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【発明の名称】 ロータリー耕耘機
【発明者】 【氏名】田口 哲也
【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマーディーゼル株式会社内

【要約】 【課題】ロータリー耕耘機において、特に非常に深い位置での深耕作業では施肥や播種を同時に行うことができるようにする。

【解決手段】耕耘爪を覆うロータリーカバー21を耕耘爪駆動部に対して前後回動可能とする一方、前記ロータリーカバー21の上方に、尾輪支持杆3の尾輪支持用フレーム1を前後方向に配設して、該尾輪支持用フレーム1の前端を前記耕耘爪駆動部に上下回動自在に枢支するとともに、前記ロータリーカバー21の回動域が前記尾輪支持用フレーム1の回動域に比して大きくなることを許容するリンクを、前記耕耘爪駆動部より該尾輪支持用フレーム1を経て該ロータリーカバー21までに設け、任意に設定した耕深位置にて、前記尾輪支持用フレーム1を水平に保持することにより、前記ロータリーカバー21がその耕深に対応した前後回動角度に設定されるように構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕耘爪を覆うロータリーカバー21を耕耘爪駆動部に対して前後回動可能とする一方、前記ロータリーカバー21の上方に、尾輪支持杆3の尾輪支持用フレーム1を前後方向に配設して、該尾輪支持用フレーム1の前端を前記耕耘爪駆動部に上下回動自在に枢支するとともに、前記ロータリーカバー21の回動域が前記尾輪支持用フレーム1の回動域に比して大きくなることを許容するリンクを、前記耕耘爪駆動部より該尾輪支持用フレーム1を経て該ロータリーカバー21までに設け、任意に設定した耕深位置にて、前記尾輪支持用フレーム1を水平に保持することにより、前記ロータリーカバー21がその耕深に対応した前後回動角度に設定されるように構成したことを特徴とするロータリー耕耘機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリー耕耘機の耕深設定に係るロータリーカバーと尾輪支持用フレームの位置調節機構の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロータリー耕耘機において、耕耘爪の後方に耕深安定用の尾輪(デプスホイル)を配置すべく、耕耘爪を覆うロータリーカバーの上方に前後方向の尾輪支持用フレームを配設し、該フレームの後部にて尾輪を支持するための左右方向の尾輪支持杆を支持する。この尾輪支持杆の下方には、ロータリーカバーの後端に取りつけたリアカバーが位置するが、播種器等を尾輪支持杆に取り付ける場合には、該尾輪支持杆とリアカバーとの隙間にその取付けを許容できる空間がなければならない。
【0003】
また、ロータリー耕耘機においては、リアカバー下端の接地部がロータリーカバーに対して上下揺動自在であり、様々な耕深に対応して、ロータリーカバーに対しての角度が変化して、該接地部が圃場面に接地するようになっている。しかし、このままでは、特に深耕の場合にロータリーカバー内の耕耘爪後方の空間が十分に取れず、耕起後の土塊の処理に支障をきたす。
そこで、従来のロータリー耕耘機の中には、リアカバーのロータリーカバーに対する上下角度があまり変化しないようにして、ロータリーカバー内の後方空間を広く確保できるように、ロータリーカバー自体を耕耘爪駆動部に対して前後回動可能とし、設定した耕深に対応する位置にリアカバーの後端を位置させるようにロータリーカバーを前後回動調節する構造を採用した機種がある。
【0004】
そして、従来は前記の尾輪支持杆を支持する尾輪支持用フレームの前端が、ロータリーカバー上方の耕耘爪駆動部に付設したヒンジに上下回動自在に枢支されており、耕深設定に際して耕耘爪駆動部がトラクタの作業機装着用昇降リンクの上下回動と一体に上下回動しても、尾輪支持用フレームを水平に保持できるようにしている。
【特許文献1】特開平2−215301号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来のロータリー耕耘機において、耕深設定に際してロータリーカバーを耕耘爪駆動部に対して前後回動する構造を適用したロータリー耕耘機においては、ロータリーカバーの回動と尾輪支持杆及びその支持用フレームの回動とは連動していない。従って、尾輪支持杆を支持するフレームが水平に保持する操作と、該フレームとリンクで連結したロータリーカバーを前後回動する操作とは別途に行わなければならず、煩雑であった。
【0006】
更に、ロータリーカバーの前後回動域は、フレームとの干渉を回避するために制限されていた。特に深耕設定時には、ロータリーカバーを前方に回動してその後端を上方に回動させるので、その上方に位置する該フレームとの干渉が生じるおそれがあり、ロータリーカバーの前方回動域は制限される。
【0007】
言い換えれば、それ以上にロータリーカバーを回動しようとすれば、前記フレームは上方に傾斜させなければならず、尾輪支持杆の上面を水平にすることができず、施肥機や播種機等の取付に支障をきたすものとなっていた。従って、特に非常に深い位置での深耕作業では施肥や播種を同時に行うことはできなかったのである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、従来のロータリー耕耘機における以上のような課題を解決すべく、次のような手段を用いるものである。
耕耘爪を覆うロータリーカバー21を耕耘爪駆動部に対して前後回動可能とする一方、前記ロータリーカバー21の上方に、尾輪支持杆3の尾輪支持用フレーム1を前後方向に配設して、該尾輪支持用フレーム1の前端を前記耕耘爪駆動部に上下回動自在に枢支するとともに、前記ロータリーカバー21の回動域が前記尾輪支持用フレーム1の回動域に比して大きくなることを許容するリンクを、前記耕耘爪駆動部より該尾輪支持用フレーム1を経て該ロータリーカバー21までに設け、任意に設定した耕深位置にて、前記尾輪支持用フレーム1を水平に保持することにより、前記ロータリーカバー21がその耕深に対応した前後回動角度に設定されるように構成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、ロータリー耕耘機を、以上のように構成したので、次のような効果を奏する。
耕深設定に際しての、尾輪支持杆の水平位置操作とロータリーカバーの前後回動操作(即ちリアカバーの下端の上下位置操作)に関して、本発明の如き構成とすることで、従来、両操作が独立していて煩雑であったのに比して、尾輪支持杆を水平にするだけで、ロータリーカバー及びリアカバーをその耕深に相応しい位置にすることができ、操作が簡単になる。また、従来、ロータリーカバーの前後回動域が、その上方に位置する尾輪支持杆及びその支持用フレームとの干渉を回避するために、該尾輪支持杆及び該フレームの上下回動域にて制限されていたのに比して、本発明では、リンクにより、ロータリーカバーの前後回動域がフレームの前後回動域よりも大きく許容されているので、極度な深耕位置や浅耕位置でも、尾輪支持杆の水平姿勢を保持しながら、ロータリーカバーをその耕深に最も相応しい位置にすることができ、尾輪支持杆も水平に保持できて、施肥器や播種器等を設置するのに支障を来さない。このように、ロータリー耕耘機を用いての施肥作業や播種作業等を行える耕深域を拡大することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の形態を添付の図面をもとに説明する。図1は尾輪支持杆を無階に前後位置調節可能とした第一構成例のロータリー耕耘機の側面図、図2は第一構成例における尾輪支持杆の側面断面図、図3は同じく平面断面図、図4は同じく尾輪支持杆の摺動部部分の正面図、図5は同じく尾輪支持杆内の摺動装置を示す後面断面図である。
【0011】
図6は尾輪支持杆を弾性位置決め固定ピンにて前後位置調節可能とした第二構成例のロータリー耕耘機の平面図、図7は第二構成例における尾輪支持杆の側面断面図、図8は第二構成例に用いる弾性位置決め固定ピンの平面図である。
【0012】
図9は第二構成例における尾輪支持杆の弾性位置決め固定ピンの取付部分の側面図、図10はロータリーカバーの前後回動を増幅した第三構成例のロータリー耕耘機の平面図、図11は第三構成例における深耕時の側面図、図12は同じく深耕時の増幅リンク部分の側面断面図、図13は第三構成例における浅耕時の側面図、図14は同じく浅耕時の増幅リンク部分の側面断面図である。
【0013】
図1乃至図5図示の第一構成例のロータリー耕耘機の構成について説明する。なお、後記の耕耘爪駆動部は、第二構成例及び第三構成例と同一のものを使用しているため、図6、図10、図11等を第一構成例の説明に用いる。図6等図示のPTO入力ギアケース16の内部には、左右中央にPTO入力部が形成されていて、トラクタのPTO軸にユニバーサルジョイントを介して連結される入力軸17を前方に突設している。PTO入力ギアケース16は左右に管フレーム16a・16aを形成し、その一外端部には、下方延出状に図1図示のチェーンケース19を、他外端部には側板(図示せず)を設けて、該チェーンケース19と該側板との間に耕耘爪(図示せず)を放射状に取りつけた耕耘爪軸20を横設し、耕耘爪駆動部を形成している。チェーンケース19を取り付けた側の管フレーム16a内には、該チェーンケース19内のチェーン伝動装置に動力を伝動するための伝動軸18が内設され、トラクタのPTO軸の動力を入力軸17にて採り入れ、この伝動軸及びチェーン伝動装置を介して、耕耘爪軸20を駆動するものとなっている。
【0014】
更に、PTO入力ギアケース16の前端において、トラクタの左右ロアリンクに連結するための左右一対のロアリンクブラケット16c・16cを前方に突設し、また、該PTO入力ギアケース16の左右中央部の上部には支持台23を立設し、該支持台23の上に後部上方延出状のアッパーアーム24を立設し、該アッパーアーム24の前上部には、トラクタのトップリンクに連結するためのトップリンク装着アーム25が突設されている。なお、トラクタによっては、図11の如く、トラクタのトップリンク及び左右ロアリンクの後端にヒッチ34を取りつけており、該ヒッチ34の上端のフック34aがトップリンク装着アーム25に、左右下端のフック34b・34bがロアリンクブラケット16c・16cに係止されるものとなっている。
【0015】
そして、PTO入力ギアケース16の後端には、図6等の如く、左右一対のヒンジ16b・16bが後方に突設されており、各ヒンジ16b・16bに、尾輪支持用フレーム1・1の前端が上下回動自在に枢支されている。各尾輪支持用フレーム1は管材であって後端が開口している。また、左右の尾輪支持用フレーム1・1は、図6等の如く、前後中央付近にて左右方向の連結フレーム2にて一体状に連結されており、従って、両ヒンジ16b・16bに対して一体状に上下回動する。該連結フレーム2の左右外端部には、取付ステー2c・2cが設けられており、該取付ステー2c・2cをそれぞれ尾輪支持用フレーム1・1の内側表面に固着する。この場合に、連結フレーム2は、取付ステー2c・2cの尾輪支持用フレーム1・1への固着部分よりも上方に位置する。
【0016】
該連結フレーム2の左右中央部には第一ブラケット2aを前下方に突設し、前記のアッパーアーム24の先端部と該第一ブラケット2aとの間に、伸縮自在の尾輪昇降操作杆26を上下揺動自在に介装している。尾輪昇降操作杆26はネジ杆となっていて、尾輪昇降ハンドル27を持って回転操作すると、回転して伸縮する。その伸縮量に応じてヒンジ16bの枢支点に対しての尾輪支持用フレーム1の上下傾斜角が調節され、該尾輪支持用フレーム1・1及び後記の尾輪支持杆3が水平に保持される。
【0017】
また、耕耘爪軸20及びそれより突設する耕耘爪を覆うようにロータリーカバー21を配設し、チェーンケース19とその反対側の側板における耕耘爪軸20の軸受け部分にロータリーカバー21を前後回動自在に枢支し、即ち、ロータリーカバー21を耕耘爪駆動部に対して前後回動自在としている。ロータリーカバー21の後端にはリアカバー22の前端を上下回動自在に枢支している。
【0018】
そして、図6等の如く、前記アッパーアーム24の基端寄り部分に左右方向の揺動軸フレーム24aを横設し、その一外端部に揺動ホルダー24bを該揺動軸フレーム24aを揺動支点軸として上下揺動自在に配設しており、一方、ロータリーカバー21の上端にはブラケット28を固設し、該揺動ホルダー24bと該ブラケット28にて、伸縮自在かつ上下揺動自在にロータリーカバー21の前後回動操作用の回動スクリュー29を支持している。回動スクリュー29は上部(前部)を回動部29a、基端側を伸縮部29bとするネジ杆であり、回動部29aは、前記の揺動ホルダー24bにて上下揺動に、かつ、該回動部29aの軸芯回りに回転自在に保持され、該回動部29aの先端部にはハンドル29cが取り付けられている。また、伸縮部29bの後端である基端部は、ブラケット28に上下揺動自在に枢支されている。このような構成において、ハンドル29cの操作にて回動部29aを回転させ、伸縮部29bを伸縮させ、その伸縮量に基づいてロータリーカバー21を前後回動させる。この際、回動スクリュー29は、ロータリーカバー21の前後回動に伴って上下揺動するが、ブラケット28及び揺動ホルダー24bがその上下揺動を許容する。耕深設定時には、この回動スクリュー29の伸縮操作にてロータリーカバー21を前後回動し、その後部に配設したリアカバー22の圃場に対する角度を適度に合わせるのである。
【0019】
また、リアカバー22は、前記の如く、ロータリーカバー21に対して上下回動自在であり、リアカバー22より前上方に突設した左右一対のハンガーロッド31・31の各途中部が、ロータリーカバー21の上端に固設した左右各ロアアーム30の先端にて上下揺動自在かつ摺動自在に保持されており、その摺動可能域内にてハンガーロッド31が摺動することにより、リアカバー22がロータリーカバー21に対して上下揺動でき、ロータリーカバー21をどの位置に回動しても、また、耕耘中に耕耘爪が耕盤の凹凸により上下しても、リアカバー22の下端は常に圃場面に接地するのである。
【0020】
第一構成例における尾輪支持杆3の支持構造について説明する。尾輪支持杆3は角管よりなり、ロータリー耕耘機の左右方向に延設される。尾輪支持杆3の前端より左右一対の摺動部4・4が前方に突設され、それぞれ前記の各尾輪支持用フレーム1・1の後端開口部よりその内部に摺動自在に嵌入されている。管材である各尾輪支持用フレーム1の前端開口部には、前記ヒンジ16bに枢支するためのヒンジ部材5を嵌入して固定しており、更に、各尾輪支持用フレーム1内には、その軸芯線に沿って摺動部支持ロッド6を延設し、その後端より更に該軸芯線に沿って雌ネジ管7を後方延設している。一方、各摺動部4内には、その軸芯線に沿って雄ネジ杆8を配設しており、該雄ネジ杆8を雌ネジ管7内に螺入し、雄ネジ杆8を回転すると、雌ネジ管7に対して雄ネジ杆8が伸縮する。
【0021】
各雄ネジ杆8の後部は、摺動部4内より図4等の如く尾輪支持杆3の前端面に設けた孔を通じて、該尾輪支持杆3内に突入しており、該尾輪支持杆3内にて、各雄ネジ杆8の後端にスプロケット9が固設され、両雄ネジ杆8後端に付設した両スプロケット9・9間にチェーン10を巻回して、両雄ネジ杆8・8が同期して回転し、各雌ネジ管7・7に対して伸縮するように構成している。また、各スプロケット9・9の後端には、更に軸受け11・11を付設し、図5等の如く、スプロケットカバー12を尾輪支持杆3の前端内側面に固設して、両スプロケット9・9及び両軸受け11・11を後方より覆って保護している。このように、管状である尾輪支持杆3の内部を利用して、チェーン伝動機構である摺動用伝動装置を配置しているのである。
【0022】
各軸受け11は、尾輪摺動操作ハンドル13の基端を嵌入可能に軸孔を形成しており、スプロケットカバー12における該軸孔に対向する位置に尾輪摺動操作ハンドル13挿入用の孔が穿孔され、更にその孔に対向するように尾輪支持杆3の後端面に尾輪摺動操作ハンドル13挿入用の孔が穿孔されている。尾輪摺動操作ハンドル13は、左右いずれかの軸受け11を選択し、尾輪支持杆3の後方よりその内部に挿入して、選択した軸受け11にその基端を係合させて取りつけられる。尾輪摺動操作ハンドル13を一方に回せば、両摺動部4・4が同期して尾輪支持用フレーム1・1より後方に伸長され、尾輪支持杆3が後方に移動し、他方に回せば、両摺動部4・4が同期して尾輪支持用フレーム1・1内に収縮されて、尾輪支持杆3が前方に移動する。
【0023】
このように、第一構成例の尾輪支持杆3は、一方の摺動部4の雄ネジ杆8に取りつけた尾輪摺動操作ハンドル13の操作で、尾輪支持杆3内に配設した摺動用伝動装置を介して両摺動部4・4が同期し、摺動されるものであり、また、ネジによって摺動するので、摺動の途中で摺動部4・4が斜めになることがなく、円滑に尾輪支持杆3の前後位置調節をすることができる。また、尾輪支持杆3が所定の位置になった時点で、尾輪摺動操作ハンドル13を抜き取れば、雄ネジ杆8がその位置で雌ネジ管7に螺合しているので、尾輪支持杆3はその位置で固定される。従って、ピンの脱着を必要とせず操作が簡単である。
【0024】
更に、無段階に位置調節ができるので、尾輪支持杆3に施肥器や播種器等を設置する際に、それらを配置するのに最も相応しい、即ち、その下方のリアカバー22に干渉しないような位置にすることができる。耕深を変更すれば、リアカバー22と尾輪支持杆3及び尾輪支持用フレーム1との間の隙間の大きさが変化するので、設定した耕深に合わせて施肥器や播種器等を設置できるだけの隙間を形成する必要があるが、この第一構成例を用いれば、耕深設定毎に簡単かつ正確に尾輪支持杆3の前後位置を、それに設置する施肥器等の配置に相応しい位置にすることができる。
【0025】
なお、尾輪支持杆3に設置する各種の作業機器の中で、培土器を設置する際には、その下方のリアカバー22に、図10図示のような三角状の切欠部22aを設けるが、このように尾輪支持杆3の前後位置を無段階に調節できれば、該切欠部22a内に培土器を正確に配置することができ、培土作業中にも、培土器と切欠部22aとの隙間がない、或いは非常に小さい状態を保持できて、土漏れのない正確な畔作りを行うことができる。
【0026】
そして、スプロケット9やチェーン10等よりなる摺動用伝動装置は尾輪支持杆3内に、また、雌ネジ管7や雄ネジ杆8は、尾輪支持用フレーム1や摺動部4内に配置されているため、外観上は、従来の尾輪支持用フレーム1と尾輪支持杆3の配置構造と全く変わらず、尾輪支持用フレーム1、尾輪支持杆3とその摺動部4の外側にこれらの部材が配置されて他の部材の配置スペースを狭めたり、干渉したりするような不具合を生じない。
【0027】
なお、図1及び図3の如く、本構成例では、後記の第二構成例の弾性位置決め固定ピン14を用いて段階的に尾輪支持杆3を位置決め固定する構造も採用されている。前記のように、第一構成例はデプスビーム(尾輪支持杆3)の無段階調節に関するものであり、第一構成例の尾輪支持杆3の位置決め調節機構は、このようなピン固定構造を用いなくても位置決め固定ができるが、より確実に尾輪支持杆3が不意の衝撃で移動してしまわないように、このようなピン固定構造を用いてもよい。この場合には、尾輪支持杆3の前後移動の際には勿論、前記の尾輪摺動操作ハンドル13と摺動用伝動装置を用いて、摺動部4・4を同期摺動させるものであり、弾性位置決め固定ピン14のピン孔位置に合わせれば、弾性位置決め固定ピン14にて確実に尾輪支持杆3を固定でき、もしも尾輪支持杆3の位置がピン孔位置に合わない箇所に配置されるとしても、尾輪支持杆3は前記の如く位置固定させることができる。
【0028】
第二構成例について、図6乃至図9より説明する。第二構成例は、デプスビーム(尾輪支持杆3)のワンタッチ伸縮に関するものである。
【0029】
尾輪支持用フレーム1の両側面には、一つずつピン孔1aを穿設しており、また、摺動部4の両側面には、該摺動部4の長手方向に複数のピン孔4a・4a・・・が配列されて穿設されている。そして、左右一組のピン孔4a・4aを選択して尾輪支持用フレーム1のピン孔1a・1aに合わせ、図7乃至図9の如き形状の弾性位置決め固定ピン14をピン孔1a・4aに嵌入して固定する構造としている。
【0030】
弾性位置決め固定ピン14は、図8の如く平面視で概ねU字状になっており、左右両端を内側に曲折してピン孔1a・4aへの嵌入部14a・14aとし、左右中央付近をコイル状に巻いてコイル状部14dを形成して、左右の嵌入部14a・14aが内外方向に弾性移動可能となるようにしている。また、コイル状部14dと各嵌入部14aとの間の途中部には、図7の如く側面視L字状に曲折した曲折部14bを形成している。各曲折部14bと前記コイル状部14dとの間の部分は外側に湾曲させており、左右の最も外側に広げられた部分14c・14c間の幅Wは、尾輪支持用フレーム1の左右幅に略等しく設定され、初期状態において、左右の曲折部14b・14bはいずれも内側に曲げられているので、両曲折部14b・14b間の幅W’は該幅Wよりも狭くなる。
【0031】
以上のような構成の弾性位置決め固定ピン14において、左右の両嵌入部14a・14aは、ピン孔1a・1aと、それに合わせたピン孔4a・4aに嵌入するが、まず、固定時においては、図7の如く、嵌入部14aより曲折部14bにかせての部分を垂直状にし、該曲折部14bからコイル状部14dにかけての部分を略水平状にして、尾輪支持用フレーム1の上面に沿わせている。この場合には、尾輪支持用フレーム1の左右幅よりも狭い(幅W’の)曲折部14b・14bが尾輪支持用フレーム1の上面よりも高い位置にあるので、嵌入部14aがピン孔1a・4aに嵌入された状態が保持され、摺動部4を尾輪支持用フレーム1に固定し、尾輪支持杆3を位置決め固定しているのである。また、この状態において、各弾性位置決め固定ピン14は、その左右の嵌入部14a・14aを各尾輪支持用フレーム1の左右両側に形成したピン孔1a・1aに嵌入しており、コイル状部14dの内側向きの付勢力により、尾輪支持用フレーム1を左右両側より挟み込むように押圧し、他に抜け止めの部材を用いなくても確実に抜け止めされているのである。
【0032】
なお、尾輪支持用フレーム1のピン孔1a・1a付近の上面から側面にかけては、弾性位置決め固定ピン14が直接に尾輪支持用フレーム1の表面に当接するして該表面が傷つくのを回避するため、保護シート15が貼設されている。
【0033】
次に、摺動部4の尾輪支持用フレーム1への固定を解除する際には、コイル状部14dを持って前上方に引っ張ると、弾性位置決め固定ピン14は嵌入部14a・14aを回動支点として前方に回動する。すると、両曲折部14bが前下方に回動し、尾輪支持用フレーム1の両側面(正しくは該両側面に貼設した保護シート15の表面)に当接する。更に回動させるに連れ、両曲折部14b・14bの間の初期幅W’は、尾輪支持用フレーム1の左右幅Wよりも狭いので、両曲折部14b・14b間が尾輪支持用フレーム1の両側面によって押し広げられる。これにより、嵌入部14a・14a間の幅も共に広げられ、各嵌入部14aがピン孔4a・1aより自然に外に抜ける。
【0034】
更にコイル状部14dを前方に回動させるが、嵌入部14a・14aがピン孔1a・4aより抜けた後は、曲折部14b・14bが尾輪支持用フレーム1に当接して回動支点となる。そして、コイル状部14dの下端部が尾輪支持用フレーム1の上面(正しくは該上面に貼設された保護シート15の表面)に当接して、解除位置に弾性位置決め固定ピン14が固定される。こうして、摺動部4が尾輪支持用フレーム1に対して摺動自由となり、尾輪支持杆3の前後位置調節ができる。
【0035】
尾輪支持杆3を位置決めして(他の左右一組のピン孔4a・4aを尾輪支持用フレーム1のピン孔1a・1aに合わせる。)、再び弾性位置決め固定ピン14にて摺動部4を尾輪支持用フレーム1に固定する場合には、コイル状部14dを後方に回動させて、元の状態に戻すと、自然にピン孔1a・4aに嵌入し、尾輪支持杆3が固定される。
【0036】
次に、第三構成例について図10乃至図14より説明する。本構成例は、ロータリーカバーの耕深設定における位置制御構造であり、尾輪支持杆の前後位置調節機構については特に言及しないが、前記の第一構成例や第二構成例の構造を適用してもよい。
【0037】
第三構成例の特徴は、前記PTO入力ギアケース16の後端に突設したヒンジ16dよりロータリーカバー21の上端に立設したブラケット28までの間に設けたリンク機構にあり、それ以外の構造は第一・第二構成例で開示したものと同一である。このリンク機構について説明する。まず、ヒンジ16dと、連結フレーム2に突設した第二ブラケット2bとの間にロッド32を連結し、該第二ブラケット2bと、前記のブラケット28との間には、中折れ状の増幅リンク33を連結している。増幅リンク33は、いずれも側面視L字形状の第一リンク33aと第二リンク33bを枢結点P3にて枢結してなるものである。即ち、ロッド32・第二ブラケット2b・増幅リンク33よりなるリンク機構にて、耕耘爪駆動部(PTO入力ギアケース16)と尾輪支持用フレーム1・1とロータリーカバー21とを連係している。
【0038】
ロッド32、第一ブラケット2a、第二ブラケット2b、増幅リンク33の角度や長さ、また、増幅リンク33の第一リンク33a及び第二リンク33bの形状等は、尾輪支持用フレーム1・1及び尾輪支持杆3を水平にした時に、その時の耕深に対応した位置にロータリーカバー21が前後回動して位置決めされるようになっている。この中で、第二ブラケット2bにおいては、図12等の如く、ロッド32後端の枢支点P1を側面視で連結フレーム2近傍に配置し、第一リンク33aの枢支点P2を側面視で連結フレーム2に対し該枢支点P1よりも外側(下側)に配置している。
【0039】
勿論、尾輪支持用フレーム1・1及び尾輪支持杆3を水平にした時のロータリーカバー21の位置で、リアカバー22の後端が圃場面に接する位置となるように、リアカバー22のロータリーカバー21に対する取付角度も、前記の尾輪昇降操作杆26にて調節しておく。
【0040】
このように構成されたリンク機構を有する第三構成例のロータリー耕耘機において、耕深設定に係るロータリーカバー位置の調節操作について説明する。図11 のように、トラクタの作業機装着用昇降リンクを下降させて耕耘爪の位置を深耕位置にした時、尾輪支持用フレーム1及び尾輪支持杆3は、後下方傾斜状となる。そこで、該尾輪支持用フレーム1及び尾輪支持杆3を水平にすべく上方回動させるために、前記の尾輪昇降操作ハンドル27の回動操作にて尾輪昇降操作杆26を伸長すると、第一ブラケット2aの下端が後下方に押し下げられる。この際、ロッド32によりその後端の枢支点P1の移動は規制されるので、該枢支点P1を中心として、該第二ブラケット2bが回動するものであり、連結フレーム2は、取付ステー2cを介して該枢支点P1より上方にあり、かつ該第一ブラケット2aにおける該尾輪昇降操作杆26下端の枢支点より後方にあるので、前上方に回動し、従って、尾輪支持用フレーム1・1及び尾輪支持杆3が上方に回動するのである。
【0041】
一方で、枢支点P1より下方の第一リンク33aの枢支点P2は後方に回動するので、これに伴い、増幅リンク33における第一リンク33aと第二リンク33bとの枢結点P3は前方に移動し、第一リンク33a・第二リンク33b間の中折れ角度が狭まり、第二リンク33bの下端がそれに伴って前方に移動する。従って、ロータリーカバー21が前方に回動するのである。
【0042】
この際に、増幅リンク33においては、第一リンク33a及び第二リンク33bのL字曲折形状によって、中折れ部の枢結点P3よりも更に前方に第二リンク33bの下端のブラケット28における枢支点P4を移動させることができる。即ち、ヒンジ16bを中心とする尾輪支持用フレーム1及び連結フレーム2の上方回動量に比べて、ロータリーカバー21の前方回動量を大きく取ることができる。
【0043】
次に、図13及び図14により、浅耕設定時のロータリーカバー21の位置調節操作について説明する。トラクタの作業機装着用昇降リンクを上昇して、耕耘爪を浅耕位置にした時、尾輪支持用フレーム1及び尾輪支持杆3は後上方に傾斜する。これを水平にすべく下方回動させるために、前記の尾輪昇降操作ハンドル27の回動操作にて、尾輪昇降操作杆26を収縮すると、第一ブラケット2aの下端が前上方に引き上げられる。この時、前記と同様に、該第二ブラケット2bは枢支点P1を中心に回動するものであり、取付ステー2cを介して該枢支点P1より上方に位置し、かつ、該第一ブラケット2aにおける該尾輪昇降操作杆26下端の枢支点より後方にある連結フレーム2は、後下方に回動し、従って、尾輪支持用フレーム1・1及び尾輪支持杆3が下方に回動するのである。
【0044】
一方で、枢支点P1より下方の第一リンク33aの枢支点P2は、前方に回動するので、これに伴い、増幅リンク33における第一リンク33aと第二リンク33bとの枢結点P3は後方に移動し、枢結点P3を中心とする第一リンク33a・第二リンク33bの中折れ角度は広がって、第二リンク33bの下端がそれに伴い後方に移動する。
【0045】
この際、増幅リンク33においては、第一リンク33a及び第二リンク33bのL字曲折形状によって、中折れ部の枢結点P3よりも更に後方に第二リンク33bの下端のブラケット28における枢支点P4を移動させることができる。即ち、ヒンジ16bを中心とする尾輪支持用フレーム1及び連結フレーム2の後方回動量に比べて、ロータリーカバー21の後方回動量を大きく取ることができるのである。
【0046】
図13や図14のように、トラクタの作業機装着用昇降リンクを上昇させて耕耘爪の位置を浅耕位置にした時、尾輪支持用フレーム1及び尾輪支持杆3は、後上方傾斜状となる。そこで、該尾輪支持用フレーム1及び尾輪支持杆3を水平にすべく、前記の尾輪昇降操作ハンドル27の回動操作にて尾輪昇降操作杆26を収縮すると、第一ブラケット2aの下端が前上方に持ち上げられる。
【0047】
この際、ロッド32により、その後端の枢支点P1の移動は規制されるので、該枢支点P1を中心として、該第二ブラケット2bが回動するものであり、連結フレーム2は取付ステー2cを介して該枢支点P1より上方にあるので、該第一ブラケット2aにおける該尾輪昇降操作杆26下端の枢支点より後方の連結フレーム2は後下方に回動し、従って、尾輪支持用フレーム1・1及び尾輪支持杆3が下方に回動するのである。一方で、枢支点P1より下方の第一リンク33aの枢支点P2は前方に回動するので、これに伴い、増幅リンク33における第一リンク33aと第二リンク33bとの枢結点P3は後方に移動し、第二リンク33bの下端がそれに伴って後方に移動する。従って、ロータリーカバー21が後方に回動するのである。
【0048】
従来の耕深設定時におけるロータリーカバー21の前後回動操作(第一構成例と第二構成例で開示した回動スクリュー29の伸縮によるもの)は、尾輪支持用フレーム1(尾輪支持杆3)の水平制御操作とは別個であり、その上、尾輪支持用フレーム1が上方に位置する関係上、その上下回動量に制限されていた。しかし、本発明に係る第三構成例では、設定された耕深において、尾輪支持用フレーム1を水平に配置する操作をするだけで、ロータリーカバー21も、その耕深に対応した前後回動位置になるものであり、従来の回動スクリュー29も不要となる。また、ロータリーカバー21の前後回動域も、尾輪支持用フレーム1の上下回動量に比して広く取ることができ、極度な深耕位置や浅耕位置においても、尾輪支持用フレーム1を水平にして、尾輪の取付の他、施肥器や播種器、或いは培土器等を尾輪支持杆3に取付可能としつつ、ロータリーカバー21の後部に取り付けたリアカバー22を、その耕深における圃場面に正確に配置することができるのである。
【0049】
以上の如く構成したので、例えば、耕深の変更で、尾輪支持杆とその下方のリアカバーとの間の隙間の大きさが変化した場合にも、尾輪支持杆の前後位置を無段階に位置決めして、その隙間を調節することができ、従来のように段階的な位置決め構成に比して、尾輪支持杆に取りつける施肥器、播種器、培土器等の作業機器を最もよい位置に配置でき、また、その位置決め調節作業も容易に行うことができる。特に、左右一方の尾輪支持杆を摺動させるだけで、両方の尾輪支持杆が、摺動用装置にて同期して摺動するので、操作負荷が低減する上に、前後位置調節中に左右の尾輪支持杆がフレームに対して斜めにならず、円滑に左右摺動させることができる。また、摺動用装置は尾輪支持杆内に配設されているため、この装置がその外側に配置されて他の部材と干渉したり設置スペースを狭めたりという不具合を生じさせることがない。
【0050】
また、尾輪支持杆の前後位置を、ピン孔にピンを抜き差しして段階的に位置決めする構造において、請求項2記載の如き構成の位置決め固定ピンを設けることにより、その回動操作のみでピン孔に対する抜き差しができるので、ピンをフレームや尾輪支持杆から完全に脱却することがなく、また、ピン孔に嵌入している時には弾性力によって内向きに付勢されて抜けることがないので、β型ピン等の抜き止めを着脱する必要がなく、操作が非常に容易となり、更には、位置決め作業中にピンを紛失してしまうような事態がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】尾輪支持杆を無段階に前後位置調節可能とした第一構成例のロータリー耕耘機の側面図である。
【図2】第一構成例における尾輪支持杆の側面断面図である。
【図3】同じく平面断面図である。
【図4】同じく尾輪支持杆の摺動部部分の正面図である。
【図5】同じく尾輪支持杆内の摺動装置を示す後面断面図である。
【図6】尾輪支持杆を弾性位置決め固定ピンにて前後位置調節可能とした第二構成例のロータリー耕耘機の平面図である。
【図7】第二構成例における尾輪支持杆の側面断面図である。
【図8】第二構成例に用いる弾性位置決め固定ピンの平面図である。
【図9】第二構成例における尾輪支持杆の弾性位置決め固定ピンの取付部分の側面図である。
【図10】ロータリーカバーの前後回動域を増幅した第三構成例のロータリー耕耘機の平面図である。
【図11】第三構成例における深耕時の側面図である。
【図12】同じく深耕時の増幅リンク部分の側面断面図である。
【図13】第三構成例における浅耕時の側面図である。
【図14】同じく浅耕時の増幅リンク部分の側面断面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 尾輪支持用フレーム
2 連結フレーム
2a 第一ブラケット
2b 第二ブラケット
3 尾輪支持杆(デプスビーム)
4 摺動部
4a ピン孔
7 雌ネジ管
8 雄ネジ杆
9 スプロケット
10 チェーン
13 尾輪摺動操作ハンドル
14 弾性位置決め固定ピン
16 PTO入力ギアケース
16b ヒンジ
16c ヒンジ
21 ロータリーカバー
22 リアカバー
28 ブラケット
32 ロッド
33 増幅リンク
33a 第一リンク
33b 第二リンク
【出願人】 【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマー株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号
【出願日】 平成17年9月8日(2005.9.8)
【代理人】 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎

【公開番号】 特開2005−348750(P2005−348750A)
【公開日】 平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願番号】 特願2005−261221(P2005−261221)