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【発明の名称】 超電導ケーブル
【発明者】 【氏名】廣瀬 正幸
【住所又は居所】大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電気工業株式会社大阪製作所内
【氏名】増田 孝人
【住所又は居所】大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電気工業株式会社大阪製作所内
【課題】ケーブル製造時に絶縁層の真空乾燥処理を省略して製造期間の短縮、製造コストの低減を図った超電導ケーブルを提供する。

【解決手段】超電導導体108上に絶縁層109を有するケーブルコア101を具える超電導ケーブルである。絶縁層109は、絶縁紙を用いたテープ状絶縁材料を超電導導体上に巻回して構成する。このとき、絶縁紙部分の含有水分が20重量%以下の絶縁材料を用いる。絶縁層を構成するテープ状絶縁材料の絶縁紙部分の含有水分を20重量%以下とすることで、ケーブルの電気特性に影響を与えることがなく、かつOFケーブルなどの製造時における真空乾燥処理を省略することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超電導導体上に絶縁層を有するケーブルコアを具える超電導ケーブルであって、
前記絶縁層は、絶縁紙を用いたテープ状絶縁材料を超電導導体上に巻回して構成され、ケーブル製造後における絶縁紙部分の含有水分が5重量%以上であることを特徴とする超電導ケーブル。
【請求項2】
絶縁紙部分の含有水分が20重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の超電導ケーブル。
【請求項3】
ケーブルコアは、最外層に絶縁紙を用いたテープ状絶縁材料を巻回して構成される保護層を具え、
ケーブル製造後における保護層の絶縁紙部分の含有水分が5重量%以上20重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の超電導ケーブル。
【請求項4】
保護層の絶縁紙部分の含有水分が絶縁層の絶縁紙部分の含有水分以下であることを特徴とする請求項3に記載の超電導ケーブル。
【請求項5】
超電導導体上に絶縁層を有するケーブルコアを具える超電導ケーブルが布設された超電導ケーブル線路であって、
前記絶縁層は、絶縁紙を用いたテープ状絶縁材料を超電導導体上に巻回して構成され、冷却前における絶縁紙部分の含有水分が5重量%以上20重量%以下であることを特徴とする超電導ケーブル線路。
【請求項6】
ケーブルコアは、最外層に絶縁紙を用いたテープ状絶縁材料を巻回して構成される保護層を具え、
冷却前における保護層の絶縁紙部分の含有水分が1重量%以下であることを特徴とする請求項5記載の超電導ケーブル線路。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超電導導体上に絶縁層を有するケーブルコアを具えた低温絶縁方式の超電導ケーブル、及び超電導ケーブルが布設された超電導ケーブル線路に関するものである。特に、ケーブルの製造期間の短縮や製造コストの低減を実現できる超電導ケーブル、及びこの超電導ケーブルが布設された超電導ケーブル線路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図1は、ケーブルコアを三芯撚り合わせて構成した低温絶縁方式の超電導ケーブルの一例を示す断面構造図、図2は、超電導ケーブルのケーブルコアの一例を示す斜視図である。
【0003】
図1に示すように超電導ケーブル100は、通常、撚り合わせたケーブルコア101を内側に具える。ケーブルコア101の外側には、コルゲート内管103及びコルゲート外管105で構成された二重の断熱管、防食層106を順次具えている。コルゲート内管103とコルゲート外管105との間には、断熱層104が介在されている。そして、ケーブルコア101の外周面とコルゲート内管103の内周面に囲まれた空隙部は、液体窒素などの冷却媒体が流通する流路102をなしている。
【0004】
ケーブルコア101は、図2に示すように内側から順に中空状または中実状のフォーマ107、超電導導体層108、絶縁層109、超電導シールド層110、及び最外層をなす保護層111から構成される。超電導導体層108は、超電導フィラメントなどにより構成された超電導線をフォーマ107の外周にスパイラル状に巻回して構成される。超電導シールド層110も、超電導線により形成される。絶縁層109は、クラフト紙やポリプレピレンラミネート紙のような半合成紙などを超電導導体層108の外周に巻回して構成される。
【0005】
図3は、超電導ケーブル線路の冷却方法の一例を示す模式図である。上記超電導ケーブル100は、布設されてケーブル線路10を構成する。そして、ケーブル線路10の端部にそれぞれリターン管11、供給管12を接続してループをつくり、ループの中間に冷却装置13を具える。冷却装置13は、冷却媒体を冷却するための冷凍機14、冷却媒体を循環させるための循環ポンプ15を具える。超電導ケーブル100は、接続部16を介して適宜接続される。
【0006】
ケーブル線路10を構成した最初の状態では、超電導ケーブル100の流路に冷却媒体が流通されておらず、流路は空洞である。超電導ケーブルの冷却を開始する際、供給管12に設けたバルブB及びリターン管11に設けたバルブBを閉じ、供給管12と外部の冷却媒体槽17とを連結する配管に設けたバルブB、及びリターン管11に連結される配管18に設けたバルブBを開く。この状態で、冷却媒体槽17から冷却媒体を流路に供給していき、流路を通過した冷却媒体を配管18から放出させ、ケーブル線路10の流路に徐々に冷却媒体を充填していく。ケーブル線路10の流路に冷却媒体が充填されたら、バルブB及びBを閉じ、バルブB及びBを開いて冷却装置13を介して循環冷却を開始する。図3において白抜きの矢印は、循環冷却において冷却媒体の流通方向を示す。白抜き矢印で示すように、超電導ケーブル線路の運転中は、超電導ケーブル線路10→リターン管11→冷却装置13→供給管12→超電導ケーブル線路10の閉ループで循環冷却を繰り返す。このとき、冷却媒体は、図2に示す超電導導体層108および超電導シールド層110の冷却を行うと共にケーブルの電気絶縁にも寄与する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来、OFケーブルなどの電力ケーブルの絶縁層には、クラフト紙やポリプロピレンラミネート紙のような半合成紙などのテープ状絶縁材料が用いられている。OFケーブルでは、絶縁層中に水分が存在すると電気特性の劣化を促進させることから、ケーブル製造時、絶縁材料を巻回した後に真空乾燥処理を行って、絶縁層の水分を除去することが必須とされている。
【0008】
しかし、この真空乾燥処理は、相当の時間を必要として生産性が悪いだけでなく、製造コストも高くなるという問題がある。
【0009】
そこで、本発明の主目的は、ケーブル製造時に絶縁層の真空乾燥処理を省略して製造期間の短縮、製造コストの低減を図った超電導ケーブル、及びこの超電導ケーブルを布設した超電導ケーブル線路を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、超電導ケーブルでは、絶縁層に一定の水分を含有していても、電気特性をほとんど劣化させることがないという知見に基づき、絶縁層を構成するテープ状絶縁材料の絶縁紙部分の水分含有量を規定するものである。
【0011】
即ち、本発明は、超電導導体上に絶縁層を有するケーブルコアを具える超電導ケーブルである。そして、絶縁層は、絶縁紙を用いたテープ状絶縁材料を超電導導体上に巻回して構成され、ケーブル製造後における絶縁紙部分の含有水分が5重量%以上である。
【0012】
超電導ケーブルでは、ケーブル製造の際、断熱層(コルゲート外管とコルゲート内管間)の真空引きを行うときに、加熱して温度を上昇させることで、断熱層の真空引きと同時に絶縁層の真空乾燥処理を行うことが可能である。しかしながら、この処理は、生産性、経済性が悪い。また、超電導ケーブルを現地に布設後、ケーブルの端末処理を行う際に、ケーブル内が大気に解放されるため、絶縁層や保護層、特に絶縁紙部分などに水分が浸入することが考えられる。このとき、作業現地では、温度を上げることができないので、真空引きのみで絶縁層を乾燥させることになる。すると、多大な時間を要するため作業性が極めて悪い。
【0013】
本発明者らが検討した結果、超電導ケーブルの冷却媒体としてよく用いられる液体窒素の温度では、絶縁層に水分が存在していても電気性能の低下や劣化がほとんど生じない、即ち、ケーブルコア内の水分の存在そのものは、電気的にほとんど影響を及ぼすことがないとの知見を得た。そこで、本発明超電導ケーブルにおいて絶縁層を構成するテープ状絶縁材料は、絶縁紙部分の含有水分が大気雰囲気とバランスのとれたものを使用し、ケーブル製造時、この絶縁材料からなる絶縁層に対して、上記OFケーブルのように乾燥処理を行わない。そして、本発明超電導ケーブルは、真空乾燥処理を必要としない水分含有量として、ケーブル製造後で線路布設前における絶縁紙部分の含有水分の下限を5重量%に規定する。
【0014】
ケーブル製造後線路布設前において絶縁層を構成するテープ状絶縁材料の絶縁紙部分の含有水分は、巻回前の含有水分がほぼ維持される。そのため、ケーブル製造後における絶縁紙部分の含有水分を5重量%以上とするには、絶縁紙部分の含有水分が5重量%以上のテープ状絶縁材料を巻回すればよい。なお、テープ状絶縁材料の絶縁紙部分の含有水分は、絶縁紙部分全体にほぼ一様に含まれるものとする。
【0015】
上記のようにケーブルコアの含有水分は電気的に影響を及ぼすことが実質的にないため、テープ状絶縁材料において絶縁紙部分の含有水分は多くてもよいが、過剰に水分を含むと巻回が困難になる。また、絶縁層の絶縁紙部分に過剰に水分を含んでいる場合、ケーブルコアの最外層である保護層に水分が移動して、保護層の絶縁紙部分の水分量を増加させる可能性がある。そこで、ケーブル製造時の作業性と、保護層への水分移動の抑制とを考慮して、ケーブル製造後における絶縁層の絶縁紙部分の含有水分は、20重量%以下であることが望ましい。従って、本発明超電導ケーブルにおいて、絶縁層は、絶縁紙部分の含有水分が5重量%以上20重量%以下のテープ状絶縁材料を巻回して構成することが好ましい。
【0016】
上記テープ状絶縁材料は、絶縁層だけでなくケーブルコアの最外層を形成する保護層にも適用してもよい。このとき、保護層は、ケーブル製造後における絶縁紙部分の含有水分が5重量%以上20重量%以下であることが好ましい。ここで、ケーブルコアの外周面とコルゲート内管の内周面に囲まれた冷却媒体の流路に水分が過剰に存在すると、超電導ケーブルを布設したケーブル線路において以下の問題が生じる恐れがある。即ち、超電導ケーブルを布設後、ケーブル線路を冷却するために流路内に冷却媒体を充填した際、ケーブル線路とリターン管の接続部付近(図3においてAで示した部分)や上記流路の接続部付近(同接続部16付近)などで、流路に存在する水分が冷却媒体によって冷却され、シャーベット状或いは粒状に固化されて流路を閉塞することがある。この問題は、特に、超電導ケーブルが長尺化することで顕著になる。
【0017】
また、保護層の絶縁紙部分の含有水分は、テープ状絶縁材料としてもともと含有する水分だけでなく、上記のように絶縁層の絶縁紙部分の含有水分が保護層に移動することで増加することが考えられる。そのため、ケーブル製造後において保護層の絶縁紙部分の含有水分は、上記閉塞が生じにくいように、絶縁層の絶縁紙部分の含有水分以下とすることが好ましい。ケーブル製造後において、保護層の絶縁紙部分の含有水分を絶縁層の絶縁紙部分の含有水分以下にするには、絶縁紙部分の含有水分が絶縁層に用いたテープ状絶縁材料の絶縁紙部分の含有水分以下であるテープ状絶縁材料を巻回することが望ましい。
【0018】
一方、超電導導体上に絶縁層を有するケーブルコアを具える超電導ケーブルが布設された超電導ケーブル線路において、上記接続部などでの閉塞問題を生じにくくするために、絶縁層の含有水分が保護層に移動しない、或いはしにくいことが望ましい。そこで、ケーブル線路の冷却前において、絶縁層を構成するテープ状絶縁材料の絶縁紙部分の含有水分が5重量%以上20重量%以下であることが望ましい。
【0019】
また、超電導ケーブル線路において、上記接続部などでの閉塞問題をより確実に解消するには、流路に冷却媒体を充填させて冷却する前に、冷却媒体と接触する保護層の表面部分の水分を減少・除去することが好ましい。そこで、窒素ガスなどの不活性ガスを冷却媒体の流路に吹き流して、ケーブル線路の水分、特に、保護層の水分を排出することが好ましい。このとき、ケーブル製造後において、保護層を構成するテープ状絶縁材料の絶縁紙部分の含有水分が少ないほど上記ガスの吹き流し処理が容易にできて好ましい。具体的には、ガスの吹き流し処理後、即ち、冷却前において保護層の絶縁紙部分の含有水分は、1重量%以下、特に2000ppm以下が好ましい。なお、不活性ガスにより保護層の水分を除去する際は、水分を固化させない程度の温度に加熱して用いることが好ましい。
【0020】
保護層は、テープ状絶縁材料を数枚巻回して構成すればよく、例えば、厚さは1.5〜2.5mmが適当である。保護層と絶縁層との間には、超電導線によるシールド層があり、また絶縁層の外周に半導電層を設ける場合もある。従って、保護層が比較的薄くても、シールド層や半導電層が防がれることで、絶縁層の絶縁紙部分の水分が保護層の絶縁紙部分に浸入する速度が非常に遅くなる。半導電層として、例えば、金属化紙と金属化カーボンを用い、これらの金属面を合わせた構成のものを用いると、絶縁層は、金属箔でシールされることになる。
【0021】
このようなテープ状絶縁材料は、クラフト紙などの絶縁紙のみで構成されるものや、クラフト紙などの絶縁紙に樹脂フィルムを貼り合わせた半合成紙が好ましい。半合成紙は、商品名PPLPに代表されるポリプロピレンラミネート紙(ポリプロピレンフィルムの少なくとも片面にクラフト紙を接合したもの)などが挙げられる。そのほか、液体窒素などの冷却媒体内で使用することが可能であり、かつ含有水分が上記の規定を満たす絶縁紙を用いたものが適用できる。絶縁層に用いる絶縁材料と保護層に用いる絶縁材料とは、同一のものでもよいし異なるものでもよく、例えば、絶縁層にはポリプロピレンラミネート紙、保護層にはクラフト紙を用いてもよい。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明超電導ケーブルは、基本的構成は図2に示す従来の超電導ケーブルと同様である。本発明の特徴とするところは、超電導導体108上の絶縁層109の構成材料として、クラフト紙部分の含有水分が5重量%以上20重量%以下のポリプロピレンラミネート紙を用い、巻回後、乾燥処理を行わない点である。また、本例では、ケーブルコア101の最外層に、上記絶縁層109に用いたポリプロピレンラミネート紙のクラフト紙部分の含有水分よりも含有水分が少ないクラフト紙を巻回した保護層111を設けている。
【0023】
本発明超電導ケーブルは、絶縁紙部分の含有水分が5重量%以上20重量%以下のテープ状絶縁材料を用いたことで、ケーブル製造の際、OFケーブルのように絶縁層に真空乾燥処理を施すことがない。また、保護層には、絶縁層を構成するテープ状絶縁材料の絶縁紙部分よりも含有水分が少ないクラフト紙を用いたことで、布設して端末部形成後、流路に冷却媒体を充填した際、線路とリターン管との接続部付近や、流路の接続部付近などが閉塞するなどの不具合がない。そして、ケーブル製造後、かつケーブル線路布設後冷却前において絶縁層の絶縁紙部分の含有水分を5重量%以上20重量%以下としたことで、絶縁層の含有水分が保護層に移動して、保護層の絶縁紙部分の含有水分量を増加させることもほとんどない。
【0024】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明超電導ケーブルによれば、ケーブル製造後の絶縁層を構成するテープ状絶縁材料の絶縁紙部分の含有水分を5重量%以上20重量%以下に規定することで、ケーブルの電気特性に影響を与えることがなく、かつOFケーブルなどで行われる製造時の真空乾燥処理を省略することができるという優れた効果を奏し得る。また、ケーブル製造時に真空乾燥処理を省略することで、製造期間の短縮や、製造コストの低減を図ることができる。
【0025】
更に、本発明超電導ケーブルは、上記絶縁層を構成するテープ状絶縁材料をケーブルコアの最外層である保護層にも適用する。このとき、ケーブル製造後において保護層の絶縁紙部分の含有水分を5重量%以上20重量%以下、特に絶縁層の絶縁紙部分の含有水分以下と規定することで、ケーブル線路に布設後、冷却媒体による水分の固化現象を軽減して、線路と配管の接続部付近などの閉塞を防止できる。特に、ケーブル布設後冷却前において保護層の絶縁紙部分の含有水分を1重量%以下に規定することで、より効果的に上記閉塞問題を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ケーブルコアの三芯を撚り合わせて構成した低温絶縁方式の超電導ケーブルの一例を示す断面構造図である。
【図2】超電導ケーブルのケーブルコアの一例を示す斜視図である。
【図3】超電導ケーブル線路の冷却方法の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
10 ケーブル線路 11 リターン管 12 供給管 13 冷却装置 14 冷凍機
15 循環ポンプ 16 接続部 17 冷却媒体槽 18 配管
100 超電導ケーブル 101 ケーブルコア 102 流路 103 コルゲート内管
104 断熱層 105 コルゲート外管 106 防食層 107 フォーマ
108 超電導導体層 109 絶縁層 110 シールド層 111 保護層
【出願人】 【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜四丁目5番33号
【出願日】 平成14年5月31日(2002.5.31)
【代理人】 【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏

【識別番号】100070851
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 秀實

【公開番号】 特開2004−6148(P2004−6148A)
【公開日】 平成16年1月8日(2004.1.8)
【出願番号】 特願2002−160470(P2002−160470)