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【発明の名称】 高熱負荷対応型磁気誘導回転式ダイバータ
【発明者】 【氏名】石山 新太郎

【要約】 【課題】従来型ダイバータは限界熱流束(20〜30MW/m2)以上で使用できず、従来型ダイバータは片側加熱であり、対バーンアウト設計裕度が低く、真空中の高密度プラズマ粒子線入射量が多く、スパッタ損耗率が大きいので、受熱/徐熱/排気機能をかねているので、機器の占有スペースが限られる。

【解決手段】プラズマからの熱流束が限界流束に近い20−30MW/m2で利用できる高熱負荷対応型磁気誘導回転式ダイバータであって、 トカマク型核融合炉のトロイダル磁揚を利用して一定速度で回転し、プラズマから熱流束を受ける受熱表面を回転駆動させ、 静止させた冷却管の外周に、ガリウム液体金属層を介して回転円筒ターゲットを配置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマからの熱流束が限界熱流束に近い20−30MW/mで利用できる高熱負荷対応型磁気誘導回転式ダイバータ。
【請求項2】
トカマク型核融合炉のトロイダル磁揚を利用して一定速度で回転し、プラズマから熱流束を受ける受熱表面である回転円筒ターゲットを回転駆動高熱負荷対応型磁気誘導回転式ダイバータさせる請求項1記載のダイバータ。
【請求項3】
静止させた冷却管の外周に、ガリウム液体金属層を介して回転円筒ターゲットを配置する請求項1又は請求項2記載のダイバータ。
【請求項4】
回転円筒型ターゲット(受熱板)が液体金属層を介して核融合炉のダイバータ中を周回する冷却管の外周に同軸状に組み合わされ、該ターゲットが高温プラズマをダイバータ内に閉じ込める磁場により液体金属を介して該冷却管の外周で回転される高熱負荷対応型磁気誘導回転式ダイバータ。
【請求項5】
冷却水が流れる給水管フィーダー、そのフィダー内に同軸状に設けられた固定水冷基体、該フィーダーの外周に設けられた回転円筒型ターゲット(受熱板)、及び該フィーダーと回転円筒型ターゲットとの間隙に充填封入された液体金属から構成され、該回転円筒型ターゲットが液体金属を介してトカマク型核融合炉のトロイダル磁場により一定速度で回転される、トロイダル軸に沿って配置された高熱負荷対応型磁気誘導回転式ダイバータ。
【請求項6】
中心基材、その周囲に設けられた分割材、該分割材中に設けられた冷却水用冷却管、該分割材の外周に設けられた回転円筒型ターゲット(受熱板)及び該分割材と回転円筒型ターゲットとの間隙に充填封入された液体金属から構成され、該ターゲットが核融合炉のトリイダル磁場により一定速度で回転される、トロイダル軸に対してある角度θにおいて傾斜させて配置された高熱負荷対応型磁気誘導回転式ダイバータ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トカマク型核融合発電等の原子力分野で使用され、核融合反応により発生する高温プラズマからの熱に耐えながら、その反応の際に副成する不純物等を取り出すための高熱負荷対応型磁気誘導回転式ダイバータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の固定ターゲット型ダイバータは、図2に示されるように、固定式の銅合金製冷却チャンネル1の上に、C/C(炭素繊維強化型炭素材料)コンポジット等の耐熱材料アーマタイル2からなる受熱ターゲット(受熱表面)をろう接したフラットプレート構造となっており、この冷却チャネル1内には内径doの冷却管が配置され、その上に横幅(冷却管の間隔)Doのアーマタイルがろう接されているが、この徐熱方式ではアーマタイルが固定されているので、アーマタイルに入射される熱を拡散除去する限界熱流束に限界がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来型の固定ターゲット型ダイバータの方式では、次の点に解決すべき課題がある。
【0004】
(ア)従来型のダイバータは、限界熱流束が20〜30MW/m以上で使用できない。
(イ)従来型のダイバータは、片側加熱であり、対バーンアウト設計裕度が低い。
【0005】
(ウ)真空中の高密度プラズマ粒子線入射量が多く、スパッタ損耗率が大きい。
(エ)受熱/徐熱/排気機能をかねているので、機器の占有スペースが限られる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の回転ターゲット型ダイバータにおいては、その受熱表面(ダイバータターゲット)を、トカマク型核融合炉のトロイダル磁揚を利用して一定速度で回転し、プラズマから熱流束を受ける受熱表面を回転駆動させる方式であるので、従来の固定ターゲット型ダイバータに比較して、次の利点を有する。
【0007】
(ア) 放熱面積増大による放射冷却促進が生ずる。
(イ) 受熱表面であるダイバータターゲット上の実効的受熱面拡大による次の熱流束低減が図れる。
【0008】
・ ダイバータレッグ長の伸張
・ ダイバータターゲット面に対するプラズマ粒子の低入射角化
・ セパラトリックス磁気掃引
・ ダイバータターゲットの駆動が自己ないし磁場誘導駆動式である。
【0009】
核融合炉のプラズマ発生領域は、強磁場内及び真空中なのでターゲットを移動させるためのモータ駆動、外部機構での駆動方式は使えない。したがつて、本発明では、受熱表面であるダイバータターゲットが下記の方式で駆動される。
【0010】
▲1▼ 直線駆動:ベルト状ターゲットを周回させる。
▲2▼ 回転駆動:円筒型ターゲットを回転させる。{(a)冷却管同軸回転円筒型、(b)トロイダル軸回転円筒型、及び(c)トロイダル傾斜軸回転円筒型が採用される。}
(ウ) 円筒型ターゲットを、回転ターゲット型ダイバータ内の金属流体の流れとトロイダル磁揚との相互作用により磁揚駆動回転させる。
【0011】
【発明の実施の形態】
核融合炉のダイバータは、図7に示されるように、核融合炉の真空容器に設けられたブランケット内で重水素と三重水素とを加熱して核融合反応を起こし、生成した高温プラズマを発生させ、このプラズマを磁場によりブランケット内に閉じ込めた際に、この閉じ込められた高温プラズマの熱に耐えながら、このプラズマから反応生成不純物を取り出すのに使用される。そこで、本発明の回転円筒型ダイバータターゲットを使用してダイバータ熱負荷をあげることにより、核融合炉炉心ならびに装置全体をミコンパクトに設計することができる。
【0012】
本発明においては、図8に示されるように、核融合炉の真空容器内に発生した高温プラズマにより発生した熱は、分割配置された回転円筒型ダイバータ機構により除去される。図8中のXポイントは、発生したプラズマの等磁力線の交点を示す。
【0013】
(a)冷却管同軸回転円筒型ダイバータ
図1に示されるように、回転円筒型ターゲット1は、液体金属層2を介して単一の冷却管3の外周に同軸状に組み合わされており、核融合炉のダイバータ中を周回する冷却管と同軸的に設けられている。回転円筒型ターゲット1は、高温プラズマを閉じ込める場により、液体金属2を介して冷却管3の外周で回転し、冷却管内を流れる冷却水により冷却される。図1では、高温プラズマからの入射熱流束Joが回転円筒型ターゲット1に角度αで入射している。
【0014】
(b)トロイダル軸回転円筒型ダイバータ
図4に示されるように、トロイダル軸回転円筒型ダイバータでは、主給水管であるフィーダーと同軸状に固定水冷基体を設け、そのフィーダーの外周に回転円筒形ターゲット(受熱板)を配置し、フィーダーと回転円筒形ターゲットとの間隙には液体金属伝熱媒体のGaが充填封入されている。フィーダーには多くの分岐冷却管が設けられ、冷却水がフィーダーから各冷却管に流され、再びフィーダーに集められる。冷却管と液体金属との間にはヒートシンク/アーマ層が設けられている。 この回転円筒形ターゲットは、液体金属を介して、トカマク型核融合炉のトロイダル磁場により一定速度で回転される。幅Wで入射する熱流束が回転円筒形ターガットに入射しても受熱ターゲットとしての受熱板が回転することによりその耐熱性が保持される。なお、トロイダル磁場方向は、図3に示されるトロイダル軸回転円筒型ダイバーダの配置図の紙面垂直方向である。
【0015】
図中Btはトロイダルマグネットの磁場方向を示している(紙面下から上方向を指示)。トロイダル軸とは、Bt方向と同一の回転軸を有する回転円筒型ダイバータであり、又、下記のトロイダル傾斜軸とは、Bt方向に対して幾ばくかの傾斜回転角度を有する回転円筒型ダイバータである。
【0016】
トロイダル軸回転円筒型ダイバータの回転円筒ターゲットの外径を300mmとし、従来型のダイバータターゲット(受熱表面)の熱流束を20MW/mとした場合の平衡温度を表1及び表2に示す。
【0017】
【表1】


【0018】
【表2】


【0019】
(c)トロイダル軸傾斜回転円筒型ダイバータ
図6に示されるように、ステンレス材SUSからなる中心材の周囲にCu材から構成される分割材が設けられ、その分割材中にCuからなる冷却管が配置され、冷却管内には冷却水が流されている。この分割材の外周がWからなる円筒材で囲まれている。回転円筒ターゲットが、液体金属Ga層を介して円筒材の外周に配置され、トリロイダル磁場により一定速度で回転される。核融合反応の結果生ずるプラズマ粒子が回転円筒ターゲットに入射しても回転円筒ターゲットが回転することによりその耐熱性が保持される。なお、トロイダル磁場方向は、図5に示されるトロイダル軸回転円筒型ダイバーダの配置図の紙面垂直方向である。
【0020】
トロイダル軸傾斜回転円筒型ダイバータの水冷管の材質を各々Cu及びSUSにした時の平衡温度を表3及び表4に示す。各層における熱流束の値は流路断面積に反比例的に増大するとした。SUS冷却管の場合には、Gaの平衡温度が高くなり、蒸気圧が1×10−3Paを超える可能性が高い。
【0021】
【表3】


【0022】
【表4】


【0023】
【実施例】
(実施例1)冷却管同軸回転円筒型ダイバータ
回転円筒型ターゲット(受熱表面)が液体金属層を介して単一の冷却管と同軸状に組み合わされている、本発明の冷却管同軸回転円筒型ダイバータの断面構造を図1に示す。これと同じ冷却管管径、配置間隔を有する従来の固定フラットプレート型ダイバータの断面構造を図2に示す。回転円筒型ターゲットが、ターゲット材の径方向の熱拡散速度に比べて十分早い速度で回転している場合、ターガット受熱面の最大熱流束およびスパッタによる表面損耗率は従来型の1/3、損耗率は1/3と見積もることができる。
【0024】
即ち、この見積は、次のようにして得られる。
【0025】
【数1】


ここで、Jo : 磁力線に直交面の熱流束
α : 冷却管の配列面に対する粒子入射角(― 6°)
Do: 冷却管の間隔
(実施例2)トロイダル軸回転円筒型ダイバータ
トロイダル軸回転円筒型ダイバータの配置図を図3及び図4に示す。図8に示されるように、トロイダル軸線上に分割配置された回転円筒ターゲットユニットが直列状に連結され、全体としてドーナッツ状のダイバータターゲットが形成される。各ユニットの回転円筒型ターゲットは、同じく円柱状の固定水冷基体の外周に配置される。回転円筒型ターゲットとフィーダ外周面との間には支持/シール機構を設け、ガリウムを封止する。ガリウムの蒸気圧は680℃で高々1×10−6 torrで、また回転中は違心力のためガリウムは受熱領域に向かって加圧状態となるため、ガリウムに対するシール部の封止性能は円筒型ターゲット(受熱板)回転中において優れた潤滑性能を有する利点がある。
【0026】
トロイダル軸回転円筒型ダイバータターゲットの利点は、
1)受熱面最大熱流速は、おおよそW/πDcに比例的で、従って冷却管同軸回転円筒型に比べてW/Dだけ大幅に低滅できる。
【0027】
ただし、W :回転円筒ターゲット面上の入熱巾、
Dc:回転円筒ターゲットの直径
2)ターゲット材表面損耗率もW/πDcに比例的に低減できる。
【0028】
3) ロウ付け方式の固定ターゲット方式に比べ受熱板の交換補修が容易である。
図4は、トロイダル軸回転円筒型ダイバータユニットの構造図である。主給水管であるフィーダーと同軸状に固定水冷基体を設け、その外周に回転円筒ターゲット(受熱板)を配置する。両者の間隙には液体金属を充填封入する。
【0029】
(実施例3)トロイダル傾斜軸回転円筒型ダイバータ
トロイダル傾斜軸回転円筒型の配置構成を図5及び図6に示す。ターゲット回転軸はトロイダル方向、磁力線に沿う向きに70°傾斜させた。この場合、円筒ターゲット受熱面位置における表面熱流束は、受熱巾での平均値で15MW/m2、最高値で29MW/m2となる。さらにセパラトリックスとダイバータターゲット配列面の交叉角θを60°に設定すると、これらの値は各々、13及び25MW/m2となる。また一瞬一瞬の照射領域は回転円筒ターゲットの直交断面において約60°の領域となる。
【0030】
図6は、トロイダル傾斜軸回転円筒型ダイバータの断面構造例を示す。往復4対、計8本の冷却管を銅ブロックまたはW−Cu中に埋め込んだ外径96mmの水冷管束を形成し、その外周をGaと反応しないタングステン層で被履する。その外周に、外径120mm、内径100mmのC/C材、SiC材等セラミックスよりなる回転円筒ターゲットを被せ、間隙にはGaを充填した構造とする。
【0031】
【発明の効果】
本発明の回転円筒型の駆動ターゲット方式を従来型の固定型ターゲット方式と比較して、冷却効率上のメリットの有無を検討した結果、本発明の駆動ターゲット方式は、静止させた冷却管の外周に、液体金属ガリウム層を介して回転円筒ターゲットを配置した構造により、(1)回転円筒型ターゲットの軸をトーラス接線方向に傾斜させたトロイダル傾斜軸型では、ターゲット受熱面の平均熱流速は、従来型の約1/8に低減でき、又 (2)ターゲット表面平衡温度は700℃以上と見積もられる。
【0032】
上記低減については、回転の時定数を調整することにより、加熱部を加熱面からすぐに移動させて冷却するので、加熱部表面への瞬間的な熱流速(受熱量)は、従来の平板型ターゲットプレート(固定型)に比較して1/3程度になる。更に、固定型の表面温度が1500℃まで上昇するのに対して、回転型ターゲットプレートは700℃程度とも見積もれることから、黒鉛製アーマータイルの損傷量は、アーマータイルの表面温度に比例し、そのため約1/3まで損耗量を低減化することができる。又、回転型ターゲットプレートの寿命を決める因子として、(1)熱流速及び(2)アーマータイル損耗にあることから、本発明の回転ターゲットプレートの寿命は両者の掛け算の1/3×1/3である1/8と推定できる。
【0033】
本発明の回転円筒ターゲットの周速度は、ターゲットの動径方向の熱時定数で決まり、このことから数回転/s以上の速度が必要である。そこで、本発明は、核融合炉発電システムヘの利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】回転円筒型ターゲットが液体金属層を介して単一の冷却管と同軸状に組み合わされ、周回する冷却管同軸回転円筒型ダイバータの断面構造を示す図である。
【図2】冷却管管径、配置間隔を有する従来の固定フラットプレート型ダイバータの断面構造を示す図である。
【図3】トロイダル軸回転円筒型ダイバータの配置構成を示す図である。
【図4】トロイダル軸回転円筒型ダイバータユニットの断面構造を示す図である。
【図5】トロイダル傾斜軸回転円筒型ダイバータの配置構成を示す図である。
【図6】トロイダル傾斜軸回転円筒型の断面構造を示す図である。
【図7】核融合炉の断面構造を示す図である。
【図8】真空容器内に配置された回転ダイバータを示す図である。
【出願人】 【識別番号】000004097
【氏名又は名称】日本原子力研究所
【出願日】 平成15年4月15日(2003.4.15)
【代理人】 【識別番号】100089705
【弁理士】
【氏名又は名称】社本 一夫

【識別番号】100076691
【弁理士】
【氏名又は名称】増井 忠弐

【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰

【識別番号】100080137
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 昭男

【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行

【識別番号】100092015
【弁理士】
【氏名又は名称】桜井 周矩

【公開番号】 特開2004−317227(P2004−317227A)
【公開日】 平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願番号】 特願2003−109976(P2003−109976)