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【発明の名称】 半導体集積回路装置
【発明者】 【氏名】松塚 隆之
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内

【要約】 【課題】共振回路のQ値を下げることなく、温度による発振周波数の変動を補償した半導体集積回路装置を構成する。

【解決手段】この発明に係る電圧制御発振器10は、制御信号に対応した周波数で共振する共振回路14と、この共振回路14に一端が接続された伝送線路部16と、この伝送線路部16の他の一端にゲート電極が接続されソース電極がソースインダクタ18cを介して接地されたFET18aおよびFET18aのドレイン電極に接続された高周波信号の出力端18fを含む能動回路18とを備えるとともに、伝送線路部16のインピーダンスを可逆的に変更可能としたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号入力端からの制御信号に対応した周波数で共振する共振回路と、
この共振回路に一端が接続され高周波信号を伝送するとともに、インピーダンスを可逆的に変更可能とした伝送線路部と、
この伝送線路部の他の一端に接続された第1の電極とリアクタンス要素を介して接地された第2の電極と第3の電極とを有する能動素子およびこの能動素子の第3の電極に接続された高周波信号の出力端を含む能動回路と、
上記共振回路、伝送線路部、および能動回路が一主面に配設された基板と、
を備えた半導体集積回路装置。
【請求項2】
伝送線路部が、長さの異なる複数の伝送線路とこの伝送線路の一本を共振回路及び能動回路と接続する接続切換要素とを有することを特徴とした請求項1記載の半導体集積回路装置。
【請求項3】
伝送線路部が、所定の長さを有し一端で共振回路に他端で能動回路に接続された第1の伝送線路と、この第1の伝送線路に隣接して配設され第1の接断要素を介して接地された導体とを有することを特徴とした請求項1記載の半導体集積回路装置。
【請求項4】
第2の接断要素とこの第2の接断要素に直列して接続された第2の伝送線路とをさらに有し、この第2の接断要素と第2の伝送線路とが第1の接断要素と並列に接地されたことを特徴とする請求項3記載の半導体集積回路装置。
【請求項5】
伝送線路部が、所定の長さを有し一端で共振回路に、他端で能動回路に接続された伝送線路、およびこの伝送線路と接地端との間に接続された容量可変半導体素子を有することを特徴とした請求項1記載の半導体集積回路装置。
【請求項6】
能動素子の第3の電極と能動回路の高周波信号の出力端とに接続された反射回路をさらに備えるとともに、この反射回路のインピーダンスを可逆的に変更可能としたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の半導体集積回路装置。
【請求項7】
能動素子を電界効果型トランジスタとし、第1の電極をゲート電極、第2の電極をソース電極、第3の電極をドレイン電極としたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の半導体集積回路装置。
【請求項8】
信号入力端からの制御信号に対応した周波数で共振する共振回路と、
この共振回路に一端が接続され高周波信号を伝送する伝送線路と、
この伝送線路部の他の一端に接続された第1の電極とリアクタンス要素を介して接地された第2の電極と第3の電極とを有する能動素子、この能動素子の第3の電極に接続された高周波信号の出力端、および上記能動素子の第3の電極と高周波信号の出力端とに接続されたインピーダンスを可逆的に変更可能とする反射回路を含む能動回路と、
上記共振回路、伝送線路、および能動回路が一主面に配設された基板と、
を備えた半導体集積回路装置。
【請求項9】
信号入力端からの制御信号に対応した周波数で共振する共振回路と、
この共振回路に一端が接続されるとともに、インピーダンスを不可逆的に変更可能とした伝送線路部と、
この伝送線路部の他の一端に接続された第1の電極とリアクタンス要素を介して接地された第2の電極と第3の電極とを有する能動素子、およびこの能動素子の第3の電極に接続された高周波信号の出力端を含む能動回路と、
上記共振回路、伝送線路部、および能動回路が一主面に配設された基板と、
を備えた半導体集積回路装置。
【請求項10】
伝送線路部が、所定の長さを有し一端で共振回路に他の一端で能動回路に接続された伝送線路を有するとともに不可逆的に回路を切断する切断要素およびこの切断要素と直列に接続された抵抗素子がともに上記伝送線路と接地端との間に接続されたことを特徴とする請求項9記載の半導体集積回路装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は半導体集積回路装置に係り、特にレーダーに用いられるマイクロ波・ミリ波領域で動作する発振器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図11は従来の電圧制御発振器の一例を示す回路図である。
図11において、100は電圧制御発振器、102はFET、104は伝送線路、106はLC直列共振回路を構成するインダクタ、108はLC直列共振回路を構成する可変容量ダイオード、110はゲートバイアス印加用のチョークインダクタ、112はソースインダクタ、114はドレインバイアス印加用のチョークインダクタ、116は反射利得を向上させるための反射回路、118は可変容量ダイオード108の制御電圧印加用のチョークインダクタ、120は制御電圧の入力端、122は高周波信号の出力端である。
【0003】
図12は従来の電圧制御発振器の発振周波数特性を示す模式図である。
図12において、12aは所定の室温の場合における発振周波数と制御電圧との関係の曲線、12bは室温より高温になった場合における発振周波数と制御電圧との関係の曲線、12cは室温より低温になった場合における発振周波数と制御電圧との関係の曲線である。またWは所望の周波数帯域幅で、使用周波数の数%程度の周波数帯域である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
電圧制御発振器100は、使用環境や使用中の発生熱によりFET102の温度が変動し、これに対応して使用を想定された室温よりも高温または低温の場合に、発振周波数と制御電圧との関係の曲線が曲線12aから曲線12bまたは曲線12cに変移する。
このような温度変化があった場合でも、電圧制御発振器100を所望の周波数帯域全域で発振を可能にさせるためには、所望の周波数帯域全域に対応してループ利得と位相条件を常に満足させることが必要である。
【0005】
このため従来の電圧制御発振器100においては、共振回路のQ値を低くすることにより、温度変化が発生しても所望の周波数帯域全域で発振を可能にしていた。すなわち、温度変化による発振周波数の変動を補償するために、共振回路のQ値を低くすることにより、共振回路の共振周波数の可変帯域を広くし、室温における同調範囲が広くなるように設計していた。
【0006】
しかしながら、共振回路のQ値と位相雑音とはトレードオフの関係にあり、共振回路のQ値を下げることは、位相雑音が劣化するという問題があった。
ここで、位相雑音Nとは、所定の周波数fにおける出力電力値をadBm、周波数fからΔf離れた周波数における出力電力値をbdBmとしたときに、
N=(b−a) dBc/Hz
で、定義される値である。
この発明は上記の問題点を解消するためになされたもので、第1の目的は、共振回路のQ値を下げることなく、温度による発振周波数の変動を補償した半導体集積回路装置を構成することである。第2の目的は、共振回路のQ値を下げることなく、発振周波数のばらつきを容易に修正できる半導体集積回路装置を構成することである。
【0007】
なお、公知の技術としては、特開昭61−261903号公報に発振回路が記載されている。この発振回路は、アルミナセラミック基板に設けられたストリップライン共振器を用いたもので、アルミナセラミック基板の比誘電率が周囲温度の変動によって変化することにより発振周波数が変化することを防ぐとともに小形化と発振周波数のばらつきを容易に調整できるように、ストリップライン導体と並列にチップ状温度補償用コンデンサを正確に位置決めして接続した構成が開示されている。
【0008】
また、特開平8−204447号公報には、マイクロ波発振器の記載がある。このマイクロ波発振器はその一部を構成する共振回路を主共振回路と副共振回路とで構成し、このうち副共振回路を可変容量ダイオードと温度補償コンデンサと誘導性伝送路で構成することにより、温度変化による発振周波数の変化を補償したものである。
【0009】
また、特開平5−251930号公報には、高周波発振器の記載がある。この高周波発振器はその一部に2倍の線路幅の線路導体を備え、発振器の製造時に線路導体を長手方向にトリミングし発振周波数を調整可能としたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る半導体集積回路装置は、信号入力端からの制御信号に対応した周波数で共振する共振回路と、この共振回路に一端が接続され高周波信号を伝送するとともに、インピーダンスを可逆的に変更可能とした伝送線路部と、この伝送線路部の他の一端に接続された第1の電極とリアクタンス要素を介して接地された第2の電極と第3の電極とを有する能動素子およびこの能動素子の第3の電極に接続された高周波信号の出力端を含む能動回路と、共振回路、伝送線路部、および能動回路が一主面に配設された基板と、を備えたもので、共振回路のQ値を下げることなく、温度による発振周波数の変動を可逆的に補償することができる。
【0011】
さらに、伝送線路部が、長さの異なる複数の伝送線路とこの伝送線路の一本を共振回路及び能動回路と接続する接続切換要素とを有するもので、簡単な構成で位相条件を可逆的に変更でき、温度による発振周波数の変動に対して補償を行うことができる。
【0012】
またさらに、伝送線路部が、所定の長さを有し一端で共振回路に他端で能動回路に接続された第1の伝送線路と、この第1の伝送線路に隣接して配設され第1の接断要素を介して接地された導体とを有するもので、簡単な構成で位相条件を可逆的に変更でき、温度による発振周波数の変動に対して補償を行うことができる。
【0013】
さらに、第2の接断要素とこの第2の接断要素に直列して接続された第2の伝送線路とをさらに有し、この第2の接断要素と第2の伝送線路とが第1の接断要素と並列に接地されたもので、インピーダンス変更の選択肢を多く設定することができて、温度による発振周波数の変動に対してきめ細かく対応することができる。
【0014】
またさらに、伝送線路部が、所定の長さを有し一端で共振回路に、他端で能動回路に接続された伝送線路、およびこの伝送線路と接地端との間に接続された容量可変半導体素子を有するもので、インピーダンスの変更を連続的に設定することができて位相条件を可逆的に変更でき、温度による発振周波数の変動に対してきめ細かく対応することができる。
【0015】
またさらに、能動素子の第3の電極と能動回路の高周波信号の出力端とに接続された反射回路をさらに備えるとともに、この反射回路のインピーダンスを可逆的に変更可能としたもので、簡単に発振の位相条件の変更をおこなうことができるとともに反射利得の帯域幅はそのままで中心周波数を変移することができる。
【0016】
またさらに、能動素子を電界効果型トランジスタとし、第1の電極をゲート電極、第2の電極をソース電極、第3の電極をドレイン電極としたもので、高周波動作に適した構成にすることができる。
【0017】
また、信号入力端からの制御信号に対応した周波数で共振する共振回路と、この共振回路に一端が接続され高周波信号を伝送する伝送線路と、この伝送線路部の他の一端に接続された第1の電極とリアクタンス要素を介して接地された第2の電極と第3の電極とを有する能動素子、この能動素子の第3の電極に接続された高周波信号の出力端、および能動素子の第3の電極と高周波信号出力端とに接続されたインピーダンスを可逆的に変更可能とする反射回路を含む能動回路と、共振回路、伝送線路、および能動回路が一主面に配設された基板と、を備えたもので、反射回路のインピーダンスを可逆的に変更することにより、反射利得の帯域幅はそのままで中心周波数を変移することができる。
【0018】
また、信号入力端からの制御信号に対応した周波数で共振する共振回路と、この共振回路に一端が接続されるとともに、インピーダンスを不可逆的に変更可能とした伝送線路部と、この伝送線路部の他の一端に接続された第1の電極とリアクタンス要素を介して接地された第2の電極と第3の電極とを有する能動素子、およびこの能動素子の第3の電極に接続された高周波信号の出力端を含む能動回路と、共振回路、伝送線路部、および能動回路が一主面に配設された基板と、
を備えたもので、発振周波数のばらつきを補正することができる。
【0019】
さらに、伝送線路部が、所定の長さを有し一端で共振回路に他の一端で能動回路に接続された伝送線路を有するとともに不可逆的に回路を切断する切断要素およびこの切断要素と直列に接続された抵抗素子がともに伝送線路と接地端との間に接続されたもので、簡単な構成で、発振周波数のばらつきを補正することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、この発明の一つの実施の形態に係る半導体集積回路装置の模式図である。以下の説明では、半導体集積回路装置として例えば数GHz以上のマイクロ波・ミリ波に用いられるレーダー用の電圧制御発振器を例にして説明する。
図1において、10はこの実施の形態に係る電圧制御発振器で、12は電圧制御発振器の基板で、例えばMMICでは半導体基板が用いられるが、セラミック基板が用いられる場合もある。セラミック基板が用いられた場合には、伝送線路パターンを形成した後に各回路部品が実装される。
【0021】
14は共振回路で、ここでは一例としてLC直列共振回路を示している。14aはLC直列共振回路を構成するインダクタ、14bはLC直列共振回路を構成する容量可変ダイオードである。LC直列共振回路はインダクタ14aの一端と容量可変ダイオード14bのカソード側が接続され、容量可変ダイオード14bのアノード側は接地されている。14cはチョークインダクタで一端は制御信号を入力する入力端14dに接続され、他端は容量可変ダイオード14bのカソード側に接続され、容量可変ダイオード14bに制御電圧を印加する。
【0022】
16は伝送線路部で、この伝送線路部16が発振の位相条件を決定する要素の一つである。この伝送線路部16は電気長の異なる複数のマイクロストリップ線路からなる伝送線路16a、16bと、これらの伝送線路16a、16bの一つを選択するために伝送線路16a、16bの両端に配設されたスイッチ16c、16dとで構成されている。スイッチ16c、16dは例えばダイオードやFETを用いて形成される。
【0023】
ここでは伝送線路として長短2本の伝送線路を設けているが、必ずしも2本である必要はなく、もっと本数を増やせばさらに温度変化による周波数変動にきめ細かく対応することができる。
この例では、共振回路12を構成するインダクタ14aの、容量可変ダイオード14bと接続されていない側の一端とスイッチ16cとが接続されている。
18は能動回路で、18aは能動素子としてのFETで第1の電極としてのゲート電極、第2の電極としてのソース電極、第3の電極としてのドレイン電極を備えている。
【0024】
18bは一端がFET18aのゲート電極に接続されたゲートバイアス印加用のチョークインダクタ、18cは一端がFET18aのソース電極に接続され他端が接地されたソースインダクタ、18dは一端がFET18aのドレイン電極に接続されたドレインバイアス印加用のチョークインダクタ、18eはマイクロストリップ線路からなる反射回路で、一端は開放で他端がFET18aのドレインに接続されている。18fは高周波信号の出力端である。また18iはDC遮断用のキャパシタである。
【0025】
FET18aのゲート電極が伝送線路部16のスイッチ16dと接続されている。また、FET18aのドレイン電極が高周波信号を出力する出力端18fに接続されている。
このように電圧制御発振器10では、伝送線路部16の伝送線路の電気長を可逆的に変えることにより、伝送線路部16のインダクタンスを可逆的に変える。これにより伝送線路部16のインピーダンスを可逆的に変え、温度変化による発振周波数の変化を補償するものである。
【0026】
図2はこの実施の形態に係る電圧制御発振器の発振周波数特性の模式図である。
図2において、曲線aは電気長が短い方の伝送線路16bを接続したときの発振周波数特性で、曲線bは電気長が長い方の伝送線路16aを接続したときの発振周波数特性である。
次に動作について説明する。
電圧制御発振器10において、使用環境や使用中の発生熱によりFET18aの温度が変動し、このため利得のみならず位相条件も変動する。
電圧制御発振器10を安定的に動作させるためには、ループ利得と位相条件を常に満足させることが必要である。
【0027】
電圧制御発振器10を切断面Aで二つに分けて考えた場合、位相条件は切断面Aから見たそれぞれの反射位相が、
<S11+<S22=0
を満足することが、発振開始のための必要条件となる。
ここで、<S11および<S22は、切断面Aの共振回路14側を1、伝送線路部16側を2とした2端子対回路のSパラメータの位相角である。
【0028】
FET18aの温度が変動し、使用が想定された室温から、例えば高温側に温度が変化した場合、<S22も変動するので、電圧制御発振器10の発振周波数特性が発振周波数の低い側に変移する。この状態で所望の周波数帯域全体で発振が確保できない場合には、共振回路14と能動回路18との間に設けられた伝送線路部16のインピーダンスを変更することで簡単に位相角の変化を発生させることができるので、これにより位相条件を変更し、発振周波数特性を発振周波数の高い側に変移させ、所望の周波数帯域全体で発振が確保できるようにするのである。すなわち伝送線路部16のインピーダンスを変更することで、温度による発振周波数特性の変移を効果的に補償することができる。
【0029】
発振周波数特性の温度による変移を補償するために、温度が高くなったときには図2に示されるように電気長が短い方の伝送線路16bを選択して発振周波数特性を発振周波数の高い方に変移させ、温度が低くなった場合には電気長が長い方の伝送線路16aを選択して発振周波数特性を発振周波数の低い方に変移させ、それぞれ温度変化による発振周波数の変化を補償する。
この補償により、温度変化があった場合でも、発振周波数の数%の周波数帯域幅Wを持つ所望の発振周波数で、安定的に、出力端18fから高周波を出力させることができる。
【0030】
この実施の形態に係る電圧制御発振器10においては、温度変化による発振周波数の変動を共振回路のQ値を低くしておくことで対処するということを行っていないので、共振回路のQ値を低くした場合に発生する位相雑音の劣化を生じることなしに、温度変化による位相条件の変化が発生しても所望の周波数帯域全域で発振を可能とすることができる。
【0031】
また、この実施の形態では、電気長の異なる伝送線路を並置しこれをスイッチで選択するという簡単な構成で伝送線路部16のインピーダンスを変更することが出来る。延いては位相雑音が少なく温度特性の良い電圧制御発振器を簡単に構成することができる。
【0032】
図3は実施の形態1の電圧制御発振器の変形例を示す模式図である。
図1の電圧制御発振器10は能動素子としてFET18aを使用し、高周波動作に適した構成にしたものであるが、FET18aに変えて、バイポーラトランジスタを用いた構成としても良い。
なお、以下に述べる実施の形態においても、FETを用いて説明しているが、FETに変えてバイポーラトランジスタを用いた構成としても良い。
【0033】
図3において、図1と同じ符号は同じかまたは相当のものを示す。以下の図においても同じ符号は同じかまたは相当のものを示す。
図3において、20は電圧制御発振器、18gは能動素子としてのバイポーラトランジスタである。
【0034】
なお、FET18aに変えてバイポーラトランジスタ18gを用いたので、この変形例では第1の電極としてはベース電極、第2の電極としてはエミッタ電極、そして第3の電極としてはコレクタ電極が対応し、チョークインダクタ18bは一端がバイポーラトランジスタ18gのベース電極に接続されたベースバイアス印加用のものとなり、18cは一端がバイポーラトランジスタ18gのエミッタ電極に接続され他端が接地されたエミッタインダクタとなり、そしてチョークインダクタ18dは一端がバイポーラトランジスタ18gのコレクタ電極に接続されたコレクタバイアス印加用のものとなる。
動作は電圧制御発振器10と同様で、電圧制御発振器10と同様の効果を奏する。
【0035】
実施の形態2.
図4はこの発明の一つの実施の形態に係る半導体集積回路装置の模式図である。
図4において、30は電圧制御発振器である。16eは第1の伝送線路としての主伝送線路で、マイクロストリップ線路で構成されている。16fは主伝送線路16eに隣接して並置された導体としての配線層である。16gは第1の接断要素としてのオン−オフ型のスイッチでダイオードやトランジスタで構成される。配線層16fはスイッチ16gを介して接地されている。共振回路14と能動回路18は実施の形態1の電圧制御発振器10と同じである。
【0036】
この実施の形態2に係る電圧制御発振器20では、伝送線路部16に共振回路14のLC直列共振回路を構成するインダクタ14aと能動回路18のFET18aのゲート電極とに固定的に接続された主伝送線路16eと、この主伝送線路16eに沿って隣接する配線層16fとを設け、この配線層16fをスイッチ16gにより接地したり、あるいは接地から切断したりすることにより、主伝送線路16eのキャパシタンスを変え、伝送線路部16のインピーダンスを可逆的に変更するものである。
【0037】
スイッチ16gをオフにした場合、伝送線路部16のインピーダンスは主伝送線路16eのインピーダンスであるが、スイッチ16gをオンにした場合、主伝送線路16eと配線層16fとの間でキャパシタンスを持つことになり、これに対応して発振周波数特性はスイッチ16gをオフにした場合よりも発振周波数が低い方に変移する。
図5はこの実施の形態に係る電圧制御発振器の発振周波数特性の模式図である。
図2において、曲線aはスイッチ16gをオフにしたときの発振周波数特性で、曲線bはスイッチ16gをオンしたときの発振周波数特性である。
【0038】
電圧制御発振器30においても、共振回路14と能動回路18との間に設けられた伝送線路部16のインピーダンスを変更することで、簡単に位相角の変化を発生させることができるので、伝送線路部16のインピーダンスを変更することで、実施の形態1と同様に発振周波数特性の温度による変移を効果的に補償することができる。
実施の形態1に係る電圧制御発振器の動作説明で述べたのと同様に、温度が高くなったときには電圧制御発振器30の発振周波数特性が発振周波数の低い側に変移し、温度が低くなったときには電圧制御発振器30の発振周波数特性が発振周波数の高い側に変移する。
【0039】
この発振周波数特性の温度による変位を補償するために、図5に示されるように、温度が高くなったときにはスイッチ16gをオフにして発振周波数特性を発振周波数の高い方に変移させ、温度が低くなった場合にはスイッチ16gをオンして発振周波数特性を発振周波数の低い方に変位させ、それぞれ温度変化による発振周波数の変移を補償する。
【0040】
この実施の形態においても、実施の形態1の場合と同様の効果を奏し、共振回路のQ値を低くした場合に発生する位相雑音の劣化を生じることなしに、温度変化が発生しても所望の周波数帯域全域で発振を可能とすることができる。
【0041】
実施の形態3.
図6はこの発明の一つの実施の形態に係る半導体集積回路装置の模式図である。
図6において、35は電圧制御発振器、16hは第2の接断要素としてのオン−オフ型のスイッチである。16iは第2の伝送線路としての補助伝送線路である。スイッチ16hと補助伝送線路16iとは直列に接続され、配線層16fとスイッチ16hとが接続されるとともに配線層16fはスイッチ16hと補助伝送線路16iとを介して接地されている。共振回路14と能動回路18は実施の形態1の電圧制御発振器10と同じである。
【0042】
この電圧制御発振器35の構成は、実施の形態2における電圧制御発振器30の配線層16fがスイッチ16gを介して接地されているのに加えて、さらに配線層16fがスイッチ16gと並列に、スイッチ16hと補助伝送線路16iとの直列接続を介して接地されたものである。
この電圧制御発振器35においても、共振回路14と能動回路18との間に設けられた伝送線路部16のインピーダンスを変更することで、簡単に位相角の変化を発生させることができるので、伝送線路部16のインピーダンスを変更することで、実施の形態1と同様に発振周波数特性の温度による変移を効果的に補償することができる。
【0043】
さらに、スイッチ16gとスイッチ16hのオン・オフを組み合わせることにより、伝送線路部16のインピーダンスを可逆的に4状態に変更が可能となる。これにより発振周波数の温度による変動をきめ細かく補償することができる。
【0044】
実施の形態4.
図7はこの発明の一つの実施の形態に係る半導体集積回路装置の模式図である。
図7において、40は電圧制御発振器、16jは容量可変ダイオード、16kは容量可変ダイオード16jの容量を制御するバイアスを印加するためのチョークインダクタである。また16mはDC遮断用のキャパシタである。
伝送線路部16は共振回路14のLC直列共振回路を構成するインダクタ14aと能動回路18のFET18aのゲート電極とに固定的に接続された主伝送線路16eと、この主伝送線路16eが容量可変ダイオード16jを介して接地されている。チョークインダクタ16kを介して印加される制御電圧により容量可変ダイオード16jの容量を連続的に変更し、主伝送線路16eのキャパシタンスを変え、伝送線路部16のインピーダンスを可逆的に連続的に変更するものである。
【0045】
電圧制御発振器40においても、共振回路14と能動回路18との間に設けられた伝送線路部16のインピーダンスを連続的に変更することで、簡単に位相角の変化を発生させることができる。このため発振の位相条件を満足する周波数を連続的に変えることができるので、発振周波数を連続的に発振周波数特性の温度による移動を、効果的に、また連続的にきめ細かく補償することができる。
【0046】
実施の形態5.
図8はこの発明の一つの実施の形態に係る半導体集積回路装置の模式図である。
図8において、45は電圧制御発振器、46は反射回路、46aは反射回路46の主伝送線路でマイクロストリップ線路により構成されている。主伝送線路46aはその一端がFET18aのドレインに接続され、他の一端が開放端である。46bは主伝送線路46aに隣接して並置された導体としての配線層である。46cはオン−オフ型のスイッチで、ダイオードやトランジスタなどにより構成される。配線層46bはスイッチ46cを介して接地されている。
【0047】
反射回路46のインピーダンスは、スイッチ46cをオフした場合は主伝送線路46aのインピーダンスで決まるが、スイッチ46cをオンすることにより、主伝送線路46aと配線層46bとの間でさらにキャパシタンスを持つようになり、反射回路46のインピーダンスを可逆的に変化させることができる。
従って温度変動が生じて発振周波数特性が変移した場合、反射回路46のインピーダンスを可逆的に変化させて、温度変動に対する補償を行うことができる。
実施の形態1から実施の形態4においては、伝送線路部16のインピーダンスを可逆的に変化させる構成であり、この構成では発振の位相条件を満たす周波数、つまり発振周波数、を変えることにより、温度変化に対する補償を行ったのである。
【0048】
一方、この実施の形態5におけるように反射回路46のインピーダンスを可逆的に変化させる構成では、発振の位相条件を満たす周波数、つまり発振周波数、を変えることに加えて、さらに反射利得の帯域(反射利得の帯域とはほぼ発信可能な帯域である)はそのままで、中心周波数を移動させることが出来る。
このため、大きな温度変動により反射利得の帯域が所望の周波数帯域からはずれてしまった場合に、反射回路46のインピーダンスを変化させて、有効に温度補償を行うことができる。
延いては位相雑音特性に優れ、大きな温度変化を受ける場合でも安定した電気的特性を備えた半導体集積回路装置を構成することができる。
【0049】
この実施の形態5の反射回路46においてインピーダンスを変化させる構成は、実施の形態2の図4に示された伝送線路部16のインピーダンスを可逆的に変化させる構成と同じであるが、実施の形態3及び実施の形態4における伝送線路部16のインピーダンスを可逆的に変化させる構成を反射回路46に適用しても良い。
【0050】
実施の形態6.
図9はこの発明の一つの実施の形態に係る半導体集積回路装置の模式図である。
図9において、50は電圧制御発振器である。この電圧制御発振器50においては、伝送線路部16の伝送線路の電気長を可逆的に変えることにより、伝送線路部16インピーダンスを可逆的に変え、温度変化による発振周波数の変化を補償しつつ、実施の形態5と同様に反射回路46のインピーダンスをスイッチ46cにより可逆的に変化させることができる。
【0051】
従って、温度変動が比較的少ない場合は、伝送線路部16のインピーダンスを変えることにより簡単に温度変化による発振周波数の変化を補償することで対処し、温度変化が大きくなり、反射利得の帯域が所望の周波数帯域からはずれてしまった場合に反射回路46のインピーダンスをスイッチ46cにより可逆的に変化させ、温度変化による発振周波数の変化を補償することで対処することができる。この様に温度変化の程度に応じて、2種類の温度補償の手法を採ることができる。
【0052】
従って使用するデバイスの電気的特性が温度により大きく変化する場合や、使用環境の温度変化が大きい場合の電圧制御発振器に対してきめ細かな対応ができる構成とすることが出来る。延いては位相雑音特性に優れ、大きな温度変化を受ける場合でも安定した電気的特性を備えた半導体集積回路装置を構成することができる。
【0053】
なおこの実施の形態では、伝送線路部16を実施の形態1の場合に使用した構成について説明したが、実施の形態2ないし4における伝送線路部16の構成を用いても良い。
【0054】
実施の形態7.
図10はこの発明の一つの実施の形態に係る半導体集積回路装置の模式図である。
図10において、55は電圧制御発振器、57は切断要素で、配線層を過電流やレーザカットにより切断できるように形成したものである。59は抵抗素子である。
【0055】
この電圧制御発振器55では、伝送線路部16を共振回路14のLC直列共振回路を構成するインダクタ14aと能動回路18のFET18aのゲート電極とに固定的に接続された主伝送線路16eと、この主伝送線路16eに沿って隣接する配線層16fとを設け、さらにこの配線層16fを切断要素57と抵抗素子59とを介して接地した構成としている。
【0056】
製造過程におけるばらつきのために発振周波数が仕様からはずれた場合に、切断要素57から過電流を流して抵抗素子を焼き切ることによって、伝送線路部16のインピーダンスを不可逆的にではあるが変更し、発振の位相条件を満足する周波数を変え、発振周波数の変更が可能である。これにより発振周波数のばらつきを少なくし、製品の歩留まりを高めることができる。
【0057】
【発明の効果】
この発明の半導体集積回路装置は以上に説明したような構成を備えているので、以下のような効果を有する。
この発明に係る半導体集積回路装置においては、信号入力端からの制御信号に対応した周波数で共振する共振回路と、この共振回路に一端が接続され高周波信号を伝送するとともに、インピーダンスを可逆的に変更可能とした伝送線路部と、この伝送線路部の他の一端に接続された第1の電極とリアクタンス要素を介して接地された第2の電極と第3の電極とを有する能動素子およびこの能動素子の第3の電極に接続された高周波信号の出力端を含む能動回路と、共振回路、伝送線路部、および能動回路が一主面に配設された基板と、を備えたもので、共振回路のQ値を下げることなく、温度による発振周波数の変動を可逆的に補償することができる。延いては位相雑音特性に優れ、温度変化があっても電気的特性の安定した半導体集積回路装置を構成することができる。
【0058】
さらに、伝送線路部が、長さの異なる複数の伝送線路とこの伝送線路の一本を共振回路及び能動回路と接続する接続切換要素とを有するもので、簡単な構成で位相条件を可逆的に変更でき、温度による発振周波数の変動に対して補償を行うことができる。延いては位相雑音特性に優れ、温度変化があっても電気的特性の安定した半導体集積回路装置を安価に提供することができる。
【0059】
またさらに、伝送線路部が、所定の長さを有し一端で共振回路に他端で能動回路に接続された第1の伝送線路と、この第1の伝送線路に隣接して配設され第1の接断要素を介して接地された導体とを有するもので、簡単な構成で位相条件を可逆的に変更でき、温度による発振周波数の変動に対して補償を行うことができる。延いては位相雑音特性に優れ、温度変化があっての電気的特性の安定した半導体集積回路装置を安価に提供することができる。
【0060】
さらに、第2の接断要素とこの第2の接断要素に直列して接続された第2の伝送線路とをさらに有し、この第2の接断要素と第2の伝送線路とが第1の接断要素と並列に接地されたもので、伝送線路部におけるインピーダンス変更の選択肢を多く設定することができて、温度による発振周波数の変動に対してきめ細かく対応することができる。延いては位相雑音特性に優れ、温度変化があっても電気的特性の安定した半導体集積回路装置を構成することができる。
【0061】
またさらに、伝送線路部が、所定の長さを有し一端で共振回路に、他端で能動回路に接続された伝送線路、およびこの伝送線路と接地端との間に接続された容量可変半導体素子を有するもので、伝送線路部のインピーダンスの変更を連続的に設定することができて、温度による発振周波数の変動に対してきめ細かく対応することができる。延いては位相雑音特性に優れ、温度変化があっても電気的特性の安定した半導体集積回路装置を構成することができる。
【0062】
またさらに、能動素子の第3の電極と能動回路の高周波信号出力端とに接続された反射回路をさらに備えるとともに、この反射回路のインピーダンスを可逆的に変更可能としたもので、簡単に発振の位相条件の変更をおこなうことができるとともに反射利得の帯域幅はそのままで中心周波数を移動することができる。ひいては、位相雑音特性に優れ、大きな温度変化を受ける場合でも安定した電気的特性を備えた半導体集積回路装置を構成することができる。
【0063】
またさらに、能動素子を電界効果型トランジスタとし、第1の電極をゲート電極、第2の電極をソース電極、第3の電極をドレイン電極としたもので、高周波動作に適した構成にすることができる。延いては、位相雑音特性に優れ、温度変化があっても電気的特性の安定し、高周波動作に適した半導体集積回路装置を構成することができる。
【0064】
また、信号入力端からの制御信号に対応した周波数で共振する共振回路と、この共振回路に一端が接続され高周波信号を伝送する伝送線路と、この伝送線路部の他の一端に接続された第1の電極とリアクタンス要素を介して接地された第2の電極と第3の電極とを有する能動素子、この能動素子の第3の電極に接続された高周波信号出力端、および能動素子の第3の電極と高周波信号の出力端とに接続されたインピーダンスを可逆的に変更可能とする反射回路を含む能動回路と、共振回路、伝送線路、および能動回路が一主面に配設された基板と、を備えたもので、反射回路のインピーダンスを可逆的に変更することにより、反射利得の帯域幅はそのままで中心周波数を移動することができる。延いては位相雑音特性に優れ、大きな温度変化を受ける場合でも安定した電気的特性を備えた半導体集積回路装置を構成することができる。
【0065】
また、信号入力端からの制御信号に対応した周波数で共振する共振回路と、この共振回路に一端が接続されるとともに、インピーダンスを不可逆的に変更可能とした伝送線路部と、この伝送線路部の他の一端に接続された第1の電極とリアクタンス要素を介して接地された第2の電極と第3の電極とを有する能動素子、およびこの能動素子の第3の電極に接続された高周波信号の出力端を含む能動回路と、共振回路、伝送線路部、および能動回路が一主面に配設された基板と、を備えたもので、発振周波数のばらつきを補正することができる。延いては歩留まりがよく安価な半導体集積回路装置を提供することができる。
【0066】
さらに、伝送線路部が、所定の長さを有し一端で共振回路に他の一端で能動回路に接続された伝送線路を有するとともに不可逆的に回路を切断する切断要素およびこの切断要素と直列に接続された抵抗素子がともに伝送線路と接地端との間に接続されたもので、簡単な構成で、発振周波数のばらつきを補正することができる。延いては簡単な構成で、歩留まりがよく安価な半導体集積回路装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一つの実施の形態に係る半導体集積回路装置の模式図である。
【図2】この発明の一つの実施の形態に係る電圧制御発振器の発振周波数特性の模式図である。
【図3】この発明の一つの実施の形態に係る半導体集積回路装置の変形例の模式図である。
【図4】この発明の一つの実施の形態に係る半導体集積回路装置の模式図である。
【図5】この発明の一つの実施の形態に係る電圧制御発振器の発振周波数特性の模式図である。
【図6】この発明の一つの実施の形態に係る半導体集積回路装置の模式図である。
【図7】この発明の一つの実施の形態に係る半導体集積回路装置の模式図である。
【図8】この発明の一つの実施の形態に係る半導体集積回路装置の模式図である。
【図9】この発明の一つの実施の形態に係る半導体集積回路装置の模式図である。
【図10】この発明の一つの実施の形態に係る半導体集積回路装置の模式図である。
【図11】従来の電圧制御発振器の一例を示す回路図である。
【図12】従来の電圧制御発振器の発振周波数特性を示す模式図である。
【符号の説明】
14d 信号入力端、  14 共振回路、  16 伝送線路部、  18c ソースインダクタ、  18a FET、  18g バイポーラトランジスタ、  18f 出力端、  18 能動回路、  12 基板、  16a、16b 伝送線路、  16c、16d スイッチ、  16e 主伝送線路、  16f 配線層、  16g スイッチ、  16h スイッチ、  16i 補助伝送線路、  16j 容量可変ダイオード、  46 反射回路、
57 切断要素、  59 抵抗素子。
【出願人】 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目2番3号
【出願日】 平成14年6月4日(2002.6.4)
【代理人】 【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守

【識別番号】100066991
【弁理士】
【氏名又は名称】葛野 信一

【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹

【識別番号】100108372
【弁理士】
【氏名又は名称】谷田 拓男

【公開番号】 特開2004−15203(P2004−15203A)
【公開日】 平成16年1月15日(2004.1.15)
【出願番号】 特願2002−163065(P2002−163065)