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【発明の名称】 スターリング機関
【発明者】 【氏名】北村 義之
【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内

【氏名】吉村 和士
【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内

【氏名】高井 健二
【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内

【氏名】山上 真司
【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内

【氏名】安村 浩至
【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内

【氏名】坂元 仁
【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内

【要約】 【課題】本発明は、作動ガスの熱交換効率が高く、かつ装置の組立てが容易なスターリング機関を提供することを目的とする。

【解決手段】本発明は、ピストン5とディスプレーサ3の往復運動に伴う作動ガスの圧縮・膨張を利用して低温を得るスターリング冷凍機において、ディスプレーサ3と同心的に配設されたスタッファ11及びシリンダ2の外周部に溝部を設けて弾性体15を配設することで、スタッファ11及びシリンダ2と圧接リング12a、12bを弾接的に配設した構成としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に作動ガスを封入した圧力容器と、該圧力容器内部を作動空間と背圧空間に仕切るピストンと、該ピストンと同軸上に配設され、前記作動空間を圧縮空間と膨張空間に仕切るディスプレーサと、該ディスプレーサを同心的に取り囲む筒状部材と、前記圧力容器と前記筒状部材との間にて、前記圧縮空間と前記膨張空間を繋ぐ作動ガス経路に配設された熱交換器と、前記筒状部材と前記熱交換器との間に配設され、前記熱交換器を前記圧力容器に押しつけることで両者間の隙間をなくす圧接リングと、を有し、前記ピストンと前記ディスプレーサの往復運動に伴う前記作動ガスの圧縮・膨張を利用して低温または動力を得るスターリング機関において、
前記筒状部材と前記圧接リングとを弾接的に配設したことを特徴とするスターリング機関。
【請求項2】
前記筒状部材の外周部には、前記圧接リングとの接触箇所に溝部が設けられており、該溝部には弾性体が配設されていることを特徴とする請求項1に記載のスターリング機関。
【請求項3】
前記筒状部材の外周部は、少なくとも前記圧接リングとの接触箇所が弾性体で形成されており、内周部は剛性体で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスターリング機関。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ピストンとディスプレーサの往復運動に伴う作動ガスの圧縮・膨張を利用して低温または動力を得るスターリング機関に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3はスターリング冷凍機の一従来構成を示す概略断面図である。本図に示すスターリング冷凍機は、作動ガスが充填された圧力容器1内に、シリンダ2と、ディスプレーサ3と、ディスプレーサロッド4と、ピストン5と、ディスプレーサ支持バネ6と、ピストン支持バネ7と、リニアモータ10と、スタッファ11と、圧接リング12a、12bと、吸熱部13aと、放熱部13bと、再生器14と、を有して成る。圧力容器1の内部空間は、同一軸上に配設されたピストン5及びディスプレーサ3によって、作動空間(圧縮空間8a・膨張空間8b)と背圧空間9に仕切られている。なお、圧縮空間8aと膨張空間8bは、吸熱部13a、再生器14、及び放熱部13bによって繋がれた閉回路とされている。
【0003】
上記構成から成るスターリング冷凍機では、ピストン5とディスプレーサ3の往復運動に伴う作動ガスの圧縮・膨張を利用して低温を得ることができる。ここで、スターリング冷凍機の冷却能力を向上するためには、吸熱部13a及び放熱部13bに作動ガスを余さず通して、その熱交換効率を高める必要がある。そのため、吸熱部13aとスタッファ11との間には、吸熱部13aを圧力容器1に押しつけて両者間の隙間をなくす圧接リング12aが挿入されている。同様に、放熱部13bとシリンダ2との間には、放熱部13bを圧力容器1に押しつけて両者間の隙間をなくす圧接リング12bが挿入されている。なお、圧接リング12a、12bは、いずれもステンレス鋼製である。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−349247号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
確かに、上記構成から成るスターリング冷凍機であれば、作動ガスが吸熱部13aと圧力容器1との隙間や、放熱部13bと圧力容器1との隙間をすり抜けて再生器14に不正流入するおそれを低減することができるので、スターリング冷凍機の冷却能力をある程度向上することが可能である。
【0006】
しかし、上記構成から成るスターリング冷凍機では、圧接リング12a、12bとスタッファ11及びシリンダ2がいずれも剛性体で形成されていたため、各基幹部材間(圧力容器1−吸熱部13a−圧接リング12a−スタッファ11−ディスプレーサ3間、及び圧力容器1−放熱部13b−圧接リング12b−シリンダ2−ディスプレーサ3間)の同軸度が狂うと、圧接リング12a、12bとスタッファ11及びシリンダ2との間に隙間が生じ、そこから作動ガスが再生器14に不正流入して、スターリング冷凍機の冷却能力が低下してしまうおそれがあった。そのため、上記構成から成るスターリング冷凍機では、各基幹部材間の同軸度を高精度に維持しなければならず、装置の組立てが非常に難しかった。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑み、作動ガスの熱交換効率が高く、かつ装置の組立てが容易なスターリング機関を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係るスターリング機関は、内部に作動ガスを封入した圧力容器と、該圧力容器内部を作動空間と背圧空間に仕切るピストンと、該ピストンと同軸上に配設され、前記作動空間を圧縮空間と膨張空間に仕切るディスプレーサと、該ディスプレーサを同心的に取り囲む筒状部材と、前記圧力容器と前記筒状部材との間にて、前記圧縮空間と前記膨張空間を繋ぐ作動ガス経路に配設された熱交換器と、前記筒状部材と前記熱交換器の間に配設され、前記熱交換器を前記圧力容器に押しつけることで両者間の隙間をなくす圧接リングと、を有し、前記ピストンと前記ディスプレーサの往復運動に伴う前記作動ガスの圧縮・膨張を利用して低温または動力を得るスターリング機関において、前記筒状部材と前記圧接リングを弾接的に配設した構成としている。
【0009】
より具体的に述べると、前記筒状部材の外周部には、前記圧接リングとの接触箇所に溝部を設け、該溝部に弾性体を配設した構成とすればよい。或いは、前記筒状部材の外周部について、少なくとも前記圧接リングとの接触箇所を弾性体で形成し、内周部を剛性体で形成した構成としてもよい。
【0010】
このような構成とすることにより、各基幹部材間の同軸度が多少狂ったとしても、圧接リングと筒状部材とのシール性は弾性体により保持されることになる。従って、作動ガスの熱交換効率を高めて装置の冷却能力向上を図ることが可能となる。また、各基幹部材の組立て精度を多少緩和しても、その同軸度を維持することができるので、装置の組立性向上を図ることも可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
まず、本発明に係るスターリング冷凍機の第1実施形態について説明する。図1は本発明に係るスターリング冷凍機の第1実施形態を示す概略断面図である。本図に示すスターリング冷凍機はフリーピストン型であり、外枠となる圧力容器1の内部空間は、同一軸上に配設されたピストン5及びディスプレーサ3によって、作動空間(圧縮空間8a・膨張空間8b)と背圧空間9に仕切られている。なお、圧力容器1には、高圧の作動ガス(ヘリウムガス等)が充填されており、圧縮空間8aと膨張空間8bは、吸熱部13a、再生器14、及び放熱部13bによって繋がれた閉回路とされている。
【0012】
リニアモータ10によってシリンダ2の内側を軸方向に往復摺動されるピストン5は、その後端部に接続されたピストン支持バネ7を介して圧力容器1に弾性支持されている。なお、シリンダ2は圧力容器1に固定支持されている。
【0013】
作動ガスの圧力変化によってシリンダ2及びそれに連結されるスタッファ11の内側を軸方向に往復摺動されるディスプレーサ3は、ピストン5の軸中心に穿たれた摺動孔5aを貫通するディスプレーサロッド4の一端に接続されており、該ディスプレーサロッド4の他端に接続されたディスプレーサ支持バネ6を介して圧力容器1に弾性支持されている。なお、シリンダ2及びスタッファ11は、ディスプレーサ3と同心的に配設されており、圧力容器1とシリンダ2及びスタッファ11との隙間には、前述した吸熱部13a、再生器14、及び放熱部13bから成る作動ガス流路が形成されている。
【0014】
圧力容器1とスタッファ11との間に配設された吸熱部13aは、低温側熱交換器であり、膨張空間8bで作動ガスが膨張するときに外部から熱を奪う機能を有する。なお、吸熱部13aとスタッファ11との間には、ステンレス鋼製の圧接リング12aが挿入されており、吸熱部13aは、該圧接リング12aによって圧力容器1に押さえつけられている。
【0015】
圧力容器1とシリンダ2との間に配設された放熱部13bは、高温側熱交換器であり、圧縮空間8aで作動ガスが圧縮されるときに発生する熱の一部を外部へ放出する機能を有する。なお、放熱部13bとシリンダ2との間にはステンレス鋼製の圧接リング12bが挿入されており、放熱部13bは、該圧接リング12bによって圧力容器1に押さえつけられている。
【0016】
吸熱部13aと放熱部13bとの間に充填された再生器14は、細い針金のマトリックスやホイルを巻回した環状の隙間によって構成されており、圧縮空間8aから膨張空間8bに移る作動ガスの熱を受け取って蓄えておき、膨張空間8bから圧縮空間8aに戻る作動ガスに蓄えておいた熱を与える機能を有する。
【0017】
なお、本実施形態におけるスターリング冷凍機の特徴的な構成として、上記したスタッファ11及びシリンダ2の外周面には、各々圧接リング12a、12bとの接触箇所に溝部が形成されており、該溝部には弾性体15(ゴム製のOリングなど)が配設されている。
【0018】
続いて、上記構成から成るスターリング冷凍機の動作について説明する。リニアモータ10によって駆動されるピストン5は、シリンダ2内を軸方向に往復運動する。ピストン5の往復運動は、圧力容器1内に封入された作動ガスに周期的な圧力変動をもたらし、支持バネ6、7を介してディスプレーサ3に軸方向の往復運動を生じさせる。このとき、ディスプレーサ3は、ピストン5と同じ周期でかつ異なった位相をもって、シリンダ2及びスタッファ11内を軸方向に往復運動することになる。なお、ディスプレーサ3の振幅は、ピストン5とディスプレーサ3との位相差に影響を受ける。ピストン5とディスプレーサ3との位相差は装置の運転条件が同一であるならば、ディスプレーサ3の質量、支持バネ6、7のバネ定数、及び共振周波数によって決定される。
【0019】
ここで、ピストン5とディスプレーサ3が適当な位相差(約90°)を保って往復運動すると、ピストン5によって圧縮された圧縮空間8a内の作動ガスは、放熱部13b、再生器14、及び吸熱部13aを経由して、膨張空間8bへ移動する。その際、作動ガスは放熱部13bを介して外部へ熱を放出するとともに、再生器14に熱を預ける形で予冷される。大部分の作動ガスが膨張空間8bに流入すると、今度はディスプレーサ3の動きによって作動ガスが膨張され、その温度は低下する。
【0020】
その後、膨張空間8b内の作動ガスは、吸熱部13a、再生器14、及び放熱部13bを経由して圧縮空間8aに戻る。その際、作動ガスは吸熱部13aを介して外部から熱を奪い、再生器14に預けておいた熱を回収して圧縮空間8aに入る。大部分の作動ガスが圧縮空間8aに戻ると、再びピストン5の動きによって作動ガスが圧縮され、動作は次サイクルに移行する。
【0021】
このような動作が連続的に繰り返されることにより、膨張空間8b外部に設けられた冷却ヘッドでは低温を得ることができる。従って、冷却ヘッドに隣接して冷凍室を形成しておけば、該冷凍室内に貯蔵した被冷却物(食品等)を冷却することができる。
【0022】
ここで、本実施形態のスターリング冷凍機は、前述した通り、スタッファ11と圧接リング12aとの間、及びシリンダ2と圧接リング12bとの間に、各々弾性体15を介在させることで、両部材を弾接的に配設した構成としている。
【0023】
このような構成とすることにより、各基幹部材間(圧力容器1−吸熱部13a−圧接リング12a−スタッファ11−ディスプレーサ3間、及び圧力容器1−放熱部13b−圧接リング12b−シリンダ2−ディスプレーサ3間)の同軸度が多少狂ったとしても、圧接リング12a、12bとスタッファ11及びシリンダ2とのシール性は弾性体15によって保持されることになる。従って、作動ガスは、不正流路(スタッファ11と圧接リング12aとの間、及びシリンダ2と圧接リング12bとの間)を通過することなく、正常に吸熱部13a及び放熱部13bを経由して再生器14に流入するようになるので、作動ガスの熱交換効率を高めて装置の冷却能力向上を図ることが可能となる。また、本実施形態のスターリング冷凍機であれば、各基幹部材の組立て精度を多少緩和しても、その同軸度を維持することができるので、装置の組立性向上を図ることも可能となる。
【0024】
次に、本発明に係るスターリング冷凍機の第2実施形態について説明する。図2は本発明に係るスターリング冷凍機の第2実施形態を示す概略断面図である。本図に示す通り、本実施形態のスターリング冷凍機は、前出の第1実施形態(図1参照)とほぼ同様の構成から成るが、スタッファ11と圧接リング12aとの間に弾性体を設ける代わりに、スタッファ11の外周部と内周部を各々異なる素材で形成した点に特徴を有している。具体的には、圧接リング12aと接触するスタッファ外周部11aを弾性体素材(ゴム等)で形成し、ディスプレーサ3と接触するスタッファ内周部11bを剛性体素材(樹脂等)で形成した構成としている。このような構成とすることにより、前出の第1実施形態と同様、スターリング冷凍機の冷却能力向上や組立性向上を図ることが可能となる。
【0025】
なお、上記した各実施形態では、本発明をスターリング冷凍庫に適用した場合を例に挙げて説明を行ったが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、ピストンとディスプレーサの往復運動に伴う作動ガスの圧縮・膨張を利用して低温または動力を得るスターリング機関に広く適用することが可能である。
【0026】
【発明の効果】
上記で説明したように、本発明によれば、作動ガスの熱交換効率が高く、かつ装置の組立てが容易なスターリング機関を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスターリング冷凍機の第1実施形態を示す概略断面図である。
【図2】本発明に係るスターリング冷凍機の第2実施形態を示す概略断面図である。
【図3】スターリング冷凍機の一従来構成を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1  圧力容器
2  シリンダ
3  ディスプレーサ
4  ディスプレーサロッド
5  ピストン
5a  摺動孔
6  ディスプレーサ支持バネ
7  ピストン支持バネ
8a  圧縮空間(作動空間)
8b  膨張空間(作動空間)
9  背圧空間
10  リニアモータ
11  スタッファ
11a  スタッファ外周部(弾性体素材)
11b  スタッファ内周部(剛性体素材)
12a、12b  圧接リング
13a  吸熱部(低温側熱交換器)
13b  放熱部(高温側熱交換器)
14  再生器
15  弾性体(Oリング)
【出願人】 【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号
【出願日】 平成14年8月28日(2002.8.28)
【代理人】 【識別番号】100085501
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 静夫

【識別番号】100111811
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 茂樹

【識別番号】100121256
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 淳一

【公開番号】 特開2004−84598(P2004−84598A)
【公開日】 平成16年3月18日(2004.3.18)
【出願番号】 特願2002−248654(P2002−248654)