トップ :: H 電気 :: H03 基本電子回路




【発明の名称】 電圧制御型発振器及び周波数シンセサイザ
【発明者】 【氏名】澤田 昭弘
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【要約】 【課題】電圧制御型発振器において、発振周波数帯域を広く確保すると共に、その全発振周波数帯域においてVCOゲインのばらつきを小さく抑制する。

【解決手段】可変容量回路群3中に、周波数制御信号CONTに応じて連続的変化する第1の可変容量Cv1を有する第1の可変容量回路31に加えて、第2の可変容量回路32と、固定容量素子Cf0、Cf1、Cf2を有する第3の可変可変容量回路33が備えられる。第2の可変容量回路32は、周波数制御信号CONTに応じて連続的に変化する第2の可変容量Cv20、Cv21、Cv22と、これら第2の可変容量を周波数帯域制御信号BIT0、BIT1に応じて選択するスイッチ回路S20〜S22とを有する。高発振周波数帯域では第1の可変容量Cv1のみを用いて発振周波数を変更する。低発振周波数帯域になるほど、第2の可変容量Cv20〜Cv22をも用いて発振周波数帯域を変更する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インダクタ及び可変容量回路群からなるタンク回路と、
負性抵抗を発生させるための負性抵抗発生回路とを有し、
Nビットの周波数帯域制御信号に基づいて前記可変容量回路群の容量値を選択して発振周波数帯域を制御するようにした電圧制御型発振器において、
前記Nビットの周波数帯域制御信号を論理処理し、その処理結果を容量選択信号として出力する容量選択回路を有し、
前記可変容量回路群は、
周波数制御信号の電圧値に応じて容量値が連続的に変化する第1の可変容量素子を備えた第1の可変容量回路と、
前記容量選択信号により制御されるスイッチ回路、及び、前記スイッチ回路に直列に接続され且つ前記周波数制御信号の電圧値に応じてその容量値が連続的に変化する第2の可変容量素子を有する単位可変容量回路により構成される第2の可変容量回路と
を備えたことを特徴とする電圧制御型発振器。
【請求項2】
前記第2の可変容量回路は、N個の単位可変容量回路で構成され、前記各単位可変容量回路の第2の可変容量素子の容量値は相互に異なり、
前記容量選択回路は、前記Nビットの周波数帯域制御信号の論理レベルを各々そのまま容量選択信号として出力する
ことを特徴とする請求項1記載の電圧制御型発振器。
【請求項3】
前記第2の可変容量回路は、2−1個の単位可変容量回路で構成され、
前記容量選択回路は、前記Nビットの周波数帯域制御信号の10進値の本数分だけ活性化される容量選択信号を出力し、
前記容量選択信号により前記スイッチ回路を通して選択される第2の可変容量素子の総和容量値は、異なる容量選択信号別に、異なる総和容量値に設定されることを特徴とする請求項1記載の電圧制御型発振器。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載の電圧制御型発振器と、
前記電圧制御型発振器の発振周波数信号を、分周比決定信号により決定された分周比で分周する分周回路と、
前記分周回路で分周された周波数信号と基準周波数信号との位相差を検出する位相差検出回路と、
前記位相差検出回路の出力に応じた電荷を出力するチャージポンプ回路と、
前記チャージポンプ回路の出力の低周波領域成分のみを通過させて、前記周波数制御信号として前記電圧制御型発振器に出力するローパスフィルタと
を備えたことを特徴とする周波数シンセサイザ。
【請求項5】
インダクタ及び可変容量回路群からなるタンク回路と、
負性抵抗を発生させるための負性抵抗発生回路とを有し、
Nビットの周波数帯域制御信号に基づいて前記可変容量回路群の容量値を選択して発振周波数帯域を制御するようにした電圧制御型発振器において、
前記Nビットの周波数帯域制御信号を論理処理し、その処理結果を容量選択信号として出力する容量選択回路を有し、
前記可変容量回路群は、
周波数制御信号の電圧値に応じて容量値が連続的に変化する第1の可変容量素子を備えた第1の可変容量回路と、
前記容量選択信号により制御される第1のスイッチ回路、及び、前記第1のスイッチ回路に直列に接続され且つ前記周波数制御信号の電圧値に応じてその容量値が連続的に変化する第2の可変容量素子を有する単位可変容量回路により構成される第2の可変容量回路と、
前記容量選択信号により制御される第2のスイッチ回路、及び、前記第2のスイッチを通してアナログ接地線に接続される固定容量素子を有する単位固定容量回路により構成される第3の可変容量回路と
を備えたことを特徴とする電圧制御型発振器。
【請求項6】
前記第2の可変容量回路は、N個の単位可変容量回路で構成され、前記各単位可変容量回路の第2の可変容量素子の容量値は相互に異なり、
前記第3の可変容量回路は、N個の単位固定容量回路で構成され、前記各単位固定容量回路の単位固定容量素子の容量値は相互に異なり、
前記容量選択回路は、前記Nビットの周波数帯域制御信号の論理レベルを各々そのまま容量選択信号として出力する
ことを特徴とする請求項5記載の電圧制御型発振器。
【請求項7】
前記第2の可変容量回路は、2−1個の単位可変容量回路で構成され、
前記第3の可変容量回路は、2−1個の単位固定容量回路で構成され、
前記容量選択回路は、前記Nビットの周波数帯域制御信号の10進値の本数分だけ活性化される容量選択信号を出力し、
前記容量選択信号により前記第1のスイッチ回路を通して選択される第2の可変容量素子の総和容量値は、異なる容量選択信号別に、異なる総和容量値に設定され、
前記容量選択信号により前記第2のスイッチ回路を通して選択される固定容量素子の総和容量値は、異なる容量選択信号別に、異なる総和容量値に設定される
ことを特徴とする請求項5記載の電圧制御型発振器。
【請求項8】
請求項5、6又は7記載の電圧制御型発振器と、
前記電圧制御型発振器の発振周波数信号を、分周比決定信号により決定された分周比で分周する分周回路と、
前記分周回路で分周された周波数信号と基準周波数信号との位相差を検出する位相差検出回路と、
前記位相差検出回路の出力に応じた電荷を出力するチャージポンプ回路と、
前記チャージポンプ回路の出力の低周波領域成分のみを通過させて、前記周波数制御信号として前記電圧制御型発振器に出力するローパスフィルタと
を備えたことを特徴とする周波数シンセサイザ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線通信分野における半導体集積回路に用いられ、電波の送信/受信に必要なローカル周波数を発生させるための電圧制御型発振器、及び、その電圧制御型発振器を含む周波数シンセサイザに関し、特に、デジタルTV放送等の広帯域の無線周波数に対応するための発振周波数範囲の拡大、及び周波数シンセサイザの特性改善に関する。
【0002】
【従来の技術】
図11は、従来の電圧制御型発振器を示す。同図に示す従来の電圧制御型発振器は、2001 ISSCC Digest of Technical Paper pp364−365に示されている回路例であって、タンク回路1と、負性抵抗を発生する負性抵抗発生回路4とを備えている。
【0003】
前記タンク回路1は、インダクタ2と、可変容量回路群3とから構成される。前記可変容量群3は、周波数制御信号CONTの電圧値Vcontに従って容量値が連続的に変化する第1の可変容量回路Cv1と、第2の可変容量回路50とから構成され、前記第2の可変容量回路50は、2ビットの周波数帯域制御信号BIT0、BIT1により制御されるスイッチトランジスタS50、S51と、それらのスイッチトランジスタS50、S51に直列に接続された固定容量Cf0、Cf1とにより構成される。この固定容量Cf0、Cf1の容量値はCf1=2・Cf0の関係に設定される。また、前記負性抵抗発生回路4は、クロスカップル接続された2個のトランジスタM1と、回路に流れる電流を決定する電流源トランジスタM2とから構成される。
【0004】
このように構成された従来の電圧制御型発振器では、電流源トランジスタM2に所定のバイアスをかけて電流を流し、この電流値が所定値を超えると、1対の出力端子OUTA、OUTBは相互に反転電位で発振を始めるが、この発振周波数は次式(1)で示される。
【0005】
【数1】


【0006】
ここに、Lはインダクタ2のインダクタンス値、Cv1は第1の可変容量回路Cv1の容量値、Cfallは周波数帯域制御信号BIT0、BIT1によって出力端子OUTA、OUTBに接続付加された固定容量Cf0、Cf1の総和容量値、CpはクロスカップルトランジスタM1のゲート容量やドレイン容量、配線等に付随する寄生容量値の総和である。
【0007】
この従来の電圧制御型発振器の発振周波数特性を図12に示す。周波数帯域制御信号BIT1、BIT0がBIT[1:0]=0,0の場合には、固定容量Cf0、Cf1は出力端子に非接続状態となって、発振周波数帯域は最も高くなる。また、周波数帯制御信号BIT0、BIT1がBIT[1:0]=0,1、BIT[1:0]=1,0、BIT[1:0]=1,1になるに従い、出力端子OUTA、OUTBに接続されるオフセット容量として付加される固定容量値の総和は増加して、電圧制御型発振器はより低い発振周波数帯域で発振することになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の電圧制御型発振器では、発振周波数帯域が下がる、即ち、第2の可変容量回路50により付加される固定容量値の総和Cfallが大きくなるに従って全体容量に対する可変容量Cv1の相対的容量が小さくなる関係上、可変容量Cv1が所定量の変化をしても、この容量変化に応じた発振周波数の低周波数帯域での可変帯域幅は小さくなってしまい、その結果、電圧制御型発振器全体の発振周波数範囲を大きく取り得ないという問題があった。
【0009】
また、前述のような低周波数帯域での発振周波数範囲の低下は、周波数制御信号CONTの電圧値Vcontの変化に対する発振周波数の変化の割合(VCOゲイン)の低下を招き、高い発振周波数帯域でのVCOゲインに対して低い発振周波数帯域でのVCOゲインが低くなり、両発振周波数帯域間でのVCOゲインのばらつきが大きくなってしまう欠点がある。その結果、このような電圧制御型発振器を用いて位相同期周波数シンセサイザを構成した場合には、位相同期周波数シンセサイザのループ特性が発振周波数帯域で異なるため、位相同期周波数シンセサイザの特性である位相ノイズ特性やスプリアス特性、ロックアップ時間等がばらついてしまい、特性の劣化を招くという課題が生じる。
【0010】
本発明は、前記の課題に着目してなされてたものであり、その目的は、電圧制御型発振器において、低発振周波数帯域であっても容量変更に応じた発振周波数の可変範囲を十分に広く確保すると共に、低発振周波数帯域でのVCOゲインを高くして高発振周波数帯域でのVCOゲインとの間のばらつきを小さく抑制することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するため、本発明では、周波数制御信号の電位変化に応じて変化する可変容量を、低発振周波数帯域ほど大容量に変更する構成を採用する。
【0012】
即ち、請求項1記載の発明の電圧制御型発振器は、インダクタ及び可変容量回路群からなるタンク回路と、負性抵抗を発生させるための負性抵抗発生回路とを有し、Nビットの周波数帯域制御信号に基づいて前記可変容量回路群の容量値を選択して発振周波数帯域を制御するようにした電圧制御型発振器において、前記Nビットの周波数帯域制御信号を論理処理し、その処理結果を容量選択信号として出力する容量選択回路を有し、前記可変容量回路群は、周波数制御信号の電圧値に応じて容量値が連続的に変化する第1の可変容量素子を備えた第1の可変容量回路と、前記容量選択信号により制御されるスイッチ回路、及び、前記スイッチ回路に直列に接続され且つ前記周波数制御信号の電圧値に応じてその容量値が連続的に変化する第2の可変容量素子を有する単位可変容量回路により構成される第2の可変容量回路とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項2記載の発明は、前記請求項1記載の電圧制御型発振器において、前記第2の可変容量回路は、N個の単位可変容量回路で構成され、前記各単位可変容量回路の第2の可変容量素子の容量値は相互に異なり、前記容量選択回路は、前記Nビットの周波数帯域制御信号の論理レベルを各々そのまま容量選択信号として出力することを特徴とする。
【0014】
更に、請求項3記載の発明は、前記請求項1記載の電圧制御型発振器において、前記第2の可変容量回路は、2−1個の単位可変容量回路で構成され、前記容量選択回路は、前記Nビットの周波数帯域制御信号の10進値の本数分だけ活性化される容量選択信号を出力し、前記容量選択信号により前記スイッチ回路を通して選択される第2の可変容量素子の総和容量値は、異なる容量選択信号別に、異なる総和容量値に設定されることを特徴とする。
【0015】
加えて、請求項4記載の発明の周波数シンセサイザは、請求項1、2又は3記載の電圧制御型発振器と、前記電圧制御型発振器の発振周波数信号を、分周比決定信号により決定された分周比で分周する分周回路と、前記分周回路で分周された周波数信号と基準周波数信号との位相差を検出する位相差検出回路と、前記位相差検出回路の出力に応じた電荷を出力するチャージポンプ回路と、前記チャージポンプ回路の出力の低周波領域成分のみを通過させて、前記周波数制御信号として前記電圧制御型発振器に出力するローパスフィルタとを備えたことを特徴とする。
【0016】
また、請求項5記載の発明の電圧制御型発振器は、インダクタ及び可変容量回路群からなるタンク回路と、負性抵抗を発生させるための負性抵抗発生回路とを有し、Nビットの周波数帯域制御信号に基づいて前記可変容量回路群の容量値を選択して発振周波数帯域を制御するようにした電圧制御型発振器において、前記Nビットの周波数帯域制御信号を論理処理し、その処理結果を容量選択信号として出力する容量選択回路を有し、前記可変容量回路群は、周波数制御信号の電圧値に応じて容量値が連続的に変化する第1の可変容量素子を備えた第1の可変容量回路と、前記容量選択信号により制御される第1のスイッチ回路、及び、前記第1のスイッチ回路に直列に接続され且つ前記周波数制御信号の電圧値に応じてその容量値が連続的に変化する第2の可変容量素子を有する単位可変容量回路により構成される第2の可変容量回路と、前記容量選択信号により制御される第2のスイッチ回路、及び、前記第2のスイッチを通してアナログ接地線に接続される固定容量素子を有する単位固定容量回路により構成される第3の可変容量回路とを備えたことを特徴とする。
【0017】
更に、請求項6記載の発明は、前記請求項5記載の電圧制御型発振器において、前記第2の可変容量回路は、N個の単位可変容量回路で構成され、前記各単位可変容量回路の第2の可変容量素子の容量値は相互に異なり、前記第3の可変容量回路は、N個の単位固定容量回路で構成され、前記各単位固定容量回路の単位固定容量素子の容量値は相互に異なり、前記容量選択回路は、前記Nビットの周波数帯域制御信号の論理レベルを各々そのまま容量選択信号として出力することを特徴とする。
【0018】
加えて、請求項7記載の発明は、前記請求項5記載の電圧制御型発振器において、前記第2の可変容量回路は、2−1個の単位可変容量回路で構成され、前記第3の可変容量回路は、2−1個の単位固定容量回路で構成され、前記容量選択回路は、前記Nビットの周波数帯域制御信号の10進値の本数分だけ活性化される容量選択信号を出力し、前記容量選択信号により前記第1のスイッチ回路を通して選択される第2の可変容量素子の総和容量値は、異なる容量選択信号別に、異なる総和容量値に設定され、前記容量選択信号により前記第2のスイッチ回路を通して選択される固定容量素子の総和容量値は、異なる容量選択信号別に、異なる総和容量値に設定されることを特徴とする。
【0019】
更に加えて、請求項8記載の発明の周波数シンセサイザは、請求項5、6又は7記載の電圧制御型発振器と、前記電圧制御型発振器の発振周波数信号を、分周比決定信号により決定された分周比で分周する分周回路と、前記分周回路で分周された周波数信号と基準周波数信号との位相差を検出する位相差検出回路と、前記位相差検出回路の出力に応じた電荷を出力するチャージポンプ回路と、前記チャージポンプ回路の出力の低周波領域成分のみを通過させて、前記周波数制御信号として前記電圧制御型発振器に出力するローパスフィルタとを備えたことを特徴とする。
【0020】
以上により、請求項1〜3記載の電圧制御型発振器では、高発振周波数帯域においては、第1の可変容量素子を備えた第1の可変容量回路のみによって容量が変更される。一方、低発振周波数帯域では、前記第1の可変容量回路に加えて、第2の可変容量素子を有する第2の可変容量回路によっても容量が変更される。従って、低発振周波数帯域では、高発振周波数帯域よりも大きな容量で発振周波数帯域を変更できるので、発振周波数の可変範囲が十分に広く確保されることになると共に、これに伴い低発振周波数帯域でのVCOゲインが高くなって、高発振周波数帯域でのVCOゲインとの間のばらつきが小さく抑制される。
【0021】
また、請求項5〜7記載の電圧制御型発振器では、第2の可変容量素子を有する第2の可変容量回路に加えて、更に、固定容量素子を有する第3の固定容量回路を備えるので、低発振周波数帯域でのオフセット容量分と可変容量分との関係を適切に調整することができ、高及び低発振周波数帯域間のVCOゲインのばらつきがより一層小さく抑えられることになる。
【0022】
更に、請求項4及び8記載の周波数シンセサイザでは、既述したように広い発振周波数可変帯域を持ち且つ高、低発振周波数帯域間のVCOゲインのばらつきが小さい電圧制御型発振器を用いて、周波数シンセサイザが構成されるので、そのループ特性が発振周波数帯域の高低に拘わらずほぼ一致して、位相ノイズ特性、スプリアス特性、ロックアップ時間特性等のばらつきが小さく高性能な周波数シンセサイザが得られることになる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0024】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態の電圧制御型発振器の回路構成を示す。
【0025】
同図の電圧制御型発振器は、発振周波数を決定するタンク回路1と、負性抵抗発生回路4と、容量選択回路5とにより構成される。前記負性抵抗発生回路4は、負性抵抗を発生して前記タンク回路1の損失を補い、発振を可能にする。
【0026】
前記タンク回路1は、インダクタ2と可変容量回路群3とにより構成される。負性抵抗発生回路4は、クロスカップル型の2個のトランジスタM1と、電流源トランジスタM2とにより構成される。また、容量選択回路5は、Nビット(同図では2ビット)の周波数帯域制御信号BIT0、BIT1を論理処理して、その処理結果を容量選択信号SEL0、SEL1として出力する。具体的に、この容量選択回路5は、本実施の形態では、周波数帯域制御信号BIT0、BIT1を受けるバッファ5a、5bを有し、前記周波数帯域制御信号BIT0、BIT1の論理レベルを前記バッファ5a、5bからそのまま容量選択信号SEL0、SEL1として出力する構成である。
【0027】
前記タンク回路1の可変容量回路群3は、第1の可変容量回路31と、第2の可変容量回路32により構成されている。前記第1の可変容量回路31は、周波数制御信号CONTの電圧値Vcontに応じてその容量値が連続的に変化する第1の可変容量素子Cv1を有する。また、前記第2の可変容量回路32は、容量選択信号SEL0、SEL1により制御されるスイッチ回路S20、S21と、これらのスイッチ回路S20、S21に直列に接続された第2の可変容量素子Cv20、Cv21により各々構成されたN個(本実施の形態ではN=2)の単位可変容量回路32a、32aからなる。前記第2の可変容量素子Cv20、Cv21も、前記第1の可変容量素子Cv1と同様に、周波数制御信号CONTの電圧値Vcontに応じてその容量値が連続的に変化する。
【0028】
具体的に、前記第1の可変容量回路31の第1の可変容量素子Cv1は、周波数制御信号CONTと出力端子OUTA、OUTBとの間に、Accumulation型のMOSバラクタを接続することで実現される。また、第2の可変容量回路32のスイッチ回路S20、S21は、各々、前記周波数帯域制御信号BIT0、BIT1がゲートに接続されたNMOSトランジスタ、及び周波数帯域制御信号BIT0、BIT1の反転信号がゲートに接続されたPMOSトランジスタを有するCMOSスイッチ回路と、前記CMOSスイッチ回路がOFFの時に前記第2の可変容量素子Cv20、Cv21につながるノードの電位を電位VDDに固定するためのPMOSトランジスタ及び抵抗とにより構成され、第2の可変容量素子Cv20、Cv21は、前記CMOSスイッチ回路と出力端子OUTA、OUTB間に接続したAccumulation型のMOSバラクタにより構成される。
【0029】
ここに、第2の可変容量素子Cv20、Cv21の容量値(以下、容量素子と同符号で表す)は相互に異なって、Cv20<Cv21に設定されている。
【0030】
次に、図1に示した電圧制御型発振器の動作を説明する。電流源トランジスタM2のゲートに所定の一定電圧を印加すると、その電圧に応じた電流が電流源トランジスタM2及びクロスカップルトランジスタM1に流れる。この電流が所定電流値以上になると、出力端子OUTA、OUTBには相互に反転電位を持った発振が発生する。
【0031】
この時の発振周波数は次式(2)で表される。
【0032】
【数2】


【0033】
ここに、Lはインダクタ2のインダクタンス値、Cv1は第1の可変容量素子Cv1の容量値、Cv2allは第2の可変容量回路32によって出力端子OUTA、OUTBに接続付加される第2の可変容量素子Cv20、Cv21の総和容量値、CpはクロスカップルトランジスタM1のゲート容量やドレイン容量、配線によって出力端子OUTA、OUTBに寄生する寄生容量値の総和である。
【0034】
周波数帯域制御信号BIT0、BIT1がBIT[1:0]=0,0の時は、容量選択信号SEL0、SEL1はSEL[1:0]=0,0になる。この時、第2の可変容量素子Cv20、Cv21は選択されず、Cv2all=0となり、その発振周波数を決める可変容量は第1の可変容量素子Cv1の容量値のみとなる。
【0035】
同様に、周波数帯域制御信号BIT0、BIT1がBIT[1:0]=0,1の時には、第2の可変容量素子Cv20のみが選択され、BIT[1:0]=1,0の時には第2の可変容量素子Cv21のみが選択され、BIT[1:0]=1,1の時には第2の可変容量素子Cv20、Cv21の双方が選択されて、各々、可変容量値は、Cv1+Cv20、Cv1+Cv21(>Cv1+Cv20)、Cv1+Cv20+Cv21(>Cv1+Cv21)となる。これから判るように、周波数帯域制御信号BIT0、BIT1のビットを上げるに従って、より大きな可変容量を用いて発振周波数帯域を変更するようにした電圧制御型発振器を実現することができる。
【0036】
図2は、本実施の形態の電圧制御型発振器の発振周波数と周波数制御信号CONTの電圧値Vcontとの関係をシミュレーションした結果を示す。ここで、本実施の形態の電圧制御型発振器では、発振周波数帯域が低くなるに従ってより大きな可変範囲を持つ可変容量を用いて容量値を変更するので、図12に示した従来の電圧制御型発振器のように低発振周波数帯域の減少がなくて、この低発振周波数帯域が拡大し、従来と比較してより広い発振周波数可変範囲を得ることができる。更に、発振周波数可変範囲が低周波数帯域で拡大したので、高及び低発振周波数帯域相互間のVCOゲインのばらつきが小さくなる。
【0037】
(第2の実施の形態)
図3は、本発明の第2の実施の形態の電圧制御型発振器の回路構成を示す。
【0038】
同図の電圧制御型発振器が図1に示した第1の実施の形態と異なる点は、第2の可変容量回路32中の単位可変容量回路32aを1個増やして、3個(2−1、N=2)で構成した点である。前記増加された単位可変容量回路32aも、他の単位可変容量回路32aと同様に、スイッチ回路S22と、このスイッチ回路S22に直列に接続された第2の可変容量素子Cv22とにより構成される。
【0039】
また、容量選択回路5’は、前記第2の可変容量回路32の単位可変容量回路32aの個数(3個)に等しい本数の容量選択信号SEL0、SEL1、SEL2を出力する。この容量選択回路5’は、内部にOR回路5’aと、AND回路5’bとを有する。前記OR回路5’a及びAND回路5’bは周波数帯域制御信号BIT0、BIT1を受けて、容量選択信号SEL0、SEL2を各々出力する。周波数帯域制御信号BIT1の論理レベルはそのまま容量選択信号SEL1となる。
【0040】
つまり、容量選択回路5’は、周波数帯域制御信号BIT[1:0]=0,0(10進値で0)の時は、全ての容量選択信号SEL0、SEL1、SEL2を非活性化(0レベルに)し、BIT[1:0]=0,1(10進値で1)の時は1つの容量選択信号SEL0のみを活性化(1レベルに)し、BIT[1:0]=1,0(10進値で2)の時は2つの容量選択信号SEL0、SEL1を活性化し、BIT[1:0]=1,1(10進値で3)の時は全て(3つ)の容量選択信号SEL0、SEL1、SEL2を活性化するように構成される。
【0041】
従って、周波数帯域制御信号BIT[1:0]=0,0の時、BIT[1:0]=0,1の時、BIT[1:0]=1,0の時、及びBIT[1:0]=1,1の時の総和容量値は、各々、Cv1、Cv1+Cv20、Cv1+CV20+CV21、及びCv1+CV20+CV21+CV22と順次大容量値になる。図1に示した第1の実施の形態の電圧制御型発振器と比較すると、周波数帯域制御信号BIT[1:0]=0,0、BIT[1:0]=0,1の時の可変容量値は同じであるが、周波数帯域制御信号BIT[1:0]=1,0、BIT[1:0]=1,1の時の可変容量値は異なって、大容量値となっている。即ち、第1の実施の形態と比較して、周波数帯域制御信号BIT[1:0]=1,0の時には可変容量Cv20の容量分だけ大きく、BIT[1:0]=1,1の時には可変容量Cv22の容量分だけ大きく変更される。
【0042】
従って、図4に示した第2の実施の形態の電圧制御型発振器の発振周波数特性のシミュレーション結果のように、低発振周波帯域が図2に示した第2の実施の形態よりも拡大して、電圧制御型発振器の発振周波数可変範囲は更に広がることになる。
【0043】
(第3の実施の形態)
図5は、本発明の第3の実施の形態の電圧制御型発振器の回路構成を示す。
【0044】
本実施の形態の電圧制御型発振器が図1に示した第1の実施の形態の電圧制御型発振器と異なる点は、可変容量回路群3中に、第1及び第2の可変容量回路31、32に加えて、第3の可変容量回路33が追加されている点である。前記第1の可変容量回路31は、周波数制御信号CONTの電圧値Vcontに応じてその容量値が連続的に変化する第1の可変容量素子Cv1を有する。また第2の可変容量回路32は、N(=2)個のスイッチ回路(第1のスイッチ回路)S20、S21と、これらスイッチ回路S20、S21と直列に接続されたN(=2)個の第2の可変容量素子Cv20、Cv21とを有する。この容量素子Cv20、Cv21の容量値は異なって、Cv20<Cv21の関係に設定されている。
【0045】
また、前記第3の可変容量回路33は、N(=2)個の単位固定容量回路33aを備える。この単位固定容量回路33aは、N(=2)ビットの容量選択信号SEL0、SEL1で制御されるスイッチ回路(第2のスイッチ回路)S30、S31と、このスイッチ回路S30、S31を経てアナログ接地線に接続される固定容量素子Cf0、Cf1とを各々有する。この固定容量素子Cf0、Cf1の容量値は、相互に異なる値に設定される。容量選択回路5の内部構成は、図1に示した第1の実施の形態の電圧制御発振器の容量選択回路5と同一である。
【0046】
本実施の形態の電圧制御型発振器では、発振周波数帯域の設定は固定容量素子Cf0、Cf1と可変容量素子Cv20、CV21との組み合わせにより実現される。この場合、発振周波数は次式(3)で示される。
【0047】
【数3】


【0048】
ここに、Cfallは出力端子OUTA、OUTBに接続付加された固定容量素子Cf0、Cf1の総和容量値である。
【0049】
従って、本実施の形態では、可変容量成分である容量値Cv1+Cv2allと、固定容量成分である容量値Cfall+Cpとの関係を調整することが可能であるので、図6に示した本実施の形態の電圧制御型発振器の発振周波数特性のシミュレーション結果に示すように、低発振周波数帯域での発振周波数範囲の拡大を可能にしつつ、図1の電圧制御型発振器に比べて、高及び低発振周波数帯域相互間でのVCOゲインのばらつきを更に小さくすることができる。
【0050】
(第4の実施の形態)
図7は、第4の実施の形態の電圧制御型発振器の回路構成を示す。
【0051】
本実施の形態の電圧制御型発振器は、第2の可変容量回路32を3(2−1、N=2)個の単位可変容量回路32aで構成すると共に、第3の可変容量回路33を、相互に容量値が異なる固定容量素子Cf0、Cf1、Cf2を各々有する3個(2−1、N=2個)の単位固定容量回路33aで構成し、更に、容量選択回路5’を図3に示した第2の実施の形態の電圧制御型発振器と同様に、3(2−1、N=2)本の容量選択信号SEL0〜SEL2を出力する容量選択回路5’と同一構成としたものである。
【0052】
従って、本実施の形態の電圧制御型発振器では、低発振周波数帯域での可変容量成分としてより大きな可変容量を持つことができるので、図8に示した本実施の形態の電圧制御型発振器の発振周波数特性のシミュレーション結果から判るように、図5に示した第3の実施の形態に比べて、低発振周波数帯域がより拡大して、電圧制御型発振器全体としてより広い発振周波数可変範囲を持つことができると共に、前記第3の実施の形態と同様、可変容量成分と固定容量成分との関係を調整することができるので、高及び低発振周波数範囲相互間でのVCOゲインのばらつきを有効に小さく低減することが可能となる。
【0053】
図9は、前記第1及び第3の実施の形態と従来例とにおける電圧制御型発振器の発振周波数帯域でのVCOゲインの最大値を示したものである。尚、同図では、周波数帯域制御信号BIT[1:0]=0,0の時のVCOゲインの最大値で規格化して、最大値を示している。同図から判るように、図12に示した従来例に比べて、第1の実施の形態の方が、また第1の実施の形態よりも第3の実施の形態の方が、VCOゲインのばらつきが小さくなっていることが判る。
【0054】
以上説明した第1〜第4の実施の形態の電圧制御型発振器の説明では、周波数帯域制御信号BIT1、BIT2は2ビット構成としたが、本発明はこれに限定されず、1又は3ビット以上で構成しても良いのは勿論である。
【0055】
また、負性抵抗発生回路4は、NMOS型クロスカップルトランジスタM1とNMOS型電流源トランジスタM2とにより構成したが、その他の構成、例えば、PMOS型クロスカップルトランジスタ、又はP及びNMOS型の双方を用いたクロスカップトランジスタや、PMOS型電流源トランジスタを用いても良いのは勿論のこと、バイポーラトランジスタを用いた構成であっても良い。また、クロスカップルトランジスタと電流源トランジスタとにより負性抵抗発生回路4を構成する必要はない。
【0056】
更に、可変容量素子Cv1、Cv20、Cv21、Cv22として、Accumulation型のMOSバラクタを用いたが、その他、NMOS型トランジスタ、PMOS型トランジスタ、PNジャンクション型のように2端子間の電圧の差で容量値が変化するものであれば、何れを採用しても良い。
【0057】
(第5の実施の形態)
図10は、本発明の電圧制御型発振器を用いた周波数シンセサイザのブロック図を示す。
【0058】
同図の周波数シンセサイザにおいて、VCOは既述した第1〜第4の実施の形態の電圧制御型発振器である。また、DVは分周回路であって、分周比決定信号SDにより分周比1/Nが決定され、この決定された分周比1/Nに前記電圧制御型発振器VCOの発振周波数信号fOUTを分周する。PDは位相差検出回路であって、前記分周回路DVで分周された発振周波数信号と基準周波数信号fREFとの位相差を検出する。CPはチャージポンプ回路であって、前記位相差検出回路PDの出力に応じた電荷を出力する。LPFはローパスフィルタであって、前記チャージポンプ回路CPの出力の低周波領域成分のみを通過させ、これを周波数制御信号CONTとして前記電圧制御型発振器VCOに出力する。
【0059】
本実施の形態の周波数シンセサイザは、電圧制御型発振器VCOが既述したように非常に広い発振周波数帯域を有するので、この広い発振周波数帯域をカバーする周波数シンセサイザを構成することが可能である。
【0060】
また、各発振周波数帯域でのVCOゲインの高及び低発振周波数帯域相互間のばらつきが小さい電圧制御型発振器VCOを用いるので、周波数シンセサイザ自体のループ特性のばらつきを抑えることができ、位相ノイズ特性、リファレンススプリアス特性、及びロックアップ時間等のばらつきの少ない高性能な周波数シンセサイザを構成することが可能である。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1〜3及び5〜7記載の電圧制御型発振器によれば、低発振周波数帯域での発振周波数可変範囲を拡大して、電圧制御型発振器全体の発振周波数範囲を拡大することができると共に、低発振周波数帯域でのVCOゲインを高くして、高発振周波数帯域でのVCOゲインとの間のばらつきを小さく抑制できる。
【0062】
また、請求項4及び8記載の周波数シンセサイザによれば、広い発振周波数帯域で使用可能であり、且つ、位相ノイズ特性やスプリアス特性等を含むループ特性が発振周波数帯域の高低に拘わらず効果的に安定した周波数シンセサイザを得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の電圧制御型発振器の回路構成を示す図である。
【図2】同電圧制御型発振器の発振周波数特性を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態の電圧制御型発振器の回路構成を示す図である。
【図4】同電圧制御型発振器の発振周波数特性を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態の電圧制御型発振器の回路構成を示す図である。
【図6】同電圧制御型発振器の発振周波数特性を示す図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態の電圧制御型発振器の回路構成を示す図である。
【図8】同電圧制御型発振器の発振周波数特性を示す図である。
【図9】本発明の第1及び第3の実施の形態の電圧制御型発振器のVCOゲイン特性を従来の電圧制御型発振器のVCOゲイン特性と比較した結果を示す図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態における周波数シンセサイザのブロック構成を示す図である。
【図11】従来の電圧制御型発振器の回路構成を示す図である。
【図12】同従来の電圧制御型発振器の発振周波数特性を示す図である。
【符号の説明】
1                            タンク回路
2                            インダクタ
3                            可変容量回路群
4                            負性抵抗発生回路
M1                           クロスカップル型トランジスタ
M2                           電流源トランジスタ
5、5’                       容量選択回路
31                          第1の可変容量回路
Cv1                         第1の可変容量素子
32                          第2の可変容量回路
32a                         単位可変容量回路
Cv20、Cv21、Cv22   第2の可変容量素子
S21、S22、S23         スイッチ回路(第1のスイッチ回路)
CONT                       周波数制御信号
BIT0、BIT1             周波数帯域制御信号
SEL0、SEL1、SEL2   容量選択信号
33                          第3の可変容量回路
Cf0、Cf1、Cf2         固定容量素子
33a                         単位固定容量回路
S31、S32、S33         スイッチ回路(第2のスイッチ回路)
VCO                         電圧制御発振器
DV                           分周回路
fOUT                       発振周波数信号
SD                           分周比決定信号
fREF                       基準周波数信号
PD                           位相差検出回路
CP                           チャージポンプ回路
LPF                         ローパスフィルタ
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地
【出願日】 平成14年6月6日(2002.6.6)
【代理人】 【識別番号】100077931
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 弘

【識別番号】100094134
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 廣毅

【識別番号】100110939
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 宏

【識別番号】100110940
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋田 高久

【識別番号】100113262
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 祐二

【識別番号】100115059
【弁理士】
【氏名又は名称】今江 克実

【識別番号】100115510
【弁理士】
【氏名又は名称】手島 勝

【識別番号】100115691
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 篤史

【公開番号】 特開2004−15387(P2004−15387A)
【公開日】 平成16年1月15日(2004.1.15)
【出願番号】 特願2002−165536(P2002−165536)