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【発明の名称】 作業機の昇降制御装置
【発明者】 【氏名】越智 知文
【住所又は居所】大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマー農機株式会社内

【要約】 【課題】例えばロータリ耕耘作業機12が上昇位置から接地状態となる位置までの下降時には通常の不感帯幅Vrを用い、接地以降は通常より広い不感帯幅3Vrを用いて、作業機12の下降を遅くし目標耕深位置までの急激な下降を抑制して精度向上を図ると共に、耕耘初期の土盛りAを小さくして初期の耕耘作業状態を良好とさせる。

【解決手段】機体に作業機12を昇降自在に装備させる作業機12の昇降制御装置において、作業機12を下降制御する制御機構60の不感帯幅Vrを変更可能に設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に作業機を昇降自在に装備させる作業機の昇降制御装置において、作業機を下降制御する制御機構の不感帯幅を変更可能に設けたことを特徴とする作業機の昇降制御装置。
【請求項2】
作業機の接地より一定時間は不感帯幅を大とさせると共に、一定時間経過後は不感帯幅を徐々に小とさせるように設けたことを特徴とする請求項1に記載の作業機の昇降制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はトラクタなどに装着したロータリ耕耘作業機など作業機の昇降制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
機体後部に連結したロータリ耕耘装置のリヤカバーの上下回動に基づいて耕耘装置における耕深制御を行う手段がある。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
【特許文献1】
特開平6−189605号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の如き耕耘装置など作業機の下降制御時にあっては、作業機の下降速度を下げ速度ダイヤルで調整して作業機の速やかな下降や、乾田や湿田に対する良好な耕耘開始を行っているが、速度ダイヤルで下降速度を調整する方法の場合調整が煩雑なばかりでなく、性能が安定しないという不都合がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
したがって本発明は、機体に作業機を昇降自在に装備させる作業機の昇降制御装置において、作業機を下降制御する制御機構の不感帯幅を変更可能に設けて、例えばロータリ耕耘作業機が上昇位置から接地状態となる位置までの下降時には通常の不感帯幅を用い、接地以降は通常より広い不感帯幅を用いて、作業機の下降を遅くし目標耕深位置までの急激な下降を抑制して精度向上を図ると共に、耕耘初期の土盛りを小さくして初期の耕耘作業状態を良好とさせるものである。
【0006】
また、作業機の接地より一定時間は不感帯幅を大とさせると共に、一定時間経過後は不感帯幅を徐々に小とさせるように設けて、作業機の作業状態に応じた適正な下降速度に自動的に調節して初期土盛りや精度を良好とさせた耕耘作業を可能とさせるものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1は全体の側面図、図2は同平面図、図3は耕耘ロータリ作業機の側面説明図を示し、図中1は農業用作業車であるトラクタであり、エンジン2を内設させるボンネット3両側に左右の前輪4・4を装設させ、前記ボンネット3後部に丸形操向ハンドル5を設け、該ハンドル5後方に運転席6を設置させ、運転席6両側外方に左右の後輪7・7を装設させ、運転席6前側のステップ8に左右ブレーキペダル9・9及びクラッチペダル10を配設させ、作業者が運転席6に座乗して走行移動させると共に、トラクタ機体後方に3点リンク機構11を介し耕耘ロータリ12aを有する耕耘ロータリ作業機12を昇降自在に装設させて耕耘作業を行うように構成している。
【0008】
また、走行主変速レバー13と、作業機12を昇降させる昇降レバー14と、作業機12を非作業上昇位置及び耕耘作業下降位置にワンタッチ動作で昇降させる昇降スイッチ15とを運転席6の右側に配設すると共に、走行副変速レバー16と、作業機12の出力を変速するPTO変速レバー17を運転席6の左側に配設させている。
【0009】
図3、図4に示す如く、前記ロータリ作業機12はサイドドライブ型で、中央にギヤボックス18を配置し、ユニバーサルジョイント付ドライブ軸を介してトラクタ1のPTO軸に入力軸19を連結して動力を伝え、前記ギヤボックス18側面より両側方にビーム20を突出させ、前記ビーム20の外側端にチェンケース21上部を固設し、該チェンケース21下部にロータリ軸である耕耘爪軸22を横架し、該耕耘爪軸22上にナタ爪よりなる多数のロータリ爪である耕耘爪23を側面視で放射状に植設させると共に、該耕耘爪23の回転軌跡上方をロータリカバー24によって覆い、両側をサイドカバー25によって覆っている。そして、該耕耘爪軸22はギヤボックス18内のギヤ、ビーム20内の伝動軸、チェンケース21内のスプロケット及びチェンを介して駆動し、耕耘爪23を回転させることによって耕耘を行うようにしている。
【0010】
また、前記ロータリカバー24後端に支点軸26を介してリヤサイドカバー27を有するリヤカバー28を揺動自在に連結させ、ロータリカバー24上側の固定ブラケット29に支持ロッド30を介して支持高さ調節自在にリヤカバー28を連結させると共に、リヤカバー28の支持高さ変化を検出するポテンショメータ式リヤカバーセンサ31をロータリカバー24上面に設置している。
【0011】
図5に示す如く、前記作業機12を昇降させる作業機用昇降シリンダ32の右リフトアーム33と3点リンク機構11の右ロワリンク34との間にローリングシリンダ35を介設させ、該シリンダ35の伸縮制御で作業機12の左右傾きを変化させて作業機12の水平を保つように構成している。
【0012】
図5乃至図7に示す如く、トラクタ1本体に対する作業機12の左右傾きをシリンダ35のストロークより検出するポテンショメータ式ストロークセンサ36をミッションケース37の左外側面に固設するブラケット38にボルト39を介し固定させ、ブラケット38の固定軸40に回転自在に取付ける回転ボス41に第1及び第2アーム42・43基端を固定させ、ブラケット38左外側の立設板44に受板45を固定させ、前記ローリングシリンダ35の本体部と受板45先端部間をアウタチューブ46で連結させると共に、右ロワリンク34に連結するシリンダ35のピストンロード47と第1アーム42先端間をインナワイヤ48で連結させ、第1アーム42戻し用の引張バネ49を受板45と第2アーム43間に張設させ、ストロークセンサ36の検出軸50に取付ける検出体51を第1アーム42の検出ピン52に係合させて、ローリングシリンダ35による作業機12の左右傾きをインナワイヤ48を介してストロークセンサ36に伝えて、作業機12の左右傾き量をストロークセンサ36で検出するように構成している。なお、前記ストロークセンサ36の検出軸50は固定軸40の軸芯延長上に設けて検出体51と第1アーム42の傾き量を同一とさせている。
【0013】
また、前記ブラケット38後側位置のミッションケース37左外側にミッションケース37内の副変速部を超低速(L速)・中立(N)・低速(1速)・高速(2速)に変速する副変速操作軸53を突設させ、副変速の高速(2速)を検出する副変速スイッチ54を前記立設板44に取付けて、該スイッチ54のアクチュエータ54a先端を操作軸53のスイッチ操作板55に臨ませて、副変速レバー16により副変速部が副2速に操作されるときには操作板55でアクチュエータ54aを押圧して副2速をスイッチ54で検出するように構成している。
【0014】
このように、ストロークセンサ36、第1及び第2アーム42・43、副変速スイッチ54を単一のブラケット38に取付けユニット化させて、これら各部品のコンパクトな取付けを容易とさせると共に、本機に対する容易な一体取付けを可能とさせて、組立作業などにおける組付工数を低減させて作業能率の向上化を図ると共に、バネ49でワイヤ48を常に引張る状態とさせローリングシリンダ35伸縮時のロスを低減させて、ストロークセンサ36の検出精度を向上させることができる。
【0015】
図8に示す如く、自動耕深制御を行う自動耕深スイッチ56と、耕耘ロータリ12の耕耘深さを設定する耕深設定器57と、設定値の不感帯幅を設定する耕深不感帯幅設定器58と、本機側の傾斜を検出する本機傾斜センサ59とを備え、各スイッチ15・56と各センサ31・36と各設定器57・58・59とを耕耘コントローラ60に入力接続させると共に、昇降シリンダ32とローリングシリンダ35にコントローラ60を出力接続させて、作業機12の左右水平制御や耕深制御を行うように構成している。
【0016】
そして図9に示す如く、自動耕深スイッチ56をオンとさせる耕深制御中で昇降スイッチ15により下降スイッチ15aがオンとなるときには、作業機12を所定速度で下降させ、傾斜センサ36の検出値が大きく変動するロータリ12a(リヤカバー28)の接地状態のとき耕耘を開始するもので、この耕耘開始時には制御(耕深設定値)の不感帯幅を通常時より大(通常の不感帯Vrとするとき3Vr(略3倍))とさせて、接地状態より一定時間T(T≒4秒)は大の不感帯幅3Vrを保ち、一定時間経過後は通常の不感帯幅Vrに徐々に戻す。このような大の不感帯幅3Vr内となって下降を停止させるロータリ12aは、大の不感帯幅3Vrより通常の不感帯幅Vrに徐々に戻る過程でロータリ12aを徐々に下降させて目標耕深位置まで緩やかに下降させる。
【0017】
この結果図10に示す如く、ロータリ12aは上昇位置から接地位置までの下降速度を速くして、速やかにロータリ12aを下降させると共に、接地後はロータリ12aが深く入ることなく徐々に目標耕深位置まで進入して、初期の土盛りAを小とさせ、初期以降の土盛りBも略均一高さで土盛り表面も滑らか状とさせた良好な耕耘を行う。
【0018】
上記からも明らかなように、機体に作業機12を昇降自在に装備させる作業機12の昇降制御装置において、作業機12を下降制御する制御機構であるコントローラ60の不感帯幅Vrを変更可能に設けたことによって、例えばロータリ耕耘作業機12が上昇位置から接地状態となる位置までの下降時には通常の不感帯幅Vrを用い、接地以降は通常より広い不感帯幅3Vrを用いて、作業機12の下降を遅くし目標耕深位置までの急激な下降を抑制して精度の向上を図ると共に、耕耘初期の土盛りAを小さくして初期の耕耘作業状態を良好とさせることができる。
【0019】
また、作業機12の接地より一定時間Tは不感帯幅3Vrを大とさせると共に、一定時間T経過後は不感帯幅3Vrを徐々に小とさせたことによって、作業機12の作業状態に応じた適正な下降速度に自動的に調節して初期土盛りや精度を良好とさせた耕耘作業を可能とさせることができる。
【0020】
なお、上述実施例における広い不感帯幅3Vrから通常の不感帯幅Vrに徐々に戻す制御にあっては、段階的或いは比例的に戻すなどの何れでも良い。
【0021】
【発明の効果】
以上実施例から明らかなように本発明は、機体に作業機12を昇降自在に装備させる作業機12の昇降制御装置において、作業機12を下降制御する制御機構60の不感帯幅Vrを変更可能に設けたものであるから、例えばロータリ耕耘作業機12が上昇位置から接地状態となる位置までの下降時には通常の不感帯幅Vrを用い、接地以降は通常より広い不感帯幅3Vrを用いて、作業機12の下降を遅くし目標耕深位置までの急激な下降を抑制して精度向上を図ると共に、耕耘初期の土盛りAを小さくして初期の耕耘作業状態を良好とさせることができるものである。
【0022】
また、作業機12の接地より一定時間Tは不感帯幅3Vrを大とさせると共に、一定時間T経過後は不感帯幅3Vrを徐々に小とさせたものであるから、作業機12の作業状態に応じた適正な下降速度に自動的に調節して初期土盛りAや精度を良好とさせた耕耘作業を可能とさせることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】トラクタの全体側面図。
【図2】トラクタの全体平面図。
【図3】ロータリ作業機の側面図。
【図4】耕耘ロータリの側面図。
【図5】作業機昇降部の平面説明図。
【図6】ストロークセンサ部の側面図。
【図7】ストロークセンサ部の平面図。
【図8】耕耘制御回路図。
【図9】耕深制御のフローチャート。
【図10】耕耘時の土の盛り上り状態を示す説明図。
【符号の説明】
12 ロータリ耕耘作業機
60 コントローラ(制御機構)
Vr 不感帯幅
【出願人】 【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマー株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号
【出願日】 平成15年6月16日(2003.6.16)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−137(P2005−137A)
【公開日】 平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願番号】 特願2003−170334(P2003−170334)