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【発明の名称】 スターリングエンジン
【発明者】 【氏名】山本 康
【住所又は居所】神奈川県藤沢市土棚8番地 株式会社いすゞ中央研究所内

【要約】 【課題】作動気体の漏れを確実に防止することができるスターリングエンジンを提供する。

【解決手段】一対のディスプレーサシリンダと、一対のディスプレーサと、一対のディスプレーサの作動に伴って流動する作動気体が流出入するそれぞれ一対の膨張室および収縮室とを有するディスプレーサ機構と、該ディスプレーサ機構の一対の膨張室または収縮室の一方と連通するパワーシリンダと、該パワーシリンダ内に摺動可能に配設され第1の作動室と第2の作動室に区分するパワーピストンとを有するパワーピストン機構と、第1の作動室とディスプレーサ機構の一方の膨張室または収縮室の一方と連通する第1の連通路と、第2の作動室とディスプレーサ機構の他方の膨張室または収縮室の一方と連通する第2の連通路と、ディスプレーサを該パワーピストンと所定の位相差をもって作動するディスプレーサ作動機構とを具備するスターリングエンジン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のディスプレーサシリンダと、該一対のディスプレーサシリンダ内に摺動可能に配設された一対のディスプレーサと、該一対のディスプレーサの作動に伴って流動する作動気体が流出入するそれぞれ一対の膨張室および収縮室とを有するディスプレーサ機構と、
該ディスプレーサ機構の一対の膨張室または収縮室の一方と連通するパワーシリンダと、該パワーシリンダ内に摺動可能に配設され第1の作動室と第2の作動室に区分するパワーピストンとを有するパワーピストン機構と、
該パワーピストン機構の該第1の作動室と該ディスプレーサ機構の一方の膨張室または収縮室の一方と連通する第1の連通路と、
該パワーピストン機構の該第2の作動室と該ディスプレーサ機構の他方の膨張室または収縮室の一方と連通する第2の連通路と、
該ディスプレーサを該パワーピストンと所定の位相差をもって作動するディスプレーサ作動機構と、を具備する、
ことを特徴とするスターリングエンジン。
【請求項2】
該ディスプレーサ作動機構は、該一対のディスプレーサにそれぞれ配設された磁石可動体と、該一対のディスプレーサシリンダにそれぞれ配設され該磁石可動体をそれぞれ包囲して配置された筒状の固定ヨークと、該固定ヨークの内側にそれぞれ配設された一対のコイルとを具備している、請求項1記載のスターリングエンジン。
【請求項3】
該一対のディスプレーサは連結ロッドによって互いに連結されており、
該ディスプレーサ作動機構は、該一対のディスプレーサの一方に配設された磁石可動体と、該一対のディスプレーサシリンダの一方に配設され該磁石可動体をそれぞれ包囲して配置された筒状の固定ヨークと、該固定ヨークの内側にそれぞれ配設された一対のコイルとを具備している、請求項1記載のスターリングエンジン。
【請求項4】
該一対のディスプレーサは連結ロッドによって互いに連結されており、
該ディスプレーサ作動機構は、該一対のディスプレーサに連結された可動ヨークと、該可動ヨークを包囲して配設された電磁コイルとを具備している、請求項1記載のスターリングエンジン。
【請求項5】
該一対のディスプレーサに所定の振動周期を作用せしめるメカニカルスプリング手段を備えている、請求項1記載のスターリングエンジン。
【請求項6】
該メカニカルスプリング手段は、該一対のディスプレーサを中立位置に向けて付勢する一対のスプリングからなる、請求項5記載のスターリングエンジン。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スターリングエンジンに関し、更に詳しくは作動気体の漏れを防止することができるディスプレーサ式のスターリングエンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
ディスプレーサ式のスターリングエンジンは、ディスプレーサシリンダと、該ディスプレーサシリンダ内に摺動可能に配設されたディスプレーサと、該ディスプレーサの作動に伴って流動する作動気体が流出入する膨張室および収縮室と、該膨張室または該収縮室の一方と連通する作動室と、該作動室内の作動気体の圧力変化に対応して作動せしめられるパワーピストンと、該ディスプレーサを該パワーピストンと所定の位相差をもって作動するディスプレーサ作動機構とを具備しており、上記ディスプレーサシリンダおよび作動室内には作動気体が収容されている。このようなスターリングエンジンは、作動気体が加熱・冷却されることによる膨張・収縮に伴う上記作動室内の圧力変化に対応してパワーピストンを作動するようになっている。従って、スターリングエンジンに用いられる作動気体としては、熱効率を向上させるために水素やヘリウム等の比熱の小さい気体が用いられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
而して、スターリングエンジンの作動気体として用いられる水素やヘリウム等の比熱の小さい気体は、分子の大きさが小さいため摺動部から漏れ易く、一般に摺動部に装着されるシールでは作動気体の漏れを防ぐことが困難である。
【0004】
本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、その主たる技術的課題は、作動気体の漏れを確実に防止することができるスターリングエンジンを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記主たる技術的課題を解決するために、本発明によれば、一対のディスプレーサシリンダと、該一対のディスプレーサシリンダ内に摺動可能に配設された一対のディスプレーサと、該一対のディスプレーサの作動に伴って流動する作動気体が流出入するそれぞれ一対の膨張室および収縮室とを有するディスプレーサ機構と、
該ディスプレーサ機構の一対の膨張室または収縮室の一方と連通するパワーシリンダと、該パワーシリンダ内に摺動可能に配設され第1の作動室と第2の作動室に区分するパワーピストンとを有するパワーピストン機構と、
該パワーピストン機構の該第1の作動室と該ディスプレーサ機構の一方の膨張室または収縮室の一方と連通する第1の連通路と、
該パワーピストン機構の該第2の作動室と該ディスプレーサ機構の他方の膨張室または収縮室の一方と連通する第2の連通路と、
該ディスプレーサを該パワーピストンと所定の位相差をもって作動するディスプレーサ作動機構と、を具備する、
ことを特徴とするスターリングエンジンが提供される。
【0006】
上記ディスプレーサ作動機構は、上記一対のディスプレーサにそれぞれ配設された磁石可動体と、一対のディスプレーサシリンダにそれぞれ配設され磁石可動体をそれぞれ包囲して配置された筒状の固定ヨークと、該固定ヨークの内側にそれぞれ配設された一対のコイルとを具備している。また、上記一対のディスプレーサは連結ロッドによって互いに連結されており、上記ディスプレーサ作動機構は上記一対のディスプレーサの一方に配設された磁石可動体と、一対のディスプレーサシリンダの一方に配設され磁石可動体をそれぞれ包囲して配置された筒状の固定ヨークと、該固定ヨークの内側にそれぞれ配設された一対のコイルとを具備している。更に、上記一対のディスプレーサは連結ロッドによって互いに連結されており、上記ディスプレーサ作動機構は上記一対のディスプレーサに連結された可動ヨークと、該可動ヨークを包囲して配設された電磁コイルとを具備している。
【0007】
また、スターリングエンジンは、上記一対のディスプレーサに所定の振動周期を作用せしめるメカニカルスプリング手段を備えている。このメカニカルスプリング手段は、一対のディスプレーサを中立位置に向けて付勢する一対のスプリングからなっている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に従って構成されたスターリングエンジンの好適実施形態を図示している添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0009】
図1には、本発明に従って構成されたスターリングエンジンの一実施形態の断面図が示されている。
図1に示す実施形態のスターリングエンジンは、ディスプレーサ機構2とパワーピストン機構3とを具備している。ディスプレーサ機構2は、図示の実施形態においてはパワーピストン機構3の両側に対向して配設された一対のディスプレーサシリンダ21a、21bと、該一対のディスプレーサシリンダ21a、21b内にそれぞれ摺動可能に配設された一対のディスプレーサ22a、22bを備えている。このように、それぞれ一対のディスプレーサ22a、22bが摺動可能に配設された一対のディスプレーサシリンダ21aおよび21b内には、それぞれ膨張室211aと収縮室212aおよび膨張室211bと収縮室212bが形成される。なお、図示の実施形態においては、一方のディスプレーサシリンダ21aに形成される膨張室211aと他方のディスプレーサシリンダ21bに形成される膨張室211bとが対向して配設されている。上記一対のディスプレーサシリンダ21a、21bは、図示の実施形態においてはアルミ合金等の非磁性材料によってされている。また、一対のディスプレーサ22aおよび22bは、それぞれ両側板221a、222aおよび両側板221b、222bと、該両側板221a、222aおよび両側板221b、222b間に断熱材によって円環状に形成された断熱リングと金網とを交互に重ね合わせて構成された再生器223aおよび223bとからなっている。なお、両側板221a、222aおよび両側板221b、222bには、それぞれ複数個の流通穴224a、225aおよび224b、225bが形成されている。なお、図示の実施形態においては、一対のディスプレーサシリンダ21a、21bの膨張室211a、211b側の周囲にはそれぞれ加熱室23a、23bが形成され、この加熱室23a、23bにそれぞれ加熱流体が流れるようになっている。
【0010】
上記パワーピストン機構3は、アルミ合金等の非磁性材料によって形成されたパワーシリンダ31と、該パワーシリンダ31内に摺動可能に配設された非磁性材料からなるパワーピストン32とからなっている。このようにパワーピストン32が配設されたパワーシリンダ31内には、パワーピストン32の両側に第1の作動室31aと第2の作動室31bが形成される。この第1の作動室31aと第2の作動室31bは、それぞれ第1の連通路25aと第2の連通路25bによって上記一方のディスプレーサシリンダ21aの膨張室211aと他方のディスプレーサシリンダ21bの膨張室211bに連通している。
【0011】
以上のように、一対のディスプレーサシリンダ21a、21bとパワーシリンダ31および第1の連通路25aと第2の連通路25bは密閉空間を形成している。このように密閉された一対のディスプレーサシリンダ21a、21bとパワーシリンダ31の第1の作動室31a、第2の作動室31bおよび第1の連通路25a、第2の連通路25b内には、水素やヘリウム等の比熱の小さい作動気体が充填されている。
【0012】
図示の実施形態におけるスターリングエンジンは、上記一対のディスプレーサ22a、22bをそれぞれパワーピストン32と所定の位相差をもって作動する一対のディスプレーサ作動機構4a、4bを具備している。この一対のディスプレーサ作動機構4a、4bは、上記一対のディスプレーサシリンダ21a、21bのそれぞれ外側の端壁に装着された非磁性材からなるケース41a、41bと、一対のディスプレーサ22a、22bにそれぞれ連結され上記端壁を貫通しケース41a、41b内に挿入して配設された非磁性材からなる作動ロッド42a、42bと、該作動ロッド42a、42bの外周面にそれぞれ配設された磁石可動体43a、43bと、該磁石可動体43a、43bをそれぞれ包囲して上記ケース41a、41bの内側に配設された筒状の固定ヨーク44a、44bと、該固定ヨーク44a、44bの内側に軸方向にそれぞれ併設された一対のコイル45a、46aおよび45b、46bとを具備している。
【0013】
上記磁石可動体43a、43bは、作動ロッド42a、42bの外周面に装着され軸方向両端面に磁極を備えた環状の永久磁石431a、431bと、該永久磁石431a、431bの軸方向外側に配設された一対の可動ヨーク432a、433aおよび432b、433bとによって構成されている。図示の実施形態における永久磁石431a、431bは、それぞれ図おいて右端面がN極に着磁され、図において左端面がS極に着磁されている。上記一対の可動ヨーク432a、433aおよび432b、433bは、磁性材によって環状に形成されている。
【0014】
上記固定ヨーク44a、44bは、磁性材によって筒状に形成されている。この固定ヨーク44a、44bの内側にそれぞれ一対のコイル45a、46aおよび45b、46bが配設されている。この一対のコイル45a、46aおよび45b、46bは、それぞれ合成樹脂等の非磁性材によって形成され上記固定ヨーク44a、44bの内周に沿ってそれぞれ装着されたボビン47aおよび47bに互いに逆巻きに捲回されている。一対のコイル45a、46aおよび45b、46bは、後述する制御手段10によって印加電流の方向を切り替え制御されるようになっている。
【0015】
上述したように磁石可動体43a、43bと固定ヨーク44a、44bおよび一対のコイルコイル45a、46aおよび45b、46bとによって構成されたディスプレーサ作動機構4a、4bは、リニアモータの原理によって作動する。以下その作動について図2を参照して説明する。なお、ディスプレーサ作動機構4aと4bは、実質的に同一の構成であるため、図2においては一方のディスプレーサ作動機構4aについて説明する。
図示の実施形態におけるディスプレーサ作動機構4aと4bにおいては、図2の(a)および図2の(b)に示すように永久磁石431a(431b)のN極、一方の可動ヨーク432a(432b)、一方のコイル45a(45b)、固定ヨーク44a(44b)、他方のコイル46a(46b)、他方の可動側ヨーク433a(433b)永久磁石431a(431b)のS極を通る磁気回路が形成される。このような状態において、一対のコイル45a、46a(45b、46b)に図2の(a)で示す方向にそれぞれ反対方向の電流を流すと、フレミングの左手の法則に従って磁石可動体43a(43b)即ちディスプレーサ22a(22b)には図2の(a)において矢印で示すように右方に推力が発生する。一方、一対のコイル45a、46a(45b、46b)に図2の(b)で示すように図2の(a)と反対方向に電流を流すと、フレミングの左手の法則に従って磁石可動体43a(43b)即ちディスプレーサ22a(22b)には図2の(b)において矢印で示すように左方に推力が発生する。
【0016】
図1に示す実施形態のスターリングエンジンは、上記一対のディスプレーサ22a、22bの作動位置をそれぞれ検出するディスプレーサ位置検出手段5a、5bを備えている。このディスプレーサ位置検出手段5a、5bは、それぞれ一端がディスプレーサ22a、22bに連結された作動子51a、51bの移動位置を検出するストロークセンサーからなっており、その検出信号を後述する制御手段10に送る。このディスプレーサ位置検出手段5a、5bとしてのストロークセンサーの出力値について、図3を参照して説明する。図3において横軸はディスプレーサ22a、22b即ち作動子51a、51bのストロークを示し、縦軸は電圧値を示している。図3に示すようにストロークセンサーは、ディスプレーサ22a、22b即ち作動子51a、51bのストロークに比例した電圧値を出力するようになっている。なお、図3の横軸においてL1は戻り側フルストローク位置であり、L10は送り側フルストローク位置である。
【0017】
図1に示す実施形態のスターリングエンジンは、上記一対ディスプレーサ22a、22bに所定の振動周期を作用せしめるメカニカルスプリング手段6a、6bを備えている。このメカニカルスプリング手段6a、6bはディスプレーサ22a、22bのそれぞれ両側に配設された一対のコイルスプリング61a、62aおよび61b、62bからなり、この一対のスプリング61a、62aおよび61b、62bはディスプレーサ22a、22bを互いに中立位置に向けて付勢している。この一対のコイルスプリング61a、62aおよび61b、62bとディスプレーサ22a、22bの質量で振動周期が決まる。従って、一対のコイルスプリング61a、62aおよび61b、62bとディスプレーサ22a、22bの質量で決まる所定周期でディスプレーサ22a、22bを作動することにより、上記ディスプレーサ作動機構4aと4bによる駆動力は極めて小さくてよい。即ち、ディスプレーサ作動機構4aと4bにより上記所定周期でディスプレーサ5を作動すると、単振動により一対のコイルスプリング61a、62aおよび61b、62bの振幅即ちディスプレーサ22a、22bの移動幅は徐々に増加して所定値に達し、定常運転になる。その後は、一対のコイルスプリング61a、62aおよび61b、62bの作用によりディスプレーサ22a、22bは所定周期で作動されるが、空気抵抗などによる減衰があるため、この減衰分をディスプレーサ作動機構4aと4bによる駆動力で補えばよい。
【0018】
制御手段10はマイクロコンピュータによって構成されバッテリー11に接続されており、制御プログラムに従って演算処理する中央処理装置(CPU)と、制御プログラム等を格納するリードオンリメモリ(ROM)と、演算結果等を格納する読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)と、上記ディスプレーサ作動機構4a、4bの一対のコイル45a、46aおよび45b、46bを駆動する駆動回路等を備えている。制御手段10は、上記ディスプレーサ位置検出手段5a、5bによって検出されたディスプレーサ22a、22bの作動位置信号に基づいて、上記ディスプレーサ作動機構4aと4bを構成する一対のコイル45a、46aおよび45b、46bへの駆動電流を制御する。
【0019】
上記パワーピストン機構3を構成するパワーピストン32とパワーシリンダ31には、発電機12が配設されている。この発電機12は図示の実施形態においてはリニア発電機からなっており、パワーピストン32の外周面に配設された環状の永久磁石121と、該永久磁石121の両側に配設された磁性材からなる環状のポールピース122、123と、パワーシリンダ31の外周面に永久磁石121を包囲して配設された発電コイル124とによって構成されている。このように構成された発電機12は、パワーピストン32即ち永久磁石121が図1において左右に往復動することにより発電し、その発電電力を上記バッテリー11に充電する。
【0020】
図1に示す実施形態のスターリングエンジンは以上のように構成されており、以下その作動について図4に示すフローチャートおよび図5に示す作動状態を示す説明図をも参照して説明する。
図1は始動前の状態を示しており、ディスプレーサ22a、22bは一対のコイルスプリング61a、62aおよび61b、62bの作用によってそれぞれ中立位置に位置付けられている。図1の状態からスターリングエンジンを起動するには、制御手段10はディスプレーサ22a、22bを図において右方に作動するようにディスプレーサ作動機構4a、4bを駆動せしめする(ステップS1)。即ち、制御手段10はディスプレーサ作動機構4a、4bを構成する一対のコイル45a、46aおよび45b、46bに図2の(a)で示す方向にそれぞれ反対方向の電流を印加するように制御する。この結果、磁石可動体43a、43b即ちディスプレーサ22a、22bは図5(a)に示すように右方に移動する。このディスプレーサ22a、22bの右方への移動により、一方のディスプレーサシリンダ21aの収縮室212a内の作動気体はディスプレーサ22aを通して膨張室211aに流入され、他方のディスプレーサシリンダ21bの膨張室211b内の作動気体はディスプレーサ22bを通して収縮室212bに流入される。このとき、一方のディスプレーサシリンダ21aの収縮室212a内で冷却されていた作動気体は上述したようにディスプレーサ22aを構成す再生器223aを通過する際に熱交換されて加熱される。また、他方のディスプレーサシリンダ21bの膨張室211b内で加熱されていた作動気体は上述したようにディスプレーサ22bを構成する再生器223bを通過する際に熱交換されて冷却される。このように一方のディスプレーサ22aが右方に移動して作動気体が膨張室211aに流入すると、作動気体は加熱室23aを流れる加熱流体によって加熱され膨張するため、第1の連通路25aを通してパワーシリンダ31の第1の作動室31aに流入する。この結果、パワーピストン32は図5(a)に示すように左方に移動する。一方、他方のディスプレーサ22bが右方に移動して作動気体が収縮室212bに流入すると、作動気体は空冷または適宜の冷却手段によって冷却され収縮するため、パワーシリンダ31の第2の作動室31bの作動気体は第2の連通路25bを通して吸引される。この結果、パワーピストン32は図5(a)に示すように左方に移動する。
【0021】
上述したようにステップS1において一対のディスプレーサ22a、22bを図において右方に作動するようにディスプレーサ作動機構4a、4bを駆動せしめたならば、制御手段10はステップS2に進んでディスプレーサ位置検出手段5a、5bからの検出信号に基づいて、ディスプレーサ22a、22bのストローク位置Lが送り側フルストローク位置L10より所定量手前のしきい値となるストローク位置L9より大きいか否か(L>L9)をチェックする。ストローク位置LがL9より大きくなければ、制御手段10はステップS3に進んでディスプレーサ22a、22bのストローク位置Lが戻り側フルストローク位置L1より所定量手前のしきい値となるストローク位置L2より小さいか否か(L<L2)をチェックする。今回はディスプレーサ22a、22bが送り側に移動しているのでストローク位置LがL2より小さいことはないので、制御手段10は上記ステップS2に戻る。
【0022】
上記ステップS2においてストローク位置LがL9より大きいならば、制御手段10はディスプレーサ22a、22bが図5(a)に示す膨張終了時の位置より所定量手前の位置を越えたものと判断し、ステップS4に進んでディスプレーサ22a、22bを図において左方に作動するようにディスプレーサ作動機構4a、4bを駆動せしめする。即ち、制御手段10はディスプレーサ作動機構4a、4bを構成する一対のコイル45a、46aおよび45b、46bに図2の(b)で示す方向にそれぞれ反対方向の電流を印加するように制御する。この結果、磁石可動体43a、43b即ちディスプレーサ22a、22bは図5(b)に示すように左方に移動する。このディスプレーサ22a、22bの左方への移動により、一方のディスプレーサシリンダ21aの膨張室211a内の作動気体はディスプレーサ22aを通して収縮室212aに流入され、他方のディスプレーサシリンダ21bの収縮室212b内の作動気体はディスプレーサ22bを通して膨張室211bに流入される。このとき、一方のディスプレーサシリンダ21aの膨張室211a内で加熱されていた作動気体は上述したようにディスプレーサ22aを構成す再生器223aを通過する際に熱交換されて冷却される。また、他方のディスプレーサシリンダ21bの収縮室212b内で冷却されていた作動気体は上述したようにディスプレーサ22bを構成す再生器223bを通過する際に熱交換されて加熱される。このように一方のディスプレーサ22aが左方に移動して作動気体が収縮室212aに流入すると、作動気体は空冷または適宜の冷却手段によって冷却され収縮するため、パワーシリンダ31の第1の作動室31aの作動気体は第1の連通路25aを通して吸引される。この結果、パワーピストン32は図5(b)に示すように右方に移動する。一方、他方のディスプレーサ22bが左方に移動して作動気体が膨張室211bに流入すると、加熱室23bを流れる加熱流体によって加熱され膨張するため、第2の連通路25bを通してパワーシリンダ31の第2の作動室31bに流入する。この結果、パワーピストン32は図5(b)に示すように右方に移動する。
【0023】
一方、上述したようにステップS4において一対のディスプレーサ22a、22bを図において左方に作動するようにディスプレーサ作動機構4a、4bを駆動せしめたならば、制御手段10は上記ステップS2に戻ってディスプレーサ22a、22bのストローク位置Lが送り側フルストローク位置L10より所定量手前のしきい値となるストローク位置L9より大きいか否かをチェックする。今回はディスプレーサ22a、22bが戻り側に移動しているのでストローク位置LがL9より大きいことはないので、制御手段10は上記ステップS3に進んでディスプレーサ22a、22bのストローク位置Lが戻り側フルストローク位置L1より所定量手前のしきい値となるストローク位置L2より小さいか否かをチェックする。ストローク位置LがL2より小さくなければ、制御手段10はディスプレーサ22a、22bが未だL2に達していないと判断し、上記ステップS2に戻ってステップS2およびステップS3を繰り返し実行する。ステップS3においてディスプレーサ22a、22bのストローク位置LがL2より小さいならば、制御手段10はディスプレーサ22a、22bがL2を越えたと判断し、ステップS5に進んでディスプレーサ22a、22bを図において右方に作動するようにディスプレーサ作動機構4a、4bを駆動せしめるように一対のコイル45a、46aおよび45b、46bに図2の(a)で示す方向にそれぞれ反対方向の電流を印加するように制御する。
【0024】
以上のサイクルを繰り返すことにより、パワーピストン32を往復運動することができる。パワーピストン32が往復運動することによって発電機12が発電し、その発電電力は上記バッテリー11に充電される。図示の実施形態におけるスターリングエンジンにおいては、一対のディスプレーサシリンダ21a、21bとパワーシリンダ31と第1の連通路25aおとび第2の連通路25bは密閉空間を形成しているので、作動流体の漏れを確実に防止することができる。また、図示の実施形態におけるスターリングエンジンにおいては、一対のディスプレーサ22a、22bは一対のコイルスプリング61a、62aおよび61b、62bの作用により所定周期で作動されるので、ディスプレーサ22a、22bを所定周期で作動するディスプレーサ作動機構4a、4bは空気抵抗などによる減衰分を補う駆動力でよく、ディスプレーサ作動機構4a、4bを作動する駆動力を減少することが可能となる。なお、上記一対のディスプレーサ22a、22bを連結ロッドで連結し一体的に作動するように構成すれば、ディスプレーサ作動機構は何れか1個でもよい。
【0025】
次に、本発明に従って構成されたスターリングエンジンの他の実施形態について、図6を参照して説明する。なお、図6の実施形態においては上記図1に示すスターリングエンジンの各構成部材と同一部材には同一符号を付して、その説明は省略する。
図6に示すスターリングエンジンは、一対のディスプレーサ22aと22bを連結ロッド7によって連結し、一対のディスプレーサ22a、22bをパワーピストン32と所定の位相差(180度)をもって作動するディスプレーサ作動機構を電磁ソレノイド8a、8bによって構成したものであり、その他の構成は図1の実施形態と実質的に同一である。なお、図示の実施形態においては、一対のディスプレーサ22a、22bが連結ロッド7によって連結されているので、メカニカルスプリング手段6a、6bとしては、一対のディスプレーサ22aと22bの両外側に配設された一対のコイルスプリング61a、62bとからなっている。ディスプレーサ作動機構としての電磁ソレノイド8a、8bは、一対のディスプレーサシリンダ21a、21bのそれぞれ外側の端壁に装着された磁性材からなるケース81a、81bと、該ケース81a、81bの端壁811a、811bの内壁に突出して形成された固定ヨーク82a、82bと、ディスプレーサ22a、22bに連結されディスプレーサシリンダ21a、21bのそれぞれ外側の端壁を貫通しケース81a、81bに挿入し固定ヨーク82a、82bと対向して配設された可動ヨーク83a、83bと、ケース82a、82b内に配設されボビン84a、84bに捲回された励磁コイル85a、85bとからなっている。
【0026】
以上のように構成されたディスプレーサ作動機構としての電磁ソレノイド8a、8bは、電磁ソレノイド8aの励磁コイル85aが制御手段10により制御されて励磁すると、可動ヨーク83aが図において右方に移動してディスプレーサ22a、22bが右方に作動せしめられる。また、電磁ソレノイド8bの励磁コイル85bが制御手段10により制御されて励磁すると、可動ヨーク83bが図において左方に移動してディスプレーサ22a、22bが左方に作動せしめられる。スターリングエンジンの作動時において、ディスプレーサ22a、22bは一対のスプリング61a、62bの作用によりディスプレーサ22a、22bは所定周期で作動されるので、ディスプレーサ2a、22bの減衰を補う程度に電磁ソレノイド8a、8bを駆動すればよい。
【0027】
次に、本発明に従って構成されたスターリングエンジンの更に他の実施形態について、図7を参照して説明する。なお、図7に示すスターリングエンジンは、上記図1に示す実施形態におけるパワーピストン機構3を構成するパワーピストン32とパワーシリンダ31に配設された発電機12に代えて磁気駆動機構13を配設したものである。図示の磁気駆動機構13は、パワーピストン32の外周に所定の間隔をおいて配設された一対の環状の永久磁石131、132を備えている。なお、図示の実施形態においては、一方の永久磁石131は図において左側がN極に右側がS極に設定されており、他方の永久磁石132は図において右側がN極に左側がS極に設定されている。このように配置された一対の永久磁石131、132の軸方向両側および永久磁石131と132との間に磁性材からなる環状のポールピース133、134、135が配設されている。一方、上記パワーシリンダ31の外周には磁性材からなる環状にコア136が軸方向に摺動可能に配設されている。このコア136の内周面には、上記ポールピース133、134、135と対向する環状突出部136a、136b、136cが形成されている。また、コア136の内周面両側には、環状のスライドブッシュ137、138が装着されている。なお、コア136の外周面には、図示しない被作動物と連結する駆動ロッド139が装着されている。
【0028】
以上のように構成された磁気駆動機構13は、パワーピストン32に配設された一対の永久磁石131、132およびポールピース133、134、135とパワーシリンダ31に配設されたコア136間には、図において矢印で示す磁気回路が形成される。従って、パワーピストン32が図において左右に移動すると、上記磁気回路に起因する磁力によってコア136が追従して移動する。この結果、コア136に装着された駆動ロッド139を介して図示しない被作動物を作動することができる。
【0029】
なお、図7に示す実施形態においては、パワーピストン32に永久磁石131、132とポールピース133、134、135を配設し、パワーシリンダ31にコア136を配設した構成をしめしたが、パワーシリンダ31に永久磁石を配設し、パワーピストン32にコアを配設してもよい。
【0030】
以上、本発明を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は実施例に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、図示の実施形態においてはパワーピストン機構3を構成するパワーシリンダ31の第1の作動室31aと第2の作動室31bをディスプレーサシリンダ21a、21bの膨張室211a、膨張室211bと連通した例を示したが、ディスプレーサシリンダの21a、21bの膨張室211a、211bと収縮室212a、212bを逆にして第1の作動室と第2の作動室を収縮室と連通する構成としてもよい。
【0031】
【発明の効果】
本発明によるスターリングエンジンは以上のように構成されているので、以下に述べる作用効果を奏する。
即ち、ディスプレーサ機構を構成す一対のディスプレーサシリンダとパワーピストン機構を構成するパワーシリンダおよびパワーピストン機構の第1の作動室とディスプレーサ機構の一方の膨張室または収縮室の一方と連通する第1の連通路と、パワーピストン機構の第2の作動室とディスプレーサ機構の他方の膨張室または収縮室の一方と連通する第2の連通路とは密閉空間を形成しているので、作動流体の漏れを確実に防止することができる。従って、作動流体の漏れ補充するための作動流体タンクも不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って構成されたスターリングエンジンの一実施形態を示す断面図。
【図2】本発明に従って構成されたスターリングエンジンを構成するディスプレーサ作動機構の作動説明図。
【図3】本発明に従って構成されたスターリングエンジンを構成するディスプレーサ位置検出手段の出力信号を示す説明図。
【図4】本発明に従って構成されたスターリングエンジンを構成する制御手段の動作手順を示すフローチャート。
【図5】図1に示すスターリングエンジンの作動状態を示す説明図。
【図6】本発明に従って構成されたスターリングエンジンの他の実施形態を示す断面図。
【図7】本発明に従って構成されたスターリングエンジンの更に他の実施形態を示す要部断面図。
【符号の説明】
2:ディスプレーサ機構
21a、21b:ディスプレーサシリンダ
211a、211b:膨張室
212a、212b:収縮室
22a、22b:ディスプレーサ
23a、23b:加熱室
3:パワーピストン機構
31:パワーシリンダ
31a:第1の作動室
31b:第2の作動室
32:パワーピストン
4a、4b:ディスプレーサ作動機構
41a、41b:ケース
42a、42b:作動ロッド
43a、43b:磁石可動体
44a、44b:固定ヨーク
45a、46a:一対のコイル
45b、46b:一対のコイル
5a、5b:ディスプレーサ位置検出手段
6a、6b:メカニカルスプリング手段
61a、62a:一対のコイルスプリング
61b、62b:一対のコイルスプリング
7:連結ロッド
8a、8b:電磁ソレノイド(ディスプレーサ作動機構)
81a、81b:ケース
82a、82b:固定ヨーク
83a、83b:可動ヨーク
84a、84b:ボビン
85a、85b:励磁コイル
10:制御手段
11:バッテリー
12:発電機
121:永久磁石
122、123:ポールピース
124:発電コイル
13:磁気駆動機構
131、132:一対の永久磁石
133、134、135:ポールピース
136:コア
137138:スライドブッシュ
139:駆動ロッド
【出願人】 【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
【住所又は居所】東京都品川区南大井6丁目26番1号
【出願日】 平成14年8月29日(2002.8.29)
【代理人】 【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純

【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子

【公開番号】 特開2004−92406(P2004−92406A)
【公開日】 平成16年3月25日(2004.3.25)
【出願番号】 特願2002−250943(P2002−250943)