トップ :: H 電気 :: H01 基本的電気素子




【発明の名称】 導電性膜形成用組成物、導電性膜およびその形成法
【発明者】 【氏名】横山 泰明
【住所又は居所】東京都中央区築地二丁目11番24号  ジェイエスアール株式会社内

【氏名】松木 安生
【住所又は居所】東京都中央区築地二丁目11番24号  ジェイエスアール株式会社内

【氏名】迫野 郁夫
【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内

【氏名】小林 和樹
【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内

【氏名】竹内 安正
【住所又は居所】神奈川県川崎市川崎区南渡田町1番地1号 株式会社国際基盤材料研究所内

【要約】 【課題】多くの電子デバイスに好適に使用できる配線や電極を容易かつ安価に形成しうる導電性膜形成用組成物、それを用いた膜の形成方法、その形成方法により形成される導電性膜、ならびにその膜からなる配線または電極を提供すること。

【解決手段】アミン化合物と水素化アルミニウムとの錯体と有機溶媒を含有する導電性膜形成用組成物およびそれを基板に塗布し、熱処理および/または光照射して導電性膜例えば電極、配線を製造する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミン化合物と水素化アルミニウムとの錯体および有機溶媒を含有することを特徴とする導電性膜形成用組成物。
【請求項2】
請求項1記載の導電性膜形成用組成物を基板上に塗布し次いで加熱および/または光照射してアルミニウム膜を形成することを特徴とする導電性膜形成方法。
【請求項3】
基板がTi、PdおよびAlよりなる群から選ばれる金属原子を含有する有機金属化合物からなる塗膜を有しそして導電性膜形成用組成物が基板の該塗膜上に塗布される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
アルミニウム膜の上に、Ti、PdおよびAlよりなる群から選ばれる金属原子を含有する有機金属化合物からなる塗膜を形成し次いで加熱および/または光照射して該塗膜を相当する金属膜に変換する工程をさらに行う請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれかに記載の方法により得られた導電性膜。
【請求項6】
表面上にパターン化された親水性部分と疎水性部分を有する基板上に、請求項1に記載の導電性膜形成用組成物を塗布してパターン状塗膜を形成し、次いで加熱および/または光照射してパターン状アルミニウム膜を形成することを特徴とするパターン化された導電性膜の形成方法。
【請求項7】
パターン状アルミニウム膜の上に、Ti、PdおよびAlよりなる群から選ばれる金属原子を含有する有機金属化合物からなる塗膜を形成し次いで加熱および/または光照射して該塗膜を相当する金属膜に変換する工程をさらに行う請求項6に記載の方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載の方法により得られたパターン化された導電性膜である配線また電極。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性膜形成用組成物、それを用いた導電性膜およびその形成方法に関する。さらに詳しくは、電子デバイスの配線の形成に好適に用いることができる導電性膜形成用組成物、その形成方法、およびそれによって形成された膜例えば配線または電極に関する。
【0002】
【従来の技術】
太陽電池や半導体デバイス、電子ディスプレイデバイスなど多くの電子デバイスに使用されている配線材料としてアルミニウムが使用されている。従来このようなアルミニウム膜はスパッタリング法、真空蒸着法、CVD法などの真空プロセスで形成し、得られたアルミニウム膜をレジストを用いるフォトエッチング法でアルミニウムのパターンを形成するのが一般的であった。この方法は大がかりな真空蒸着装置が必要なため消費エネルギー上不利であるばかりでなく、大面積基板上に均一にアルミニウム配線を形成することが困難であるため歩留まりが悪くコスト高の一因となっていた。
【0003】
これに対して近年、アルミニウム微粒子をバインダーに分散したペーストが開発され、このペーストをスクリーン印刷法などでパターン印刷し、焼成することによりアルミニウムのパターンを形成する方法が報告されている。この方法はアルミニウムペーストの印刷による直接パターニングであるためコスト的には安価であるが、得られたアルミニウムは不純物を有し低抵抗のものを得ることが困難であるとともに、微細パターンの形成は技術上困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情を鑑みなされたものであり、本発明の目的は、それ故、多くの電子デバイスに好適に使用できる配線や電極を容易かつ安価に形成しうる導電性膜形成用組成物、それを用いた膜の形成方法、その形成方法により形成される導電性膜、ならびにその膜からなる配線または電極を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記目的および利点は、第1に、アミン化合物と水素化アルミニウムとの錯体と有機溶媒を含有することを特徴とする導電性膜形成用組成物によって達成される。
【0007】
本発明によれば、上記目的および利点は、第2に、上記本発明の導電性膜形成用組成物を基板上に塗布し次いで加熱および/または光照射することを特徴とする導電性膜形成方法。
【0008】
本発明によれば、上記目的および利点は、第3に、上記本発明方法により得られた導電性膜によって達成される。
【0009】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第4に、表面上にパターン化された親水性部分と疎水性部分を有する基板上に、上記本発明の導電性膜形成用組成物を塗布してパターン状塗膜を形成し、次いで加熱および/または光照射することを特徴とするパターン化された導電性膜の形成方法によって達成される。
【0010】
本発明によれば、上記目的および利点は、第5に、上記本発明方法により得られた配線または電極によって達成される。
【0011】
以下に本発明についてさらに詳細に説明する。
【0012】
本発明の導電性膜形成用組成物は、アミン化合物と水素化アルミニウムとの錯体および有機溶媒を含有してなる。ここで、水素化アルミニウム(しばしば慣用的にアランと呼ばれる)はアルミニウムと水素原子とからなる化合物であり、一般的にはAlHで表される示性式を持つと信じられている。
【0013】
本発明の導電性膜形成用組成物に用いるアミン化合物とアランとの錯体は、J.K.Ruffら、J.Amer.Chem.Soc.,82巻,2141ページ,1960年、G.W.Fraserら、J.Chem.Soc.,3742ページ,1963年、J.L.Atwoodら、J.Amer.Chem.Soc.,113巻,8183ページ,1991年等の方法に準じて合成できる。
【0014】
本発明の導電性膜形成用組成物のアミン化合物とアランとの錯体を構成するアミン化合物は下記式(1)で表される。
N   ・・・(1)
(ここで、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、環式アルキル基またはアリール基である。)
式(1)中R、RおよびRの具体例としては、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基の如き飽和アルキル基、メタアリル基の如き不飽和基を有するアルケニル基、フェニルエチニル基の如きアルキニル基、シクロプロピル基の如き環式アルキル基、フェニル基、ベンジル基の如きアリール基を有する基などを好適に使用することができる。またこれらアルキル基、アルケニル基、アルキニル基は直鎖状でもよく環状でもよくまた分岐していてもよい。
【0015】
式(1)で示されるアミン化合物の具体例としては、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−イソプロピルアミン、トリシクロプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−t−ブチルアミン、トリ−2−メチルブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリ(2−エチルヘキシル)アミン、トリオクチルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、ジメチルフェニルアミン、ジエチルフェニルアミン、ジイソブチルフェニルアミン、メチルジフェニルアミン、エチルジフェニルアミン、イソブチルジフェニルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジシクロプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、メチルエチルアミン、メチルブチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、ジオクチルアミン、ジフェニルアミン、ジベンジルアミン、メチルフェニルアミン、エチルフェニルアミン、イソブチルフェニルアミン、メチルメタクリルアミン、メチル(フェニルエチニル)アミン、フェニル(フェニルエチニル)アミン、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、シクロプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、2−メチルブチルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、オクチルアミン、フェニルアミン、ベンジルアミン、エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、N,N’−ジイソプロピルエチレンジアミン、N,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン、N,N’−ジフェニルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、1,7−ジメチル−1,4,7−トリアザヘプタン、1,7−ジエチル−1,4,7−トリアザヘプタン、トリエチレンテトラアミン、フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノベンゼン、1−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン(キヌクリジン)、1−アザシクロヘキサン、1−アザ−シクロヘキサン−3−エン、N−メチル−1−アザシクロヘキサン−3−エン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ピペラジン、N,N’,N”−トリメチル−1,3,5−トリアザ−シクロヘキサン等を用いることができる。これらのアミン化合物は、単独でも、あるいは2種以上の化合物を混合して使用することもできる。
【0016】
本発明の導電性膜形成用組成物は、アミン化合物とアランとの錯体を含有する。アミン化合物とアランとの錯体以外のアルミニウム化合物をさらに含有することもできる。本発明の導電性膜形成用組成物が含有することのできる、上記錯体以外のアルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリシクロプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリ−2−メチルブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリ(2−エチルヘキシル)アルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリベンジルアルミニウム、ジメチルフェニルアルミニウム、ジエチルフェニルアルミニウム、ジイソブチルフェニルアルミニウム、メチルジフェニルアルミニウム、エチルジフェニルアルミニウム、イソブチルジフェニルアルミニウム、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジフェニルアルミニウムヒドリド、ジメチルメタクリルアルミニウム、ジメチル(フェニルエチニル)アルミニウム、ジフェニル(フェニルエチニル)アルミニウム、ジメチルアミン・ジメチルアルミニウム錯体、ジエチルアミン・ジエチルアルミニウム錯体、ジメチルアミン・ジエチルアルミニウム錯体、ジエチルアミン・ジメチルアルミニウム錯体、ジフェニルアミン・ジメチルアルミニウム錯体、ジフェニルアミン・ジエチルアルミニウム錯体等を用いることができる。これらのアルミニウム化合物は、単独でも、あるいは2種以上の化合物を混合して使用することもできる。
【0017】
上記式(1)で表されるアミン化合物とアランとの錯体は溶媒に溶解して塗布溶液として使用される。使用される溶媒としては、式(1)で表されるアミン化合物とアランとの錯体を溶解し且つ溶媒と反応しないものであれば特に限定されない。例えば、n−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘプタン、n−オクタン、シクロオクタン、デカン、シクロデカン、ジシクロペンタジエン水素化物、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランなどの炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、および塩化メチレン、クロロホルムなどの極性溶媒を用いることができる。これらのうち、式(1)で表されるアミン化合物とアランとの錯体の溶解性と該溶液の安定性の点で炭化水素系溶媒または炭化水素系溶媒とエーテル系溶媒との混合物を用いるのが好ましい。これらの溶媒は、単独でも、あるいは2種以上の混合物としても使用することができる。
【0018】
上記式(1)で表されるアミン化合物とアランとの錯体の溶液の濃度は、好ましくは0.1〜50重量%である。所望の導電性膜の膜厚に応じて適宜調整することができる。
【0019】
上記式(1)で表されるアミン化合物とアランとの錯体の溶液には、導電性を調整するために、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニオビウム、チタン、ケイ素、インジウム、錫等の金属または/および半導体の微粒子を適宜混合して使用することができる。また、必要に応じて酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ケイ素などの金属酸化物の微粒子などと適宜混合して使用することもできる。また、溶液の塗布対象物への濡れ性を良好化し、塗布した膜のレベルリング性を改良し、塗膜のぶつぶつの発生、ゆず肌の発生などを防止するため、目的の機能を損なわない範囲で必要に応じてフッ素系、シリコーン系、非イオン系界面活性剤などの表面張力調節剤を少量添加することができる。添加することのできる非イオン系界面活性剤としては、フッ化アルキル基もしくはパーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤、またはオキシアルキル基を有するポリエーテルアルキル系界面活性剤を挙げることができる。前記フッ素系界面活性剤としては、C19CONHC1225、C17SONH−(CO)H、C17O(プルロニックL−35)C17、C17O(プルロニックP−84)C17などを挙げることができる。(ここで、プルロニックL−35:旭電化工業(株)製、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体、平均分子量1,900;プルロニックP−84:旭電化工業(株)製、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体、平均分子量4,200;テトロニック−704:旭電化工業(株)製、N,N,N’,N’−テトラキス(ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体)、平均分子量5,000)などを挙げることができる。これらのフッ素系界面活性剤の具体例としては、エフトップEF301、同EF303、同EF352(新秋田化成(株)製)、メガファックF171、同F173(大日本インキ(株)製)、アサヒガードAG710(旭硝子(株)製)、フロラードFC−170C、同FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(旭硝子(株)製)、BM−1000、同1100(B.M−Chemie社製)、Schsego−Fluor(Schwegmann社製)などを挙げることがでる。又ポリエーテルアルキル系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマーなどを挙げることができる。これらのポリエーテルアルキル系界面活性剤の具体例としては、エマルゲン105、同430、同810、同920、レオドールSP−40S、同TW−L120、エマノール3199、同4110、エキセルP−40S、ブリッジ30、同52、同72、同92、アラッセル20、エマゾール320、ツィーン20、同60、マージ45(いずれも(株)花王製)、ノニボール55(三洋化成(株)製)などを挙げることができる。上記以外の非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリアルキレンオキサイドブロック共重合体などがあり、具体的にはケミスタット2500(三洋化成工業(株)製)、SN−EX9228(サンノプコ(株)製)、ノナール530(東邦化学工業(株)製)などを挙げることができる。
【0020】
かくして得られた溶液組成物を基板上に塗布して式(1)で表されるアミン化合物とアランとの錯体からなる塗膜を形成する。基板の材質、形状等は特に制限はないが、材質は次工程の熱処理に耐えられるものが好ましく、また塗膜を形成する基板は平面でもよく段差のある非平面でもよく、その形態は特に限定されるものではない。これらの基板の材質の具体例としては、ガラス、金属、プラスチック、セラミックスなどを挙げることができ、ガラスとしては石英ガラス、ホウ珪酸ガラス、ソーダガラス、鉛ガラスが使用でき、金属としては金、銀、銅、ニッケル、シリコン、アルミニウム、鉄の他ステンレス鋼などが使用できる、プラスチックとしては、ポリイミド、ポリエーテルスルホン等を挙げることができる。さらにこれらの材質形状はバルク形状、板状、フィルム形状などで特に制限されるものではない。また、上記溶液の塗布に際しては、塗布方法は特に限定されずスピンコート、ディップコート、カーテンコート、ロールコート、スプレーコート、インクジェット、印刷法などにより実施することができる。塗布は1回で、または複数回、重ね塗りすることもできる。
【0021】
また、本発明において、上記基板は、Ti、PdおよびAlよりなる群から選ばれる金属原子を含有する有機金属化合物を含有する溶液で予め塗布される該有機金属化合物からなる塗膜(下地層)を有する基板として用いることもできる。このような下地層を有することにより、基板とアルミニウム膜との接着が安定に保持される。
【0022】
Ti原子を含む有機金属化合物としては、例えばチタニウムアルコシド、アミノ基を含有するチタニウム化合物、β−ジケトンとのチタニウム錯体、シクロペンタジエニル基を含有するチタニウム化合物、ハロゲン基を含有するチタニウム化合物等を挙げることができる。
【0023】
Pd原子を含む有機金属化合物としては、例えばハロゲン基を有するパラジウム錯体、アセテート類、β−ジケトンとのパラジウム錯体、共役カルボニル基を有する化合物とのパラジウム錯体、ホスフイン系Pd錯体、アルミニウムアルキレート、β−ジケトンとのアルミニウム錯体等を挙げることができる。
【0024】
また、Al原子を含む有機金属化合物としては、アラン−アミン錯体を除く、例えばアルミニウムアルコキシド、アルミニウムアルキレート、β−ジケトンとのアルミニウム錯体等を挙げることができる。
【0025】
かかる有機金属化合物としては、例えばチタニウムメトキシド、チタニウムエトキシド、チタニウム−n−プロポキシド、チタニウム−n−ノニルオキシド、チタニウムステアリルオキシド、チタニウムイソプロポキシド、チタニウム−n−ブトキシド、チタニウムイソブトキシド、チタニウム−t−ブトキシド、チタニウムテトラキス(ビス−2,2−(アリルオキシメチル)ブトキシド、チタニウムトリイソステアロイルイソプロポキシド、チタニウムトリメチルシロキシド、チタニウム−2−エチルヘキソキシド、チタニウムメタクリレートトリイソプロポキシド、(2−メタクリルオキシエトキシ)トリイソプロポキシチタネート、チタニウムメトキシプロポキシド、チタニウムフェノキシド、チタニウムメチルフェノキシド、ポリ(ジブチルチタネート)、ポリ(オクチレングリコールチタネート)、チタニウムビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキシド、チタニウムトリス(ドデシルベンゼンスルホネート)イソプロポキシド、チタニウムトリメタクリレートメトキシエトキシエトキシド、チタニウムトリス(ジオクチルピロホスフェート)イソプロポキシド、チタニウムラクテートの如きチタニウムアルコシド;テトラキス(ジメチルアミノ)チタニウム、テトラキス(ジエチルアミノ)チタニウムの如きアミノ基を含有するチタニウム化合物;チタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシド、トリス(2,2,6,6−テトラメチルー3,5−ヘプタンジオネート)チタニウム、チタニウムオキシドビス(ペンタンジオネート)、チタニウムオキシド(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタニウムメタクリルオキシアセトアセテートトリイソプロポキシド、チタニウムジ−n−ブトキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキシドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキシドビス(エチルアセトアセテート)、ジ(iso−プロポキシド)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)チタニウム、チタニウムアリルアセトアセテートトリイソプロポキシドの如きβ−ジケトンとのチタニウム錯体;チタノセンジクロライド、(トリメチル)ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウム、ジメチルビス(t−ブチルシクロペンタジエニル)チタニウムの如きシクロペンタジエニル基を含有するチタニウム化合物;インデニルチタニウムトリクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリメトキシド、トリクロロトリス(テトラヒドロフラン)チタネート、テトラクロロビス(テトラヒドロフラン)チタニウム、チタニウムクロライドトリイソプロポキシド、チタニウムイオダイドトリイソプロポキシド、チタニウムジクロライドジエトキシド、ジクロロビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)チタニウム、テトラクロロビス(シクロヘキシルメルカプト)チタニウム、塩化チタニウムの如きハロゲン原子を含有するチタニウム化合物;塩化パラジウム、アリルパラジウムクロライド、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウムの如きハロゲン原子を有するパラジウム錯体;パラジウムアセテートの如きアセテート類;パラジウム2,4−ペンタンジオネート、パラジウムヘキサフルオロペンタンジオネートの如きβ−ジケトンとのパラジウム錯体;ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムの如き共役カルボニル基を有する化合物とのパラジウム錯体;ビス[1,2−ビス(ジフェニルホスフイノ)エタン]パラジウム、ビス(トリフェニルホスフイン)パラジウムクロライド、ビス(トリフェニルホスフイン)パラジウムアセテート、ジアセテートビス(トリフェニルホスフイン)パラジウム、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフイン)エタン]パラジウム、トランス−ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフイン)パラジウム、トランス−ジクロロビス(トリフェニルホスフイン)パラジウム、トランス−ジクロロビス(トリ−o−トリルホスフイン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフイン)パラジウムの如きホスフイン系Pd錯体;アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウム−n−ブトキシド、アルミニウム−s−ブトキシド、アルミニウム−t−ブトキシド、アルミニウムエトキシエトキシエトキシド、アルミニウムフェノキシド、アルミニウムラクテートの如きアルミニウムアルコキシド;アルミニウムアセテート、アルミニウムアクリレート、アルミウムメタクリレート、アルミニウムシクロヘキサンブチレートの如きアルミニウムアルキレート;アルミニウム−2,4−ペンタンジオネート、アルミニウムヘキサフルオロペンタンジオネート、アルミニウム−2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート、アルミニウム−s−ブトキシドビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムジ−s−ブトキシドエチルアセトアセテート、アルミニウムジイソプロポキシドエチルアセトアセテートの如きβ−ジケトンとのアルミニウム錯体等を挙げることができる。
【0026】
これらのうちで、チタニウムイソプロポキシド、アルミニウムイソプロポキシド、チタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシド、パラジウム−2,4−ペンタンジオネート、パラジウムヘキサフルオロペンタンジオネート、アルミニウム−2,4−ペンタンジオネート、アルミニウムヘキサフルオロペンタンジオネートを用いるのが好ましい。
【0027】
これらのTi、Pd、およびAlよりなる群から選ばれる金属原子を含有する有機金属化合物の溶液に用いられる溶媒としては、それら単独でまたは水との混合溶媒で該有機金属化合物を溶解できれば何れの溶媒も使用することができる。これら溶媒としては、例えば水、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルの如きエーテル類、メタノール、エタノール、プロパノールの如きアルコール類、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホアミド、γ−ブチロラクトンの如き非プロトン性極性溶媒を用いることができる。これら溶媒は、単独でまたは水との混合溶剤として用いることができる。
【0028】
これらの有機金属化合物の溶液の基板への塗布は、アランとアミン化合物の溶液を塗布する前記塗布方法と同様の方法で行うことができる。塗膜(下地層)の厚みは、溶媒除去後の膜厚として0.001〜10μmが好ましく、0.005〜1μmがさらに好ましい。厚すぎると膜の平坦性が得られ難く、薄すぎると基板または接する膜との密着性に劣ることがある。下地層は上記溶液を塗布したのち乾燥して溶媒を除去することによって形成される。
【0029】
本発明に用いられる基板は、さらに、同一基板上に疎水性部分と親水性部分を有する基板として用いることもできる。それによって基板上の特定部分のみに導電性膜を形成することもできる。
【0030】
本発明に用いられる同一基板上に疎水性部分と親水性部分を有する基板の疎水性部分に該当する部分は、例えばヘキサメチルシラザン、前記フッ素系界面活性剤等を含有する溶液を該当する部分のみに塗布した後、100〜500℃で焼成することによって形成される。該当する部分のみにヘキサメチルシラザン、前記フッ素系界面活性剤等を含有する溶液を該当する疎水性部分に塗布するためには、あらかじめ基板の全面を後述の親水性に処理した後、必要とする親水性部分をカバーした後、該当する疎水性部分を疎水性になるよう処理するが、該当する親水性部分をカバーして疎水性に処理する。この親水性部分をカバーする方法は特に限定される訳ではないが、例えば公知のフオトリソ法でパターニングし疎水性部分に該当しない部分を公知のレジストでカバーする方法やマスキングテープを用いて該当しない部分をカバーした後該当する部分に本発明の導電性膜を形成し、次いで公知の方法で使用したレジストまたはマスキングテープを剥離する方法等が用いられる。また、同様な方法で基板全面を疎水性に処理した後、特定部分を親水性処理することもできる。
【0031】
また、本発明に用いる同一基板上に疎水性部分と親水性部分を有する基板の親水性部分に該当する部分は、基板の親水性部分に該当する部分をTi、PdおよびAlよりなる群から選ばれる金属原子を含有する有機金属化合物の溶液を塗布および乾燥して得ることができる。
【0032】
かかる有機金属化合物としては、下地膜について上記した有機金属化合物と同じ化合物を好ましく使用することができる。
【0033】
本発明は、上記式(1)で表されるアミン化合物とアランとの錯体を用いた溶液の塗布膜を熱処理および/または光照射することにより導電性膜に変換する。熱処理について、その温度は、100℃以上とするのが好ましく、150℃〜500℃とするのがさらに好ましい。加熱時間は30秒から120分程度で十分である。また、熱処理する時の雰囲気はできる限り酸素のない且つ水素が存在する雰囲気中で焼成すると良質の導電性膜を得ることができるので好ましい。上記焼成雰囲気の水素は、例えば窒素、ヘリウム、アルゴンなどとの混合ガスとして用いてもよい。また、上記式(1)で表されるアミン化合物とアランとの錯体を用いた溶液の塗布膜を光照射し導電性膜を形成することもできる。光照射には、例えば低圧あるいは高圧の水銀ランプ、重水素ランプあるいはアルゴン、クリプトン、キセノンの如き希ガスの放電光の他、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを光源として使用することができる。これらの光源としては一般には、10〜5000Wの出力のものが用いられるが、通常100〜1000Wで十分である。これらの光源の波長は特に限定されないが、通常170nm〜600nmである。また導電性膜の改質効果の点でレーザー光の使用が特に好ましい。これらの光照射時の温度は通常室温〜200℃である。また光照射に際しては、特定部位のみを照射するためにマスクを介して照射してもよい。好適な導電性膜の厚みは塗布方法、固形分濃度に依存して適宜変動するが、膜厚として0.01〜100μmが好ましく、0.05〜10μmであるのがさらに好ましい。厚すぎると膜の平坦性が得られ難く、薄すぎると基板または接する膜との密着性に劣ることがある。
【0034】
かくして得られた導電性膜は、空気中に放置すると容易に酸化され表面に酸化アルミニウム層が形成されるので、例えば配線および/または電極に用いる場合等に問題になる場合がある。この酸化を防ぐために、不活性ガス雰囲気下で導電性膜を形成した後、不活性ガス雰囲気下で保護膜を形成するのが好ましい。この保護膜としては、例えば(i)Ti、PdおよびAlよりなる群から選ばれる金属膜あるいは(ii)有機ポリマー膜が好ましく用いられる。
【0035】
上記金属膜は、下地層を形成するための前記有機金属化合物と同じ有機金属化合物の溶液を塗布し次いで加熱および/または光照射して該有機金属化合物を相当する金属に変換して形成することができる。加熱および/または光照射は上記と同様の条件下で行うことができる。
【0036】
また有機ポリマー膜は、有機ポリマーの溶液を塗布後、例えば50〜200℃の温度で溶媒を飛散させて除去して乾燥し形成することができる。この溶液に用いられるポリマーは特に限定されるものではないが、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート等ポリア(メタ)クリレート、ポリスチレン、ポリブテン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリブタジエン等の単独ポリマーまたはこれらポリマーの共重合体を用いることができる。これらポリマー溶液に用いる溶媒は、ポリマーを溶解する溶媒であれば何れの溶媒も使用することができる。
【0037】
保護膜は、溶媒除去後の厚さとして、好ましくは0.001〜10μm、より好ましくは0.01〜1μmである。厚すぎると膜の平坦性が得られ難く、薄すぎると基板または接する膜との密着性に劣ることがある。
【0038】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0039】
以下の実施例で採用したアラン−アミン錯体は次のようにして合成した。
【0040】
トリエチルアミン20gのエチルエーテル(100ml)溶液に、5倍モルの塩化水素ガスをバブリングさせ反応し、沈殿した塩をフィルターで濾別後、100mlのエチルエーテルで洗浄し乾燥させ24gのトリエチルアミン塩酸塩を合成した。得られたトリエチルアミン塩酸塩14gをテトラヒドロフラン500mlに溶解し、3.8gのリチウムアルミニウムハイドライドと500mlのエチルエーテルの懸濁液中へ窒素下室温で1時間かけ滴下し滴下終了後更に6時間室温で反応させた。反応溶液を0.2μmのメンブレンフイルターで濾過し、濾液を窒素下で濃縮し、濃縮中に析出した塩を0.2μmのメンブレンフイルターで濾別した。更に300mlのトルエンを添加後溶媒を窒素下で飛散させ濃縮し、濃縮中に析出する塩を再度0.2μmのメンブレンフイルターで濾過・精製し、反応生成物の10%トルエン溶液を得た。
【0041】
得られた反応生成物の10%トルエン溶液をKBr上に塗布し窒素下で溶媒を蒸発させたサンプルのIRスペクトルを図1に示す。図1のIRスペクトルは、1710cm−1にν(Al−H)、760cm−1にν(Al≡H)およびν(N−Al−H)および470cm−1にν(N−Al−N)の吸収を示し、得られた反応生成物がトリエチルアミン−アラン錯体であることを示した。また、反応生成物のNMRスペクトル(測定溶媒:重ベンゼン(C)、図2)は、4.1ppmにAlHのプロトンの吸収、1.5および3.8ppmにCN基のメチルおよびメチレンプロトンの吸収を示し、得られた反応生成物がトリエチルアミンーアラン錯体であることを示した。
【0042】
実施例1
ガラス基板をチタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシドの1%トルエン溶液に1時間浸漬した後100℃で30分および300℃で30分間乾燥させ親水性基板を作製した。このガラス基板上へ、窒素雰囲気中でトリエチルアミンとアランとの錯体10gをトルエン45gとテトラヒドロフラン45gとの混合溶媒に溶解した溶液を1,000rpmでスピンコートを行ない、直ちに110℃でプレベーク処理を行ない溶媒を除去し、トリエチルアミン/アラン錯体を主成分とする膜を形成した。この塗布膜を窒素雰囲気中でさらに250℃で30分および350℃で30分間加熱することにより熱分解を行なったところ、ガラス基板上に金属光沢を有する膜が形成された。この基板上の膜の膜厚をαstep(Tenchor社製)で測定したところ100nmであった。この膜のESCAを測定した所、73.5eVにAl2pのアルミニウムに帰属されるピークが観察された。また、この膜の導電性を調べた所、100μΩ□のシート抵抗値および30μΩ・cmの抵抗値を示す導電性を有する膜であることがわかった。
【0043】
実施例2
実施例1で用いたと同じ親水性処理したガラス基板を用い、実施例1のトリエチルアミンとアランとの錯体10gの代わりにアンモニアとアランとの錯体10gを用いた以外は実施例1と同様に焼成膜を作成した。この基板上の膜の膜厚をαstep(Tenchor社製)で測定したところ90nmであった。また、この膜の導電性を調べた所、120μΩ□の抵抗値を示し導電性を有する膜であることを示した。
【0044】
実施例3
実施例1で用いたと同じ親水性処理したガラス基板を用い、実施例1のトリエチルアミンとアランとの錯体10gの代わりにフェニルジメチルアミンとアランとの錯体10gを用いた以外は実施例1と同様に焼成膜を作成した。この基板上の膜の膜厚をαstep(Tenchor社製)で測定したところ85nmであった。また、この膜の導電性を調べた所、95μΩ□の抵抗値を示し導電性を有する膜であることを示した。
【0045】
実施例4
実施例1で用いたと同じ親水性処理したガラス基板を用い、実施例1のトリエチルアミンとアランとの錯体10gの代わりにトリイソブチルアミンとアランとの錯体10gを用いた以外は実施例1と同様に焼成膜を作成した。この基板上の膜の膜厚をαstep(Tenchor社製)で測定したところ75nmであった。また、この膜の導電性を調べた所、125μΩ□の抵抗値を示し導電性を有する膜であることを示した。
【0046】
実施例5
実施例1で用いたと同じ親水性処理したガラス基板を用い、実施例1のトリエチルアミンとアランとの錯体10gの代わりにジイソプロピルアミンとアランとの錯体10gを用いた以外は実施例1と同様に焼成膜を作成した。この基板上の膜の膜厚をαstep(Tenchor社製)で測定したところ95nmであった。また、この膜の導電性を調べた所、130μΩ□の抵抗値を示し導電性を有する膜であることを示した。
【0047】
実施例6
実施例1で用いたと同じ親水性処理したガラス基板を用い、実施例1のトリエチルアミンとアランとの錯体10gの代わりにトリイソプロピルアミンとアランとの錯体10gを用いた以外は実施例1と同様に焼成膜を作成した。この基板上の膜の膜厚をαstep(Tenchor社製)で測定したところ85nmであった。また、この膜の導電性を調べた所、95μΩ□の抵抗値を示し導電性を有する膜であることを示した。
【0048】
実施例7
実施例1で用いたと同じ親水性処理したガラス基板を用い、実施例1のトリエチルアミンとアランとの錯体10gの代わりにトリフェニルアミンとアランとの錯体10gを用いた以外は実施例1と同様に焼成膜を作成した。この基板上の膜の膜厚をαstep(Tenchor社製)で測定したところ85nmであった。また、この膜の導電性を調べた所、110μΩ□の抵抗値を示し導電性を有する膜であることを示した。
【0049】
実施例8
ガラス基板をチタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシドの1%トルエン溶液に1時間浸漬した後100℃で30分及び300℃で30分間乾燥させ、親水性を有するチタンを含有する下地層を形成した。この基板上へ、窒素雰囲気中でトリエチルアミンとアランとの錯体10gをトルエン90gの溶媒に溶解した溶液を1,000rpmでスピンコートを行ない、直ちに110℃で15分間プレベーク処理を行ない溶媒を除去し、トリエチルアミン/アラン錯体を主成分とする膜を形成した。この塗布膜を窒素雰囲気中でさらに250℃で30分および350℃で30分間加熱することにより熱分解を行なったところ、ガラス基板上に金属光沢を有する膜が形成された。この基板上の膜の膜厚をαstep(Tenchor社製)で測定したところ300nmであった。この膜のESCAを測定した所、73.5eVにAl2pのアルミニウムに帰属されるピークが観察された。また、この膜の導電性を調べた所、100μΩ□のシート抵抗値および30μΩ・cmの抵抗値を示す導電性を有する膜であった。更にこのアルミニウム膜上に、チタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシドの5%トルエン溶液をスピンコ−トで塗布したのち350℃にて1時間焼成して、膜厚50nmの保護層を形成し、下地層−アルミニウム層−上層(保護層)の3層構造からなる導電性膜を形成した。3層形成後の導電性を調べた所、45μΩ・cmの抵抗値を示し、導電性を有する3層構造の膜であることがわかった。
【0050】
実施例9
実施例8と同様に、ガラス基板上にチタンを含有する下地層および導電性を有するアルミニウム層を形成した。さらに、このアルミニウム膜上に、パラジウムヘキサフルオロペンタンジオネートの3%THF溶液をスピンコ−トで塗布したのち350℃で1時間焼成して、膜厚30nmの保護層を形成し、下地層―アルミニウム層―上層(保護層)の3層構造からなる導電性膜を形成した。3層形成後の導電性を調べた所、50μΩ・cmの抵抗値を示し導電性を有する3層構造の膜であることを示した。
【0051】
実施例10
実施例8と同様に、ガラス基板上にチタンを含有する下地層および導電性を有するアルミニウム層を形成した。さらに、このアルミニウム膜上に、アルミニウム−n−ブトキシドの3%THF溶液をスピンコ−トで塗布し350℃にて1時間焼成して、膜厚35nmの保護層を形成し、下地層−アルミニウム層−上層(保護層)の3層構造からなる導電性膜を形成した。3層形成後の導電性を調べた所、45μΩ・cmの抵抗値を示し導電性を有する3層構造の膜であることを示した。
【0052】
比較例1
実施例1で用いたトリエチルアミンとアランとの錯体の代わりに、10%のアルミニウムイソプロポキシドを溶解したイソプロピルアルコール溶液を用いて、実施例1に用いたと同じ基板を用いて同様に処理したが、導電性を有する膜を形成することができなかった。
【0053】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、従来のスパッタリング法、真空蒸着法、CVD法などの真空プロセスによる導電性のアルミニウム膜の形成方法と異なり、特定の処理を施した基板および特定のN含有化合物とアランとの錯体をスピンコート法、インクジェット法などの溶液塗布法で塗布膜を形成し、次いで熱処理および/または光照射することで簡便に導電性を有する膜を形成する工業的方法が提供される。また従来のCVD法のような気相からの堆積ではなく、塗布法で形成した前駆体膜を熱処理および/または光照射することにより低コストでしかも均一且つ緻密な膜質の導電性膜およびそれを用いた配線または/および電極を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
実施例で用いられたアラン−アミン錯体のIRスペクトル図。
【図2】
実施例で用いられたアラン−アミン錯体のNMRスペクトル図。
【出願人】 【識別番号】000004178
【氏名又は名称】JSR株式会社
【住所又は居所】東京都中央区築地五丁目6番10号
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号
【識別番号】597114270
【氏名又は名称】株式会社国際基盤材料研究所
【住所又は居所】神奈川県川崎市川崎区南渡田町1番1号
【出願日】 平成14年7月19日(2002.7.19)
【代理人】 【識別番号】100080609
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 正孝

【公開番号】 特開2004−6197(P2004−6197A)
【公開日】 平成16年1月8日(2004.1.8)
【出願番号】 特願2002−211236(P2002−211236)