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【発明の名称】 バーチカル処理用刃物
【発明者】 【氏名】薮田 定一

【要約】 【課題】再研磨のメンテナンス作業の頻度を少なくして、再研磨のメンテナンス作業を行わずに長期間使用しても、バーチカル作業の効率を持続することができるバーチカル処理用刃物を提供することを課題とする。

【解決手段】本発明のバーチカル処理用刃物は、刃物軸Pを貫通させて固定する軸孔1と、この軸孔1から平面内で放射状に延設された複数の延設刃部2とを有する平板からなる回転刃物であって、前記延設刃部2は、それぞれ、一対の先端角部21、22を有する左右対称形状であり、この一対の先端角部21、22を結ぶ端辺2eに、軸孔1寄りの平面切欠き3を設けたことを特徴とする。また、平面切欠き3が、軸孔1方向に湾曲した曲線から形成されるものとしてもよい。或いは、延設刃部2の先端付近が、軸孔1方向から先端方向に向かって幅広となるような側辺21e、22eを有するものとしてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刃物軸Pを貫通させて固定する軸孔1と、この軸孔1から平面内で放射状に延設された複数の延設刃部2とを有する平板からなる回転刃物であって、前記延設刃部2は、それぞれ、一対の先端角部21、22を有する左右対称形状であり、この一対の先端角部21、22を結ぶ端辺2eに、軸孔1寄りの平面切欠き3を設けたことを特徴とするバーチカル処理用刃物。
【請求項2】
平面切欠き3が、軸孔1方向に湾曲した曲線から形成されることを特徴とする請求項1記載のバーチカル処理用刃物。
【請求項3】
延設刃部2の先端付近が、軸孔1方向から先端方向に向かって幅広となるような側辺21e、22eを有することを特徴とする請求項1又は2記載のバーチカル処理用刃物。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、芝生のバーチカル処理に使用する、バーチカル処理用刃物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
芝生面の手入れにおいては、バーチカル処理が必要となる。バーチカル処理とは、マット化した芝生の表層に隙間を作るエアレーションの一種であり、芝生面と垂直な縦方向(鉛直方向)に入刃すると共に、苅草や枯れ草、ないし土を掻き出す処理である。これにより、芝を縦に切断して芝生の若返りを図ると共に、水や肥料等のための隙間を作って栄養繁殖を図ることができる。
【0003】
このバーチカル処理には、平板からなるバーチカル刃物を用いる。具体的には、等間隔に立てた複数のバーチカル刃物に刃物軸を貫通させて固定し、この刃物軸をバーチカル刃物と共に回転させながらトラクタなどで芝生上を牽引することで、バーチカル処理を行う。ここで、それぞれのバーチカル刃物は、略方形の先端を有する方形刃部が、放射状に複数設けられてなる(例えば、特許文献1参照。)。バーチカル刃物が回転すると、この方形刃部のそれぞれが、芝生面の切断と苅芝(サッチ)等の掻き出しとを連続して行う。隣り合う方形刃部が順に芝生面に接することにより、一定の深さと間隔でバーチカル処理を行うことができる。
【0004】
従来、バーチカル刃物として、それぞれの方形刃部が対称形状であり、正逆の回転方向に対応した両方向バーチカル刃物が存在した(例えば、図6及び特許文献2参照。)。これは、方形刃部の両角のうち一方の第一刃が使用によって磨耗した場合(図7の中図)に、刃物軸を逆回転させるか、或いはバーチカル刃物を裏返して固定し直すことで、方形刃部の両角のうち他方の第二刃を主切断刃とする(図7の右図)ことのできるものである。
【0005】
方形刃部の先端の両角のうち、進行方向(図7の→の回転方向)前方にある前方刃は、使用によって磨耗し角部が丸くなる(図7の中図における右角部、及び図7の右図における左角部)。その一方で、進行方向(回転方向)後方の後方刃は、使用によって円弧状に自然研磨され、角部が鋭利になる(図7の中図における左角部、及び図7の右図における右角部)。これは、方形刃部の両角で結ばれる端辺2eの両端が、回転軸を中心とする円弧状に研磨されることによるものである。
【0006】
よって、図7の中図及び右図の様に、両方向バーチカル刃物を両回転方向に繰り返して使用することで、長期の使用によっても角部の切断性を確保することができ、方形刃部の角部の再研磨がほぼ不要になる。つまり、両方向バーチカル刃物は、方形刃部の先端を再研磨するメンテナンス作業の頻度を減少させることができるものである。
【特許文献1】特開2002−209405号公報
【特許文献2】特開2001−128504号公報(特に段落番号0108、図23)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
両方向バーチカル刃物は、方形刃部の両角で結ばれる端辺の両端が円弧状に研磨されることによって、角部の切断性を確保するものである。しかしながら、前記従来の両方向バーチカル刃物は、方形刃部の両角が直線からなる端辺で結ばれている(図6、及び図7の左図)。このため、図8のように、両回転方向の繰り返し使用によって角部がわずかに磨耗及び研磨されただけで、角部で切断した苅草を保持して掻き出すための掻き出し空間が急激に減少してしまい、掻き出しの効率が悪化してしまう。切断性が確保されていても、掻き出し効率が悪化するとバーチカル作業全体の効率が低下するため、磨耗減少した方形刃部の端辺を再研磨して掻き出し空間を確保するメンテナンス作業自体は、依然として必要であった。
【0008】
そこで、本発明は、再研磨のメンテナンス作業の頻度を少なくして、再研磨のメンテナンス作業を行わずに長期間使用しても、バーチカル作業の効率を持続することができるバーチカル処理用刃物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明のバーチカル処理用刃物は、刃物軸Pを貫通させて固定する軸孔1と、この軸孔1から平面内で放射状に延設された複数の延設刃部2とを有する平板からなる回転刃物であって、前記延設刃部2は、それぞれ、一対の先端角部21、22を有する左右対称形状であり、この一対の先端角部21、22を(直線又は曲線で)結ぶ端辺2eに、軸孔1寄りの平面切欠き3を設けたことを特徴とする。
【0010】
このようなものであれば、平面切欠き3によって、延設刃部2の各先端角部21、22間に、軸孔1寄りの掻き出し空間Sが確保される。そして、使用によって各先端角部21、22が円弧状に研磨又は磨耗した後も、先端角部(21又は22)で切断された苅草を、この軸孔1寄りの掻き出し空間Sに保持しうるものとなる。これにより、長期間の使用によっても掻き出し効率を維持することが可能となる。
【0011】
また、本発明のバーチカル処理用刃物は、前記平面切欠き3が、軸孔1方向に湾曲した曲線から形成されることが好ましい。
【0012】
このような平面切欠き3であれば、掻き出し空間Sが、滑らかな角度変化の端辺2eによって形成されることとなる。よって、軸孔1寄りの掻き出し空間S内で苅草が引っかかりにくいものとし、スムーズな掻き出しを行うことができる。
【0013】
またこのような平面切欠き3であれば、急激な形状変化を伴うことなく平面切欠き3を形成することができる。よって、前記平面切欠き3を設けたことによる極端な応力集中を回避することで、破損(すなわち破壊や破断)の起こりにくい、高強度の延設刃部2となる。
【0014】
また、本発明のバーチカル処理用刃物は、前記延設刃部2の先端付近が、軸孔1方向から先端(すなわち端辺2e)方向に向かって幅広となるような側辺21e、22eを有することが好ましい。
【0015】
このようなものであれば、各先端角部21、22は、使用によって円弧状に研磨された後も有効掬い角を保つことができ、切断力を良好に維持することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、上述のような構成としたことで、使用により円弧状に自然研磨されることで切断力を維持しつつ、平面切欠きが掻き出し空間を保持することで掻き出し効率を維持することができる。これによって、再研磨のメンテナンス作業を行わずに長期間使用しても、バーチカル作業の効率を持続することができるバーチカル処理用刃物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、各実施例として示す各図と共に説明する。図1ないし図3に、本発明の実施例1を示す。図4に本発明の実施例2を、図5に本発明の実施例3を、それぞれ示す。尚、図6ないし図8に、従来の両方向用バーチカル処理用刃物の例を示す。本発明も、図7に示す両方向に用いる基本的機能について共通する。
【実施例1】
【0018】
図1は、実施例1の平面形状を示す平面図であり、図2は、実施例1を刃物軸Pに取り付けた状態を示す斜視図であり、図3は、実施例1を使用した状態の延設刃部2を示す拡大平面図である。
【0019】
実施例1のバーチカル処理用刃物は、平板からなる刃物であって、刃物軸Pを貫通させ固定させるための軸孔1と、この軸孔1から平面内で放射状に等間隔に延設された複数枚の延設刃部2と、を有し、刃物軸Pが外部動力によって高速回転することで、これに固定された延設刃部2が高速進行して切断する、回転刃物である。前記延設刃部2は、それぞれ、互いに同一形状、同一長さであり、少なくとも二つの先端角部21、22を有する左右対称形状である。さらに、二つ以上の先端角部のうち、最も離れた一対の先端角部21、22を直線又は曲線で結んで形成される延設刃部2の端辺2eには、軸孔1寄りの平面切欠き3を設けてある。
【0020】
より具体的には、バーチカル処理用刃物は、軸孔1を中心とする、略等厚の平板からなる回転刃物であり、軸孔1を平面中央に有する胴板1Bと、この軸孔1の回転中心Oを中心として胴板1Bの平面周縁から放射状に延設される複数の平面視略等長さの延設刃部2と、からなる。回転刃物であるから、バーチカル処理用刃物全体は、軸孔1の回転中心Oを通る任意の径に対して、左右対称の平面形状である。
【0021】
胴板1Bは、平面中央にて軸孔1を有すると共に、その平面周縁にて延設される5枚の延設刃部2を一体的に保持する。また、胴板1Bには、位置決め孔1Bhが設けられている。
【0022】
軸孔1は、刃物軸Pを胴板1Bに垂直に貫通させて固定すべく、刃物軸Pの断面に沿う形状であり、軸孔1の中心は回転中心Oであると共に、刃物軸Pの軸心でもある。実施例1では、確実に固定しつつ衝撃や負荷を分散させ、更にバーチカル切断の間隔を調整すべく、略多角形状たる正六角形状となっている。正六角形状の場合、刃物軸Pに対して延設刃部2の向きを一定整数倍毎(つまり60度の任意の整数倍)に調整することができる。
【0023】
これにより、例えば図2に示すように、複数枚のバーチカル処理用刃物を立てて並列固定する際に、隣り合うバーチカル処理用刃物の向き(即ち、刃物軸Pに対する位相角)を60度ずつずらして固定できる。図2に示すような刃物列で固定すれば、刃物軸Pの回転によって、常に一定枚数の延設刃部2が、刃物軸P上の一定間隔で芝生面に接することとなり、刃物軸Pやその回転動力源への負荷が均一化され耐久性を向上させるものとなる。
【0024】
軸孔1は他に、円形孔にキー溝を設けたものでもよい。この場合、製造が容易となり、安価かつ確実な固定構造を得ることができる。
【0025】
位置決め孔1Bhは、複数枚固定するバーチカル処理用刃物の、刃物軸Pに対する位置および位相角を容易に視認するための微小孔である。これにより図2に示すような、位相角を規則的にずらした固定等を容易に行うことができる。実施例では位置決め孔1Bhとして、貫通孔を、5枚のうち1枚の延設刃部2の左右対称軸上に設けていることで、両面から容易に視認できる。この他、貫通しない窪み穴でも良く、延設刃部2の端辺等の箇所に設けても良い。
【0026】
延設刃部2は、前記胴板1Bの平面周縁から、複数枚たる5枚が等間隔に延設される。それぞれの延設刃部2は、第一及び第二側辺21e、22eと、端辺2eとから3方の平面端縁が形成され、左右対称形状である。その左右対称軸は前記軸孔1の回転中心Oを通り、回転半径と共通する。この対称形状によって、両方向のバーチカル処理を等効率で行うことができる。
【0027】
更に、第一側辺21eと端辺2eとから第一先端角部21が形成され、第二側辺22eと端辺2eとから第二先端角部22が形成される。第一先端角部21と第二先端角部22とは、各延設刃部2において、左右一対の先端角部である。

また、延設刃部2は、その先端までが胴板1Bと等厚であり、第一及び第二側辺21e、22eと、端辺2eとからなる平面端縁は、いずれも垂直切断により形成される。つまり、これら平面端縁はいずれも、厚み方向への刃先が形成されていない。これによって、バーチカル処理としての、芝生面の垂直切断すなわち芝や土の縦切断によるエアレーションが可能となる。
【0028】
第一及び第二側辺21e、22eは、延設刃部2の先端付近において、軸孔1方向から延設刃部2の先端方向、即ち端辺2e方向に向かって幅広となるように形成される。換言すれば、延設刃部2の、軸孔1の回転中心Oから任意の距離における平面幅2bは、回転中心Oからの距離の増加に伴って増加し、延設刃部2の先端付近は撥状の第一及び第二側辺21e、22eによって形成される(図1)。具体的には、第一及び第二側辺21e、22eは、実施例1では直径75mmの真円弧にて形成される。この真円弧の径は、バーチカル処理用刃物全体の先端角部21、22による代表径(本実施例では直径320mm)に対して20ないし30%程度程度であることが強度面から好ましい。
【0029】
このような側辺21e、22eであれば、先端角部21、22は、常に有効な掬い角を保つことができ、従って、使用によって円弧状に研磨された後も、切断力を良好に維持することができる。
【0030】
しかして、平面切欠き3は、延設刃部2の端辺2eにおいて、一対の先端角部たる第一及び第二先端角部21、22よりも軸孔1寄りに設けられ、延設刃部2の端辺2eの全部又は一部から形成される。実施例1では、端辺2eの全部として第一先端角部21から第二先端角部22までに亘り、軸孔1方向に湾曲した曲線から形成される(図1、3)。この湾曲した曲線は、延設刃部2の対称軸の先端方向への延長線上に中心を有する直径120mmの真円弧である。このような真円弧で形成する場合、円弧の径が、バーチカル処理用刃物全体の先端角部21、22による代表径(本実施例では直径320mm)に対して35ないし40%程度程度であれば、強度および掻き出し空間Sの確保の面から、より好ましいものとなる。
【0031】
このような平面切欠き3であれば、掻き出し空間Sが、滑らかな角度変化の端辺2eによって形成されることとなる(図3)。よって、掻き出し空間S内で苅草のひっかかることのない、スムーズな掻き出しを行うことができる。
【0032】
また、急激な形状変化を伴うことなく平面切欠き3を形成することができる。よって、前記平面切欠き3を設けたことによる極端な応力集中を回避することで、破壊ないし破断の起こりにくい、高強度の延設刃部2となる。
【0033】
更に、平面切欠き3を端辺2eの全部として両先端角部21、22から形成したことで、比較的大きな逃げ角を確保することができ、切断力に優れたものとなる(図3)。
【0034】
本実施例の延設刃部2の切削の状況を、以下に詳述する。図3において胴板1Bが向かって左(図の→方向)廻りに回転する場合、向かって左側の第一先端角部21が、延設刃部2の進行方向(図の→方向)前方の切れ刃となる。このとき第一側辺21eが掬い面となり、端辺2eが逃げ面となる。
【0035】
平面切欠き3が端辺2eの全部、すなわち第一先端角部21から第二先端角部22までに亘って形成されたことによって、比較的大きな逃げ角が形成され、優れた切削効率となる(図3)。特に、使用によって円弧状に磨耗及び研磨された後は、端辺2eのうち自然研磨による円弧状部が第一逃げ面、平面切欠き3が第二逃げ面となる。これにより、逃げ面磨耗を効果的に防止することができ、優れた切断効率及び掻き込み効率を確保することができる。
【0036】
回転方向たる進行方向前方の先端角部を前方先端角部とすると、一方向の使用によって、両先端角部21、22は円弧状に自然研磨されるとともに、前方先端角部(図3における第一先端角部21)には、救い面磨耗が生じる。
【0037】
この円弧状の自然研磨は、延設刃部2の端辺2eに着目すれば、逃げ面磨耗とも言えるもので、前方先端角部の逃げ面及び逃げ角を形成するものである。自然研磨による円弧は、被削形状即ち被削面の平面視形状である。具体的には、軸孔1の平面中央すなわち回転中心Oを中心として、第一及び第二先端角部21、22が描く真円弧であり、図3において二点鎖線で表す。使用によって円弧状の自然研磨がすすむと、各先端角部21、22は軸孔1方向へ研磨され減少する。このため、被削形状の円弧の径が小さなものとなる。
【0038】
この自然研磨による被削形状の円弧と延設刃部2の端辺2eとによって囲まれる空間が、掻き出し空間Sである。掻き出し空間Sは、前方先端角部(図3における第一先端角部21)によって切断された苅芝や、芝の生え際の土砂、枯れ草を一旦保持して掻き出すための空間であり、チップポケットの役割も果たす。これは、バーチカル作業にて大きなエアレーション効果を発揮させるために必要なものである。
【0039】
掻き出し空間Sは、使用により被削形状の円弧の径が次第に小さくなることに伴って減少する。このため、掻き出し空間Sを再生するため、端辺2eを軸孔1方向へ再研磨するメンテナンス作業が必要となる。
【0040】
ここで、バーチカル処理用刃物は図2に示すように、刃物軸Pに20ないし40枚まとめて固定して使用するものであるから、一回のメンテナンス作業のために全てのバーチカル処理用刃物を刃物軸Pから外し、20ないし40枚の全てを再研磨することは、相当の労力と時間を要する。一方、芝生の生長サイクルから、バーチカル処理が必要となる時期は一年間で数ヶ月程度に限られており、この短い期間に多くのバーチカル処理を行う必要がある。このため、メンテナンス作業の頻度をわずかにでも減少させることは、非常に大きな効果を奏する。
【0041】
また、延設刃部2の進行方向後方寄りの先端角部を後方先端角部とすると、自然研磨による円弧は、同時に各先端角部21、22を軸孔1方向へ研磨するものであるから、後方先端角部(図3における第二先端角部22)の側辺(図3の第二側辺22e)に着目すれば、使用により磨耗した掬い面を再生し、有効掬い角を再生するものでもある。
【0042】
一方、一方向の使用によって、前方先端角部(図3における第一先端角部21)には、掬い面磨耗が生じる。
【0043】
この掬い面磨耗は、主に衝撃による疲労磨耗であり、前方先端角部(図3の第一先端角部21)の先端から側辺(図3の第一側辺21e)にかけて、曲線状に欠損して磨耗する。この掬い面磨耗によって有効掬い角が確保できなくなると、切断効率が極端に悪くなる。このため、従来の一方向バーチカル刃では、再研磨によって有効掬い角を再生する必要があった。本発明の両方向バーチカル刃は、円弧状の自然研磨を利用して、有効掬い角を再生するものである。
【0044】
使用による有効掬い角の再生を、以下に詳述する。図3において前方先端角部は第一先端角部21であると共に、後方先端角部は第二先端角部22であり、使用によって図3に示すように、前方先端角部たる第一先端角部21の第一側辺21eの側に、掬い面磨耗が生じる。このように掬い面磨耗が生じた場合、刃物軸Pを逆方向に回転させるか、バーチカル処理用刃物を刃物軸Pに対して裏返して固定し直すことで、前方と後方の先端角部21、22を相互に入れ替えて使用する。つまり、前方先端角部を第二先端角部22として、後方先端角部を第一先端角部21として、延設刃部2を逆の進行方向に使用する。この逆方向の使用によって、前方先端角部たる第二先端角部22は有効掬い角を確保できると共に、後方先端角部たる第一先端角部21が円弧状に自然研磨され、その有効掬い角を自然再生することができる。
【0045】
その他、各部の具体的な構成は、上述した実施例に限定されるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【実施例2】
【0046】
図4は、本発明の実施例2の延設刃部2の拡大平面図である。
実施例2では、軸孔1寄りの平面切欠き3を、端辺2eの全部としてV字直線で形成している。特に、軸孔1方向へ複数段たる二段に折曲した直線からなり、軸孔1に近い位置で、切欠き角度を変え、より深い切欠きとなっている。
【0047】
直線からなるV字直線としたことで、容易に平面切欠き3を形成することができるものとなる。また再研磨等も容易に行うことができる。
【0048】
複数段(二段)の折曲によって、使用により多くが研磨された後も有効な逃げ角を確保することが可能となる。すなわち、バーチカル処理用刃物の被削形状は、第一及び第二先端角部21e、22eが描く円(図4の二点鎖線で表す被削形状1)であるところ、使用により各先端角部21e、22eが磨耗すると、必然的に被削形状の円が小径のもの(図4の三点鎖線で表す被削形状2)となる。このため、例えば図6に示すような従来の両方向バーチカル刃では、端辺が直線であり一定の切欠き角度であることから、使用により掬い角および逃げ角が減少してしまうものであった。
【0049】
これに対し、本実施例では、複数段のV字直線によって切欠き角度を変えることで、有効な逃げ角を確保する平面切欠き3を容易に得ることができる。
【0050】
また、深い平面切欠き3を、必要な強度を保ちつつ得ることができ、掻き出し空間Sの保持を、より効率的に行うことができる。
【0051】
その他の構成は、実施例1と同様である。尚、強度を確保すべく、一段のV字直線によるものでもよい。
【実施例3】
【0052】
図5は、本発明の実施例3の延設刃部2の拡大平面図である。
実施例3では、軸孔1寄りの平面切欠き3を、延設刃部2の端辺2eの一部として円弧状の曲線で形成している。各先端角部21e、22e付近を、両先端角部を結ぶ直線にて構成したことで、使用前の初期状態においても各先端角部21e、22eの角度が比較的大きなものとなり、必要な強度を保つことができ容易に欠損しにくいものとなる。
【0053】
また、延設刃部2の直線からなる端辺2e上の任意の点は、端辺2eの中央に近い位置ほど軸孔1との距離が一定の割合で小さくなる。よって、直線端辺2eの任意の範囲に平面切欠き3を形成することで、バーチカル効率が悪化する範囲だけについて、効率的に掻き出し空間Sを確保することができる。
【0054】
その他の構成は、実施例1と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
このようにして得られた各実施例のバーチカル処理用刃物は、任意の枚数を刃物軸に固定して、この刃物軸を回転させながらトラクタ等で牽引することで、様々な芝生のバーチカル処理に用いることができる。特に、ゴルフ、サッカー、野球等のスポーツターフの手入れに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施例1のバーチカル処理用刃物の平面図である。
【図2】実施例1のバーチカル処理用刃物を刃物軸に固定した状態例を示す斜視外観図である。
【図3】実施例1のバーチカル処理用刃物を使用した状態を示す部分拡大説明図である。
【図4】実施例2のバーチカル処理用刃物の部分拡大平面図である。
【図5】実施例3のバーチカル処理用刃物の部分拡大平面図である。
【図6】従来のバーチカル処理用刃物の平面図である。
【図7】従来のバーチカル処理用刃物の使用方法を示す部分拡大説明図である。
【図8】従来のバーチカル処理用刃物を使用した状態を示す部分拡大説明図である。
【符号の説明】
【0057】
1 軸孔
2 延設刃部
2e 端辺
21 (第一)先端角部
21e (第一)側辺
22 (第二)先端角部
22e (第二)側辺
3 平面切欠き


【出願人】 【識別番号】599157930
【氏名又は名称】有限会社 ヤブタ
【出願日】 平成15年8月11日(2003.8.11)
【代理人】 【識別番号】100072213
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 一義

【公開番号】 特開2005−58070(P2005−58070A)
【公開日】 平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願番号】 特願2003−291431(P2003−291431)