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【発明の名称】 部分深耕機
【発明者】 【氏名】星原 宏文
【住所又は居所】長野県小県郡丸子町大字塩川5155番地 松山株式会社内

【氏名】伊東 邦晃
【住所又は居所】長野県小県郡丸子町大字塩川5155番地 松山株式会社内

【氏名】小林 誠
【住所又は居所】長野県小県郡丸子町大字塩川5155番地 松山株式会社内

【要約】 【課題】適切な耕耘作業ができる部分深耕機を提供する。

【解決手段】部分深耕機1は、トラクタの走行により移動しながら圃場の深い位置の土まで耕耘するものである。部分深耕機1は、第1土作業板部13と、第1土作業板部13の上端部に下端部が隣接した第2土作業板部18とを備える。第1土作業板部13の上端部表面および下端部表面には、第1土作業板部13に比べて摩耗しにくい層状の耐摩耗部31,32を一体的に設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車の走行により移動しながら圃場の深い位置の土まで耕耘する部分深耕機であって、
第1土作業板部と、
この第1土作業板部の上端部に下端部が隣接した第2土作業板部と、
前記第1土作業板部の少なくとも上端部表面に設けられ、前記第1土作業板部に比べて摩耗しにくい耐摩耗部と
を備えることを特徴とする部分深耕機。
【請求項2】
耐摩耗部は、第1土作業板部の上端部表面および下端部表面にそれぞれ設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の部分深耕機。
【請求項3】
耐摩耗部は、第1土作業板部より高い硬度を有する合金またはこの合金を形成しうる成分の粒子とバインダーとの混合物からなる処理剤を塗布し、次いでこの処理剤を加熱することによって構成された合金からなる高硬度層である
ことを特徴とする請求項1または2記載の部分深耕機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、適切な耕耘作業ができる部分深耕機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トラクタその他の走行車の走行により移動しながら圃場の深い位置の土まで耕耘する部分深耕機としては、チゼルの刃板部である金属製の第1土作業板部と、第1土作業板部の上端部に下端部が隣接した合成樹脂製の第2土作業板部とを備えた部分深耕機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−345303号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の部分深耕機では、例えば繰返しの使用により合成樹脂製の第2土作業板部が摩耗してその板厚が薄くなり、その第2土作業板部を新品に交換した場合に、第1土作業板部の上端部および第2土作業板部の下端部間に段差が生じてしまい、適切な耕耘作業ができないおそれがある。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、適切な耕耘作業ができる部分深耕機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の部分深耕機は、走行車の走行により移動しながら圃場の深い位置の土まで耕耘する部分深耕機であって、第1土作業板部と、この第1土作業板部の上端部に下端部が隣接した第2土作業板部と、前記第1土作業板部の少なくとも上端部表面に設けられ、前記第1土作業板部に比べて摩耗しにくい耐摩耗部とを備えるものである。
【0006】
そして、第1土作業板部に比べて摩耗しにくい耐摩耗部が第1土作業板部の少なくとも上端部表面に設けられているため、第1土作業板部の上端部および第2土作業板部の下端部間に段差が生じる不具合が抑制される。
【0007】
請求項2記載の部分深耕機は、請求項1記載の部分深耕機において、耐摩耗部は、第1土作業板部の上端部表面および下端部表面にそれぞれ設けられているものである。
【0008】
そして、耐摩耗部が第1土作業板部の上端部表面および下端部表面にそれぞれ設けられているため、第1土作業板部の耐久性の向上が図られる。
【0009】
請求項3記載の部分深耕機は、請求項1または2記載の部分深耕機において、耐摩耗部は、第1土作業板部より高い硬度を有する合金またはこの合金を形成しうる成分の粒子とバインダーとの混合物からなる処理剤を塗布し、次いでこの処理剤を加熱することによって構成された合金からなる高硬度層であるものである。
【0010】
そして、耐摩耗部である高硬度層にて第1土作業板部の耐久性が効果的に向上し、第1土作業板部の上端部および第2土作業板部の下端部間に段差が生じる不具合が効果的に抑制される。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、第1土作業板部に比べて摩耗しにくい耐摩耗部が第1土作業板部の少なくとも上端部表面に設けられているため、第1土作業板部の上端部および第2土作業板部の下端部間に段差が生じる不具合を抑制でき、よって適切な耕耘作業ができる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、耐摩耗部が第1土作業板部の上端部表面および下端部表面にそれぞれ設けられているため、第1土作業板部の耐久性の向上を図ることができる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、耐摩耗部である高硬度層にて第1土作業板部の耐久性が効果的に向上し、第1土作業板部の上端部および第2土作業板部の下端部間に段差が生じる不具合を効果的に抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の部分深耕機の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1において、1は部分深耕機(チゼルプラウ)で、この部分深耕機1は、走行車であるトラクタ(図示せず)に連結して使用する牽引式のものである。
【0016】
そして、部分深耕機1は、トラクタの走行(牽引動作)により圃場を前方(図示矢印方向)に移動しながら、圃場の深い位置(作業深さは例えば30〜45cm)の土(例えば心土層の土である心土)まで耕耘する耕耘作業機である。
【0017】
なお、部分深耕機1は、圃場の心土層および耕盤層を幅狭縦長状(作業幅は例えば7〜8cm)に切削するとともにこの切削された土を圃場表面上方まで持ち上げてその圃場表面上に反転放てきすることにより下層土と上層土とを混和させるもので、プラウの天地返しとサブソイラの心土破砕との両方の機能を有するものである。
【0018】
部分深耕機1は、トラクタの後部の3点リンク部(作業機昇降支持装置)に前部が連結された機枠2を備えている。
【0019】
機枠2は、左右方向長手状の主フレーム部3を有し、この主フレーム部3から走行車連結部であるトラクタ連結部4が前方に向って突出し、このトラクタ連結部4が図示しない3点リンク部に連結されている。なお、機枠2のトラクタ連結部4は、トップピン5を先端部に有するトップマスト6と、ロワピン7を先端部に有する左右一対のロワアーム8とにて構成されている。
【0020】
また、機枠2の主フレーム部3の左右方向略中央からは、前後方向にやや長手状で略板状の枠部9が後方に向って突出している。
【0021】
そして、機枠2の枠部9の後端部には、下部側が圃場の土中深く挿入される略湾曲状で縦長板状の支持体(ビーム)11の上端部が着脱可能に取り付けられている。
【0022】
支持体11の下端部前側には所定の作業幅をもって圃場の土(主として心土)を切削して持ち上げる金属製の第1切削面部である第1土作業板部(刃板部)13を前面部に有するチゼル体(先金等)14が取付具(ボルトおよびナット)15にて着脱可能に取り付けられ、支持体11の下端部後側にはウイング16が取り付けられている。
【0023】
また、支持体11には、この支持体11の前端縁に沿って位置して所定の作業幅をもって第1土作業板部13からの土を受け入れて圃場表面近傍まで持ち上げるとともに自らも圃場の土を切削して圃場表面近傍まで持ち上げる合成樹脂製の第2切削面部である第2土作業板部(センターボード部)18を前面部に有する切削体19が取付具(ボルトおよびナット)20にて着脱可能に取り付けられている。
【0024】
さらに、支持体11には、所定の作業幅をもって第2土作業板部18からの土を受け入れて圃場表面上方まで持ち上げて側方に反転放てきする合成樹脂製の反転面部である第3土作業板部(トップボード部)21を前面部に有する反転体22が取付具(ボルトおよびナット)23にて着脱可能に取り付けられている。
【0025】
なお、第1土作業板部13および第2土作業板部18は互いに上下に隣接して位置し、第2土作業板部18および第3土作業板部21は互いに上下に隣接して位置する。また、土が付着しにくい合成樹脂製の第2土作業板部18は切削体19の金属製の補強板部25にこの補強板部25上に重なり合うようにして着脱可能に設けられ、土が付着しにくい合成樹脂製の第3土作業板部21は反転体22の金属製の補強板部26にこの補強板部26上に重なり合うようにして着脱可能に設けられている。
【0026】
ここで、図2および図3にも示すように、チゼル体14の第1土作業板部13は、左右方向に幅方向を有する平面視略矩形状のもので、前下り傾斜状に位置する。また、第1土作業板部13の下端部(前端部)は下端縁ほど厚さが薄い所定の薄肉刃形状に形成され、その下端縁である前端縁が平面からみて前方に向って凸状の略円弧となっている。
【0027】
そして、金属製の第1土作業板部13の上端部表面および下端部表面には、第1土作業板部13に比べて摩耗しにくい薄い層状の耐摩耗部31,32がそれぞれ例えば溶着等により一体的に設けられている。
【0028】
すなわち、第1土作業板部13の前斜め上方を向いた下端部表面には窪み部分33が形成され、この窪み部分33内にこの窪み部分33を埋めるように層状の耐摩耗部32が設けられ、この耐摩耗部32の表面と第1土作業板部13の中間部表面とが同一面上に位置する。
【0029】
また同様に、第1土作業板部13の前斜め上方を向いた上端部表面つまり第2土作業板部18の下端部と隣接する隣接端部表面には窪み部分34が形成され、この窪み部分34内にこの窪み部分34を埋めるように層状の耐摩耗部31が設けられ、この耐摩耗部31の表面と第1土作業板部13の中間部表面とが同一面上に位置する。
【0030】
なお、この第1土作業板部13の2箇所に設けられた薄い層状の耐摩耗部31,32は、例えば第1土作業板部13より高い硬度を有する合金またはこの合金を形成しうる成分の粒子とバインダーとの混合物からなる処理剤を塗布し、次いでこの処理剤を加熱することによって構成された合金からなる高硬度層である。
【0031】
この高硬度層を構成するのに最も適した合金は、タングステン、炭素および鉄からなる三元系合金である。このような合金からなる高硬度層は、例えば予め溶融され次いで適当な粒度に造粒された合金粉と、加熱時に分解してガス化するようなバインダーとからなる処理剤を所望厚さで第1土作業板部13の表面に塗布し、短時間で合金粉を相互に焼結または溶融されることによって形成することができる。処理剤を短時間で高温まで加熱する手段としては、高周波誘導式の加熱手段が好ましく、この場合には第1土作業板部13に予め与えられた金属組織に大きい変化を与えることなく、合金粒子を所定温度まで加熱できる。この熱処理によって、合金粒子は、部分的或いは全体的な溶融によって相互に結合し、硬度の高い高硬度層を形成する。またこの加熱時にはバインダーは熱分解を起してガス化し、形成される高硬度層から離脱する。
【0032】
なお、図2および図3から明らかなように、チゼル体14の第1土作業板部13の上部裏面からは、連結板36で連結された左右一対の取付板部37が後方に向って突出し、両取付板部37が支持体11の下端部前側に着脱可能に取り付けられる。
【0033】
次に、上記一実施の形態の作用等を説明する。
【0034】
部分深耕機1を使用して耕耘作業をする場合、図示しないトラクタの3点リンク部に機枠2のトラクタ連結部4を連結することにより、トラクタの3点リンク部に部分深耕機1を連結装着する。その後、トラクタの3点リンク部を作動させて部分深耕機1を所定量下降させることにより、支持体11の下部側の部分を圃場の土中に深く挿入する。
【0035】
そして、この状態で、トラクタの前進走行させて部分深耕機1を進行方向前方に移動させると、チゼル体14の第1土作業板部13および耐摩耗部31,32と切削体19の第2土作業板部18とにて圃場の土が切削されて持ち上げられる。すなわち、略湾曲面状をなす段差のない1つの作用面部を構成する第1土作業板部13、耐摩耗部31,32および第2土作業板部18によって、圃場の土が切削されてスムーズに持ち上げられる。そして、持ち上げられた土は、反転体22の第3土作業板部21にて例えば進行方向右側方に向けて反転放てきされる。
【0036】
ここで、図4に示すように、部分深耕機1を繰返し使用すると、チゼル体14の第1土作業板部13のうちその表面である上面に耐摩耗部31,32が設けられていない部分が土或いは石等との接触に基づく摩耗によりその板厚寸法が小さくなる。
【0037】
しかし、第1土作業板部13のうちその表面である上面に耐摩耗部31,32が設けられた部分では、耐摩耗部31,32の存在によりその板厚寸法が長期間維持される。このため、第1土作業板部13の上端部および第2土作業板部18の下端部間に段差が生じるという不具合が抑制される。また、第1土作業板部13の下端部は所定の薄肉刃形状のままである。
【0038】
そして、上記部分深耕機1によれば、第1土作業板部13に比べて摩耗しにくい耐摩耗部31,32が第1土作業板部13の上端部表面および下端部表面に設けられているため、第1土作業板部13の上端部および第2土作業板部18の下端部間に段差が生じる不具合を抑制できるとともに、第1土作業板部13の下端部の所定の薄肉刃形状を長期間維持でき、よって適切な耕耘作業ができる。
【0039】
なお、上記実施の形態では、高硬度層からなる耐摩耗部31,32が第1土作業板部13の上端部表面および下端部表面に設けられた構成について説明したが、例えば図5および図6に示すように、第1土作業板部13の上端部表面のみに耐摩耗部31を設けた構成としても、第1土作業板部13の上端部および第2土作業板部18の下端部間に段差が生じる不具合を適切に抑制できる。
【0040】
また、耐摩耗部31,32は、所定の合金からなる高硬度層には限定されず、第1土作業板部13に比べて摩耗しにくいものであれば、材料は任意で例えば合成樹脂等からなるものでもよい。
【0041】
さらに、互いに別体の切削体19および反転体22を備えた構成には限定されず、例えば第2土作業板部18と第3土作業板部21とを合成樹脂製或いは金属製の1枚板状のねじり板等にて構成するようにしてもよい。
【0042】
また、部分深耕機1は、支持体11等を複数備えた複数連の構成としてもよく、またトラクタ側からの動力で支持体11が前後方向に振動する構成等としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の部分深耕機の一実施の形態の側面図である。
【図2】同上部分深耕機の第1土作業板部の平面図である。
【図3】同上第1土作業板部の側面図である。
【図4】同上第1土作業板部が摩耗した状態を示す側面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態に係る部分深耕機の第1土作業板部の平面図である。
【図6】同上第1土作業板部の側面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 部分深耕機
13 第1土作業板部
18 第2土作業板部
31,32 耐摩耗部
【出願人】 【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
【住所又は居所】長野県小県郡丸子町大字塩川5155番地
【出願日】 平成16年6月14日(2004.6.14)
【代理人】 【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄

【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡

【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也

【識別番号】100128392
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 秀一

【公開番号】 特開2005−348685(P2005−348685A)
【公開日】 平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願番号】 特願2004−175345(P2004−175345)