより苗収容カップ21が転向する範囲について苗受板27を起立位置に維持する。
【0019】
上記のようにガイド部材25を構成することにより、苗収容カップ21が周回駆動されると、その周回位置に応じて苗受板27が展開状態から起立状態の範囲で傾斜制御されることから、苗Wの植え付けの際は、作業者が展開位置の区間aにある苗受板27に長茎の苗Wを横置き姿勢で載置することにより、この苗Wを受けた苗受板27が次の区間bのガイド部材25aによって苗Wを載せたまま起立傾動動作して同苗Wが苗収容カップの開口内に滑落進入することによって起立姿勢で収容される。さらに次の区間cでは、苗受板27が起立状態で周回され、所定位置で底板を開放して苗Wを苗植付装置7に移行し、圃場の畝15に順次植え付けされる。区間cから再度区間aに移動するときは、ばね28aの作用で苗受板27が苗受面27bを上方に向けて略水平状態に展開する。
【0020】
したがって、作業者は、茎の長い苗の平置きする簡易な作業によって苗を苗収容カップに投入することができるので、苗の投入の際の作業性を向上することができる。このとき、ガイド部材25の移行部25aにより、苗受板27の傾斜角度が徐々に変更されることから、苗受板27上の苗Wに作用する衝撃が緩和されて跳ね返りが抑えられるので、苗Wが安定して苗収容カップ21に確実に収容することができる。
【0021】
苗投入手段26は、その構成例の斜視図を図6に示すように、次第に幅が減少する絞り通路によって苗を整列するように対向する2枚のガイド板31a,31bによる整列部31と、この整列部31から受けた苗をその側方に1本ずつ順次押し出すように進退動作する押出材32aによる押出機構32とから構成され、これを苗受板27の展開位置に配置する。また、必要により、押出機構32の側方に押し出された苗Wを苗受板27に対して押さえ込むように下降動作する押さえアーム33を設ける。
【0022】
上記2枚のガイド板31a,31bは、横置姿勢の苗Wの投入を容易にするために上方に開き、下部が苗Wの1本分の幅寸法に隙間調節可能に構成し、その下端位置には、例えば一方のガイド板31aを曲げるようにして、苗Wを受ける受部31cを設け、この受部31cに受けた苗Wの側方から横押しする位置に押出材32aの先端を配置する。
【0023】
これら押出材32aの進退動作および押さえアーム33の上下動作は、苗供給装置6を駆動する伝動軸12からの分岐動力により苗供給装置6と同期するように駆動する。具体的には、図7に示す駆動系展開図のように、苗供給装置6を駆動する伝動軸12からタイミングベルト等によって同期しつつ分岐動力を受ける同期軸34を設け、この同期軸34の軸端に取付けたクランク材35aと連結ロッド35bを介して揺動動作する揺動アーム35cを設け、この揺動アーム35cの先端に押出材32aを連結する。また、同期軸34にギヤ等による分岐部36aを介して同期回転する分岐軸36bを設け、その端部に取付けたクランク材36cを押さえアーム33の中間部に連結するとともに、この押さえアーム33の基部を揺動アーム33aによって支持する。
【0024】
上述のように駆動系を構成することにより、押出機構の押出材32aは、図7におけるA矢視図を図8に示すように、同期軸34の回転により、その軸端のクランク材35aと連結ロッド35bとによって揺動アーム35cが左右に揺動動作し、この揺動アーム35cと連結する押出材32aが、同期軸34の回転と同期して左右方向に進退動作する。また、図7におけるB矢視図を図9に示すように、同期軸34の回転により、分岐部36aを介して分岐軸36bが同期回転することからその軸端のクランク材36cによって押さえアーム33が同期して略上下方向に揺動動作する。
【0025】
したがって、2枚のガイド板31a,31bの上部の開口範囲内に苗Wを横置きに投入することにより、苗Wは、整列部31の絞り通路によって横置姿勢で整列され、次いで受部31cにおいて押出機構32の押出材32aにより苗Wが1本ずつ順次側方に押し出され、これを押さえアーム33が同期して下降動作することにより、展開位置にある苗収容カップ21の苗受板27に苗Wが押し付けられるように移行される。
【0026】
このように、整列部31の広い開口部に苗を適宜投入することにより、苗が1本ずつ苗供給装置と同期し苗収容カップ21の苗受板27に順次強制的に1本ずつ移行されるので、投入のタイミング合わせを要することなく、広い開口から横置き姿勢で苗Wを適宜投入する簡易な操作により、苗供給装置6の苗収容カップ21に高速かつ確実に苗を個別投入することができるので、長茎苗Wの投入作業の負担を軽減するとともに、植え付け作業の高速化が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明に係る苗植機の苗供給装置は、同苗植付装置に茎の長い野菜苗を1本ずつ供給して圃場に植付けする際に、苗の投入作業を簡易化して作業者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】苗供給装置の適用例を示す苗植機の側面図である。
【図2】図1の苗植機の平面図である。
【図3】苗供給装置の拡大平面図である。
【図4】苗収容カップの拡大断面図(a)およびそのA矢視図(b)である。
【図5】図3におけるA−A線拡大断面図である。
【図6】苗投入手段の構成例の斜視図である。
【図7】苗投入手段の駆動系展開図である。
【図8】図7におけるA矢視図である。
【図9】図7におけるB矢視図である。
【符号の説明】
【0029】
1 苗植機
2 伝動機
5 機体フレーム
6 苗供給装置
7 苗植付装置
12 伝動軸
21 苗収容カップ
23,23a スプロケットホイール(周回駆動部)
24 周回チェーン(周回駆動部)
25 ガイド部材(傾動手段)
25a 移行部
26 苗投入手段
27 苗受板
27a 袖板
27b 苗受面
28 支軸
28a ばね
31 整列部
31a,31b ガイド板(絞り流路)
31c 受部
32 押出機構
32a 押出材
33 押さえアーム
W 苗

【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【住所又は居所】愛媛県松山市馬木町700番地
【出願日】 平成15年8月11日(2003.8.11)
【代理人】 【識別番号】100077779
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 哲郎

【識別番号】100078260
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 レイ子

【識別番号】100086450
【弁理士】
【氏名又は名称】菊谷 公男

【公開番号】 特開2005−58063(P2005−58063A)
【公開日】 平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願番号】 特願2003−291098(P2003−291098)