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【発明の名称】 農作業車
【発明者】 【氏名】中川 秀明
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】宮内 正男
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】黒田 恭正
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】富久 聡
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【要約】 【課題】農作業車に備えた左右の作業機の操作性を向上させる。

【解決手段】農作業車の前後輪の間に左右の作業機を昇降自在に備える。前記車両のステアリングハンドル1回転圏内に、左右の作業機の高さを独立して適宜変更操作する昇降スイッチ4A,4Aと、前記作業機3,3を設定された上限位置から下限位置までの間を連続的に上昇若しくは下降操作する中立復帰式のスイッチレバー4Bを備える。また前記スイッチレバー4Bでは、左右の作業機を同時に上昇若しくは下降させる構成とし、ステアリングハンドル1の直進操作状態において左右の昇降スイッチ4A,4A間に配置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右前輪(11F,11F)と、左右後輪(11R,11R)と、前記左右の前後輪の間に左右の作業機(3,3)とを備えた農作業車であって、前記作業機(3,3)を車体に対し左右夫れ夫れ独立して昇降自在に備えると共に、前記車両のステアリングハンドル(1)回転圏内に、前記左右の夫れ夫れの作業機(3,3)の高さを適宜変更操作する第一昇降操作具(4A,4A)を備え、更に前記作業機(3,3)を設定された上限位置から下限位置までの間を連続的に上昇若しくは下降操作する中立復帰式の第二昇降操作具(4B)を備えたこたことを特徴とする農作業車。
【請求項2】
前記中立復帰式の第二昇降操作具(4B)では、左右の作業機(3,3)を同時に上昇、若しくは下降させる構成としたことを特徴とする請求項1に記載の農作業車。
【請求項3】
前記中立復帰式の第二昇降操作具(4B)は、ステアリングハンドル(1)の直進操作状態において左右の第一昇降操作具(4A,4A)の間に配置したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の農作業車。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、車体の左右に作業機を備えた農作業車の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農作業では、畦溝の除草を行ったり畦に対して覆土を行う所謂畦間作業があり、これらの作業は車体中央部の作業機で1溝毎に行うか、或いは車体後部に左右に配するツールバーを備え、このツールバーに各種の作業機を畦幅に合わせて取り付けて複数の畦を一度に作業する構成となっている。例えば、特開平8−149901号公報では、前後輪間にスパイラルロータを備え、車体の左右中心位置に設けたネジ昇降器を回転させて、前記スパイラルロータを上下操作する構成となっている。
【特許文献1】特開平8-149901号(段落〔0008〕、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記のような畦間作業では、車体に対して単一の昇降装置しか備えない構成であるので、前記のようにツールバーに複数の作業機を取り付ける場合でも、畦が余った場合は、ツールバーの作業機を取り外したり、非作業位置へ退避させる煩わしさが有った。また作業機を車体の左右側方に備え、それぞれ独立して昇降操作する構成とすると、操作部の位置と作業機の位置とが離れて見え難くかったり、作業機の状態を確認しながら昇降操作するには窮屈な姿勢をとることを余儀なくされ、操作性が悪いという課題が想定される。
【0004】
よってこの発明は、農作業車に備えた左右の作業機の操作性を向上しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は前記した問題点に鑑みて、農作業車を以下のように構成した。
【0006】
即ち、請求項1の発明では、左右前輪(11F,11F)と、左右後輪(11R,11R)と、前記左右の前後輪の間に左右の作業機(3,3)とを備えた農作業車であって、前記作業機(3,3)を車体に対し左右夫れ夫れ独立して昇降自在に備えると共に、前記車両のステアリングハンドル(1)回転圏内に、前記左右の夫れ夫れの作業機(3,3)の高さを適宜変更操作する第一昇降操作具(4A,4A)を備え、更に前記作業機(3,3)を設定された上限位置から下限位置までの間を連続的に上昇若しくは下降操作する中立復帰式の第二昇降操作具(4B)を備えたこたことを特徴とする農作業車とした。
(請求項1の作用)
以上のように構成した農作業車では、第一昇降操作具(4A,4A)を操作すると左右夫れ夫れの作業機(3)の高さが変更され、第二昇降操作具(4B)を操作すると作業機(3)の高さが一気に上限位置、若しくは下限位置に変更される。
【0007】
また請求項2の発明では、前記中立復帰式の第二昇降操作具(4B)では、左右の作業機(3,3)を同時に上昇、若しくは下降させる構成としたことを特徴とする請求項1に記載の農作業車とした。
(請求項2の作用)
以上のように構成した農作業車では、第二昇降操作具(4B)を操作すると左右両方のの作業機(3,3)の高さが一気に上限位置、若しくは下限位置に変更される。
【0008】
また請求項3の発明では、前記中立復帰式の第二昇降操作具(4B)は、ステアリングハンドル(1)の直進操作状態において左右の第一昇降操作具(4A,4A)の間に配置したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の農作業車とした。
(請求項3の作用)
以上のように構成した農作業車では、左側の第一昇降操作具(4A)を操作すると、左側の作業機(3)の高さが変更され、右側の第一昇降操作具(4A)を操作すると、右側の作業機(3)の高さが変更され、左右の第一昇降操作具(4A,4A)間の第二昇降操作具(4B)を操作すると、左右両方の作業機(3)の高さが一気に上限位置、若しくは下限位置に変更される。
【発明の効果】
【0009】
これにより、請求項1の発明では、畦間作業を場合に左右の作業機(3)を独立して高さを変更でき、また圃場端での旋回時には作業機(3,3)を一度に上限位置、或いは下限位置、即ち作業位置に変更できて操作性が良い。
【0010】
また請求項2の発明では、第二昇降操作具(4B)では、左右両方の作業機(3,3)を同時に操作することができるので、左右別々に操作する構成と比較して、作業機の昇降にかかる操作性が向上する。
【0011】
また請求項3の発明では、第一第二昇降操作具(4A,4B)を車体の左右片方に集中配置する構成と比較して、第一昇降操作具(4A,4A)を操作する場合には夫れ夫れ同側の作業機(3,3)を確認しながら、楽な姿勢で昇降操作することができ、また両方の作業機(3,3)を操作する場合には、第二昇降操作具(4B)が、左右の第二昇降操作具(4A,4A)間に位置するので操作が理解し易い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に基づきこの発明の実施の形態を説明する。
【0013】
農作業車10は、図4に示すように、全体構成として車体前部に左右前輪11F,11Fを備え、車体後部に左右後輪11R,11Rを備えると共に、これら前後輪11F,11R間で、且つ車体の左右仮想中心線L1を挟んで左右に作業機3,3を備える構成となっている。
【0014】
また車体左右の仮想中心線L1上には、前方から順に、押圧用ハンドル12、エンジンE、この発明の操向操作具となるステアリングハンドル1、操縦席2を設け、オペレータは、車上から降りて同車両を前記押圧用ハンドル12を押圧して、車体後部を前輪11Fを支点として上昇させながら移動操作したり、操縦席2からステアリングハンドル1を回転操作して、前記後輪11Rを左右に操舵することで車体を左右操舵する構成となっている。
【0015】
詳細に説明すると、農作業車10は、この前部左右に、前後方向に配する前フレーム15aを設け、このフレーム15aの後部に上下方向の中間フレーム15bを介して後フレーム15cを接続して、これら左右フレーム間に複数の連結プレート、或いは連結フレームを架け渡して車体フレーム枠15を構成している。
【0016】
前記前フレーム15aは、前端部同士をバッテリ支持プレート15dにより連結し、同プレート15d上にバッテリ16を搭載すると共に、この左右両側部に、平面視ループ状の押圧用ハンドル12を支持する構成となっている。
【0017】
また前記押圧用ハンドル12の操縦席2から見てグリップ右側には、主クラッチレバー14を設け、エンジンEの回転動力から前輪11Fへの伝達動力を入切操作し、この主クラッチレバー14を入とした状態で、前記ハンドル12のグリップ部左右に設けた左右クラッチレバー17L,17Rで駆動輪となる前輪11F,11Fへの伝達動力を左右個別に入切操作する構成となっている。
【0018】
これにより、オペレータは前記押圧用ハンドル12を押圧して、車体を前輪11Fを支点として後部を上昇し、前記前輪11Fの駆動力を左右独立して入切操作することで、車体を前進、或いは左右に操向することができる。
【0019】
また前記エンジンEの回転動力は、前記ミッションケース18内のベルト式伝動機構を介して、下端部のツールバー40により取り出し、後述する上下のチェーンケース5,6内のチェーン式伝動機構を介して作業機3,3を駆動する構成となっている。
【0020】
また前記前フレーム15aには、この前部に連結フレーム15eを架け渡し、同フレーム15e上にエンジンEを搭載すると共に、同フレーム15a後部の左右間に前記エンジンEの後方に配した側面図屈曲状のミッションケース18を配設する構成となっている。また前記左右の前フレーム15aの夫れ夫れの外面には、ブラケット部材を介して作業機昇降用電動シリンダ19の基部を回動自在に支持し、第一昇降操作具となる左右の作業機昇降用スイッチ4A,4AのON/OFF操作で、同側のシリンダピストン19aを伸縮操作し、作業機3,3を昇降する構成となっている。またシリンダを支持するブラケットの下部には、車体後方へ向かって延設する前輪支持ブラケット20を接続し、前記ブラケット20の後部には、前輪11Fを支持するポータルケース21を取り付けると共に、前記押圧用ハンドル12を押圧操作して前輪11Fを支点に車体後部を持ち上げたときに車体の前傾姿勢を保持するキャスター輪22を支持する構成となっている。
【0021】
また前記ミッションケース18の左右側面からは、ハンドルポスト23を支持し、同ポスト23に前記ステアリングハンドル1を回転自在に支持する構成となっている。
【0022】
また前記後フレーム15cの後部には、左右フレーム間に連結プレート15fを架け渡し、同プレート15f近傍に、操縦席2を支持するシート支持フレーム24を取り付ける構成となっている。
【0023】
また前記後フレーム15cの後端部は、操縦席2の座面2aの下方に位置され、この後端部同士を車体左右に突設する後輪支持ロッド25にて接続し、このロッド25の左右端に後輪11を上下の支持軸26を中心に左右に回動自在に支持する構成となっている。
【0024】
ここで図5と図6に基づいて農作業車10の後輪操舵機構について説明する。
【0025】
後輪操舵機構は、車体前部の構成として、前記ステアリングハンドル1の支持軸30に備えた小径ギヤ31と、同ギヤ31と噛み合う大径ギヤ32と、同大径ギヤ32を支持する減速軸33及び同軸33と一体回転する後輪操舵アーム34を備える構成となっている。
【0026】
また車体後部には、操縦席2の下方で、且つ車体左右中心線L1上で、更に側面視、前記後輪11Rの上下の支持軸26の同位置に操舵軸35を立設し、同軸35に後輪操向プレート36を支持する構成となっている。またこのプレート35前部左右は、プッシュプルワイヤー37,37を介して前記後輪操舵アーム34の左右端と接続し、同プレート35後部左右にタイロッド38,38を介して後輪11のナックルアーム39を接続する構成となっている。
【0027】
尚、図中符号Sは、前記後輪操向プレート36を中立位置に復帰、即ち後輪11及び前記ステアリングハンドル1を直進位置へ復帰させる中立復帰用のスプリングを示す。
【0028】
これにより、前記ステアリングハンドル1を回転操作すると、この操作がステアリングの支持軸30、小径ギヤ31、大径ギヤ32、後輪操舵アーム34と伝達され、プッシュプルワイヤー37,37を介して、更に後輪操向プレート36に伝達されて、後輪11Rを前記ハンドル1の回転方向と反対側へ操舵する構成となっている。
【0029】
また前記タイロッド38,38は、前記後輪支持ロッド25と共に、パイプ部材とこれに挿通する支柱部材にて分割構成され、前記両種のロッド38,25の突出量を調整することで左右後輪11Rのトレッドを調整する構成となっている。
【0030】
次に農作業車10の作業機昇降装置、及びこの操作部について説明する。
【0031】
農作業車10の作業機昇降装置は、図3と図4に示すように、前記ミッションケース18の下部左右から突設するツールバー40と、二つのロータリケース(上部ロータリケース5、下部ロータリケース6)及びこの内部のチェーン式伝動機構と、前記作業機昇降用アクチュエータとなる作業機昇降用電動シリンダ19等から構成されている。
【0032】
前記上部ロータリケース5は、この上部に前記ツールバー40を挿通する入力筒軸5aを設け、この下部に出力軸5bを突設する構成となっている。また下部ロータリケース6は、この上部に前記出力軸5bを嵌合支持する入力筒軸6aを設け、この下部に出力軸となる前記耕耘軸6bを左右に突設する構成となっている。
【0033】
また更に、前記上部ロータリケース5の上部には、前記電動シリンダ19のピストン先端部を接続すると共に、前記下部ロータリケース6の中間部には、前記後フレーム15cと接続するリンクプレート43を接続して、これら上部ロータリケース5と下部ロータリケース6とリンクプレート43、そして前記ツールバー40を支持するブラケット44で平行リンク機構を構成している。
【0034】
また農作業車10のフロア45の左右には、前方を開放した膨出部45aを形成し、前記作業機3を上昇させると、この膨出部45a内に前記上部ロータリケース5及び下部ロータリケース6の上部を収納する構成となっている。
【0035】
これにより、前記作業機3を車体側方且つフロア下方でより高く上昇させることができ、またこれらチェーンケース5,6に付着した泥が跳ねてオペレータ側へ飛散することを防止することができる。
【0036】
また、前記作業機昇降装置の操作具となる2種類の昇降スイッチ(第一昇降操作具4A、第二昇降操作具4B)は、図1と図2に示すように、ステアリングハンドル1の回転操作圏内に備える構成となっている。
【0037】
詳しくは、前記ステアリングハンドル1には、同ハンドル1を直進操作状態において、この回転中心部P2上に「T」字型のスイッチ取付プレート50を一体回転自在に設け、このハンドル1の左右仮想中心線L1上且つ中心部よりも下方にエンジン緊急停止スイッチ52を取り付けると共に、中心部P2左右に前記中心線L1を対称としてシーソー式の昇降スイッチ4A,4Aを取り付ける構成となっている。
【0038】
尚、前記エンジン緊急スイッチ52は、回転式のスイッチであり、エンジン始動時には左右一側に回動保持させることでエンジン始動回路を開通し、エンジン停止時には同スイッチを上方から叩く、或いは押し操作することにより先の位置に跳ね返って回動し、エンジン停止回路を開通する構成となっている。
【0039】
また前記ステアリングハンドル1のスイッチ取付プレート50の下部で且つ左右一側には、第二昇降操作具として中立復帰式のスイッチレバー4Bを突設し、同レバー4B基部のハーネスを、前記昇降スイッチ4A,4Aのハーネスと共に、前記ステアリングハンドル1の支持軸30内を通じて、前記バッテリ16及び電動シリンダ19を接続するスイッチ回路に接続する構成となっている。
【0040】
以上のように構成した作業機昇降装置では、前記右側の昇降スイッチ4Aの上側を押し込むと、この押し込み中だけ右側の電動シリンダ19のピストンが短縮して車体右側の作業機3が上昇し、前記右側の昇降スイッチ4Aの下側を押し込むと、この押し込み中だけ前記同シリンダ19のピストンが伸長して車体右側の作業機3を下降操作して、右側の作業機3の高さを適宜変更することができる。
【0041】
一方、前記左側の昇降スイッチ4Aの上側を押し込むと、この押し込み中だけ前記左側の電動シリンダ19のピストンが短縮して車体左側の作業機3を上昇し、前記左側の昇降スイッチ4Aの下側を押し込むと、この押し込み中だけ同シリンダ19のピストンが伸長して車体左側の作業機3を下降操作して、左側の作業機3の高さを適宜変更することができる。
【0042】
更に、前記スイッチレバー4Bを上側に傾倒すると、左右両方の作業機3が後述するストッパー機構で設定された上げ設定位置まで同時に上昇し、スイッチレバー4Bを下側に傾倒すると、左右両方の作業機3が下げ設定位置まで同時に下降する。また左右の作業機3の高さが異なる場合は、夫れ夫れの電動シリンダ19(19)が作動し、夫れ夫れ上限位置若しくは下限位置に到達して停止する。
【0043】
また前記スイッチ回路には、タイマーを備え、前記スイッチレバー4Bを傾倒し、作業機3を上昇若しくは下降操作した際、即ち前記電動シリンダ19,19へ通電を行った場合は、この通電状態を一定時間で停止する構成となっている。
【0044】
これにより、前記作業機3が後述するストッパー機構により動きが規制されて停止しても電動シリンダ19を駆動し続け、過剰に負荷を掛けることが無くなり、シリンダ19または作業機3側の破損、変形を防止することができる。
【0045】
また昇降スイッチ4A,4A及びスイッチレバー4Bを車体の左右片方に集中配置する構成と比較して、昇降スイッチ4A,4Aを操作する場合には夫れ夫れ同側の作業機3,3を確認しながら、楽な姿勢で昇降操作することができ、また両方の作業機3,3を操作する場合には、スイッチレバー4Bが、左右の昇降スイッチ4A,4A間に位置するので操作が視覚的で理解し易く、誤操作が防止され、操作性が良い。
【0046】
尚、この発明の別形態としては、前記スイッチレバー4Bを中立復帰式の他のスイッチ、例えばタクトラバースイッチで構成したり、同スイッチレバー4Bで操作する作業機3を別途備えた作業機指定スイッチ(図中符号51)で左(L)右(R)個別で指定、若しくは両方を指定(LR)する状態に変更可能に構成しても良い。
【0047】
次に、前記作業機3の高さ表示装置7と、作業機昇降装置のストッパー機構について説明する。
【0048】
前記左右夫れ夫れの上下のロータリケース5,6は、前述の通り、平行リンク機構Rを形成し、作業機3を上下するものであるが、図3に示すように、可動部位となる上下ロータリケース5,6の屈折部で、且つ前記操縦席2から目視できる位置に、作業機3の高さを表示する表示装置7を備える構成となっている。
【0049】
詳しくは、前記上部ロータリケース5に、三角形状の矢印7bを表記し、下部ケース6に前記目盛り7aを表記して、前記作業機3昇降時には、前記矢印7bが目盛り7aに沿って移動することで、作業機3の高さを表示する構成となっている。
【0050】
尚、前記矢印7aに相当する表記は、この形状を他のマークとしたり小窓を有する突設片としても良く、また目盛り7bに相当する表記は、この形状を数字等としても良いし、他のボリュームを示す記号としても良い。またこれらをラベルに記載して前記ケースに貼り付ける構成としても良い。
【0051】
これにより、前記表示装置は、作業機3の昇降位置に関わらず操縦席2から常時目視できる位置に設定されることとなり、常にリンク機構の状態と作業機3の高さを同時に確認することができるので、作業機昇降操作時の確認作業が容易化され、また別途モニタなどをハンドル近傍に備える構成と比較して、表示装置を安価に構成することができる。
【0052】
また前記作業機3の昇降高さは、図7と図8に示すように、ストッパー機構の規制位置により制限される構成となっている。
【0053】
ストッパー機構は、前記上部ロータリケース5の外側面に備えるものであり、回転式調整ノブ部8aと、このノブ部8aに対し長さを伸縮調整でき、且つ下端部を前記リンクプレート43に接続するロッド部8bと、前記ロッド部8bを挿通支持して上部ロータリケース5の側面に取り付けられたガイド筒8cとから構成されている。また、前記ロッド部8bの下端部には、前記ガイド筒8cと略同径の拡大部8dを備える構成となっている。
【0054】
これにより、前記作業機3を上昇すると、前記ロッド部8bが上方へ移動し、下端部の拡大部8dと前記ガイド筒8cとが当接して作業機3の上昇を規制する(図7)。また作業機3を下降すると、前記前記ロッド部8cが下方へ移動し、ノブ部8aの下端部と前記ガイド筒8cとが当接して作業機3の下降を規制する(図8)。
【0055】
これにより、作業の高さや、作業機3の上下巾に応じて、前記ノブ部8aに対するロッド部8bの取り付け長さを変更することで、前記作業機3の下降下限位置(作業位置)を調整することができる。またここでは作業機3の上昇上限位置については前記膨出部45a内に収納される様、前記拡大部8dの長さが設定されている。またこのストッパー機構は、前記の通り、作業機3の側面に設けられ、操縦席2からでも調整操作できるものであるから、操作性も良い。
【0056】
次に農作業機10のクラッチ操作機構について説明する
前記農作業機10のエンジンE側方には、ベルトカバー60を備え、このカバー60内側に同エンジンEの回転動力を取出す出力軸61及び同軸61先端部に備えた出力プーリ62と、ミッションケース18内へ動力を入力する入力軸63及び同軸63先端部に備えた入力プーリ64と、両プーリ62,64間に架け渡すベルト部材65を有するベルト式連動機構を備える構成となっている。また前記ベルト式連動機構には、前記動力伝達状態を入切するクラッチアーム66を備え、同アーム66をトルクスプリング67によりアーム先端部のテンションプーリ68を常時ベルト緊張側、即ち動力伝達「入」側へ付勢する構成となっている。また前記クラッチアーム66の下動位置には、車体側からストッパ69を突設する構成となっている。
【0057】
また左右右側の前フレーム15a内側には、左右方向の支持軸70を突設し、同軸70に上下のアーム71a,71bを有する中継アーム71を回動支持し、この上側アーム71aと前記クラッチアーム66とをロッド72を介して連結し、下側アーム71bとフロア上に配置したクラッチペダル73の回動基部とをロッド74を介して連結する構成となっている。
【0058】
また更に前記下側アーム71bには、ワイヤー75を介して左右前輪11F,11Fを共に制動するブレーキ装置と接続する構成となっている。
【0059】
尚、図中符号79は、前記クラッチを入及び後述するブレーキを非作動に保持するべく回動アーム71を一方向に付勢するスプリングを示す。
【0060】
また前記クラッチペダル73は、右側の後フレーム15c内側に突設した軸X2に回動自在に支持し、この基部近傍には、同ペダル73の踏込み位置を保持するペダル保持機構Aを備え、同ペダル73を前記動力伝達を「切」に保持する位置と、左右前輪11F,11Fにブレーキを掛ける位置と保持する構成となっている。
【0061】
詳しくは、前記ペダル保持機構Aは、クラッチペダル73のアーム部に支持され、且つこのクラッチペダル73と踏込み面同士を略併設させたロックペダル75、及び同ペダル75を一方向に付勢したトルクスプリング76と、車体側の後フレーム15cに固定したガイドプレート77から構成される。
【0062】
また前記ガイドプレート77には、上部に1個所、下部に前後2個所の係合部P1〜P3を有するガイド溝77aを開口し、前記クラッチペダル73が踏込まれていない状態では、前記ロックペダル75は支持軸X1に対し時計周り(図9(A)中矢印イ側)に付勢され、ロックペダル75下部に延設した係止アーム75aの一端を上部の係合部(非踏込み位置P1)に係止させる構成となっている。
【0063】
そして前記クラッチペダル73とロックペダル75を同時に浅く踏み込むと、図9の(B)に示すように、前記係止アーム75aを下方へ押し、前記ロッド74及び回転アーム71、ロッド72を介してクラッチアーム66を伝動「切」側(図中矢印ロ側)に回転する。
【0064】
これにより、農作業車10の変速位置を変更する時や、作業中に高負荷が生じた時に車両を一時停止することができる。
【0065】
そして更に前記クラッチペダル73とロックペダル75を同時に深く踏み込むと、図10の(C)に示すように、前記ベルト式連動機構のクラッチを「切」とし且つブレーキワイヤー75が大きく引かれて左右前輪11F,11Fのブレーキ装置を作動しブレーキがかかる。
【0066】
これにより、農作業車10を前後傾斜している作業場で停止したり、障害物等の接触を避ける場合に車両を迅速に停止することができる。
【0067】
また前記両ペダル73,75の内、クラッチペダル73だけを踏み込むと、図10の(D)に示すように、ロックペダル75はトルクスプリング76により時計周りに付勢された状態であるので、係止アーム75aはガイド溝77aの上辺に沿って摺動し前記下前部の係止部P2、即ち(クラッチ切保持位置)に係止保持される。
【0068】
これにより、農作業車10は動力伝達が「切」とされているので、例えば前記押圧用ハンドル12にて車体を前後押し引きして移動することができる。尚、この状態では前記ブレーキワイヤー75はブレーキを作動させない長さに設定されている。
【0069】
また両ペダル73,75の内、ロックペダル75だけを踏み込むと、図11の(E)に示すように、同ペダル75がクラッチペダル73のアーム部に回動自在に支持されている為、両ペダル73,75は共に反時計回りに回動操作され、係止アーム75aは前記ガイド溝77aの下辺部に沿って摺動し前記下後部の係止部P3、即ち(ブレーキ保持位置(パーキング位置))に係止保持される。
【0070】
これにより、農作業車10の動力伝達を「切」とし、且つ前輪11Fにブレーキをかけたまま保持して車両をパーキング状態とすることができる。
【0071】
以上のように構成した農作業車10のクラッチ操作機構は、クラッチの入切操作とブレーキ操作を両ペダル73,75の踏み込み操作だけで行うことができ、操作性が良い。またプレート部材やロッドやワイヤー等の機械部品で構成されている為、安価に構成することができ生産コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】ステアリングハンドルの正面図。
【図2】ステアリングハンドルの側面図。
【図3】作業高さ表示装置を示す平面図。
【図4】農作業車の全体側面図。
【図5】後輪の操舵機構を示す平面図。
【図6】後輪操舵機構を示す背面図。
【図7】上昇規制時のストッパを示す側面図。
【図8】下降規制時のストッパを示す側面図。
【図9】(A)クラッチペダルの非踏込み時の連動構成を示す図。(B)クラッチペダルとロックペダルを共に軽く踏込んだ時の連動機構を示す図。
【図10】(C)クラッチペダルとロックペダルを共に深く踏込んだ時の連動構成を示す図。(D)クラッチペダルを踏み込んだ時の連動機構を示す図。
【図11】(E)ロックペダルを踏み込んだ時の連動機構を示す図。
【符号の説明】
【0073】
1 ステアリングハンドル
2 操縦席
3 作業機
4A 昇降スイッチ(第一昇降操作具)
4B スイッチレバー(第二昇降操作具)
10 農作業車
11F 前輪
11R 後輪
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【住所又は居所】愛媛県松山市馬木町700番地
【出願日】 平成16年4月28日(2004.4.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−312342(P2005−312342A)
【公開日】 平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願番号】 特願2004−133012(P2004−133012)