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【発明の名称】 農作業機
【発明者】 【氏名】中沢 厚
【住所又は居所】長野県小県郡丸子町大字塩川5155番地 松山株式会社内

【氏名】上杉 洋一
【住所又は居所】長野県小県郡丸子町大字塩川5155番地 松山株式会社内

【氏名】小林 一貴
【住所又は居所】長野県小県郡丸子町大字塩川5155番地 松山株式会社内

【要約】 【課題】可動機枠を格納非作業位置に適切にロックできる農作業機を提供する。

【解決手段】農作業機1は、固定機枠2と可動機枠6と回動アーム体3,4と回動体67とを備える。第1回動アーム体3は係合軸部75を有する。回動体67は係合軸部75と係脱する長孔部77を有する。可動機枠6が格納非作業位置に位置した状態では、係合軸部75と長孔部77とが互いに係合し、この係合をシリンダ62で維持する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車の走行により移動しながら土作業部で土作業を行う農作業機であって、
走行車連結部を有する固定機枠と、
前記土作業部が前記走行車の前進走行に基づいて土作業をする前進作業位置、前記土作業部が前記走行車の後退走行に基づいて土作業をする後退作業位置および前記土作業部が前記走行車の後方に位置する格納非作業位置に移動可能なもので、前記土作業部を支持する可動機枠と、
前記固定機枠に一端側が回動可能に連結されかつ前記可動機枠に他端側が回動可能に連結され、係合軸部を有する回動アーム体と、
前記固定機枠に回動可能に取り付けられ、格納ロック用係合孔部を有する回動体と、
この回動体を回動させる駆動手段とを備え、
前記可動機枠が前記格納非作業位置に位置した状態では、前記係合軸部と前記格納ロック用係合孔部とが互いに係合し、この係合は前記駆動手段が動かない限り維持される
ことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
駆動手段は伸縮可能な油圧式のシリンダにて構成され、このシリンダの保持力に基づく可動機枠の格納非作業位置へのロックを補助する補助ロック手段を備える
ことを特徴とする請求項1記載の農作業機。
【請求項3】
走行車の走行により移動しながら土作業部で土作業を行う農作業機であって、
走行車連結部を有する固定機枠と、
前記土作業部が前記走行車の前進走行に基づいて土作業をする前進作業位置、前記土作業部が前記走行車の後退走行に基づいて土作業をする後退作業位置および前記土作業部が前記走行車の後方に位置する格納非作業位置に移動可能なもので、前記土作業部を支持する可動機枠と、
前記固定機枠に一端側が回動可能に連結されかつ前記可動機枠に他端側が回動可能に連結され、係合軸部を有する回動アーム体と、
前記固定機枠に回動可能に取り付けられ、格納ロック用係合孔部を有する回動体と、
この回動体に連結された伸縮可能な伸縮手段とを備え、
前記可動機枠が前記格納非作業位置に位置した状態では、前記係合軸部と前記格納ロック用係合孔部とが互いに係合し、この係合は前記伸縮手段が伸縮しない限り維持される
ことを特徴とする農作業機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬時等の非作業時において可動機枠を格納非作業位置に適切にロックできる農作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば走行車連結部を有する固定機枠と、土作業部(ロータリおよびディスク)が走行車の前進走行に基づいて土作業をする前進作業位置、土作業部が走行車の後退走行に基づいて土作業をする後退作業位置および土作業部が走行車の後方に位置する格納非作業位置に移動可能なもので前記土作業部を支持する可動機枠とを備えたリターン作業可能な農作業機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−346405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そして、このようなリターン作業可能な農作業機では、作業時に可動機枠を所望の作業位置にロックする必要があるばかりでなく、運搬時等の非作業時においては、安全性確保のために、可動機枠を土作業部が走行車の後方に位置する格納非作業位置にロックしなければならない。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、運搬時等の非作業時において可動機枠を格納非作業位置に適切にロックできる農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の農作業機は、走行車の走行により移動しながら土作業部で土作業を行う農作業機であって、走行車連結部を有する固定機枠と、前記土作業部が前記走行車の前進走行に基づいて土作業をする前進作業位置、前記土作業部が前記走行車の後退走行に基づいて土作業をする後退作業位置および前記土作業部が前記走行車の後方に位置する格納非作業位置に移動可能なもので、前記土作業部を支持する可動機枠と、前記固定機枠に一端側が回動可能に連結されかつ前記可動機枠に他端側が回動可能に連結され、係合軸部を有する回動アーム体と、前記固定機枠に回動可能に取り付けられ、格納ロック用係合孔部を有する回動体と、この回動体を回動させる駆動手段とを備え、前記可動機枠が前記格納非作業位置に位置した状態では、前記係合軸部と前記格納ロック用係合孔部とが互いに係合し、この係合は前記駆動手段が動かない限り維持されるものである。
【0006】
そして、可動機枠が格納非作業位置に位置した状態では、係合軸部と格納ロック用係合孔部とが互いに係合し、この係合は駆動手段が動かない限り維持されるので、運搬時等の非作業時において可動機枠を格納非作業位置に適切にロックすることが可能となる。
【0007】
請求項2記載の農作業機は、請求項1記載の農作業機において、駆動手段は伸縮可能な油圧式のシリンダにて構成され、このシリンダの保持力に基づく可動機枠の格納非作業位置へのロックを補助する補助ロック手段を備えるものである。
【0008】
そして、補助ロック手段にて油圧式のシリンダの保持力に基づく可動機枠の格納非作業位置へのロックを適切に補助することが可能となる。
【0009】
請求項3記載の農作業機は、走行車の走行により移動しながら土作業部で土作業を行う農作業機であって、走行車連結部を有する固定機枠と、前記土作業部が前記走行車の前進走行に基づいて土作業をする前進作業位置、前記土作業部が前記走行車の後退走行に基づいて土作業をする後退作業位置および前記土作業部が前記走行車の後方に位置する格納非作業位置に移動可能なもので、前記土作業部を支持する可動機枠と、前記固定機枠に一端側が回動可能に連結されかつ前記可動機枠に他端側が回動可能に連結され、係合軸部を有する回動アーム体と、前記固定機枠に回動可能に取り付けられ、格納ロック用係合孔部を有する回動体と、この回動体に連結された伸縮可能な伸縮手段とを備え、前記可動機枠が前記格納非作業位置に位置した状態では、前記係合軸部と前記格納ロック用係合孔部とが互いに係合し、この係合は前記伸縮手段が伸縮しない限り維持されるものである。
【0010】
そして、可動機枠が格納非作業位置に位置した状態では、係合軸部と格納ロック用係合孔部とが互いに係合し、この係合は伸縮手段が伸縮しない限り維持されるので、運搬時等の非作業時において可動機枠を格納非作業位置に適切にロックすることが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の農作業機によれば、可動機枠が格納非作業位置に位置した状態では、係合軸部と格納ロック用係合孔部とが互いに係合し、この係合は駆動手段が動かない限り維持されるので、運搬時等の非作業時において可動機枠を格納非作業位置に適切にロックできる。
【0012】
請求項2記載の農作業機によれば、補助ロック手段にて油圧式のシリンダの保持力に基づく可動機枠の格納非作業位置へのロックを適切に補助できる。
【0013】
請求項3記載の農作業機によれば、可動機枠が格納非作業位置に位置した状態では、係合軸部と格納ロック用係合孔部とが互いに係合し、この係合は伸縮手段が伸縮しない限り維持されるので、運搬時等の非作業時において可動機枠を格納非作業位置に適切にロックできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の農作業機の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1ないし図4において、1は農作業機で、この農作業機1は、走行車であるトラクタTに装着して使用する牽引式のものである。そして、農作業機1は、作業時にトラクタTの走行により圃場を進行方向(図示X方向)に移動しながら、土作業部5で畦塗り作業(土作業)を行う畦塗り機である。
【0016】
農作業機1は、固定機枠2と、この固定機枠2に異なる長さの2本の回動アーム体つまり第1回動アーム体3および第2回動アーム体4を介して連結され土作業部5を支持する可動機枠6とを備えている。
【0017】
長い方の第1回動アーム体(回動アーム体)3は、伝動ケース(チェーンケース)を兼ねた略中空状のもので、第1回動アーム体3の一端側は固定機枠2に上下方向の軸11を介して回動可能に連結され、第1回動アーム体3の他端側は可動機枠6に上下方向の軸12を介して回動可能に連結されている。
【0018】
短い方の第2回動アーム体4は、長手状の単なる杆状のもので、第2回動アーム体4の一端側は固定機枠2に上下方向の軸13を介して回動可能に連結され、第2回動アーム体4の他端側は可動機枠6に上下方向の軸14を介して回動可能に連結されている。
【0019】
そして、可動機枠6は、異なる長さの両回動アーム体3,4の回動により、土作業部5がトラクタTの前進走行に基づいて畦塗り作業(土作業)をする複数、例えば2つの前進作業位置(図1、図2参照)、土作業部5がトラクタTの後退走行に基づいて畦塗り作業(土作業)をする1つの後退作業位置(図4参照)、および、土作業部5がトラクタTの後方に位置する1つの格納非作業位置(図3参照)に移動する。すなわち、可動機枠6は、第1回動アーム体3および第2回動アーム体4がそれぞれ固定機枠2および可動機枠6に対して連結された状態のまま軸11,13を中心として水平方向に略沿って回動することにより、4つの位置に選択的に移動する。
【0020】
なお、図1の前進作業位置は、土作業部5のトラクタ(後輪)Tに対する一側方(右側方)への突出量(オフセット量)が小となる位置であり、図2の前進作業位置は、土作業部5のトラクタTに対する一側方(右側方)への突出量が大となる位置である。
【0021】
また、異なる長さの両回動アーム体3,4は、可動機枠6が前進作業位置に位置した状態では平面視で平行状となり、可動機枠6が後退作業位置に位置した状態では平面視で交差状となるものである。なお、両回動アーム体3,4は、可動機枠6が図1の前進作業位置から図2の前進作業位置に移動する場合(或いはその逆の場合)において、その途中で、一旦互いに平行(厳密な意味での平行)になる。
【0022】
さらに、両回動アーム体3,4は、可動機枠6を前進作業位置から後退作業位置に移動させる際等に、機枠2,6との連結を解除する必要はない。また、土作業部5つまり後述の盛土体23、畦形成体24および畦上面処理体25は、可動機枠6を介して2本の両回動アーム体3,4にて支持されている。
【0023】
ここで、固定機枠2は、トラクタTの作業機昇降部である3点リンク部(図示せず)に連結された走行車連結部である3点連結部16を有している。3点連結部16は、トップピン17が先端部に取着された1本のトップマスト18と、ロワピン19が先端部に取着された左右2本のロワアーム20とにて構成されている。
【0024】
また、固定機枠2は、入力軸保持部(ギアボックス)21を有し、この入力軸保持部21にてトラクタTからの動力を入力する入力軸22が回転可能に保持されている。そして、入力軸22には、トラクタTのPTO軸がユニバーサルジョイントおよび伝動シャフト等を介して連結されている。
【0025】
可動機枠6は、進行方向前側で畦塗り用の土を耕耘して盛り上げる回転可能な盛土体(ロータリ)23を支持しているとともに、進行方向後側で盛土体23より進行方向後方に位置して盛土体23にて盛り上げられた畦塗り用の土を元畦に押し込むように締め固めて傾斜状の畦内側面および水平状の畦上面を形成する回転可能な畦形成体(ディスク)24を支持し、かつ、盛土体23より進行方向前方に位置して畦上面を前処理する畦上面処理体25を支持している。
【0026】
すなわち、盛土体23と畦形成体24と畦上面処理体25とにて構成された土作業部5は移動可能な可動機枠6にて支持され、この土作業部5は両回動アーム体3,4の回動に基づいて可動機枠6と一体となって移動する。
【0027】
盛土体23は、図5にも示すように、回転軸31を有し、この回転軸31には複数の耕耘爪32が放射状に取り付けられている。畦上面処理体25も回転軸34を有し、この回転軸34には複数の耕耘爪35が放射状に取り付けられている。盛土体23の回転軸31と畦上面処理体25の回転軸34とは、ギア36、スプロケット37およびチェーン38にて構成された伝動機構39を介して連結されている。畦形成体24は、回転軸41を有し、この回転軸41には略円錐台状の側面形成部材42および略円筒状の上面形成部材43がそれぞれ取着されている。
【0028】
そして、これら盛土体23、畦形成体24および畦上面処理体25は、いずれも動力伝達手段45からの動力に基づいて所定方向に回転するようになっている。
【0029】
動力伝達手段45は、入力軸22からの動力を土作業部5まで伝達するもので、図5および図6に示されるように、入力軸22にベベルギア46,46を介して連結された第1伝動軸47を有し、この第1伝動軸47の上端部には第1スプロケット48が固着されている。この第1スプロケット48と離間対向して第2スプロケット49が配設され、これら互いに離間対向した両スプロケット48,49間にはチェーン50が掛け渡されている。これら両スプロケット48,49およびチェーン50は、伝動ケースを兼ねた第1回動アーム体3内に配設されている。また、第2スプロケット49は第2伝動軸51の上端部に固着されており、この第2伝動軸51にはベベルギア52,52を介して第3伝動軸53が連結されている。この第3伝動軸53は、ベベルギア54,54を介して盛土体23の回転軸31に連結されているとともに、ベベルギア54およびギア55,55を介して畦形成体24の回転軸41に連結されている。
【0030】
なお、入力軸22は、前側軸部材22aと後側軸部材22bとに2分割され、両軸部材22a,22bにわたって安全装置としてのシェアボルト22cが設けられている。
【0031】
また一方、農作業機1は、可動機枠6を土作業部(盛土体23、畦形成体24および畦上面処理体25)5とともに2つの前進作業位置、1つの後退作業位置および1つの格納非作業位置に移動させる単一駆動手段(駆動手段)61を備えている。
【0032】
単一駆動手段61は、回動体67を回動させるもので、例えば伸縮可能な1本の伸縮手段である油圧式のシリンダ(油圧シリンダ)62にて構成されている。
【0033】
シリンダ62は、シリンダ本体63を有し、このシリンダ本体63にロッド64が進退可能に取り付けられている。ロッド64の先端部は、固定機枠2に上下方向の軸66を介して回動可能に取り付けられた回動体(案内体)67に回動可能に連結されている。
【0034】
すなわち、シリンダ62の一端側(先端側)は回動体67に上下方向の軸68を介して回動可能に連結され、シリンダ62の他端側(基端側)は固定機枠2に上下方向の軸69を介して回動可能に連結されている。
【0035】
ここで、回動体67は、突出状のロッド連結部71と、2つの山形状の膨出部72,72と、平面視略凸字形状の孔部73とを有している。また、第1回動アーム体3は、固定機枠2側である一端側に上下方向の係合軸部(アーム案内ピン)75を有し、この係合軸部75は、回動体67の孔部73内に挿通されている。
【0036】
この係合軸部75が挿通された回動体67の孔部73は、係合軸部75の外径の2倍より少し大きい幅寸法を有する略矩形状の矩形状孔部76と、係合軸部75の外径と略等しい幅寸法を有する長孔状の長孔部(格納ロック用係合孔部)77と、矩形状孔部76および長孔部77間に位置する略台形状の台形状孔部78とにて構成されている(図10および図11参照)。
【0037】
そして、図8に示すように、可動機枠6が格納非作業位置に位置した状態では、第1回動アーム体3の係合軸部75と回動体67の長孔部77とは互いに係脱可能に係合し、この係合はシリンダ62が動かない限りつまり伸縮しない限り維持され、この係合により可動機枠6が格納非作業位置にロックされる。つまり、シリンダ62の保持力によって回動体67が回動不能であるため、係合軸部75と長孔部77との係合により係合軸部75が長孔部77にて嵌合保持され、その結果、シリンダ62の保持力による可動機枠6の格納非作業位置へのロック状態が維持される。
【0038】
なおこのとき、長孔部77の長手方向に沿った中心線は、回動体67の回動中心軸線(図示a)と第1回動アーム体3の回動中心軸線(図示b)とを結んだ直線と平面視で略一致する。
【0039】
また、図1ないし図4から明らかなように、シリンダ62の伸縮動作に基づく回動体67の回動により、異なる長さの両回動アーム体3,4がそれぞれ回動し、この回動に伴って可動機枠6が土作業部5とともに各位置に自動的に移動する。
【0040】
例えば、可動機枠6が前進作業位置から後退作業位置に移動する場合、或いはその逆の場合、土作業部5は180度回動し、盛土体23および畦形成体24の前後が逆になる。
【0041】
また、農作業機1は、可動機枠6を各前進作業位置にロックする前進ロック手段81を備えるとともに、可動機枠6を後退作業位置にロックする後退ロック手段82を備えている。
【0042】
前進ロック手段81は、図7に示すように、固定機枠2に上下方向の軸84を介して回動可能に取り付けられロック位置およびロック解除位置間で回動する係合体であるフック85を有している。このフック85には連結杆86が連結され、この連結杆86は軸87を中心として回動するアーム88の基端部に回動可能に連結されている。このアーム88の先端部はベアリングが取着されて当接回転部89となっている。
【0043】
そして、フック85は、ばね90にてロック位置側に向って付勢されている。アーム88は、当接回転部89が回動体67の被当接面67aに常時当接するようにばね91にて付勢されている。このばね91はフック85および後述のフック97をロック位置に位置させるものでもある。また、前進ロック手段81は、可動機枠6の着脱部93に固着されフック85と係脱可能に係合する係合ピン92を有している。なお、着脱部93は、複数の孔が形成された取付部94に対して着脱可能なもので、各前進作業位置に応じて取り付け位置を変更する。
【0044】
後退ロック手段82は、図8に示すように、固定機枠2に上下方向の軸96を介して回動可能に取り付けられロック位置およびロック解除位置間で回動する係合体であるフック97を有している。このフック97には連結杆98が回動可能に連結され、この連結杆98はアーム88の基端部に連結されている。そして、フック97は、ばね100にてロック位置側に向って付勢されている。また、後退ロック手段82は、可動機枠6に固着されフック97と係脱可能に係合する係合ピン102を有するとともに、フック97と係合した係合ピン102を後方から押えるピン押え103を有している。
【0045】
さらに、農作業機1は、シリンダ62の保持力に基づく可動機枠6の格納非作業位置へのロックを補助する補助ロック手段105を備えている。
【0046】
この補助ロック手段105は、第2回動アーム体4の中間部に上下方向の軸106を介して回動可能に取り付けられた細長い略筒状の筒状体107を有し、この筒状体107内には杆体108が出し入れ可能に挿入されている。杆体108の先端部は、固定機枠2に回動可能に連結されている。そして、筒状体107および杆体108の各々には、可動機枠6が格納非作業位置に位置した状態で上下に一致する孔109が形成されており、補助ロック時にはその孔109内にロックピン110が差し込まれる(図3参照)。
【0047】
次に、上記農作業機1の動作等を説明する。
【0048】
トラクタTの前進走行により盛土体23および畦形成体24で畦塗り作業を行う前進作業時には、例えば単一駆動手段61を構成するシリンダ62の縮み動作により可動機枠6を前進作業位置にロックし、盛土体23、畦形成体24および畦上面処理体25を所定の前進作業状態に設定する(図1、図2参照)。
【0049】
そして、盛土体23、畦形成体24および畦上面処理体25が所定の前進作業状態に設定された状態で、トラクタTを前進走行させると、農作業機1が進行方向(前方)に移動し、トラクタTからの動力が入力軸22から入力されて動力伝達手段45を介して盛土体23、畦形成体24および畦上面処理体25に伝達され、これら盛土体23、畦形成体24および畦上面処理体25が回転する。すると、旧畦の上面が畦上面処理体25にて前処理され、畦塗り用の土が盛土体23にて耕耘されて元畦に盛り上げられ、この元畦に盛り上げられた土が畦形成体24にて締め固められ、崩れにくい強固な新畦が形成される。
【0050】
また、塗り残しがないよう圃場の端部等においてトラクタTの後退走行により盛土体23、畦形成体24および畦上面処理体25で畦塗り作業を行う後退作業時(リターン作業時)には、例えばシリンダ62の伸び動作により可動機枠6を後退作業位置にロックし、盛土体23、畦形成体24および畦上面処理体25を所定の後退作業状態に設定する(図4参照)。
【0051】
そして、盛土体23、畦形成体24および畦上面処理体25が所定の後退作業状態に設定された状態で、トラクタTを後退走行させると、農作業機1が進行方向(後方)に移動し、前進作業時の場合と同様、旧畦の上面が畦上面処理体25にて前処理され、畦塗り用の土が盛土体23にて耕耘されて元畦に盛り上げられ、この元畦に盛り上げられた土が畦形成体24にて締め固められ、崩れにくい強固な新畦が形成される。
【0052】
さらに、農作業機1を倉庫等の保管場所まで運搬する運搬時等の非作業時には、可動機枠6を格納非作業位置にロックし、盛土体23、畦形成体24および畦上面処理体25を所定の格納非作業状態に設定する(図3参照)。
【0053】
このとき、盛土体23、畦形成体24および畦上面処理体25は、固定機枠2に近接した状態でトラクタTの後方に位置し、トラクタTの後方領域内に格納される。このため、トラクタTの前後バランスが比較的良好で、かつ、盛土体23、畦形成体24および畦上面処理体25がいずれもトラクタT側方へ突出していないことから、農作業機1の運搬を安全に行える。
【0054】
ここで、図7ないし図11を参照して農作業機1のロック部の動作を説明する。
【0055】
例えば可動機枠6が突出量小の前進作業位置にロックされた状態で、図7に示すように、シリンダ62が伸びると、回動体67が回動し、アーム88の当接回転部89が膨出部72にて押される形でアーム88がばね91の付勢に抗して回動する。アーム88が回動すると、連結杆86が連動し、前進ロック手段81のフック85がばね90の付勢に抗してロック解除位置まで回動する。その結果、フック85と係合ピン92との係合が解除され、可動機枠6のロックが自動的に解除される。
【0056】
なおこのとき、第1回動アーム体3の係合軸部75は、回動体67の矩形状孔部76内をその幅方向に沿って移動するが、第1回動アーム体3は停止したままである。
【0057】
そして、図8に示すように、シリンダ62が更に伸びると、回動体67が回動し、係合軸部75が孔部73の縁部にて押される形で第1回動アーム体3が回動し、可動機枠6が格納非作業位置まで移動する。このとき、係合軸部75が長孔部77内に入り込んで係合し、この係合により可動機枠6が格納非作業位置にロックされる。なお、シリンダ62の保持力によって回動体67は回動不能であるから、可動機枠6側に負荷がかかっても、係合軸部75が長孔部77内から抜け出ることはない。
【0058】
また図3に示すように、補助ロック手段105の孔109内にロックピン110を差し込むことで、シリンダ62の保持力に基づく可動機枠6の格納非作業位置へのロックを補助できる。
【0059】
さらに、シリンダ62がより更に伸びると、回動体67が回動し、係合軸部75が孔部73の縁部にて押される形で第1回動アーム体3が回動し、可動機枠6が後退作業位置まで移動する(図8の2点鎖線)。このとき、後退ロック手段82の係合ピン102がフック97と係合しかつピン押え103にて押えられ、可動機枠6が後退作業位置にロックされる。
【0060】
この後退ロック手段82によるロックを解除するには、図9に示すように、シリンダ62を所定量縮めればよい。すると、回動体67が回動し、アーム88の当接回転部89が膨出部72にて押される形でアーム88がばね91の付勢に抗して回動する。アーム88が回動すると、連結杆98が連動し、後退ロック手段82のフック97がばね100の付勢に抗してロック解除位置まで回動する。その結果、フック97と係合ピン102との係合が解除され、可動機枠6のロックが自動的に解除される。なおこのとき、第1回動アーム体3の係合軸部75は、回動体67の矩形状孔部76内をその幅方向に沿って移動するが、第1回動アーム体3は停止したままである。
【0061】
そして、シリンダ62を更に縮めることで、可動機枠6を格納非作業位置や突出量小の前進作業位置に戻すことができる。
【0062】
また、可動機枠6が突出量大の前進作業位置に切り換える場合は、可動機枠6の着脱部93を突出量大の前進作業位置に対応した位置に付け替える必要がある。
【0063】
なお、図10は、突出量小の前進作業位置を使用する場合における孔部73内での係合軸部75の動きを示すものであり、図11は、突出量大の前進作業位置を使用する場合における孔部73内での係合軸部75の動きを示すものである。
【0064】
そして、上記農作業機1によれば、可動機枠6が格納非作業位置に位置した状態では、係合軸部75と長孔部77とが互いに係合し、この係合は油圧式のシリンダ62が伸縮しない限り維持されるので、運搬時等の非作業時において可動機枠6を格納非作業位置に適切にロックできる。
【0065】
また、補助ロック手段105にて油圧式のシリンダ62の保持力に基づく可動機枠6の格納非作業位置へのロックを適切に補助でき、例えば長距離の運搬にも適切に対応できる。
【0066】
さらに、固定機枠2および可動機枠6間に異なる長さの2本の回動アーム体3,4を架設した構成であるから、同じ長さの平行リンク、連結フレームおよび伝動フレーム等を備える従来の農作業機に比べて、構成の簡素化を容易に図ることができる。
【0067】
また、第1回動アーム体3が土作業部5へ動力を伝達する動力伝達手段の一部を収容する伝動ケースを兼ねたものであるから、その分部品点数が少なく、構成をより一層簡素化できる。
【0068】
また、単一駆動手段61つまりシリンダ62からの動力で可動機枠6を土作業部5とともに各位置に移動させることができかつ各位置でのロックおよびロック解除をすることができるため、操作性が良好であるばかりでなく、構成の簡素化をより一層容易に図ることができる。
【0069】
さらに、可動機枠6を前進作業位置から後退作業位置に移動させる際等において、両回動アーム体3,4と機枠2,6との連結を解除する必要がないため、例えば前進作業状態から後退作業状態への切換え時の煩わしさ等を解消でき、作業状態の切換えを容易に行うことができる。
【0070】
なお、土作業部5は、畦塗り作業をするものには限定されず、溝掘作業等をするもの等でもよい。
【0071】
また、前進作業位置の数は、3つ以上の複数でもよく、或いは単数でもよい。
【0072】
さらに、回動体67を回動させる伸縮式の駆動手段(単一駆動手段61)は、シリンダ62等の伸縮手段には限定されず、例えば電動モータ等でもよい。
【0073】
また、農作業機1は、可動機枠6を移動させるための単一駆動手段61を備えたものには限定されず、例えば可動機枠6の位置を手動操作で切り換える手動式の構成とすることもできる。この場合、例えば単一駆動手段(1本の伸縮手段)61に代えて、可動機枠6を各位置(例えば上述した4つの位置)に位置決めするための1本の手動式の伸縮手段(図示せず)を固定機枠2および回動体67間に配設した構成とする。
【0074】
この手動式の伸縮手段は、例えば各位置に対応した複数の孔が形成された略円筒状のシリンダ本体と、このシリンダ本体内に出し入れ可能に挿入された孔付きのロッドと、互いに一致したシリンダ本体の孔とロッドの孔に対して差し込むピンとにて構成されている。なお、手動式の伸縮手段を配設する位置は、固定機枠2および回動体67間には限定されず、例えば、図示しないが、固定機枠および可動機枠間でもよく、固定機枠およびいずれか一方の回動アーム体間でも、可動機枠およびいずれか一方の回動アーム体間でもよい。
【0075】
また、農作業機1は、図示しないが、可動機枠6が前進作業位置に位置した状態では平面視で交差状となり、可動機枠6が後退作業位置に位置した状態では平面視で平行状となる異なる長さの両回動アーム体3,4を備えたものでもよい。なお両回動アーム体3,4が平行状になる場合とは、厳密な意味で平行になる場合でもよく、略平行に位置する場合でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の農作業機の一実施の形態の前進作業時(突出量小)の平面図である。
【図2】同上農作業機の前進作業時(突出量大)の平面図である。
【図3】同上農作業機の格納非作業状態の平面図である。
【図4】同上農作業機の後進作業時の平面図である。
【図5】同上農作業機の土作業部の平面図である。
【図6】同上農作業機の動力伝達手段の断面図である。
【図7】同上農作業機の動作説明図である。
【図8】図7に続く動作説明図である。
【図9】図8に続く動作説明図である。
【図10】同上農作業機の孔部内での係合軸部の動きを説明するための図である。
【図11】同上農作業機の孔部内での係合軸部の動きを説明するための図である。
【符号の説明】
【0077】
1 農作業機
2 固定機枠
3 回動アーム体である第1回動アーム体
5 土作業部
6 可動機枠
16 走行車連結部である3点連結部
61 駆動手段である単一駆動手段
62 伸縮手段である油圧式のシリンダ
67 回動体
75 係合軸部
77 格納ロック用係合孔部である長孔部
105 補助ロック手段
T 走行車であるトラクタ
【出願人】 【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
【住所又は居所】長野県小県郡丸子町大字塩川5155番地
【出願日】 平成15年8月11日(2003.8.11)
【代理人】 【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄

【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡

【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也

【公開番号】 特開2005−58067(P2005−58067A)
【公開日】 平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願番号】 特願2003−291292(P2003−291292)