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【発明の名称】 スターリング機関
【発明者】 【氏名】脇坂 英司
【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内

【要約】 【課題】軽量かつ低コストであって、変形の少ないディスプレーサを実現することによって、フリーピストン型スターリング機関の性能の向上を図る。

【解決手段】フリーピストン型スターリング冷凍機関7は、作動ガスを封入したシリンダ1内を往復運動可能に設けられたピストン2およびディスプレーサ3を有し、かつディスプレーサ3が往復運動可能に弾性支持されている。ディスプレーサ3は、内部に中空部分15aを有し、かつ中空部分15aとディスプレーサ外部とを連通する孔15bを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動ガスを封入したシリンダ内を往復運動可能に設けられたピストンおよびディスプレーサを有し、かつ前記ディスプレーサが前記往復運動可能に弾性支持されているフリーピストン型のスターリング機関において、
前記ディスプレーサは、内部に中空部分を有し、かつ前記中空部分と前記ディスプレーサ外部とを連通する孔を有する、スターリング機関。
【請求項2】
前記ディスプレーサの前記孔は、前記シリンダとの摺動面に開口していることを特徴とする、請求項1に記載のスターリング機関。
【請求項3】
前記ディスプレーサは、前記摺動面に凹部を有し、前記孔は前記凹部において開口していることを特徴とする、請求項2に記載のスターリング機関。
【請求項4】
前記ディスプレーサの前記孔は、圧縮空間に面した部分に開口していることを特徴とする、請求項1に記載のスターリング機関。
【請求項5】
前記ディスプレーサは、前記圧縮空間に面した部分に凹部を有し、前記孔は前記凹部において開口していることを特徴とする、請求項4に記載のスターリング機関。
【請求項6】
前記ディスプレーサの前記孔は、膨張空間に面した部分に開口していることを特徴とする、請求項1に記載のスターリング機関。
【請求項7】
前記ディスプレーサは、前記膨張空間に面した部分に凹部を有し、前記孔は前記凹部において開口していることを特徴とする、請求項6に記載のスターリング機関。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スターリング機関に関し、特にディスプレーサが往復運動可能に弾性支持されたフリーピストン型のスターリング機関に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、冷蔵庫などの冷却手段として、蒸気圧縮式の冷凍サイクルが採用されている。こうした蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置には、作動媒体としての冷媒にフロンが用いられ、フロンの凝縮、蒸発を利用して、所要の冷却性能が達成されている。しかし、フロンはオゾン破壊係数が大きいため、近年、フロンのうち特定フロンを対象として使用と生産とが規制されてきている。このため、特定フロンを用いなくてもすむ技術として、スターリング冷凍機などの研究が進められている。
【0003】
スターリング冷凍機関は、逆スターリングサイクルによって低温を得るようにしたものであり、作動媒体としてヘリウムガス、水素ガス、窒素ガスなどを採用するので、地球環境に与える影響が少ない。このスターリング冷凍機関によれば、極低温を得ることが容易である。以下、従来のスターリング冷凍機関について説明する。
【0004】
図8は従来のフリーピストン型スターリング冷凍機関の断面図である。
図8を参照して、フリーピストン型スターリング冷凍機関7では、一端がケーシング13で密閉されたシリンダ1内に、ディスプレーサ3とピストン2とが配設されており、これらによって圧縮空間8と膨張空間9とが形成されている。そして、これらと再生器5により閉回路が構成され、この閉回路の作動空間にはヘリウムなど作動ガスが充填されている。ピストン2はスプリング19を介して接続されており、リニアモータ等の外部動力によってシリンダ1の軸方向に振動可能とされている。ディスプレーサ3は、ディスプレーサロッド4を介してスプリング6に接続され、自由に往復運動することが可能である。
【0005】
このスターリング冷凍機関7の動作としては、前記ピストン2がリニアモータなどの外部動力によってシリンダ1の軸方向に振動することによって、圧縮空間8に封入された作動ガスに周期的な圧力変化をもたらす。そして、圧縮に伴い上昇した背圧の脈動により、作動ガスが再生器5を介して膨張空間9に流入される。このときガス移動量の変化によりディスプレーサ3に周期的な軸方向の振動力が生じるので、ディスプレーサ3はピストン2と同じ周期で所定の位相差を保って往復運動する。そしてこの往復運動により、作動ガスは主として膨張空間9に冷熱を発生する。
【0006】
フリーピストン型スターリング冷凍機関7において、冷熱は以下の原理によって発生される。すなわち、ピストン2により圧縮された圧縮空間8内の作動ガスは、シリンダ通気口18、流路12、高温側熱交換器10を通過し、再生器5で予冷されて、低温側熱交換器14を経由して膨張空間9へ移動する。このとき、圧縮空間8で生じた熱は高温側熱交換器10を介して放熱器11から外部に放出される。大部分の作動ガスが膨張空間9に流入すると、膨張空間9の圧力は上昇し、作動ガスはディスプレーサ3を押し上げるようにして膨張を始める。そして、ある程度膨張すると、ピストン2の復元力によりディスプレーサ3は逆に押し上げられ、圧力の低くなった膨張空間9内の作動ガスが再び圧縮空間8へ移動する。このときに、作動ガスは低温側熱交換器14を介して吸熱器17で外部の空気を冷却する。そして、大部分の作動ガスが圧縮空間8へ移動すると、再びピストン2に圧縮されて次のサイクルに移行する。以上のような一連のサイクルが連続的に繰り返されることにより、極低温の冷熱を取り出すことができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
フリーピストン型スターリング機関では、ディスプレーサ3はスプリング6により支持され、圧縮空間8と膨張空間9との圧力差により自由に往復運動可能となっている。したがって、その圧力差が一定の場合に、ディスプレーサ3の重量が大きくなると、ディスプレーサ3は往復運動しにくくなる。その結果、ディスプレーサ3の振幅が小さくなり、冷却効率等の性能が低下するという問題があった。したがって、フリーピストン型スターリング機関の性能の向上のためには、ディスプレーサ3を軽量化する必要がある。
【0008】
ディスプレーサ3の軽量化については、次の二つの方法が考えられる。
第一の方法としては、ディスプレーサ3の材質をより軽量なものにすることが考えられる。しかし、軽量化によってディスプレーサ3の強度も低下するため、作動ガスの圧力などによるディスプレーサ3の変形が生じやすくなる。このような変形を防ぐためには、ディスプレーサ3の材質をより軽量な材質にするとともに、より強固な材質にする必要がある。しかし、このような材質を選択すれば、コストが高くなるという問題がある。
【0009】
第二の方法としては、ディスプレーサ3を気密性が高く肉圧の薄い中空形状にすることが考えられる。しかし、この構成をとる場合には、ディスプレーサ3外部の作動ガスの圧力とディスプレーサ3内部の圧力との差でディスプレーサ3の形状に変形が生じ、シリンダ1とディスプレーサ3との摺動性の低下が起こる。ここでシリンダ1とディスプレーサ3との摺動性の低下とは、シリンダ1とディスプレーサ3との間に摩擦が大きくなり、往復運動がしにくくなることを示している。その結果、摺動性の低下によって振幅が小さくなり、かえって冷却効率が低下してしまう。
【0010】
そこで、本発明は、軽量かつ低コストであって、変形の少ないディスプレーサを実現することによって、フリーピストン型スターリング機関の性能の向上を図ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のスターリング機関は、作動ガスを封入したシリンダ内を往復運動可能に設けられたピストンおよびディスプレーサを有し、かつディスプレーサが往復運動可能に弾性支持されているフリーピストン型スターリング機関であって、ディスプレーサは、内部に中空部分を有し、かつ中空部分とディスプレーサ外部とを連通する孔を有する。
【0012】
本発明のスターリング機関によれば、ディスプレーサ内部が中空にされるために、中空部分の重量の分だけディスプレーサは軽量かつ低コストとなる。また、孔を通じて、ディスプレーサ外部の作動ガスとディスプレーサ内部の作動ガスとが出入り可能である。したがって、ディスプレーサ外部の作動ガスの圧力とディスプレーサ内部の作動ガスの圧力とが同等となり、ディスプレーサ外部の作動ガスとディスプレーサ内部の作動ガスとの圧力差によるディスプレーサの変形が抑制される。以上の理由により、スターリング機関の性能が向上される。
【0013】
上記本発明のスターリング機関において好ましくは、ディスプレーサの孔は、シリンダとの摺動面に開口している。
【0014】
この構成により、静止時には、孔を通じて圧力調整が行われるのでディスプレーサの変形が抑制される。また、動作時には、ディスプレーサとシリンダとの各摺動面間のギャップによる圧力損失により、作動ガスがディスプレーサとシリンダとの摺動面間を通過しにくくなる。その結果、動作時には、作動ガスのディスプレーサ内部への出入りが妨げられる。したがって、動作時の作動ガスの圧力変動に及ぼす孔の影響は少ない。
【0015】
上記本発明のスターリング機関において好ましくは、ディスプレーサは摺動面に凹部を有し、孔は凹部において開口している。
【0016】
孔加工時には、バリの発生などにより孔の開口の周囲が凸型の変形を生じることがある。しかし、予め凹部を設けることによって、凸型の変形が生じた場合でも、その凸型の変形がディスプレーサの摺動面より外方に突き出ることを防止できる。したがって、孔加工時の変形によるディスプレーサの摺動性の低下が抑制される。
【0017】
上記本発明のスターリング機関において好ましくは、ディスプレーサの孔は、圧縮空間に面した部分に開口している。
【0018】
この構成により、瞬間的な圧力変動が起こる圧縮時にも、作動ガスが圧縮空間から容易にディスプレーサ内に入りこむ。したがって、圧縮時にも、圧縮空間の作動ガスの圧力とディスプレーサ内部の作動ガスの圧力とをほぼ同じにできるので、ディスプレーサの変形を抑制することができる。また、孔を圧縮空間に面した部分に開口したことにより、シリンダとの摺動面に設ける必要がなくなる。このため、孔をシリンダとの摺動面に設けた場合に生ずることのある凸型変形部とシリンダとが接触するおそれがなくなるため、その接触などによる摺動性の低下を防止することができる。
【0019】
上記本発明のスターリング機関において好ましくは、ディスプレーサは圧縮空間に面した部分に凹部を有し、孔は凹部において開口している。
【0020】
孔加工時には、バリの発生などにより孔の開口の周囲が凸型の変形を生じることがある。しかし、予め凹部を設けることによって、凸型の変形が生じた場合でも、その凸型の変形がディスプレーサの圧縮空間に面した部分より外方に突き出ることを防止できる。したがって、孔加工時の変形による動作時のディスプレーサとピストンとの衝突が避けられる。
【0021】
上記本発明のスターリング機関において好ましくは、ディスプレーサの孔は、膨張空間に面した部分に開口している。
【0022】
この構成により、瞬間的な圧力変動が起こる膨張時にも、作動ガスが膨張空間から容易にディスプレーサ内に入りこむ。したがって、膨張時にも、膨張空間の作動ガスの圧力とディスプレーサ内部の作動ガスの圧力とをほぼ同じにできるので、ディスプレーサの変形を抑制することができる。また、膨張空間の作動ガスをディスプレーサ内に入れることで膨張を助長させることもできる。さらに、孔を膨張空間に面した部分に開口したことにより、シリンダとの摺動面に設ける必要がなくなる。このため、孔をシリンダとの摺動面に設けた場合に生ずることのある凸型変形部とシリンダとが接触するおそれがなくなるため、その接触などによる摺動性の低下を防止することができる。また、孔を膨張空間に面した部分に開口したことにより、圧縮空間に面した部分に孔を設ける必要がなくなる。圧縮空間に面した部分に孔が設けられている場合には、圧縮時に作動ガスがディスプレーサ内に急激に入りこみ、ディスプレーサ内部の圧力が上昇することにより、ディスプレーサが膨らんだ形状に変形を生ずることがある。しかし、孔を膨張空間に面した部分に開口したことにより、このような変形を防止することができる。
【0023】
上記本発明のスターリング機関において好ましくは、ディスプレーサは膨張空間に面した部分に凹部を有し、孔は凹部において開口している。
【0024】
孔加工時には、バリの発生などにより孔の周囲が凸型の変形を生じることがある。しかし、予め凹部を設けることによって、凸型の変形が生じた場合でも、ディスプレーサの膨張空間に面した部分が外方に突き出る形状にならない。したがって、孔加工時の変形による動作時のディスプレーサとケーシングとの衝突が避けられる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。
【0026】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるフリーピストン型スターリング冷凍機関の断面図である。
【0027】
図1を参照して、フリーピストン型スターリング冷凍機関7では、一端がケーシング13により密閉されたシリンダ1の内部の円筒状空間内に、ディスプレーサ3およびピストン2が配設されることにより、前記空間内に圧縮空間8と膨張空間9とが形成され、これらの間に再生器5が設けられて閉回路が構成されている。この閉回路の作動空間には作動ガスが充填されている。ピストン2はスプリング19を介して接続されており、リニアモータ等の外部動力によってシリンダ1の軸方向に振動可能とされている。ディスプレーサ3は、このピストン2を貫通するディスプレーサロッド4の一端に接続されており、ディスプレーサロッド4の他端は、スプリング6に接続されている。このような構成により、ディスプレーサ3は往復運動可能に弾性支持されている。
【0028】
本実施の形態のフリーピストン型スターリング冷凍機関7において特に注目すべきは、ディスプレーサ3は、内部に中空部分15aを有し、かつその中空部分15aとディスプレーサ3の外部とを連通する孔15bを有している。その孔15bは、シリンダ1との摺動面に開口しており、ディスプレーサ3内の中空部分15aは、孔15b以外では外部と通じないように気密性が維持されている。
【0029】
このスターリング冷凍機関の動作においては、閉回路の作動空間にヘリウムなどの作動ガスが充填されるとともに、前記ピストン2がリニアモータなどの外部動力によってシリンダ1の軸方向に振動する。ピストン2の振動は、圧縮空間8に封入された前記作動ガスに周期的な圧力変化をもたらし、圧縮に伴って上昇した背圧の脈動により、作動ガスが再生器5を介して膨張空間9に流入される。このときガス移動量の変化によりディスプレーサ3に周期的な軸方向の振動力が生じる。
【0030】
これにより、ディスプレーサ3は、スプリング6によりピストン2と同じ周期で所定の位相差を保ってシリンダ1内を軸方向に往復運動する。ディスプレーサ3およびピストン2が所定の位相差を保って往復運動するとき、作動空間に封入された作動ガスは逆スターリングサイクルとして既知の熱力学サイクルを構成し、主として膨張空間9に冷熱を発生する。
【0031】
以下に、その原理について説明する。ピストン2により圧縮された圧縮空間8内の作動ガスは、シリンダ通気口18を通過し、流路12、高温側熱交換器10、再生器5、低温側熱交換器14を経由して膨張空間9へ移動する際に、前記再生器5が半サイクル前に蓄えていた冷熱を受け取り予冷される。
【0032】
このとき、圧縮空間8で生じた熱は高温側熱交換器10を介して放熱器11から外部に放出される。大部分の作動ガスが膨張空間9に流入すると、作動ガスは、膨張空間9の圧力上昇によってディスプレーサ3を押し上げるようにして膨張が始まる。
【0033】
そして、ある程度膨張すると、ピストン2の復元力によりディスプレーサ3は逆に押し上げられ、圧力の低くなった膨張空間9内の作動ガスは、低温側熱交換器14を介して吸熱器17で外部から熱が奪われ外部の空気を冷却し、再生器5、高温側熱交換器10、流路12、シリンダ通気口18を経由して再び圧縮空間8へ移動する。そして、大部分の作動ガスが圧縮空間8へ戻ると、再びピストン2の圧縮を受けて次のサイクルに移行する。以上のような一連のサイクルが連続的に繰り返されることにより、極低温の冷熱を取り出すことができる。
【0034】
次に、孔15bの効果について説明する。本実施の形態では、ディスプレーサ3内に中空部分15aと孔15bとを設けたことにより、その孔15bを介して外部から中空部分15aに作動ガスを導くことが可能となる。このため、ディスプレーサ3の内部と外部との各作動ガスの圧力を同等にすることができ、内部と外部の圧力差に基づくディスプレーサ3の変形を抑制することが可能となる。
【0035】
本実施の形態では、特に孔15bがディスプレーサ3とシリンダ1との摺動面に開口している。このため、静止時には、孔15bを介してディスプレーサ3の内部に作動ガスが流入し、ディスプレーサ3の内部圧力と周囲の圧力が同等となるため、内部と外部との圧力差によるディスプレーサ3の変形が抑制される。
【0036】
一方、ディスプレーサ3とシリンダ1との摺動面間はギャップが小さいので、圧縮空間8および膨張空間9とディスプレーサ3の内部との間を移動する作動ガスには圧力損失が生じる。圧力損失が生じる状態では、作動ガスはディスプレーサ3とシリンダ1との摺動面間を通過しにくくなっている。したがって、動作時には、圧縮空間8および膨張空間9で作動ガスの瞬間的な圧力変動が起こるので、作動ガスがディスプレーサ3とシリンダ1との摺動面間を通過し、中空部分15aに流入するする前に、圧縮空間8および膨張空間9の圧力は変動してしまう。その結果、作動ガスの中空部分15aへの出入りは少なくなるので、動作時の作動ガスの圧力変動に及ぼす孔15bの影響を抑制することができる。
【0037】
(実施の形態2)
図2および図3は本発明の実施の形態2におけるフリーピストン型スターリング冷凍機関のディスプレーサの構成を示す断面図および斜視図である。
【0038】
図2を参照して、本実施の形態では、ディスプレーサ3のシリンダ1との摺動面にクリアランスを大きくするための凹部16が設けられており、その凹部16に孔15bが開口されている。
【0039】
なお、これ以外の構成については図1に示す実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0040】
孔15bは通常ドリルなどを用いて穴あけ加工により作成される。しかし、穴あけ加工の際、バリの発生や材料の内部応力バランスが崩れて孔15bの開口の周囲が盛り上がり、凸型の変形を生じることがある。そこで、予めディスプレーサ3の摺動面の孔15bを設ける位置がわずかに凹形状に加工される。これによって、孔15b周辺が加工によって凸形状となっても、ディスプレーサ3のシリンダ1との摺動面より外方へ突き出ることを抑制できるため、摺動性の低下が軽減される。
【0041】
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3におけるフリーピストン型スターリング冷凍機関の断面図である。
【0042】
図4を参照して、本実施の形態では、孔15bは、ディスプレーサ3の圧縮空間8に面する部分に開口している。また、孔15b以外のディスプレーサ3の部分は外部と通じないよう気密性を維持した構成となっている。ここで、圧縮空間8とは、ディスプレーサ3とピストン2との間の空間を意味している。
【0043】
なお、これ以外の構成については図1に示す実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0044】
これにより、瞬間的な圧力変動が起こる圧縮時にも、作動ガスが圧縮空間8から容易にディスプレーサ3内に入りこむため、圧縮空間8の作動ガスの圧力とディスプレーサ3内部の作動ガスの圧力とをほぼ同じにでき、ディスプレーサ3の変形を抑制することができる。また、孔15bを圧縮空間8に面した部分に開口したことにより、シリンダ1との摺動面に設ける必要がなくなる。このため、孔15bをシリンダ1との摺動面に設けた場合に生ずることのある凸型変形部とシリンダ1とが接触するおそれがなくなるため、その接触などによる摺動性の低下を防止することができる。
【0045】
(実施の形態4)
図5は、本発明の実施の形態4におけるフリーピストン型スターリング冷凍機関のディスプレーサの構成を示す断面図である。
【0046】
図5を参照して、本実施の形態では、ディスプレーサ3は、ディスプレーサ3の圧縮空間8側の面に凹部16が設けられており、その凹部16に孔15bが開口されている。
【0047】
なお、これ以外の構成については図1に示す実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0048】
これにより、ディスプレーサ3の内部圧力と周囲の圧力が同等となり、圧力差によるディスプレーサ3の変形がなくなるとともに、孔15bの加工時にディスプレーサ3に変形が起こった際にも、ディスプレーサ3の圧縮空間8に面した部分が外方に突き出る形状にはならないので、動作時のピストン2とディスプレーサ3との衝突を避けることができる。
【0049】
(実施の形態5)
図6は、本発明の実施の形態5におけるフリーピストン型スターリング冷凍機関の断面図である。
【0050】
図6を参照して、本実施の形態では、孔15bはディスプレーサ3の膨張空間9に面する部分に開口している。また、孔15b以外のディスプレーサ3の部分は外部と通じないよう気密性を維持した構成となっている。ここで、膨張空間9とは、ディスプレーサ3とケーシング13との間の空間を意味している。
【0051】
なお、これ以外の構成については図1に示す実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
これにより、瞬間的な圧力変動が起こる膨張時にも、作動ガスが膨張空間9から容易にディスプレーサ3内に入りこむため、膨張空間9の作動ガスの圧力とディスプレーサ3内部の作動ガスの圧力とをほぼ同じにでき、ディスプレーサ3の変形を抑制することができる。また、膨張空間9の作動ガスを中空部分15aに入れることで膨張を助長させることもできる。さらに、孔15bを膨張空間9に面した部分に開口したことにより、シリンダ1との摺動面に設ける必要がなくなる。このため、孔15bをシリンダ1との摺動面に設けた場合に生ずることのある凸型変形部とシリンダ1とが接触するおそれがなくなるため、その接触などによる摺動性の低下を防止することができる。また、孔15bを膨張空間9に面した部分に開口したことにより、圧縮空間8に面した部分に設ける必要がなくなる。圧縮空間8に面した部分に孔15bが設けられている場合には、圧縮時に作動ガスがディスプレーサ3内に急激に入りこみ、ディスプレーサ3内部の圧力が上昇することにより、ディスプレーサ3が膨らんだ形状に変形を生ずることがある。しかし、孔15bを膨張空間に面した部分に開口したことにより、このような変形を防止することができる。
【0053】
(実施の形態6)
図7は、本発明の実施の形態6におけるフリーピストン型スターリング冷凍機関のディスプレーサの構成を示す断面図である。
【0054】
図7を参照して、本実施の形態では、ディスプレーサ3は、ディスプレーサ3の膨張空間9側の面に凹部16が設けられており、その凹部16に孔15bが開口されている。
【0055】
なお、これ以外の構成については図1に示す実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0056】
これにより、ディスプレーサ3の内部圧力と周囲の圧力が同等となり圧力差によるディスプレーサ3の変形がなくなるとともに、孔15bの加工時にディスプレーサ3に変形が起こった際にも、ディスプレーサ3の膨張空間9に面した部分が外方に突き出る形状にはならないので、動作時のケーシング13とディスプレーサ3との衝突を避けることができる。
【0057】
なお、本実施の形態は全て逆スターリングサイクルによるスターリング冷凍機関についてのものであるが、本発明はスターリングエンジンなどのスターリング機関の装置全般について適用可能である。
【0058】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものと意図される。
【0059】
【発明の効果】
以上のように、本発明のスターリング冷凍機関によれば、ディスプレーサ内部が中空にされるために、中空部分の重量の分だけディスプレーサは軽量かつ低コストとなる。また、孔を通じて、ディスプレーサ外部の作動ガスとディスプレーサ内部の作動ガスとが出入り可能である。したがって、ディスプレーサ外部の作動ガスの圧力とディスプレーサ内部の作動ガスの圧力とが同等となり、ディスプレーサ外部の作動ガスとディスプレーサ内部の作動ガスとの圧力差によるディスプレーサの変形が抑制される。以上の理由により、フリーピストン型スターリング冷凍機関の性能が向上される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1におけるフリーピストン型スターリング冷凍機関の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態2におけるフリーピストン型スターリング冷凍機関のディスプレーサの構成を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態2におけるフリーピストン型スターリング冷凍機関のディスプレーサの構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態3におけるフリーピストン型スターリング冷凍機関の断面図である。
【図5】本発明の実施の形態4におけるフリーピストン型スターリング冷凍機関のディスプレーサの構成を示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態5におけるフリーピストン型スターリング冷凍機関の断面図である。
【図7】本発明の実施の形態6におけるフリーピストン型スターリング冷凍機関のディスプレーサの構成を示す断面図である。
【図8】従来のフリーピストン型スターリング冷凍機関の断面図である。
【符号の説明】
1 シリンダ、2 ピストン、3 ディスプレーサ、4 ディスプレーサロッド、5 再生器、6 スプリング、7 フリーピストン型スターリング冷凍機関、8 圧縮空間、9 膨張空間、10 高温側熱交換器、11 放熱器、12 流路、13 ケーシング、14 低温側熱交換器、15a 中空部分、15b 孔、16 凹部、17 吸熱器、18 シリンダ通気口、19 スプリング。
【出願人】 【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号
【出願日】 平成14年6月17日(2002.6.17)
【代理人】 【識別番号】100064746
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎

【公開番号】 特開2004−19556(P2004−19556A)
【公開日】 平成16年1月22日(2004.1.22)
【出願番号】 特願2002−175900(P2002−175900)