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【発明の名称】 テラヘルツ電磁波光源
【発明者】 【氏名】杉浦 利治

【氏名】吉田 睦

【氏名】大竹 秀幸

【氏名】▲広▼住 知也

【氏名】猿倉 信彦

【氏名】高橋 啓司

【要約】 【課題】磁場下における半導体からテラヘルツ電磁波の放射を発生させるものであって、高強度の出力と一層の小型化が可能なテラヘルツ電磁波光源を提供すること。

【解決手段】テラヘルツ電磁波光源1は、レーザ光の中心波長が1560nmの小型ファイバーレーザー11と、インジウムアンチモン(InSb)系の半導体試料12と、少なくとも2テスラまでの磁場を発生することができる汎用磁石13などからなり、半導体試料12に対して、小型ファイバーレーザー11からのレーザー光が2mmのスポットサイズで照射されるとともに、汎用磁石13による磁場が印加されると、半導体試料12からテラヘルツ電磁波の放射が発生する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体に対して、磁場発生手段で磁場を印加するとともに、超短パルス光生成手段でレーザー光を照射することにより、前記半導体からテラヘルツ電磁波の放射を発生させるテラヘルツ電磁波光源において、
前記半導体としてインジウムアンチモン(InSb)系のものを使用するとともに、前記レーザー光として波長が1560nmのものを使用し,前記磁場発生手段による磁場が1〜2テスラにあること、を特徴とするテラヘルツ電磁波光源。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁場下における半導体から高強度テラヘルツ電磁波の放射を発生させるテラヘルツ電磁波光源に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、テラヘルツ電磁波の放射の発生やその検出方法は、センシング、イメージング又は時分割型スペクトロスコピーなどの広いアプリケーションに応用可能な重要な技術として広く研究されてきている。また、そのような応用研究を容易にするためにも、高出力で小型のテラヘルツ電磁波光源の開発が急がれている。そして、今日に至るまで、フォトコンダクティブスイッチ、超短パルス光レーザーを用いた半導体面放射、2つ異なる色のCWレーザー、パラメトリックオシレーターなどの様々なテラヘルツ電磁波光源が提案されており、それらの研究は化学プロセスやマイクロ製作技術を必要としない強力なテラヘルツ電磁波光源として証明されてきた。
【0003】
特に、超短パルス光レーザーを用いた半導体面放射に関しては、Zhang氏が、ガリウム砒素(GaAs)からのテラヘルツ電磁波の放射において、テラヘルツ電磁波の放射強度が励起強度の2乗に比例して強くなることを報告してから(非特許文献1参照)、多くの研究が磁場によりテラヘルツ電磁波の放射が増強されることを確認してきた。この増強は、磁場の中でローレンツ力によって引き起こされるキャリア加速の偏向方向が変化することによって起こると説明されてきている(非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5参照)。
【0004】
また、我々は、インジウム砒素(InAs)を用いて磁場によるテラヘルツ電磁波の放射の増強に成功しており、テラヘルツ電磁波の放射強度が磁場及び励起強度の2乗に依存して強くなることを報告した(非特許文献6参照)。更に、テラヘルツ電磁波の放射強度の強磁場での飽和、減少、および回復を示す変則的な振る舞いも観察した(非特許文献7参照)。この現象を利用し、3テスラに及ぶ小型永久磁石を開発し、これらを用いて小型のテラヘルツ電磁波光源を開発している(非特許文献8参照)。
【0005】
一方、インジウムアンチモン(InSb)を用いてテラヘルツ電磁波の放射の発生を得ている研究もあるが、この場合には、超短パルス光レーザーから照射されるレーザー光の波長を1900nmとしている(非特許文献9参照)。
【0006】
【非特許文献1】
X.C.Zhang et al:Appl.Phys.Lett.62,2003(1993).
【非特許文献2】
M.B.Johnston et al:J.Appl.Phys.91,2104(2002).
【非特許文献3】
J.Shan et al:Opt.Lett.26,849(2001).
【非特許文献4】
J.Heyman et al:Phys.Rev.Vol64,085202(2001).
【非特許文献5】
G.Meinert et al:Phys.Rev.Vol62,5003(2000).
【非特許文献6】
N.Sarukura et al:J.Appl.Phys.84,654(1998).
【非特許文献7】
H.Ohtake et al:submitted to Appl.Phys.Lett.
【非特許文献8】
S.Ono et al:Rev.Sci.Instrum.71,554(2000)
【非特許文献9】
S.C.Howellls et al:Appl.Phys.Lett.65,2946(1994).
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、インジウムアンチモン(InSb)を用いてテラヘルツ電磁波の放射を発生させる場合では、上述した応用研究を容易にするために十分な高強度のテラヘルツ電磁波の放射を発生させるには至っていない。また、インジウム砒素(InAs)を用いて磁場によるテラヘルツ電磁波の放射を増強する場合では、小型のテラヘルツ電磁波光源を開発したとはいうものの、上述した応用研究を容易にするために、十分な高強度のテラヘルツ電磁波の放射を発生させようとすれば、少なくとも3テスラに及ぶ小型永久磁石として、超伝導磁石を使用する必要があるため、テラヘルツ電磁波光源の小型化にも限界があった。
【0008】
そこで、本発明は、上述した点を鑑みてなされたものであり、磁場下における半導体からテラヘルツ電磁波の放射を発生させるものであって、高強度の出力と一層の小型化が可能なテラヘルツ電磁波光源を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために成された請求項1に係る発明は、半導体に対して、磁場発生手段で磁場を印加するとともに、超短パルス光生成手段でレーザー光を照射することにより、前記半導体からテラヘルツ電磁波の放射を発生させるテラヘルツ電磁波光源において、前記半導体としてインジウムアンチモン(InSb)系のものを使用するとともに、前記レーザー光として波長が1560nmのものを使用し,前記磁場発生手段による磁場が1〜2テスラにあること、を特徴している。
【0010】
このような特徴を有する本発明のテラヘルツ電磁波光源では、半導体に対して、磁場発生手段で磁場を印加するとともに、超短パルス光生成手段でレーザー光を照射すると、半導体からテラヘルツ電磁波の放射が発生するが、このとき、テラヘルツ電磁波の放射強度は、(1)半導体の有効質量の逆数に比例して、強くなり、(2)半導体のバンド構造のΓ谷からL谷への光励起キャリアの谷間散乱が少ないほど、強くなり、(3)磁場強度の2乗に比例して、強くなる。
【0011】
この点、(1)半導体の有効質量の逆数に比例して、テラヘルツ電磁波の放射強度が強くなることに関しては、本発明のテラヘルツ電磁波光源では、半導体として、インジウムアンチモン(InSb)系のものを使用しており、インジウムアンチモン(InSb)系のものの有効質量は、インジウム砒素(InAs)系のものの有効質量よりも小さいため、テラヘルツ電磁波の放射強度の増強効果を引き出すことができる。
【0012】
また、(2)半導体のバンド構造のΓ谷からL谷への光励起キャリアの谷間散乱が少ないほど、テラヘルツ電磁波の放射強度が強くなることに関しては、本発明のテラヘルツ電磁波光源では、レーザー光として波長が1560nmのものを使用しており、これによって、インジウムアンチモン(InSb)の光励起キャリアはΓ谷からL谷へ谷間散乱されることは殆どないので、テラヘルツ電磁波の放射強度の増強効果を引き出すことができる。
【0013】
さらに、(3)磁場強度の2乗に比例して、テラヘルツ電磁波の放射強度が強くなることに関しては、本発明のテラヘルツ電磁波光源のように、半導体として、インジウムアンチモン(InSb)系のものを使用した場合でも、従来技術の欄で既に指摘したように、磁場強度が上がるにつれて、テラヘルツ電磁波の放射強度は、飽和(最大値)、減少、および回復を示す変則的な振る舞いが観察される。但し、インジウムアンチモン(InSb)系のものの有効質量は、インジウム砒素(InAs)系のものの有効質量よりも小さいため、テラヘルツ電磁波の放射強度のこのような振る舞いは、半導体としてインジウムアンチモン(InSb)系のものを使用した場合(本発明のテラヘルツ電磁波光源)では、半導体としてインジウム砒素(InAs)系のものを使用した場合(従来技術のテラヘルツ電磁波光源)と比べて、かなり低磁場領域でみられることになり、磁場発生手段による磁場が1〜2テスラのときに、高強度のテラヘルツ電磁波の放射を発生できるようになる。
【0014】
すなわち、本発明のテラヘルツ電磁波光源では、半導体としてインジウムアンチモン(InSb)系のものを使用するとともに、レーザー光として波長が1560nmのものを使用することにより、磁場発生手段による磁場が1〜2テスラでも、高強度のテラヘルツ電磁波の放射を発生することができ、そのため、超電導磁石でなく汎用磁石を磁場発生手段として使用することができるので、一層の小型化を図ることも可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照にして説明する。本実施の形態では、中心波長:1560nm、パルス幅:100フェムト秒、平均出力:160mWのレーザー光を出力する小型ファイバーレーザーを「超短パルス光生成手段」として用いた場合の、インジウムアンチモン(InSb)系の半導体からのテラヘルツ電磁波の放射強度の磁場依存性について説明する。
【0016】
すなわち、励起光として、通信帯波長のレーザー光を用いることにより、インジウムアンチモン(InSb)系の半導体から著しく強いテラヘルツ電磁波の放射が観察され、その強度は、レーザー光の中心波長が780nmの場合より2桁上がることが確認された。さらに、インジウムアンチモン(InSb)系の半導体に外部磁場1.2テスラを加えることにより、テラヘルツ電磁波の放射強度は最大になり、磁場がない時に比べ100倍以上増強される。1.2テスラという磁場は簡易な磁石で得られる磁場レベルで、小型ファイバーレザーとの組み合せにより、実用的なテラヘルツ電磁波光源が可能となる。
【0017】
この点、従来技術の欄で述べたように、インジウム砒素(InAs)系の半導体の場合、3テスラという強い磁場が必要であったのに対し、本実施の形態のように、インジウムアンチモン(InSb)系の半導体の場合、1.2テスラという低磁場領域で、高出力のテラヘルツ電磁波が得られ、このことがインジウムアンチモン(InSb)系の半導体をテラヘルツ電磁波光源に用いる利点である。
【0018】
図4は、磁場を印加したテラヘルツ電磁波放射発生の実験装置100の配置図である。レーザー光源として、モードロック用の小型ファイバーレーザー111を用い、その性能は、レーザ光の中心波長が780nmと1560nm、パルス幅が100フェムト秒、繰り返し周波数が50MHzである。また、その出力は、1560nmの場合で160mW、780nmの場合で60mWである。サンプル照射されるレーザー光のスポットサイズは2mmである。
また、半導体試料112は、ドープされていないバルクのインジウムアンチモン(InSb)系のもので、ここでは(100)面を用いた。その伝導タイプは若干n型となっており、キャリア密度は4×1014cm−3である。
また、スプリットコイルタイプの超伝導磁石113は、5テスラまでの磁場を発生することができる。尚、超伝導磁石113による磁場は、半導体試料112の表面及び、小型ファイバーレーザー111からのレーザー光の入射面に対して、垂直に印加された。
【0019】
そして、半導体試料112の(100)面からのテラヘルツ電磁波114の放射強度については、液体冷却型のゲルマニウムボロメーター115により、全テラヘルツ放射強度を計測した。この計測方法の利点は、ビーム捕捉が容易であること、タイミング合わせが不要であることである。また、半導体試料112の(100)面からのテラヘルツ電磁波114のフーリエースペクトラムについては、偏光マイケルソン干渉計116で観測した。
【0020】
図2は、図1の実験装置100におけるテラヘルツ電磁波114の放射強度の磁場依存性を示した図である。半導体試料112に照射されたレーザー光(励起光)は、中心波長が1560nmの場合で160mW、中心波長が780nmの場合で60mWであった。尚、図2には、定量的な比較をするため、半導体試料112として、インジウム砒素(InAs)系の半導体の(100)面を用いた場合のテラヘルツ電磁波114の放射強度を点線で併記した。
【0021】
図2によれば、半導体試料112として、インジウムアンチモン(InSb)系の半導体の(100)面を用いた場合、1560nmの励起のときは(図2の◇,◆)、テラヘルツ電磁波114の放射強度は、磁場の2乗に比例して強くなり、1.0〜2.0テスラで最大値を示すが、磁場が更に上がると減少に転じ最小値に到達する。その後、更に、磁場を加えると、テラヘルツ電磁波114の放射強度は回復していく。
【0022】
このような磁場によるテラヘルツ電磁波114の放射強度の増減は、半導体試料112として、インジウム砒素(InAs)系の半導体の(100)面を用いた場合(図2の点線)でも観察されているが、半導体試料112として、インジウムアンチモン(InSb)系の半導体の(100)面を用いた場合(図2の◇,◆)では、かなり低磁場領域でみられることが特徴で、この理由は、インジウムアンチモン(InSb)系の半導体が、インジウム砒素(InAs)系の半導体に比べて、小さいキャリア有効質量をもつことから説明される。
【0023】
一方、半導体試料112として、インジウムアンチモン(InSb)系の半導体の(100)面を用いた場合、780nmの励起のときは(図2の○,●)、テラヘルツ電磁波114の放射強度の傾向は、1560nmの励起のときと同じであるが、その出力は一桁小さい。この点、レーザー光(励起光)の波長を変化させることにより生じるテラヘルツ電磁波114の放射強度の増強は、長波長側励起によるキャリア数の増大という観点から説明が可能であるが、平均出力およびフォトンエネルギーを考慮しても、6倍程度にしかならないため、テラヘルツ電磁波114の放射強度が劇的に向上する理由は他の影響を考えなければならない。
【0024】
その理由の一つとして、オーバーシュートがある。780nmの励起のときは、光励起キャリアは高い運動エネルギー帯に励起され、谷間散乱により大半の電子はΓ谷近傍からL谷に流れていってしまう。L谷での有効質量はΓ谷よりも遙かに大きいため、結果としてテラヘルツ放射強度は弱くなってしまう。対照的に、1560nmの励起のときは、光励起キャリアは十分高い運動エネルギー帯に励起されないため、Γ谷近傍からL谷への谷間散乱が抑えられ、そのため、テラヘルツ電磁波114の放射強度は向上することになる。
【0025】
次に、図1の実験装置100においては、磁場によるテラヘルツ電磁波114の放射強度の物理を探るため、様々な磁場におけるテラヘルツ電磁波114の放射スペクトラムを偏光マイケルソン干渉計116を用いて測定した。図3は、0.4から4.8テスラの磁場におけるテラヘルツ電磁波114の放射スペクトラムを示す。0.4から1.2テスラに磁場が上がるとき、低周波数帯スペクトラムが増加するが、1.2テスラを超えると低周波数帯スペクトラムは次第に弱くなり、ほとんど消える。更に、磁場を大きくすると、低周波数帯スペクトラムは最小に達した後、図2に示されると同様に回復する。1.2テスラの磁場状態でのテラヘルツ電磁波114の放射スペクトラムは広域帯構造を示し、全ての周波数成分を含んでいる。
【0026】
この点、ジョンストン等によって開発された理論モデルによれば、半導体試料112の表面に対して双極子が回転することにより、テラヘルツ電磁波114の放射強度が増強することが提唱されており、この理論を裏付けるように、図2及び図3は、超伝導磁石113で適度の磁場をかけることにより双極子を回転させることができ、半導体試料112の表面よりテラヘルツ電磁波114の発振を効果的に行うことができると説明できる。この場合、光励起キャリアの加速方向はローレンツ力および初期拡散の方向に依存していることから、最適な磁場強度は磁場方向と励起パルスの入射方向に依存すると説明できる。磁場方向を変えた場合の違いについても図3に示す。しかしながら、詳しいメカニズムを解明するためには、更なる研究が必要である。例えば、テラヘルツ電磁波114の放射強度の入射角度依存性を解明することにより、上記モデルの正当性が確認できると思われる。
【0027】
以上詳細に説明したように、インジウムアンチモン(InSb)系の半導体試料112の(100)面からのテラヘルツ電磁波114の放射強度の磁場依存性については、レーザー光(励起光)の中心波長が1560nm、パルス幅が100フェムト秒の超短パルスのレーザー光を発振する小型ファイバーレーザー111と、超伝導磁石113による外部磁場との組み合せでテラヘルツ電磁波114の放射強度を著しく向上させることができ、その増幅率は、磁場が1.2テスラのときに、磁場を印加しないときに比べて100倍を超える。そして、テラヘルツ電磁波114の高い放射強度は、磁場が1.0〜2.0テスラのときに現れ、その磁場は、超伝導磁石113でなくとも、汎用磁石で得られるため、非常に実用性が高い。
【0028】
また、半導体試料112として、インジウムアンチモン(InSb)系の半導体の(100)面を用いた場合は、インジウム砒素(InAs)系の半導体の(100)面を用いた場合と比べて、二つの利点を有している。一つは、小型、高出力で通信帯波長のレーザーである小型ファイバーレーザー111を用いることができることである。もう一つは、最適磁場が1.0〜2.0テスラという低磁場で高出力テラヘルツ発振が得られる点で、2テスラ磁場であれば超伝導磁石113を用いる必要はなく、汎用磁石で得られる磁力であるため利用価値が大きい。
【0029】
従って、本発明の一実施の形態としてのテラヘルツ電磁波光源1は、図1に示すように、「超短パルス光生成手段」としての小型ファイバーレーザー11、「半導体」としての半導体試料12、「磁場発生手段」としての汎用磁石13などからなる。
【0030】
この点、小型ファイバーレーザー11は、レーザー光源として、モードロック用のものを用い、その性能は、レーザ光の中心波長が1560nm、パルス幅が100フェムト秒、繰り返し周波数が50MHzである。また、その出力は、160mWである。サンプル照射されるレーザー光のスポットサイズは2mmである。
また、半導体試料12は、ドープされていないバルクのインジウムアンチモン(InSb)系のもので、(100)面を用いる。その伝導タイプは若干n型となっており、キャリア密度は4×1014cm−3である。
また、汎用磁石13は、少なくとも2テスラまでの磁場を発生することができるものを使用する。尚、汎用磁石13による磁場は、半導体試料12の表面及び、小型ファイバーレーザー11からのレーザー光の入射面に対して、垂直に印加される。
そして、汎用磁石13が1〜2テスラの磁場を発生させると、半導体試料12の(100)面からは、高強度のテラヘルツ電磁波14の放射を発生させる。
【0031】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、本発明の一実施の形態としてのテラヘルツ電磁波光源1において、小型ファイバーレーザー11の性能は、レーザ光のパルス幅が100フェムト秒、繰り返し周波数が50MHz、出力が160mWであったが、この点、最適磁場が1.0〜2.0テスラという低磁場で高出力テラヘルツ発振が得られるのであれば、レーザ光のパルス幅、繰り返し周波数、出力は、それぞれの値に限るものではない。
【0032】
また、本発明の一実施の形態としてのテラヘルツ電磁波光源1では、半導体試料12として、ドープされていないバルクのインジウムアンチモン(InSb)系のもので、(100)面を用い、その伝導タイプは若干n型となっており、キャリア密度は4×1014cm−3であったが、この点、最適磁場が1.0〜2.0テスラという低磁場で高出力テラヘルツ発振が得られるのであれば、そのものに限るものではない。
【0033】
【発明の効果】
本発明のテラヘルツ電磁波光源では、半導体としてインジウムアンチモン(InSb)系のものを使用するとともに、レーザー光として波長が1560nmのものを使用することにより、磁場発生手段による磁場が1〜2テスラでも、高強度のテラヘルツ電磁波の放射を発生することができ、そのため、超電導磁石でなく汎用磁石を磁場発生手段として使用することができるので、一層の小型化を図ることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるテラヘルツ電磁波光源の模式図である。
【図2】図1の実験装置において、テラヘルツ電磁波の放射強度の磁場依存性を示した図である。
【図3】図2の実験装置において、0.4から4.8テスラの磁場におけるテラヘルツ電磁波の放射スペクトラムを示した図である。
【図4】磁場を印加したテラヘルツ電磁波放射発生の実験装置の配置図である。
【符号の説明】
1 テラヘルツ電磁波光源
11 小型ファイバーレーザー
12 インジウムアンチモン(InSb)系の半導体試料
13 汎用磁石
14 テラヘルツ電磁波
【出願人】 【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
【出願日】 平成15年3月25日(2003.3.25)
【代理人】 【識別番号】100097009
【弁理士】
【氏名又は名称】富澤 孝

【識別番号】100098431
【弁理士】
【氏名又は名称】山中 郁生

【識別番号】100105751
【弁理士】
【氏名又は名称】岡戸 昭佳

【公開番号】 特開2004−289040(P2004−289040A)
【公開日】 平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願番号】 特願2003−81884(P2003−81884)